JP2012239384A - 乳癌に対するテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤の治療効果予測因子 - Google Patents

乳癌に対するテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤の治療効果予測因子 Download PDF

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Abstract

【課題】乳癌患者に対して優れた治療効果をもたらす化学療法を提供する。
【解決手段】CTPSの発現量を指標とする乳癌患者におけるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳癌患者におけるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法に対する治療効果を予測する方法に関する。
乳癌の治療法には、外科的治療、放射線治療、ホルモン療法及び化学療法があり、乳癌の進展度に応じた治療が行われている。腫瘍径が大きい進行性乳癌は、そのままでは腫瘍を摘出することが困難であるため、腫瘍摘出の前に化学療法を行い腫瘍径を小さくして腫瘍を摘出しやすくするいわゆる術前化学療法が一般的に施行されている。乳癌の術前化学療法は、手術単独の場合と比較して、乳房を温存できる割合が高く、また病理学的完全寛解(pCR)を示した患者においては比較的予後が良いことが報告されている(非特許文献1)。
乳癌の術前化学療法で用いられる代表的な抗がん剤は、アドリアマイシン、エピルビシン等のアントラサイクリン系薬剤とパクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン等のタキサン系薬剤であり、これらを含む療法が標準的化学療法として位置付けられている。また、5−フルオロウラシル系抗がん剤であるテガフールとギメラシル及びオテラシルカリウムを配合した抗がん剤(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1、商品名:ティーエスワン)とドセタキセルを併用した術前化学療法が進行性乳癌患者に奏功することが報告されている(非特許文献2)。
以上のとおり、乳癌に対する術前化学療法が精力的に開発されているが、現状においてその治療効果は満足できるものではない。また、術前化学療法が奏功するか否かは患者の遺伝的要因によるところが大きいため実際に抗がん剤を投与してみなければわからず、奏功しない患者においては結果的に不要な抗がん剤の副作用を受けることになるといった問題があった。
J Clin Oncol. 2008;26(5):778−85. 日本癌治療学会誌 2008;43(2):507、OS064−3.
本発明は、乳癌患者に対して優れた治療効果をもたらす化学療法を提供することを目的とする。
本発明者らは、乳癌患者に対する化学療法について研究を重ねた結果、CTPS(シチジン三リン酸合成酵素)の発現量が高い乳癌患者において、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法が顕著に奏効することを見出し、本発明を完成するに至った。これまでに、乳癌患者において当該併用化学療法の選択に際しCTPSの発現量を指標にできることは全く知られていない。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1] 下記工程(1)〜(3)を含む、乳癌患者におけるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測する方法:
(1)該患者から採取された生体試料に含まれるCTPS遺伝子の発現量を測定する工程、
(2)上記工程(1)で得られたCTPS遺伝子の発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、及び
(3)上記工程(2)における比較の結果、CTPS遺伝子の発現量が該カットオフポイントよりも高い場合、該患者に対するテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測する工程。
[2] タキサン系薬剤が、ドセタキセルである[1]記載の方法。
[3] テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の各有効成分のモル比が、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1である[1]又は[2]のいずれかの方法。
[4] 配列番号1に示される塩基配列内の少なくとも15塩基長の連続した塩基配列と特異的にハイブリダイズする、15塩基長以上の塩基配列を有するポリヌクレオチドからなるプローブ又はプライマーを含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測するための試薬。
[5] 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを認識する抗体を含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測するための試薬。
本発明の予測方法により、乳癌患者においてテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法に対して十分な治療効果を示すか否かを予測することをできる。これにより、治療効果が見込める乳癌患者に対してのみ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法を的確に提供することができ、また不要な化学療法を省くことができることから、患者の負担を軽減できると共に、医療経済的にも好ましい。
