JP2012241144A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】靭性及び耐衝撃性に優れる成形体を製造することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体(A)50〜90質量%と、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル系重合体(B)9〜49質量%と、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位とを含むエポキシ基含有エチレン系共重合体(C)1〜41質量%を含有するプロピレン系樹脂組成物であって(但し上記(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量%とする)、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)は、前記メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位を15〜25質量%含有し(但し、エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)かつ、190℃におけるメルトフローレートが、10〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物。
Figure 2012241144

〔式中、Rは炭素数が1〜15のアルキル基である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物に関する。
近年、植物を原料として合成される脂肪族ポリエステルの利用が検討されている。例えば、特許文献1には、加工性や耐衝撃強度に優れた組成物を提供することを目的として、脂肪族ポリエステル、ポリプロピレン系樹脂と、エポキシ基含有ポリオレフィンを含有する樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、耐熱性及び耐衝撃性等の機械的特性に優れた樹脂組成物を提供する事を目的として、所定の分子量を有する植物由来のポリエステルと、所定の分子量を有するポリプロピレン樹脂とを含有する樹脂組成物が記載されている。
特開2006−77063号公報 特開2008−239857号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の樹脂組成物を用いて製造した成形体の靭性や耐衝撃性については、さらなる改良が求められている。以上の課題に鑑み、本発明では靭性及び耐衝撃性に優れる成形体を製造することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、プロピレン系重合体(A)50〜90質量%と、下記式(1)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル系重合体(B)9〜49質量%と、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位とを含むエポキシ基含有エチレン系共重合体(C)1〜41質量%を含有するプロピレン系樹脂組成物であって(但し上記(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量%とする)、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)は、前記メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位を15〜25質量%含有し(但し、エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)かつ、190℃におけるメルトフローレートが、10〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物を提供する。
Figure 2012241144
〔式中、Rは炭素数が1〜15のアルキル基である。〕
本発明によれば、靭性及び耐衝撃性に優れる成形体を製造することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供することができる。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)、所定構造を有する脂肪族ポリエステル系重合体(B)、及び、エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)をそれぞれ所定量含有する。以下各成分について説明する。
<プロピレン系重合体(A)>
本発明に用いられるプロピレン系重合体(A)(以下、成分(A)ともいう)は、プロピレン単独重合体、又はプロピレン単位含有量が50質量%以上である共重合体であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、「プロピレン単独重合体成分(以下、重合体成分(I)ともいう)」と、「プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のコモノマーとの共重合体成分(以下、共重合体成分(II)ともいう)」からなる共重合体等が挙げられる。
プロピレン系重合体を構成するα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセンが挙げられる。プロピレン系重合体を構成するα−オレフィンの炭素数は、好ましくは4個〜20個であり、より好ましくは4個〜12個である。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、及びプロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体が挙げられる。また、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、及びプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体が挙げられる。
上記重合体成分(I)と、上記共重合体成分(II)とからなる共重合体において、重合体成分(I)としての「主にプロピレンからなる共重合体成分」としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、及びプロピレン−1−ヘキセン共重合体成分が挙げられる。また、前記共重合体成分(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、及びプロピレン−1−ヘキセン共重合体成分が挙げられる。なお、上記共重合体成分(II)におけるコポリマー(すなわち、プロピレン以外のモノマー)の含有量は、10質量%〜70質量%である。
そして、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなる共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、及び(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、又は(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
ここで、アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定されるプロピレン系重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。
