JP2012235582A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置において、スイッチング素子がオン電圧降下の個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行えるようにする。
【解決手段】交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を設ける。スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態におけるオン抵抗(Ron)の個体差、又はグループ単位の偏差に基づいて、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置に関するものである。
周知のようにインバータ回路はトランジスタのスイッチング制御により、直流を可変周波数・可変電圧の交流に、高効率変換する回路である。インバータ回路は、例えばモータの回転数やトルクを制御する必要のある家電機器や産業機器に広く応用されている。
ところで、インバータ回路にてモータを高速、高精度に制御したり、位置センサレスで制御するためには、モータの端子電圧や電流の情報が必要となる。このモータ端子電圧を得る方法として、インバータ回路の電圧指令情報を用いる手法が多く用いられている。しかしながら、この方法においては、インバータのデッドタイムやデバイスの電圧降下(以下、オン電圧降下ともよぶ)などによる誤差が含まれるため、その誤差電圧を補償(以下、オン電圧補償)する手法が種々提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。例えば、特許文献1の装置は、インバータ回路のデッドタイムにより生じる電圧成分を外乱電圧として推定するとともに、外乱電圧の推定値等を用いてデッドタイム補償電圧を算出し、このデッドタイム補償電圧をインバータ回路の指令電圧に加えている。また、特許文献2では、オン電圧推定テーブルを用いてスイッチング素子のオン電圧を推定し、インバータ回路への指令電圧に推定したオン電圧を補償したオン電圧補償電圧を作成している。
特開2004-064948号公報 国際公開WO2002/084855号
しかしながら、スイッチング素子のオン電圧降下には個体差があるので、上記特許文献の装置では、常に適切なオン電圧補償ができるとは限らない。特に、インバータ回路を構成するトランジスタやダイオードをディスクリート部品とした場合には、IPM(Intelligent Power Module)でインバータ回路を構成した場合と比べ、上記個体差の影響がより顕著になる。
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置において、スイッチング素子がオン電圧降下の個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行えるようにすることを目的としている。
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を備えた電力変換装置であって、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態におけるオン抵抗(Ron)の個体差、又はグループ単位の偏差に基づいて、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を備えたことを特徴とする。
この構成では、出力電圧(vu,vv,vw)の誤差が同じであっても、構成されるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン抵抗(Ron)の個体差、或いはオン抵抗(Ron)のグループ単位の偏差によって、出力電圧(vu,vv,vw)に対する制御が異なる。
また、第2の発明は、
第1の発明の電力変換装置において、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ユニポーラディバイスで構成されていることを特徴とする。
この構成では、ユニポーラディバイスで構成された電力変換部(4)において、上記の制御が行われる。また、例えば電力変換部(4)において同期整流を行えば、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)には還流ダイオードを設ける必要がない。そのため、制御部(5)ではスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のみのオン電圧降下特性を考慮すればよく、制御部(5)における制御が容易になる。
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の電力変換装置において、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ディスクリート部品であることを特徴とする。
この構成では、ディスクリート部品で構成された電力変換部(4)において、上記の制御が行われる。
また、第4の発明は、
第1から第3の発明の何れかの電力変換装置において、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体で構成されていることを特徴とする。
この構成では、ワイドバンドギャップ半導体で構成された電力変換部(4)において、上記の制御が行われる。
また、第5の発明は、
第1から第4の発明の何れかの電力変換装置において、
上記オン抵抗(Ron)は、製造時、試運転時、及び通常運転の開始時の何れかにおいて測定した値であることを特徴とする。
この構成では、製造時、試運転時、及び通常運転の開始時の何れかにおけるオン抵抗(Ron)に基づいて、オン電圧補償が行われる。
また、第6の発明は、
第1から第4の発明の何れかの電力変換装置において、
