本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、大電流用等の別の導電路を簡単な構造で、低コスト且つスペース効率よく付加することが出来る、新規な構造の基板用端子を提供することにある。
さらに、本発明は、そのような基板用端子を用いて構成される、新規な構造の基板用コネクタを提供することも、目的とする。
基板用端子に関する本発明の第一の態様は、一端側にプリント基板に半田付けされる固定部が設けられている一方、他端側に外部電気部品に接続される接続部が設けられている基板用端子において、前記固定部と前記接続部の間の中間部分において、被覆電線の芯線が固着される電線固着部が、前記中間部分の延出方向に沿って所定長さで設けられていることを、特徴とする。
このような基板用端子においては、被覆電線を用いて導電路が構成される。これにより、大電流に対応可能な導電路を歩留り良く、簡易且つ安価に形成することが出来る。また、被覆電線で導電路を構成したことにより、絶縁性を担保しつつプリント基板上に任意の形状に屈曲させて配設することが出来る。その結果、平板形状のバスバーを用いる場合に比して、大電流に対応し得る導電路を、優れたスペース効率をもって形成することが出来る。
そして、基板用端子の中間部分に、被覆電線の芯線が固着される電線固着部が設けられている。これにより、中継端子等を用いることなく、極めて簡単な構造で、大電流にも対応可能な導電路を基板用端子に直接に固着することが出来る。なお、芯線の固着態様としては、後述するように、溶着やかしめ固定等が好適に採用され得る。
しかも、電線固着部が中間部分の延出方向に沿って設けられている。これにより、電線固着部に固着された被覆電線の芯線部分を、電線固着部の領域内に沿って配設することが出来、芯線部分が基板用端子から突出して他部材と接触するおそれを軽減することが出来る。そして、電線固着部が、中間部分の延出方向に沿って形成されていることにより、電線固着部に固着された被覆電線も、中間部分の延出方向に沿って基板用端子から延び出される。従って、例えば、基板用コネクタを構成する等のために、複数の基板用端子をプリント基板上に配列して設ける場合でも、基板用端子に固着された被覆電線が、他の基板用端子やそれに固着された被覆電線と干渉することを防止することが出来て、複数の基板用端子をより狭ピッチでスペース効率良く配設することが出来る。
基板用端子に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記接続部と前記固定部とが前記電線固着部の両側から互いに反対方向に突出されたクランク形状とされているものである。
本態様によれば、基板用端子を、電線固着部においてプリント基板に重ね合わせることが出来る。これにより、コネクタ接続等に際する押込力に対して、基板用端子をプリント基板に接触させて支持することが出来る。また、電線固着部を、プリント基板上で安定して支持することも出来る。
基板用端子に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記電線固着部には、該電線固着部の延出方向に沿って延びる芯線収容凹溝が形成されているものである。
本態様によれば、芯線収容凹溝に被覆電線の芯線を収容することによって、芯線を電線固着部に位置決めすることが出来る。特に、芯線が撚り線等の場合には、各線を芯線収容凹溝に収容して、芯線のバラツキを抑えることも出来る。その結果、芯線を電線固着部により安定的に固着することが出来る。また、芯線を電線固着部の領域内に確実に配設して、他部材との接触を有利に回避することが出来る。
なお、芯線収容凹溝の具体的形状は特に限定されるものではないが、好適には、芯線収容凹溝の底面が凹状湾曲面とされる。このようにすれば、芯線を凹状湾曲面に沿わせてより安定的に位置決め出来ると共に、芯線が撚り線等の場合には、芯線のバラツキをより効果的に抑えることが出来る。
基板用端子に関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記電線固着部の幅方向両端縁部には、一対の位置決め突片が一体形成されているものである。
本態様によれば、一対の位置決め突片で芯線を挟むことにより、芯線を電線固着部上でより確実に位置決めすることが出来る。その結果、より確実な固着を行うことが出来る。特に後述するように、芯線を超音波溶接等で電線固着部に溶着する場合には、芯線のブレを抑えて、より確実な溶着を行うことが出来る。更に、一対の位置決め突片で挟まれた領域内に芯線を配設することによって、位置決め突片で芯線を保護して、芯線と他部材との接触をより確実に防止することも出来る。
