JP2012235584A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置において、スイッチング素子が個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行えるようにする。
【解決手段】交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を設ける。スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置に関するものである。
周知のようにインバータ回路はトランジスタのスイッチング制御により、直流を可変周波数・可変電圧の交流に、高効率変換する回路である。インバータ回路は、例えばモータの回転数やトルクを制御する必要のある家電機器や産業機器に広く応用されている。
ところで、インバータ回路にてモータを高速、高精度に制御したり、位置センサレスで制御するためには、モータの端子電圧や電流の情報が必要となる。このモータ端子電圧を得る方法として、インバータ回路の電圧指令情報を用いる手法が多く用いられている。しかしながら、この方法においては、インバータのデッドタイムやデバイスの電圧降下(以下、オン電圧降下ともよぶ)などによる誤差が含まれるため、その誤差電圧を補償(以下、オン電圧補償)する手法が種々提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。例えば、特許文献1の装置は、インバータ回路のデッドタイムにより生じる電圧成分を外乱電圧として推定するとともに、外乱電圧の推定値等を用いてデッドタイム補償電圧を算出し、このデッドタイム補償電圧をインバータ回路の指令電圧に加えている。また、特許文献2では、オン電圧推定テーブルを用いてスイッチング素子のオン電圧を推定し、インバータ回路への指令電圧に推定したオン電圧を補償したオン電圧補償電圧を作成している。
特開2004-064948号公報 国際公開WO2002/084855号
しかしながら、スイッチング素子のオン電圧降下には個体差があるので、上記特許文献の装置では、常に適切なオン電圧補償ができるとは限らない。特に、インバータ回路を構成するトランジスタやダイオードをディスクリート部品とした場合には、IPM(Intelligent Power Module)でインバータ回路を構成した場合と比べ、上記個体差の影響がより顕著になる。
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置において、スイッチング素子が個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行えるようにすることを目的としている。
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を備えた電力変換装置であって、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を備えたことを特徴とする。
この構成では、出力電圧(vu,vv,vw)の誤差が同じであっても、構成されるスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差によって、出力電圧(vu,vv,vw)に対する制御が異なる。
また、第2の発明は、
第1の発明の電力変換装置において、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ディスクリート部品であることを特徴とする。
この構成では、ディスクリート部品で構成された電力変換部(4)において、上記の制御が行われる。
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の電力変換装置において、
上記制御部(5)は、相電流値(iu,iv,iw)と上記オン電圧降下(Vs)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を用いて、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする。
この構成では、テーブル又は関数によって、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を容易に求めることができる。
また、第4の発明は、
第1又は第2の発明の電力変換装置において、
上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定する電圧検出部(60)と、
予め定めた上記オン電圧降下(Vs)の標準値と上記電圧検出部(60)の測定値から、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)の補正値(Ks)を求める補正値演算部(61)とを備え、
上記制御部(5)は、上記標準値と上記補正値(Ks)とから上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする。
この構成では、上記オン電圧降下(Vs)の標準値が補正されて、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)が求められる。すなわち、標準値のみを用意しておけばよいので、容易に個々のオン電圧降下(Vs)を求めることができる。
また、第5の発明は、
第4の発明の電力変換装置において、
上記電圧検出部(60)は、上記電力変換部(4)の運転の開始時に上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定することを特徴とする。
この構成では、運転開始時のオン電圧降下(Vs)に基づいて、オン電圧補償が行われる。
また、第6の発明は、
第1又は第2の発明の電力変換装置において、
上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定する電圧検出部(60)と、
上記電圧検出部(60)の測定値と、上記電力変換部(4)に対する電圧指令(Vo*)とから上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求める誤差電圧演算部(70)とを備えていることを特徴とする。
