JP2012246646A - コンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材、その施工方法および施工用治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 補強布12で補強された2枚の防止材本体11,11の両端部を重ねて碇着部13,13を設けて横断面形状を環状とし、防止材本体11,11を重ねるようにして薄くすることで、目地部3の海(水)側から挿着して目地部3内に配置し、環状の横断面内部に充填部材5を充填することで、防止材本体11,11を目地部3の側壁に密着させるように挿着する。
これにより、上部工の掘削や挿入用の穴を穿孔する必要がなく、簡単に目地部3の海(水)側から吸出し防止材10を取り付けて裏込め材の吸出しを防止する。また、目地部3に変位が生じても充填部材5が充填された吸出し防止材10の横断面形状の変化などで対応できるようにしている。
【選択図】 図2
Description
また、耐候性ゴムの管体をケーソンの目地部に上下方向に沿って挿入し、拡径部材を構成するボルト・ナットで外側から締め付けることで、管体を弾性変形させて目地部を閉塞できるようにするものがある(特許文献2参照)。
さらに、ケーソンの目地部に跨って上部から挿入穴を切削して穿孔し、この挿入穴に充填材案内体を挿入し、その内部に流動性充填材を所定高さまで充填するようにするものがある(特許文献3参照)。
また、目地部に耐候性ゴムの管体を装着し、ボルト・ナットで拡幅して目地部を閉塞する方法では、目地部の上部を覆っている上部工を掘削する必要があり、大掛かりな工事となるという問題がある。
さらに、目地部を跨いで挿入穴を切削して穿孔し、挿入穴に充填材案内体を挿入し、内部に流動充填材を充填する方法では、挿入穴の切削穿孔のため、上部工の掘削が必要で、その後に挿入穴の穿孔も必要であることから一層大掛かりな工事となるという問題がある。
これにより、目地部に変位が生じても充填部材が充填された吸出し防止材の横断面形状の変化などで対応することができる。
これにより、上部工の掘削や挿入用の穴を穿孔する必要がなく、簡単に目地部の海(水)側から吸出し防止材を取り付けて裏込め材の吸出しを防止することができるとともに、目地部に変位が生じても充填部材が充填された吸出し防止材の横断面形状の変化などで対応することができる。
このコンクリート製および鋼製構造物の吸出し防止材10は、図1に示すように、例えばコンクリート構造物であるケーソン1,1の目地部3の海側から両側壁間に挿着し、環状の横断面形状の内側に充填部材5の充填により両側壁に密着させて遮水および吸出し防止を図るとともに、目地部3の開閉および剪断変位を吸収するものであり、特に、既設のコンクリート構造物であるケーソン1,1の目地部3間から裏込め材の吸い出しが生じている場合の補修に適用して好適なものであるが、新設のコンクリート製および鋼製構造物への適用も可能である。
これにより、吸出し防止材10では、横断面形状が環状とされた防止材本体11,11の両端縁部が碇着部13,13によって閉塞され、防止材本体11,11を重ねるようにすることで、目地部3への挿着を容易にできるとともに、運搬の際には、巻いて運ぶことができるようにしてある。
この吸出し防止材10の底部は、防止材本体11,11を袋閉じ部14で閉塞され、しかも内側(上方)に折り込んであり、目地部3への取り付け後のケーソン1,1の上下方向の変位に対して伸長することで追従して遮水や吸出し防止状態を保持できるようにしてある。
さらに、防止材本体11,11の外表面には、目地部3の上下方向に沿う突条部15が防止材本体11,11の成形の際に一体に形成され、目地部3の側壁への接触面圧を高めることで、遮水性および吸出し防止性を向上できるようにしてあり、この実施の形態では、片側に間隔をあけて6本ずつ設けてある。
この吸出し防止材10を目地部3の空間に挿し込む場合には、防止材本体11,11を重ねるようにして薄くしておき、碇着部13の剛性による自立性を利用して挿入用の支持部として挿着することで、施工を容易に行うことができる。
なお、上記の潜水夫などにより施工する場合のほか、実際の吸出し防止材10の目地部3への挿着には、後述する専用の施工用治具を用いることで、施工性を向上できるようにする。
この充填部材5の充填は、ケーソン1,1の上部を覆う上部工4に穴を空け、シュータを設置して充填部材5を投入するようにしたり、上部工4の下面の隙間からシュータの先端を挿し込んで充填部材5を投入するようにする。
充填部材5としては、これまでと同様に、土砂、アスファルトマチックなどを用いるほか、水分との接触で膨張する高吸水性樹脂を混入したものを使用しても良く、こうすることで、充填部材の投入時の目詰まりを無くすなど機械的にポンプなどで圧送して充填することで、施工性を向上することができる。
充填部材5の充填で膨らませて目地部3の両側壁に密着される防止材本体11,11には、突条部15が複数本形成してあるので、突条部15での密着圧力が高まり、確実に遮水することができるとともに、裏込め材の吸出しを防止することができる。
これにより、目地部3に変位が生じても充填部材5が充填された吸出し防止材10の横断面形状の変化などで対応することができる。
