JP2012246899A - バルブタイミング変更装置 - Google Patents

バルブタイミング変更装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2012246899A
JP2012246899A JP2011121561A JP2011121561A JP2012246899A JP 2012246899 A JP2012246899 A JP 2012246899A JP 2011121561 A JP2011121561 A JP 2011121561A JP 2011121561 A JP2011121561 A JP 2011121561A JP 2012246899 A JP2012246899 A JP 2012246899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
retard
advance
passage
lock bar
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011121561A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5738076B2 (ja
Inventor
Kyoichi Saito
匡一 齋藤
Koji Sugano
弘二 菅野
Makoto Nakanishi
良 中西
Takahiro Urano
貴裕 浦野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mikuni Corp
Original Assignee
Mikuni Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mikuni Corp filed Critical Mikuni Corp
Priority to JP2011121561A priority Critical patent/JP5738076B2/ja
Priority to CN201210177766.8A priority patent/CN102808669B/zh
Publication of JP2012246899A publication Critical patent/JP2012246899A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5738076B2 publication Critical patent/JP5738076B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • Y02T10/18

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

【課題】バルブタイミング変更装置において、始動時にベーンロータを中間位置に保持してバタツキを防止し、打音や摩耗等の防止を図る。
【解決手段】ハウジングロータ30、ベーンロータ20、進角室に連通して作動油を通す進角通路13、遅角室に連通して作動油を通す遅角通路14、ベーンロータをハウジングロータに対して中間位置にロックすると共に作動油の油圧によりそのロックが解除されるロック機構40を備え、ロック機構40は、進角ロックバー42、遅角ロックバー44を含み、進角通路13は進角ロックバー及び遅角ロックバーのロックを解除するべく作動油の油圧を導き、遅角通路14は遅角ロックバーのみのロックの解除を維持するべく作動油の油圧を導くように形成されている。これによれば、エンジンの始動時にベーンロータの位相を中間位置に保持でき、エンジンの安定した始動性を確保できる。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃エンジンの吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を運転状況に応じて変更するバルブタイミング変更装置に関する。
従来のバルブタイミング変更装置としては、クランクシャフトと同期して回転するハウジンングロータ(ハウジング、外部ロータ等)、カムシャフトと同期して回転すると共にハウジングロータ内に収容されてその収容室を遅角室と進角室とに二分しハウジングロータに対して所定の角度範囲(最進角位置と最遅角位置との間)を相対的に回転し得るベーンロータ(ロータ、内部ロータ等)、エンジンの停止時及び始動時にベーンロータをハウジングロータに対して最遅角位置と最進角位置との間の中間位置にロックすると共に油圧によりそのロックが解除されるロック機構(ロックピン及びスプリング、ロック体及びバネ等)、進角室及び遅角室に対する作動油の供給及び排出を制御する油圧制御弁(又はこの油圧制御弁に加えてロック機構への作動油の供給及び排出を制御する別の油圧制御弁)等を備え、油圧制御弁を適宜駆動制御して、進角モード、遅角モード、所定の中間位相に保持する保持モード等に適宜選択的に切り替えると共に、エンジン停止時に進角室及び遅角室の作動油を共に排出するドレンモードにして中間位置にロックし、エンジン始動時にはロック解除の油圧が作用しないようにして、中間位置に位置付けて始動性を確保するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのバルブタイミング変更装置においては、エンジンの始動時(クランキング時)に進角室及び遅角室の作動油を共に排出するドレンモード(進角室及び遅角室が空の状態)にて中間位置に保持し又は中間位置への復帰を行うため、この装置(VVT)が制御可能な状態になるまでの時間が長くなると、作動油の油圧が作用していないが故にベーンロータのバタツキを生じ、ロック機構における打音あるいは摩耗等を生じる虞がある。
また、これに対処するべく、進角室又は遅角室のどちらかに作動油を供給して油圧を作用させると、その油圧によりロック機構が解除され、最遅角位置と最進角位置との間の中間位置に保持できなくなり、始動性が悪化する虞がある。
したがって、作動油の油圧を作用させても油圧制御弁によりこの装置(VVT)が制御可能な状態になるまで、ロック機構によるロックが解除されずに中間位置に保持して、ベーンロータのバタツキ、ロック機構における打音及び摩耗等を防止して、始動性を確保できる機構が望まれている。
また、ロック機構に油圧を作用させるための作動油は、進角室及び遅角室内の作動油を導くように形成された油路を介して、又は、進角室及び遅角室内の作動油とは別に上流側から作動油を導くように形成された専用の油路を介して導かれるようになっている。
このように、進角室及び遅角室の作動油を直接利用する場合は、進角室及び遅角室内の作動油の油圧の影響を受け易く、不意にロック機構のロックが解除されあるいはロックが正常に作動しない虞があり、一方、専用の油路を設ける場合は、構造が複雑になり、加工費あるいは部品増によるコストの増加を招くことになる。
特許第3791658号公報 特開2007−198168号公報 特開2009−257261号公報
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、低コスト化等を図りつつ、エンジン始動時にはロック機構によるロック状態を維持して最遅角位置と最進角位置との間の中間位置に位相を確実に保持でき、ベーンロータのバタツキを防止でき、ロック機構における打音や摩耗等を防止でき、又、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損、ガタツキによる異音の発生等を防止でき、エンジンの安定した始動性を確保できる、バルブタイミング変更装置を提供することにある。
