JP2012239422A - 高濃度糖類或いは糖アルコールから微細結晶糖スラリーを製造する方法、その製造装置、及び微細結晶糖スラリーから中空球形結晶糖粒子を製造する方法、並びにその製造装置 - Google Patents

高濃度糖類或いは糖アルコールから微細結晶糖スラリーを製造する方法、その製造装置、及び微細結晶糖スラリーから中空球形結晶糖粒子を製造する方法、並びにその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】糖類或いは糖アルコールを噴霧乾燥機により中空球形結晶粒子を製造する装置と方法を提供する。
【解決手段】 水溶解度が低温で低溶解度である糖類或いは糖アルコールを有する糖液を高濃度で完全溶解して貯留する貯留タンク1と、前記貯留タンク1から供給された糖液を過冷却する冷却手段2と、前記冷却手段2で過冷却された糖液を急速撹拌して微細結晶を析出させる撹拌手段9と、前記撹拌手段9で撹拌された糖液の過飽和糖を、前記糖液の全てが結晶化しない所望の時間内において、前記糖液を層流状態として、微細結晶として析出させる結晶析出手段14とよりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は糖類或いは酵素異性化糖アルコール又は精製糖アルコールの高濃度液から微細結晶糖スラリーを製造する方法、その製造装置、及び前記製造された微細結晶糖スラリーを用いた中空球形結晶糖粒子の製造方法、並びに製造装置に関するものである。
従来の糖類或いは糖アルコールの結晶析出方法は、高温高濃度の糖液を冷却ジャケットタンク内で低速攪拌しながら冷却し、飽和温度以下に冷却した時点で微細種結晶を添加し、緩慢に冷却しながら、例えば10時間以上の長時間連続攪拌することにより、前記微細種結晶の廻りに糖結晶を析出させて成長させ、結晶糖をデカンターなどによる分離・洗浄・脱水・乾燥操作で結晶糖粒子を製造している。
この従来の結晶析出操作に於いては、結晶糖スラリーの分離・洗浄・脱水・乾燥を容易にするため、例えば数百μ〜数mmの均一な糖結晶を作ることが必須要件である。
また、噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて、5重量%〜30重量%の低濃度マンニトール水溶液を、熱風中に噴霧して、乾燥させて中空球状マンニトール結晶粒子を製造する方法が知られている(特許文献1)。
前記特許文献は、温熱風中に低濃度のマンニトール水溶液を微粒化噴霧して乾燥する過程で、中空球状マンニトール結晶粒子が製造可能であることを発見したに過ぎず、これは他の糖類或いは糖アルコールと比べて、マンニトール過飽和液が極めて不安定で結晶化し易い特異性によるもので、この条件では他の糖類或いは糖アルコールの中空球状結晶糖粒子を製造することは不可能である。
特公表2008−146590号公報
前記従来の結晶析出操作により製造された結晶糖粒度は数百μm〜数mm程度の中実結晶で比重が重く流動性に富み、長期間パレット積みで保存しても固化しないことが利点である反面、高温(水)溶解度が高いにも係らず、溶解タンクに大量投入すると結晶糖は分散せずにタンク底に急速沈降するため、溶解に時間が掛かり、一旦攪拌機を停止すると再起動不能となるなどの難点があり、比重が軽く流動性に富み、分散溶解性にも優れた中空球形結晶糖が望まれている。
また大粒の結晶糖は粉体混合原料には適さないため、微粉砕糖も多量に使われているが、流動性に乏しく、金属(ステンレススコップなど)面に付着し易いなどの不都合があり、打錠添加糖に適した、流動性のある軽比重で中空球形結晶糖粒子径が望まれる。
また、前記引用文献1による方法においては、噴霧されたマンニトール水溶液が噴霧乾燥機チャンバー内で中空状に膨らみ結晶化するためには、限定された乾燥温度条件が必要であり、他の糖類或いは糖アルコールの場合はこれらの条件でも結晶は析出せず、高温で軟質粘着性の固溶体(非結晶体)となる。この固溶体は、吸湿性が強く常温保存に適さない。