RECIST判定基準による治療効果がCRであった患者群(右側、1)とRECIST判定基準による治療効果がPR、SD、PDであった患者群(左側、0)におけるCTPS発現量
(i)本発明の予測方法
本発明の予測方法は、乳癌患者においてテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法が十分な治療効果を示すか否か、当該患者のCTPSの発現量に基づき予測するものである。
本発明で指標となるCTPSは、ウリジン三リン酸からシチジン三リン酸への変換する酵素であり、RNA合成に関与していることが知られている。ヒトCTPSの塩基配列及びアミノ酸配列は、それぞれアクセッション番号NM001905及びNP001896としてGenBankに登録されており、本発明においては、これらの配列情報を利用することができる。好ましくは、本発明においてヒトCTPSの塩基配列及びアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号1及び配列番号2で示され、これを利用することができる。
本発明の対象となる患者は、乳癌患者である。本発明において「乳癌」には、原発性乳癌のほか、局所的に再発した乳癌や他の組織(例えば、肺)に転移した転移性乳癌も含まれるが、好ましくは原発性乳癌である。対象患者の進行度・病期については特に制限はなく、ステージII〜IVの乳癌患者、腫瘍径2cm以上のステージII〜IVの乳癌患者が例示できる。
本発明における「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤」とは、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムの3剤配合剤を意味する。「テガフール」(一般名、化学名:5−フルオロ−1−(2−テトラヒドロフリル)−2,4−(1H,3H)−ピリミジンジオン)とは公知の化合物であり、生体内で活性化を受けて抗腫瘍活性の本体である5−フルオロウラシルを放出する薬剤である。テガフールは、公知の方法、例えば特公昭49−10510号に記載されている方法に従って製造できる。
また、「ギメラシル」(一般名、化学名:2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン)も、公知の化合物であり、それ自身は抗腫瘍活性を有さないが、5−フルオロウラシルが生体内において代謝されて不活性化されることを抑制するものであり、抗腫瘍効果を増強させることができる。
また、「オテラシルカリウム」(一般名、化学名:モノポタシウム 1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−1,3,5−トリアジン−6−カルボキシレート)も公知の化合物であり、それ自身は抗腫瘍活性を有さないが、主に消化管に分布してその部位での5−フルオロウラシルの活性化を抑制することにより消化管障害を抑制するものである。
本発明における「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤」の各有効成分の割合は、それぞれの配合目的を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、特許第2614164号公報に記載されている公知の配合剤と同様の範囲で良く、テガフール1モルに対して、ギメラシルを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜1.5モル程度とすればよく、オテラシルカリウムを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜2モル程度とすればよい。特に好ましくは、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1である。なお、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤は、「ティーエスワン」(商品名(登録商標)、大鵬薬品工業製)として入手することができる。
本発明における「タキサン系薬剤」とは、パクリタキセル、ドセタキセルなどの薬剤の他に、それらの誘導体、例えばアルブミン結合パクリタキセル(商品名:アブラキサン(登録商標))等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくはドセタキセルである。
「ドセタキセル」とは、(2R,3S)−3−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸(1S,2S,3R,4S,5R,7S,8S,10R,13S)−4−アセトキシ−2−(ベンゾイルオキシ)−5,4−(エポキシメタノ)−1,7,10−トリヒドロキシ−8,12,15,15−テトラメチル−9−オキソトリシクロ[9.3.1.03,8]ペンタデカン−11−エン−13−イルで示される公知のタキサン系抗腫瘍剤であり、乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌、前立腺癌等に腫瘍増殖抑制効果を奏することが知られている。なお、本発明における「ドセタキセル」には、ドセタキセルだけではなく、ドセタキセル三水和物等の水和物をも含むものである。ドセタキセルは、公知の方法、例えば特公平06−051689号公報に記載の方法により製造できる。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤は、テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム及びタキサン系薬剤を配合剤(複数の有効成分を含有する製剤)として一の剤型に製剤化したもの(1剤型形態)でも、上記有効成分を単剤として複数の剤型に製剤化したもの(多剤型形態)であってもよい。このうち、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムは配合剤として製剤化し、タキサン系薬剤は単剤として製剤化した多剤型形態で用いることが好ましい。