本発明のバルブタイミング変更装置は、クランクシャフトの回転に連動してカムシャフトの軸線上で回転するハウジングロータと、ハウジングロータの収容室に所定角度範囲において相対的に回転可能に収容されて収容室を進角室及び遅角室に二分すると共にカムシャフトと一体的に回転するベーンロータと、進角室に連通して作動油を通す進角通路と、遅角室に連通して作動油を通す遅角通路と、ベーンロータをハウジングロータに対して最進角位置と最遅角位置の間の所定の中間位置にロックすると共に作動油の油圧によりそのロックが解除されるロック機構を備え、カムシャフトにより開閉駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバブルタイミング変更装置であって、ロック機構は、ベーンロータが進角側に回転するのを規制する進角ロックバーと、ベーンロータが遅角側に回転するのを規制する遅角ロックバーを含み、進角通路は、進角ロックバー及び遅角ロックバーのロックを解除するべく作動油の油圧を導くように形成され、遅角通路は、進角通路を通して導かれた作動油の油圧によりロックが解除された後に遅角ロックバーのみのロックの解除を維持するべく作動油の油圧を導くように形成されている、構成となっている。
この構成によれば、仮に遅角通路を通して作動油の油圧が導かれても、進角通路を通して作動油の油圧が導かれない限り遅角ロックバーのロックは解除されないため、エンジンの始動時においてこの装置(VVT)が制御可能な状態になるまでハウジングロータに対するベーンロータの位相を中間位置に保持することができ、それ故にエンジンの安定した始動性を確保することができる。
上記構成において、エンジンの運転状態に応じて、進角室へ作動油を供給し遅角室の作動油を排出する進角モード、遅角室へ作動油を供給し進角室の作動油を排出する遅角モード、所定の中間位相に保持する保持モード、進角室及び遅角室の作動油を排出するドレンモードのいずれかを選択する油圧制御弁を含み、油圧制御弁は、エンジンの始動時に遅角モードを選択する、構成を採用することができる。
この構成によれば、エンジンの始動時にロック機構によるロックが維持された状態で遅角モードが選択されるため、エンジンの始動時におけるクランキングにより作動油が供給されることで、ハウジングロータ、ベーンロータ等における摺動部、ロック機構、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損等を防止することができ、又、ベーンロータを遅角側に回転付勢できるため、そのバタツキ及び打音等の発生を防止することができる。
上記構成において、進角通路は、進角室に対する作動油の供給及び排出のための進角室通路と、進角ロックバー及び遅角ロックバーに対する作動油の供給及び排出のための両ロックバー用通路とに分岐して形成され、遅角通路は、遅角室に対する作動油の供給及び排出のための遅角室通路と、遅角ロックバーに対する作動油の供給及び排出のための遅角ロックバー用通路とに分岐して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、進角通路が両ロックバー用通路と進角室通路とに分岐して形成され、かつ、遅角通路が遅角ロックバー用通路と遅角室通路とに分岐して形成されているため、ロック解除時の応答性が良く、進角室及び遅角室内の作動油の影響を受けることなくロック機構を円滑に作動させることができる。
上記構成において、遅角ロックバー用通路は、ロック時において遅角ロックバーにより閉塞され、ロック解除時において遅角ロックバーの移動により開放されて作動油の油圧を遅角ロックバーに導くように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、遅角ロックバー用通路の開閉を遅角ロックバーにより行うため、専用のチェックバルブ等が不要であり、構造の簡素化及び低コスト化を達成しつつ、遅角ロックバーのロック解除の状態を確実に維持することができる。
上記構成において、ハウジングロータは、収容室から隔てられてロック機構を配置する隔離室を画定する隔離壁を有するハウジング部材と、ハウジング部材の背面側を閉塞するべくハウジング部材に対して着脱自在に形成されると共にカムシャフトに対して回動自在に支持される背面部材と、隔離壁と協働して隔離室を画定するべくハウジング部材に対して着脱自在に形成されたカバー部材を含み、両ロックバー用通路及び遅角ロックバー用通路は、ハウジング部材及び背面部材により画定されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、カムシャフト、背面部材、及びハウジング部材に対して、それぞれ簡単な穴開け加工や溝加工等を施すことにより、両ロックバー用通路及び遅角ロックバー用通路を容易に形成することができる。
上記構成において、ロック機構は、隔離壁に設けられた貫通孔を通してベーンロータと一体的に回転するように連結されると共に進角ロックバー及び遅角ロックバーが係合及び離脱するロックカムと、進角ロックバーをロックカムに係合してロックするように付勢する進角規制バネと、遅角ロックバーをロックカムに係合してロックするように付勢する遅角規制バネを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、作動油の油圧が作用しない状態で、進角ロックバーは進角規制バネにより付勢されてロックカム(すなわちベーンロータ)が中間位置から進角側にずれるのを規制し、遅角ロックバーは遅角規制バネにより付勢されてロックカム(すなわちベーンロータ)が中間位置から遅角側にずれるのを規制するため、ベーンロータを中間位置に確実に位置決めすることができ、又、エンジン停止時に中間位置からずれていても、クランキング時の変動トルクと進角規制バネ及び遅角規制バネの付勢力により、ベーンロータを中間位置に復帰させることができる。
上記構成をなすバルブタイミング変更装置によれば、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、エンジン始動時にはロック機構によるロック状態を維持して最遅角位置と最進角位置との間の中間位置に位相を確実に保持でき、ベーンロータのバタツキを防止でき、ロック機構における打音や摩耗等を防止でき、又、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損、ガタツキによる異音の発生等を防止でき、エンジンの安定した始動性を確保できる、バルブタイミング変更装置を得ることができる。
