JP2012240403A - 水性ボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インク全量に対して、アセチレンアルコール類から選ばれる少なくとも1種0.05〜2質量%を含有する水性インクを充填し、直径が0.4mm以下のボールを備えたことを特徴とする水性ボールペン。
【選択図】なし
Description
上記課題の一つに、長期未筆記状態後の筆記感の劣化が挙げられる。具体的には、筆記を行わない状態を数ヶ月続けた後に筆記を行うと、書き出しの筆記感がガリつく状態のことを示す。
通常、ボールペンは、製造からユーザーが使用するまで数ヶ月未筆記状態となるため、筆記感の劣化を抑制することが求められてきている。
この細字ボールペンは、細字ボールペンの受け座摩耗を抑制し、インク流出性などに優れたものであり、長期未筆記状態後における書き出しの筆記感の更なる向上が切望されている。
(1) インク全量に対して、アセチレンアルコール類から選ばれる少なくとも1種を0.05〜2質量%含有する水性インクを充填し、直径が0.4mm以下のボールを備えたことを特徴とする水性ボールペン。
(2) 前記水性インク中の塩素イオン濃度が1g/L以上であることを特徴とする水性ボールペン。
(3) 前記水性インク中に、塩基性染料で染色した樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の水性ボールペン。
本発明の水性ボールペンは、インク全量に対して、アセチレンアルコール類から選ばれる少なくとも1種を0.05〜2質量%含有する水性インクを充填し、直径が0.4mm以下のボールを備えたことを特徴とするものである。
更に、上記一般式(III)中のR7は、炭素数1〜5のアルキレン基を表し、該アルキレン基としては、メチレン基(炭素数1)であり、炭素数2以上では、上記一般式(II)中のR5と同様である。
上記一般式(I)〜(III)で具体的に挙げた中で、使用性、コスト、安全性、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、好ましくは、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの使用が望ましい。
なお、上記一般式(I)〜(III)に挙げた各化合物の合成法は、既知であり、種々の製法により得ることができ、また、市販のものを使用してもよい。
この含有量が0.05質量%未満では、十分な効果が期待できず、一方、2質量%を超えると、インクの経時安定性が損なわれる場合があり、好ましくない。
用いることができる着色剤としては、顔料及び/又は水溶性染料が挙げられる。顔料の種類については特に制限はなく、従来水性ボールペン用に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。具体的には、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、ハンザイエロー3G(C.I.11670)、ジスアゾイエローGR(C.I.21100)、パーマネントレッド4R(C.I.12335)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、キナクリドンレッド(C.I.46500)などが使用できる。
また、スチレンやアクリル樹脂の粒子から構成されているプラスチックピグメントも使用できる。さらに、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は白色顔料として、または、発色性、分散性に優れる後述する塩基性染料で染色した樹脂粒子(擬似顔料)等も使用できる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同119などが挙げられる。
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同115、同129、同131、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット18、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27などが挙げられる。
食用染料としては、その大部分が直接染料又は酸性染料に含まれるが、含まれないものの一例としては、C.I.フードエロー3が挙げられる。
塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシックエロー1、同2、同21、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックブラウン12、ベーシックブラック2、同8などが挙げられる。
また、塩基性染料で染色した樹脂粒子としては、アクリロニトリル系共重合体の樹脂粒子を塩基性蛍光染料で染色した蛍光顔料などが挙げられる。具体的な商品名として、シンロイヒカラーSFシリーズ(シンロイヒ株式会社)、NKW及びNKPシリーズ(日本蛍光化学株式会社)などが挙げられる。
この着色剤の含有量が、0.5質量%未満では、着色が弱くなったり、筆跡の色相がわからなくなってしまうことがあり、一方、30質量%を超えて長期保存した場合、顔料が凝集してしまったり、染料が析出したりして、ペン先に詰まり、筆記不良を生じることがあるので好ましくない。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
また、上記以外にも長期未筆記状態後における筆記感の劣化を促進する要因として、塩基性染料で染色した樹脂粒子の使用が挙げられる。このような樹脂粒子を使用すると、水性インク中の塩素イオン濃度が高くなるが、その濃度以上に筆記感の劣化が促進される傾向が認められる。
本発明では、後述する実施例等でサポートされるように、水性インク中の塩素イオン濃度が1g/L以上となっても、長期未筆記状態後における筆記感の劣化がなく、目的の効果を奏するものとなる。
用いる水性ボールペン体として、直径が0.4mm以下のボールを備えたものであれば、特に限定されず、特に、上記水性インクをポリプロピレンチューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
下記成分1〜10を下記表1及び表2に示すように適宜組み合わせた配合量(全量100質量%)にて攪拌機を用いて均一溶液として実施例1〜12、比較例1〜5に相当する水性インクを調製した。
得られた各水性インク中の塩素イオン濃度を下記方法で測定した。
1−a:カーボンブラック MCF88(三菱化学社製)
1−b:塩基性蛍光染料で染色した蛍光桃色顔料 SF−5017(シンロイヒ社製)
1−c:赤色顔料 FUJI RED 2510(冨士色素社製)
2−a:3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール
2−b:3−メチル−1−ブチン−3−オール
2−c:3−メチル−1−ペンチン−3−オール
2−d:3−ヘキシン−1−オール
2−e:4−ペンチン−2−オール
3:プロピレングリコール
4:KELAN S(三晶社製)
5:RD−510Y(東邦化学工業社製)
6:ベンゾトリアゾール
7:バイオデン421(大和化学工業社製)
8:トリエタノールアミン
9:JONCRYL 61J(BASF JAPAN)
東亜DKK株式会社製のマルチ水質計(MM60R)に塩化物イオン電極(CL−2021)を取り付けて、25℃にてインク中の塩素イオン濃度を測定した。
三菱鉛筆製のUM−151に搭載するチューブ(内径3.4mmのPP製チューブ)及びPBT製継手部材に下記表1及び2に示す各ボール径(超鋼合金:0.18mm、0.28mm、0.38mm)のボールペンチップを搭載し、上記で調製した水性インク及びインク追従体を充填し、遠心処理(500G、5分)にて脱泡した後にボールペンに組立後、下記に示す筆記感の評価試験を行った。これらの結果を下記表1及び2に示す。
(初期筆記感の評価方法)
上記水性ボールペンの作製した後使用するまで25℃で1ヶ月保管した後、筆記感を丸書きにより下記評価基準にて官能評価した。
評価基準:
◎:ガリつき感もなく、非常に滑らか。
○:僅かにガリつき感があるが、滑らか。
△:ガリつき感あり。
×:ガリつき感が強い。
Claims (3)
- インク全量に対して、アセチレンアルコール類から選ばれる少なくとも1種を0.05〜2質量%を含有する水性インクを充填し、直径が0.4mm以下のボールを備えたことを特徴とする水性ボールペン。
- 前記水性インク中の塩素イオン濃度が1g/L以上であることを特徴とする水性ボールペン。
- 前記水性インク中に、塩基性染料で染色した樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の水性ボールペン。
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