JP2012247646A - 画像表示装置とそれに用いるスクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】 スクリーンScに対して互いに異なる角度から異なる複数の画像光を投射し、その画像光を互いに異なる拡散角度範囲へ拡散照射してその各拡散角度範囲に存在する人に対してその拡散角度範囲に対応する角度からの画像を表示できるようにする。
【解決手段】一つのスクリーンScに対しオーバーラップなくギャップのない複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射するようにし、スクリーンScがその投射された複数の異なる画像光を異なる方向へオーバーラップなくギャップのない複数の拡散角度範囲内にそれぞれ異なる複数の画像光を拡散させ、スクリーンScに異なる方向へ異なる複数の画像を表示させるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、異なる入射角度領域からの複数のプロジェクタから異なる複数の画像の画像光を受け異なる観察角度領域に異なる上記複数の画像の画像光を投射する画像表示装置と、それに用いるスクリーンに関するものである。
プロジェクションシステムは、一般に、スクリーンを略垂直方向に配置し、そのスクリーンの正面側又は裏面側に、そのスクリーンに対して光軸を例えば斜め下向きに或いは斜め上向きに画像光を照射するようにプロジェクタを配置し、そのプロジェクタからの画像光をそのスクリーンに照射してスクリーンの正面側又は裏面側から画像を視認するようにしたものである。
そして、プロジェクションシステムは、異なる入射角度領域からの複数のプロジェクタから異なる複数の画像の画像光を受け異なる観察角度領域に異なる上記複数の画像を出射するようにしてなる。
そして、プロジェクションシステム技術として、本願出願人が提示し(特願2006−2675)、特開2007−183498号公報(:特許文献1)により公開されたものがある。
本技術を要約すると、その課題は、スクリーンに要求される機能を、微粒子を含有しない1枚のみの光学デバイスにより実現し、高解像度で広視野角かつ高コントラストな像表示が可能な拡散フィルム及びこれを用いた投写システムを提供することにある。
ところで、近年、異なる入射角度領域からの複数のプロジェクタから異なる複数の画像の画像光を受け異なる観察角度領域に異なる上記複数の画像の画像光を投射するスクリーンと、それを用いた画像表示装置が開発され、更に注目されている。というのは、スクリーンに対しての異なる観察角度によって異なる画像を表示することができるからであり、一つのスクリーンの画面が見る角度の違いにより複数の画像を同時に表示することができ、新しいディスプレイの応用利用態様をもたらすことができるからである。
そのようなマルチビューディスプレイについては既に開発がすすめられ、例えば特開2005−078072号公報(:特許文献2)や特開2005−078078号公報(:特許文献2)等により基本的原理や開発の成果が公表されている。
図20(a)はそのようなマルチビューディスプレイの一つの具体的従来例を示すものであり、図20(b)はその観察エリアに関する後述する問題点を説明するためのものである。図20において、このマルチビューディスプレイは、三次元TFT液晶パネル500を用い、パララックスバリア(視差バリア)を利用して三方向に画像を送るものであり、カーナビゲーションに応用されている。
図20において、A、B、Cは互いに異なる画像の観察エリアを示し、この各エリアA、B、C内においてエリアと対応する各別の画像を視認することができる。Hはスクリーン500を視る観察者を示す。
特開2007−183498号公報 特開2005−078092号公報 特開2005−078078号公報
ところが、図20(a)に示すような従来のマルチビューディスプレイによれば、第1に、図20(b)に示すように各観察エリアA、B、Cは略菱形形状を有し、観察領域の奥行方向における狭さが顕著で、ごく特定の限られた奥行に位置する箇所においてのみ画像を綺麗に視認することができないという問題があった。
第2に、従来のマルチビューディスプレイによれば、観察領域の角度の精度は必ずしも高くなく、そのため、三方向や或いは二方向の観察領域を有するものまでには利用することができるが、四方向以上の観察領域を有するものには、解像度の低下や製作精度の限界性から適用が難しいという問題があった。
そこで、本願発明の発明者はこのような問題を解決すべく各種の模索をし、その結果、特許文献1(:特開2007−183498号公報)に記載のスクリーンに着目した。
なぜならば、このスクリーンは、本発明に係るスクリーンの一例の部分を示す図2、図3に示すように、入射した光はすべてそのスクリーンに対する入射角度に対応した一点に一旦集光し、その一点からその入射位置に対応した角度範囲内で拡散して出射する特性を有するからである。しかも、その拡散角度範囲内では出射光度は均一(出射光度の入射角度無依存性)であり、拡散範囲外では出射光度はほぼゼロというトップハット的拡散特性を有するのである。
従って、このようなスクリーンを用いれば、そのスクリーンに対して異なる角度から異なるプロジェクタによって異なる画像の画像光を照射すれば、各画像の画像光はそれぞれ互いに異なる拡散角度範囲で拡散し、その拡散範囲内に位置すれば、奥行方向における制約を受けることなく、画像を視認することができることになるのであり、本願発明者はそれに気付き、着目したのであり、本発明はその着目を契機として為されたものである。この基本的原理の詳細は本願明細書を読み進めることで自ずと理解される筈である。
しかして、本発明の一つの目的は、一つのスクリーンに対して互いに異なる角度から異なる複数の画像光を投射し、その画像光を互いに異なる拡散角度範囲へ拡散照射してその各拡散角度範囲に存在する人に対してその拡散角度範囲に対応する角度からの画像を表示することができるようにすることにあり、他の目的は、より多くの画像を、例えば4以上の画像を表示できるようにすることにある。