上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度を示す温度情報と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中に得た上記温度情報に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする。
この構成では、上記温度情報を参酌することで、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度に応じたオン電圧補償が行われる。
また、第7の発明は、
第1から第4の発明の何れかの電力変換装置において、
上記電力変換部(4)は、直流が入力され、
上記制御部(5)は、上記直流の電圧と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中に測定した上記直流の電圧に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする。
この構成では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)への印加電圧に応じたオン電圧補償が行われる。
また、第8の発明は、
第1から第4の発明の何れかの電力変換装置において、
上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング周波数と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中の上記スイッチング周波数に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする。
この構成では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング周波数に応じたオン電圧補償が行われる。
また、第9の発明は、
第1から第8の発明の何れかの電力変換装置において、
上記電力変換部(4)の出力は、モータ(7)に接続され、
上記制御部(5)は、上記モータ(7)の電流又は電圧の推定値の取得に上記オン抵抗(Ron)を用い、当該推定値に基づいて上記モータ(7)の磁極位置を推定することを特徴とする。
この構成では、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が精度よく制御されるので、モータ(7)の電流又は電圧を精度よく推定できる。
第1の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態におけるオン抵抗(Ron)の個体差に応じ、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御するので、スイッチング素子が個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。
第2の発明によれば、例えば、電力変換部(4)において同期整流を行えば、制御部(5)における制御が容易になり、オン電圧補償を容易、且つ精度よく行うことが可能になる。
また、第3の発明によれば、オン抵抗(Ron)のばらつきが大きくなりがちなディスクリート部品を用いた電力変換装置において、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。
また、第5の発明によれば、製造時、試運転時、及び通常運転の開始時の何れかにおける、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の状態を反映したオン電圧補償を行うことが可能になる。
また、第6の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度に応じたオン電圧補償が行われるので、オン抵抗(Ron)が温度の影響を受けやすいスイッチング素子を用いる場合にも、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。例えば、ユニポーラディバイスのオン抵抗(Ron)は、温度の影響を受けやすい傾向にあるので、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)としてユニポーラディバイスを用いる場合に、特に有用である。
また、第7の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)への印加電圧に応じたオン電圧補償が行われるので、オン抵抗(Ron)が印加電圧の影響を受けやすいスイッチング素子を用いる場合にも、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。例えば、ワイドバンドギャップ半導体(例えばGaN)で構成されたスイッチング素子のオン抵抗(Ron)は、印加された直流電圧の影響を受けやすい傾向にあるので、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)としてワイドバンドギャップ半導体を用いる場合に、特に有用である。
また、第8の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング周波数に応じたオン電圧補償が行われるので、オン抵抗(Ron)がスイッチング周波数の影響を受けやすいスイッチング素子を用いる場合にも、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。例えば、ワイドバンドギャップ半導体(例えばGaN)で構成されたスイッチング素子のオン抵抗(Ron)は、スイッチング周波数の影響を受けやすい傾向にあるので、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)としてワイドバンドギャップ半導体を用いる場合に、特に有用である。