また、前記引用文献1による方法においては、マンニトールの過飽和液が極めて不安定な特性を有するため、固形分比率50%以上の高濃度では噴霧前に結晶が析出するため均質な微粒化は不可能である。更に、マンニトールの過飽和液を過冷却して微細針状結晶を析出させることは可能であるが、マンニトール結晶は疎水性で冷水を加えて攪拌すると発泡し、微細結晶が凝集分離するため圧力噴霧ノズルで良好な微粒化噴霧は得られない。
従って、前記引用文献1における方法では、結晶が析出しない条件で噴霧することが必要で、チャンバー内で中空状に膨張して結晶が析出する乾燥条件を厳密に設定する必要があると共に、チャンバー内で完全結晶化するだけの滞留時間が必要なため、汎用機と比較して数倍の乾燥チャンバー容量を必要とする。
また、前記引用文献1の方法において、前記マンニトール以外の、例えば、イソマルト・ラクトース・グルコースなどの糖液は同様の乾燥条件と大容量チャンバーで乾燥しても、固溶体になるだけで、中空球形結晶粒子を製造することは不可能である。
本発明はマンニトール以外の糖類或いは糖アルコールでもスプレードライヤーで、中空球形結晶糖粒子を製造する方法及び装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成すべく、第1発明は糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造方法に関し、液温による溶解度変化率の大きな糖類或いは糖アルコールを高温水に高濃度で溶解して、前記糖液を結晶析出させずに10℃以下まで過冷却する工程と、前記過冷却糖液に微細種結晶を加えて急速撹拌して微細結晶を析出させ、過飽和糖全量が結晶化して固化する前に冷水を加えて攪拌し、流動性微細糖結晶スラリー化させる工程とよりなり、又第2発明は糖類或いは糖アルコールの微細結晶スラリー製造装置に関し、液温による溶解度変化率の大きな糖類或いは糖アルコールを高濃度で溶解して貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクから供給された糖液を10℃以下まで結晶を析出させずに過冷却する冷却手段と、前記冷却手段で過冷却された糖液に微細種結晶を添加して急速撹拌して微細結晶を析出させる手段と、過飽和糖全量が結晶化して固化する前に冷水を加えて攪拌して流動性微細糖結晶スラリー化させる手段からなり、又第3発明は糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造方法に関し、乾燥チャンバー内に熱風と温風を供給し、前記熱風中に、前記第1発明の方法により製造した微細結晶糖スラリーを微粒化噴霧して、中空球形状に膨張した非結晶糖膜の表面に微細結晶が突起した粒子を製造する工程と、前記微細結晶突起を有する中空固溶体を、チャンバー内壁面に沿って旋回する冷風により壁面冷却する工程と、前記チャンバー底部で、前記微細結晶が突起した中空球形固溶体粒子を2次乾燥させて、該固溶体を結晶化させる工程とよりなり、又第4発明は糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置に関し、乾燥チャンバー内に設けた、前記第1発明の方法により製造した微細結晶糖スラリーを微粒化噴霧する手段と、前記噴霧された微細結晶糖スラリー液滴を加熱して中空球形状に膨張させると共に、乾燥させて、微細結晶を有する固溶体にするための熱風供給手段と、前記微細結晶を有する固溶体を冷やすための冷風供給手段と、前記チャンバー底部に設けた、前記微細結晶を有する固溶体を2次乾燥させて、該固溶体を結晶化させる乾燥手段とよりなる。
本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造方法及び製造装置によれば、微細結晶糖粒子の粒径が10μm以下であるとともに、この微細結晶糖が高濃度で含まれ、かつ、流動性に富むスラリーを製造することができるので、圧力噴霧ノズルでも比較的均一な微粒化噴霧が可能となり、通常の乾燥チャンバー容量でも中空球形結晶糖粒子を得ることができる。
また、本発明の微細結晶糖スラリーの噴霧乾燥方法及び装置によれば、汎用スプレードライヤーチャンバーで流動性に富む中空球形結晶糖粒子を得られ、温水溶解性や打錠添加糖に適した粉体特性を得ることができる。