本発明の抗がん剤の投与形態に特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できる。このうち、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤は経口剤の形態が好ましく、タキサン系薬剤を含有する抗腫瘍剤は注射剤の形態が好ましい。
本発明の抗がん剤は、それぞれの投与形態に応じ薬理学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
本発明における「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法」とは、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を併用投与することを含む化学療法を意味する。「併用投与」には、上記薬剤を同時に投与すること、及び異なる日時に投与することを含む。
本発明の併用化学療法における具体的な投与スケジュールとしては、例えば、21日間のうち、1日目から14日目までテガフール換算で80mg/m(体表面積あたり)/dayのテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1)を連日投与し、1日目に40mg/m(体表面積あたり)/dayのドセタキセルを投与することを1コースとし、当該コースを1回又は複数回(特に4回、8回)繰り返す投与スケジュールが例示できる。
本発明の併用化学療法は、当該併用化学療法の後に腫瘍の摘出を行う術前併用化学療法であっても、腫瘍の摘出の後に当該併用化学療法を行う術後併用化学療法であってもよい。
本発明において「治療効果」は、腫瘍縮小効果などにより評価することができ、「併用化学療法が十分な治療効果を示す」とは、腫瘍が一定の割合以上で縮小することなどを指し、具体的にはRECIST判定基準による治療効果が「完全奏功」(CR)以上であることをいう。なお、ここでCRには、触診において腫瘍が触れず、画像検査において腫瘍が消失している状態を指す「臨床的完全奏効」(cCR)及び顕微鏡検査において癌細胞が全く見つからなくなった状態を指す「病理学的完全奏効」(pCR)を含む。
本発明の予測方法は、後述の(1)〜(3)の工程を含むものである。
工程(1)は、患者から採取された生体試料に含まれるCTPSの発現量を測定する工程である。
生体試料としては、癌患者から採取された癌細胞を含む試料であれば特に限定されず、体液(血液、尿等)、組織、その抽出物及び採取した組織の培養物などが例示できる。
本発明におけるCTPSの発現量としては、mRNAの発現量であっても、タンパク質の発現量であってもよい。
本発明の測定方法は、mRNA又はタンパク質の量を定量できる測定方法であれば特に限定されず、公知の測定方法を使用することができる。このような測定方法としては、mRNAの量を測定する場合は、例えばPCR法、RT−PCR法、ノーザンブロット法、in situ ハイブリダイゼーション法、マイクロアレイ法等が挙げられ、タンパク質量を測定する場合は、例えばウェスタンブロット法、免疫染色法等が挙げられる。生体試料は、これらの測定方法に応じて、適切な処理をされることにより調製される。また、測定に用いられるプライマー、プローブ又は抗体を含む試薬として、後述される本発明に係る試薬を用いることができる。
工程(2)は、上記工程(1)で得られたCTPSの発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程である。
カットオフポイントは、予め測定しておいたCTPSの発現量から種々の統計解析手法により求めることができる。このようなカットオフポイントとして、以下のいずれかの値として特定することができる。
1.テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法を受けた乳癌患者におけるCTPS発現量の平均値又は中央値;
2.テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法を受けた乳癌患者におけるCTPSの発現量とRECIST判定基準における所定の治療効果との関係から感度と特異度の和が最大となるようROC分析に基づき求められる値が例示できる。ここでRECIST判定基準における所定の治療効果とは、CR以上、PD以上、SD以上が例示できる。なお、ROC分析(Receiver Operating Characteristic)とは、臨床検査診断に頻用されている、感度と特異度の和が最大となる閾値を求める分析手法である。
より具体的には、下記実施例にて詳述されるように、カットオフポイントの上記算出法に基づいて、例えばmRNAの発現量を測定する場合では、CTPSのカットオフポイントは、0.0124〜0.0299が好ましく、0.0152〜0.0298がより好ましく、0.0231が特に好ましい。