この構成では、実装状態において誤差電圧演算部(70)によって誤差電圧を測定するので、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を把握することができる。
また、第7の発明は、
第6の発明の電力変換装置において、
上記電圧検出部(60)は、上記電力変換部(4)の運転中に上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定することを特徴とする。
この構成では、運転中のオン電圧降下(Vs)に基づいて、オン電圧補償が行われる。
また、第8の発明は、
第1から第7の発明の何れかの電力変換装置において、
上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ユニポーラ素子であり、
上記制御部(5)は、電流の還流時に所定のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を逆導通させて該スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のみに電流が流れるように、上記電力変換部(4)に同期整流を行わせることを特徴とする。
この構成では、電力変換部(4)において同期整流を行うように構成してあるので、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)には還流ダイオードを設ける必要がない。そのため、制御部(5)ではスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のみのオン電圧降下特性を考慮すればよく、制御部(5)における制御が容易になる。
また、第9の発明は、
第1から第8の発明の何れかの電力変換装置において、
上記電力変換部(4)の出力は、モータ(7)に接続され、
上記モータ(7)の電流又は電圧の推定値の取得に上記オン電圧降下(Vs)を用い、当該推定値に基づいて上記モータ(7)の磁極位置を推定することを特徴とする。
この構成では、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が精度よく制御されるので、モータ(7)の電流又は電圧を精度よく推定値できる。
また、第10の発明は、
第1から第9の発明の何れかの電力変換装置において、
上記制御部(5)は、上記電力変換部(4)における短絡を防止するデッドタイム(Td)を設けて上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するとともに、該デッドタイム(Td)による上記出力電圧(vu,vv,vw)の誤差を補償するデッドタイム補償を、求めたオン電圧降下(Vs)に応じた量で行うことを特徴とする。
この構成では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差に応じてデッドタイム補償の大きさが定められる。
また、第11の発明は、
第1から第10の発明の何れかの電力変換装置において、
上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の非導通時に印加される印加電圧値(V)に対応した、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする。
この構成では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の非導通時に印加される印加電圧値(V)に対応したオン電圧降下(Vs)を求める。そのため、印加電圧に応じて電圧降下(オン抵抗)が変動しても、補償時におけるオン電圧降下(Vs)を正確に把握することができる。
第1の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御するので、スイッチング素子が個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。
また、第2の発明によれば、オン電圧降下(Vs)のばらつきが大きくなりがちなディスクリート部品を用いた電力変換装置において、オン電圧補償を精度よく行うことが可能になる。
また、第3の発明によれば、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を容易に求めることができるので、精度のよいオン電圧補償を容易に行うことが可能になる。
また、第4の発明によれば、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を容易に求めることができるので、精度のよいオン電圧補償を容易に行うことが可能になる。
また、第5の発明によれば、運転開始時のオン電圧降下(Vs)を用いるので、運転開始時における、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の状態を反映したオン電圧補償を行うことが可能になる。
また、第6の発明によれば、実装状態において個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を把握できるので、やはり、精度のよいオン電圧補償を容易に行うことが可能になる。
また、第7の発明によれば、運転中のオン電圧降下(Vs)に基づいて、オン電圧補償が行われるので、温度などの影響でオン電圧降下(Vs)が変動したとしても、より正確なインバータの出力電圧制御が可能となる。
また、第8の発明によれば、制御部(5)における制御が容易になるので、オン電圧補償を容易、且つ精度よく行うことが可能になる。
また、第9の発明によれば、モータ(7)の電流又は電圧を精度よく推定できるので、モータ(7)の磁極位置をより正確に推定することが可能になる。
また、第10の発明によれば、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差に応じてデッドタイム補償の大きさが定められるので、より適切なデッドタイム補償が可能になる。その結果、出力電圧(vu,vv,vw)をより精度よく制御することが可能になる。
また、第11の発明によれば、オン電圧補償時におけるオン電圧降下(Vs)を正確に把握することができるので、より正確にオン電圧補償を行うことが可能になる。すなわち、電力変換装置(1)において、より正確な出力電圧制御が可能となる。