本発明に係るバルブタイミング変更装置を示す分解斜視図である 本発明に係るバルブタイミング変更装置を示す断面図である。 本発明に係るバルブタイミング変更装置を示す断面図である。 バルブタイミング変更装置の一部をなすベーンロータが、所定の中間位置にある状態で進角室に連通する進角通路(進角室通路)を示す断面図である。 バルブタイミング変更装置の一部をなすベーンロータが、所定の中間位置にある状態で遅角室に連通する遅角通路(遅角室通路)を示す断面図である。 バブルタイミング変更装置の一部をなすロック機構(ロックカム、ロックレバー)がベーンロータを中間位置にロックした状態を示す断面図である。 バブルタイミング変更装置の一部をなすロック機構(ロックカム、ロックレバー)が解除されてベーンロータが進角側に移動した状態を示す断面図である。 バブルタイミング変更装置の一部をなすロック機構(ロックカム、ロックレバー)が解除されてベーンロータが遅角側に移動した状態を示す断面図である。 バルブタイミング変更装置の一部をなすベーンロータが、所定の中間位置にある状態を示す断面図である。 バルブタイミング変更装置の一部をなすベーンロータが、最進角位置にある状態を示す断面図である。 バルブタイミング変更装置の一部をなすベーンロータが、最遅角位置にある状態を示す断面図である。 本発明に係るバルブタイミング変更装置に含まれる油圧制御弁を示す部分断面図である。 図12に示す油圧制御弁のデューティ制御におけるデューティ値(%)と作動油の流量の関係を示す図である。 図12に示す油圧制御弁の動作を説明する動作図である。 エンジン停止の際のドレンモードにおけるバルブタイミング変更装置の模式図である。 エンジン始動時の中間位置での遅角モードにおけるバルブタイミング変更装置の模式図である。 エンジン始動後の進角モードにおけるバルブタイミング変更装置の模式図である。 エンジン始動後の保持モードにおけるバルブタイミング変更装置の模式図である。 エンジン始動後の遅角モードにおけるバルブタイミング変更装置の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
このバルブタイミング変更装置は、図1ないし図3に示すように、カムシャフト10に着脱自在に固定され得るベーンロータ20、カムシャフト10の軸線S1上で回転すると共にベーンロータ20を相対的に回転可能に収容しかつベーンロータ20と協働して進角室30a及び遅角室30bを画定するハウジングロータ30、ベーンロータ20をハウジングロータ30に対して所定の中間位置にロックするべくハウジングロータ30の隔離室に配置されるロック機構40(ロックカム41、進角ロックバー42、進角規制バネ43、遅角ロックバー44、遅角規制バネ45)、ベーンロータ20をカムシャフト10に締結するセンタボルト50、ロック機構40に含まれるロックカム41を所定の中間位置に戻すようにアシストするアシスト機構60、作動油(潤滑油)の流れを制御する油圧制御系OCS等を備えている。
尚、カムシャフト10は、エンジンの吸気バルブ又は排気バルブをカム作用により開閉駆動するものであり、ハウジングロータ30は、チェーン等を介してクランクシャフトの回転に連動し、クランクシャフトの回転駆動力を、ベーンロータ20を介してカムシャフト10に伝達するものである。
カムシャフト10は、エンジンのシリンダヘッド(不図示)に形成された軸受B(図2参照)により軸線S1回りに回転可能に(図1において矢印CR方向に回転するように)支持され、図1に示すように、軸受Bにより支持されるジャーナル部11、ハウジングロータ30を回動自在に支持する円筒部12、進角室30a及び進角ロックバー42に対する作動油の供給及び排出を行う進角通路13、遅角室30b及び遅角ロックバー44に対する作動油の供給及び排出を行う遅角通路14、センタボルト50を締結する雌ネジ部15等を備えている。
ベーンロータ20は、図1ないし図5に示すように、4つのベーン部21、4つのベーン部21を等間隔で一体的に保持するハブ部22、ハブ部22に形成されセンタボルト50が通される貫通孔23、進角室30aに対する作動油の供給及び排出のために進角通路13から分岐して形成された進角室通路24、遅角室30bに対する作動油の供給及び排出のために遅角通路14から分岐して形成された遅角室通路25、ベーン部21の先端に形成された溝部に嵌め込まれたシール部材26等を備え、ロックカム41と一緒にセンタボルト50を用いてカムシャフト10に締結され、カムシャフト10と一体的に回転するようになっている。
ハウジングロータ30は、クランクシャフトの回転に連動してカムシャフト10の軸線S1上で回転可能に支持され、図1ないし図3に示すように、ハウジング部材31、ハウジング部材31の背面側に結合される背面部材としてのスプロケット部材32、ハウジング部材31の前面側に結合されるカバー部材33により構成されており、ベーンロータ20を所定角度範囲(最進角位置と最遅角位置の間の角度範囲)において相対的に回転可能に収容する(収容室を画定する)と共にロック機構40を収容(配置)し(隔離室を画定し)、収容されたベーンロータ20(のベーン部21)により進角室30a及び遅角室30bに二分されるように形成されている。
ハウジング部材31は、図1ないし図5、図9に示すように、円筒壁31a、隔離壁31b、隔離壁31bの中央に設けられた貫通孔31c、隔離壁31bの背面側において中心に向かって突出する4つの軸受部31d、各々の軸受部31dの間及び中央部に画定されてベーンロータ20を収容する凹部31e、隔離壁31bの前面側に形成されてロック機構を収容する凹部31f、進角ロックバー42及び遅角ロックバー44に対する作動油の供給及び排出のために進角通路13から分岐して形成された両ロックバー用通路31g、遅角ロックバー44に対する作動油の供給及び排出のために遅角通路14から分岐して形成された遅角ロックバー用通路31h、支軸31i,31j、掛止突起31k、ストッパ壁31o,31p、アシスト機構60を収容する凹部31q等を備えている。
両ロックバー用通路31gは、図6ないし図8に示すように、凹部31fに開口すると共に進角ロックバー42及び遅角ロックバー44の側面に油圧を導くと共にそれぞれのロック状態を解除する方向に油圧が作用するように形成されている。
遅角ロックバー用通路31hは、図6ないし図8に示すように、凹部31fに開口すると共に遅角ロックバー44の主面(軸線S1方向に向かう平面)に油圧を導いて、両ロックバー用通路31gから導かれた油圧により所定角度だけロック状態を解除する向きに遅角ロックバー44が回転(移動)したとき、遅角ロックバー44の主面による閉塞状態から開放されて、油圧を遅角ロックバー44の側面に導くと共にそのロック状態を解除する方向に油圧が作用するように(すなわち、凹部31fの表面を削って形成された凹状の長溝31h´に繋がるように)形成されている。
スプロケット部材32は、図1ないし図3に示すように、クランクシャフトの回転駆動力を伝達するチェーンが巻回されるスプロケット32a、カムシャフト10の円筒部12に回動自在に嵌合される内周面32b、ベーンロータ20の背面が摺動自在に接触する前面32c、進角ロックバー42及び遅角ロックバー44に対する作動油の供給及び排出のために進角通路13から分岐して形成された両ロックバー用通路32d、遅角ロックバー44に対する作動油の供給及び排出のために遅角通路14から分岐して形成された遅角ロックバー用通路32e等を備えている。
両ロックバー用通路32dは、図9ないし図11に示すように、周方向に伸長する円弧状の通路及び径方向に伸長する通路により画定されており、ベーンロータ20が最進角位置と最遅角位置との間を相対的に回転する間中、進角通路13と両ロックバー用通路31gとを連通させるように形成されている。
遅角ロックバー用通路32eは、図9ないし図11に示すように、周方向に伸長する円弧状の通路及び径方向に伸長する通路により画定されており、ベーンロータ20が最進角位置と最遅角位置との間を相対的に回転する間中、遅角通路14と遅角ロックバー用通路31hとを連通させるように形成されている。
上記のように、進角通路13が両ロックバー用通路31g,32dと進角室通路24とに分岐して形成され、かつ、遅角通路14が遅角ロックバー用通路31h,32eと遅角室通路25とに分岐して形成されているため、ロック解除時の応答性が良く、進角室30a及び遅角室30b内の作動油の影響を受けることなくロック機構40を円滑に作動させることができる。