ただし、各カットオフポイントは、測定対象や測定方法の種類などの諸条件により変動するものであるため、条件に合わせて予め設定する必要がある。カットオフポイントは、測定対象(患者の数、年齢、性別、体重、健康状態、疾患の状態、生体試料の種類)や測定方法(遺伝子とタンパク質のいずれの発現産物を測定対象とするか)、測定条件(例えば遺伝子発現産物(mRNA)の測定におけるプライマー、プローブの配列、標識の種類、発現産物がタンパク質の場合の抗体の種類及び感度など)、統計的手法などにより変動し得る。
工程(3)は、上記工程(2)における比較の結果、CTPSの発現量が上記カットオフポイントよりも高い場合、上記患者に対するテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測する工程である。
(ii)本発明の試薬
本発明の試薬は、上記の本発明の予測方法に用いるための試薬であり、CTPSのmRNAと特異的にハイブリダイズするプライマー又はプローブ、又はCTPSのタンパク質を特異的に認識する抗体を含むものである。
本発明のプライマー又はプローブは、配列番号1に示される塩基配列内の少なくとも15塩基長の連続した塩基配列と特異的にハイブリダイズする、15塩基長以上の塩基配列を有するポリヌクレオチドからなるプローブ又はプライマーである。かかるプライマー又はプローブの配列長は15塩基長以上であるが、CTPSのmRNAと特異的にハイブリダイズするものであれば特に制限されるものではない。
ここで特異的にハイブリダイズするとは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されないことをいう。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、常法に従ってハイブリッドを形成する核酸の融解温度(Tm)などに基づいて決定することができる。具体的なハイブリダイズ状態を維持できる洗浄条件として通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の条件、より厳格には「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度の条件、さらに厳格には「0.1×SSC、0.1%SDS、65℃」程度の条件が挙げられる。
なお、ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される塩基配列の少なくとも15塩基長の連続する塩基配列に対して相補的な塩基配列を有することが好ましいが、上記特異的なハイブリダイゼーションが可能であれば、完全に相補的である必要はない。かかるポリヌクレオチドとして、好ましくは配列番号1に示される塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなるポリヌクレオチド又はその相補ポリヌクレオチドと比較して、塩基配列において70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するポリヌクレオチドである。ここで、塩基配列の同一性は、同一性検索、配列アラインメントプログラム、BLAST、FASTA、ClustalWなどにて計算することができる。
なお、これらのポリヌクレオチドは、配列番号1に示される塩基配列の全塩基長に基づいて、例えば市販のヌクレオチド合成機によって常法に従って作製することができる。また配列番号1に示される塩基配列の全塩基長を鋳型としてPCR法によって調製することもできる。
本発明の抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを認識する抗体であれば特に制限されず、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよく、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、diabody、dsFv及びCDRを含むポリペプチドなどの抗体断片であってもよい。また抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを免疫抗原として調製される抗体であっても、また配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを構成するアミノ酸配列のうち少なくとも連続する、8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、より好ましくは20アミノ酸からなるポリペプチドに対して抗原結合性を有する抗体であってもよい。かかるポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列やそれをコードする塩基配列に基づき、通常、公知の方法で合成することができる。例えば、アミノ酸合成機による化学的合成手法や、遺伝子工学的手法を挙げることができる。
本発明に係る抗体は、常法に従って製造することができる(例えば、Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987), Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12−11.13)。例えば、ポリクローナル抗体の場合は、常法に従って大腸菌で発現し精製した上記ポリペプチドを用いて、或いは常法に従ってこれらの部分アミノ酸配列を有するよう合成したポリペプチドを用いて、実験動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、例えばモノクローナル抗体の場合は、常法に従って大腸菌等で発現し精製した上記ポリヌクレオチドを用いて、或いは常法に従ってこれらの部分アミノ酸配列を有するよう合成したポリペプチドを用いて、実験動物に免疫し、該実験動物から得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマ細胞を合成し、該細胞中から得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)RECIST判定基準による治療効果の判定
