JP2012248609A - 平面導波路型レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入射面2aから励起光6を導入して、その励起光6を伝搬させる平板状の励起光導入部2と、励起光導入部2より高い屈折率を有しており、その励起光導入部2により伝搬された励起光6を導入する入射面が、その励起光導入部2の下面2cに接合され、その入射面から導入した励起光6を吸収して利得を発生する平板状のレーザ媒質1とを備え、その励起光導入部2における励起光6の入射方向の長さがレーザ媒質1より長く、その励起光導入部2の入射面2a付近にはレーザ媒質1が接合されていないように構成する。
【選択図】図1
Description
図14は以下の特許文献1に開示されている平面導波路型レーザ装置を示す構成図である。
図14の平面導波路型レーザ装置では、レーザ媒質101より屈折率が低い物質であるクラッド102がレーザ媒質101の上面に配置され、クラッド102より屈折率が低い物質であるクラッド103がクラッド102の上面に配置されている。
また、レーザ媒質101より屈折率が低い物質であるクラッド104がレーザ媒質101の下面に配置されている。
ただし、クラッド103,104が配置されない場合もあり、その場合には空気がクラッドの役割を担う。
入射された励起光は、クラッド102とクラッド103の界面や、レーザ媒質101とクラッド104の界面で、全反射を繰り返しながら、レーザ媒質101及びクラッド102内を伝搬する。
以上のようなダブルクラッド構造を有することで、クラッド102内ではレーザ光が利得を得ることがないため、所望のレーザ光と異なる光路を通る寄生発振を抑制することができる。
図1はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置を示す構成図である。
図1において、レーザ媒質1は励起光導入部2より高い屈折率を有している平板形状の部材であり、励起光導入部2により伝搬された励起光6を導入する入射面が、励起光導入部2の下面2c(励起光導入部2における厚さ方向と垂直な面)に接合され、その入射面から導入した励起光6を吸収して利得を発生する。
ただし、励起光導入部2における励起光6の入射方向の長さがレーザ媒質1より長く、励起光導入部2における励起光6の入射面2a付近にはレーザ媒質1が接合されないように構成される。
レーザ媒質1と励起光導入部2は、オプティカルコンタクト、拡散接合、表面活性化接合などによって光学的に接合される。
励起光導入部2としては、レーザ媒質1より屈折率が低い材料が用いられる。
例えば、レーザ媒質1のホスト材料やガラス材料などが用いられる。
励起光導入部2はレーザ光をレーザ媒質1内に閉じ込めるために、レーザ光に対するクラッドとしての役割を担っている。
励起光導入部2の上面2bに対するクラッド3の接合は、例えば、オプティカルコンタクトや拡散接合などで直接接合してもよいし、スパッタ法、蒸着法やCVD(Chemical Vacuum Deposition)法などを用いることで成膜するようにしてもよい。
レーザ媒質1の下面に対するクラッド4の接合は、例えば、オプティカルコンタクトや拡散接合などで直接接合してもよいし、スパッタ法、蒸着法やCVD(Chemical Vacuum Deposition)法などを用いることで成膜するようにしてもよい。
図1の例では、クラッド3,4が接合されているが、クラッド3,4が接合されていなくてもよく、クラッド3,4が接合されていない場合は、空気がクラッドの役割を担う。
レーザ光に対しては、レーザ媒質1がコア、励起光導入部2及びクラッド4がクラッドとなる平面導波路構造を構成している。
また、複数の半導体レーザがバー状に配置されているLDバーを用いてもよいし、複数のLDバーが積層されているスタックLDを用いてもよい。
なお、励起光導入部2の入射面2aから導入された励起光6の入射方向にあるレーザ媒質1の面は荒らし面5となっている。
まず、図示せぬ光源から出射された励起光6が、励起光導入部2の入射面2aから導入される。
励起光6の入射角度は、励起光導入部2とクラッド3の臨界角と、レーザ媒質1とクラッド4の臨界角のうち、大きい方の臨界角をθとしたとき、励起光6の励起光導入部2内部でのz方向に対する伝搬角が、90°−θ以下となるようにする。
なお、効率よく励起光6を励起光導入部2に導入させるために、図示せぬレンズなどの光学部品を用いて、励起光6を集光してから入射させてもよい。
また、励起光導入部2の入射面2aを、励起光6の入射角度に合わせて、y軸方向に対して傾斜をつけてもよい。