図1は、発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図2は、インバータ回路のU相に対応したアームを抜き出したものである。 図3は、オン電圧補償時の動作を説明するタイミングチャートである。 図4は、発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図5は、発明の実施形態3に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図6は、発明の実施形態4に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図7は、ユニポーラ素子(MOSFET)、バイポーラ素子(IGBT)、及びダイオードのオン電圧降下特性を比較する図である。 図8は、発明の実施形態4に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、発明の実施形態1に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように電力変換装置(1)は、コンバータ回路(2)、直流リンク部(3)、インバータ回路(4)、及び制御部(5)を備え、単相の交流電源(6)から供給された交流電力を所定の周波数の電力に変換して、モータ(7)に供給するようになっている。なお、本実施形態のモータ(7)は、三相交流モータであり、空気調和機の冷媒回路に設けられた圧縮機を駆動するためのものである。
〈コンバータ回路(2)〉
コンバータ回路(2)は、リアクトル(L)を介して交流電源(6)に接続され、交流電源(6)が出力した交流を直流に全波整流する。この例では、コンバータ回路(2)は、複数(本実施形態では4つ)のダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線されたダイオードブリッジ回路である。これらのダイオード(D1〜D4)は、交流電源(6)の交流電圧を全波整流して、直流電圧に変換する。
〈直流リンク部(3)〉
直流リンク部(3)は、コンデンサ(3a)を備えている。コンデンサ(3a)は、コンバータ回路(2)の出力ノード間に接続され、該コンデンサ(3a)の両端に生じた直流電圧(直流リンク電圧(Vdc))がインバータ回路(4)の入力ノードに接続されている。コンデンサ(3a)は、コンバータ回路(2)の出力を平滑化する電解コンデンサで構成されている。
〈インバータ回路(4)〉
インバータ回路(4)は、入力ノードが直流リンク部(3)のコンデンサ(3a)に並列に接続され、直流リンク部(3)の出力をスイッチングして三相交流に変換し、接続されたモータ(7)に供給するようになっている。インバータ回路(4)は、本発明の電力変換部の一例である。
本実施形態のインバータ回路(4)は、複数のスイッチング素子がブリッジ結線されて構成されている。このインバータ回路(4)は、三相交流をモータ(7)に出力するので、6個のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を備えている。詳しくは、インバータ回路(4)は、2つのスイッチング素子を互いに直列接続した3つのスイッチングレグを備えている。各スイッチングレグにおいて上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)と下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)との中点が、モータ(7)の各相のコイル(図示は省略)にそれぞれ接続されている。また、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)には、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)が逆並列に接続されている。本実施形態では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)、及び還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)は、ディスクリート部品によって構成してある。
インバータ回路(4)は、これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作によって、直流リンク部(3)から入力された直流リンク電圧(Vdc)をスイッチングして三相交流電圧に変換し、モータ(7)へ供給する。なお、このオンオフ動作の制御は、制御部(5)が行う。
〈制御部(5)〉
制御部(5)は、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が所望の電圧、及び周波数となるように、インバータ回路(4)の各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御する。また、制御部(5)は、モータ(7)の電流又は電圧の推定値に基づいてモータ(7)の磁極位置を推定する。制御部(5)は、当該推定値を求める際に、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を用いる。
この例では、制御部(5)は、電圧検出部(51)、出力電圧演算部(52)、オン電圧補償部(53)、及びスイッチング制御部(54)を備えている。
−電圧検出部(51)−
電圧検出部(51)は、直流リンク部(3)に取り付けられたシャント抵抗(図示は省略)を有し、該シャント抵抗に流れる電流(idc)を検出する。電圧検出部(51)は、検出した電流値(idc)を、出力電圧演算部(52)とオン電圧補償部(53)に出力する。また、電圧検出部(51)は、直流リンク電圧(Vdc)を電圧検出器(図示を省略)で検出し、検出値を出力電圧演算部(52)とオン電圧補償部(53)に出力する。なお、交流電源(6)におけるAC電圧を電圧検出器で検出して直流リンク電圧(Vdc)を推定するように、電圧検出部(51)を構成してもよい。
−出力電圧演算部(52)−
出力電圧演算部(52)は、電流値(idc)と直流リンク電圧(Vdc)とを用いて、各相の電圧指令(vu*,vv*,vw*)を生成する。なお、図1において出力電圧演算部(52)が出力しているVo*は、各相に対する電圧指令(vu*,vv*,vw*)を総括して表したものである(以下同様)。
−オン電圧補償部(53)−
