JP2012240071A - 鋳片のバリ取り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳片から落下したスケールなどにより不具合が生じ難い鋳片のバリ取り装置を提供する。
【解決手段】第1当接部材23および第2当接部材33とカッタ53とを備え、第1当接部材23は、鋳片Sの前端面に当接し停止させる停止位置と、鋳片Sを押し戻して前端に生じたバリbをカッタ53で切削する切削位置と、鋳片Sの上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能であり、第2当接部材33は、鋳片Sの後端面に当接し停止させる停止位置と、鋳片Sを押し戻して後端に生じたバリbをカッタ53で切削する切削位置と、鋳片Sの上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能である。第1当接部材23、第2当接部材33およびカッタ53を動作させる機構が搬送手段Tの上方に位置するため、鋳片Sから落下したスケールなどにより不具合が生じ難い。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片のバリ取り装置に関する。さらに詳しくは、連続鋳造設備において連続鋳造される鋳片を所定長さで例えばガス切断した際に、切断によって生じたバリを取り去るバリ取り装置に関する。
連続鋳造される鋳片は、切断した際に生じたバリを取り去らずに残してしまうと、切断した鋳片を基に製造される最終製品に傷を発生させてしまう。本発明は、このように最終製品の品質に大きな影響を与えるバリを圧延工程に入る前に除去するバリ取り装置に関する。
連続鋳造設備で鋳造される鋳片には、サイズの大きいスラブやブルームと、サイズの小さいビレットなど各種のものがある。
鋳片サイズが大きいスラブ、ブルームでは、鋳片の切断はガス切断が一般的であり、バリ取り装置にはハンマー方式、搖動刃物式などを使用している。
特許文献1には、バリ取り装置の一例が記載されている。
図10に示すように、特許文献1に記載のバリ取り装置101は、鋳片Sの上流側(図10における右側)を支点として上下方向に揺動可能なバイト台111と、そのバイト台111の上面に設けられたバイト112と、バイト台111の下方に設けられ、バイト台111を揺動させるエアシリンダ113とからなる。
このバリ取り装置101は、鋳片Sが搬送ローラRで搬送されてきたときに、エアシリンダ113によりバイト台111を押し上げ、バイト112を鋳片Sの進行方向前端の下面に接触させる。そして、鋳片Sの前端に生じたバリbをバイト112により切削除去する。バリbを除去した後はエアシリンダ113によりバイト台111を下げ、バイト112を鋳片Sの下面から離間させて鋳片Sが傷つかないようにする。
ところで、ローラテーブルTの下方は、鋳片Sから落下したスケールや、そのスケールの堆積物、周囲からの輻射熱などにより過酷な環境となっている。
しかるに、上記従来のバリ取り装置101は、バイト台111を揺動させる機構がローラテーブルTの下方の過酷な環境にあるため、落下したスケールなどにより不具合が生じる場合があるという問題がある。
また、ローラテーブルTの下方は、スペースの制限があるため、装置のメンテナンスがしづらいという問題がある。
さらに、バリ取り装置101は、鋳片Sの前端に生じたバリbしか除去できないため、後端に生じたバリbを除去するために他のバリ取り装置を設ける必要があるという問題がある。
また、特許文献2には、他のバリ取り装置が記載されている。
図11に示すように、特許文献2に記載のバリ取り装置201は、支柱211の上端部に回動自在に連結された支持板212と、支柱211の側面に連結されたシリンダ213と、シリンダ213のピストンロッドの先端と支持板212の自由端側の下面とを連結するリンク機構214と、支持板212の上面に固定されたシリンダ221と、シリンダ221のピストンロッドの先端に連結されたベース222と、ベース222の上端部に取り付けられたカッタ223、223aとからなる。