このとき、励起光6は広がりを持つため、励起光導入部2の内部を伝搬していくにしたがって励起光導入部2の内部において均一に広がっていくようになる。
したがって、励起光6がレーザ媒質1に到達するまでに、励起光導入部2の内部に均一に分布されていれば、レーザ媒質1は均一に励起されることになる。
図1では、励起光6が図中左側から入射される例を示しているが、図中右側から入射されてもよく、両側から励起光6が入射される方が、レーザ媒質1における励起光6の分布がより均一になる。
これにより、レーザ光の光軸に沿って進行する自然放出光を種として、誘導放出によってレーザ光を発生する。
ここで、コアとなるレーザ媒質1の屈折率が、クラッドとなる励起光導入部2及びクラッド4(クラッド4が接合されていない場合は空気)の屈折率より大きいため、コア(レーザ媒質1)とクラッド(励起光導入部2、クラッド4)との界面で、全反射条件を満たす成分がコア内に閉じ込められて、導波モードとして伝搬する。
図2は励起光6の入射方向と垂直な方向にレーザ光7の光軸を取った場合のレーザ光の光路を示す模式図である。
図2に示すように、レーザ媒質1のレーザ光7の光軸に垂直な面のうち、一方の面(図中、下側の面)に全反射鏡8を配置し、もう一方の面(図中、上側の面)に部分反射鏡9を配置すると、全反射鏡8と部分反射鏡9との間でレーザ発振し、部分反射鏡9からレーザ光7の一部が出力される。
この全反射鏡8及び部分反射鏡9は、レーザ媒質1におけるレーザ光7の光軸に垂直な面に対して、誘電体膜又は金属膜を直接成膜することによって実現してもよい。
図3の例では、レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面(図中、上側の面と下側の面)は、平行に配置されておらず、ある角度で配置されている。
このため、図3の例では、レーザ光がx軸方向に垂直な2つの面で反射を繰り返しながら進むため、ジグザグに折り返す光路となる。
図3の例では、レーザ光7の出射口には全透過膜10が施されており、レーザ光7の出射口以外のx軸方向に垂直な2つの面には全反射鏡8が配置されており、さらに、出射したレーザ光7に対して垂直に部分反射鏡11が配置されている。
最終的には90°で入射して元の光路に戻るためには、レーザ光7の出射口におけるレーザ媒質1内でのレーザ光7の角度が、レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面の角度の整数倍である必要がある。そのため、レーザ光7の出射口におけるレーザ媒質1内でのレーザ光7の角度が、レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面の角度の整数倍となるように、部分反射鏡11の角度が調整される。
以上がレーザ光7の光路の一例であり、レーザ媒質1内を通る光路であれば、どのような光路であってもよい。
レーザ媒質1と励起光導入部2との界面での全反射条件は満たさないが、励起光導入部2とクラッド3との界面での全反射条件と、レーザ媒質1とクラッド4との界面での全反射条件とを満たす光は、レーザ媒質1と励起光導入部2の中に閉じ込められて、寄生発振となる。
ただし、励起光導入部2内は利得がないため、レーザ媒質1と励起光導入部2の中を導波する光の増幅は抑制され、上記の寄生発振は抑制することができる。
レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面で反射を繰り返し、さらに、レーザ媒質1のz方向に垂直な面で全反射することで元の光路に戻る。
このような周回モード12の光は外に取り出すことができず、レーザ媒質1内を周回して、利得を奪いながら増幅されるため、所望のレーザ光7の出力が低下する。
この実施の形態1では、周回モード12を抑制するために、レーザ媒質1のz方向に垂直な面を荒らし面5としている。
レーザ媒質1のz方向に垂直な面を荒らし面5とすることで、レーザ媒質1のz方向に垂直な面への入射光が反射せずに散乱するため、周回モード12を抑制することができる。
吸収層はレーザ光7を吸収することができる材料であればよく、クロム(Cr)やチタン(Ti)などを用いることができる。
また、レーザ媒質1のz方向に垂直な面を荒らし面5にして、その荒らし面5の上に吸収層を設けてもよい。
図3の符号13はレーザ媒質1のz方向に垂直な2つの面の間で発振する寄生発振の一例である。
このような寄生発振13を抑制するためには、レーザ媒質1のz方向に垂直な2面が平行でなければよい。
図4はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置で寄生発振を抑制する構造の一例を示す模式図である。