請求項1の画像表示装置は、一つのスクリーンを少なくとも備え、そのスクリーンに対して略互いにオーバーラップがなく且つ略ギャップのない複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射するようにし、上記スクリーンがその投射された複数の異なる画像光をそれぞれ複数の異なる方向へ略互いにオーバーラップがなく且つ略ギャップのない複数の拡散角度範囲内にそれぞれ異なる複数の画像光を拡散させ、上記スクリーンに異なる方向へ異なる複数の画像を表示させることができるようにしたことを特徴とする。
請求項2のスクリーンは、請求項1の画像表示装置に用いられるスクリーンにおいて、2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組を少なくとも1組以上、又は、フィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムを少なくとも1枚以上含み、それぞれの2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組、又は、それぞれのフィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムの、光入射側のレンズアレイ主平面が、光出射側レンズアレイの略前焦点面に設置されていることを特徴とする。
請求項3のスクリーンは、請求項1の画像表示装置に用いられるスクリーンにおいて、前記レンズアレイデバイスがレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズであるか、又はフィルム両側の表面形状がレンズアレイ形状になったフィルムであって、そのレンズアレイ形状がレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズ形状であることを特徴とする。
本発明によれば、一つのスクリーンに対してオーバーラップ及びギャップのない複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射するようにし、上記スクリーンがその投射された複数の異なる画像光をそれぞれ複数の異なる方向へオーバーラップ及びギャップのない複数の拡散角度範囲内に拡散させるので、各拡散角度範囲内にてその拡散角度範囲に対応する入射角度範囲からの画像を視認できるようにすることができる。
そして、スクリーンとして、例えば、2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組を少なくとも1組以上、又は、フィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムを少なくとも1枚以上含むスクリーンであって、それぞれの2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組、又は、それぞれのフィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムの、光入射側のレンズアレイ主平面が、光出射側レンズアレイの略前焦点面に設置されたものを用いることにより、光学特性をレンズアレイデバイスやフィルム両面の表面形状により高精度に制御することができ、延いては一つの画像表示装置で表示できる画像数を4個或いはそれ以上に増やすことができる。
また、スクリーンをとして、レンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズかフィルム両側の表面形状がレンズアレイ形状になったフィルムを用い、そのレンズアレイ形状がレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズ形状にすることによっても、光学特性をレンズアレイデバイスやフィルム両面の表面形状により高精度に制御することができ、延いては一つの画像表示装置で表示できる画像数を4個或いはそれ以上に増やすことができる。
本発明の画像表示装置の第1の実施例の基本的原理を説明するための構成図である。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンの第1の例を示すもので、(a)は光学系を示し、(b)は光学特性を示す。 (a)〜(c)は図2を補足する説明図、(d)は拡散フィルムの概念図である。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンの第2の例を示すもので、(a)は光学系を示し、(b)は光学特性を示す。 (a)〜(c)は図4を補足する説明図、(d)は拡散フィルムの概念図である。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンの第3の例を示すもので、(a)は光学系を示し、(b)は光学特性を示す。 (a)〜(c)は図6を補足する説明図、(d)は拡散フィルムの概念図である。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンに用いる第4の例を示すもので、(a)は光学系を示し、(b)は光学特性を示す。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンの第5の例を示すもので、(a)、(b)は基本光学系、(c)はその機能を示している。 本発明の画像表示装置に用いるスクリーンの第6の例の光学系を示す図である。 本発明の画像表示装置のスクリーンの一つの例とその画像表示装置としての光学特性を示すもので、(a)、(c)はスクリーンを示し、(b)は入射角度(横軸)に対する入射光の光度(縦軸)を示し、(d)は出射角度(横軸)に対する出射光(縦軸)の光度を示す。 本発明の画像表示装置の一例におけるフリーアライメントエリアと観察エリアを説明をするためののもので(a)は画像表示装置の全体を示す光学系を示し、(b)はそれに用いるスクリーンを示し、(c)は入射角度(横軸)に対する入射光の光度(縦軸)を示し、(d)は出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す。 (A)〜(C)は図12に示す画像表示装置における各画像を照射する各プロジェクタの配置が許容される領域(アライメントフリーエリア)を説明するエリア説明図である。 (a)は図12に示す画像表示装置における各画像を観察する観察者の観察可能な観察エリアを説明するエリア説明図であり、(b)は出射角度(横軸)に対する出射光(縦軸)の光度を示す。 (a)は本発明の画像表示に用いるスクリーンの一例を示し、(b)はそのスクリーンを用いた画像表示装置の出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す図である。 本発明の画像表示装置の垂直方向と水平方向の出射角度に対する出射光の光度(縦軸)を示す図である。 本発明の画像表示装置の出射光の水平(横軸)及び垂直(縦軸)における光度分布図である。 本発明の画像表示装置の出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を別の例を示す図である。 (a)〜(e)は図18の各観察エリアA〜Eの出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す図である。 (a)は従来例の構成図、(b)はその従来例の場合の観察可能エリアを説明するエリア説明図である。
本発明は、基本的に、一つのスクリーンに対してオーバーラップ及びギャップのない複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射するようにし、上記スクリーンがその投射された複数の異なる画像光をそれぞれ複数の異なる方向へオーバーラップ及びギャップのない複数の拡散角度範囲内に拡散させるようにしたものであるが、スクリーンとしては、2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組を少なくとも1組以上、又は、フィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムを少なくとも1枚以上含むスクリーンであって、それぞれの2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組、又は、それぞれのフィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムの、光入射側のレンズアレイ主平面が、光出射側レンズアレイの略前焦点面に設置されている構成にする態様がある。
また、本発明の別の態様として、スクリーンを、レンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズかフィルム両側の表面形状がレンズアレイ形状になった
フィルムを用い、そのレンズアレイ形状がレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズ形状にしたものを用いる構成にする態様もある。
(基本的構成図)
図1は本発明の基本的原理を説明するための構成図である。
同図において、Scはスクリーンで、本例では、透過型であり、複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射されると、それらの異なる複数の画像光をそれぞれ複数の異なる方向へオーバーラップ及びギャップのない複数の拡散角度範囲内に拡散させる光学特性を有する。そのスクリーンScには後述する各種の実施態様があり得る。
PrA、PrB、PrC、PrD、PrEは、スクリーンScの背後に設けられたプロジェクタで、異なる複数(本例では5であるが、それ以外の数であってもよい。)の入射角度範囲(互いにオーバーラップしない入射角度範囲)内に位置され、プロジェクタScの背面に互いに異なる画像を投射する向きに向きが設定されている。
本画像表示装置は、この複数(本例では5)のプロジェクタPrA、PrB、PrC、PrD、PrEと、一つのスクリーンScからなる。
ArA、ArB、ArC、ArD、ArEは、スクリーンScの正面側に生じる各拡散角度範囲であり、スクリーンSc正面を視たとき、拡散角度範囲ArAではプロジェクタPrAから投射された画像ImAが、拡散角度範囲ArBではプロジェクタPrBから投射された画像ImBが、拡散角度範囲ArCではプロジェクタPrCから投射された画像ImCが、拡散角度範囲ArDではプロジェクタPrDから投射された画像ImDが、拡散角度範囲ArEではプロジェクタPrEから投射された画像ImEが視認できる。
本画像表示装置によれば、スクリーンScの正面側の各拡散角度範囲ArA、ArB、ArC、ArD、ArEにおいては、スクリーンScからの距離的制約を受けることなく画像ImA、ImB、ImC、ImD、ImEを視認できる。
次に、スクリーンScとして用いることのできる各例を具体的に説明する。
(スクリーンの第1の例)
図2はスクリーンの第1の例の一部を示すもので、(a)は断面図であり、(b)は光学特性図である。
図2(a)に示すように、本スクリーンは、2枚のレンズ1、2からなり、そのレンズ1、2の焦点距離をf1、f2とする。本例では、その焦点距離f1とf2 とは等しい、即ち、f1=f2 である。更に、両レンズ1、2の光軸(レンズ光軸)が一致し、レンズ間距離が焦点距離=f1 (=f2 )と等しい。
光線102、105は、レンズ光軸と平行に入射する、垂直入射光であり、レンズ1によって光軸上の焦点位置に集光する。本例ではレンズ2の光軸はレンズ1の光軸に一致しており、レンズ1とレンズ2との主平面肝距離はf1=f2 であるので、光線102、105はレンズ2の中心(節)に集光することとなり、光線の方向は変化することなくレンズ2を通過する。このとき光線102、105は光軸に対して下記の数式数1で表される各±θlの範囲で拡散して出射する。
Figure 2012247646