このバリ取り装置201は、搬送ローラRによって搬送されてきた鋳片Sが、その進行方向前端面がカッタ223と対向する位置にいたると、搬送ローラ群Rを停止することにより、所定の位置に停止させる。この状態でシリンダ213が伸張し、支持板212の自由端を持ち上げて、カッタ223を鋳片Sの前端の下面に接触させる。つぎに、シリンダ221が作動し、ベース222とともにカッタ223を前進させ、鋳片Sの前端の角部に生じたバリbを切断除去する。
本バリ取り装置201は、前端に生じたバリbの除去と同様の手順で、後端に生じたバリbをカッタ223aによって切断除去できる。すなわち、1台で鋳片Sの前端および後端に生じたバリbを除去することができる。
しかるに、本バリ取り装置201においても、カッタ223、223aを動作させる機構がローラテーブルTの下方の過酷な環境にあるため、落下したスケールなどにより不具合が生じるという問題が依然として解消されていない。
また、装置のメンテナンスがしづらいという問題も依然として解消されていない。
特開平8−141714号公報 特開平11−277322号公報
本発明は上記事情に鑑み、鋳片から落下したスケールなどにより不具合が生じ難い鋳片のバリ取り装置を提供することを目的とする。
第1発明の鋳片のバリ取り装置は、鋳片の前端および後端に生じたバリを取るバリ取り装置であって、前記鋳片に当接可能な第1当接部材および第2当接部材と、前記バリを切削するカッタと、を備え、前記第1当接部材は、下流へ搬送される前記鋳片の前端面に当接し停止させる停止位置と、該鋳片を上流へ押し戻して前端に生じたバリを前記カッタで切削する切削位置と、該鋳片の上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能であり、前記第2当接部材は、上流へ搬送される前記鋳片の後端面に当接し停止させる停止位置と、該鋳片を下流へ押し戻して後端に生じたバリを前記カッタで切削する切削位置と、該鋳片の上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能であり、前記カッタは、前記鋳片の下面に接触する接触位置と、該鋳片から離間した離間位置とで姿勢変更可能であることを特徴とする。
第2発明の鋳片のバリ取り装置は、第1発明において、前記鋳片を搬送する搬送手段の上方に設けられたフレームと、前記フレームに回動自在に設けられた第1シリンダおよび第2シリンダと、前記フレームに軸支された第1リンクおよび第2リンクと、を備え、前記第1リンクは、一端には前記第1シリンダのピストンロッドと連結されており、他端には前記第1当接部材が取り付けられており、前記第2リンクは、一端には前記第2シリンダのピストンロッドと連結されており、他端には前記第2当接部材が取り付けられていることを特徴とする。
第3発明の鋳片のバリ取り装置は、第1または第2発明において、前記鋳片を搬送する搬送手段の上方に設けられたフレームと、前記フレームに設けられたカッタ昇降シリンダと、前記カッタを昇降可能とする平行リンクと、前記カッタ昇降シリンダのピストンロッドと、前記カッタとを連結するアームと、を備えることを特徴とする。
第4発明の鋳片のバリ取り装置は、第3発明において、前記カッタはバネを介して台座に取り付けられており、該台座は前記アームに連結されていることを特徴とする。
第5発明の鋳片のバリ取り方法は、請求項1、2、3または4記載の鋳片のバリ取り装置を用いた鋳片のバリ取り方法であって、下流へ搬送される前記鋳片の前端面に前記第1当接部材を当接し停止させ、該鋳片の上面を前記第2当接部材で押さえ、該鋳片の下面に前記カッタを接触させ、該鋳片を前記第1当接部材で上流へ押し戻して前端に生じたバリを前記カッタで切削し、上流へ搬送される前記鋳片の後端面に前記第2当接部材を当接し停止させ、該鋳片の上面を前記第1当接部材で押さえ、該鋳片の下面に前記カッタを接触させ、該鋳片を前記第2当接部材で下流へ押し戻して後端に生じたバリを前記カッタで切削することを特徴とする。