図4の例では、レーザ媒質1のz方向に垂直な2つの面がy方向に対して傾斜がつけられている。
図4の例では、2つの面がy方向に対して傾斜がつけられているが、一方の面だけがy方向に対して傾斜がつけられていてもよい。
z方向に垂直な2面が互いに平行でないため、レーザ媒質1のz方向に垂直な面で反射した光は、元の光路と異なる方向に反射されるため、寄生発振13を抑制することができる。
図5はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ装置で寄生発振を抑制する構造の一例を示す模式図である。
図5の例では、レーザ媒質1のz方向に垂直な2つの面がx方向に対して傾斜がつけられている。
図5の例では、一方の面だけがx方向に対して傾斜がつけられているが、2つの面がx方向に対して傾斜がつけられていてもよい。
この場合も、z方向に垂直な2面が互いに平行でないため、レーザ媒質1のz方向に垂直な面で反射した光は、元の光路と異なる方向に反射されるため、寄生発振13を抑制することができる。
このように面に傾斜をつけた場合でも、その面を荒らし面としてもよいし、吸収層を設けてもよい。
即ち、図6に示すように、レーザ媒質1の屈折率と同じか、非常に近い屈折率を持ち、レーザ光7に利得を与えない物質からなる屈折率整合部14をレーザ媒質1のz方向に垂直な面の外側(レーザ媒質1が接合されている励起光導入部2の面の中で、レーザ媒質1が接合されていない部分)に設ける方法がある。
屈折率整合部14としては、例えば、レーザ媒質1のホスト材料などが用いられる。
レーザ媒質1と屈折率整合部14は、例えば、オプティカルコンタクト、拡散接合、表面活性化接合などによって光学的に接合される。
屈折率整合部14内へ進入した光は利得を与えられないので、減衰していき、寄生発振を抑制することができる。
また、屈折率整合部14を設けることで、励起光導入部2が飛び出している部分を保持することができ、励起光導入部2とレーザ媒質1の接合面のうち、レーザ媒質1と外部との境界付近の領域にかかる製造時の応力を緩和する効果もあり、製造時の割れや欠けなどを防止することができる。
以下、このような周回モードを抑制する方法について説明する。
図7は周回モードの一例を示す模式図である。
コア(レーザ媒質1又は励起光導入部2)とクラッド(クラッド4又はクラッド3)との界面での入射角をθ1、コアとクラッドとの界面で反射した光のうち、レーザ媒質1又は励起光導入部2と外部(空気など)との界面への入射角をθ2とする。
周回モード15を抑制するためには、入射角θ2が、レーザ媒質1と外部との界面における臨界角以下であれば全反射が起こらない。
ここで、レーザ媒質1の外部の屈折率がn0、レーザ媒質1の屈折率がn1、励起光導入部2の屈折率がn2、クラッド3の屈折率がn3、クラッド4の屈折率がn4であるとする。ただしn1,n2>n3,n4,n0である。
また、レーザ媒質1とクラッド4との界面における臨界角がθ1c、励起光導入部2とクラッド3との界面における臨界角がθ1c’であるとする。
θ1c=sin−1(n4/n1)
θ1c’=sin−1(n3/n2)
レーザ媒質1と外部との界面での臨界角がθ2c(=sin−1(n0/n1))であるとすると、周回モード15を抑制するためには、90°−θ1c<θ2cであればよい。
即ち、屈折率が下記の関係を満たせばよい。
n1sin(90°−sin−1(n0/n1))<n4
ただし、n4<n1であるため、周回モード15を抑制する屈折率の関係は、下記のようになる。
n1sin(90°−sin−1(n0/n1))<n4<n1
励起光導入部2と外部との界面での臨界角がθ2c(=sin−1(n0/n2))であるとすると、周回モード15を抑制するためには、90°−θ1c’<θ2cであればよい。
即ち、屈折率が下記の関係を満たせばよい。
n2sin(90°−sin−1(n0/n2))<n3
ただしn3<n2であるため、周回モード15を抑制する屈折率の関係は、下記のようになる。
n2sin(90°−sin−1(n0/n2))<n3<n2
また、臨界角の大きい方のクラッドにAl2O3を用いて、外部を空気とする場合は、n0=1、n3(またはn4)=1.6となるので、Al2O3に接合されているレーザ媒質1又は励起光導入部2の屈折率を1.6〜1.89にすれば、周回モード15を抑制することができる。
その結果、レーザ媒質1内での熱分布の発生が抑えられ、熱レンズ効果によるビーム品質の劣化を抑制することができる。また、熱分布が均一になるため、局所的な発熱も抑制することができ、信頼性が向上する。
