JP2012231615A - モータ駆動制御装置とモータ駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三相モータ30の各相の電流から、マグネットトルク電流iqrとリラクタンストルク電流idrとを求めてフィードバック制御を行う。この際、回転角センサ109の測定した回転角θに、制御システムの遅れに相当する回転角を所定の角度deg分加算することにより、遅れ補償制御を行い、モータの応答性を高める。さらに、弱め磁束制御を行って、モータの応答性を高める。制御系の遅れは、無駄時間と一次遅れ系の時定数とで近似する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、ブラシレス電動機において、誘起電圧と電機子電流の位相差を0に近づけることにより、大負荷時及び高速回転時における発生トルクの低下を抑える制御方法が開示されている。
また、特許文献2は、回転角センサによる回転子の回転角の検出の遅れ分を補償するように実際の電気角に補正値を加算し、補正値に基づいて制御を行うことにより、検出の遅れによる出力の低下を抑える。
また、特許文献3は、電流指令に進角を与えることにより、モータ電流に遅れを補償し、モータのトルクリプル及び動作ノイズを抑える技術を開示する。
しかし、特許文献1に記載された制御方法は、ベクトル制御に対応できていない。
また、特許文献3に開示された制御方法では、角速度に応じた位相遅れに対する補償は可能であるが、他の原因による遅れには対応できない。このため、従来のベクトル制御においては、大トルクで且つ高速化が困難であるという問題があった。
三相モータをベクトル制御するモータ駆動制御装置であって、
トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力するトルク電流変換部と、
前記三相モータに流れる電流を測定する電流測定部と、
前記三相モータの回転角を測定する回転角センサと、
前記電流測定部が測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める三相二相変換部と、
前記トルク電流変換部から出力されたリラクタント電流指令とマグネット電流指令と、前記三相二相変換部が求めたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流との差分をそれぞれ求める減算回路と、
前記減算回路が求めたリラクタント電流の差分及びマグネット電流の差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する駆動制御回路と、
を備え、
前記三相二相変換部は、前記回転角センサの測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める、
ことを特徴とする。
トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力する工程、
三相モータに流れる電流を測定する工程、
前記三相モータの回転角を測定する工程、
測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める工程、
出力された前記リラクタント電流指令とマグネット電流指令と、求められたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流と、の差分をそれぞれ求める工程、
求めた差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する工程、
測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める工程、
を備える。
コンピュータに、
トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力する処理、
三相モータに流れる電流を測定する処理、
前記三相モータの回転角を測定する処理、
測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める処理、
出力された前記リラクタント電流指令とマグネット電流指令と、求められたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流と、の差分をそれぞれ求める処理、
求めた差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する処理、
測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める処理、
を実行させる。
idmax=iq*tan[(θlimit−deg)/kθ]
θlimit≧kθ*β+deg
β=arctan(idt/qdt)
deg:後述する遅れ補償電気角
θlimit:限界進み角
kθ:所定の係数(通常1)
Iゲイン回路1034は、入力ΔiqにIゲインを乗算するものであり、図3(c)に示すように、選択回路10311と、Kゲイン回路10312と、Σ(累算器)回路10313と、Inゲイン回路10314と、リミッタ10315と、から構成される。
Kゲイン回路10312は、スイッチSW2がオンしたとき、即ち、P項とI項とが逆極性のときに、入力Δiqに負のゲインKを乗算する。
Inゲイン回路10314は、積分値にゲインInを乗算する。
リミッタ10315は、Inゲイン回路10314の出力に上限値を設定する。
例えば、ある時点で、vu>vv>vwの関係が成立しているとすると、vvが中間値となる。補正値sh=vv/2となる。
deg=360・(RPM/60)・(P/2)・(Δts+kτ・τt)
deg:遅れ補償電気角(°)
RPM:三相モータ30の分当たりの回転数
P:モータ極数
Δts:無駄時間
kτ:時定数一次遅れ時間変換時間係数
τt:等価トータル一次遅れ時定数
この場合の時間の経過は、図4に示すような関係となる。
このような場合、実質的にデータの入力に要する時間τinは、(τi+Δts0)と、τrdのいずれか大きい方(τin=max(τi+Δts0,τrd))になる。
ベクトル制御の場合、τmは計算値の1/2程度とし、位置制御の場合、計算値程度とすることが制御上望ましい。
遅れ要因の「電気角読み込み」は、電気角の読み込みに要する時間を表し、例では、無駄時間相当分が1秒、時定数相当分は図4では記号τrdで表され、表では、20秒である。通常、無駄時間相当分は非常に小さく、図4では無視されている。
「電流検出」は、電流検出値の読み込みに要する時間のうちソフトウエア処理部分を除いたハードウエア処理に依存する分を表し、図4では記号τiで表され、表では、30秒である。
「モータ」は、励磁回路等の時定数の計算値に相当し、図4では記号τmで表され、表では、40秒である。
τin==max(τi+Δts0,τrd)=max(10+Δts0,20)、即ち、(10+Δts0)秒と20秒のうち大きい方となる。通常、Δts0は、プロセッサの動作クロック周期レベルとなり、Δts,τrdと比較して十分に小さく、無視可能である。このため、この例では、τin==max(10,20)=20秒となる。
トータルの一次遅れ時間kτ・τtは、ほぼ、τinとモータ時定数τmの和となる。また、上述のように、モータ時定数tmの実際値は計算値のほぼ1/2である。
すると、kτ・τt=τm/2+τin=40/2+20=40秒となる。
これを、degの式に代入すると、
deg=360・(RPM/60)・(P/2)・(Δts+kτ・τt)
=360・(1000/60)・(10/2)・(10+40)