第1発明によれば、第1当接部材、第2当接部材およびカッタが協働することにより、1台で鋳片の前端および後端に生じたバリを切削除去できる。また、第1当接部材と第2当接部材は鋳片の移動を制御する機能と、鋳片の浮き上がりを防止する機能の両方を担うので、それぞれの機能を担う別の部材を設ける必要がなく、構造が単純であり不具合が生じにくい。
第2発明によれば、第1当接部材および第2当接部材を動作させる機構が搬送手段の上方に位置するため、鋳片から落下したスケールなどにより不具合が生じ難い。また、搬送手段の上方には十分なスペースがあるので装置のメンテナンスがしやすい。
第3発明によれば、カッタを動作させる機構が搬送手段の上方に位置するため、鋳片から落下したスケールなどにより不具合が生じ難い。
第4発明によれば、カッタを付勢する手段として構造が単純なバネが用いられているので、鋳片から落下したスケールなどにより不具合が生じ難い。
第5発明によれば、第1当接部材、第2当接部材およびカッタが協働することにより、1台で鋳片の前端および後端に生じたバリを切削除去できる。また、第1当接部材と第2当接部材は鋳片の移動を制御する機能と、鋳片の浮き上がりを防止する機能の両方を担うので、それぞれの機能を担う別の部材を設ける必要がなく、構造が単純であり不具合が生じにくい。
本発明の一実施形態に係るバリ取り装置の正面図である。 図1におけるII-II線矢視断面図である。 図1におけるIII-III線矢視断面図である。 図3におけるA部分の拡大図である。 バリ取り装置の動作の説明図である。 バリ取り装置の動作の説明図である。 バリ取り装置の動作の説明図である。 バリ取り装置の動作の説明図である。 鋳片に生じたバリの説明図であって、(A)は側面図、(B)は(A)におけるB-B線矢視図である。 従来のバリ取り装置の正面図である。 他の従来のバリ取り装置の正面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、Tは鋳片Sを搬送するローラテーブルであり、複数のローラRを回転駆動させることで、鋳片Sを搬送できるようになっている。ローラテーブルTの上流(図1における左側)には、鋳片Sを切断するガス切断機(図示せず)が設けられており、所定寸法に切断された鋳片Sは上流から下流(図1における右側)に搬送されようになっている。ローラテーブルTは、鋳片Sを上流から下流に搬送する以外に、ローラRを逆回転させることで下流から上流にも搬送でき、さらに、ローラRの回転を停止させることで鋳片Sの移動を停止できるものである。
なお、ローラテーブルTは、特許請求の範囲に記載の「搬送手段」に相当する。
さらになお、上流とは連続鋳造設備の上流を意味し、下流とは連続鋳造設備の下流を意味する。
図9に示すように、鋳片Sの前端および後端の下面にはバリbが生じている。このバリbは、ガス切断機で切断された鋳片Sの一部が溶けて切断面の下に垂れ下り、ローラテーブルTのローラR等により変形されて、前端および後端の下面に張り付いている。
なお、鋳片Sの前端とはローラテーブルTの下流側に位置する端部であり、後端とはローラテーブルTの上流側に位置する端部である。また、鋳片Sの前端の切断面を前端面とし、後端の切断面を後端面とする。
ローラテーブルTには、このバリbを取るバリ取り装置1が設けられている。
バリ取り装置1は、ローラテーブルTの上方に設けられたフレーム10を備えている。
図1、図2および図3に示すように、フレーム10は、ローラテーブルTに立設した4本の支柱11,・・・,11と、その4本の支柱11,・・・,11のうちローラテーブルTの長手方向に配置された2本の支柱11,11の上端に掛け渡された一対のビーム12,12と、そのビーム12,12に斜めに設けられた4本の支柱13,・・・,13と、その4本の支柱13,・・・,13のうちローラテーブルTの長手方向に配置された2本の支柱13,13の上端に掛け渡された一対のビーム14,14とからなり、全体として上下二段に構成されている。
一対のビーム12,12の上流側端部同士および下流側端部同士には、一対の横ビーム15,15が掛け渡されている。そして、上流側の横ビーム15には、第1シリンダ21のシリンダ21c後端部がピンを介して回動自在に設けられており、下流側の横ビーム15には、第2シリンダ31のシリンダ31c後端部がピンを介して回動自在に設けられている。これら第1シリンダ21、第2シリンダ31としては、油圧シリンダが用いられる。