また、両ロックバー用通路31g,32d及び遅角ロックバー用通路31h,32eは、ハウジング部材31及びスプロケット部材(背面部材)32により画定されているため、カムシャフト10、スプロケット部材32、及びハウジング部材31に対して、それぞれ簡単な穴開け加工や溝加工等を施すことにより、両ロックバー用通路31g,32e及び遅角ロックバー用通路31h,32eを容易に形成することができる。
カバー部材33は、図1ないし図3に示すように、センタボルト50を通す円孔33a等を有し、ハウジング部材31に対して着脱自在に形成されている。
そして、ハウジング部材31、スプロケット部材32、及びカバー部材33は、ボルト等を用いて締結されるようになっている。
また、カバー部材33がハウジング部材31に結合されることにより、ロック機構40を配置する隔離室が画定されるようになっている。
ロック機構40は、図1、図6ないし図8に示すように、ロックカム41、進角ロックバー42、進角規制バネ43、遅角ロックバー44、遅角規制バネ45により構成されており、ベーンロータ20を、ハウジングロータ30に対して相対的に回動可能な所定角度範囲内(最進角位置と最遅角位置との間)の所定の中間位置にロックするように形成されている。
ロックカム41は、センタボルト50によりベーンロータ20と一緒にカムシャフト10に締結されて上記所定角度範囲を回動すると共に進角ロックバー42及び遅角ロックバー44が離脱可能に係合し得るように形成されている。
進角ロックバー42は、図6ないし図8に示すように、支軸31iにより軸線S1に垂直な垂直面内において揺動自在に支持されると共に進角規制バネ43の一端部が掛止されてストッパ壁31oに当接するように反時計回りに回転付勢され、ストッパ壁31oに当接して反時計回りの回転が規制された状態で、ロックカム41に当接してロックカム41(すなわちベーンロータ20)が休止位置から進角側に回転するのを規制し、一方、両ロックバー用通路31g,32dを通して供給された作動油の油圧により時計回りに回転させられてロックを解除するようになっている。
遅角ロックバー44は、図6ないし図8に示すように、支軸31jにより軸線S1に垂直な垂直面内において揺動自在に支持されると共に遅角規制バネ45の一端部が掛止されてストッパ壁31pに当接するように時計回りに回転付勢され、ストッパ壁31pに当接して時計回りの回転が規制された状態で、ロックカム41に当接してロックカム41(すなわちベーンロータ20)が休止位置から遅角側に回転するのを規制し、一方、両ロックバー用通路31g,32dを通して供給された作動油の油圧により反時計回りに回転させられてロックを解除し、図7に示すように所定角度回転したとき遅角ロックバー用通路31h(31h´)が開放されることで、両ロックバー用通路31g,32dから供給される作動油の油圧が作用しなくなっても、遅角ロックバー用通路31h(31h´),32eを通して供給された作動油の油圧だけで、ロックを解除した状態を維持するようになっている。
そして、ロックカム41及びベーンロータ20は、図6及び図9に示す状態で進角ロックバー42及び遅角ロックバー44によりロックされて中間位置に位置決めされ、図7及び図10に示す状態で進角ロックバー42及び遅角ロックバー44によるロックが共に解除されると共に時計回りに回転して一つのベーン部21が一つの軸受部31dに当接することで最進角位置に位置決めされ、図8及び図11に示す状態で遅角ロックバー44によるロックのみが解除されると共に反時計回りに回転して一つのベーン部21が一つの軸受部31dに当接することで最遅角位置に位置決めされるようになっている。
センタボルト50は、図1ないし図3に示すように、中実の円柱状をなし、その先端側において雄ネジ部51を備えている。
そして、センタボルト50は、ベーンロータ20の貫通孔23に対して所定の環状隙間を画定するように通されると共に、その雄ネジ部51がカムシャフト10の雌ネジ部15に螺合されることで、ロックカム41及びベーンロータ20をカムシャフト10に一体的に締結するようになっている。
アシスト機構60は、プッシュ部材61及び付勢バネ62等を備え、ロックカム41(ベーンロータ20及びカムシャフト10)を最遅角位置側から中間位置に移動させるべく補助力を及ぼすように形成されている。
油圧制御系OCSは、図2及び図3に示すように、シリンダヘッドCH(図12を参照)等に嵌合して固定される油圧制御弁100、作動油を油圧制御弁100に向けて供給するポンプ70、ポンプから吐出される作動油を通す供給通路71、油圧制御弁100から排出される作動油を通すドレン通路72、油圧制御弁100と進角通路13とを接続して作動油を通す進角通路73、油圧制御弁100と遅角通路14とを接続して作動油を通す遅角通路74、油圧制御弁100(電磁アクチュエータ140)の駆動を制御する制御手段(不図示)等により構成されている。
油圧制御弁100は、図12に示すように、円筒状のスリーブ110、スリーブ110内において密接して往復駆動される弁体としてのスプール120、スプール120を休止位置に向けて一方向に付勢するコイル状の圧縮バネ130、圧縮バネ130の付勢力に抗する方向にデューティ値が大きくなるように(すなわち、図13に示すようにデューティ値0%〜100%の間で)デューティ制御されてスプール120を駆動するべくスリーブ110の一端側に固定された電磁アクチュエータ140等を備えている。
そして、油圧制御弁100は、エンジンの運転状態に応じて、進角室30aに作動油を供給すると共に遅角室30bの作動油を排出する進角モード、遅角室30bに作動油を供給すると共に進角室30aの作動油を排出する遅角モード、所定の中間位相に保持する保持モード、進角室30a及び遅角室30bの作動油を共に排出するドレンモードへの切り替えを選択的に行うようになっている。
スリーブ110は、図12に示すように、スプール120の移動方向Lにおいて図中の左側から右側に向けて順次に配列して形成された、排出ポート110a、供給ポート110b及び環状溝110c、バイパスポート110d及び環状溝110e、進角ポート110f及び環状溝110g、バイパスポート110h及び環状溝110i、バイパスポート110dとバイパスポート110hとを接続するバイパス通路110j、遅角ポート110k及び環状溝110m、スプール120の移動方向Lに伸長する円筒状の内周面110nを備えている。
排出ポート110aは、ドレン通路72に接続されるように形成されている。
供給ポート110cb、供給通路71に接続されるように形成されている。
進角ポート110fは、進角通路73に接続されるように形成されている。
遅角ポート110kは、遅角通路74に接続されるように形成されている。
バイパス通路110jは、スリーブ110の外周に長溝状に形成され、シリンダヘッドCHに嵌合されることで、その嵌合孔の内壁と協働して通路を画定するように形成されている。
スプール120は、図12に示すように、その移動方向Lにおいて図中の左側から右側に向けて順次に配列して形成された、拡径部120a、縮径部120b、拡径部120c、縮径部120d、縮径部120dに開けられた連通孔120e、拡径部120f、縮径部120g、拡径部120h、縮径部120i、縮径部120iに開けられた連通孔120j、拡径部120k、縮径部120m、縮径部120mに開けられた連通孔120n、移動方向Lに伸長して排出ポート110aに向けて開口する内部通路120pを備えている。
拡径部120a,120c,120f,120h,120kは、スリーブ110の内周面110nに密接して摺動するように形成されている。