また、第9の発明によれば、モータ(7)の電流又は電圧を精度よく推定できるので、モータ(7)の磁極位置をより正確に推定することが可能になる。
図1は、発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図2は、インバータ回路におけるスイッチング素子等の抵抗(オン抵抗)の関係を説明する図である。 図3は、インバータ回路のU相に対応したアームを抜き出したものである。 図4は、オン電圧補償時の動作を説明するタイミングチャートである。 図5は、発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、発明の実施形態1に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように電力変換装置(1)は、コンバータ回路(2)、直流リンク部(3)、インバータ回路(4)、及び制御部(5)を備え、単相の交流電源(6)から供給された交流電力を所定の周波数の電力に変換して、モータ(7)に供給するようになっている。なお、本実施形態のモータ(7)は、三相交流モータであり、空気調和機の冷媒回路に設けられた圧縮機を駆動するためのものである。
〈コンバータ回路(2)〉
コンバータ回路(2)は、リアクトル(L)を介して交流電源(6)に接続され、交流電源(6)が出力した交流を直流に全波整流する。この例では、コンバータ回路(2)は、複数(本実施形態では4つ)のダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線されたダイオードブリッジ回路である。これらのダイオード(D1〜D4)は、交流電源(6)の交流電圧を全波整流して、直流電圧に変換する。
〈直流リンク部(3)〉
直流リンク部(3)は、コンデンサ(3a)を備えている。コンデンサ(3a)は、コンバータ回路(2)の出力ノード間に接続され、該コンデンサ(3a)の両端に生じた直流電圧(直流リンク電圧(Vdc))がインバータ回路(4)の入力ノードに接続されている。コンデンサ(3a)は、コンバータ回路(2)の出力を平滑化する電解コンデンサで構成されている。
〈インバータ回路(4)〉
インバータ回路(4)は、入力ノードが直流リンク部(3)のコンデンサ(3a)に並列に接続され、直流リンク部(3)の出力をスイッチングして三相交流に変換し、接続されたモータ(7)に供給するようになっている。インバータ回路(4)は、本発明の電力変換部の一例である。
本実施形態のインバータ回路(4)は、複数のスイッチング素子がブリッジ結線されて構成されている。このインバータ回路(4)は、三相交流をモータ(7)に出力するので、6個のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を備えている。詳しくは、インバータ回路(4)は、2つのスイッチング素子を互いに直列接続した3つのスイッチングレグを備えている。各スイッチングレグにおいて上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)と下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)との中点が、モータ(7)の各相のコイル(図示は省略)にそれぞれ接続されている。また、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)には、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)が逆並列に接続されている。本実施形態では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)、及び還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)は、ディスクリート部品によって構成し、プリント基板に搭載してある。
インバータ回路(4)は、これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作によって、直流リンク部(3)から入力された直流リンク電圧(Vdc)をスイッチングして三相交流電圧に変換し、モータ(7)へ供給する。なお、このオンオフ動作の制御は、制御部(5)が行う。
〈制御部(5)〉
制御部(5)は、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が所望の電圧、及び周波数となるように、インバータ回路(4)の各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御する。詳しくは、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態(この例ではプリント基板に搭載した状態)におけるオン抵抗(Ron)の個体差に応じ、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する。また、制御部(5)は、モータ(7)の端子電圧の推定値に基づいてモータ(7)の磁極位置を推定する。制御部(5)は、当該推定値を求める際に、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を用いる。なお、磁極位置の推定は、モータ(7)の端子電圧を基にする他にも、モータ(7)の電流に基づいて推定する方法など、種々の方式を採用できる。
この例では、制御部(5)は、電圧検出部(51)、出力電圧演算部(52)、オン電圧補償部(53)、スイッチング制御部(54)、及びオン電圧降下演算部(55)を備えている。
−電圧検出部(51)−