本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有するスラリーの製造装置、及び糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置の説明図である。 本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造装置の説明図である。 本発明の糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置の説明図である。 本発明の糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置の上方からみた説明図である。
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有するスラリーの製造装置、及び糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置の実施例1を図1〜図4により説明する。
図1において、Aは、糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有するスラリーの製造装置を示し、Bは、糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置を示す。まず、前記糖類或いは糖アルコールの微細結晶を析出させる装置Aを図2により説明する。
1は貯留手段である糖液タンクを示し、該糖液タンク1には、例えば、水10kgに、グルコース90kgを、98℃以上で完全溶解させ、糖濃度が85重量%以上の糖液が貯留されている。
なお、糖濃度が高いことが、後述する粒径の小さな均一微細結晶糖を析出させるのに重要で、95℃以上の高温水に飽和限界濃度に限りなく近づけるのが好ましい。そして、この糖濃度であれば、微細結晶糖の粒径が、後述するスプレードライヤーで噴霧可能となる粒径、例えば、10μm以下とすることができる。
また、前記糖液は、水に対する溶解度が、高温で高溶解度、かつ、低温で低溶解度であるものが好ましく、例えば、98℃において水100gに対する水溶解度が100g以上で、10℃において水100gに対する水溶解度が30g以下の糖液や、98℃において水100gに対する水溶解度が900g以上で、10℃において水100gに対する水溶解度が100g以下の糖液が特に、好ましい。
即ち、高温での溶解度と低温の溶解度との差が大きいことが、後述するスプレードライヤーで噴霧させる液滴中に高濃度、例えば、60重量%以上の微細結晶糖を含めることができ、これにより、液滴の結晶化の促進、チャンバー壁への固着を防ぐことができる。
また、前記糖液タンク1は二重容器からなり、外容器1a内には蒸気又は冷水が流れるようにし、該タンク1内の糖液を加熱冷却できるようにした。
2は冷却手段である冷却管を示し、該冷却管2と前記糖液タンク1との間に送液管3が連結されると共に、該送液管3に糖液供給ポンプ4が介在されており、該糖液供給ポンプ4の駆動により前記糖液タンク1内の糖液を前記冷却管2に供給するようにした。
また、前記冷却管2は二重管からなり、その内管2a内にはスタティックミキサー(静止型混合器)5が設けられ、該内管2aに入った糖液は内管2a内を移動するに従って順次撹拌冷却される。
6は循環管路を示し、該循環管路6の一端及び他端は、前記二重管2の外管2bの入口側及び出口側にそれぞれ接続されると共に、該循環管路6の中間部に冷却装置7及び循環ポンプ8が介在されており、該循環ポンプ8の駆動により、前記冷却装置7内で冷却された液体が前記外管2b内と前記循環管路6内を循環し、前記二重管2の内管2a内を流れる糖液を例えば、10℃以下まで過冷却するようにした。
9は、第1の撹拌手段である第1撹拌容器を示し、該第1撹拌容器9と前記冷却管2の間に送液管10が連結されると共に、該第1撹拌容器9内には撹拌機が設けられ、該第1撹拌容器9内に入った糖液を急速撹拌するようにした。
11は、種結晶タンクを示し、該種結晶タンク11は、微細種結晶を有するスラリーが貯留され、また、該種結晶タンク11と前記送液管10との間に送液管12が連結されていると共に、該送液管12に種結晶供給ポンプ13が介在されており、該種結晶供給ポンプ13の駆動により前記種結晶タンク10内の微細結晶スラリーを前記第1撹拌容器9内に供給するようにして種結晶添加手段を構成した。