縮径部120b,120d,120g,120i,120mは、スリーブ110の内周面110nとの間に作動油の通路となり得る空間を画定するように形成されている。
そして、電磁アクチュエータ140は、圧縮バネ130の付勢力により、非通電の状態で遅角モード(図14(a)の状態;デューティ値0%)に位置付けられ、圧縮バネ130の付勢力に抗する方向にデューティ値が大きくなる(0〜100%)ように通電されてデューティ制御されることで、保持モード(図14(b)の状態;デューティ値約33%)、進角モード(図14(c)の状態;デューティ値約66%)、ドレンモード(図14(d)の状態;デューティ値100%)に順次移行するように、スプール110を図14(a)〜(d)において右側から左側に向けて駆動するようになっている。
すなわち、遅角モードにおいては、図14(a)に示すように、電磁アクチュエータ140は非通電(デューティ値0%)の状態にあり、スプール120は圧縮バネ130の付勢力により休止位置(図中の最も右側に移動した位置)に位置付けられて、環状溝110g→縮径部120d→連通孔120e→内部通路120pを経て、進角ポート110fを排出ポート110aに連通させ、環状溝110c→縮径部120b→環状溝110e→バイパスポート110d→バイパス通路110j→バイパスポート110h→環状溝110i→縮径部120g→環状溝110mを経て、供給ポート110bを遅角ポート110kに連通させるようになっている。
また、保持モードにおいては、図14(b)に示すように、電磁アクチュエータ140がデューティ値約33%で駆動制御され、スプール120が圧縮バネ130の付勢力に抗して所定量だけ繰り出され(図中の左向きに移動させられ)、環状溝110c→縮径部120b→環状溝110e→バイパスポート110d→バイパス通路110j→バイパスポート110h→環状溝110i→縮径部120g→環状溝110g,110mを経て、供給ポート110bを進角ポート110f及び遅角ポート110kに連通させるようになっている。
また、進角モードにおいては、図14(c)に示すように、電磁アクチュエータ140がデューティ値約66%で駆動制御されて、スプール120が圧縮バネ130の付勢力に抗してさらに所定量だけ繰り出され(図中の左向きに移動させられ)、環状溝110c→縮径部120b→環状溝110e→バイパスポート110d→バイパス通路110j→バイパスポート110h→環状溝110i→縮径部120g→環状溝110gを経て、供給ポート110bを進角ポート110fに連通させ、環状溝110m→縮径部120i→連通孔120j→内部通路120pを経て、遅角ポート110kを排出ポート110aに連通させるようになっている。
さらに、ドレンモードにおいては、図14(d)に示すように、電磁アクチュエータ140がデューティ値100%で駆動制御されて、スプール120が圧縮バネ130の付勢力に抗してさらに所定量だけ繰り出され(図中の左向きに移動させられ)、供給ポート110bを閉塞した状態で、環状溝110g→縮径部120g→環状溝110i→バイパスポート110h→バイパス通路110j→バイパスポート110d→環状溝110e→縮径部120d→連通孔120e→内部通路120pを経て、進角ポート110fを排出ポート110aに連通させ、かつ、環状溝110m→縮径部120i→連通孔120j→内部通路120pを経て、遅角ポート110kを排出ポート110aに連通させるようになっている。
このように、遅角モード、保持モード、及び進角モードの使用頻度の多い通常の動作をデューティ値の小さい領域(デューティ値が0%〜約66%の領域)に設定し、使用頻度の少ないドレンモードをデューティ値の大きい領域(デューティ値が100%の領域)に設定することができ、それ故に、効率よく消費電力を低減することができ又発熱を低減することができる。
次に、上記バルブタイミング変更装置の動作について、図2及び図3、図6ないし図11、図14ないし図19を参照しつつ説明する。
エンジンが運転者の意思により停止される場合、イグニッションスイッチが切られた後の所定時間に亘り、図14(d)に示すように、油圧制御弁100は、進角室30a及び遅角室30bの作動油を共に排出するべくデューティ値100%で駆動制御されるドレンモードが選択され、図15に示すように、進角室30aの作動油は、進角通路73→進角ポート110f→排出ポート110a→ドレン通路72を経て排出され、遅角室30bの作動油は、遅角通路74→遅角ポート110k→排出ポート110a→ドレン通路72を経て排出される。
そして、図6に示すように、両ロックバー用通路31g,32d及び遅角ロックバー用通路31h,32eから作動油が排出されて油圧が作用しなくなるため、アシスト機構60(の付勢バネ62)の付勢力及び進角規制バネ43及び遅角規制バネ45の付勢力により、ロックカム41が中間位置に位置決めされて進角ロックバー42及び遅角ロックバー44によりロックされ、又、ベーンロータ20が、図9に示すように、最進角位置と最遅角位置の間の所定の中間位置に位置決めされる。この中間位置は、エンジンの始動が開始(クランキング)されると、円滑な始動が行なえるバルブタイミングに設定されている。
尚、運転者の意思に反してエンスト等によりエンジンが停止した場合は、そのことを制御手段が判断して、イグニッションスイッチが切られた場合と同様に所定時間に亘り、上記同様のドレンモードが選択される。
そして、所定時間に亘る通電が終了すると、図14(a)及び図16に示すように、油圧制御弁100は、進角室30aの作動油を排出しかつ遅角室30bに作動油を供給可能な遅角モードに移行した状態にて維持される。
このように、エンジンを停止するべくイグニッションスイッチが切られ後又はエンストによりエンジンが停止した後の所定時間に亘り、ドレンモードにするようにスプール120を駆動することにより、ハウジングロータ30に対するベーンロータ20の位置を予め設定されたエンジン始動に最適な所定の中間位置に確実に位置付け、次のエンジン始動を円滑に行わせることができる。
エンジンの始動時には、既に、ベーンロータ20(ロックカム41)が中間位置にロックされた状態にあり、又、図14(a)に示すように油圧制御弁100は非通電(デューティ値0%)の状態で遅角モードが選択されている。尚、ベーンロータ20(ロックカム41)が中間位置からずれてロックされていない場合は、遅角ロックバー44及び進角ロックバー42が遅角規制バネ45及び進角規制バネ43によりそれぞれロック側に向けて常時回転付勢されており、又、クランキングにより生じる変動トルクにより、自動的に中間位置に移動してロックされる。
したがって、エンジンが始動のためにクランキングされると、図16に示すように、進角室30aの作動油は、進角通路73→進角ポート110f→排出ポート110a→ドレン通路72を経て排出される状態のまま、ポンプ70→供給通路71→供給ポート110b→遅角ポート110k→遅角通路74を経て、遅角室30bに作動油が供給される。
尚、両ロックバー用通路31gの作動油は、進角通路73→進角ポート110f→排出ポート110a→ドレン通路72を経て排出される状態にあり、遅角ロックバー用通路31hは、図6に示すように、遅角ロックバー44の主面により閉塞されているため、作動油の油圧は遅角ロックバー44のロックを解除する方向に作用せず、進角ロックバー42及び遅角ロックバー44は共にロックカム41(ベーンロータ20)を中間位置にロックした状態にある。
