JP2012230524A - プラント監視制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】原子力発電プラントに対する津波に起因するリスクを低減させることができるプラント監視制御システムを提供する。
【解決手段】津波を監視する津波監視部11と、津波監視部11より得られる監視結果に基づいて、原子力発電プラントが設けられる沿岸において、予め設けられた複数の基準値に相当する津波が発生するか否かを判定する津波判定部31と、津波が発生した場合に原子力発電プラントにおいて機能する非常用機能17と、津波判定部31によりいずれかの基準値に相当する津波が発生すると判定された場合、津波の各基準値に応じて設けられたアラームを発報するアラーム部41と、アラームの種類に応じて非常用機能を制御する非常用機能制御部15とを備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、津波を監視し、また津波発生時においてはプラントを制御するプラント監視制御システムに関する。
原子力発電プラントなどのプラントにおいては、プラントの事故の予防や異常の早期発見の見地から、各種の監視システムが導入されている。監視システムは、プラントで発生した異常を迅速に運転員に通知し、プラントの異常を見逃さないよう種々の工夫がなされている。
特開2006−318332号公報
プラントに発生する異常には、内部や外部で発生する種々の異常が含まれるため、異常の種類に応じて適切な監視システムが導入されるのが望ましい。外部で発生する異常の1つに、地震や津波などの自然災害に起因するものがある。
従来、原子力発電プラントに異常が発生した場合に必須の安全機能である「止める」「冷やす」「閉じ込める」を確保するため、地震に特化した監視システムは種々提案されていた。しかし、地震に付随する津波に起因する異常については、十分な提案がなされていないという現状があった。
そこで、地震・余震・津波などに起因する電源喪失、冷却系設備の損壊、建屋の浸水等に対して、原子力発電プラントを安全に停止できない事象が生じるリスクを回避することが強く求められている。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、原子力発電プラントに対する津波に起因するリスクを低減させることができるプラント監視制御システムを提供することを目的とする。
本発明に係るプラント監視制御システムは、上述した課題を解決するために、津波を監視する津波監視部と、前記津波監視部より得られる監視結果に基づいて、原子力発電プラントが設けられる沿岸において、予め設けられた複数の基準値に相当する津波が発生するか否かを判定する津波判定部と、前記津波が発生した場合に前記原子力発電プラントにおいて機能する非常用機能と、前記津波判定部によりいずれかの基準値に相当する津波が発生すると判定された場合、前記津波の各前記基準値に応じて設けられたアラームを発報するアラーム部と、前記アラームの種類に応じて前記非常用機能を制御する非常用機能制御部とを備えたことを特徴とする。
本発明に係るプラント監視制御システムは、原子力発電プラントに対する津波に起因するリスクを低減させることができる。
本発明に係るプラント監視制御システムの一実施形態を示すブロック構成図。 プラント監視制御システムにより実行される津波判定処理を説明するフローチャート。 プラント監視制御システムにより実行されるプラント停止準備等処理を説明するフローチャート。 プラント監視制御システムにより実行されるプラント停止等処理を説明するフローチャート。 プラント監視制御システムにより実行される注意報発報中処理を説明するフローチャート。 プラント監視制御システムにより実行される警報発報中処理を説明するフローチャート。 プラント監視制御システムにより実行される健全性確認処理を説明するフローチャート。
本発明に係るプラント監視制御システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るプラント監視制御システムの一実施形態を示すブロック構成図である。
本実施形態は、プラント監視制御システム1が、例えば沿岸部に設けられる原子力発電プラントに適用される場合について説明する。
プラント監視制御システム1は、津波監視部11、地震監視部12、監視制御装置13、監視盤・操作盤14、非常用機能制御部15、制御手順DB16、および非常用機能17を有する。
津波監視部11は、津波情報監視部21および海面監視部22を有する。津波情報監視部21は、システム外部から津波情報(例えば、津波警報、津波注意報、これら津波警報、注意報の内容を補完する津波の高さ、津波到達時刻などの情報)を取得する。
海面監視部22は、プラント沖合の海面変動を監視する。海面監視部22は、例えば、プラント沖合の所定位置に設けられる計測ブイに設けられる潮位計から取得される情報や、海面の変化を撮影しリアルタイムな画像情報を取得および解析することにより得られる情報に基づいて、海面変動を監視する。画像情報は、夜間であっても監視可能なように赤外線カメラであってもよい。ここで、海面変動とは寄せ波だけでなく、引き波による海面低下の変動も含まれる。