次に、レンズ光軸上方θ1の角度で入射してくる光線101、104を考える。この光はレンズ1によってレンズ1の焦点面に集光するが、この焦点面に設置されたレンズ2の作用によって、光軸と±θ1の角をなして出射することになる。この拡散特性は、光線102、105と同じである。理由は後述する。次に、レンズ光軸下方θ1の角度で入射してくる光線106、103を考える。この光も光線102、105と同様に、レンズ1によってレンズ1の焦点面に集光し、レンズ2によって、光軸と±θ1の角をなして出射することになる。次に、この光学的メカニズムを説明する。
今、図2(a)のレンズ1の上端点に着目する。この点から光線101、102、103がレンズ2に向かって出射している。レンズ主平面間距離がf2(=f1)であるため、レンズ2からこれら光線101、102、103を見ると、レンズ2の前焦点面上の1点から出た光がレンズ2へ入射することになるため、レンズ2の出射側では光線101、102、103は互いに平行となる。同様に、レンズ1の下端点に着目すると、光線104、105、106は、レンズ2の前焦点面上の1点からレンズ2へ入射しているため、レンズ2の出射側では互いに平行となる。
今、光線105、102が光軸に対し±θ1で出射し、かつ光線101、102、103は出射側で互いに平行、及び光線104、105、106は出射側で互いに平行であるならば、光線101、104は光軸に対し±θ1で出射し、光線103、106も光軸に対し±θ1で出射することになる。
上述の議論は、レンズ1への入射光の角度が0°と±θ1のみの場合であるが、レンズ1への入射角θinが、−θ1≦θin≦+θ1の間で連続的に変化しても、レンズ2の主平面上の集光点の位置が、−d/2から+d/2へ変化するだけであり、出射光の角度は、いずれの場合も、光軸に対し±θ1と一定の角度となる。
次に、入射光の入射位置について議論する。今、入射角が光軸上方θ1の光線101、104に着目し、光線101、104に平行で、入射位置が光線101、104の間にある光線を考える。これらの光線は、入射位置に応じて、出射角は−θ1〜+θ1の間で、光の方向が変化し、拡散することは、図より明らかである。よって、光線101、104をビームの上端、下端とする、入射角が光軸上方の平行ビームは、出射側のレンズ2の下端より、−θ1〜+θ1で拡散して出射することになる。同様に、光線102、105を上端、下端とする垂直入射の平行ビームを考えると、出射側ではレンズ2の中心位置から、−θ1〜+θ1で拡散する光となり、光線103、106を上端、下端とする、入射角が光軸下方θ1の平行ビームは、出射側のレンズ2の上端より、−θ1〜+θ1で拡散して出射することになる。
入射角が−θ1〜+θ1と連続的に変化する、レンズの上端、下端をビームの上端、下端とする平行ビーム全てに上述の議論が成立するのは明らかである。以上の特性をグラフで表したものが図2(b)である。図2(b)の上部分に示すように、入射角−θ1〜+θ1で入射する平行ビームは、グラフ上でδ関数となり、入射角に応じて、入射角度領域−θ1≦θin≦+θ1の間をδ関数は移動することとなる。出射角に対する特性が下部のグラフであり、上部分のグラフのδ関数が移動しても、出射光は一定のトップハット的拡散特性を示し、出射拡散角度領域の左端、右端の角度−θ1、+θ1は変化しないことを表示している。
以上の議論より、図2(a)の光学系(図3(a)〜(c)にビーム入射角度ごとに示した)のサイズを必要とする解像度よりも細かくしたマイクロ光学系アレイを、フィルムの表裏両面側の表面形状とすると、図3(d)に示すような拡散フィルム3が得られる。この拡散フィルム3は、表裏面間がフィルム媒体で埋まっており、表裏面形状は、表と裏にレンズ1、2に対応する平凸レンズが凸面側を空気界面側として光軸を一致させて複数配置された形状にしてあり、フィルムの厚さは、媒体中のレンズの焦点距離で決まる。レンズの大きさは必要とする解像度以下である。これによれば、図2(b)と同等なトップハット的拡散特性が得られる。トップハット的拡散特性が2次元的の場合、フィルム両面形状はマイクロレンズアレイ形状( フライアレイレンズ形状)であり、1次元的の場合がレンティキュラレンズアレイ形状である。
なお、トップハット的拡散特性は、理想的には「一定」であるが、近似誤差や製造誤差等により一定からずれることがある。もっとも、そのずれが許容範囲内であれば格別の問題はないから、かかる場合を含める意味で、拡散フィルムのトップハット的拡散特性は「ほぼ一定」であるとした。前記一定からのずれの許容範囲としては、出射拡散角度領域内の光強度分布の半値領域の大きさを、出射拡散角度領域全体の大きさの50%以上(当然100%以下)とし、かつ、前記半値領域内において、光強度のばらつき範囲を、光強度の平均値±50%以内とするのがよい。
また、レンズアレイの光学的特性に関しては、入射角度が異なる3方向の光に着目して説明したが、その3方向以外の方向に入射する光についても同じように作用する。従って、例えば5方向の角度から入射するプロジェクタの画像光に対してもレンズ内の各別の場所に集光し、集光点から一定角度範囲内で拡散出射する。従って、例えば5方向或いはそれ以上の方向から入射する画像を5個或いはそれ以上の拡散角度範囲内に表示することができる。このことは、スクリーンScの第2以降の例についても同様である。
このようなレンズアレイ、例えばマイクロレンズアレイ形状( フライアレイレンズ形状)或いはレンティキュラレンズアレイ形状のレンズアレイは、図1に示す画像表示装置のスクリーンScとして好適である。
というのは、このレンズアレイは、図2、図3に示すように、入射した光はすべてそのスクリーンに対する入射角度に対応した一点に一旦集光し、その一点からその入射位置に対応した角度範囲内で拡散して出射する特性を有するからである。しかも、その拡散角度範囲内では出射光度は均一(出射光度の入射角度無依存性)であり、拡散範囲外では出射光度はほぼゼロというトップハット的拡散特性を有するからである。
