JP2012243981A - 太陽電池、太陽電池用透明導電膜付き基板及びそれらの製造方法 - Google Patents

太陽電池、太陽電池用透明導電膜付き基板及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短波長域における光の透過率を高め、光の利用効率を向上させた太陽電池を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池は、透明基板2の一面上に、透明導電膜4が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板10と、前記透明導電膜上に配された発電部6、7と、を少なくとも有する太陽電池1A(1)であって、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池、太陽電池用透明導電膜付き基板及びそれらの製造方法に関する。詳しくは、短波長域における光の透過率を高め、光の利用効率を向上させた太陽電池、太陽電池用透明導電膜付き基板及びそれらの製造方法に関する。
太陽光に含まれる光子というエネルギー粒子がi層に当たると光起電力効果により、電子と正孔(hole)が発生し、電子はn層、正孔はp層に向かって移動する。この光起電力効果により発生した電子を上部電極と裏面電極により取り出して、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子が太陽電池である。
図10は、アモルファスシリコン太陽電池の概略断面図である。太陽電池100は、表面を構成するガラス基板101と、ガラス基板101上に設けられた酸化亜鉛系の透明導電膜からなる上部電極103と、アモルファスシリコンで構成されたトップセル105と、トップセル105と後述するボトムセル109との間に設けられた透明導電膜からなる中間電極107と、微結晶シリコンで構成されたボトムセル109と、透明導電膜からなるバッファー層110と、金属膜からなる裏面電極111とが積層されている。
トップセル105は、p層(105p)、i層(105i)、n層(105n)の3層構造で構成されており、このうちi層(105i)がアモルファスシリコンで形成されている。また、ボトムセル109もトップセル105と同様にp層(109p)、i層(109i)、n層(109n)の3層構造で構成されており、このうちi層(109i)が微結晶シリコンで構成されている。
このような太陽電池100において、ガラス基板101側から入射した太陽光は、上部電極103、トップセル105(p-i-n層)、バッファー層110を通って、裏面電極111で反射される。太陽電池には光エネルギーの変換効率を向上させるために、裏面電極111で太陽光を反射させたり、上部電極101には入射した太陽光の光路を伸ばすプリズム効果と光の閉じ込め効果を目的としたテクスチャーと呼ばれる構造を設けるなどの工夫がなされている。バッファー層110は裏面電極111に用いられている金属膜の拡散防止などを目的としている。
太陽電池に用いられる透明導電膜に要求される特性は大きく分けて、導電性、光学特性、テクスチャー構造の3要素である。1つめの導電性においては、発電した電気を取り出すため低い電気抵抗が要求される。一般的に太陽電池用透明導電膜に使用されているFTOは、CVDにより作成される透明導電膜でSnO2にFを添加することにより、FがOを置換し導電性を得ている。また、ポストITOとして注目の高いZnO系材料はスパッタによる成膜が可能で、酸素欠損とAl等を含む材料をZnOに添加することにより導電性を得ている。
2つめに、太陽電池用透明導電膜は主に入射光側で使用されるため、発電層で吸収される波長帯域を透過する光学特性が要求される。
3つめに、太陽光を効率的に発電層で吸収するために光を散乱させるテクスチャー構造が必要となり、通常、スパッタプロセスで作成したZnO系薄膜は平坦な表面状態となるため、ウェットエッチング等によるテクスチャー形成処理が必要となる。
このようなテクスチャーが形成された透明導電膜が、透明基板上に配されてなる、透明導電膜付き基板が、各種ガラスメーカー等により開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。
しかしながら、酸化アルミニウムが添加された酸化亜鉛を用いた透明導電膜は、材料固有の特性で吸収端が350nm程度の場所にあり、それよりも短波長域の光の透過率が大きく低下してしまう。太陽電池を構成した場合にも、短波長域の光を発電層に届けることができず、光電変換に用いることができなかった。そのため、太陽電池全体としての光の利用効率を上げることが困難であった。
特開2009−140930号公報 特開2002−1583665号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、短波長域における光の透過率を高め、光の利用効率を向上させた太陽電池を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、短波長域における光の透過率を高め、光の利用効率を向上させた太陽電池を、簡便な方法で製造することが可能な、太陽電池の製造方法を提供することを第二の目的とする。
また、本発明は、短波長域における光の透過率を高めた太陽電池用透明導電膜付き基板を提供することを第三の目的とする。
また、本発明は、短波長域における光の透過率を高めた太陽電池用透明導電膜付き基板を、簡便な方法で製造することが可能な、太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法を提供することを第四の目的とする。
本発明の請求項1に記載の太陽電池は、透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板と、前記透明導電膜上に配された発電部と、を少なくとも有する太陽電池であって、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする。
本発明の請求項2に記載の太陽電池は、請求項1において、前記透明導電膜は、前記透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜と、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜とを順に積層してなること、を特徴とする。
本発明の請求項3に記載の太陽電池は、請求項1または2において、前記透明導電膜において、前記発電部と接する面側にテクスチャーが形成されていること、を特徴とする。
本発明の請求項4に記載の太陽電池は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記発電部は、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を積層したpin型の光電変換ユニットであること、を特徴とする。
本発明の請求項5に記載の太陽電池の製造方法は、透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板と、前記透明導電膜上に配された発電部と、を少なくとも有し、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含む太陽電池の製造方法であって、前記透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する第一ステップを含む工程Aと、前記透明導電膜上に前記発電部を形成する工程Bと、を有すること、を特徴とする。
本発明の請求項6に記載の太陽電池の製造方法は、請求項5において、前記工程Aは、前記第一ステップで形成した透明導電膜上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する第二ステップを、さらに有すること、を特徴とする。
本発明の請求項7に記載の太陽電池の製造方法は、請求項5または6において、前記工程Aは、第一ステップ、第二ステップの後に、前記透明導電膜にテクスチャーを形成する第三ステップを、さらに有すること、を特徴とする。
本発明の請求項8に記載の太陽電池の製造方法は、請求項5ないし7のいずれかにおいて、前記工程Bにおいて、前記工程A前記透明導電膜上に、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を順に積層することにより、前記発電部としてpin型の光電変換ユニットを形成すること、を特徴とする。
本発明の請求項9に記載の太陽電池用透明導電膜付き基板は、透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板であって、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする。
本発明の請求項10に記載の太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法は、透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなり、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含む太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法であって、透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する工程を有すること、を特徴とする。
本発明の太陽電池では、透明導電膜が、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含んでいる。これにより、短波長域における光の透過率を高めることができる。その結果、本発明では、短波長域の光を発電層に届けて光電変換に利用することができるようになり、光の利用効率を向上させた太陽電池を提供することができる。
また、本発明の太陽電池の製造方法では、透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する工程を有している。これにより本発明では、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができ、光の利用効率を向上させた太陽電池を、簡便な方法で製造することが可能な、太陽電池の製造方法を提供することができる。
また、本発明の太陽電池用透明導電膜付き基板は、透明導電膜が、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含んでいる。これにより本発明では、短波長域における光の透過率を高めた太陽電池用透明導電膜付き基板を提供することができる。
また、本発明の太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法は、透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する工程を有している。これにより本発明では、短波長域における光の透過率を高めた太陽電池用透明導電膜付き基板を、簡便な方法で製造することが可能な、太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法を提供することができる。
本発明に係る太陽電池の一例を示す断面図。 ガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)と、アルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)について、波長と透過率との関係を示す図。 ガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)と、アルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)について、膜厚と比抵抗との関係を示す図。 本発明の太陽電池の製造方法に好適な成膜装置を示す概略構成図。 図4の成膜装置において成膜室の主要部を示す断面図。 成膜装置の別な一例を示す断面図。 連続成膜装置の一例を示す模式図。 本発明に係る太陽電池の一例(第二実施形態)を示す断面図。 実験例の太陽電池について、量子効率(QE)の測定結果を示す図。 従来の太陽電池の一例を示す断面図。
以下、本発明に係る太陽電池及びその製造方法の最良の形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<第一実施形態>
(太陽電池)
本実施形態では、本発明に係る太陽電池の一実施形態を、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を積層したpin型の光電変換ユニットを発電部として有する太陽電池を例に挙げて説明するが、本発明はこれ以外の形態の発電部を有する太陽電池についても適用可能である。
特に、本実施形態では、本発明に係る太陽電池の一実施形態を、第一光電変換ユニット(トップセル)としてアモルファスシリコン型の太陽電池、第二光電変換ユニット(ボトムセル)として微結晶シリコン型の太陽電池として積層したタンデム構造の太陽電池の場合を例に図面に基づいて説明する。
まず、本発明の太陽電池について、図1に基づいて説明する。図1は太陽電池1A(1)の構成の一例を示す断面図である。
太陽電池1A(1)は、表面を構成するガラス基板等からなる絶縁性の透明基板2と、透明基板2上に設けられた酸化亜鉛系の透明導電膜4からなる上部電極3と、アモルファスシリコンで構成された第一光電変換ユニット6と、微結晶シリコンで構成された第二光電変換ユニット7と、透明導電膜4からなるバッファー層11と、金属膜からなる裏面電極12とが積層されている。透明基板2と、該透明基板2上に設けられた透明導電膜4とは、本発明の透明導電膜付き基板10を構成する。
そして本発明の太陽電池1A(1)は、透明導電膜付き基板10において、透明導電膜4は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする。
従来、透明導電膜4にはアルミニウムが添加された酸化亜鉛が用いられていたが、短波長域における光の透過率が低いため、短波長域の光を発電層に届けて光電変換に用いることができず、光の利用効率を上げることが困難であった。
本発明の太陽電池1A(1)では、透明導電膜4が、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含んでいる。酸化亜鉛系材料はスパッタによる成膜が可能であるとともに、ウェットエッチングによるテクスチャー形成が容易であるため、透明導電膜4の主材料の変更は難しい。そこで本発明では添加材料を変更した。
ここで、図2は、ガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)と、アルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)について、波長と透過率との関係を示す図である。また、図3は、ガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)と、アルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)について、膜厚と比抵抗との関係を示す図である。
図2に示すように、ガリウムが添加された酸化亜鉛は、アルミニウムが添加された酸化亜鉛に比べて短波長域の透過率が良好であり、ガリウムが添加された酸化亜鉛を用いることで、短波長域における光の透過率を高めることができる。その結果、本発明の太陽電池1A(1)は、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができるようになり、光の利用効率が向上したものとなる。
本実施形態の太陽電池1A(1)において、前記透明導電膜4は、前記透明基板2の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aと、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bとを順に積層してなる。
下層である第一透明導電膜4aには、高透過率、低抵抗の性質が求められる。ガリウム添加の酸化亜鉛は、短波長域の透過率が良好であり、また、図3に示すように、比抵抗が、アルミニウム添加の酸化亜鉛よりも低いため、積層構造とした透明導電膜4の下層として好適である。
第一透明導電膜4aの厚みは、例えば200〜400nmとすることが好ましい。
また、上層である第二透明導電膜4bを、低コストのアルミニウムが添加された酸化亜鉛を用いることで、第二透明導電膜4bにウェットエッチングでテクスチャーを形成することが可能になる。
第二透明導電膜4bの厚みは、例えば400〜1000nmとすることが好ましい。
このように透明導電膜4を、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aと、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bとが積層されてなる構造とすることで、高透過率、低抵抗を確保するとともに、テクスチャーの形成が可能になる。
透明導電膜4には、発電部と接する面側にテクスチャーが形成されている。ここでは、第二透明導電膜4bにテクスチャーが形成されている。
特に、透明導電膜4は、後述する製造方法により成膜されていることで所望の荒さの微細テクスチャーを有するものとなる。これにより、太陽電池1A(1)は、テクスチャー構造によるプリズム効果と光の閉じ込め効果を十分に有し、変換効率の高いものとなる。
また、太陽電池1A(1)は、a−Si/微結晶Siタンデム型太陽電池1A(1)となっている。このようなタンデム構造の太陽電池1A(1)では、短波長光を第一光電変換ユニット6で、長波長光を第二光電変換ユニット7でそれぞれ吸収することで発電効率の向上を図ることができる。なお、上部電極3の膜厚は、200〜1000nmの膜厚で形成されている。
第一光電変換ユニット6は、p層(6p)、i層(6i)、n層(6n)の3層構造で構成されており、これらp層(6p)、i層(6i)及びn層(6n)はアモルファスシリコンで形成されている。また、第二光電変換ユニット7も、第一光電変換ユニット6と同様にp層(7p)、i層(7i)、n層(7n)の3層構造で構成されており、これらp層(7p)、i層(7i)及びn層(7n)は微結晶シリコンで構成されている。
そして太陽電池1A(1)は、前記透明導電膜4と、前記光電変換ユニット6を構成する前記p層(6p)との間に、結晶質のシリコン系薄膜からなるp層が中間層5として配されている。
前記透明導電膜4と、第一光電変換ユニット6を構成するp層(6p)の間に、結晶質のシリコン系薄膜からなるp層が中間層5として配されているので、透明導電膜4と、アモルファスのシリコン系薄膜からなるp層(6p)との界面における不整合を緩和することができる。これにより、第一光電変換ユニットの曲線因子(FF)を向上させることができる。その結果、太陽電池1A(1)は、高い変換効率を有するものとなる。
このような構成の太陽電池1A(1)は、太陽光に含まれる光子というエネルギー粒子がi層に当たると光起電力効果により、電子と正孔(hole)が発生し、電子はn層、正孔はp層に向かって移動する。この光起電力効果により発生した電子を上部電極3と裏面電極63により取り出して、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
また、透明基板2側から入射した太陽光は、各層を通過して裏面電極12で反射される。太陽電池1A(1)には光エネルギーの変換効率を向上させるために、上部電極3に入射した太陽光の光路を伸ばすプリズム効果と光の閉じ込め効果を目的としたテクスチャー構造を採用している。
後述するように、上部電極3を構成する透明導電膜4の形成において、ZnOを主成分とした材料を母材として用いてスパッタを行うことにより透明基板2上に前明導電膜を成膜し、その後、透明導電膜4に対してウェットエッチングを行い、表面に微細テクスチャーを形成している。このとき、ウェットエッチングの各種条件を変えることで、テクスチャーの形状を制御することができる。これにより自由度が高く所望の荒さを有する微細テクスチャーを形成することができる。
その結果、このようにして得られた太陽電池用透明導電膜付き基板10は、透明導電膜4の表面に自由度が高く所望の荒さを有する微細テクスチャーが形成されたものとなる。これにより太陽電池用透明導電膜付き基板10は、テクスチャー構造によるプリズム効果と光の閉じ込め効果を十分に得ることができる。
なお、第一光電変換ユニット6と第二光電変換ユニット7との間に中間電極8を設けてもよい。第一光電変換ユニット6と第二光電変換ユニット7との間に中間電極8を設けることにより、第一光電変換ユニット6を通過して第二光電変換ユニット7に到達する光の一部が中間電極8で反射して再び第一光電変換ユニット6側に入射するため、セルの感度特性が向上し、発電効率の向上に寄与する。
(太陽電池の製造方法)
次に、このような太陽電池1A(1)の製造方法について説明する。
本発明の太陽電池の製造方法は、前記透明基板2の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜4を形成する第一ステップを含む工程Aと、前記透明導電膜4上に前記発電部を形成する工程Bと、を有すること、を特徴とする。本発明では、短波長域における光の透過率を高め、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができ、光の利用効率を向上させた太陽電池1A(1)を、簡便な方法で製造することが可能である。
以下、工程順に説明する。
まず、透明基板2の一面上に、透明導電膜4を形成する(工程A)
本実施形態において、工程Aは、所望のプロセスガス雰囲気中にて、第一透明導電膜4aの母材をなすターゲットにスパッタ電圧を印加しつつ、該ターゲットの表面に水平磁界を発生させてスパッタを行い、前記透明基板2の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aを形成する第一ステップと、所望のプロセスガス雰囲気中にて、第二透明導電膜4bの母材をなすターゲットにスパッタ電圧を印加しつつ、該ターゲットの表面に水平磁界を発生させてスパッタを行い、前記第一ステップで形成した第一透明導電膜4a上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bを形成する第二ステップと、前記第二透明導電膜4bにテクスチャーを形成する第三ステップとを、有する。
透明導電膜4の形成において、ガリウムが添加された酸化亜鉛を主成分とした材料を母材として用いてスパッタを行うことにより、透明基板2上にガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aを成膜する(第一ステップ)。
また、アルミニウムが添加された酸化亜鉛を主成分とした材料を母材として用いてスパッタを行うことにより、第一透明導電膜4a上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bを形成する(第二ステップ)。
ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aと、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bとを積層することで、高透過率、低抵抗を確保するとともに、テクスチャーの形成を可能とした透明導電膜4を形成することができる。
その後、透明導電膜4(第二透明導電膜4b)に対してウェットエッチングを行い、表面に微細テクスチャーを形成する(第三ステップ)。このとき、ウェットエッチングの各種条件を変えることで、テクスチャーの形状を制御することができる。これにより自由度が高く所望の荒さを有する微細テクスチャーを形成することができるので、テクスチャー構造を付加した太陽電池1A(1)が得られる。このテクスチャー構造は、プリズム効果と光の閉じ込め効果をもたらすので、太陽電池1A(1)は変換効率の高いものとなる。
次に、前記透明導電膜4上に発電部を形成する(工程B)。
本実施形態においては、前記透明導電膜4上に、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を積層したpin型の光電変換ユニットを形成するステップ、を少なくとも順に備える。
なお、透明導電膜4と、第一光電変換ユニット6を構成するp層(6p)との間に、結晶質のシリコン系薄膜からなるp層を中間層5として形成してもよい。
透明導電膜4と、第一光電変換ユニット6を構成しアモルファスのシリコン系薄膜からなるp層(6p)との間に、結晶質のシリコン系薄膜からなるp層を中間層5として形成することで、透明導電膜4と、アモルファスのシリコン系薄膜からなるp層(6p)との界面における不整合を緩和することができる。これにより、第一光電変換ユニット6の曲線因子(FF)を向上させることができる。このように太陽電池1A(1)では、中間層5を挿入することにより、FFを向上することができ、第一光電変換ユニット6の発電効率を向上することができ、ひいては装置全体としての光電変換効率を向上することが可能である。
その結果、テクスチャー構造によるプリズム効果と光の閉じ込め効果を十分に得ることができ、変換効率の高い太陽電池1A(1)を作製することが可能となる。
中間層5の厚さは、例えば5〜10nmの範囲であることが好ましい。例えば50Åとすることができる。中間層5の厚さが5〜10nmの範囲において、曲線因子(FF)と電圧(Voc)が増大し、光電変換効率が増大する効果が認められる。
まず、本発明の太陽電池の製造方法において、上部電極3をなす酸化亜鉛系の透明導電膜4を形成するのに好適なスパッタ装置(成膜装置)の一例を説明する。
(スパッタ装置1)
図4は、本発明の太陽電池の製造方法に用いられるスパッタ装置(成膜装置)の一例を示す概略構成図、図5は同スパッタ装置の成膜室の主要部を示す断面図である。スパッタ装置20は、インターバック式のスパッタ装置であり、例えば、無アルカリガラス基板(図示せず)等の基板を搬入/搬出する仕込み/取出し室22と、基板上に酸化亜鉛系の透明導電膜4を成膜する成膜室(真空容器)23とを備えている。
仕込み/取出し室22には、この室内を粗真空引きするロータリーポンプ等の粗引き排気手段24が設けられ、この室内には、基板を保持・搬送するための基板トレイ25が移動可能に配置されている。
一方、成膜室23の一方の側面23aには、基板26を加熱するヒータ31が縦型に設けられ、他方の側面23bには、酸化亜鉛系材料のターゲット27を保持し所望のスパッタ電圧を印加するスパッタカソード機構(ターゲット保持手段)32が縦型に設けられ、さらに、この室内を高真空引きするターボ分子ポンプ等の高真空排気手段33、ターゲット27にスパッタ電圧を印加する電源34、この室内にガスを導入するガス導入手段35が設けられている。
スパッタカソード機構32は、板状の金属プレートからなるもので、ターゲット27を口ウ材等でボンディング(固定)により固定するためのものである。
電源34は、ターゲット27に直流電圧に高周波電圧が重畳されたスパッタ電圧を印加するためのもので、直流電源と高周波電源(図示略)とを備えている。
ガス導入手段35は、Ar等のスパッタガスを導入するスパッタガス導入手段35aと、水素ガスを導入する水素ガス導入手段35bと、酸素ガスを導入する酸素ガス導入手段35cと、水蒸気を導入する水蒸気導入手段35dとを備えている。
なお、このガス導入手段35では、水素ガス導入手段35b〜水蒸気導入手段35dについては、必要に応じて選択使用すればよく、例えば、水素ガス導入手段35bと酸素ガス導入手段35c、水素ガス導入手段35bと水蒸気導入手段35d、のように2つの手段により構成してもよい。
(スパッタ装置2)
図6は、本発明の太陽電池の製造方法に用いられる別なスパッタ装置の一例、即ちインターバック式のマグネトロンスパッタ装置の成膜室の主要部を示す断面図である。図6に示すマグネトロンスパッタ装置40が、図4、5に示すスパッタ装置20と異なる点は、成膜室23の―方の側面23aに酸化亜鉛系材料のターゲット27を保持し所望の磁界を発生するスパッタカソード機構(ターゲット保持手段)42を縦型に設けた点てある。
スパッタカソード機構42は、ターゲット27をロウ材等でボンディング(固定)した背面プレート43と、背面プレート43の裏面に沿って配置された磁気回路44とを備えている。この磁気回路44は、ターゲット27の表面に水平磁界を発生させるもので、複数の磁気回路ユニット(図6では2つ)44a、44bがブラケット45により連結されて一体化され、磁気回路ユニット44a、44bそれぞれは、背面プレート43側の表面の極性が相互に異なる第1磁石46および第2磁石47とこれらを装着するヨーク48とを備えている。
この磁気回路44では、背面プレート43側の極性が異なる第1磁石46および第2磁石47により、磁力線49で表される磁界が発生する。これにより、第1磁石46と第2磁石47との間におけるターゲット27の表面においては、垂直磁界が0(水平磁界が最大)となる位置50が発生する。この位置50に高密度プラズマが生成することで、成膜速度を向上しうるようになっている。
このような図6に示す成膜装置においては、成膜室23の一方の側面23aに所望の磁界を発生するスパッタカソード機構42を縦型に設けたので、スパッタ電圧を400V以下とし、ターゲット27表面における水平磁界強度の最大値を400ガウス以上とすることにより、結晶格子の整った酸化亜鉛系の透明導電膜4を成膜することができる。この酸化亜鉛系の透明導電膜4は、成膜後に高温でアニール処理を行っても酸化され難く、比抵抗の増加を抑制することができ、太陽電池1A(1)の上部電極3をなす酸化亜鉛系の透明導電膜4を耐熱性に優れたものにすることができる。
次に、本発明の太陽電池の製造方法の一例として、図4、5に示すスパッタ装置20を用いて、太陽電池1A(1)の上部電極3をなす酸化亜鉛系の透明導電膜4を透明基板2上に成膜する方法について例示する。
本実施形態において、透明基板2の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4a、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bを順に形成し、第二透明導電膜4bにテクスチャーを形成している。
まず、第一透明導電膜4aの母材をなすターゲット27をスパッタカソード機構32にロウ材等でボンディングして固定する。ここで、ターゲット材としては、ガリウム(Ga)を0.1〜10質量%添加したガリウム添加酸化亜鉛(GZO)が用いられる。ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)を用いることで、低波長域における光の透過率が高く、比抵抗の低い薄膜を成膜することができる。
次いで、基板26(透明基板2)を仕込み/取出し室22の基板トレイ25に収納した状態で、仕込み/取出し室22及び成膜室23を粗引き排気手段4で粗真空引きし、仕込み/取出し室22及び成膜室23が所定の真空度、例えば0.27Pa(2.0mTorr)となった後に、基板26を仕込み/取出し室22から成膜室23に搬入し、この基板26を、設定がオフになった状態のヒータ31の前に配置し、この基板26をターゲット27に対向させ、この基板26をヒータ31により加熱して、100〜600℃の温度範囲内とする。
次いで、高真空排気手段33を用いて成膜室23を高真空引きすることにより、成膜室23が所定の高真空度、例えば2.7×10−4Pa(2.0×10−3mTorr)となった後に、成膜室23に、スパッタガス導入手段35によりAr等のスパッタガスを導入し、成膜室23内を所定の圧力(スパッタ圧力)とする。
次いで、電源34によりターゲット27にスパッタ電圧、例えば、直流電圧に高周波電圧を重畳したスパッタ電圧を印加する。スパッタ電圧印加により、基板26上にプラズマが発生し、このプラズマにより励起されたAr等のスパッタガスのイオンがターゲット27に衝突し、このターゲット27からガリウム添加酸化亜鉛(GZO)を構成する原子を飛び出させ、基板26上にガリウムを含有する酸化亜鉛系材料からなる第一透明導電膜4aを成膜する。
続いて、第二透明導電膜4bの母材をなすターゲット27をスパッタカソード機構32にロウ材等でボンディングして固定する。ここで、ターゲット材としては、アルミニウム(Al)を0.1〜10質量%添加したアルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)が用いられる。
次いで、基板26(透明基板2)を仕込み/取出し室22の基板トレイ25に収納した状態で、仕込み/取出し室22及び成膜室23を粗引き排気手段4で粗真空引きし、仕込み/取出し室22及び成膜室23が所定の真空度、例えば0.27Pa(2.0mTorr)となった後に、基板26を仕込み/取出し室22から成膜室23に搬入し、この基板26を、設定がオフになった状態のヒータ31の前に配置し、この基板26をターゲット27に対向させ、この基板26をヒータ31により加熱して、100〜600℃の温度範囲内とする。
次いで、成膜室23を高真空排気手段33で高真空引きし、成膜室23が所定の高真空度、例えば2.7×10−4Pa(2.0×10−3mTorr)となった後に、成膜室23に、スパッタガス導入手段35 によりAr等のスパッタガスを導入し、成膜室23内を所定の圧力(スパッタ圧力)とする。
次いで、電源34によりターゲット27にスパッタ電圧、例えば、直流電圧に高周波電圧を重畳したスパッタ電圧を印加する。スパッタ電圧印加により、基板26上にプラズマが発生し、このプラズマにより励起されたAr等のスパッタガスのイオンがターゲット27に衝突し、このターゲット27からアルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)を構成する原子を飛び出させ、基板26上にアルミニウムを含有する酸化亜鉛系材料からなる第二透明導電膜4bを成膜する。
ここで、スパッタ時における成膜圧力と成膜速度との関係について説明する。
ターゲット材料やプロセスガスの種類にも依存するが、マグネトロンスパッタ法で成膜を行う場合、一般的に2mTorrから10mTorrの間の成膜圧力が選択される。成膜圧力が低い場合、プラズマのインピーダンスが高く放電できなかったり、放電できてもプラズマが不安定になる。逆に成膜圧力が高い場合は、プロセスガスとスパッタされたターゲット材料がスキャッタリングすることにより、基板への付着効率(成膜速度)が低下したり、カソード周辺部品にスパッタされたターゲット材料が着膜することで、カソードとアースが短絡したりと生産性が低下する。
以上のようにして基板26上に酸化亜鉛系材料からなる透明導電膜4を成膜した後、この基板26(透明基板2)を成膜室23から仕込み/取出し室2に搬送し、この仕込み/取出し室2の真空を破り、酸化亜鉛系の透明導電膜4が形成された基板26(透明基板2)を取り出す。
次いで、前記透明導電膜4(第二透明導電膜4b)に対してウェットエッチング処理を行う。特に本実施形態では、このとき、ウェットエッチングの各種条件を変えることで、テクスチャーの形状を制御することができる。これにより、透明導電膜4(第二透明導電膜4b)の表面に自由度が高く所望の形状を有する微細テクスチャーが形成される。
このようにして、透明基板2上に、透明導電膜4が形成されてなる透明導電膜付き基板10が得られる。この透明導電膜4は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含んでいる。これにより、短波長域における光の透過率を高めることができる。
ガリウムが添加された酸化亜鉛を含む透明導電膜4を有する透明導電膜付き基板10を太陽電池1A(1)に用いることで、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができるようになり、光の利用効率が向上した太陽電池1A(1)を作製することができる。
また、この透明導電膜4は、表面に自由度が高く所望の形状を有する微細なテクスチャー構造を有するものとなる。このような透明導電膜付き基板10を太陽電池1A(1)に用いることで、入射した太陽光の光路を伸ばすプリズム効果と光の閉じ込め効果を最大限に得ることができ、光電変換効率の高い太陽電池1A(1)を作製することができる。
次に、このような透明導電膜付き基板10を用いた、タンデム構造の太陽電池1A(1)の製造方法について工程順に説明する。
まず、透明導電膜付き基板10の透明導電膜4上に、p型半導体層(中間層5)、第一光電変換ユニット6のp型半導体層6p、i型半導体層6i、n型半導体層6nと、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7pを各々別々のプラズマCVD反応室内で形成する。すなわち、第一光電変換ユニット6のn型半導体層6n上に、第二光電変換ユニット7を構成するp型半導体層7pが設けられた太陽電池第一中間品が形成される。
引き続き、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7pを大気中に露呈させた後、大気中に露呈されたp型半導体層7p上に、第二光電変換ユニット7を構成するi型シリコン層(結晶質シリコン層)7i、n型半導体層7nを同一のプラズマCVD反応室内で形成する。すなわち、第一光電変換ユニット6上に、第二光電変換ユニット7が設けられた太陽電池第二中間品が形成される。
そして、第二光電変換ユニット7のn型半導体層7n上に、バッファー層11、裏面電極12を形成することにより、図1に示すような太陽電池1A(1)とする。
特に本実施形態では、透明導電膜4と第一光電変換ユニット6のp層6pとの間に、個別の成膜室で中間層5、を形成することで、良好な特性を有する太陽電池1A(1)を得ることができる。
以下では、上述した太陽電池1A(1)の製造システムを図面に基づいて説明する。
本発明に係る太陽電池1A(1)の製造システムは、第一光電変換ユニット6におけるp型半導体層6p、i型シリコン層(非晶質シリコン層)6i、n型半導体層6nと、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7pの各層を各々別々に形成するチャンバーと呼ばれる成膜反応室を複数直線状に連結して配置した、いわゆるインライン型の第一成膜装置60と、第二光電変換ユニット7のp層を大気中に露呈させる暴露装置と、第二光電変換ユニット7におけるi型シリコン層(結晶質シリコン層)7i、n型半導体層7n、を同一の成膜反応室内で、複数の基板を同時に処理して形成する、いわゆるバッチ型の第二成膜装置70とを順に配置したものである。
この太陽電池の製造システムを図7に示す。
製造システムは、図7に示すように、第一成膜装置60と、第二成膜装置70と、第一成膜装置60で処理した基板を大気に曝した後、第二成膜装置70へ移動する暴露装置80とから構成される。
製造システムにおける第一成膜装置60は、最初に基板を搬入し減圧雰囲気下とする仕込(L:Lord)室61が配置されている。なお、L室の後段に、プロセスに応じて、基板温度を一定温度まで加熱する加熱チャンバーを設けても良い。引き続き、透明導電膜4上に結晶質のシリコン系薄膜からなるp層を中間層5として形成するp層成膜反応室62、第一光電変換ユニット6のp型半導体層6pを形成するp層成膜反応室63、同i型シリコン層(非晶質シリコン層)6iを形成するi層成膜反応室64、同n型半導体層6nを形成するn層成膜反応室65、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7pを形成するp層成膜反応室66、が連続して直線状に配置されている。そして最後に、減圧状態を大気雰囲気に戻し基板を搬出する取出(UL:Unlord)室67を配置して構成されている。
この際、図7中A地点において、透明基板2上に透明導電膜4が成膜された透明導電膜付き基板10が準備される。また、図7中B地点において、透明基板2の上に成膜された透明導電膜4上に、p型半導体層(中間層5)、第一光電変換ユニット6のp型半導体層6p、i型シリコン層(非晶質シリコン層)6i、n型半導体層6nと、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7pの各層が設けられた太陽電池第一中間品が形成される。
また、製造システムにおける第二成膜装置70は、最初に第一成膜装置60で処理された太陽電池第一中間品を搬入して減圧雰囲気下としたり、あるいは減圧下にある基板を大気雰囲気として基板を搬出するための仕込・取出(L/UL)室71が配置されている。引き続き、この仕込・取出(L/UL)室71を介して、第二光電変換ユニット7のp型半導体層7p上に、第二光電変換ユニット7のi型シリコン層(結晶質シリコン層)7i、n型半導体層7n、を同一の反応室内で順次形成する、複数の基板を同時に処理することが可能な成膜反応室72を配置して構成されている。
この際、図7中C地点において、第一光電変換ユニット6上に、第二光電変換ユニット7が設けられた太陽電池第二中間品が形成される。
また、図7において、インライン型の第一成膜装置60は、2つの基板が同時に処理されるように示され、i層成膜反応室64は4つの反応室64a,64b,64c,64dによって構成されたものとして示されている。また、図7において、バッチ型の第二成膜装置70は、6つの基板が同時に処理されるように示されている。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、以下の説明においては、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
図8は、本実施形態にかかる太陽電池1B(1)の層構成を示す構造断面図である。
上述した第一実施形態では、透明導電膜4は、前記透明基板2の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜4aと、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜4bとが順に積層された構造をとっていたが、本実施形態においては、透明導電膜4が、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなり、単層構造となっている。
この太陽電池1B(10)においても、透明導電膜4に、短波長域の透過率が良好なガリウムが添加された酸化亜鉛を用いることで、短波長域における光の透過率を高めることができる。その結果、本発明の太陽電池1B(1)は、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができるようになり、光の利用効率が向上したものとなる。
また、この太陽電池1B(10)についても、透明導電膜4の表面に自由度が高く所望の荒さを有する微細テクスチャーが形成されている。このテクスチャー構造は、プリズム効果と光の閉じ込め効果をもたらすので、本発明に係る太陽電池1B(10)は変換効率の高いものとなる。
太陽電池1B(10)を構成する透明導電膜付き基板10について、透明導電膜4は、上述した第一実施形態における、第一透明導電膜4aと同様にして形成することができる。また、テクスチャーの形成も、上述した第一実施形態と同様にして行うことができる。
次に、本発明の効果について行った実験例について説明する。
(サンプル1)
まず、図4及び図5に示したような成膜装置(スパッタ装置)を用いて、基板上に透明導電膜を成膜した。
ZnOに不純物としてGaを5.7質量%添加した材料をターゲットとして用い、プロセスガスとしてArとOの混合ガスを導入しながら、0.4〜4Paの圧力、8W/cmのパワーでスパッタを行い、ガラス基板上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)からなる透明導電膜を400〜1000nmの膜厚に形成した。
透明導電膜を成膜後、30〜300秒間のウェットエッチングを行い、透明導電膜の表面にテクスチャーを形成した。
表面にテクスチャーが形成された透明導電膜を上部電極として用いて、pin型の光電変換ユニットからなる発電層を形成し、太陽電池を作製した。
(サンプル2)
基板上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜を上部電極として用いて、pin型の光電変換ユニットからなる発電層を形成し、太陽電池を作製した。
このとき、ZnOに不純物としてAlを2質量%添加した材料をターゲットとして用い、プロセスガスとしてArとOの混合ガスを導入しながら、0.4〜4Paの圧力、8W/cmのパワーでスパッタを行い、ガラス基板上にアルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)からなる透明導電膜を400〜1000nmの膜厚に形成した。
透明導電膜を成膜後、30〜300秒間のウェットエッチングを行い、透明導電膜の表面にテクスチャーを形成した。
(サンプル3)
基板上に透明導電膜を成膜し、この透明導電膜を上部電極として用いて、pin型の光電変換ユニットからなる発電層を形成し、太陽電池を作製した。
このとき、ZnOに不純物としてGaを5.7質量%添加した材料をターゲットとして用い、プロセスガスとしてArとOの混合ガスを導入しながら、0.4〜4Paの圧力、8W/cmのパワーでスパッタを行い、ガラス基板上にガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)からなる第一透明導電膜を200〜400nmの膜厚に形成した。