電圧検出部(51)は、直流リンク部(3)に取り付けられたシャント抵抗(図示は省略)を有し、該シャント抵抗に流れる直流リンク電流(idc)を検出する。電圧検出部(51)は、検出した電流値(idc)を、出力電圧演算部(52)とオン電圧補償部(53)に出力する。また、電圧検出部(51)は、直流リンク電圧(Vdc)を電圧検出器(図示を省略)で検出し、検出値を出力電圧演算部(52)とオン電圧補償部(53)に出力する。なお、交流電源(6)におけるAC電圧を電圧検出器で検出して直流リンク電圧(Vdc)を推定するように、電圧検出部(51)を構成してもよい。
−出力電圧演算部(52)−
出力電圧演算部(52)は、電流値(idc)と直流リンク電圧(Vdc)とを用いて、各相の電圧指令(vu*,vv*,vw*)を生成する。なお、図1において出力電圧演算部(52)が出力しているVo*は、各相に対する電圧指令(vu*,vv*,vw*)を総括して表したものである(以下同様)。
−オン電圧降下演算部(55)−
オン電圧降下演算部(55)は、それぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態におけるオン抵抗(Ron)を求めるとともに、当該オン抵抗(Ron)に基づいて、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)の誤差を求める。
図2は、インバータ回路(4)におけるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)等の抵抗(オン抵抗)の関係を説明する図である。各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン抵抗は、図2ではRu〜Rzがそれぞれ対応する。また、図2におけるRa,Rb,及びRcは、それぞれモータ(7)のコイル(図示は省略)の抵抗を示している。オン電圧降下演算部(55)では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを適宜切り換えて、その際の直流リンク電圧(Vdc)と直流リンク電流(idc)とから、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)等のオン抵抗(Ron)を求める。
具体的に、オン電圧降下演算部(55)では、まず、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を動作させ、上下1アームずつの組み合わせ6種類について電流を流し、下式から抵抗値R10〜R31を求める。具体的には、(1)U→Y、(2)U→Z、(3)V→X、(4)V→Z、(6)W→X、(6)W→Yの6つのパターンで電流を流す。ここで、例えば(U→Y)は、U相に対応の上アームからV相に対応の下アームに電流を流すこと、すなわち、スイッチング素子(Su)とスイッチング素子(Sy)をオン状態とすることを表している(以下同様)。
R10=Ru+Ra+Rb+Ry (U→Y)
R11=Ru+Ra+Rc+Rz (U→Z)
R20=Rv+Rb+Ra+Rx (V→X)
R21=Rv+Rb+Rc+Rz (V→Z)
R30=Rw+Rc+Ra+Rx (W→X)
R31=Rw+Rc+Rb+Ry (W→Y)
次に、オン電圧降下演算部(55)は、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を動作させ、下記の6つのパターンで電流を流して、下記の抵抗値R1〜R6を求める。これらの例では、上下何れか一方の1アームと他方の2アームの組み合わせに電流が流れるように、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を動作させている。
R1=Ru+Ra+(Rb+Ry)//(Rc+Rz) (U→Y,Z)
R2=Rv+Rb+(Ra+Rx)//(Rc+Rz) (V→X,Z)
R4=Rw+Rc+(Ra+Rx)//(Rb+Ry) (W→X,Y)
R3=Rc+Rz+(Ru+Ra)//(Rv+Rb) (U,V→Z)
R5=Rb+Ry+(Ru+Ra)//(Rw+Rc) (U,W→Y)
R6=Ra+Rx+(Rv+Rb)//(Rw+Rc) (V,W→X)
但し、上式において//は抵抗の並列接続を表している。また、上式の凡例で、例えば(U→Y,Z)は、U相に対応した上アーム、V相に対応の下アーム、及びW相に対応の下アームに電流を流すこと、すなわち、スイッチング素子(Su)、スイッチング素子(Sy)、及びスイッチング素子(Sz)をオン状態とすることを表している(以下同様)。
上記の12種類の式を用いると、Ru,Rv,Rw,Rx,Ry,Rz,Ra,Rb,及びRcを算出できる。このように、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の抵抗値Ru〜Rzが求まると、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を算出できる。
−オン電圧降下(オン抵抗)の算出タイミング−
例えば、温度によるオン抵抗(Ron)の変化が比較的小さいスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を使用する場合、温度変化の小さい環境で電力変換装置(1)を使用する場合、電源電圧の変動が小さい場合、或いはスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング周波数が固定される環境などでは、電力変換装置(1)の運転中は、オン抵抗(Ron)の変動が比較的小さいと考えられる。そこで、本実施形態では、製造時、試運転時、毎回運転開始時の何れかにオン抵抗(Ron)を計測(つまりはオン電圧降下(Vs)を算出)して、電力変換装置(1)の運転期間中、一律にその値を使用する。オン電圧降下演算部(55)は、上記のようにして算出したオン電圧降下(Vs)を、オン電圧補償部(53)に出力する。
−オン電圧補償部(53)−