また、一対のビーム12,12の中央付近には、2本のピン16,16が掛け渡されており、軸受を介してビーム12,12に設けられている。そして、下流側のピン16には第1リンク22の中間部分が接合されており、上流側のピン16には第2リンク32の中間部分が接合されている。すなわち、第1リンク22および第2リンク32は、ビーム12,12に軸支されている。
第1リンク22の一端は、第1シリンダ21のピストンロッド21r先端部にピンを介して連結されており、他端には第1当接ローラ23が回転自在に取り付けられている。一方、第2リンク32の一端は、第2シリンダ31のピストンロッド31r先端部にピンを介して連結されており、他端には第2当接ローラ33が回転自在に取り付けられている。
したがって、第1シリンダ21が伸縮することにより第1当接ローラ23が下流側のピン16周りに揺動し、第2シリンダ31が伸縮することにより第2当接ローラ33が上流側のピン16周りに揺動するようになっている。第1当接ローラ23および第2当接ローラ33は揺動することにより、後述の停止位置、切削位置、押さえ位置、離間位置とで姿勢変更可能となっている。
なお、図2に示すように、第1シリンダ21および第1リンク22はバリ取り装置1の正面側(図2における下側)に配置され、第2シリンダ31および第2リンク32はバリ取り装置1の背面側(図2における上側)に配置されており、互いに干渉しないようになっている。
また、第1当接ローラ23および第2当接ローラ33は、その中央が鋳片Sの短尺方向中央とほぼ一致するように設けられている。
なお、第1当接ローラ23および第2当接ローラ33は、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1当接部材および第2当接部材に相当する。
図1および図3に示すように、一対のビーム14,14の中央には、それぞれ横ビーム17,17が内側に向かって設けられており、その横ビーム17,17の端部対向部分には、カッタ昇降シリンダ41のトラニオンが軸支されている。このカッタ昇降シリンダ41としては、油圧シリンダが用いられる。
カッタ昇降シリンダ41のピストンロッド41rは下垂しており、その先端にはピンを介してアーム42が連結されている。このアーム42は、連結部42aと、その連結部42aの両端に設けられた一対の脚部42b,42bとからなり、側面視逆U字形をしている。一対の脚部42b,42bは、2本のピン16,16の間を通され、かつ、第1シリンダ21、第1リンク22、第2シリンダ31、第2リンク32およびピン16,16と干渉しないように配置されている。そして、一対の脚部42b,42bの下端には、ピン43を介してカッタユニット50の上端部が回動自在に連結されている。
また、ピン43には、一対のリンク44,44の一端が回動自在に連結されており、リンク44,44の他端は下流側の支柱11,11に回動自在に連結されている。さらに、カッタユニット50の下端部と下流側の支柱11,11の根元部分とは、それぞれピンを介してリンク45,45で連結されている。すなわち、カッタユニット50、支柱11およびリンク44,45が平行リンクとなるように構成されており、この平行リンクによりカッタユニット50が常に鋳片Sに対して垂直を保ちつつ昇降するようになっている。
図4に示すように、カッタユニット50は、カッタユニット本体51と、カッタユニット本体51の上部にボルト・ナットで取り付けられた台座52と、台座52に取り付けられた3つの円筒カッタ53とからなる。ここで、円筒カッタ53は、中実の円筒形のカッタであり、その上面がラッパ状に広がり、水平方向に向いた円形の刃先が形成されているものである。
カッタユニット本体51の上端部には前記脚部42b,42bおよびリンク44,44と連結するピン43が形成されており、下端部には前記リンク45,45と連結するピンが形成されている。