従って、このようなレンズアレイを用いれば、そのレンズアレイの裏面に対して異なる角度の各入射角度範囲内にプロジェクタPrA、PrB、・・・PrEをそのレンズアレイに向けて配置し、それらプロジェクタPrA、PrB、・・・PrEから異なる画像の画像光を照射することにより、各画像の画像光がそれぞれ互いに異なる拡散角度範囲ArA、ArB、・・・ArEに送られ、その範囲ArA、ArB、・・・ArE内にてそのレンズアレイを向けばその範囲ArA、ArB、・・・ArEと対応するプロジェクタPrA、PrB、・・・PrEからの画像ImA、ImB、・・・ImEを視認できるようにすることができる。
特に、その角度範囲にある場所であれば、スクリーンScからの距離に関係なく画像を視認でき(但し、遠くて画像光の光度の低下による視認できない場合を除く)、図20に示す従来例におけるような距離によって視認範囲が制約されるおそれがない。
そして、その光学的特性、即ち各入射角度範囲、各拡散角度範囲(出射角度範囲)は、レンズアレイの形状(寸法及び曲率半径)により高精度に制御することができる。
依って、表示できる画像の数を3個より多い例えば4個、5個或いはそれ以上に増やすことができる。
(スクリーンの第2の例)
次に、入射角度領域と出射角度領域の大きさを互いに独立に制御するようにするために、入射側のレンズと出射側のレンズのNAを独立に変化させるようにすることについて説明する。
この機能を実現するレンズ2枚構成の光学系を図4(a)に、その機能を図4(b)に示す。基本的に、図1に示した光学系のメカニズムと同じ原理で動作するが、入射側のレンズのNA(Fナンバー)と出射側のレンズのNA(Fナンバー)を変化させることによって、入射角度領域の大きさと出射拡散角度領域の大きさを制御している点で、図2の光学系と異なっている。
図4は、入射角度領域より出射拡散角度領域を大きくする場合を示している。この場合、入射側のレンズ1のNAを小さくし、出射側のレンズ2のNAを大きく設計すればよい。レンズ径dが同じなので、f1>f2である。ここでf1、f2はそれぞれレンズ1、2の焦点距離である。レンズ1、2の光軸は一致させてあり、レンズ1、2の主平面間距離はf2である。入射角θinの範囲は、(1)式で示されるθ1より、−θ1≦θin≦+θ1、であるが、出射拡散角θoutの範囲は、次式で示されるθ2により、−θ2≦θout≦+θ2、となる。
Figure 2012247646
光学的メカニズムは、図2の光学系とほぼ同等である。今、光線109、110に着目しよう。光線109、110は入射角±θ1でレンズ1の端に入射し、レンズ1の前焦点面と光軸との交点を通過する光であるから、レンズ1を通過後は光軸と平行になり、レンズ2を通過後は、レンズ2の光軸上の後焦点に集光する。よって、光線109、110の出射角は±θ2となる。次に、レンズ1の上端点に着目すると、光線107、108、109はこの1点からレンズ2へ入射している。レンズ1はレンズ2の前焦点面に設置してあるから、光線107、108、109はレンズ2を通過後は互いに平行となる。光線110、111、112についても同じ理由で、レンズ2を通過後は互いに平行となる。よって、光線112、109で決まる拡散角は±θ2であり、光線111、108で決まる拡散角も±θ2となる。同様に、光線110、107で決まる拡散角も±θ2となる。
この光学系の特性をグラフで示すと、図4(b)のようになる。−θ1〜+θ1の角度範囲で入射してきた光は、入射角によらず一定のトップハット的拡散特性を示し、トップハット的拡散特性の左右端である±θ2は変化しない。θ1とθ2とには、(1)、(2)式より、次式の関係が成立する。
Figure 2012247646
(数3a)式は、レンズ1のf1とレンズ2のf2を設定することにより、入射角度領域の大きさと出射拡散角度領域の大きさを互いに独立に制御できることを意味している。
そこで、図4(a)の光学系(図5(a)〜(c)にビーム入射角度ごとに示した)のサイズを必要とする解像度よりも細かくしたマイクロ光学系アレイを、フィルムの表裏両面側の表面形状とすると、図5(d)に示すような拡散フィルム3が得られる。これは、入射角度領域と出射角度領域との大きさの互いに独立した制御を、入射側のレンズと出射側のレンズのNAを独立して制御することにより行うようにする原理を説明するものであり、表裏面間がフィルム媒体で埋まっており、表裏面形状は、表、裏にそれぞれレンズ1、2に対応する平凸レンズが凸面側を空気界面側として光軸を一致させて複数配置された形状にしてあり、フィルムの厚さは、媒体中のレンズ2の焦点距離f2で決まる。レンズの大きさは必要とする解像度以下である。これによれば、図2(b)と同等なトップハット的拡散特性が得られる。トップハット的拡散特性が2次元的の場合、フィルム両面形状はマイクロレンズアレイ形状であり、1次元的の場合がレンティキュラレンズアレイ形状である。
本例のレンズアレイも、図2、図3に示したレンズアレイと同様に、図1に示した画像表示装置のスクリーンScとして活用することができることができる。
(スクリーンの第3の例)
次に、入射角度領域の中心方向の角度と出射角度領域の中心方向の角度とを、入射側のレンズと出射側のレンズとの双方で、光軸のずれ量及び部分形状の選択範囲を調整することにより、互いに独立して制御可能にする原理について説明する。
最初に、入射側と出射側のレンズの部分形状の選択範囲の調整により、入射角度領域の中心方向の角度と出射拡散角度領域の中心方向の角度とが互いに独立に制御可能という要件の原理について説明する。
この制御機能を実現する光学系を図6(a)に、その機能をグラフで図6(b)に示す。この光学系は2枚レンズ構成であり、入力側(入射側)、出力側(出射側)のレンズ1、2は光軸が一致しているが、出力側のレンズ2は、光軸からの距離がd1〜d2である領域にレンズ主平面の実効部分が存在する。つまり、レンズ2は、レンズ全体の一部分だけを選択して使用している。もちろんレンズ1の一部分だけを選択したり、レンズ1、2の両方をそれぞれ一部分だけ選択しても機能させることは可能である。