すなわち、ロック機構40によるロックが維持された状態でかつ非通電のままで、油圧制御弁100は遅角モードが選択されているため、電磁アクチュエータ140が断線等により作動しない場合であっても、エンジン始動により作動油が供給されることで、ハウジングロータ30、ベーンロータ20等を含む機構における摺動部、ロック機構40、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損等を防止でき、又、ベーンロータ20は中間位置において遅角側へ作動油の油圧により回転付勢されるためそのバタツキ等を防止できる。また、ベーンロータ20(カムシャフト10)が中間位置に位置決めされているため、円滑にエンジンを始動させることができる。
エンジンが始動(完爆)すると、油圧制御弁100が適宜切り替えられて、ベーンロータ20(カムシャフト10)が中間位置から進角側へ(進角モード)又は遅角側へ(遅角モード)、さらには所定の角度位置に保持される(保持モード)ように位相制御が行われる。
例えば、進角側へ位相を変更する場合は、油圧制御弁100が切り替えられて、図14(c)及び図17に示すように、遅角室30bの作動油を排出しかつ進角室30aに作動油を供給する(デューティ値約66%で駆動制御される)進角モードが選択される。
この進角モードでは、図17に示すように、ポンプ70→供給通路71→供給ポート110b→進角ポート110f→進角通路73を経て、進角室30aに作動油が供給されると共に、図7に示すように、両ロックバー用通路31g,32dを通して進角ロックバー42及び遅角ロックバー44に作動油の油圧が供給されてロックが解除され、さらに、遅角ロックバー44が所定角度だけ回転した時点で遅角ロックバー用通路31hが開放されその油圧が遅角ロックバー44をロック解除の状態に維持する。一方、遅角通路74→遅角ポート110k→排出ポート110a→ドレン通路72を経て、遅角室30bから作動油が排出される。これにより、図10に示すように、ベーンロータ20を進角側へ移動させて位相を変更することができる。
また、ベーンロータ20を所定の最進角位置と最遅角位置との間の所定の位相角度に保持する場合には、油圧制御弁100が切り替えられて、図14(b)及び図18に示すように、進角室30a及び遅角室30bに作動油を供給する(デューティ値約33%で駆動制御される)保持モード(すなわち、ポンプモード)が選択される。
この保持モードでは、図18に示すように、ポンプ70→供給通路71→供給ポート110b→進角ポート110f→進角通路73を経て進角室30aに作動油が供給され、ポンプ70→供給通路71→供給ポート110b→遅角ポート110k→遅角通路74を経て遅角室30bに作動油が供給され、又、両ロックバー用通路31g,32dを通して進角ロックバー42及び遅角ロックバー44に作動油の油圧が供給されてロックが解除され、さらに、遅角ロックバー44が所定角度だけ回転した時点で遅角ロックバー用通路31hが開放されその油圧が遅角ロックバー44をロック解除の状態に維持する。すなわち、進角室30a及び遅角室30bに作用する油圧により、ベーンロータ20を所定の中間位相に保持することができる。
このように、保持モードとして、進角室30a及び遅角室30bに作動油を供給するデューティ値約33%のポンプモードを採用することにより、デューティ値がより大きい進角モードに切り替えることなく、作動油を供給してその油圧によりロック機構40(遅角規制ロックバー44)によるロックの解除を行うことができると共に(ハウジングロータ30に対するベーンロータ20の位置を)所定の中間位相に保持することができる。
一方、遅角側へ位相を変更する場合は、油圧制御弁100が始動時の中間位置から進角モード又は保持モード(ポンプモード)に一旦切り替えられた後に、図14(a)及び図19に示すように、遅角室30bに作動油を供給しかつ進角室30aの作動油を排出する(デューティ値0%)遅角モードが選択される。
この遅角モードでは、一旦切り替えられた進角モード又は保持モード(ポンプモード)において作用した油圧により、図8に示すように、遅角ロックバー44によるロックが解除されて維持された状態にあり、この状態で、図19に示すように、進角室30aの作動油は、進角通路73→進角ポート110f→排出ポート110a→ドレン通路72を経て排出され、ポンプ70→供給通路71→供給ポート110b→遅角ポート110k→遅角通路74を経て、遅角室30bに作動油が供給される。これにより、図11に示すように、ベーンロータ20を遅角側へ移動させて位相を変更することができる。
上記のように、進角通路13(両ロックバー用通路31g,32d)を通して作動油の油圧が導かれない限り遅角ロックバー44のロックは解除されないため、エンジンの始動時において完爆するまでハウジングロータ30に対するベーンロータ20の位相を中間位置に保持することができ、それ故にエンジンの安定した始動性を確保することができる。
また、エンジンの始動時にロック機構40によるロックが維持された状態で遅角モードが選択されるため、エンジンの始動時におけるクランキングにより作動油が供給されることで、ハウジングロータ30、ベーンロータ20等における摺動部、ロック機構40、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損等を防止することができ、又、ベーンロータ20を遅角側に回転付勢できるため、そのバタツキ及び打音等の発生を防止することができる。
さらに、油圧制御弁100(電磁アクチュエータ140)は、デューティ値が最大になる側において、進角室30a及び遅角室30bの作動油を共に排出させる(エンジンを停止させる時に対応する)ドレンモードにするようにスプール120を駆動するため、運転中以外の(始動時又は停止時の)最も頻度の少ないモードを最大デューティ値(100%)で制御し、運転中における頻度の高い他のモード(進角モード、遅角モード、保持モード)はより小さいデューティ値(0〜66%)で制御することになり、全体として消費電力を低減することができ、又、消費電力に対応する発熱を抑制することができる。
上記実施形態においては、クランクシャフトの回転力を伝達するスプロケット32aを備えたハウジングロータ30を示したが、これに限定されるものではなく、クランクシャフトの回転駆動力を伝達する手段がその他の構造をなすもの(例えば、歯付きタイミングベルト等)であれば、その構造に合ったもの(歯付きプーリ等)を備えたハウジングロータを採用することができる。
上記実施形態においては、ロック機構として、ロックカム41、進角ロックバー42、進角規制バネ43、遅角ロックバー44、遅角規制バネ45を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、進角側と遅角側とにそれぞれロックバーを備えたものであればその他のロック機構を採用してもよい。
上記実施形態においては、保持モードにおいて、進角室30a及び遅角室30bに作動油が供給されるポンプモードが採用された場合を示したが、これに限定されるものではなく、進角室30a及び遅角室30bに対する作動油の流れを遮断するクローズモードが採用されてもよい。
以上述べたように、本発明のバルブタイミング変更装置は、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、エンジン始動時にはロック機構によるロック状態を維持して最遅角位置と最進角位置との間の中間位置に位相を確実に保持でき、ベーンロータのバタツキを防止でき、ロック機構における打音や摩耗等を防止でき、又、その他の機構等の異常摩耗、部品の破損、ガタツキによる異音の発生等を防止でき、エンジンの安定した始動性を確保できるため、自動車等に搭載された内燃式のエンジンに適用できるのは勿論のこと、二輪車等に搭載された小型のエンジン等においても有用である。