プロピレン系重合体(A)を製造する方法としては、チーグラー・ナッタ型触媒又はメタロセン触媒を用いて、単独重合する方法、又はプロピレン以外のオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンとプロピレンとを共重合する方法等が挙げられる。チーグラー・ナッタ型触媒としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物及び助触媒成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
また、重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒中で行われるスラリー重合法や溶液重合法、溶媒の不存在下に行われる液相重合法や気相重合法、及びそれらを連続的に行う気相−気相重合法や液相−気相重合法が挙げられ、これらの重合方法は、回分式であってもよく、連続式であってもよい。また、プロピレン系重合体(A)を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。
特に、上記重合体成分(I)と上記共重合体成分(II)からなる共重合体の製造方法として、好ましくは、前記重合体成分(I)を製造する段階と、前記共重合体成分(II)を製造する段階との少なくとも二段階の工程を有する多段階の製造方法が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)のメルトフローレートは、1g/10分〜100g/10分であることが好ましく、10g/10分〜80g/10分であることがより好ましく、30g/10分〜60g/10分であることが更に好ましい。なお、プロピレン系重合体(A)のメルトフローレートは、JIS K 7210に従って、230℃、21.2N荷重で測定した値である。
<脂肪族ポリエステル系重合体(B)>
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル系重合体(B)(以下、成分(B)ともいう)は、下記式(1)で示される3−ヒドロキシアルカノエートを繰り返し単位として有する。
Figure 2012241144
〔式中、Rは炭素数が1〜15のアルキル基である。〕
上記脂肪族ポリエステル系重合体(B)は、前記式(1)で示される繰り返し単位を2種以上含有する多元共重合体であってもよい。多元共重合体の繰り返し単位の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式であってもよい。
中でも剛性及び引張伸びのバランスに優れる成形体を得るという観点から、下記式(2)で示されるβ−ヒドロキシブチレート及び式(3)で示されるβ−ヒドロキシヘキサノエートを繰り返し単位として有する共重合体であることが好ましい。
Figure 2012241144
Figure 2012241144
上記β−ヒドロキシブチレート及びβ−ヒドロキシヘキサノエートは、ランダムに結合していることが好ましい。β−ヒドロキシブチレート及びβ−ヒドロキシヘキサノエートの組成比は、剛性及び引張伸びのバランスに優れる成形体を得るという観点からβ−ヒドロキシブチレート/β−ヒドロキシヘキサノエート=99/1〜40/60(mol/mol)であることが好ましく、97/3〜75/25であることがより好ましく、95/5〜80/20であることがさらに好ましい。
脂肪族ポリエステル系重合体(B)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1万〜50万であることが好ましく、5万〜40万であることがより好ましい。さらに好ましくは7万〜30万である。重量平均分子量を1万以上とすることにより、靭性及び引っ張り伸びに優れる成形体を得ることが可能となる。また、重量平均分子量を50万以下にすることにより、プロピレン系樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル系重合体(B)の分散性が良好となり、外観に優れる成形体を得ることが可能となる。
脂肪族ポリエステル系重合体(B)の製造は、特開平5−93049に記載されているように、エアロモナス属の微生物を、炭素源として炭素数6以上の偶数個の脂肪酸若しくはその低級アルコールエステル又は天然油脂と、炭素数5以上の奇数個の脂肪酸又は4−ヒドロキシ酪酸若しくはγ−ブチロラクトンと、を用いて、炭素源以外の栄養源の制限下で培養する方法が挙げられる。
<エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)>
本発明に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(以下、成分(C)ともいう)は、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位とを含む共重合体である。
樹脂の改質効果の観点から、このエポキシ基含有エチレン系共重合体は、この共重合体の質量を100質量%とするとき、メタクリル酸グリシジルに由来する単量体単位を15質量%〜25質量%含有し、好ましくは15質量%〜20質量%含有する。
なお、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位の含有量は、赤外分光法により測定される。
本発明におけるエポキシ基含有エチレン系共重合体は、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位のみからなるエポキシ基含有エチレン系共重合体であってもよいし、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位と、以下の式(4)又は式(5)で表される化合物由来の単量体単位を更に含むエポキシ基含有エチレン系共重合であってもよい。
CH=CR・・・(4)
CHR=CHR・・・(5)
〔式中、
は、水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、
は、ハロゲン原子、又は−COORで表される基(Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す)を表し、
は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は−COORで表される基(Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す)を表し、
は、炭素数1〜8のアルキルニトリル、アルキルエーテル基、アルキルアミド、ハロゲン原子、フェニル基、もしくは−COORで表される基(Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す)を表すか、又はRは−OCORで表される基(R:炭素数1〜8のアルキル基)を表す。〕
式(4)で表される化合物としては、プロピレン、1−ブテン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチルビニルエーテル、アクリルアミドが挙げられる。
式(5)で表される化合物としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチルが挙げられる。
前記1種以上の化合物が、酢酸ビニル、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルからなる群から選ばれることが好ましい。
エポキシ基含有エチレン系共重合体が、エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位と、式(4)又は式(5)で表される化合物由来の単量体単位とからなる場合、共重合体の質量を100質量%とするとき、式(4)又は式(5)で表される化合物に由来する単量体単位の含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位の含有量は、15質量%〜25質量%である。