腫瘍径が2cm以上のステージII〜IVの原発性乳癌患者32名を対象にテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1、商品名:ティーエスワン(登録商標、大鵬薬品工業製))及びドセタキセルを用いた併用化学療法を術前化学療法として施行した。
当該併用化学療法は、21日間のうち、1日目から14日目までテガフール換算で80mg/m(体表面積あたり)/dayのテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1)を連日投与し、1日目に40mg/m(体表面積あたり)/dayのドセタキセルを投与することを1コースとし、当該コースを4回繰り返すことにより行われた。その後、各患者において触診及び画像診断によりRECIST判定基準(CR:全病変の消失が4週以上持続、PR:30%以上の縮小が4週以上持続、PD:20%以上の増大または新病変の出現、SD:PRにもPDにも該当しない変化)による治療効果を判定した。その結果を以下に示す(表1)。なお、PR以下の治療効果だった患者には追加で当該併用化学療法又は別の治療法を施行した。
Figure 2012239384
(実施例2)カットオフポイントの算出
実施例1の併用化学療法を行ったすべての患者から術前生検により生体試料を採取し、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いてトータルRNAを抽出した。ランダムプライマーを用いcDNAに逆転写後、リアルタイムPCR法にてCTPSのmRNA量を測定した。CTPSのmRNA量は、3個のコントロール遺伝子(ACTB、GAPDH、RPLP0)の幾何平均値で除することで補正した。プライマープローブ、PCR試薬およびリアルタイムPCR装置は以下のライフテクノロジーズ社製のものを使用した。CTPS:Hs00157163_m1、ACTB:Hs99999903_m1、GAPDH:Hs99999905_m1、RPLP0:Hs99999902_m1、PCR試薬:TaqMan Gene Expression Master Mix、リアルタイムPCR装置:ABI Prism 7900HT。
測定値の信頼性が低い2名を外した30名のうち、RECIST判定基準による治療効果がCRであった患者群(6名)を当該併用化学療法に対して十分な治療効果を示した群とし、RECIST判定基準による治療効果がPR、SD、PDであった患者群(24名)を当該併用化学療法に対して十分な治療効果を示さなかった群とした場合の各患者のCTPS発現量を図1に示す。
当該併用化学療法に対して十分な治療効果を示した群では、当該併用化学療法に対して十分な治療効果を示さなかった群よりも統計学上有意にCTPSの発現が高かった。
さらに当該併用化学療法に対して十分な治療効果を示した群を予測するためのカットオフポイントを各患者のCTPS発現量からROC分析により算出したところ0.0231であり、予測精度は90%であった。
以上から、CTPSはテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測する因子として有用であることが明らかになった。

Claims (5)

  1. 下記工程(1)〜(3)を含む、乳癌患者におけるテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測する方法:
    (1)該患者から採取された生体試料に含まれるCTPSの発現量を測定する工程、
    (2)上記工程(1)で得られたCTPSの発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、及び
    (3)上記工程(2)における比較の結果、CTPSの発現量が該カットオフポイントよりも高い場合、該患者に対するテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測する工程。
  2. タキサン系薬剤が、ドセタキセルである請求項1記載の方法。
  3. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の各有効成分のモル比が、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 配列番号1に示される塩基配列内の少なくとも15塩基長の連続した塩基配列と特異的にハイブリダイズする、15塩基長以上の塩基配列を有するポリヌクレオチドからなるプローブ又はプライマーを含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測するための試薬。
  5. 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを認識する抗体を含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びタキサン系薬剤を用いた併用化学療法の治療効果を予測するための試薬。
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