オン電圧補償部(53)は、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)と、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vf)とを求める。さらに、オン電圧補償部(53)は、求めたオン電圧降下(Vs,Vf)と電流(idc)とを用いて、電圧指令(Vo*)を補正する。オン電圧補償部(53)は、電圧指令(Vo*)を補正した値(Vo*±Vs)をスイッチング制御部(54)に出力する。
精度の良いオン電圧補償を容易に行うためには、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)、及び還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vs,Vf)を正確に推定する必要がある。ところが、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)や還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vf)には、個体差がある。本実施形態では、オン電圧補償部(53)は、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)、及び個々の還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vf)を求めるようになっている。なお、以下では、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を区別する場合には、例えばVs(u),Vs(v)…のように、符号Vsの後にスイッチング素子を表す符合(u,v,w等)を付すことにする。同様に、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)についても、それぞれのオン電圧降下(Vf)を区別する場合には、例えばVf(u),Vf(v)…のように、符号Vfの後にスイッチング素子を表す符合を付すことにする。
本実施形態では、インバータ回路(4)出力の各相の出力電流(相電流値(iu,iv,iw))とスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の関係を示すテーブルと、相電流値(iu,iv,iw)と還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下(Vf)の関係を示すテーブルとを予め作成しておいて、制御部(5)にはそのテーブルを格納させておく(以下では、これらのテーブルを誤差電圧テーブルと呼ぶ)。
より詳しくは、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)については、インバータ回路(4)に実際に搭載したスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎にオン電圧降下(Vs)を測定し、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差に応じた誤差電圧テーブルを作成してある。すなわち、本実施形態では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の規格値のような標準的な値を誤差電圧テーブルに記録するのではない。この例では、インバータ回路(4)は6つのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を備えているので、オン電圧補償部(53)は、それぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)用に6つの誤差電圧テーブルを格納してある。同様に、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)についても、インバータ回路(4)に実際に搭載した還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)毎にオン電圧降下(Vf)を測定し、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)の個体差に応じた誤差電圧テーブルを作成して格納してある。すなわち、オン電圧補償部(53)は、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)についても6つの誤差電圧テーブルを備えている。
オン電圧補償部(53)は、それぞれの相電流値(iu,iv,iw)を入力し、これらの値と上記誤差電圧テーブルからオン電圧降下(Vs,Vf)を算出するようになっている。具体的には、オン電圧補償部(53)は、入力された相電流値(iu,iv,iw)に最も近い値を上記誤差電圧テーブルから検索し、検索値に対応したオン電圧降下(Vs,Vf)を求める。そして、誤差電圧テーブルから求めたオン電圧降下(Vs)で電圧指令(Vo*)を補正してスイッチング制御部(54)の出力する。より詳しくは、オン電圧補償部(53)は、以下のようにして補正した電圧指令(vu*,vv*,vw*)を生成する。
図2は、インバータ回路(4)のU相に対応したアームを抜き出したものである。図2では、コンデンサ(3a)(直流電源とみなせる)と、互いに直列に接続されたスイッチング素子(Su,Sx)と、これらのスイッチング素子(Su,Sx)にそれぞれ逆並列接続した還流ダイオード(Du,Dx)とを示している。また、図3は、オン電圧補償時の動作を説明するタイミングチャートである。
例えば、出力電圧演算部(52)から、図3に示すような電圧指令(vu*)がオン電圧補償部(53)に入力されると、オン電圧補償部(53)では、スイッチング素子(Su,Sx)に対して電圧指令(vu*)に応じたオン信号(Gu,Gx)(ゲート駆動信号)を出力する。ゲート駆動信号(Gu)をスイッチング素子(Su)に入力して該スイッチング素子(Su)をオンさせると、例えば図2の回路で出力電流(iu)が負荷側へ流れる場合(この場合をiu>0とする)には、スイッチング素子(Su)に電流が流れる。そのため、出力電圧(Vu)(下アームのスイッチング素子(Sx)の被制御端子間の電圧に相当)は、コンデンサ(3a)の電圧(Vdc)からスイッチング素子(Su)のオン電圧降下(Vs(u))分を引いたVdc−Vs(u)となる。