さらに、この実施の形態1では、レーザ媒質1の外部の屈折率がn0、レーザ媒質1の屈折率がn1、励起光導入部2の屈折率がn2、クラッド3の屈折率がn3、クラッド4の屈折率がn4であるとき、n1sin(90°−sin−1(n0/n1))<n4<n1、または、n2sin(90°−sin−1(n0/n2))<n3<n2を満たす材料を選ぶことで、周回モード15を抑制することができる。
こういった周回モード12,15を抑制することにより、効率よく所望のレーザ光を増幅させることができる。
上記実施の形態1では、レーザ発振について説明したが、励起されたレーザ媒質1に別のレーザ光を通過させ、そのレーザ光を増幅させるレーザ増幅器に適用することもできる。
レーザ増幅器として用いる場合、入射レーザ光によって出力を制御することができる。
例えば、ビーム品質、波長、パルス形状などを制御することができ、応用分野が広がる。
導波路構造や励起光の入射方法などは、上記実施の形態1と同様である。
以下、平面導波路型レーザ装置をレーザ増幅器として用いる場合の動作について説明する。
このとき、レーザ媒質1の外部からレーザ光7が入射されると、誘導放出によって、入射されたレーザ光7が増幅される。
レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面(図8では、この2つの面は平行に配置されておらず、厳密にはx軸方向に垂直な面ではない)において、レーザ光7を入射する領域や出射させる領域には、全透過膜10が施されており、その他領域には、全反射鏡8が配置されている。この全反射鏡8は、レーザ媒質1の端面に対して、誘電体膜又は金属膜を直接成膜することによって実現してもよい。
x軸方向に垂直な2つの面へのレーザ光7の入射角は、レーザ光7の入射口から遠ざかるにしたがって、1回折り返す度にレーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面の角度分だけ小さくなり、最終的には折り返して戻ってくる。
このとき、レーザ光7の復路が往路と重ならずに、レーザ光7が入射された面と対向する面から、レーザ光7が出射されるように、レーザ光7の入射角度が調節される。
これにより、利得を持ったレーザ媒質1内をレーザ光7が隙間なく通ることができるため、高い増幅率が得られる。
図8では、レーザ媒質1のx軸方向に垂直な2つの面が、平行に配置されておらず、ある角度で配置されている形状について説明したが、この形状に限るものではない。
上記実施の形態1,2では、クラッド3,4が設けられているものを示したが、クラッド3,4内に進入した光が、クラッド3,4と外部との界面で全反射して、レーザ媒質1内に戻ることがある。
このような光は、周回モードや寄生発振の原因となる。
図9では、レーザ媒質1とクラッド4との臨界角より、励起光導入部2とクラッド3との臨界角の方が大きい場合の例を示している。
レーザ媒質1とクラッド4との界面で全反射した光のうち、クラッド3に漏れ出したレーザ光は、クラッド3と外部との境界で反射して、再度、レーザ媒質1に入射されて増幅されることで、レーザ媒質1内の利得を消費してしまう。
この実施の形態3では、クラッド外部伝搬光16や周回モード17のように、所望のレーザ光7の光路とは異なる光路をとり、レーザ媒質1内の利得を消費してしまう光を抑制するための平面導波路型レーザ装置について説明する。
吸収層18はレーザ光7を吸収する材料で構成されており、クラッド3の上面(励起光導入部2が接合されている面と対向している面)及びクラッド4の下面(レーザ媒質1が接合されている面と対向している面)に成膜されている。
吸収層18はレーザ光7を吸収できる材料であればよいが、例えば、クロム(Cr)やチタン(Ti)などを用いることができる。
吸収層18を設けていない場合、図9に示すように導波路モードとして発振するレーザ光7の他に、クラッド外部伝搬光16や周回モード17が存在する。導波モード以外は、クラッド3と外部との境界で全反射する。
一方、吸収層18を設けることで、界面で反射する光が吸収層18で吸収されて、クラッド外部伝搬光16と周回モード17が抑制される。
例えば、レーザ媒質1として、Nd:YVO4を用いて、914nmのレーザ光を増幅する場合、Nd:YVO4が利得を持つ914nm、1064nm、1342nmのクラッド外部伝搬光16及び周回モード17を抑制することができる。
例えば、レーザ媒質1として、Nd:YVO4を用いて、914nmのレーザ光を増幅する場合、Nd:YVO4は1064nmに大きな利得を持つため、1064nm付近の光に対して高い吸収率を持つ材料を吸収層18として用いてもよい。
このような材料として、例えば、Cr4+:YAGなどがある。このようにCr4+:YAGを吸収層18として用いれば、1064nm付近の光を選択的に吸収して、1064nmのクラッド外部伝搬光16及び周回モード17を抑制することができる。