図6に示すのは、レンズ2の一部分を選択した例である。2枚のレンズの主平面間距離はf2(f2=f1とした)である。この光学系のメカニズムは基本的に図2(a)に示した光学系と同じである。レンズ2の光軸付近を使用していないだけなので、図2(a)の光学系に入射するビームの入射角を、図6(a)のレンズ2の存在する範囲まで変化させれば、容易に機能は理解できる。図2の光学系の機能より、入射角を変化させても、トップハット的拡散特性は変化しないから、図6のトップハット的拡散特性も変化しない。よって、出射側のトップハット的拡散特性は、図2(b)のそれと同じ−θ1〜+θ1の範囲内で固定した特性となる。図3(a)の光学系を、図2(a)から図6(a)への変形と同様に変形した場合は、図3(b)のそれと同じ−θ2〜+θ2の範囲内で固定した特性となる。
入射角度領域は、レンズ1を通過した平行光が、レンズ2を通過できる入射角で決まるので、光線113、116を上端、下端とする平行ビームの中心になる光線119と、光線115、118を上端、下端とする平行ビームの中心になる光線120の入射角で決まる。光線119、120はレンズ1の中心(節)を通過するため、レンズ1では方向は変化しない。よって、図より光線119、120の入射角は、次式数4で示すθ3、θ4となる。
Figure 2012247646
よって、この光学系にθ3〜θ4の範囲内の平行ビームを入射しても、図6(b)の上部分に示すように、常に一定のトップハット的拡散特性が発現する。θ3とθ4は、d1とd2によって制御できるため、θ1を固定したまま、つまり、出射拡散角度領域を固定したまま、独立に入射角度領域を制御できることを意味している。
そこで、図6(a)の光学系(図7(a)〜(c)にビーム入射角度ごとに示した)のサイズを必要とする解像度よりも細かくしたマイクロ光学系アレイを、フィルムの表裏両面側の表面形状とすると、図7(d)に示すような拡散フィルム3が得られる。これは、表裏面間がフィルム媒体で埋まっており、表裏面形状は、表、裏にそれぞれレンズ1、2に対応する平凸レンズ(の一部分)が凸面側を空気界面側として光軸を一致させて複数配置された形状にしてあり、フィルムの厚さは、媒体中のレンズ2の焦点距離f2である。レンズの大きさは必要とする解像度以下である。これによれば、図6(b)と同等なトップハット的拡散特性が得られる。トップハット的拡散特性が2次元的の場合、フィルム両面形状はマイクロレンズアレイ形状であり、1次元的の場合がレンティキュラレンズアレイ形状である。
(スクリーンの第4の例)
最初に、入射側と出射側のレンズの光軸のずれ量の調整により、入射角度領域の中心方向の角度と出射拡散角度領域の中心方向の角度とが互いに独立に制御可能という要件の原理について図8を参照して説明する。
この光学系は2枚レンズ構成であり、入力側(入射側)、出力側(出射側)のレンズ1、2の光軸は互いに距離aだけずれている。レンズ1、2の主平面間距離は、レンズ2の焦点距離f2(f2=f1とした)である。この光学系のメカニズムも、基本的に図2(a)の光学系のそれと同じである。
図8を参照して、最初に、レンズ1、2の各中心(節)を通過する光線と平行に入射する光線123、126を考える。この光線はレンズ2の中心(節)へ集光するから、レンズ2では光の方向は変化しない。よって図より、光線123、126の各出射角θ5、θ6は、次式数5で与えられる。
Figure 2012247646
次に、レンズ1への入射角が変化した場合を考える。レンズ1の上端点に着目する。この点から光線121、122、123がレンズ2へ入射しているが、レンズ1はレンズ2の前焦点面に設置されているので、光線121、122、123はレンズ2を通過後互いに平行となり、それらの出射角は全てθ5となる。同様に、レンズ1の下端点に着目すると、光線124、125、126は、レンズ2通過後は互いに平行になるから、それらの出射角は全てθ6となる。
よって、図8(b)に示すように、入射角−θ1〜+θ1の範囲(入射角度領域)内に入力した平行ビームは、入射角によらずに、θ5〜θ6の範囲(出射拡散角度領域)内で一定のトップハット的拡散特性を発現する。(数5)、(数6)式は、光軸のずれ量aを調整することにより、θ1とは独立に、θ5とθ6を制御できることを示している。
図8(a)の光学系を1枚のフィルムにするには、上下方向に複数並べたレンズ1、2の間をフィルム媒体(レンズと同一材質)で詰め、フィルムの両面の表面形状を、一方の面がレンズ1、他方の面がレンズ2の、平凸レンズ部の凸側の配列からなる、レンズアレイ形状とすればよい(図3(d)、図5(d)、図7(d)と類似した形態となるが、図示は省略する)。フィルムの厚さは、媒体中でのレンズ2の焦点距離f2である。レンズ1とレンズ2の光軸はaだけずれている。レンズの大きさは必要とする解像度以下である。これによれば、図8(b)と同等なトップハット的拡散特性が得られる。トップハット的拡散特性が2次元的の場合、フィルム両面形状はマイクロレンズアレイ形状であり、1次元的の場合がレンティキュラレンズアレイ形状である。
なお、入射側と出射側の双方の表面形状をマイクロレンズアレイ形状又はレンチキュラレンズ形状とする、入射角度領域の大きさと出射角度領域の大きさを、入射側のレンズのNAと出射側のレンズのNAを調整することにより、互いに独立して制御可能にする、或いは、入射角度領域の中心方向の角度と出射拡散角度領域の中心方向の角度とが互いに独立に制御可能にする技術のいずれかにおいて、入射側のレンズを全反射型のもの(すなわち所定の入射角度領域からレンズ内に入射した光がレンズ内面で全反射する表面形状のもの)とすることや、拡散フィルムの入射側のマイクロレンズアレイ形状又はレンティキュラレンズ形状をなすレンズ表面の一部を反射媒体で被覆することで、入射側表面形状を反射型の光学素子アレイ形状に転化させると、より大きな入射角に対しても、上述のトップハット的拡散特性を発現しうるので、プロジェクションシステムのさらなる薄型化に寄与できると期待される。
ここで、反射媒体で被覆するには、アルミコートや銀コートなどが好ましく用いうる。