また、上アームのスイッチング素子(Su)をオフにすると、下アームの還流ダイオード(Dx)に電流が流れる。そのため、出力電圧(Vu)は、還流ダイオード(Dx)のオン電圧降下分に相当する−Vf(x)となる。
i<0の場合(出力電流(i)が図2の回路内へ流れ込む場合)には、下アームのスイッチング素子(Sx)をオンにすると、スイッチング素子(Sx)に電流が流れて、オン電圧降下が生じる。そのため、出力電圧(Vu)はVs(u)となる。
また、下アームのスイッチング素子(Sn)をオフにすると、上アームの還流ダイオード(Du)に電流が流れるため、出力電圧はVdc+Vf(u)となる。
すなわち、次の式(1),(2)に示すように、単位時間(T)当たりの電圧(Vu)は、電圧指令(vu*)における平均電圧に対して、スイッチング素子(Su,Sx)のオン電圧降下(Vs(u),Vs(x))分、還流ダイオード(Du,Dx)のオン電圧降下(Vf(u),Vf(x))分だけ誤差が生じる。なお、以下では説明の簡素化のため、出力電圧(Vu)に対するデッドタイムの影響は無視することにする。
iu>0の場合
Vu=(Vdc-Vs(u))・Tu*/T-Vf(x)・(T-Tu*)/T=Vu*-Vs(u) …(1)
iu<0の場合
Vu=(Vdc+Vf(x))・Tu*/T+Vs(u)・(T-Tu*)/T=Vu*+Vs(x) …(2)
本実施形態のオン電圧補償部(53)は、各相のオン電圧降下(Vs(u),Vs(v),Vs(w),Vs(x),Vs(y),Vs(z))に基づいて、各相の電圧指令(vu*,vv*,vw*)を決定する。上記の例では、i>0の場合には、オン電圧補償部(53)は、スイッチング素子(Su)のオン電圧降下(Vs(u))分を考慮し、電圧指令(vu*)から決まるオン信号(Gu)の出力期間(Ton)にVs(u)/Vdc×Tを足して、オン出力設定時間(Tu*)(オン電圧降下を考慮したオン信号の出力時間)が次の式(3)となるように、電圧指令(vu*)を補正する。この場合、スイッチング素子(Su,Sx)のオン電圧降下(Vs(u),Vs(x))は、これらのスイッチング素子(Su,Sx)毎に設けられた誤差電圧テーブルから求める。すなわち、スイッチング素子(Su)のオン電圧降下(Vs(u))は、スイッチング素子(Su)用の誤差電圧テーブルから求め、スイッチング素子(Sx)のオン電圧降下(Vs(x))は、スイッチング素子(Sx)用の誤差電圧テーブルから求めるのである。
Tu*=Ton+T・Vs(u)/Vdc …(3)
一方、i<0の場合には、オン電圧補償部(53)は、出力期間(Ton)からVs(x)/Vdc×Tを差し引いたオン出力設定時間(Tu*)となるように、電圧指令(vx*)を補正する(式(4)を参照)。
Tu*=Ton-T・Vs(x)/Vdc …(4)
オン電圧補償部(53)は、上記のようにして補正した電圧指令(vu*)をスイッチング制御部(54)に出力する。
−スイッチング制御部(54)−
スイッチング制御部(54)は、オン電圧補償部(53)が出力した、補正後の電圧指令(vu*,vv*,vw*)に基づいて、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作を制御するゲート駆動信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を生成する。
《電力変換装置(1)の動作》
モータ(7)を運転状態にするには、上記インバータ回路(4)からモータ(7)に交流電力を供給する。モータ(7)が運転状態になると、該モータ(7)と接続された上記圧縮機が作動する。このとき、制御部(5)は、モータ(7)の回転数が目標値となるように、インバータ回路(4)を制御して当該インバータ回路(4)に所定の電圧、及び周波数の交流電力をモータ(7)に出力させる。この制御において、制御部(5)は、上記のように、電圧指令(Vo*)を補正する。
また、インバータ回路(4)にてモータ(7)を高速、高精度に制御したり,位置センサレスで制御するためには、モータ(7)の端子電圧や電流の情報が必要となる。このモータ端子電圧を得る方法として、インバータ回路の制御に用いる電圧指令を用いて、上記端子電圧や電流を推定する手法が多く用いられ、本実施形態でもその方法を採用している。本実施形態では、電圧指令(Vo*)は、制御部(5)によって、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差に応じて補正される。それゆえ、本実施形態ではモータ(7)を精度良く制御することができる。
《本実施形態における効果》
以上のように、本実施形態によれば、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)について、誤差電圧テーブルを用意してある。そのため、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の特性に個体差があっても、補償の大きさを適切に定めることができ、オン電圧補償を精度よく行える。したがって、電力変換装置(1)の出力を所望の電圧に精度よく制御することが可能になる。
また、電圧指令を用いて、モータの端子電圧や電流を推定する方法においては、端子電圧等の推定値にはインバータ回路のデッドタイムやスイッチング素子のオン電圧降下などによる誤差が含まれる。特に本実施形態のように、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の個体差が大きくなりがちなディスクリート部品でインバータ回路(4)を構成すると、スイッチング素子のオン電圧降下による誤差が製品(電力変換装置)ごとにばらつく可能性がある。しかしながら、本実施形態では、上記のように、実際にインバータ回路(4)に搭載するそれぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)について、誤差電圧テーブルを用意してあるので、個体差による推定値のばらつきを低減することが可能になる。
《発明の実施形態2》