14は、結晶析出手段である結晶管を示し、該結晶管14は例えば、10mの長さで、その入口は前記第1撹拌容器9に連結され、前記第1撹拌容器9内で撹拌された糖液が該結晶管14に流入し、該結晶管14内で、前記糖液の全てが結晶化しない所定の時間内に、前記糖液が前記第2撹拌容器15内に供給されるようにする。
なお、前記結晶管14内で、例えば、過飽和状態の糖液の90%以上100%未満の量が、例えば粒径10μm以下の微細結晶として析出するように前記所定の時間が調整されるのが好ましい。なお、結晶析出完了時間は非結晶物質含有量に影響されるが、添加する微細種結晶量でも調整可能で、前記結晶管14内の移動時間は例えば60秒間とする。
なお、この結晶管14内において、糖液の粘度が低いと、先に析出した微細結晶が成長し、結晶粒径が大きくなり、後述するスプレードライヤーにおいて微粒化噴霧ができなくなる。そこで、前記過冷却された糖液は高濃度で、粘度が高くなるようにするのが好ましい。即ち、過冷却された糖液が高濃度であれば、糖液が高粘度状態となり、糖分子移動がほとんど生じないので、限られた領域でしか結晶が成長できず、これにより、飽和状態の糖液の全量を10μm以下の微細結晶として析出させることができるようになる。
15は、第2の撹拌手段である第2撹拌容器を示し、該第2撹拌容器15と前記結晶管14との間に送液管16が連結されると共に、該第2撹拌容器15内には撹拌機が設けられている。
17は、冷却装置を示し、該冷却装置17と前記送液管16との間に送液管18が連結されると共に、該送液管18に冷水供給ポンプ19が介在されており、該冷水供給ポンプ19の駆動により前記冷却装置17で得られた、例えば、5℃以下の冷水が前記第2撹拌容器15に流入し、前記第2撹拌容器15内の微細結晶を含む糖液を撹拌して非結晶糖液を飽和濃度以下に下げて結晶化を停止し、流動性のあるスラリーとなるようにして結晶糖液流動化手段を構成した。
なお、前記糖液に高温の水を加えると、微細結晶が水に溶け、糖濃度が高くなるので、過冷却した温度よりも低い温度の水を加えるのが好ましい。
20は、微細結晶含有スラリータンクを示し、該スラリータンク20と前記第2撹拌容器15との間に送液管21が連結され、前記第2撹拌容器15内で流動スラリー化した微細結晶を有する糖液を貯留するようにした。
また、前記結晶スラリータンク20は二重容器からなり、外容器20a内には冷水が流れ、該スラリータンク20内の糖液を冷却するようにした。なお、20bは前記スラリータンク20内に設けた撹拌機である。
次に、前記糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造装置Aを用いた、糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造方法と、その効果を説明する。
例えば、水10kgに、グルコース90kgを、98℃以上で完全溶解させて糖液を作った後、冷却水で糖液が所定内粘度の温度まで攪拌冷却し、糖濃度が85重量%以上の糖液を前記糖液タンク1内に貯留する。
次に、前記糖液タンク1に貯留された糖液を前記糖液供給ポンプ4を駆動させて、冷却管2に供給する。
なお、前記供給ポンプ4は常時駆動し、前記タンク1内の糖液を前記冷却管2に常時供給するようにする。
前記冷却管2は、前記循環管路6と前記冷却管2の外管2b内を循環する冷水により冷やされ、前記冷却管2に供給された糖液が、前記冷却管2の出口に到達するまでに、例えば、10℃以下まで過冷却される。
なお、前記糖液は、前記第1撹拌容器9内に供給されるまで、結晶化しないようにする。
次に、前記過冷却された糖液に、前記供給ポンプ13を駆動して、前記種結晶タンク11から、例えば、前記第1撹拌容器9内の糖液の10%以下の量の微量の種結晶を加えて、前記第1撹拌容器9内で前記糖液を急速撹拌する。
この急速撹拌の回転速度は、例えば2000rpm以上で、前記第1撹拌容器9内に供給された糖液が前記結晶管14内に排出されるまでの短時間の間に、前記種結晶が全ての過飽和糖に作用するように急速に撹拌される必要がある。そして、この急速撹拌により、後述するように結晶管14内で全ての過飽和糖液が微細結晶化するようになる。