基板用端子に関する本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記被覆電線の芯線が、前記基板用端子の前記電線固着部に溶着されているものである。本態様によれば、特別な部材を用いることもなく、極めて簡易な構成で、電線固着部に芯線を容易且つ安価に固着することが出来る。なお、本態様における溶着としては、超音波溶接等が好適に採用される。
基板用端子に関する本発明の第六の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記電線固着部の幅方向両端縁部には、一対のかしめ固定片が一体形成されており、該かしめ固定片がかしめられることにより前記芯線が前記電線固着部に固着されるようになっているものである。
本態様によれば、特別な部材を用いることなく、芯線を電線固着部に固着することが出来る。そして、めっきの上から芯線を溶着した場合のように、芯線がめっきごと剥れるおそれを回避出来ることから、電線固着部にめっきを残すことが出来る。その結果、基板用端子の耐久性等を確保することが出来る。
基板用コネクタに関する本発明の第一の態様は、一端側にプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる固定部が設けられている一方、他端側に外部コネクタに接続される接続部が設けられている基板用端子の複数を、プリント基板上に配列状態で突設して構成した基板用コネクタであって、前記複数の基板用端子の少なくとも一つを前記基板用端子に関する前記第一〜第六の何れか1つの態様に記載の基板用端子を用いて構成すると共に、該基板用端子の前記電線固着部に対して被覆電線の芯線が固着されて、該被覆電線が前記電線固着部から前記複数の基板用端子の配列方向と直交する方向に延び出されていることを、特徴とするものである。
本態様によれば、配列状態でプリント基板に突設された複数の基板用端子によって、プリント基板を外部のコネクタと接続する基板用コネクタを構成することが出来る。そして、基板用端子に被覆電線を直接に固着することによって、大電流に対応し得る導電路を被覆電線で安価に構成すると共に、該導電路に対して基板用端子を簡易な構成で安価に接続することが出来る。更に、基板用端子の電線固着部に固着された被覆電線が、複数の基板用端子の配列方向と直交する方向に延び出されていることから、複数の基板用端子を、被覆電線に邪魔されることなく挟ピッチでスペース効率良く配設することが出来て、基板用コネクタのコンパクト化を図ることが出来る。
基板用コネクタに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、複数の被覆電線の芯線が固着される分岐固着部と、該分岐固着部から延出してプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる半田付け部とが設けられた分岐部材を備え、前記基板用端子から延び出された前記被覆電線の芯線が、前記分岐部材の前記分岐固着部に固着されているものである。
本態様によれば、基板用端子から延び出された被覆電線の芯線を分岐固着部に固着すると共に、該分岐固着部に他の複数の被覆電線の芯線を固着することによって、基板用端子から延び出された被覆電線を複数の被覆電線に分岐して、導電路を分岐することが出来る。そして、本態様によれば、被覆電線の芯線を分岐固着部に固着するという極めて簡易な構成で、分岐回路を被覆電線を用いて安価に且つスペース効率良く形成することが出来る。
基板用端子に関する本発明によれば、被覆電線の芯線が固着される電線固着部を、中間部分の延出方向に沿って設けた。これにより、被覆電線で導電路を形成して、大電流に対応し得る導電路を優れたスペース効率とコスト効率をもって形成することが出来る。そして、被覆電線の芯線を電線固着部に直接固着することによって、中継端子などを用いることなく、基板用端子を、大電流に対応し得る導電路と安価に接続することが出来る。また、基板用コネクタに関する本発明によれば、基板用コネクタを構成する基板用端子に固着された被覆電線が、複数の基板用端子の配列方向に直交する方向に延び出されていることから、複数の基板用端子を、被覆電線に邪魔されることなく、挟ピッチでスペース効率良く配設することが出来て、大電流回路に接続する基板用コネクタをスペース効率良く形成することが出来る。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1に、基板用コネクタに関する本発明の第一の実施形態としての基板用コネクタ10a,10bが設けられたプリント基板12を示す。これら基板用コネクタ10a,10bは、互いに略同様の構造とされていることから、以下、特に区別する必要の無い場合には、基板用コネクタ10として説明する。