台座52には、3つのシリンダ52cが形成されており、それぞれに皿バネ54が挿入され、その上に円筒カッタ53が挿入されている。したがって、3つの円筒カッタ53は、台座52に対してそれぞれ独立に動作することができる。
なお、本実施形態では3つの円筒カッタ53が取り付けられているが、鋳片Sの大きさにより、その数や大きさを変更することができる。
以上のような構成であるから、カッタ昇降シリンダ41を収縮することによりカッタユニット50が上昇し、円筒カッタ53を鋳片Sの下面に接触する接触位置に移動させることができる。また、カッタ昇降シリンダ41を伸長することによりカッタユニット50が下降し、円筒カッタ53を鋳片Sから離間した離間位置に移動させることができる。
図1に示すように、ローラテーブルTには、円筒カッタ53の上流側および下流側に一対のバリ冷却スプレイ60、60が取り付けられている。このバリ冷却スプレイ60,60は冷却水をバリbに向かって噴射し、バリbを冷却するためのものである。
つぎに、図5から図8に基づき、バリ取り装置1の動作について説明する。
まず、鋳片Sの前端に生じたバリbを切削除去する動作について説明する。
(1)まず、図5(1)に示すように、第1シリンダ21を伸長し第1当接ローラ23を停止位置に止めておき、第2シリンダ31を収縮し第2当接ローラ33を離間位置に止めておく。また、カッタ昇降シリンダ41を伸長し円筒カッタ53を離間位置に止めておく。ここで、第1当接ローラ23の停止位置は、鋳片Sの前端面が円筒カッタ53よりも下流側に位置する際に、第1当接ローラ23が鋳片Sの前端面と接触する位置である。また、第2当接ローラ33の離間位置は、第2当接ローラ33が鋳片Sの上方に位置し、鋳片Sから離間する位置である。また、円筒カッタ53の離間位置は、円筒カッタ53が鋳片Sの下方に位置し、鋳片Sから離間する位置である。
つぎに、切断された鋳片SをローラテーブルTで上流から下流に搬送し、鋳片Sの前端面を第1当接ローラ23に当接させて停止させる。このとき、鋳片Sを第1当接ローラ23に当接さる前に、ローラテーブルTの搬送速度を下げることが好ましい。
(2)つぎに、図5(2)に示すように、第2シリンダ31を伸長し第2当接ローラ33を押さえ位置に移動させ、第2当接ローラ33で鋳片Sの上面を押さえる。ここで、第2当接ローラ33の押さえ位置は、第2当接ローラ33が鋳片Sの上面に当接し、下方へ押さえる位置である。
そして、下流側に取り付けられたバリ冷却スプレイ60で冷却水をバリbに噴射し、バリbを冷却する。バリbが高温の場合、粘性があるためバリbを切削することが困難であるが、バリbを冷却することで粘性が低くなり、切削が容易となる。
(3)つぎに、図5(3)に示すように、カッタ昇降シリンダ41を収縮し円筒カッタ53を接触位置に移動させる。ここで、円筒カッタ53の接触位置は、円筒カッタ53の刃先が鋳片Sの下面に接触する位置である。
このとき、円筒カッタ53によって鋳片Sが上方に付勢されるが、鋳片Sは第2当接ローラ33によって押さえられているので、浮き上がりを防止できる。
(4)つぎに、図6(4)に示すように、第1シリンダ21を伸長し第1当接ローラ23を切削位置に移動させることにより、鋳片Sを上流へ押し戻して前端に生じたバリbを円筒カッタ53で切削する。ここで、第1当接ローラ23の切削位置は、鋳片Sの前端面が円筒カッタ53よりも上流側に位置する際に、第1当接ローラ23が鋳片Sの前端面と接触する位置である。
このとき、鋳片Sの上面を押さえている第2当接ローラ33は、回転することにより鋳片Sの上流への移動を許容する。
また、3つの円筒カッタ53は、それぞれ独立に動作することができるので、鋳片Sに幅方向の反り等の変形があったとしても、その変形にかかわらず鋳片Sの下面に接触して、確実にバリbを切削除去できる。
(5)つぎに、図6(5)に示すように、第1シリンダ21を収縮し第1当接ローラ23を離間位置に移動させ、第2シリンダ31を収縮し第2当接ローラ33を離間位置に移動させ、カッタ昇降シリンダ41を伸長し円筒カッタ53を離間位置に移動する。ここで、第1当接ローラ23の離間位置は、第1当接ローラ23が鋳片Sの上方に位置し、鋳片Sから離間する位置である。