なお、種結晶を加えなくても、前記第1撹拌容器9内で糖液を急速撹拌して微細結晶が析出する場合には、種結晶を加えなくても良い。
前記第1撹拌容器9内で撹拌された糖液は、前記結晶管14に供給され、層流状態で、出口側に移動させる。
但し、前記糖液は前記結晶管14内を移動中、短時間(数十秒から数分間)で、糖液全量がブロック状に固化してしまう。それを防ぐために、所定の時間内、例えば1分以内に前記糖液が前記第2撹拌容器15内に供給されるようにする。
なお、前記結晶管14の出口において、例えば、過飽和状態の糖液の90%以上100%未満の量が微細結晶として析出するように前記所定の時間を調整するのが好ましい。
そして、前記所定の時間は、糖類或いは糖アルコールの品種、濃度、純度により異なるため、微細種結添加量および結晶管14の長さと前記供給ポンプ4の供給量により調整される。
次に、前記第2撹拌容器15内で、ブロック状に固化する前の糖液に、糖液に対して20%以下の量の5℃以下の冷水を加え撹拌する。これにより非結晶糖液を飽和濃度以下に下げて結晶化を停止すると同時に、粘性が高い前記糖液を、流動性スラリー状にでき、また、前記糖液を長時間定温で放置しても、結晶は成長も結合もせずに、流動スラリーを維持することができるようになる。
また、前記糖液の温度が上がらないように、タンク20の外周20aに冷水を流し冷却し、前記流動化した微細結晶糖を有する糖液をタンク20に貯留するようにする。
また、結晶化プロセスをバッチ処理とすると、前記糖液がブロック化してしまうので、タンク1から前記タンク20貯留までは連続処理可能な装置とする。
本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖液の製造方法、及びその製造装置によれば、水の溶解度が、高温高溶解度で、低温低溶解度の物性を示す糖類或いは糖アルコールにおいて、その糖類或いは糖アルコールを高温高濃度で溶解させ、この糖濃度の高い糖液を過冷却して、微細種結晶を添加して急速撹拌し、糖液がブロック化する前に冷水を加えれば、微細結晶粒径が10μm以下であるとともに、微細結晶が高濃度で、かつ、流動性結晶糖スラリーを製造することができる。そして、微細結晶粒径が10μm以下であるので、高濃度の糖液を用いて、後述するように、圧力噴霧ノズルを用いたスプレードライヤーで噴霧可能であり、中空球状結晶糖粒子を製造することが可能となる。
なお、糖液中の微細結晶比率(結晶糖:非結晶糖)が大きいほど、後述するスプレードライヤーでの乾燥処理が容易となるので、糖類或いは糖アルコールの水溶解度において、高温溶解度と低温溶解度の差が大きい方が好ましい。
また、前記糖液タンク1に貯留する糖は、例えば、グルコースのように溶解度が高温高溶解でかつ低温低溶解度の糖に、例えば、低温高溶解度の糖を加えた糖であってもよい。この場合、水の溶解度が高温高溶解度でかつ低温低溶解度の糖のみを用いた場合よりも、微細結晶糖の含有率が低い糖液となるが、加える前記低温高溶解度の糖の量が少なければ、スプレードライヤーで良好な中空球形結晶糖粒子製造が可能である。
次に、糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置Bを説明する。
22は、円筒状の乾燥チャンバーを示し、該チャンバー22の天井部には熱風供給手段である熱風吹出装置23が接続されている。なお、前記チャンバー22はシングル壁であり、放射冷却により壁温度が低くなるようにした。
該熱風吹出装置23は、前記チャンバー22の天井部に接続された円形状の吹出口24と、温風ファン25と、前記吹出24と前記温風ファン25とを連結する送風管26とよりなる。
前記吹出口24は、中央吹出口24aと、該中央吹出口24aの外周部に形成された外周吹出口24bとよりなり、前記吹出口24と前記乾燥チャンバー22の天井部との間には、整流と風速制御を目的とした多孔円盤と整流ハニカムセル27が介在されている。