例えば、吸収層18の代わりに、クラッド3,4の外側の面を荒らし面としてもよい。
この場合、クラッド3,4の外部の境界で反射する光が荒らし面によって散乱されるため、クラッド外部伝搬光16や周回モード17の成分に損失を与えることができる。
この構成にすれば、荒らし面による散乱と、吸収層18による吸収によってクラッド外部伝搬光16及び周回モード17を抑制し、効率よく所望のレーザ光を増幅させることができる。
上記実施の形態1〜3では、z方向の励起分布の改善方法について説明したが、x方向の励起分布を改善するようにしてもよい。
この実施の形態4の平面導波路型レーザ装置の構成自体は、上記実施の形態1〜3と同様である。
図11はこの発明の実施の形態4による平面導波路型レーザ装置における励起光6の入射方法を示す模式図である。
集光された励起光6は、その後広がるため、励起光導入部2内に入射された励起光6がx方向に広がる。
励起光導入部2のx方向に垂直な面に対して励起光6が到達すると、その励起光6は、その面と外部との境界で全反射されて、再び励起光導入部2の内部を伝搬する。
これにより、励起光6は、x方向での反射を繰り返しながら、励起光導入部2内でz方向に伝搬されるため、x方向における励起光6の分布が均一化され、レーザ媒質1のx方向の励起分布が均一になる。
ただし、集光後の広がり角は、励起光導入部2のx方向に垂直な面と外部との臨界角以下にする必要がある。
上記実施の形態1によるz方向の励起分布の均一化に加え、この実施の形態4によるx方向の励起分布の均一化という効果を合わせれば、レーザ媒質1のxz平面での励起分布がより均一となり、熱レンズ効果によるビーム品質の劣化を抑制することができる。
上記実施の形態1〜4では、励起光導入部2に対して、1個のレーザ媒質1が接合されているものを示したが、励起光導入部2に対して、複数個のレーザ媒質1が接合されていてもよい。
励起光導入部2に対して、複数個のレーザ媒質1が接合されている点以外は、上記実施の形態1〜4と同様である。
レーザ媒質1a,1bは図1のレーザ媒質1と同様に、励起光導入部2より高い屈折率を有している平板形状の部材であり、励起光導入部2により伝搬された励起光6を導入する入射面が、励起光導入部2の下面2c(励起光導入部2における厚さ方向と垂直な面)に接合され、その入射面から導入した励起光6を吸収して利得を発生する。
ただし、レーザ媒質1a,1bは離れた位置で、励起光導入部2と接合されている。
なお、励起光導入部2における励起光6の入射方向の長さが、レーザ媒質1a,1bを合わせた長さより長く、励起光導入部2における励起光6の入射面2a付近にはレーザ媒質1a,1bが接合されないように構成される。
レーザ媒質1a,1bと励起光導入部2は、オプティカルコンタクト、拡散接合、表面活性化接合などによって光学的に接合される。
まず、励起光導入部2の入射面2aから導入された励起光6は、励起光導入部2内を均一に広がりながら伝搬していき、その後、レーザ媒質1aに入射される。
レーザ媒質1a内で吸収されなかった励起光6は、励起光導入部2に戻り、その後、励起光導入部2内を伝搬してレーザ媒質1bに入射される。
このように、励起光導入部2を用いれば、複数個のレーザ媒質1a,1bに励起光6を損失なく、入射させることが可能となる。
これにより、レーザ光7がレーザ媒質1b内で反射を繰り返しながら伝搬していき、増幅される。
レーザ媒質1bから出射されたレーザ光7は、全反射鏡19で折り返され、レーザ媒質1a内に入射される。
このとき、レーザ光7をアパーチャー20に通すことにより、本来のレーザ光7と異なる成分(寄生発振や自然放出光)の増幅光を取り除くことができるため、ビーム品質が向上する。
レーザ媒質1a内に入射されたレーザ光7は、上記実施の形態2と同様に増幅されて、レーザ光の出射口から出射される。
Claims (17)
- 入射面から励起光を導入して、上記励起光を伝搬させる平板状の励起光導入部と、上記励起光導入部より高い屈折率を有しており、上記励起光導入部により伝搬された励起光を導入する入射面が、上記励起光導入部における厚さ方向と垂直な面に接合され、上記入射面から導入した励起光を吸収して利得を発生する平板状のレーザ媒質とを備え、
上記励起光導入部における励起光の入射方向の長さが上記レーザ媒質より長く、上記励起光導入部における励起光の入射面付近には上記レーザ媒質が接合されていないことを特徴とする平面導波路型レーザ装置。 - 励起光導入部の入射面から導入された励起光の入射方向にあるレーザ媒質の面が荒らし面であることを特徴とする請求項1記載の平面導波路型レーザ装置。