オン電圧補償部(53)は、オン電圧降下演算部(55)が求めたオン電圧降下(Vs)と電流(idc)とを用いて、電圧指令(Vo*)を補正する。また、オン電圧補償部(53)は、電圧指令(Vo*)を補正した値(Vo*±Vs)をスイッチング制御部(54)に出力する。
精度の良いオン電圧補償を容易に行うためには、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)、及び還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vs)を正確に推定する必要がある。ところが、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)には、個体差がある。本実施形態では、オン電圧補償部(53)は、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)に応じて、電圧指令(Vo*)を補正する。
より詳しくは、オン電圧補償部(53)は、以下のようにして補正した電圧指令(vu*,vv*,vw*)を生成する。なお、以下の説明において、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を区別する場合には、例えばVs(u),Vs(v)…のように、符号Vsの後にスイッチング素子を識別する符合(u,v,w等)を付すことにする。同様に、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)についても、それぞれのオン電圧降下(Vf)を区別する場合には、例えばVf(u),Vf(v)…のように、符号Vfの後に素子を識別する符合を付すことにする。
図3は、インバータ回路(4)のU相に対応したアームを抜き出したものである。図3では、コンデンサ(3a)(直流電源とみなせる)と、互いに直列に接続されたスイッチング素子(Su,Sx)と、これらのスイッチング素子(Su,Sx)にそれぞれ逆並列接続した還流ダイオード(Du,Dx)とを示している。また、図4は、オン電圧補償時の動作を説明するタイミングチャートである。
例えば、出力電圧演算部(52)から、図4に示すような電圧指令(vu*)がオン電圧補償部(53)に入力されると、オン電圧補償部(53)では、スイッチング素子(Su,Sx)に対して電圧指令(vu*)に応じたオン信号(Gu,Gx)(ゲート駆動信号)を出力する。ゲート駆動信号(Gu)をスイッチング素子(Su)に入力して該スイッチング素子(Su)をオンさせると、例えば図3の回路で出力電流(iu)が負荷側へ流れる場合(この場合をiu>0とする)には、スイッチング素子(Su)に電流が流れる。そのため、出力電圧(Vu)(下アームのスイッチング素子(Sx)の被制御端子間の電圧に相当)は、コンデンサ(3a)の電圧(Vdc)からスイッチング素子(Su)のオン電圧降下(Vs(u))分を引いたVdc−Vs(u)となる。
また、上アームのスイッチング素子(Su)をオフにすると、下アームの還流ダイオード(Dx)に電流が流れる。そのため、出力電圧(Vu)は、還流ダイオード(Dx)のオン電圧降下分に相当する−Vf(x)となる。
i<0の場合(出力電流(i)が図3の回路内へ流れ込む場合)には、下アームのスイッチング素子(Sx)をオンにすると、スイッチング素子(Sx)に電流が流れて、オン電圧降下が生じる。そのため、出力電圧(Vu)はVs(u)となる。
また、下アームのスイッチング素子(Sn)をオフにすると、上アームの還流ダイオード(Du)に電流が流れるため、出力電圧はVdc+Vf(u)となる。
すなわち、次の式(1),(2)に示すように、単位時間(T)当たりの電圧(Vu)は、電圧指令(vu*)における平均電圧に対して、スイッチング素子(Su,Sx)のオン電圧降下(Vs(u),Vs(x))分、還流ダイオード(Du,Dx)のオン電圧降下(Vf(u),Vf(x))分だけ誤差が生じる。なお、以下では説明の簡素化のため、出力電圧(Vu)に対するデッドタイムの影響は無視することにする。
iu>0の場合
Vu=(Vdc-Vs(u))・Tu*/T-Vf(x)・(T-Tu*)/T=Vu*-Vs(u) …(1)
iu<0の場合
Vu=(Vdc+Vf(x))・Tu*/T+Vs(u)・(T-Tu*)/T=Vu*+Vs(x) …(2)
本実施形態のオン電圧補償部(53)は、各相のオン電圧降下(Vs(u),Vs(v),Vs(w),Vs(x),Vs(y),Vs(z))に基づいて、各相の電圧指令(vu*,vv*,vw*)を決定する。上記の例では、i>0の場合には、オン電圧補償部(53)は、スイッチング素子(Su)のオン電圧降下(Vs(u))分を考慮し、電圧指令(vu*)から決まるオン信号(Gu)の出力期間(Ton)にVs(u)/Vdc×Tを足して、オン出力設定時間(Tu*)(オン電圧降下を考慮したオン信号の出力時間)が次の式(3)となるように、電圧指令(vu*)を補正する。この場合、スイッチング素子(Su,Sx)のオン電圧降下(Vs(u),Vs(x))は、オン電圧降下演算部(55)が求めたものを使用する。
Tu*=Ton+T・Vs(u)/Vdc …(3)
一方、i<0の場合には、オン電圧補償部(53)は、出力期間(Ton)からVs(x)/Vdc×Tを差し引いたオン出力設定時間(Tu*)となるように、電圧指令(vx*)を補正する(式(4)を参照)。
Tu*=Ton-T・Vs(x)/Vdc …(4)
オン電圧補償部(53)は、上記のようにして補正した電圧指令(vu*)をスイッチング制御部(54)に出力する。
−スイッチング制御部(54)−
スイッチング制御部(54)は、オン電圧補償部(53)が出力した、補正後の電圧指令(vu*,vv*,vw*)に基づいて、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作を制御するゲート駆動信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を生成する。
〈電力変換装置(1)の動作〉