本発明に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体として具体的には、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−ブテン−1−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−マレイン酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−マレイン酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−フマル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−フマル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−塩化ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−塩化ビニリデン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−スチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−イソブチルビニルエーテル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリルアミド−メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
本発明に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体は、種々の方法で合成することができる。例えば、フリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm以上、温度40℃〜300℃の条件で共重合する方法が挙げられる。
また、エチレン由来の単量体単位と、任意に式(4)又は式(5)で表される化合物由来の単量体単位を含む重合体に、不飽和エポキシ化合物及びラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法、あるいはエチレン及び不飽和エポキシ化合物、さらに任意成分として式(4)又は式(5)で表される化合物を水又は有機溶剤等の不活性媒体中、ラジカル発生剤の存在下で共重合させる方法が挙げられる。
本発明に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体は、得られる成形体の靭性及び耐衝撃性の観点から、190℃におけるメルトフローレートが10g/10分〜50g/10分であり、10g/10分〜30g/10分であることが好ましい。ここでいうメルトフローレートとは、JIS K 7210(1995)に規定された方法によって、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定される。
本発明に係る樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する。成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%とするとき、成分(A)の含有量は、50質量%〜90質量%であり、成分(B)の含有量は、9質量%〜49質量%であり、成分(C)の含有量は、1質量%〜41質量%である。成分(B)の加水分解を抑制する事を目的として、成分(A)を組成物のマトリックスにするという観点から、成分(A)の含有量は55質量%〜85質量%であることが好ましく、60質量%〜80質量%であることが更に好ましい。また、組成物中の成分(B)の分散性のバランスを取るという観点から、成分(B)の含有量は15質量%〜40質量%であることが好ましく、20質量%〜35質量%であることが更に好ましい。成分(C)の添加による剛性の低下を抑制しながら成分(B)の分散性を向上するという観点から、成分(C)の含有量は2質量%〜20質量%であることが好ましく、3質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
<その他>
本発明では上記の成分のほかに、必要に応じて他の成分を添加してもよい。例えば、酸化防止剤、耐候性改良剤、無機造核剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、各種着色剤、有機充填剤、無機充填剤、末端封止剤、エラストマー及びその他の樹脂が挙げられる。
無機造核剤としては、窒化ホウ素、タルク等が挙げられる。
無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、カオリナイト、ベントナイト、スメクタイト、セピオライト、ワラストナイト、モンモリロナイト、クレー、アロフェン、イモゴライト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート硫酸バリウム、ガラスフレーク、カーボンブラック等が挙げられる。
エラストマーとしては、ポリオレフィンエラストマー、スチレンエラストマーポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー、コアシェルエラストマー等が挙げられる。ポリオレフィンエラストマーとしては天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、非晶性又は低結晶性のエチレン系エラストマー等が挙げられる。
上記エチレン系エラストマーは、エチレンに由来する単量体単位を主成分として含有するエラストマーであり、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチレン系不飽和エステル共重合体が挙げられる。
スチレンエラストマーとしては、ポリ(スチレン−b−エチレン−co−ブタジエン−b−スチレンエラストマー)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン−b−スチレンエラストマー)が挙げられる。
アクリルエラストマーはアクリル酸アルキルエステル単量体、芳香族ビニル単量体、並びにアクリル酸アルキルエステル単量体と芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体を、例えば乳化重合することで得られるエラストマーである。
アクリル酸アルキルエステル単量体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどアルキル基を有するアクリル酸誘導体が挙げられる。
芳香族ビニル単量体の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステル単量体と芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体の具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体等が挙げられる。
コアシェルエラストマーは上記アクリルエラストマーをコア層として、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種のビニル系単量体をシェル層として共重合したエラストマーである。
その他のエラストマーとしては、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。
上記その他の樹脂としては、ポリスチレンやポリアミド等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物を用いて得られる成形体の製造方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、回転成形法、真空成形法、発泡成形法、ブロー成形法等の成形法が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)降伏強度(単位:MPa)、破断強度(単位:MPa)、破断伸度(単位:%)