図4は、発明の実施形態2に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態の電力変換装置(1)は、実施形態1の電力変換装置(1)に、電圧検出部(60)及び補正値演算部(61)を追加して構成したものである。電圧検出部(60)は、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)(誤差電圧)を検出する。電圧検出部(60)による出力電圧(vu,vv,vw)(誤差電圧)の検出は、種々のタイミングで行うことが考えられるが、本実施形態では、運転開始時に各相の出力電圧(vu,vv,vw)を測定している。電圧検出部(60)が検出した出力電圧(vu,vv,vw)は、補正値演算部(61)によって利用される。
具体的には、補正値演算部(61)は、予め定めたオン電圧降下(Vs)の標準値と、電圧検出部(60)の測定値(出力電圧(vu,vv,vw))とから、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)の補正値(Ks(u),Ks(x),Ks(v),Ks(y),Ks(w),Ks(z))を求める(以下、各相の補正とを総括したものを単にKsと記載する)。
本実施形態では、オン電圧降下(Vs)の標準値は、誤差電圧テーブルと相電流値(iu,iv,iw)とから求める。誤差電圧テーブルは、相電流値(iu,iv,iw)と、当該相電流値(iu,iv,iw)に対応するオン電圧降下(Vs)の標準値との関係を示すものが1つだけ制御部(5)に格納されている。ここで、相電流値(iu,iv,iw)に対応するオン電圧降下(Vs)標準値には、例えばスイッチング素子の規格として決まっている値や、予め実験などをして求めた値などを採用できる。制御部(5)では、入力された相電流値(iu,iv,iw)に最も近い値を上記誤差電圧テーブルから検索し、検索値に対応した値を、相電流値(iu,iv,iw)におけるそのオン電圧降下(Vs)の標準値として補正値演算部(61)に出力する。補正値演算部(61)は、この標準値と電圧検出部(60)が検出した出力電圧(vu,vv,vw)とから、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の補正値(Ks)を求め、オン電圧補償部(53)に出力する。
オン電圧補償部(53)は、オン電圧降下(Vs)の標準値と、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の補正値(Ks)とから、個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を求める。
個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)が求まった後は、制御部(5)では、実施形態1の制御部(5)と同様の動作が行われ、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が制御される。
以上のように、本実施形態でも、半導体デバイスの個体ばらつきによるオン電圧降下(Vs)の差を補正することができ、より正確なインバータ回路(4)の出力電圧制御が可能となる。
《発明の実施形態3》
図5は、発明の実施形態3に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態の電力変換装置(1)は、実施形態1と比べ、制御部(5)の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の制御部(5)は、実施形態1の制御部(5)に、電圧検出部(60)と誤差電圧演算部(70)とを追加している。また、本実施形態の制御部(5)は、誤差電圧テーブルを備えていない。
電圧検出部(60)は、インバータ回路(4)の出力電圧(vu,vv,vw)(誤差電圧)を検出する。
誤差電圧演算部(70)は、電圧検出部(60)が検出した出力電圧(vu,vv,vw)と電圧指令(Vo*)とが入力され、これらを用いて各相のオン電圧降下(Vs(u),Vs(v),Vs(w),Vs(x),Vs(y),Vs(z))を算出する。すなわち、誤差電圧演算部(70)で誤差電圧を測定することによって、実装状態において個々のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を把握するのである。これらのオン電圧降下(Vs(u),Vs(v),Vs(w),Vs(x),Vs(y),Vs(z))は、オン電圧補償部(53)に出力される。オン電圧補償部(53)、及びスイッチング制御部(54)は、実施形態1等のものと同様の構成であり、これによりインバータ回路(4)におけるスイッチングが制御される。
〈本実施形態の効果〉
上記のように、本実施形態においても、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)が制御されるので、電力変換装置(1)の出力を所望の電圧に精度よく制御することが可能になる。
しかも、本実施形態では、誤差電圧演算部(70)において出力電圧の誤差を運転中に算出するので、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の温度、直流リンク電圧(Vdc)などの動作状態で、オン電圧降下(Vs)が変動する場合においても、より正確なインバータの出力電圧制御が可能となる。
《発明の実施形態4》
図6は、発明の実施形態4に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態の電力変換装置(1)は、インバータ回路(4)が還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)を備えていない。また、インバータ回路(4)では、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、逆導通可能な素子(ユニポーラ素子)である。電力変換装置(1)では、制御部(5)の制御によって、インバータ回路(4)において同期整流を行わせる。
電力変換装置(1)では、制御部(5)によるオン電圧補償は、実施形態1の制御部(5)と同様のメカニズムで行われる。すなわち、本実施形態でも、相電流値(iu,iv,iw)とオン電圧降下(Vs)の関係を示す誤差電圧テーブルをスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に設けてあり、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する。ただし、インバータ回路(4)には還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)が無いので、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)のオン電圧降下を考慮する必要がなく、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)用の誤差電圧テーブルは備えていない。