S1 軸線
10 カムシャフト
11 ジャーナル部
12 円筒部
13 進角通路
14 遅角通路
15 雌ネジ部
20 ベーンロータ
21 ベーン部
22 ハブ部
23 貫通孔
24 進角室通路(進角通路)
25 遅角室通路(遅角通路)
26 シール部材
30 ハウジングロータ
30a 進角室
30b 遅角室
31 ハウジング部材(ハウジングロータ)
31a 円筒壁
31b 隔離壁
31c 貫通孔
31d 軸受部
31e,31f,31q 凹部
31g 両ロックバー用通路(進角通路)
31h 遅角ロックバー用通路(遅角通路)
31i,31j 支軸
31k 掛止突起
31o,31p ストッパ壁
32 スプロケット部材(ハウジングロータ)
32a スプロケット
32b 内周面
32c 前面
32d 両ロックバー用通路(進角通路)
32e 遅角ロックバー用通路(遅角通路)
33 カバー部材(ハウジングロータ)
40 ロック機構
41 ロックカム
42 進角ロックバー
43 進角規制バネ
44 遅角ロックバー
45 遅角規制バネ
50 センタボルト
51 雄ネジ部
60 アシスト機構
61 プッシュ部材
62 付勢バネ
70 ポンプ
71 供給通路
72 ドレン通路
73 進角通路
74 遅角通路
100 油圧制御弁
L 軸線方向
110 スリーブ
110a 排出ポート
110b 供給ポート
110c,110e,110g,110i,110m 環状溝
110d,110h バイパスポート
110f 進角ポート
110j バイパス通路
110k 遅角ポート
110n 内周面
120,120´ スプール
120a,120c,120f,120h,120k 拡径部
120b,120d,120g,120i,120m 縮径部
120e,120j,120n 連通孔
120p 内部通路
130 圧縮バネ
140 電磁アクチュエータ

Claims (6)

  1. クランクシャフトの回転に連動してカムシャフトの軸線上で回転するハウジングロータと、前記ハウジングロータの収容室に所定角度範囲において相対的に回転可能に収容されて前記収容室を進角室及び遅角室に二分すると共にカムシャフトと一体的に回転するベーンロータと、前記進角室に連通して作動油を通す進角通路と、前記遅角室に連通して作動油を通す遅角通路と、前記ベーンロータを前記ハウジングロータに対して最進角位置と最遅角位置の間の所定の中間位置にロックすると共に作動油の油圧によりそのロックが解除されるロック機構を備え、カムシャフトにより開閉駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバブルタイミング変更装置であって、
    前記ロック機構は、前記ベーンロータが進角側に回転するのを規制する進角ロックバーと、前記ベーンロータが遅角側に回転するのを規制する遅角ロックバーを含み、
    前記進角通路は、前記進角ロックバー及び遅角ロックバーのロックを解除するべく作動油の油圧を導くように形成され、
    前記遅角通路は、前記進角通路を通して導かれた作動油の油圧によりロックが解除された後に前記遅角ロックバーのみのロックの解除を維持するべく作動油の油圧を導くように形成されている、
    ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
  2. エンジンの運転状態に応じて、前記進角室へ作動油を供給し前記遅角室の作動油を排出する進角モード、前記遅角室へ作動油を供給し前記進角室の作動油を排出する遅角モード、所定の中間位相に保持する保持モード、前記進角室及び遅角室の作動油を排出するドレンモードのいずれかを選択する油圧制御弁を含み、
    前記油圧制御弁は、エンジンの始動時に、前記遅角モードを選択する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング変更装置。
  3. 前記進角通路は、前記進角室に対する作動油の供給及び排出のための進角室通路と、前記進角ロックバー及び遅角ロックバーに対する作動油の供給及び排出のための両ロックバー用通路とに分岐して形成され、
    前記遅角通路は、前記遅角室に対する作動油の供給及び排出のための遅角室通路と、前記遅角ロックバーに対する作動油の供給及び排出のための遅角ロックバー用通路とに分岐して形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング変更装置。
  4. 前記遅角ロックバー用通路は、ロック時において前記遅角ロックバーにより閉塞され、ロック解除時において前記遅角ロックバーの移動により開放されて作動油の油圧を前記遅角ロックバーに導くように形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング変更装置。
  5. 前記ハウジングロータは、前記収容室から隔てられて前記ロック機構を配置する隔離室を画定する隔離壁を有するハウジング部材と、前記ハウジング部材の背面側を閉塞するべく前記ハウジング部材に対して着脱自在に形成されると共にカムシャフトに対して回動自在に支持される背面部材と、前記隔離壁と協働して前記隔離室を画定するべく前記ハウジング部材に対して着脱自在に形成されたカバー部材を含み、
    前記両ロックバー用通路及び遅角ロックバー用通路は、前記ハウジング部材及び背面部材により画定されている、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載のバルブタイミング変更装置。
  6. 前記ロック機構は、前記隔離壁に設けられた貫通孔を通して前記ベーンロータと一体的に回転するように連結されると共に前記進角ロックバー及び遅角ロックバーが係合及び離脱するロックカムと、前記進角ロックバーを前記ロックカムに係合してロックするように付勢する進角規制バネと、前記遅角ロックバーを前記ロックカムに係合してロックするように付勢する遅角規制バネを含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のバルブタイミング変更装置。
JP2011121561A 2011-05-31 2011-05-31 バルブタイミング変更装置 Expired - Fee Related JP5738076B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011121561A JP5738076B2 (ja) 2011-05-31 2011-05-31 バルブタイミング変更装置
CN201210177766.8A CN102808669B (zh) 2011-05-31 2012-05-31 配气正时变更装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011121561A JP5738076B2 (ja) 2011-05-31 2011-05-31 バルブタイミング変更装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012246899A true JP2012246899A (ja) 2012-12-13
JP5738076B2 JP5738076B2 (ja) 2015-06-17

Family

ID=47232513

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011121561A Expired - Fee Related JP5738076B2 (ja) 2011-05-31 2011-05-31 バルブタイミング変更装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5738076B2 (ja)