ASTM D638に規定された方法に従い、実施例及び比較例の組成物からなる成形体の引張試験を行った。試験片として、射出成形によって成形された厚さ3.2mmの成形体を用いた。引張速度は20mm/分であり、降伏強度(単位:MPa)、破断強度(単位:MPa)、破断伸び(%)を評価した。測定は23℃で行った。
なお試験片は、樹脂組成物のペレットを住友重機械社製サイキャップ110/50型射出成形機を用いて、成形温度200℃、金型冷却温度35℃、射出時間25秒、冷却時間28秒で射出成形を行うことにより得た。
(2)メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位の含有量(単位:質量%)
エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)中のメタクリル酸グリシジル由来の単量体単位の含有量は、実施例及び比較例の組成物からなるプレスシートの赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を測定に使用したシートの厚さで補正して、得られた補正吸光度に基づいて検量線法により、メタクリル酸グリシジルに由来する単量体単位含有量を決定する方法で求めた。なお、メタクリル酸グリシジル特性吸収としては、910cm-1のピークを用いた。
(3)アイゾット衝撃強度(単位:kJ/m
JIS K 7110(1984)に規定された方法に従い、実施例及び比較例の組成物からなる成形体のアイゾッド衝撃強度を測定した。試験片として、引張試験に用いた厚さ3.2mmの成形体をノッチ加工したものを用いた。測定は23℃温度で行った。
(4)メルトフローレート(単位:g/10min)
実施例及び比較例組成物の原料成分のメルトフローレートは、ASTM D1238に規定された方法に従い、成分(A)に関しては230℃、21.2N荷重で、成分(B)及び成分(C)に関しては190℃、21.2N荷重で測定を行った。
実施例及び比較例で使用した原料成分は、以下の通りである。
(1)プロピレン系重合体(A)
成分(A−1):住友化学株式会社製プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR(230℃、21N)=34g/10分)
成分(A−2):住友化学株式会社製プロピレンブロック共重合体、MFR(230℃、21N)=50g/10分)
成分(A−3):住友化学株式会社製プロピレン単独重合体、MFR(230℃、21N)=20g/10分)
成分(A−4):住友化学株式会社製プロピレン単独重合体、MFR(230℃、21N)=120g/10分)
成分(A−5):住友化学株式会社製プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR(230℃、21N)=9g/10分)
(2)脂肪族ポリエステル系重合体(B)
成分(B−1):株式会社カネカ製「KANEKA バイオポリマーPHBH」
(ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−7mol%3−ヒドロキシヘキサノエート))
成分(B−2):株式会社カネカ製「KANEKA バイオポリマーPHBH」
(ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−11mol%3−ヒドロキシヘキサノエート))
(3)エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)
成分(C−1):住友化学社製「ボンドファースト(登録商標)20C」
(エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、MFR(190℃)=12.4g/10分、メタクリル酸グリシジルに由来する単量体単位含有量=19.4質量%)
成分(C−2):住友化学社製「ボンドファースト(登録商標)E」
(エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、MFR(190℃)=3g/10分、メタクリル酸グリシジルに由来する単量体単位含有量=12質量%)
成分(C−3):住友化学社製「ボンドファースト(登録商標)7M」
(エチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、MFR(190℃)=7g/10分、メタクリル酸グリシジルに由来する単量体単位含有量=6質量%)
(4)エラストマー(D)
成分(D−1):ダウケミカル社製「エンゲージ EG8842」(エチレン−オクテン共重合体、MFR(190℃で測定)=1.0g/10分)
成分(D−2):ダウケミカル社製「エンゲージ EG8100」(エチレン−オクテン共重合体、MFR(190℃で測定)=1.0g/10分)
成分(D−3):ダウケミカル社製「エンゲージ EG8200」(エチレン−オクテン共重合体、MFR(190℃で測定)=5.0g/10分)
成分(D−4):ダウケミカル社製「エンゲージ EG8407」(エチレン−オクテン共重合体、MFR(190℃で測定)=30g/10分)
[実施例1〜8及び比較例1〜4]
実施例及び比較例の樹脂組成物は、シリンダ内径50mmの二軸混練押出機(東芝機械社製TEM50A)を用い、表1に示す割合で溶融混練を行うことにより得た。このときのシリンダ温度は160℃、押出量は50kg/hr、スクリュ回転数は200rpmであった。
Figure 2012241144

Claims (3)

  1. プロピレン系重合体(A)50〜90質量%と、
    下記式(1)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル系重合体(B)9〜49質量%と、
    エチレン由来の単量体単位と、メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位とを含むエポキシ基含有エチレン系共重合体(C)1〜41質量%と
    を含有するプロピレン系樹脂組成物であって(但し上記(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量%とする)、
    前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)は、前記メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位を15〜25質量%含有し(但し、エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)の質量を100質量%とする)かつ、
    190℃におけるメルトフローレートが、10〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2012241144
    〔式中、Rは炭素数が1〜15のアルキル基である。〕
  2. エポキシ基含有エチレン系共重合体(C)が、前記エチレン由来の単量体単位と、前記メタクリル酸グリシジル由来の単量体単位のみからなる共重合体である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 脂肪族ポリエステル系重合体(B)が、下記式(2)及び式(3)で示される繰り返し単位を有する共重合体である請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2012241144
    Figure 2012241144
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