=360・(1000/60)・(10/2)・50
となる。
Kh0は、実質的に0であり、Kh0*s*Ld=0、Kh0*s*Lq=0である。
ωmは、モータ軸の角速度、
Keは、定数。
なお、補正値Vd,Vqについては、リミッタを設けることが望ましい。
まず、制御の必要に応じて、外部装置20、例えば、ECUは、必要なトルクを指示するトルク指示Trefを出力する。
また、トルク/電流変換部101は、制御対象のモータ3がSPMであるため、通常であれば、リラクタントトルク電流idtを0とする。ただし、本実施形態では、三相モータ30の高速応答性を高めるため、弱め磁束制御を行うように、図2(a)に示すマップに従って、指数idrefを求め、さらに、図2(b)のリミッタをかけて得られた値idtを、負の電流を指示するリラクタントトルク電流idtとして出力する。
同様に、減算回路102は、マグネットトルク電流指令iqtと、三相/二相変換部112から入力した二相電流値iqrとの電流偏差ΔIq(=Iqt−Iqr)を求め、電流偏差ΔIqをPI変換回路103に出力する。この電流偏差ΔIdは、目的とするトルクを得るために、モータ3に供給する電流のq成分の増減分を表す。
この二相電流値idr、iqrが、電流指令idt、iqtと加算されて、以後の制御が進行される。従って、上述の動作を連続的に実行することにより、遅れ補償を行わない従来の制御システムと比較して、三相モータ30の応答性が向上する。
また、遅れ補償制御を優先し、弱め磁束指令値に、電流idが限界進み角以上にならないように磁束指令値に制限をかけているので、遅れ補償制御と弱め磁束制御とが干渉しない。
例えば、上記実施の形態においては、演算により遅れ補償角degを求めたが、例えば、図6に示すように、遅れ補償角−ωを予め求めておき、これを予めマップ化してメモリに記憶しており、マップを参照することにより、遅れ補償角を求めるようにしてもよい。
この際に、遅れ補償、弱め磁束制御を実施していると、正確な測定が困難となる場合がある。
モータ駆動制御装置10の全部又は一部を位置又は複数のコンピュータで構成し、これらのコンピュータに実行させるプログラムを作成、配布、インストール等してもよい
20 外部装置
30 三相モータ
101 トルク/電流変換部
102 減算回路
103 PI変換回路
104 減算回路
105 二相/三相変換部
106 変調回路
107 PWM出力部
108 Hブリッジ回路
109 回転角(電気角)センサ
110 ω演算部
111 遅れ補償演算部
112 三相/二相変換部
113 非干渉制御部
Claims (8)
- 三相モータをベクトル制御するモータ駆動制御装置であって、
トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力するトルク電流変換部と、
前記三相モータに流れる電流を測定する電流測定部と、
前記三相モータの回転角を測定する回転角センサと、
前記電流測定部が測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める三相二相変換部と、
前記トルク電流変換部から出力されたリラクタント電流指令とマグネット電流指令と、前記三相二相変換部が求めたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流との差分をそれぞれ求める減算回路と、
前記減算回路が求めたリラクタント電流の差分及びマグネット電流の差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する駆動制御回路と、
を備え、
前記三相二相変換部は、前記回転角センサの測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める、
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。 - 前記減算回路は、前記トルク電流変換部から出力されたリラクタント電流指令とマグネット電流指令と、前記三相二相変換部が求めたリラクタンストルク電流とマグネットトルク電流との差分を求めることにより、前記三相モータの制御にフィーバックをかけ、
前記三相二相変換部は、このモータ駆動制御装置における時間遅れによる回転角の遅れを補償するように、前記回転角センサの測定した回転角に所定の角度を加算する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記三相二相変換部は、このモータ駆動制御装置における時間遅れを、無駄時間と一次遅れ系における時定数に基づく遅れ時間の和とで近似し、近似した遅れ時間の和に基づいて定まる角度を前記回転角センサの測定した回転角に加算する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記トルク電流変換部は、前記三相モータの弱め磁化制御を行うために、モータの回転速度の増加に伴って、極性が負で絶対値が増加する領域を有するリラクタント電流指令を出力する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記トルク電流変換部は、前記三相モータを流れるリラクタント電流の位相が限界進み角以上にならない範囲で、前記リラクタント電流指令を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記三相モータを正逆回転させ、前記回転角センサの0点補正を行う手段を備え、
前記三相二相変換部は、前記回転角センサの補正中は、前記回転角センサの測定した回転角に前記所定の角度を加算する処理を停止する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。 - トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力する工程、
三相モータに流れる電流を測定する工程、
前記三相モータの回転角を測定する工程、
測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める工程、
出力された前記リラクタント電流指令とマグネット電流指令と、求められたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流と、の差分をそれぞれ求める工程、
求めた差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する工程、
測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める工程、
を備えるモータ駆動方法。 - コンピュータに、
トルク指令に基づいて、リラクタント電流指令とマグネット電流指令とを出力する処理、
三相モータに流れる電流を測定する処理、
前記三相モータの回転角を測定する処理、
測定した電流から、前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める処理、
出力された前記リラクタント電流指令とマグネット電流指令と、求められたマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流と、の差分をそれぞれ求める処理、
求めた差分から、前記三相モータの各相に流す相電流を生成する処理、
測定した回転角に所定の角度を加算し、加算後の回転角を用いて前記三相モータのマグネットトルク電流とリラクタンストルク電流とを求める処理、
を実行させるコンピュータプログラム。
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