また、前記送風管26内には分流管28が設けられ、この分流管28の一端は前記中央吹出口24aに接続され、他端には加熱装置29が設けられており、前記温風ファン25の駆動による温風は前記送風管26及び分流管28を通り、前記吹出口24bからは前記温風がチャンバー22内に供給され、前記吹出口24aからは、前記加熱装置29により加熱された熱風がチャンバー22内に供給されるようにする。
なお、前記吹出口24aからは微細結晶が溶融せず、かつ糖液が固溶体となる温度、例えば、250℃の熱風が供給され、前記吹出口24bからは例えば、50℃の温風が供給され、その風量比は例えば、40:60とし、前記吹出口24から前記チャンバー22内に、温度の異なる風が供給されるようにして、多孔円盤と整流ハニカムセル27での制御された二元熱風(中心高温高速/外周低温低速)状態とする。
30は、噴霧手段である圧力噴霧ノズルを示し、該圧力噴霧ノズル30の先端は、前記チャンバー22内の天井中央に固定され、また、該圧力噴霧ノズル30と前記タンク20との間に送液管31が連結されると共に、該送液管31に供給ポンプ32及び加圧空気導入口33が介在されており、前記タンク20からの糖液が前記圧力噴霧ノズル30の先端から、即ち、チャンバー天井中央から下方に向かって噴霧されるようにした。
なお、前記圧力噴霧ノズルにより噴霧される液滴の粒径は例えば、50μm〜200μmである。
また、前記圧力噴霧ノズル30の噴霧角度は任意に変更可能である。これにより、噴霧液滴を熱風中に留めることが可能となる。
34は、前記チャンバー22の中央部において、円筒に対して接線方向に取付けた外気導入管を示し、該外気導入管34には、外気ファン35が設けられ、前記外気ファン35の駆動により外気がチャンバー22内に供給され、前記外気は、チャンバー壁面に沿って回転して流れ、チャンバー壁付近を冷却、乾燥できるようにし、冷風供給手段を前記チャンバー22に設けた。
36は、糖粒子2次乾燥チャンバーを示し、該糖粒子2次乾燥チャンバー36は、前記チャンバー22の底部に接続される。
また、37は、乾燥温風導入管を示し、この乾燥温風導入管37は、前記糖粒子2次乾燥チャンバー36に接続され、該乾燥温風導入管37には、電気ヒーター38、温風ファン39、除湿機40が設けられ、前記糖粒子2次乾燥チャンバー36内に乾燥温風空気を導入し、前記チャンバー34内に上方から落下してきた粒子を2次乾燥する乾燥手段を前記チャンバー22の底部に設けた。
41は、乾燥排気中の粒子を分離捕集するサイクロンであり、該サイクロン41と前記糖粒子乾燥チャンバー36との間に送風管42が連結されている。
また、43は前記サイクロン41の排風ファン、44は前記サイクロン41の底部に設けたバルブ、45はシフターを示す。
次に、前記糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造方法、製造装置と、その効果を説明する。
前記温風ファン25及び加熱装置29を駆動して、前記吹出口24aから微細結晶が溶融せず、かつ糖液が固溶体となる温度、例えば、250℃の熱風(風量比40%)をチャンバー内22内に天井部から下方に向けて供給し、また、前記吹出口24bから例えば、50℃の温風(風量比60%)をチャンバー内22に天井部から下方に向けて供給する。
前記熱風及び温風の供給により、チャンバー22内上部の中心の温度は約250℃となると共に、チャンバー内上部の外周が温度は50℃となり、混合熱風温度は約130℃となる。
また、前記外気ファン35を駆動して、チャンバー22内に例えば、25℃の外気を供給し、該外気がチャンバー22の壁に沿って旋回して、チャンバー22の壁を冷却するように冷却手段を該チャンバー22に設けた。
なお、前記外気の風量は、例えば、前記吹出口から導入する風量の50%とする。また、蒸発に有効利用される熱量は利用温度差(平均熱風温度−乾燥完了空気温度)と風量と空気比熱の積になる。例えば利用温度差が60℃とすればチャンバー下端乾燥空気温度は130℃−60℃=70℃で、外周吹き込み外気と混合した排風温度は数1により55℃となる。
(数1)
(70(℃)×1+25(℃)×0.5)/1.5=55(℃)
また、前記電気ヒーター38、温風ファン39、除湿機39を駆動して、前記糖粒子2次乾燥チャンバー36内に、例えば、40℃の除湿温風を供給する。なお、乾燥粉排出温度は例えば、35℃である。