つぎに、鋳片SをローラテーブルTで下流に搬送し、鋳片Sの後端面が円筒カッタ53より下流側に位置する位置で停止させる。
つぎに、鋳片Sの後端に生じたバリbを切削除去する動作について説明する。
上記の前端に生じたバリbを切削除去する動作においては、第1当接ローラ23が鋳片Sの移動を制御する機能を担い、第2当接ローラ33が鋳片Sの浮き上がりを防止する機能を担ったが、後端に生じたバリbを切削除去する動作においては、第2当接ローラ33が鋳片Sの移動を制御する機能を担い、第1当接ローラ23が鋳片Sの浮き上がりを防止する機能を担う。そして、第1シリンダ21と第2シリンダ31との動作が入れ替わる。
(6)まず、図7(6)に示すように、第2シリンダ31を伸長し第2当接ローラ33を停止位置に移動する。第1当接ローラ23および円筒カッタ53は離間位置に止めておく。ここで、第2当接ローラ33の停止位置は、鋳片Sの後端面が円筒カッタ53よりも上流側に位置する際に、第2当接ローラ33が鋳片Sの後端面と接触する位置である。
つぎに、前端に生じたバリbを切削除去した鋳片SをローラテーブルTで下流から上流に搬送し、鋳片Sの後端面を第2当接ローラ33に当接させて停止させる。このとき、鋳片Sを第2当接ローラ33に当接さる前に、ローラテーブルTの搬送速度を下げることが好ましい。
(7)つぎに、図7(7)に示すように、第1シリンダ21を伸長し第1当接ローラ23を押さえ位置に移動させ、第1当接ローラ23で鋳片Sの上面を押さえる。ここで、第1当接ローラ23の押さえ位置は、第1当接ローラ23が鋳片Sの上面に当接し、下方へ押さえる位置である。
そして、上流側に取り付けられたバリ冷却スプレイ60で冷却水をバリbに噴射し、バリbを冷却する。
(8)つぎに、図7(8)に示すように、カッタ昇降シリンダ41を収縮し円筒カッタ53を接触位置に移動させる。
このとき、円筒カッタ53によって鋳片Sが上方に付勢されるが、鋳片Sは第1当接ローラ23によって押さえられているので、浮き上がりを防止できる。
(9)つぎに、図8(9)に示すように、第2シリンダ31を伸長し第2当接ローラ33を切削位置に移動させることにより、鋳片Sを下流へ押し戻して後端に生じたバリbを円筒カッタ53で切削する。ここで、第2当接ローラ33の切削位置は、鋳片Sの後端面が円筒カッタ53よりも下流側に位置する際に、第2当接ローラ33が鋳片Sの後端面と接触する位置である。
このとき、鋳片Sの上面を押さえている第1当接ローラ23は、回転することにより鋳片Sの上流への移動を許容する。
(10)つぎに、図8(10)に示すように、第1シリンダ21を収縮し第1当接ローラ23を離間位置に移動させ、第2シリンダ31を収縮し第2当接ローラ33を離間位置に移動させ、カッタ昇降シリンダ41を伸長し円筒カッタ53を離間位置に移動する。
つぎに、鋳片SをローラテーブルTで下流に搬送する。
以上の手順で、1台のバリ取り装置1で鋳片Sの前端および後端に生じたバリbを切削除去できる。
また、第1当接ローラ23および第2当接ローラ33は鋳片Sの移動を制御する機能と、鋳片Sの浮き上がりを防止する機能との両方を担うので、それぞれの機能を担う別の部材を設ける必要がなく、構造が単純であり不具合が生じにくい。
また、第1当接ローラ23および第2当接ローラ33を動作させる機構がローラテーブルTの上方に位置し、円筒カッタ53を動作させる機構もローラテーブルTの上方に位置するため、鋳片Sから落下したスケールや、そのスケールの堆積物、周囲からの輻射熱などによる不具合が生じ難い。
また、第1当接ローラ23および第2当接ローラ33を動作させる機構や円筒カッタ53を動作させる機構にリンク機構を採用しているため、直線運動を行うスライド機構を採用した際に生じるスライド部分へのスケールの堆積によるスライドの停止や、スライド面の磨耗によるガタの発生などの不具合を抑制することができる。
また、円筒カッタ53を付勢する手段として構造が単純な皿バネが用いられているので、エアシリンダ等により付勢する場合に比べて、鋳片Sから落下したスケールなどによる不具合が生じ難い。
さらに、多くの部材がローラテーブルTの上方に位置するので、十分なスペースがあり装置のメンテナンスがしやすい。