- 励起光導入部の入射面から導入された励起光の入射方向と垂直な方向にあるレーザ媒質の2つの面が非平行であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の平面導波路型レーザ装置。
- レーザ媒質における励起光の入射方向と垂直な面の外側にレーザ光を吸収する吸収層が成膜されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
- レーザ媒質が接合されている励起光導入部の面の中で上記レーザ媒質が接合されていない部分に、上記レーザ媒質と屈折率が略同一で、レーザ光に利得を与えない性質の物質が接合されていることを特徴とする請求項1記載の平面導波路型レーザ装置。
- 励起光導入部における励起光の入射面が厚さ方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
- レーザ媒質の面の中で、励起光導入部が接合されている面と対向している面に、上記レーザ媒質より屈折率が低いクラッド層が接合されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
- レーザ媒質の屈折率がn1、クラッド層の屈折率がn3、外部の屈折率がn0であるとき、上記屈折率n0,n1,n3が、
n1sin(90°−sin−1(n0/n1))<n3<n1
の関係を満足するレーザ媒質とクラッド層が用いられていることを特徴とする請求項7記載の平面導波路型レーザ装置。 - クラッド層の面の中で、レーザ媒質が接合されている面と対向している面に、レーザ光を吸収する吸収層が成膜されていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の平面導波路型レーザ装置。
- 励起光導入部の面の中で、レーザ媒質が接合されている面と対向している面に、上記励起光導入部より屈折率が低いクラッド層が接合されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
- 励起光導入部の屈折率がn2、クラッド層の屈折率がn3’、外部の屈折率がn0であるとき、上記屈折率n0,n2,n3’が、
n2sin(90°−sin−1(n0/n2))<n3’<n2
の関係を満足する励起光導入部とクラッド層が用いられていることを特徴とする請求項10記載の平面導波路型レーザ装置。 - クラッド層の面の中で、励起光導入部が接合されている面と対向している面に、レーザ光を吸収する吸収層が成膜されていることを特徴とする請求項10または請求項11記載の平面導波路型レーザ装置。
- 励起光導入部の面の中で、レーザ媒質が接合されている面と対向している面に、上記励起光導入部より屈折率が低い第1のクラッド層が接合されており、かつ、上記レーザ媒質の面の中で、上記励起光導入部が接合されている面と対向している面に、上記レーザ媒質より屈折率が低い第2のクラッド層が接合されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
- レーザ媒質の屈折率がn1、励起光導入部の屈折率がn2、第1のクラッド層の屈折率がn3、第2のクラッド層の屈折率がn4、外部の屈折率がn0であるとするとき、上記屈折率n0,n1,n2,n3,n4が、
sin−1(n4/n1)>sin−1(n3/n2)の場合には、
n1sin(90°−sin−1(n0/n1))<n4<n1の関係、
sin−1(n4/n1)<sin−1(n3/n2)の場合には、
n2sin(90°−sin−1(n0/n2))<n3<n2の関係
を満足するレーザ媒質、励起光導入部及び第1及び第2のクラッド層が用いられていることを特徴とする請求項13記載の平面導波路型レーザ装置。 - 第1のクラッド層の面の中で励起光導入部が接合されている面と対向している面、あるいは、第2のクラッド層の面の中でレーザ媒質が接合されている面と対向している面のうち、少なくとも一方にレーザ光を吸収する吸収層が成膜されていることを特徴とする請求項13または請求項14記載の平面導波路型レーザ装置。
- 吸収層は、クロム、チタン、Cr4+:YAGのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項4、請求項9、請求項12または請求項15記載の平面導波路型レーザ装置。
- 複数のレーザ媒質が励起光導入部に接合されていることを特徴とする請求項1から請求項16のうちのいずれか1項記載の平面導波路型レーザ装置。
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