モータ(7)を運転状態にするには、上記インバータ回路(4)からモータ(7)に交流電力を供給する。モータ(7)が運転状態になると、該モータ(7)と接続された上記圧縮機が作動する。このとき、制御部(5)は、モータ(7)の回転数が目標値となるように、インバータ回路(4)を制御して当該インバータ回路(4)に所定の電圧、及び周波数の交流電力をモータ(7)に出力させる。この制御において、制御部(5)は、上記のように、電圧指令(Vo*)を補正する。この補正には、運転開始時などに計測した、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン抵抗(Ron)を用いる。
また、インバータ回路(4)にてモータ(7)を高速、高精度に制御したり,位置センサレスで制御するためには、モータ(7)の端子電圧や電流の情報が必要となる。このモータ端子電圧を得る方法として、インバータ回路の制御に用いる電圧指令を用いて、上記端子電圧や電流を推定する手法が多く用いられ、本実施形態でもその方法を採用している。本実施形態では、電圧指令(Vo*)は、制御部(5)によって、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差に応じて補正される。それゆえ、本実施形態ではモータ(7)を精度良く制御することができる。
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態によれば、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)について、オン抵抗(Ron)を計測する。そのため、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の特性に個体差があっても、補償の大きさを適切に定めることができ、オン電圧補償を精度よく行える。したがって、電力変換装置(1)の出力を所望の電圧に精度よく制御することが可能になる。
また、電圧指令を用いて、モータの端子電圧や電流を推定する方法においては、端子電圧等の推定値にはインバータ回路のデッドタイムやスイッチング素子のオン電圧降下などによる誤差が含まれる。特に本実施形態のように、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差が大きくなりがちなディスクリート部品でインバータ回路(4)を構成すると、スイッチング素子のオン電圧降下による誤差が製品(電力変換装置)ごとにばらつく可能性がある。しかしながら、本実施形態では、上記のように、実際にインバータ回路(4)に搭載するそれぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)について、オン電圧降下演算部(55)でオン抵抗(Ron)を算出しオン電圧降下(Vs)を求めるので、個体差による推定値のばらつきを低減することが可能になる。
《発明の実施形態2》
図5は、発明の実施形態2に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態の電力変換装置(1)は、インバータ回路(4)が還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)を備えていない。また、インバータ回路(4)では、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、逆導通可能な素子(ユニポーラ素子)である。また、これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成してある。この電力変換装置(1)では、制御部(5)の制御によって、インバータ回路(4)において同期整流を行わせる。
電力変換装置(1)では、制御部(5)によるオン電圧補償は、実施形態1の制御部(5)と同様のメカニズムで行われる。すなわち、本実施形態でも、オン電圧降下演算部(55)によって個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン抵抗(Ron)を計測し、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン抵抗(Ron)の個体差に応じ、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する。
また、本実施形態で用いるユニポーラ素子は、オン抵抗(Ron)の値が温度の影響を受ける場合がある。このような場合には、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度に応じてオン抵抗(Ron)を補正するようにするとよい。本実施形態では、あらかじめオン抵抗(Ron)と温度の関係式(或いはテーブル)を生産ライン上で作成し、制御部(5)に当該関係式(或いはテーブル)を格納してある。そして、運転中はこの関係式(或いはテーブル)と、測定した温度とを用いて、オン抵抗(Ron)を計測値を補正する。
上記温度の計測は、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)内に温度センサが設けられている場合はその値を用いればよい。スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)内に温度センサがない場合でも、例えば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)に付けられた放熱板の温度とスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度とには相関があるので、当該放熱板に温度センサが取り付けられている場合には、その温度センサの計測値で代用することが考えられる。つまり、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)そのものの温度に限らず、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度を示す温度情報であれば利用できるのである。なお、温度とオン抵抗(Ron)の関係式(或いはテーブル)は生産ライン上で作成する他に、例えば空気調和機設置後の試運転の段階で作成したり、試運転開始直前と試運転終了直前に温度とオン抵抗(Ron)を計測して作成したりすることができる。