基板用コネクタ10は、台座14に、基板用端子に関する本発明の第一の実施形態としての基板用端子16aと、第二の実施形態としての基板用端子16bと、従来構造に従う基板用端子18a,18bが貫通状態で組み付けられた構造とされている。
図2および図3に、基板用端子16aを示す。基板用端子16aは、例えば金属板がプレス打ち抜き加工等されて形成されており、銅等からなる母材の表面に、錫などのめっきが部分的に施された構造とされている。基板用端子16aはクランク形状に屈曲されており、一方の端部に固定部20が形成されている一方、他方の端部に接続部22が形成されている。そして、固定部20と接続部22の間が、中間部分24とされており、固定部20と接続部22が、中間部分24の両側から互いに反対方向に突出されている。
固定部20は、中間部分24の一方の端縁部から直角に屈曲されて、正方形断面をもって、中間部分24から直交して突出されている。接続部22は、中間部分24において固定部20と反対側の端縁部から直角に屈曲されて、中間部分24と直交して、固定部20と反対方向に突出されている。接続部22は、中間部分24側において中間部分24と同一の幅寸法を有する長手矩形断面をもって延出されている一方、突出先端側において正方形断面をもって延出されている。これにより、接続部22は、中間部分24からの突出先端側に比して突出基端側が幅広とされており、長さ方向の中間部分において、正方形断面とされた突出先端側から幅方向両側に突出する当て止め部26,26が形成されている。
また、中間部分24は、略全長に亘って、所定の幅寸法を有する平板形状とされている。中間部分24には、接続部22から固定部20に向かう中間部分24の延出方向に沿って、電線固着部28が中間部分24の略全長に亘って形成されている。電線固着部28には、芯線収容凹溝30が形成されている。芯線収容凹溝30は、電線固着部28の幅方向中央部分において、電線固着部28の延出方向に沿って延びると共に、接続部22の突出方向(図3中、上方)に向けて凹となる溝形状とされている。本実施形態における芯線収容凹溝30の溝底面は、上方(図3中、情報)に凹となる湾曲面とされている。このような芯線収容凹溝30は、潰し加工等により好適に形成される。
なお、基板用端子16aの表面には、少なくとも電線固着部28を除く表面上に錫めっきが部分的に施されており、本実施形態においては、図3に斜線で示す、中間部分24における固定部20側の端縁部から、固定部20の表面のみに錫めっきが施されている。従って、芯線収容凹溝30が形成された電線固着部28は、母材の銅が露出されている。これにより、後述する被覆電線32の芯線34を電線固着部28に安定的に溶着することが可能とされている。なお、母材の銅は、少なくとも芯線34が固着される電線固着部28の表面上に露出されていれば良いのであって、本実施形態においては接続部22にも母材の銅が露出されているが、接続部22は錫めっきが施されていても良い。
このような構造とされた基板用端子16aは、図4に示すように、電線固着部28に被覆電線32の芯線34が固着可能とされている。被覆電線32は、従来公知の単芯線や撚り線等であり、例えば銅等からなる芯線34が絶縁性皮膜で覆われた構造とされている。そして、被覆電線32の一方の端部において芯線34が露出されて、電線固着部28に重ね合わされた状態で固着される。本実施形態における芯線34は、芯線収容凹溝30に収容されることで電線固着部28に対して位置決めされており、電線固着部28に溶着されている。芯線34の溶着方法としては、抵抗溶接やレーザー溶接等が適宜に採用可能であり、本実施形態においては、超音波溶接が用いられている。即ち、芯線34を電線固着部28に重ね合わせた状態で、図示しない超音波溶着装置のホーンとアンビルで挟んで超音波振動を加えることによって、芯線34と電線固着部28の相互の接触面が溶着される。
なお、被覆電線32は、電線固着部28の延出方向に沿って溶着される。これにより、被覆電線32の芯線34は、電線固着部28から食み出すことなく、電線固着部28の領域内で溶着されている。それと共に、被覆電線32は、中間部分24の延出方向に沿って、中間部分24から基板用端子16aの外側に延出されている。
一方、図5および図6に、基板用端子16bを示す。なお、基板用端子16bにおいて、前記基板用端子16aと略同様の構造とされた部位には、図中に同一の符号を付して、その説明を適宜に省略する。基板用端子16bは金属板がプレス打ち抜き加工等されて形成されており、略全長に亘って、所定の幅寸法を有する長手矩形断面とされている。これにより、基板用端子16bの接続部22および固定部20は、基板用端子16aの接続部22および固定部20よりも幅寸法の大きな、長手矩形断面を有する平板形状とされている。また、接続部22の長さ方向の中間部分には、幅方向両側に突出する突片形状の当て止め部26,26が形成されている。