これにより、上部工4の掘削や挿入用の穴を穿孔する必要がなく、簡単に目地部3の海(水)側から吸出し防止材10を取り付けて裏込め材の吸出しを防止することができるとともに、目地部3に変位が生じても充填部材5が充填された吸出し防止材10の横断面形状の変化などで対応することができる。
この施工用治具20は、吸出し防止材10の一端部の碇着部13が装着される治具本体21を備え、この治具本体21は目地部3の高さ方向に複数に分割したものを連結して使用するようにしてある。
すなわち、治具本体21は、吸出し防止材10の碇着部13が入る中空矩形状の装着部22の前面に防止材本体11,11をスライドさせて通過できる開口部23が形成され、後面には、連結板24が上下にそれぞれボルトで連結されるようになっており、連結板24の上下端部に装着部22をそれぞれ連結すること(図示例では、5個の装着部22および連結板24を用いている)で、目地部3の高さにあわせた施工用治具とすることができるようになっている。さらに、最下部の装着部22には、底板25が吸出し防止材10の目地部3に沿う方向の寸法に合わせて突き出すように取り付けてあり、最上部の装着22の上方に突き出す連結板24は、目地部3の高さより上方に突き出す長さとされ、ケーソン1,1などの上部から操作できるようにしてある。
そして、吸出し防止材10の目地部3の海(水)側の手前に位置させる碇着部13を治具本体21の装着部22に入れ、2枚の防止材本体11,11を開口部23に位置させてスライドさせ、施工用治具20の底板25に吸出し防止材10の下端部が当たるまで押し込んで取り付ける。
次に、施工用治具20ごと吸出し防止材10を目地部3の外側にクレーなどを用いて吊り下ろした後、吸出し防止材10を目地部3の空間に入れるように施工用治具20を引き寄せるようにして挿着したり、吸出し防止材10の下端部を先に目地部3に入れるように施工用治具20を傾けた後、施工用治具20の下端部を支点として施工用治具20ごと起こすように回動し、吸出し防止材20を目地部3内に挿着するようにすることもでき、回動操作をクレーンなどを利用して行うことで、作業者の力によることなく簡単に施工することができる。
こうして目地部3に吸出し防止材10を装着した後、施工用治具20ごと押え部材16で固定するようにしたり、最下部の底板25を残し、施工用治具20を上方に引き上げるようにスライドさせて取り外し、その後、押え部材16を取り付けるようにする。
この施工用治具30は、治具本体31に、吸出し防止材10の碇着部13をスライド可能にガイドするガイド溝32を例えば全長にわたって設け、予め目地部3の海(水)側の内側に治具本体31を固定しておき、目地部3の上端に吸出し防止材10を挿入する隙間を確保して全長にわたるガイド溝32に沿って吸出し防止材10の碇着部13をスライドさせて挿着することで、目地部3に施工するようにするものである。
したがって、この治具本体31も治具本体21と同様、碇着部13を囲む矩形断面の装着部22の前面に開口部23を形成することで、吸出し防止材10の碇着部13をスライド可能にガイドするガイド溝32が構成されており、基本的な構成は施工用治具20と略同一とされ、予め吸出し防止材10を取り付けてから目地部3に装着するか、施工用治具30を予め目地部3に固定した後、吸出し防止材10をスライドして取り付けるようにするかの使用方法が相違するものである。
したがって、この施工用治具30では、ガイド溝32を利用して吸出し防止材10を目地部3に挿着した後、そのまま施工用治具30を残すことで作業を完了することで、作業の簡素化を図ることができる。
この施工用治具40は、吸出し防止材10の上端部だけを拘束して目地部3に装着するものである。
この施工用治具40の治具本体41は吸出し部材10が装着できる枠状に構成されて吸出し防止材10の奥行きより相当大きくしてある。
この治具本体41には、吸出し防止材10の目地部3の海(水)側上端部を固定する固定部材42が中間部に設けられるとともに、目地部3の奥側上端部を係止する係止部材43が先端部に設けてあり、固定部材42としてボルトが用いられて水平に突き出すようになっており、係止部材43としてピンが用いられて水平に対向して突き出すようになっている。
そして、吸出し防止材10には、固定部材42のボルトがねじ込まれるねじ穴17が形成されるとともに、係止部材43のピンが挿し込まれるピン穴18が形成してある。
また、治具本体41には、枠状の上部と下部にそれぞれ吊り下げ用の穴が形成されたブラケット44が複数設けてあり、図示例では、上部に3個設けられ、下部に1個設けてある。
こうして吸出し防止材10の上端部を施工用治具40に挿着した後、治具本体41の挿着方向外側のブラケット44を介して吊り下げ、目地部3内に引き入れるようにして挿着する。また、吊り下げた状態で治具本体41の下方に突き出すブラケット44と目地部3の下端部にアンカーボルト45を結ぶワイヤをクレーンなどで引き込むようにし、アンカーボルト45部分を支点として引き込むようにして機械的に吸出し防止材10を目地部3に装着するようにする。
なお、吸出し防止材10の挿着完了後は、施工用治具40の基端側(外側)の固定部材42のボルトを外した後、施工用治具40の基端側を持ち上げるようにして奥側に押し込んでピン穴18から係止部材43のピンを引き抜くようにして係止状態を開放することで、施工用治具40を簡単に取り外すことができる。
2 フーチング部
3 目地部
4 上部工
5 充填部材
10 吸出し防止材
11 防止材本体
12 補強布
13 碇着部
14 袋閉じ部