〈本実施形態における効果〉
以上のように、実施形態2でも実施形態1と同様に、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の特性に個体差があっても、補償の大きさを適切に定めることができ、オン電圧補償を精度よく行える。
また、オン抵抗(Ron)を温度に応じて補正するようにしたので、オン抵抗(Ron)の値が温度の影響を受けるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を採用する場合であっても、オン電圧補償を精度よく行える。このようにオン電圧補償の精度が向上すると、モータ(7)の磁極位置の推定の精度も向上する。
《実施形態2の変形例1》
スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の種類によっては、印加する直流電圧によってオン抵抗(Ron)が変化する場合がある。例えば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)として、ワイドバンドギャップ半導体(例えばGaN(窒化ガリウムなど))を採用すると、印加する直流電圧によってオン抵抗(Ron)が変化する。そこで、本変形例では、あらかじめ直流リンク部(3)の電圧(直流リンク電圧(Vdc))を変化させ、直流リンク電圧(Vdc)とオン抵抗(Ron)の関係式(或いはテーブル)を生産ライン上で作成し、制御部(5)に当該関係式(或いはテーブル)を格納してある。そして、運転中はこの関係式(或いはテーブル)と、測定した温度とを用いて、オン抵抗(Ron)の計測値を補正する。なお、印加する直流電圧を変化させるには、生産ラインに専用の電源装置を用意したり、電力変換装置(1)がいわゆるPAM方式(Pulse Amplitude Modulation)の電力変換装置であれば、PAM制御を用いてインバータ回路(4)に入力する直流電圧を変化させたりするとよい。
上記のオン抵抗(Ron)の補正により、オン抵抗(Ron)の値が印加電圧の影響を受けるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を採用する場合であっても、オン電圧補償を精度よく行える。このようにオン電圧補償の精度が向上すると、モータ(7)の磁極位置の推定の精度も向上する。
《実施形態2の変形例2》
スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の種類によっては、電流量が時間に伴って変化するもの、言い換えれば時間によって抵抗値が変化するものがある。すなわち、これは、スイッチング周波数に応じてオン抵抗(Ron)の値が変わることを意味している。そこで、本変形例では、生産ライン上で、スイッチング周波数とオン抵抗(Ron)の関係式(或いはテーブル)を生産ライン上で作成し、制御部(5)に当該関係式(或いはテーブル)を格納してある。
一般的に電力変換装置は、制御用マイクロコンピュータを備え、インバータ回路(4)のスイッチング周波数は制御用マイクロコンピュータが設定し、当該周波数でスイッチングを行う場合が多い。このような方式では、制御用マイクロコンピュータのプログラムでスイッチング周波数を変更することができる。本変形例でも、制御部(5)を実現するために、このような制御用マイクロコンピュータを備えており、スイッチング周波数をプログラムで変更することができる。そこで、生産ライン上でプログラムで変化させて、スイッチング周波数とオン抵抗(Ron)の関係式(或いはテーブル)を作成しておく。そして、運転中はこの関係式(或いはテーブル)と、そのときのスイッチング周波数(例えば上記プログラムでの設定値や実測値など)とを用いて、オン抵抗(Ron)の計測値を補正する。なお、スイッチング周波数とオン抵抗(Ron)の関係式(或いはテーブル)の作成は、生産ライン上で行う他に、空気調和機設置後の試運転の段階や、通常運転の開始前に行って、上記関係式(或いはテーブル)を作成するようにしてもよい。
上記のオン抵抗(Ron)の補正により、オン抵抗(Ron)の値がスイッチング周波数の影響を受けるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を採用する場合であっても、オン電圧補償を精度よく行える。このようにオン電圧補償の精度が向上すると、モータ(7)の磁極位置の推定の精度も向上する。
《その他の実施形態》
〈1〉なお、いくつかのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を1グループ、例えば2個、或いは3個のスイッチング素子を1グループとして、グループ単位の偏差に基づいて、オン電圧補償を行うようにしてもよい。すなわち、同じグループ内のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)に対しては、オン抵抗(Ron)に関しては、同じ大きさのオン電圧補償を行うのである。