基板用端子16bについても、基板用端子16aと同様に、中間部分24の両端部から接続部22と固定部20が互いに反対方向に突出されたクランク形状とされている。そして、中間部分24には電線固着部28が形成されている。基板用端子16bにおける電線固着部28の幅方向両端縁部には、電線固着部28の延出方向に沿って延びる一対の位置決め突片36,36が一体形成されている。位置決め突片36,36は、電線固着部28の幅方向の外側に突出形成された矩形の突片が、電線固着部28から接続部22と同方向に立ち上がるように屈曲されて形成されている。なお、位置決め突片36,36の電線固着部28からの突出先端面には、テーパ状の誘い込み面38,38がそれぞれ形成されている。
また、基板用端子16bについても、図6に斜線で示す、固定部20の表面のみに錫めっきが施されており、電線固着部28は、母材の銅が露出されている。これにより、芯線34を電線固着部28に安定的に溶着することが可能とされている。なお、基板用端子16aと同様、本実施形態における基板用端子16bは接続部22にも母材の銅が露出されているが、接続部22は錫めっきが施されていても良い。
このような構造とされた基板用端子16bは、図7に示すように、位置決め突片36,36間に被覆電線32の芯線34が挿入されて、電線固着部28に重ね合わされる。そして、位置決め突片36,36に挟まれた状態で、超音波溶着等によって、芯線34が電線固着部28に溶着されている。なお、被覆電線32は、電線固着部28への固着状態で、芯線34が位置決め突片36,36に挟まれて、電線固着部28から食み出すことなく溶着されている。また、被覆電線32は、中間部分24の延出方向に沿って、中間部分24から基板用端子16bの外側に延出されている。
これら基板用端子16a,16bは、図8に示す基板用端子18a,18bと共に、台座14に固定される。なお、図8は、台座14への基板用端子16a,16bの組み付け前の状態を示している。基板用端子18a,18bは、基板用端子16a,16bと同様に、一方の端部に固定部20が形成されている一方、他方の端部に接続部22が形成されたクランク形状とされている。基板用端子18aは、略全長に亘って、基板用端子16aの接続部22と略等しい大きさの正方形断面をもって形成されている。一方、基板用端子18bは、基板用端子16bの接続部22と略等しい大きさの長手矩形断面をもって形成されている。これら基板用端子18a,18bについても、幅方向両外側に突出する当て止め部40,40が潰し加工等により形成されている。また、基板用端子18a,18bは、従来公知のように、表面の全体にめっきが施されている。
台座14は、非導電性の合成樹脂から形成されている。台座14は、略長手矩形の板形状とされた本体部42の長手方向両端部から一対の脚部44,44が突出して一体形成された構造とされている。本体部42には、複数の端子挿通孔46が貫通して形成されている。本実施形態においては、複数の端子挿通孔46が、本体部42の長手方向で2列に並んで形成されている。また、本体部42の下面の中央には、脚部44,44の間で、本体部42の長手方向に沿って延びる補強リブ48が一体形成されている。
このような構造とされた台座14の各端子挿通孔46に、基板用端子16a,16b,18a,18bがそれぞれ挿通されている。これら基板用端子16a,16b,18a,18bは台座14の下面側から端子挿通孔46に挿通されて、当て止め部26,40が台座14の下面に係止されることによって、挿通量が規定される。そして、基板用端子16a,16b,18a,18bが、端子挿通孔46に圧入状態で挿通されることによって、台座14を貫通した状態で台座14に固定されている。なお、基板用端子16a,16bは、予め電線固着部28に被覆電線32が固着された状態で、台座14に組み付けられる。これにより、基板用コネクタ10a,10bが構成されている。
これら基板用コネクタ10a,10bは、図1に示したように、基板用端子16a,16b,18a,18bの固定部20がプリント基板12に貫設されたスルーホール49にそれぞれ挿通されて半田付けされることにより、プリント基板12上に配設される。なお、図示は省略するが、基板用端子16a,16b,18a,18bは、必要に応じて、プリント基板12に形成されてスルーホール49と接続されたプリント配線と電気的に接続される。また、必要に応じて、基板用コネクタ10aの基板用端子16と、基板用コネクタ10bの基板用端子16を、被覆電線32で直接に接続することも可能である。これにより、複数の基板用端子16a,16b,18a,18bが配列状態でプリント基板12上に突設されて、接続部22が外部のコネクタと接続可能とされる。