15 突条部
16 押え部材
17 ねじ穴
18 ピン穴
20 施工用治具
21 治具本体
22 装着部
23 開口部
24 連結板
25 底板
30 施工用治具
31 治具本体
32 ガイド溝
40 施工用治具
41 治具本体
42 固定部材(ボルト)
43 係止部材(ピン)
44 ブラケット(ワイヤ取付用)
45 アンカーボルト
Claims (12)
- コンクリート製および鋼製構造物間の目地部に設置され土砂などの裏込め材の吸い出しを防止するコンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材であって、
内部に補強布が埋設されゴム・合成樹脂などの弾性変形可能な材料からなる2枚の防止材本体を備え、この防止材本体の両端部をそれぞれ重ね合わせて横断面形状を環状とした碇着部を設け、
目地部間の側壁方向に沿って目地部の海(水)側から挿着配置され、環状の横断面内部に充填部材が充填されて目地部間の両側壁に密着させて吸出し防止可能に構成したことを特徴とするコンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材。 - 前記防止材本体には、外表面に目地部の高さ方向に沿う吸い出し防止用の突条部を形成して構成したことを特徴とする請求項1記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材。
- 前記碇着部は、前記補強布を重ねて外側に被覆部材を設けて目地部への挿入用の支持部と兼用可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材。
- 前記防止材本体は、下端部を塞ぐとともに、内側に折り込んで袋状に形成し、目地部の上下方向の変位に追従して伸長可能に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部の吸出し防止材。
- コンクリート製および鋼製構造物間の目地部に土砂などの裏込め材の吸い出しを防止する吸出し防止材を挿着・施工するに際し、
前記目地部の海(水)側から目地部内を清掃した後、前記請求項1〜4のいずれかに記載の吸出し防止材を施工用治具を用いて防止材本体を重ねた状態として目地部の海(水)側から装着し、次いで、吸出し防止材の環状の横断面内部に充填部材を充填して目地部間の両側壁に密着させるようにしたことを特徴とするコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工方法。 - 前記目地部の海(水)側の端に前記吸出し防止材の突出を押える押え部材を設けてコンクリート製および鋼製構造物に固定するようにしたことを特徴とする請求項5記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工方法。
- 前記施工用治具に前記吸出し防止材の目地部の海(水)側となる前記碇着部を取り付けた後、施工用治具ごと下端部を目地部の海(水)側の下端部に装着し、当該下端部を支点として回動させて吸出し防止部材を挿着するようにしたことを特徴とする請求項5または6記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工方法。
- 前記施工用治具を前記目地部の海(水)内側に設置した後、この施工用治具に設けたガイド溝に沿って前記吸出し防止材を挿着するようにしたことを特徴とする請求項5または6記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工方法。
- 前記施工用治具を、前記押え部材と兼用してコンクリート製および鋼製構造物に設置したままとするようにしたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地材への吸出し防止材の施工方法。
- コンクリート製および鋼製構造物間の目地部に土砂などの裏込め材の吸い出しを防止する吸出し防止材を挿着・施工する施工用治具であって、
前記請求項1〜4のいずれかに記載の吸出し防止材の一端部の碇着部が装着される治具本体を備え、この治具本体を目地部の高さ方向に複数に分割・連結可能に構成したことを特徴とするコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工用治具。 - 前記治具本体に、前記碇着部をスライド可能にガイドするガイド溝を設け、予め目地部の海(水)側の内側に固定した治具本体のガイド溝に碇着部をスライドさせて挿着可能に構成したことを特徴とする請求項10記載のコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工用治具。
- コンクリート製および鋼製構造物間の目地部に土砂などの裏込め材の吸い出しを防止する吸出し防止材を挿着・施工する施工用治具であって、
前記請求項1〜4のいずれかに記載の吸出し防止材の上端部が装着される治具本体を備え、この治具本体に、前記吸出し防止材の目地部海(水)側上端部を固定する固定部材と、目地部奥側上端部を係止する係止部材とを設け、目地部に挿着後固定部材を取り外して係止部材の係止を解放可能に構成したことを特徴とするコンクリート製および鋼製構造物の目地部への吸出し防止材の施工用治具。
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