次に、前記ポンプ32により、前記タンク20内の糖液を前記圧力噴霧ノズル30から下向きに噴霧する。
この噴霧された液滴は、前記チャンバー22内で前記熱風にさらされて中空球形状に一気に膨張し、乾燥し、多数の微細結晶を含む固溶体となる。そして、中空球形状の液滴中に含まれる多数の微細結晶は液滴表面から突出し、これにより、該液滴がチャンバー22壁に接触しても、固溶体が触れることがないので、チャンバー22壁に液滴が付着するのを防止することができる。
また、チャンバー22壁面は冷やされているので、固溶体が軟質化して付着することはない。
次に、前記熱風により加熱された液滴は、外側吹出口24bからの温風により冷やされて、前記熱風にさらされ続けた結晶が溶解するのが防止される。
そして、前記液滴は、前記糖粒子2次乾燥チャンバー36内に落下し、該糖粒子2次乾燥チャンバー36内で、例えば、約10分間滞留させることにより、結晶糖に隣接する固溶体が結晶化して、吸湿せず流動性に富む中空球形状の結晶糖を形成させる。
なお、微細結晶を有しない固溶体は2次乾燥しても結晶は析出しないため、吸湿性が強く保存中にブロッキングを生ずるが、本願発明のように固溶体内部に微細結晶を有するので、2次乾燥操作で固液体を結晶化させることができる。
なお、液滴中の微細結晶糖が60重量%以上であれば、良好な微粒子状の中空微細結晶糖粒子を製造することができる。
次に、前記結晶糖は、送風管42を介して、前記サイクロン41に供給し、シフター45より移送される。
なお、チャンバー22壁を固溶体が溶融しない温度まで下げれば、仮に前記液滴の固溶体部分がチャンバー壁に付着した場合でも、固着を防止することができる。
本発明の糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置及び方法によれば、微細結晶糖スラリーを微粒化噴霧して瞬間乾燥することにより、比重が軽く、流動性に富む中空球形粒子を得られ、温水溶解性や打錠添加糖に適した粉体特性を得ることができる。
また、噴霧液滴を熱風流中に留めて、中空粒子化を促進し、その後、低温空気により冷却して、結晶糖の溶解を防ぐようにし、更に、チャンバー中段に旋回冷風を吹き込み、チャンバー壁を固着温度以下に保持することにより、微細糖結晶を固溶体糖で結合した中空球形粒子を底部乾燥層に落下させることができるようになる。
そして、前記2次乾燥層で、微細糖結晶を固溶体糖で結合した中空球形粒子を完全に結晶化することができるようになる。
本発明の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖液の製造方法、その製造装置、及び糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造方法、並びにその製造装置は、主に食品工場等で利用される。
1 糖液タンク
2 冷却管
4 糖液供給ポンプ
9 第1撹拌容器
11 種結晶タンク
14 結晶管
15 第2撹拌容器
20 スラリータンク
22 チャンバー
23 熱風吹出装置
24 吹出口
34 外気導入管
36 糖粒子2次乾燥チャンバー
41 サイクロン

Claims (13)

  1. 水溶解度が低温で低溶解度である糖類或いは糖アルコールを、高温の水に高濃度で溶解して、糖液を製造する工程と、
    前記糖液を過飽和温度まで冷却する工程と、
    前記糖液を急速撹拌する工程と、
    前記糖液の全てが結晶化しない所定の時間内において、前記糖液を層流状態として、前記糖液の過飽和糖を微細結晶として析出させる工程と
    よりなる事を特徴とする糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有するスラリーの製造方法。
  2. 前記糖液を急速撹拌する前に、前記糖液に種結晶を添加する工程を更に付加することを特徴とする請求項1に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有するスラリーの製造方法。