CN (1) CN102808669B (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6183094B2 (ja) * 2013-09-19 2017-08-23 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御ユニット
CN109883489A (zh) * 2019-03-29 2019-06-14 武汉飞恩微电子有限公司 一种集成式三合一传感器装置
CN109883488A (zh) * 2019-03-29 2019-06-14 武汉飞恩微电子有限公司 一种节气门三合一传感器装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198365A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2007255258A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Hitachi Ltd 可変バルブタイミング制御装置
JP2010084756A (ja) * 2008-09-04 2010-04-15 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2010116779A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Hitachi Automotive Systems Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6505586B1 (en) * 1999-08-05 2003-01-14 Denso Corporation Variable valve timing control apparatus and method for engines
JP4440384B2 (ja) * 1999-09-24 2010-03-24 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
JP4069850B2 (ja) * 2003-11-12 2008-04-02 トヨタ自動車株式会社 内燃機関のバルブ開閉特性制御装置
JP4161880B2 (ja) * 2003-11-12 2008-10-08 トヨタ自動車株式会社 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP4531705B2 (ja) * 2006-01-24 2010-08-25 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
JP5516937B2 (ja) * 2009-09-28 2014-06-11 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198365A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2007255258A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Hitachi Ltd 可変バルブタイミング制御装置
JP2010084756A (ja) * 2008-09-04 2010-04-15 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2010116779A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Hitachi Automotive Systems Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5738076B2 (ja) 2015-06-17
CN102808669B (zh) 2016-06-29
CN102808669A (zh) 2012-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5582363B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JPH11132014A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5376227B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5321911B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5979115B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2009542968A (ja) 内燃機関のガス交換弁の制御時間を可変調節する装置
JP5738076B2 (ja) バルブタイミング変更装置
JP2002256825A (ja) バルブタイミング調整装置
JP2010209780A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP5535801B2 (ja) バルブタイミング変更装置
JP5615114B2 (ja) バルブタイミング変更装置
JP5731260B2 (ja) 油圧制御装置
JP5960395B2 (ja) 電磁油圧制御弁
WO2012157098A1 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP5771502B2 (ja) バルブタイミング変更装置
US8991348B2 (en) Valve timing control apparatus
JP6374055B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2003041913A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2012002081A (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP4573127B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5925506B2 (ja) バルブタイミング変更装置
JP5022327B2 (ja) 内燃機関の可変バルブタイミング機構
JP6115201B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2000130116A (ja) カム位相可変装置
JP4062224B2 (ja) 弁開閉時期制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140529

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150324

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5738076

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees