JP2012242170A - 測定容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む凍結乾燥状態の固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質または標識された測定対象物を含む凍結乾燥状態の標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、を備え、かつ前記固相試薬収容部の内底面の形状が略平坦状である測定容器により、前記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質、または標識された測定対象物を含む、標識試薬と、
から構成される。
(A)一回の測定に必要な分量の固相試薬および標識試薬を、収容部を一つ備えた容器に封入した、いわゆるオールインワンタイプの測定容器で供給されているものや、
(B)一回の測定に必要な分量の固相試薬および標識試薬を、複数の収容部を備えた容器の各収容部に封入した測定容器で供給されているものもある。
前記(B)の例として、特許文献1では、複数の収容部を備えた容器(各収容部の外部形状は異なる)の異なる収容部に、一回の測定に必要な分量の固相試薬の乾固物と、一回の測定に必要な分量の標識試薬の液状試薬とを封入した測定容器を開示している。前記(B)のうち、複数の収容部を備えた容器の異なる収容部に、一回の測定に必要な分量の固相試薬と、一回の測定に必要な分量の標識試薬とを封入し、当該試薬を凍結乾燥して得られる、不均一系測定用の免疫反応試薬(測定容器)を用い、自動分析装置にて測定する場合は、試薬の溶解および試料(検体)との混合撹拌操作、特に最初に試料と接触する固相試薬の溶解および当該試料との撹拌操作を、いかに迅速かつ効率よく行なえるかが、前記免疫測定試薬の性能が十分に引き出せるか否かの鍵となる。
(1)固相試薬に試料(検体)を分注し撹拌後、第一の抗原抗体反応を行ない、
(2)第一のB/F(Bound/Free)分離(固相の洗浄)を行ない、
(3)(2)で分離した固相に標識試薬を分注し撹拌後、第二の抗原抗体反応を行ない、
(4)第二のB/F(Bound/Free)分離(固相の洗浄)を行ない、
(5)(4)で分離した固相に基質試薬を分注し、標識物質を定量する、
免疫測定方法を利用した自動分析装置において、標識試薬や基質試薬を容器に分注する際に、容器の底面に沿って液跳ねし、前記試薬が容器外に飛び出るなどの問題が生じやすい。そのため、従来から、比較的深い容器を用いたり、試薬の吐出速度を下げる等の工夫により前述した問題を防いでいる。
第一の態様は、
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質、または標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器であって、
前記固相試薬および前記標識試薬が凍結乾燥状態であり、前記固相試薬収容部の内底面の形状が略平坦状である、前記容器である。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(2)試料中の測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(3)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(4)標識試薬収容部に収容した標識試薬を固相試薬収容部に分注し、
(5)標識試薬中の、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を、(2)で捕捉された測定対象物に捕捉させ、
(6)(2)で捕捉された測定対象物には捕捉されない未反応物を除去し、
(7)(5)で捕捉された、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法である。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(2)試料中の測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(3)標識試薬収容部に収容した標識試薬を固相試薬収容部に分注し、
(4)標識試薬中の標識された測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(5)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(6)捕捉された、標識された測定対象物を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法である。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を標識試薬収容部に分注することで、試料中の測定対象物を、測定対象物と特異的に反応する標識された物質に捕捉させ、
(2)試料と標識試薬との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(3)測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(4)固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(5)捕捉された、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法である。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を標識試薬収容部に分注し、
(2)試料と標識試薬との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(3)測定対象物を、固相試薬中の測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(4)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(5)捕捉された、標識された測定対象物を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法である。
天面に、凍結乾燥状態の試薬を溶解させるための溶解液および試料(検体)の分注や、他の収容部への試薬の分注等の操作が可能な開口部を設け、かつ、
下方に、試料(検体)および試薬を保持可能な有底筒状部を設けた、
収容部であればよい。有底筒状部の具体例としては、円筒状もしくは略円筒状、角柱状もしくは略角柱状、またはそれらのテーパー状が例示できるが、当該形状に限定されるものではない。
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質、または標識された測定対象物を含む、凍結乾燥状態の標識試薬と、
用いた試料中の測定対象物の測定において、
試料(検体)を凍結乾燥状態の固相試薬に直接添加する場合、固相試薬の溶解と同時に、試料中の測定対象物と、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質との反応を開始する必要があるため、固相試薬の溶解は標識試薬の溶解と比較し、より迅速に進行されなければならない。凍結乾燥状態の試薬(凍結乾燥試薬)の溶解性は、試薬組成に大きく左右される一方、凍結乾燥ケーキの形状とも関係があり、接液面積が大きい形状であるほど、分注した液体が凍結乾燥ケーキに速やかに浸透するため、溶解しやすい。本発明の測定容器に備える固相試薬収容部は、内底面の形状を略平坦状としており、凍結乾燥ケーキの形状は、内底面の形状を略半球状とした収容部と比較して、高さ方向に薄くなる。そのため、試料を分注後、固相試薬が溶解するまでの時間が短縮し、試料中の測定対象物と、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質との反応も、均一に溶解した固相試薬と試料との混合物を撹拌することで速やかに開始することができる。そのため、試料中の測定対象物の測定時間短縮につながる。本発明の測定容器に備える固相試薬収容部の内底面の具体例として、内側面から続く曲率半径1から2mm程度の曲面部と、前記曲面部から連続した面積が3mm2以上(好ましくは7mm2以上)の平坦部とを有した、略平坦状の形状を有した収容部があげられる。なお、内底面の中心は開口部中心から鉛直方向上にあってもよいし、そうでなくてもよい。
(a)凹部を有し、かつ略半球状や略半偏心球面状の内底面や、
(b)凹部を有し、かつ略円錐状や略角錐状といった略錐状の内底面、
があげられ、その中から適宜、当該収容部に収容した標識試薬の組成等を考慮し、選択すればよい。内底面の形状が前記(a)または(b)である収容部に試薬を収容し、それを凍結乾燥して得られる凍結乾燥ケーキの形状は、内底面の形状を略平坦状とした収容部と比較し、厚くなるため溶解時間の面では不利になる。しかしながら、
(1−1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(1−2)試料中の測定対象物(抗原)を、固相試薬中の、測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体に捕捉させる第一の抗原抗体反応を行ない、
(1−3)測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体には捕捉されない未反応物を除去し、
(1−4)あらかじめ溶解操作を行なった標識試薬収容部に収容した標識試薬を、固相試薬収容部に分注し、
(1−5)標識試薬中の、測定対象物(抗原)と特異的に反応する標識抗体を、(1−2)で捕捉させた測定対象物(抗原)に捕捉させる第二の抗原抗体反応を行ない、
(1−6)(1−2)で補足させた測定対象物(抗原)には捕捉されない未反応物を除去し、
(1−7)(1−5)で捕捉させた、測定対象物(抗原)と特異的に反応する標識抗体を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法(いわゆるサンドイッチアッセイ)では、標識試薬は第二の抗原抗体反応を行なう前((1−4)の工程)に添加する。また、
(2−1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(2−2)試料中の測定対象物(抗原)を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する抗体に捕捉させる第一の抗原抗体反応を行ない、
(2−3)あらかじめ溶解操作を行なった標識試薬収容部に収容した標識試薬を、固相試薬収容部に分注し、
(2−4)標識試薬中の標識された測定対象物(抗原)を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する抗体に捕捉させる第二の抗原抗体反応を行ない、
(2−5)測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体には捕捉されない未反応物を除去し、
(2−6)捕捉された、標識された測定対象物(抗原)を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法(いわゆる競合アッセイ)でも、標識試薬は試料と固相試薬との抗原抗体反応後((2−3)の工程)に添加する。さらに、サンドイッチアッセイで測定する場合、標識試薬は第一の抗原抗体反応には関与しないため、試薬組成を溶解性のよい組成とすることが容易である。以上より、前述した二つの測定方法で測定対象物を測定する場合は、標識試薬の凍結乾燥体は溶解液を添加した後(溶解操作後)から分注後の撹拌・静置工程の間に溶解できればよい。なお、
(3−1)試料を標識試薬収容部に分注することで、試料中の測定対象物(抗原)を、測定対象物と特異的に反応する標識抗体に捕捉させる第一の抗原抗体反応を行ない、
(3−2)試料と標識試薬との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(3−3)測定対象物(抗原)を、固相試薬中の、測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体に捕捉させる第二の抗原抗体反応を行ない、
(3−4)固相試薬中の、測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体には捕捉されない未反応物を除去し、
(3−5)捕捉された、測定対象物(抗原)と特異的に反応する標識抗体を測定する、
測定方法、または
(4−1)試料を標識試薬収容部に分注し、
(4−2)標識された測定対象物(抗原)を含む標識試薬と試料との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(4−3)測定対象物(抗原)を、固相試薬中の、測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体に捕捉させる抗原抗体反応を行ない、
(4−4)測定対象物(抗原)と特異的に反応する抗体には捕捉されない未反応物を除去し、
(4−5)捕捉された、標識された測定対象物(抗原)を測定する、
測定方法を採用する場合であっても、試料中の反応妨害成分の影響を回避するために添加する、溶解性の低い成分(例えば血清など)を標識試薬の成分に含めないようにすればケーキ形状の厚さによるデメリットは回避される。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質、または標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えているが、収容部(固相試薬収容部および標識試薬収容部)の並びは、1列に複数個の収容部が連続した並びであってもよいし、複数列に複数個の収容部が連続した並びであってもよい。ただし、装置上での操作性を考慮に入れると、1列に2個から20個の収容部が連続した並びからなる測定容器が好ましく、一つの固相試薬収容部と一つの標識試薬収容部とが一列に並び、かつ一体に成形された測定容器が特に好ましい。
(A)抗体中のFcフラグメントと特異的に反応する抗Fc抗体をあらかじめ担体に固定化させた後、測定対象物と特異的に反応する抗体を、Fcフラグメントを利用して前記抗Fc抗体で固定化させた担体、
(B)抗イムノグロブリンG抗体をあらかじめ担体に固定化させた後、測定対象物と特異的に反応するイムノグロブリンG型抗体を前記抗イムノグロブリンG抗体で固定化させた担体、
(C)ストレプトアビジンをあらかじめ担体に固定化させた後、測定対象物と特異的に反応するビオチン標識抗体を前記ストレプトアビジンで固定化させた担体、
(D)測定対象物と特異的に反応する物質を担体に固定化させた後、担体表面の未結合領域をウシ血清アルブミン(以下、BSAと略す)やカゼイン等のタンパク質でブロッキングすることで担体への非特異的吸着を十分に抑えた担体、
があげられる。なお、前記(D)の担体の場合、(D)の担体を含む溶液に、固定化した測定対象物と特異的に反応する物質を安定化させる、または担体同士の吸着や凝集を防止する目的で、デキストラン硫酸やヘパリン硫酸等の糖類や、BSAやカゼイン等のブロッキング用タンパク質といった保護剤を添加してもよい。
固相試薬収容部に、1回分の測定を実施するのに十分な量の、抗体を固定化した担体を含む溶液を、
標識試薬収容部に、1回分の測定を実施するのに十分な量の、アルカリ性ホスファターゼやペルオキシダーゼ等の酵素を標識した抗体、またはアクリジニウムなどの発光物質を直接標識した抗体、を含む溶液を、
それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシールで封入することで、本発明の測定容器が得られる。
(I)試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む固相試薬と、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を含む標識試薬をそれぞれ調製後、それぞれ異なる収容部に収容し、−40℃で2時間凍結する。
(II)10−1から10−2Torrの減圧下、1.5時間で−20℃まで上昇させた後、−20℃で2時間乾燥する。
(III)さらに1.5時間で25℃まで上昇させた後、25℃で5時間乾燥する。
(1)標識試薬収容部に溶解液を分注して標識試薬を溶解し、
(2)固相試薬収容部に検体および分注液を分注し、固相試薬の溶解撹拌および第一の抗原抗体反応を行ない、
(3)第一のB/F(Bound/Free)分離を行ない、
(4)(1)で溶解した標識試薬を固相試薬収容部に分注し、撹拌後、第二の抗原抗体反応を行ない、
(5)第二のB/F分離を行ない、
(6)標識抗体を定量し、濃度換算する方法がある。
(1)標識試薬収容部に溶解液を分注して標識試薬を溶解し、
(2)固相試薬収容部に試料および分注液を分注し、
(3)(1)で溶解した標識試薬の一部を(2)の収容部に分注し、撹拌し、
(4)抗原抗体反応を行ない、
(5)B/F分離を行ない、
(6)標識抗体を定量し、濃度換算する方法がある。
(1)標識試薬収容部に試料および分注液を分注し、溶解撹拌し、
(2)(1)の混合液の一部を固相試薬収容部に分注し、溶解撹拌し、
(3)抗原抗体反応を行ない、
(4)B/F分離を行ない、
(5)標識抗体を定量し、濃度換算する方法がある。
(1)標識試薬収容部に溶解液を分注して標識試薬を溶解し、
(2)固相試薬収容部に試料および分注液を分注し、
(3)固相試薬の溶解撹拌および抗原抗体反応を行ない、
(4)(1)で溶解した標識試薬の一部を(2)の収容部に分注し、撹拌し、抗原抗体反応を行ない、
(5)B/F分離を行ない、
(6)標識抗原を定量し、濃度換算する方法がある。
(1)標識試薬収容部に試料および分注液を分注し、溶解撹拌し、
(2)(1)の混合液の一部を凍結乾燥状態の固相試薬が収容された収容部に分注し、溶解撹拌し、
(3)抗原抗体反応を行ない、
(4)B/F分離を行ない、
(5)標識抗原を定量し、濃度換算する方法がある。
(1)標識試薬収容部に溶解液を分注して標識試薬を溶解し、
(2)固相試薬収容部に試料および分注液を分注し、固相試薬の溶解撹拌および第一の抗原抗体反応を行ない、
(3)第一のB/F分離を行ない、
(4)(1)で溶解した標識試薬を(2)の収容部に分注し、撹拌後、第二の抗原抗体反応を行ない、
(5)第二のB/F分離を行ない、
(6)標識抗原を定量し、濃度換算する方法がある。
試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質または標識された測定対象物を含む標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、を備えた測定容器であって、
前記固相試薬および前記標識試薬が凍結乾燥状態であり、前記固相試薬収容部の内底面の形状が略平坦状な容器である。本発明の測定容器は、
(1)固相試薬収容部に収容した固相試薬の凍結乾燥体は略平坦な底面に沿って扁平状に薄く形成できるため、固相試薬収容部に液体を分注した際、迅速に溶解でき、次工程の撹拌が容易に行なえる、
(2)溶解済みの標識試薬や基質試薬等の液状試薬を固相試薬収容部に分注する際、液跳ねを抑えて分注できるため測定精度が向上する、
という効果を有する。
(3)溶解済みの標識試薬、または溶解済みの標識試薬と試薬(検体)との混合液を固相試薬収容部へ移送分注時に生じるデッドボリュームを小さくすることができるため、標識試薬または検体を無駄なく使用でき、コスト低減に貢献できる、
効果も有するため好ましい。
本発明の測定容器の一態様である、図1に示す、収容部(12)を二つ備えた測定容器(10)を、ポリプロピレン樹脂を用いた射出成形により作製した。図1に示す測定容器は、略平坦状の内底面を有した円筒状ウェルからなる第一の収容部(12a)と、略半球状の凹部内底面を有した円筒状ウェルからなる第二の収容部(12b)と、を備え、天面に第一および第二の収容部に対応した円形状の開口部(11a、11b)を設けた容器である。図1に示す測定容器(10)のうち、第一の収容部(12a)に抗甲状腺刺激ホルモン(TSH)抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(13a)50μLを、第二の収容部(12b)にアルカリ性ホスファターゼ(ALP)で標識した抗TSH抗体を含む標識試薬(13b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(15)で蓋をすることで、TSH測定試薬を収容した測定容器を作製した。
本発明の測定容器の一態様である、図2に示す、収容部(22)を二つ備えた測定容器(20)を、ポリプロピレン樹脂を用いた射出成形により作製した。図2に示す測定容器は、略平坦状の内底面を有した円筒状ウェルからなる第一の収容部(22a)と、略円錐状の凹部内底面を有した円筒状ウェルからなる第二の収容部(22b)と、を備え、天面に第一および第二の収容部に対応した円形状の開口部(21a、21b)を設けた容器である。図2に示す測定容器(20)のうち、第一の収容部(22a)に抗TSH抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(23a)50μLを、第二の収容部(22b)にALPで標識した抗TSH抗体を含む標識試薬(23b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(25)で蓋をすることで、TSH測定試薬を収容した測定容器を作製した。
本発明の測定容器の一態様である、図3に示す、収容部(32)を二つ備えた測定容器(30)を、ポリプロピレン樹脂を用いた射出成形により作製した。図3に示す測定容器は、略平坦状の内底面を有した円筒状ウェルからなる第一の収容部(32a)と、略角錐状の凹部内底面を有した円筒状ウェルからなる第二の収容部(32b)と、を備え、天面に第一および第二の収容部に対応した円形状の開口部(31a、31b)を設けた容器である。図3に示す測定容器(30)のうち、第一の収容部(32a)に抗TSH抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(33a)50μLを、第二の収容部(32b)にALPで標識した抗TSH抗体を含む標識試薬(33b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(35)で蓋をすることで、TSH測定試薬を収容した測定容器を作製した。
比較のため、図4に示す、収容部(42)を二つ備えた測定容器(40)を、ポリプロピレン樹脂を用いた射出成形により作製した。図4に示す測定容器は、略半球状の凹部内底面を有した円筒ウェルからなる第一の収容部(42a)および第二の収容部(42b)を備え、天面に第一および第二の収容部に対応した円形状の開口部(41a、41b)を設けた容器である。図4に示す測定容器(40)のうち、第一の収容部(42a)に抗TSH抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(33a)50μLを、第二の収容部(42b)にALPで標識した抗TSH抗体を含む標識試薬(33b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(45)で蓋をすることで、TSH測定試薬を収容した測定容器を作製した。
実施例1および比較例1で作製した、TSH測定試薬を収容した測定容器を用い、内底面形状の違いによる固相試薬の撹拌効率の差を、撹拌機能付自動分析装置を用いて評価した。評価方法は以下の通りである。
(1)ディスポーザブルチップに先ず50μLの分注水(界面活性剤入り精製水)を吸引し、さらに試料(検体)として25μLの8%牛血清アルブミンを吸引後、分注水および試料を、固相試薬(13a、43a)を収容した第一の収容部(12a、42a)に吐出した。
(2)31秒間静置し、2.5秒間正確に振盪撹拌した。
(3)撹拌終了後、直ちに各測定容器の内底面に残留する磁性微粒子の有無を目視にて確認した。
実施例1および比較例1で作製した、TSH測定試薬を収容した測定容器を用い、以下の方法でTSH標準試料を測定した。なお、測定容器作製の際用いたポリプロピレン樹脂には、白色顔料(二酸化チタン)と黒色顔料(カーボンブラック)とを練りこんでいる。
(1)固相試薬(13a、43a)を収容した第一の収容部(12a、42a)に、25μLの分注水(実施例4と同じ組成)と25μLの試料溶液とを分注し溶解撹拌後、37℃にて5分間静置することで、第一の抗原抗体反応を行なった。
(2)150mMのNaCl、0.05%のTween 20、1mMのMgCl2、0.1%のアジ化ナトリウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて第1B/F(Bound/Free)洗浄を3回行なった。
(3)あらかじめ70μLの精製水を用いて溶解した標識試薬(13b、43b)のうち、50μLを第一の収容部(12a、42a)に分注し、37℃で3分間反応を行なった(第二の抗原抗体反応)。
(4)(2)の洗浄液を用いて第2B/F洗浄を6回行なった。
(5)0.4mMのALP用化学発光基質(特許文献3)を含む基質試薬100μLを添加して37℃で5分間反応させてエンドポイント測光し、測定値を求めた。
当該測定容器の収容部に収容した凍結乾燥試薬の溶解撹拌効率が低いこと、
溶解済みの標識試薬や基質試薬を、固相試薬を収容した第一の収容部に分注したときに液が跳ねること、
第二の抗体抗原反応時に行なう撹拌時に容器内壁の上部に付着した標識試薬が後の工程の撹拌時に混入すること、
等が考えられる。
以下に示す2種類のエストラジオール(E2)測定試薬を収容した測定容器を作製した。なお、測定容器作製の際用いたポリプロピレン樹脂には、白色顔料(二酸化チタン)と黒色顔料(カーボンブラック)とを練りこんでいる。
(1)図1に示す測定容器(10)のうち、第一の収容部(12a)に抗E2抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(13a)50μLを、第二の収容部(12b)にALPで標識したE2を含む標識試薬(13b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(15)で蓋をすることで、E2測定試薬を収容した測定容器を作製した。
(2)図4に示す測定容器(40)のうち、第一の収容部(42a)に抗E2抗体を固定化した磁性微粒子(粒径2.6μm)を含む固相試薬(43a)50μLを、第二の収容部(42b)にALPで標識したE2を含む標識試薬(43b)70μLを、それぞれ分注し、凍結乾燥後、アルミシール(45)で蓋をすることで、E2測定試薬を収容した測定容器を作製した。
実施例6で作製した2種類のE2測定試薬を収容した測定容器を用い、以下の方法でTSH標準試料を測定した。
(1)固相試薬(13a、43a)を収容した第一の収容部(12a、42a)に、25μLの分注水(実施例4と同じ組成)と25μLの試料溶液とを分注し溶解撹拌後、37℃にて5分間静置した。
(2)あらかじめ70μLの精製水を用いて溶解した標識試薬(13b、43b)のうち、50μLを第一の収容部(12a、42a)に分注し、攪拌後、37℃で3分間静置した。