このような構造とされた基板用コネクタ10によれば、基板用端子16a,16bの電線固着部28に被覆電線32を直接に固着することが可能とされている。これにより、被覆電線32で大電流に対応し得る導電路をスペース効率良く安価に形成することが出来ると共に、基板用端子16a,16bと被覆電線32を、中継端子等を用いることなく、安価に接続することが出来る。
さらに、基板用端子16a,16bによれば、被覆電線32が中間部分24の延出方向に沿って延び出されていることから、被覆電線32が、複数の基板用端子16a,16b,18a,18bの配列方向に直交する方向に延出される。これにより、各基板用端子16a,16b,18a,18bを、被覆電線32に邪魔されることなく挟ピッチで並設することが出来て、基板用コネクタ10a,10bのコンパクト化を図ることも出来る。更に、被覆電線32の芯線34が、電線固着部28の領域内に位置されることから、芯線34と他部材との干渉を防止して、電気的接続性を安定的に確保することが出来る。
また、基板用端子16aの電線固着部28には、芯線収容凹溝30が形成されている。これにより、被覆電線32の芯線34を芯線収容凹溝30に重ね合わせることで、電線固着部28に対して位置決めすることが出来る。その結果、電線固着部28に対して安定的な溶着を行なうことが出来る。特に、芯線34が撚り線の場合には、芯線34のバラツキを抑えることも出来る。また、芯線収容凹溝30の底面が湾曲面とされていることから、円形断面の芯線34を芯線収容凹溝30に沿わせて、より安定的に位置決めすることが出来る。一方、基板用端子16bの電線固着部28には、一対の位置決め突片36,36が形成されている。これにより、芯線34を位置決め突片36,36で挟んで、電線固着部28に対して位置決めすることが出来る共に、特に芯線34が撚り線の場合には、芯線34のバラツキを抑えることが出来る。
加えて、基板用端子16a,16bが、何れもクランク形状とされている。これにより、基板用端子16a,16bの接続部22に外部のコネクタが接続されて、基板用端子16a,16bに押込力が及ぼされた場合には、中間部分24をプリント基板12に接触させることによって、基板用端子16a,16bを支持して、基板用端子16a,16bの変形や半田クラックの発生を抑えることが出来る。
なお、基板用コネクタ10a,10bにおいて、基板用端子16a,16bから延出された被覆電線32は、図示しないバスバー等に接続することも可能である。また、図9に示すような分岐部材50に固着して、同じく分岐部材50に固着された他の被覆電線32a,32b,32cと共に分岐回路を構成することも出来る。
図10に示すように、分岐部材50は、金属板がプレス打ち抜き加工等されて形成された一体成形品とされている。分岐部品50は、平板形状の分岐固着部52の端縁部から、複数(本実施形態においては、4つ)の半田付け部54が突設された形状とされている。
分岐固着部52には、複数(本実施形態においては、4つ)の芯線収容凹溝56が潰し加工等により形成されている。芯線収容凹溝56は、前記基板用端子16aにおける芯線収容凹溝30と略同様の形状とされており、上面に開口して、分岐固着部52の端縁部から分岐固着部52の内方に向けて所定寸法に亘って延びる溝形状とされている。また、芯線収容凹溝56の溝底面は、好適には、湾曲凹形状とされている。本実施形態においては、このような芯線収容凹溝56が、分岐固着部52において互いに対向する一対の端縁部のそれぞれから2つずつ内方に延出されて、合計4つ形成されている。
そして、複数(本実施形態においては、4つ)の半田付け部54が、分岐固着部52の端縁部から外方に延出すると共に直角に屈曲されて、分岐固着部52と直交して突出形成されている。本実施形態においては、分岐固着部52において互いに対向する一対の端縁部のそれぞれに2つずつ、合計4つの半田付け部54が形成されており、各半田付け部54の分岐固着部52側の端縁部上に、芯線収容凹溝56の一方の端縁部が形成されている。但し、半田付け部54と芯線収容凹溝56は同数とされている必要は無く、例えば分岐固着部52における一対の端縁部のそれぞれに、半田付け部54を1つずつ合計2つ形成する等しても良い。
また、分岐部材50は、図10に斜線で示すように、半田付け部54の表面のみに錫めっきが施されており、分岐固着部52は、母材の銅が露出されている。これにより、被覆電線32の芯線34の溶着が安定的に行なえるようにされている。