  3. 前記糖液の過飽和糖を微細結晶として析出させる工程の後に、前記糖液に冷水を加え、流動性のある糖スラリーにする工程を更に付加することを特徴とする請求項1又は2記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖液の製造方法。
  4. 前記水溶解度が低温で低溶解度である糖類或いは糖アルコールは、水溶解度が、98℃において、水100gに対して100g以上溶解し、10℃において、水100gに対して30g以下の溶解度である糖類或いは糖アルコールであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造方法。
  5. 前記水溶解度が低温で低溶解度である糖類或いは糖アルコールは、水溶解度が、98℃において、水100gに対して900g以上溶解し、10℃において、水100gに対して100g以下の溶解度である糖類或いは糖アルコールであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖液の製造方法。
  6. 前記糖液の糖濃度は、60重量%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖液の製造方法。
  7. 水溶解度が低温で低溶解度である糖類或いは糖アルコールを有する糖液を高濃度で溶解して貯留する貯留タンクと、
    前記貯留タンクから供給された糖液を過冷却する冷却手段と、
    前記冷却手段で過冷却された糖液を急速撹拌する撹拌手段と、
    前記撹拌手段で急速撹拌された糖液の過飽和糖を、前記糖液の全てが結晶化しない所定の時間内で、前記糖液を層流状態として、微細結晶として析出させる結晶析出手段とよりなることを特徴とする糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造装置。
  8. 前記撹拌室手段に種結晶を添加する種結晶添加手段を更に有することを特徴とする請求項7に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造装置。
  9. 前記微細結晶が析出した糖液に冷水を加え、流動性のある糖スラリーとする糖液流動化手段を更に有することを特徴とする請求項7又は8に記載の糖類或いは糖アルコールの微細結晶を有する糖スラリーの製造装置。
  10. 乾燥チャンバー内に熱風と冷風を供給し、前記熱風中に、前記請求項1乃至6のいずれか1の方法により製造した微細結晶糖スラリーを微粒化噴霧して、前記微細結晶糖スラリー液滴を加熱して中空球形状に膨張させると共に、乾燥させ、微細結晶を有する固溶体にする工程と、
    前記微細結晶を有する固溶体を、前記冷風により冷やす工程と、
    前記チャンバー底で、前記微細結晶を有する固溶体を2次乾燥させて、該固溶体を結晶化させる工程と、
    よりなることを特徴とする糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造方法。
  11. 前記チャンバー壁面を冷却する工程を更に有することを特徴とする請求項10に記載の糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造方法。
  12. 乾燥チャンバー内に設けた、請求項1乃至6のいずれか1の方法により製造した微細結晶糖スラリーを微粒化噴霧する噴霧手段と、
    前記噴霧された微細結晶糖スラリー液滴を加熱して中空球形状に膨張させると共に、乾燥させて、微細結晶を有する固溶体にするための熱風供給手段と、
    前記微細結晶を有する固溶体を冷やすための冷風供給手段と、
    前記チャンバー底部に設けた、前記微細結晶を有する固溶体を乾燥させて、該固溶体を結晶化させる2次乾燥手段と、
    よりなることを特徴とする糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置。
  13. 前記チャンバー壁面を冷却する冷却手段を更に有することを特徴とする請求項12に記載の糖類或いは糖アルコールの中空球形結晶糖粒子の製造装置。
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