次に、拡散を実現させる表面形状が、フィルムの片面にのみ形成するようにする、更には、その表面形状がレンズとミラーを組み合わせた光学素子アレイ形状であり、入射側と出射側の双方の表面形状をマイクロレンズアレイ形状又はレンチキュラレンズ形状とする、入射角度領域の大きさと出射角度領域の大きさを、入射側のレンズのNAと出射側のレンズのNAを調整することにより、互いに独立して制御可能にする、或いは、入射角度領域の中心方向の角度と出射拡散角度領域の中心方向の角度とが互いに独立に制御可能にする技術のいずれかを駆使するものである。
本レンズアレイも図1に示した画像表示装置のスクリーンScに好適であることは言うまでもない。
今まで説明してきた拡散フィルムは、フィルム両面にレンズ形状を有し、この両面の一方の面形状と他方の面形状との相互位置合わせに精度が要求されるものである。
それに対して、拡散を実現させる表面形状が、フィルム片面側のみに形成するようにした技術では、前記位置合わせは全く必要なく、製造容易性に優れる。
また、フィルム片面側のみに形成された、拡散を実現させる表面形状が、レンズとミラーを組合せた光学素子アレイ形状であるものは、入射角度領域と出射拡散角度領域とで互いに独立に、これらの角度領域の大きさや方向を制御できるから、製造容易性に優れる利点に加え、より大きな入射角の斜め入射光を所望の方向かつ大きさの範囲に拡散出射させることができる利点を有し、従って、超薄型リアプロジェクションディスプレイのスクリーン等に、極めて有利に応用することができる。
(スクリーンの第5の例)
図9は、入射角度領域とこれに対応する出射角度領域との組を複数有し、各組の入射角度領域どうし及び出射角度領域どうしが互いに重複しないようにした拡散フィルムで発現するn次固定トップハット的拡散特性の原理説明図であり、(a)、(b)は基本光学系、(c)はその機能を示している。図9(a)は、図2と同様の、0次固定トップハット的拡散を表し、図9(b)は、図1では登場しなかった、n次固定トップハット的拡散の、n=1の場合を表す。0次固定トップハット的拡散が、入射側のレンズ1と出射側のレンズ2とで互いに光軸を同じくした2枚のレンズ1、2を通過する光によって発現するのに対し、1次固定トップハット的拡散は、入射側、出射側のレンズ1、2にそれぞれ隣接し、かつレンズ1、2とそれぞれ主平面を共有し、かつ互いに光軸を共有する、レンズ1’、2’が、レンズ1、2に加わった光学系において、2枚のレンズ1、2’を通過する光によって発現するものである。
これら2枚のレンズ1、2’によって発現する1次固定トップハット的拡散のメカニズムも、図2に示した光学系のそれとほぼ同じである。レンズ1、2’相互の主平面間距離は、レンズ2’の焦点距離f2である。図9では、このf2は、レンズ1の焦点距離f1と一致させた。今、レンズ1、2’の各中心(節)である2点を結ぶ直線に平行に入射する光線15−3、15−6を考える。これらの光線は、レンズ1を通過後レンズ2’の中心(節)へ集光するので、レンズ2’では光の方向は変化せず、出射する。光線15−3の出射角は、図より、
Figure 2012247646
であり、光線15−6の出射角は、図より、下記の数式数7のとおりになる。
Figure 2012247646
次に、レンズ1の上端からレンズ2’へ向かう光線15−2、15−3、15−4に着目する。これらの光線は、レンズ2’の前焦点面内の同じ点から出ているので、レンズ2’を通過後互いに平行となる。同様に、レンズ1の下端からレンズ2’へ向かう光線15−5、15−6、15−7も、レンズ2’の前焦点面内の同じ点から出ているので、レンズ2’を通過後互いに平行となる。よって、光線15−2、15−4の出射角は光線15−3の出射角(=−θ1-1)に等しく、光線15−5、15−7の出射角は光線15−6の出射角(=−θ1-0)に等しい。レンズ1の中心(節)とレンズ2’の下端を結ぶ直線に平行に入射する光線15−2、15−5の入射角は、図より、−θ1-1であり、レンズ1の中心(節)とレンズ2’の上端を結ぶ直線に平行に入射する光線15−4、15−7の入射角は、図より、−θ1-0である。従って、入射側のレンズ1と出射側のレンズ2’とをペアにした光学系に、−θ1-1〜−θ1-0の入射角度領域内から入射する平行光は、入射角によらずに、−θ1-1〜−θ1-0の出射拡散角度領域内で固定したトップハット的拡散特性を発現する。以上が、図9(b)の1次固定トップハット的拡散特性の発現メカニズムである。
上記の固定トップハット的拡散の次数は1次に限らず、一般に、±n次固定トップハット的拡散が存在する。n次固定トップハット的拡散角度θin−nの範囲、すなわち入射角度領域は下記の数式数8で表される。
Figure 2012247646
又、n次固定トップハット的拡散特性の出射角度θout-nの範囲すなわち出射拡散角度領域は、下記の数式数9で表される。
Figure 2012247646
(19)、(20)式より、n−1次固定トップハット的拡散における入射角度領域、出射拡散角度領域の上限値は、n次固定トップハット的拡散における対応(同名の)領域の下限値と完全に一致しており、入射角度領域、出射拡散角度領域のそれぞれが、n−1次とn次とで互いに重複することなく、かつ、とぎれることもないことがわかる。
(スクリーンの第6の例)
図10は大きな角度の斜め入射が可能なフロントプロジェクションシステム用スクリーン(20)を示すものである。スクリーン(20)の機能は、図2のそれと等価であり、大きな角度の斜め入射光に対し、表面の、図2のレンズ1と同じ機能を有する全反射タイプの反射鏡18で集光し、裏面のミラー30で反射させ、表面の、図2のレンズ2と同じ機能を有するレンズ19の主平面に焦点を結ばせて、固定トップハット的拡散特性を発現させるものである。前記全反射タイプの反射鏡18の光軸と、前記レンズ19の光軸を一致させておくと、入射角によらず、常にスクリーン法線方向を主光線方向とする固定トップハット的拡散特性が発現する。このスクリーンに、前述の各種技術を適宜適用すれば、NAや中心方向の角度に対する、入力側と出力側とでの独立制御を実現することができる。フィルム裏面に付加したブラックマスク23は、外光抑制に大きな効果を奏する。