〈本実施形態における効果〉
図7は、ユニポーラ素子(MOSFET)、バイポーラ素子(IGBT)、及びダイオードのオン電圧降下特性を比較する図である。同図では、横軸が印加電圧、縦軸が出力電流である。図7に示すように、トランジスタとダイオードとでは、オン電圧降下特性が大きく異なっている。そのため、還流ダイオードを備えたインバータ回路では、両者の特性の違いを考慮した上で電圧指令を生成する必要があり、複雑な制御となる。
これに対し、本実施形態では、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のみのオン電圧降下特性を考慮すればよく、制御部(5)における制御が容易になる。すなわち、本実施形態によれば、スイッチング素子が個体差を有していても、オン電圧補償を精度よく、且つ容易に行うことが可能になる。
《発明の実施形態5》
図8は、発明の実施形態5に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。本実施形態の電力変換装置(1)は、いわゆるマトリクスコンバータであり、交流電源(6)から入力された単相交流を、所定周波数及び所定電圧の三相交流に変換してモータ(7)に出力するようになっている。具体的には、図8に示すように、電力変換装置(1)は、電力変換部(4)と制御部(5)とを備えている。
電力変換部(4)は、6つのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を備えている。それぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、いわゆる双方向スイッチである。これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のうち、スイッチング素子(Su,Sv,Sw)は何れも、一端が交流電源(6)の一方の出力ノードに接続され、スイッチング素子(Sx,Sy,Sz)は何れも、一端が交流電源(6)の他方の出力ノードに接続されている。そして、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)における、交流電源(6)とは反対側の端子は、例えばスイッチング素子(Su,Sx)はU相の出力ノード、スイッチング素子(Sv,Sy)はV相の出力ノード、スイッチング素子(Sw,Sz)はW相の出力ノードにそれぞれ接続されている。
制御部(5)は、出力電圧演算部(52)、オン電圧補償部(53)、及びスイッチング制御部(54)を備え、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するゲート駆動信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を電力変換部(4)に出力する。この例では、出力電圧演算部(52)は、U相、W相の相電流値(iu,iw)と、電源電圧(Vac)とを用いて、各相の電圧指令(vu*,vv*,vw*)を生成する。また、オン電圧補償部(53)は、電源電圧(Vac)とオン電圧降下(Vs)を用いて電圧指令(Vo*)を補正する。この補正のために、制御部(5)には、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎の誤差電圧テーブルを格納させてある。すなわち、本実施形態でも制御部(5)には6つの誤差電圧テーブルがある。
この例においても、制御部(5)は、実施形態1の制御部(5)と同様に、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する。したがって、電力変換部(4)としていわゆるマトリクスコンバータを採用した場合においても、出力を所望の電圧に精度よく制御することが可能になる。
《その他の実施形態》
〈1〉なお、オン電圧降下(Vs)を求める場合には、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)がオフ状態で印加されていた電圧値を考慮すると、より高精度のモータ制御を実現できる。
モータ制御で用いる出力電圧演算値(V’)は、電圧指令(Vo*)で定まるオン信号の出力期間(Ton)を示すオン出力設定時間(Tp*)と、キャリア周期(T)とを用いて、Tp*/T×Vdcによって算出される出力電圧演算値に、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)がオフ状態(非導通の状態)で印加されていた電圧値から求めた、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を考慮するように構成されている。すなわち、出力電圧演算部(52)では、下式のように、出力電圧演算値Tp*/T×Vdcからオン電圧降下(Vs)分を加減算して、実際の平均出力電圧(Vu)と同じ出力電圧演算値(Vu’)を算出する(U相の例)。
iu>0の場合
Vu’=Vdc・Tu*/T-Vs(u)=Vu …(5)
iu<0の場合
Vu’=Vdc・Tu*/T+Vs(x)=Vu …(6)
このように、スイッチング素子(Su)の印加電圧に応じたオン電圧降下(Vs)分で、出力電圧(vu,vv,vw)を補正することで、出力電圧演算値(V’)を精度良く求めることができる。
〈2〉また、電力変換装置(1)では、コンデンサ(3a)には、比較的小容量のコンデンサを用いることもできる。具体的には、例えば、インバータ回路(4)のスイッチング素子(後述)がスイッチング動作する際にスイッチング周波数に対応して生じるリプル電圧(電圧変動)のみを平滑化可能な容量、すなわち、コンバータ回路(2)によって整流された電圧の変動(電源電圧に起因する電圧変動)を平滑化するような静電容量を有さない容量とすることができる。コンデンサ(3a)がこのように小容量の場合には、直流リンク部(3)が出力する直流リンク電圧(Vdc)は、その最大値がその最小値の2倍以上となるような大きな脈動を有する。小容量のコンデンサ(3a)には、例えばフィルムコンデンサを採用できる。