なお、上記実施形態における第1当接ローラ23および第2当接ローラ33に代えて、鋳片Sに当接し、かつ摺動可能な他の部材を用いてもよい。その形状は、鋳片Sに傷を付けない形状であれば特に限定されない。
また、円筒カッタ53に代えて、鋳片Sの上流側および下流側に刃先を有する他のカッタを用いてもよい。例えば一対のバイトの一方の刃先を上流側に、他方の刃先を下流側に向けるように取り付けてもよい。
さらに、皿バネ54に代えて、必要な弾性力を有する種々のバネ、例えばコイルバネを用いてもよい。
1 バリ取り装置
10 フレーム
21 第1シリンダ
22 第1リンク
23 第1当接ローラ
31 第2シリンダ
32 第2リンク
33 第2当接ローラ
41 カッタ昇降シリンダ
42 アーム
44 リンク
45 リンク
50 カッタユニット
52 台座
53 円筒カッタ
54 皿バネ

Claims (5)

  1. 鋳片の前端および後端に生じたバリを取るバリ取り装置であって、
    前記鋳片に当接可能な第1当接部材および第2当接部材と、
    前記バリを切削するカッタと、を備え、
    前記第1当接部材は、下流へ搬送される前記鋳片の前端面に当接し停止させる停止位置と、該鋳片を上流へ押し戻して前端に生じたバリを前記カッタで切削する切削位置と、該鋳片の上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能であり、
    前記第2当接部材は、上流へ搬送される前記鋳片の後端面に当接し停止させる停止位置と、該鋳片を下流へ押し戻して後端に生じたバリを前記カッタで切削する切削位置と、該鋳片の上面を押さえる押さえ位置とで姿勢変更可能であり、
    前記カッタは、前記鋳片の下面に接触する接触位置と、該鋳片から離間した離間位置とで姿勢変更可能である
    ことを特徴とする鋳片のバリ取り装置。
  2. 前記鋳片を搬送する搬送手段の上方に設けられたフレームと、
    前記フレームに回動自在に設けられた第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記フレームに軸支された第1リンクおよび第2リンクと、を備え、
    前記第1リンクは、一端には前記第1シリンダのピストンロッドと連結されており、他端には前記第1当接部材が取り付けられており、
    前記第2リンクは、一端には前記第2シリンダのピストンロッドと連結されており、他端には前記第2当接部材が取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の鋳片のバリ取り装置。
  3. 前記鋳片を搬送する搬送手段の上方に設けられたフレームと、
    前記フレームに設けられたカッタ昇降シリンダと、
    前記カッタを昇降可能とする平行リンクと、
    前記カッタ昇降シリンダのピストンロッドと、前記カッタとを連結するアームと、を備える
    ことを特徴とする請求項1または2記載の鋳片のバリ取り装置。
  4. 前記カッタはバネを介して台座に取り付けられており、
    該台座は前記アームに連結されている
    ことを特徴とする請求項3記載の鋳片のバリ取り装置。
  5. 請求項1、2、3または4記載の鋳片のバリ取り装置を用いた鋳片のバリ取り方法であって、
    下流へ搬送される前記鋳片の前端面に前記第1当接部材を当接し停止させ、
    該鋳片の上面を前記第2当接部材で押さえ、
    該鋳片の下面に前記カッタを接触させ、
    該鋳片を前記第1当接部材で上流へ押し戻して前端に生じたバリを前記カッタで切削し、
    上流へ搬送される前記鋳片の後端面に前記第2当接部材を当接し停止させ、
    該鋳片の上面を前記第1当接部材で押さえ、
    該鋳片の下面に前記カッタを接触させ、
    該鋳片を前記第2当接部材で下流へ押し戻して後端に生じたバリを前記カッタで切削する
    ことを特徴とする鋳片のバリ取り方法。
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