図11は、本発明の画像表示装置のスクリーンの一つの例とその画像表示装置としての光学特性を示すもので、(a)、(c)はスクリーンを示し、この(a)、(c)における太い実線で示す光線は同じ光線である。(b)は入射角度(横軸)に対する入射光の光度(縦軸)を示し、(d)は出射角度(横軸)に対する出射光(縦軸)の光度を示す。(b)、(d)の特性は、画像表示装置としての光学特性を示す。
(b)、(d)に示すように、ヘッドハット特性を有するスクリーンの入射側のAの領域にあるプロジェクタ(図示しない)からの入射光は、出射側のAのエリアから均一な分布で出射され、Bの領域にあるプロジェクタからの入射光は、出射側のBの領域(エリア)から均一な分布で出射される。
入射側のC、D,Eの領域にあるプロジェクタからの入射光についても、入射側のA、B内のプロジェクタからの入射光と同様に、出射側のC、D,Eの領域から均一な分布で出射される。
図12は、本発明の画像表示装置の一例におけるフリーアライメントエリアと観察エリアを説明をするためののもので(a)は画像表示装置の全体を示す光学系を示し、(b)はそれに用いるスクリーンを示し、(c)は入射角度(横軸)に対する入射光の光度(縦軸)を示し、(d)は出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す。
図13(a)〜(c)は、図12に示す画像表示装置における各画像を照射する各プロジェクタの配置が許容される領域(アライメントフリーエリア)を説明するエリア説明図であり、図14(a)は図12に示す画像表示装置における各画像を観察する観察者の観察可能な観察エリアを説明するエリア説明図、(b)は出射角度(横軸)に対する出射光(縦軸)の光度を示す光学特性図である。
図13(a)〜(c)から明らかなように、プロジェクタPrA〜PrEは、各々、自己と対応する角度領域(エリア)A〜E内のどの角度にあっても、クロストークを生じることなくマルチ表示ができるのである。
図14から明らかなように、スクリーンScを視認する観察者H、H、・・・は、観察者角度領域(エリア)ArA〜ArEのいずれかの範囲にあると、その奥行の如何を問わず、その事故が存する角度領域(エリア)と対応する入射側の領域のプロジェクタPrからの画像光を視認することができるのである。
図15(a)は本発明の画像表示に用いるスクリーンの一例を示し、(b)はそのスクリーンを用いた画像表示装置の出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す図である。各プロジェクタからの画像光をスクリーンScの出射側からクロストークなく視認できることが明らかである。
図16はその画像表示装置の垂直方向と水平方向の出射角度に対する出射光の光度(縦軸)を示し、図17はその画像表示装置の出射光の水平及び垂直における二次元上の光度分布図である。
これらの図から、各プロジェクタからの画像光をスクリーンScの出射側からクロストークなく視認できることが明らかである。
図18は本発明の別の画像表示装置の出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を別の例を示す図であり、図19(a)〜(e)は図18の各観察エリアA〜Eの出射角度(横軸)に対する出射光の光度(縦軸)を示す図である。
この図18、図19からも各プロジェクタからの画像光をスクリーンScの出射側からクロストークなく視認できることが明らかである。
本発明は異なる入射角度領域からの複数のプロジェクタから異なる複数の画像の画像光を受け異なる観察角度領域に異なる上記複数の画像の画像光を投射する画像表示装置と、それに用いるスクリーンに産業上の利用可能性がある。
Sc・・・スクリーン、PrA〜E・・・プロジェクタ、
ArA〜ArE・・・観察角度領域(エリア)、ImA〜ImE・・・画像。

Claims (3)

  1. 一つのスクリーンを少なくとも備え、
    そのスクリーンに対して略互いにオーバーラップがなく且つ略ギャップのない複数の入射角度範囲内の方向から複数の異なる画像光を投射するようにし、
    上記スクリーンがその投射された複数の異なる画像光をそれぞれ複数の異なる方向へ略互いにオーバーラップがなく且つ略ギャップのない複数の拡散角度範囲内にそれぞれ異なる複数の画像光を拡散させ、上記スクリーンに異なる方向へ異なる複数の画像を表示させることができるようにした
    ことを特徴とする画像表示装置。
  2. 請求項1の画像表示装置に用いられるスクリーンにおいて、
    2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組を少なくとも1組以上、又は、フィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムを少なくとも1枚以上含み、
    それぞれの2枚のレンズアレイデバイスを積層した構成の組、又は、それぞれのフィルム両面の表面形状がレンズアレイ形状になった1枚のフィルムの、光入射側のレンズアレイ主平面が、光出射側レンズアレイの略前焦点面に設置されている
    ことを特徴とするスクリーン。
  3. 請求項1の画像表示装置に用いられるスクリーンにおいて、
    前記レンズアレイデバイスがレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズであるか、又はフィルム両側の表面形状がレンズアレイ形状になったフィルムであって、
    そのレンズアレイ形状がレンチキュラーレンズ若しくはフライアイレンズ形状である
    ことを特徴とするスクリーン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015121748A (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 日本電信電話株式会社 表示装置

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