〈3〉また、誤差電圧テーブルの代わりに、相電流値(iu,iv,iw)とオン電圧降下(Vs)の関係を示す関数を定義し、その関数を用いてオン電圧降下(Vs)を演算するようにしてもよい。
〈4〉また、電力変換装置(1)へ入力する交流は、上記の例で説明した単相交流には限定されず、三相交流電源を用いてもよい。
〈5〉また、本発明は、交流を直流に変換する電力変換部(例えば、いわゆるPWMコンバータなど)にも適用できる。
本発明は、入力された電力をスイッチングして所定の電力に変換する電力変換装置として有用である。
1 電力変換装置
4 インバータ回路(電力変換部)
5 制御部
7 モータ
60 電圧検出部
61 補正値演算部
70 誤差電圧演算部
Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz スイッチング素子

Claims (11)

  1. 交流電力又は直流電力をスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングで所定の電力に変換して出力する電力変換部(4)を備えた電力変換装置であって、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)の個体差に応じ、上記電力変換部(4)の出力電圧(vu,vv,vw)を制御する制御部(5)を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1の電力変換装置において、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ディスクリート部品であることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1又は請求項2の電力変換装置において、
    上記制御部(5)は、相電流値(iu,iv,iw)と上記オン電圧降下(Vs)との関係を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎に示したテーブル又は関数を用いて、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1又は請求項2の電力変換装置において、
    上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定する電圧検出部(60)と、
    予め定めた上記オン電圧降下(Vs)の標準値と上記電圧検出部(60)の測定値から、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)の補正値(Ks)を求める補正値演算部(61)とを備え、
    上記制御部(5)は、上記標準値と上記補正値(Ks)とから上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項4の電力変換装置において、
    上記電圧検出部(60)は、上記電力変換部(4)の運転の開始時に上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定することを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1又は請求項2の電力変換装置において、
    上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定する電圧検出部(60)と、
    上記電圧検出部(60)の測定値と、上記電力変換部(4)に対する電圧指令(Vo*)とから上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)毎のオン電圧降下(Vs)を求める誤差電圧演算部(70)とを備えていることを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項6の電力変換装置において、
    上記電圧検出部(60)は、上記電力変換部(4)の運転中に上記出力電圧(vu,vv,vw)を測定することを特徴とする電力変換装置。
  8. 請求項1から請求項7の何れかの電力変換装置において、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ユニポーラ素子であり、
    上記制御部(5)は、電流の還流時に所定のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を逆導通させて該スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のみに電流が流れるように、上記電力変換部(4)に同期整流を行わせることを特徴とする電力変換装置。
  9. 請求項1から請求項8の何れかの電力変換装置において、
    上記電力変換部(4)の出力は、モータ(7)に接続され、
    上記モータ(7)の電流又は電圧の推定値の取得に上記オン電圧降下(Vs)を用い、当該推定値に基づいて上記モータ(7)の磁極位置を推定することを特徴とする電力変換装置。
  10. 請求項1から請求項9の何れかの電力変換装置において、
    上記制御部(5)は、上記電力変換部(4)における短絡を防止するデッドタイム(Td)を設けて上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するとともに、該デッドタイム(Td)による上記出力電圧(vu,vv,vw)の誤差を補償するデッドタイム補償を、求めたオン電圧降下(Vs)に応じた量で行うことを特徴とする電力変換装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れかの電力変換装置において、
    上記制御部(5)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の非導通時に印加される印加電圧値(V)に対応した、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン電圧降下(Vs)を求めることを特徴とする電力変換装置。
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