(3)150mMのNaCl、0.05%のTween 20、1mMのMgCl2、0.1%のアジ化ナトリウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いてB/F洗浄を6回行なった。
(4)0.4mMのALP用化学発光基質溶液(特許文献3)100μLを添加して37℃で5分間反応させてエンドポイント測光し、測定値を求めた。
11、21、31、41:測定容器開口部
12、22、32、42:ウェル
13、23、33、43:試薬
15、25、35、45:アルミシール
Claims (10)
- 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質、または標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器であって、
前記固相試薬および前記標識試薬が凍結乾燥状態であり、前記固相試薬収容部の内底面の形状が略平坦状である、前記容器。 - 測定容器に備えた固相試薬収容部および標識試薬収容部がそれぞれ一つである、請求項1に記載の測定容器。
- 標識試薬収容部の内底面の形状が、凹部を有し、かつ略半球状または略錐状である、請求項1または2に記載の測定容器。
- 測定対象物と特異的に反応する物質が抗体または抗原である、請求項1から3のいずれかに記載の測定容器。
- 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(2)試料中の測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(3)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(4)標識試薬収容部に収容した標識試薬を固相試薬収容部に分注し、
(5)標識試薬中の、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を、(2)で捕捉された測定対象物に捕捉させ、
(6)(2)で捕捉された測定対象物には捕捉されない未反応物を除去し、
(7)(5)で捕捉された、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法。 - 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を固相試薬収容部に分注し、
(2)試料中の測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(3)標識試薬収容部に収容した標識試薬を固相試薬収容部に分注し、
(4)標識試薬中の標識された測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(5)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(6)捕捉された、標識された測定対象物を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法。 - 固相試薬および標識試薬が凍結乾燥状態であり、標識試薬を固相試薬収容部に分注する際、あらかじめ前記標識試薬の溶解操作を行なってから分注する、請求項5または6に記載の方法。
- 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
前記測定対象物と特異的に反応する標識された物質を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を標識試薬収容部に分注することで、試料中の測定対象物を、測定対象物と特異的に反応する標識された物質に捕捉させ、
(2)試料と標識試薬との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(3)測定対象物を、固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(4)固相試薬中の、測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(5)捕捉された、測定対象物と特異的に反応する標識された物質を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法。 - 試料中の測定対象物と特異的に反応する物質を固定化した担体を含む、固相試薬を収容した固相試薬収容部一つ以上と、
標識された測定対象物を含む、標識試薬を収容した標識試薬収容部一つ以上と、
を備えた測定容器を用いて、
(1)試料を標識試薬収容部に分注し、
(2)試料と標識試薬との混合物を固相試薬収容部に分注し、
(3)測定対象物を、固相試薬中の測定対象物と特異的に反応する物質に捕捉させ、
(4)測定対象物と特異的に反応する物質には捕捉されない未反応物を除去し、
(5)捕捉された、標識された測定対象物を測定する、
試料中の測定対象物の測定方法であって、前記固相試薬収納部の内底面の形状が略平坦状である、前記方法。 - 固相試薬および標識試薬が凍結乾燥状態である、請求項8または9に記載の方法。
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- 2011-05-17 JP JP2011110546A patent/JP2012242170A/ja active Pending
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