引き続き、ZnOに不純物としてAlを2質量%添加した材料をターゲットとして用い、プロセスガスとしてArとOの混合ガスを導入しながら、0.4〜4Paの圧力(ただし、第一透明導電膜の成膜時よりも高い圧力とする)、8W/cmのパワーでスパッタを行い、第一透明導電膜上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)からなる第二透明導電膜を400〜1000nmの膜厚に形成した。
第二透明導電膜を成膜後、30〜300秒間のウェットエッチングを行い、第二透明導電膜の表面にテクスチャーを形成した。
得られた太陽電池について、量子効率(QE)を測定した。その結果を図9に示す。
図9から明らかなように、透明導電膜にガリウムが添加された酸化亜鉛(GZO)を用いた太陽電池(サンプル1)では、透明導電膜にアルミニウムが添加された酸化亜鉛(AZO)を用いた太陽電池(サンプル2)に比べて、短波長域のQEが向上していることがわかる。また、透明導電膜を2層構造としたサンプル3についても、サンプル1と同様に良好な結果が得られた。
このように、本発明では、透明導電膜を、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含んで構成することで、短波長域の光を発電部に届けて光電変換に利用することができるようになり、光の利用効率を向上させた太陽電池を実現することができる。
上述した実施形態では、タンデム構造の太陽電池について説明したが、本発明は、タンデム構造に限定されず、本発明の透明導電膜付き基板を用いた、シングル構造、トリプル構造の太陽電池についても適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の薄膜太陽電池及びその製造方法について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
本発明は、太陽電池、太陽電池用透明導電膜付き基板、及びそれらの製造方法に広く適用可能である。
1A,1B(1) 太陽電池、2 ガラス基板(透明基板)、3 上部電極、4 透明導電膜、4a 第一透明導電膜、4b 第二透明導電膜、5 中間層、6 第一光電変換ユニット(発電部)、7 第二光電変換ユニット(発電部)、10 透明導電膜付き基板、11 バッファー層、12 裏面電極。

Claims (10)

  1. 透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板と、
    前記透明導電膜上に配された発電部と、を少なくとも有する太陽電池であって、
    前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする太陽電池。
  2. 前記透明導電膜は、
    前記透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる第一透明導電膜と、
    アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる第二透明導電膜とを順に積層してなること、を特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記透明導電膜において、前記発電部と接する面側にテクスチャーが形成されていること、を特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記発電部は、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を積層したpin型の光電変換ユニットであること、を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の太陽電池。
  5. 透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板と、前記透明導電膜上に配された発電部と、を少なくとも有し、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含む太陽電池の製造方法であって、
    前記透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する第一ステップを含む工程Aと、
    前記透明導電膜上に前記発電部を形成する工程Bと、を有すること、を特徴とする太陽電池の製造方法。
  6. 前記工程Aは、前記第一ステップで形成した透明導電膜上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する第二ステップを、さらに有すること、を特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記工程Aは、第一ステップ、第二ステップの後に、前記透明導電膜にテクスチャーを形成する第三ステップを、さらに有すること、を特徴とする請求項5または6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記工程Bにおいて、前記工程A前記透明導電膜上に、p型半導体層(p層)、実質的に真性なi型半導体層(i層)、n型半導体層(n層)を順に積層することにより、前記発電部としてpin型の光電変換ユニットを形成すること、を特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
  9. 透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなる太陽電池用透明導電膜付き基板であって、
    前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含むこと、を特徴とする太陽電池用透明導電膜付き基板。
  10. 透明基板の一面上に、透明導電膜が配されてなり、前記透明導電膜は、ガリウムが添加された酸化亜鉛を含む太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法であって、
    透明基板の一面上に、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成する工程を有すること、を特徴とする太陽電池用透明導電膜付き基板の製造方法。
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