そして、図9に示したように、分岐部材50の芯線収容凹溝56の一つに、基板用コネクタ10の基板用端子16から延出された被覆電線32の芯線34が重ね合わされて、超音波溶着等で溶着される。更に、残りの芯線収容凹溝56に、被覆電線32a,32b,32cの芯線34,34,34がそれぞれ同様に重ね合わされて溶着される。そして、分岐部材50の半田付け部54が、プリント基板12に貫設されたスルーホール49に挿通されて半田付けされることにより、分岐部材50がプリント基板12上に固定される。このような分岐部材50を用いれば、基板用コネクタ10の基板用端子16から延出された被覆電線32を、バスバーなどに接続することなく、被覆電線32a〜32cに接続することによって、大電流に対応し得る分岐回路をスペース効率良く且つ安価に形成することが出来る。なお、図示は省略するが、スルーホール49にプリント配線を接続して、被覆電線32を分岐回路50を介してプリント配線と接続することも勿論可能である。
次に、図11に、基板用コネクタに関する本発明の第二の実施形態としての基板用コネクタ60a,60bが設けられたプリント基板61を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材及び部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その説明を適宜に省略する。
基板用コネクタ60a,60bには、前記第一の実施形態における基板用端子16bに代えて、基板用端子に関する本発明の第三の実施形態としての基板用端子16cが台座14に組み付けられている。図12に示すように、基板用端子16cは、金属板がプレス打ち抜き加工等されて形成されている。基板用端子16cは前記第一の実施形態における基板用端子16bと略同様に、全長に亘って略一定の長手矩形断面をもって延出すると共にクランク形状に屈曲されており、中間部分24の両端部から、接続部22と固定部20が互いに反対方向に突出されている。
そして、中間部分24には電線固着部28が形成されており、該電線固着部28の幅方向両端縁部には、一対のかしめ固定片62,62が一体形成されている。かしめ固定片62,62は、電線固着部28の幅方向両端縁部において、接続部22の突出方向と同方向に突出すると共に、電線固着部28の延出方向に沿って延びる突片とされている。また、基板用端子16cは、前記基板用端子16aや基板用端子16bと異なり、プレス打ち抜き加工によるせん断面を除く表面の全体に錫等のめっきが施されており、中間部分24における被覆電線32の重ね合せ面64上にもめっきが施されている。
このような構造とされた基板用端子16cは、図13に示すように、被覆電線32の芯線34が、かしめ固定片62,62の間に挿入されて、電線固着部28の重ね合せ面64に重ね合わされる。その後、かしめ固定片62,62が重ね合せ面64側にかしめられることによって、芯線34が、かしめ固定片62,62と重ね合せ面64の間で圧着されて電線固着部28に固着される。電線固着部28への固着状態で、被覆電線32は、中間部分24の延出方向に延び出されるようになっている。
そして、図11に示したように、予め被覆電線32が固定された基板用端子16cが、基板用端子16a,18a,18bと共に、台座14の端子挿通孔46に挿通されて圧入固定される。これにより、基板用コネクタ60a,60bが構成されている。なお、本実施形態における基板用コネクタ60a,60bに前記分岐部材50(図9,図10参照)を組み合わせて用いて、分岐回路を形成することも勿論可能である。
本実施形態に従う構造とされた基板用端子16cによれば、かしめ固定片62,62によって、被覆電線32を電線固着部28にかしめ固定するようにされている。これにより、特別な設備を要することなく、被覆電線32をより容易且つ強固に固着することが出来る。また、電線固着部28にめっきを残すことが出来ることから、基板用端子16cの耐久性を確保することが出来る。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、基板用端子は、クランク形状でなくとも良い。即ち、図14に示す本発明の異なる態様としての基板用端子66のように、前記第一の実施形態における基板用端子16aの接続部22と中間部分24、および固定部20を、一直線上に延出して形成する等しても良いし、同様に、図15に示す本発明の更に異なる態様としての基板用端子68のように、前記第三の実施形態における基板用端子16cを直線状に形成する等しても良い。このようにすれば、更なる省スペース化を図ることが出来る。
また、基板用端子の電線固着部に、複数の被覆電線の芯線を固着するようにしても良い。このようにすれば、特別な部材を用いることなく、基板用端子から複数の被覆電線に直接に分岐することが出来る。