具体的には、オン電圧降下演算部(55)におけるオン抵抗(Ron)の算出は、ひとつひとつのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)について行っておき、オン電圧補償部(53)において、上記グループ単位で電圧指令(Vo*)を補正する。具体的なグループとしては、例えば、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)の1グループと、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)の1グループとの計2グループとしたり、相単位(例えばU相のスイッチング素子(Su)とスイッチング素子(Sx)を1グループ)でグループを構成したりすることが考えられる。また、オン抵抗(Ron)のグループ単位の偏差としては、例えば、そのグループを構成するスイッチング素子について計測したオン抵抗(Ron)の平均値(例えば相加平均や相乗平均)を用いたり、3個分の値の中央値を用いたりすることができる。このようにグループ単位の偏差に基づいてオン電圧補償を行っても、全てのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)に対して同一値のオン抵抗(Ron)を用いてオン電圧補償を行う装置よりも、オン電圧補償の精度を向上できる。
〈2〉また、電力変換装置(1)では、コンデンサ(3a)には、比較的小容量のコンデンサを用いることもできる。例えば、インバータ回路(4)のスイッチング素子(後述)がスイッチング動作する際にスイッチング周波数に対応して生じるリプル電圧(電圧変動)のみを平滑化可能な容量、すなわち、コンバータ回路(2)によって整流された電圧の変動(電源電圧に起因する電圧変動)を平滑化するような静電容量を有さない容量とすることができる。コンデンサ(3a)がこのように小容量の場合には、直流リンク部(3)が出力する直流リンク電圧(Vdc)は、その最大値がその最小値の2倍以上となるような大きな脈動を有する。小容量のコンデンサ(3a)には、例えばフィルムコンデンサを採用できる。
〈3〉また、電力変換装置(1)へ入力する交流は、上記の例で説明した単相交流には限定されず、三相交流電源を用いてもよい。
〈4〉また、いわゆるマトリクスコンバータの制御においても、本発明を適用することができる。
〈5〉また、本発明は、交流を直流に変換する電力変換部(例えば、いわゆるPWMコンバータなど)にも適用できる。
本発明は、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置として有用である。
1 電力変換装置
4 インバータ回路(電力変換部)
5 制御部
7 モータ

Claims (9)

  1. 交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を備えた電力変換装置であって、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の実装状態におけるオン抵抗(Ron)の個体差、又はグループ単位の偏差に基づいて、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1の電力変換装置において、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ユニポーラディバイスで構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1又は請求項2の電力変換装置において、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ディスクリート部品であることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れかの電力変換装置において、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体で構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れかの電力変換装置において、
    上記オン抵抗(Ron)は、製造時、試運転時、及び通常運転の開始時の何れかにおいて測定した値であることを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1から請求項4の何れかの電力変換装置において、
    上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度を示す温度情報と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中に得た上記温度情報に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項1から請求項4の何れかの電力変換装置において、
    上記電力変換部(4)は、直流が入力され、
    上記制御部(5)は、上記直流の電圧と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中に測定した上記直流の電圧に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする電力変換装置。
  8. 請求項1から請求項4の何れかの電力変換装置において、
    上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング周波数と上記オン抵抗(Ron)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を格納し、運転中の上記スイッチング周波数に応じて、上記テーブル又は関数から上記オン抵抗(Ron)を求めることを特徴とする電力変換装置。
  9. 請求項1から請求項8の何れかの電力変換装置において、
    上記電力変換部(4)の出力は、モータ(7)に接続され、
    上記制御部(5)は、上記モータ(7)の電流又は電圧の推定値の取得に上記オン抵抗(Ron)を用い、当該推定値に基づいて上記モータ(7)の磁極位置を推定することを特徴とする電力変換装置。
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