津波監視部11は、津波情報監視部21および海面監視部22より取得した情報を含む監視結果を監視制御装置13に供給する。具体的には、津波監視部11は、プラント監視制御システム1外部から得られる津波情報および海面監視部22による複数の手段や計測により得られた複数の海面変動の値に基づいて、統計的処理や検定処理などの各種処理を用いて得られた海面変動の推定値を、津波判定部31に供給する。
地震監視部12は、プラント内部および周囲の加速度の変化を取得することにより、地震の発生を監視する。地震監視部12は、取得した加速度の変化を監視制御装置13に供給する。なお、監視制御装置13は、地震監視部12より得られた監視結果に基づいて、地震対応の非常用機能の制御を行う。この地震監視部12および地震対応の非常用機能の制御は、従来から用いられる公知の技術を適用することができるため、本実施形態においては詳細な説明を省略する。
監視制御装置13は、通常運転中に起こり得る運転状態の変化、電気出力の変換などを監視および制御し、集中的にプラント全体を監視・制御する中央制御室の制御装置の1つである。監視制御装置13は、津波判定部31、および制御切替部32を有する。
津波判定部31は、津波監視部11より取得された監視結果に基づいて、アラーム発報の要否を判定する。アラームは、複数の津波の規模(海面変動値、予想高さ)や到達予想時刻などに対応して複数種類設けられる。アラームには、例えば「注意報」(第1のアラーム)と、この注意報よりリスクレベルの高い「警報」(第2のアラーム)がある。
「注意報」は、到来する津波の規模が第1の基準値以上になった場合に発報され、所内へのアラームなどの通知やプラントの運転停止、電源系、冷却系を切り替える準備段階の状態であることを通知するアラームである。「警報」は、到来する津波の規模が第1の基準値以上である第2の基準値以上になった場合に発報され、プラントの運転を停止し、電源系、冷却系を切り替えることを通知するアラームである。
注意報は、例えば津波の高さが5m以上となることが予測される場合に発報される。警報は、例えば津波の高さが8m以上となることが予測される場合に発報される。アラームの種類が判定される基準は、津波の高さに限らず、引き波による海面低下、到達予想時刻と津波の高さとの組合せにより規定される基準でもよい。
制御切替部32は、プラントの監視・制御機能を、監視制御装置13・非常用機能制御部15からプラント外に設けられる可搬式の監視制御設備に切り替える。可搬式の監視制御設備は、津波に影響しない可動式電源(電源車等)でも稼動できるようになっている。なお、プラントの監視・制御機能は、監視制御装置13・非常用機能制御部15の機能が喪失した場合には、プラント外部から切替可能にしてもよい。
監視盤・操作盤14は、各種アラームや監視結果の通知を行ったり、制御に必要な操作の入力を受付けたりする。監視盤・操作盤14は、アラーム部41および手動用指示受付部42を有する。アラーム部41は、津波判定部31により注意報または警報の発報が指示された場合、例えばホーンやフラッシュライトでプラント内に各種アラームを発報する。手動指示受付部42は、例えば、プラントの手動停止や冷却系・電源系の手動切替、建屋出入口の手動ロックに関する指示を受け付ける。
非常用機能制御部15は、アラーム(注意報・警報)が発報された場合、アラームに応じた非常用機能17の制御を行う。非常用機能制御部15は、アラーム発報後の制御手順に従って、非常用機能17の各機能を制御する。非常用機能制御部15は、例えば津波の到達予想時刻や非常用機能17の各機能の制御内容などに基づいて、各機能の制御のタイミングを決定する。
制御手順DB(データベース)16は、注意報・警報発報後、非常用機能制御部15が実行する非常用機能17の制御手順を格納する。具体的には、制御手順DB16は、注意報・警報の発報後および解除・復旧の際の制御手順を格納する。
非常用機能17は、津波や地震発生時などの非常時に機能し、プラント内の各機能を制御する。非常用機能17は、スクラム機能61、建屋隔離機能62、電源系切替機能63、冷却系切替機能64などを有する。
スクラム機能61は、プラント(原子炉)の運転を緊急停止(スクラム)させる機能である。建屋隔離機能62は、原子炉建屋やタービン建屋の出入口の機密性のある防水扉などを自動的に、または手動によりロックし、海水の浸水を防止する機能である。また、建屋隔離機能62は、各建屋内に浸水が発生した場合、プラント内外に設けられる排出設備を用いて海水を排出する機能を有する。
電源系切替機能63は、プラントに設けられる複数の電源系を、津波の影響を受けない系統(非常用電源系)に切り替える。また、電源系切替機能63は、プラント内の各種計装系に対する分散電源を準備し、電源供給を津波に影響しない電源系に切り替える。なお、非常用電源系は、例えば原子炉建屋屋上や、津波の影響を受けない高所に設置される非常用ディーゼル発電機、可動式電源車などである。
冷却系切替機能64は、原子炉や原子炉燃料プールの冷却系設備を津波の影響を受けない系統(非常用冷却系)に切り替える機能である。例えば、冷却系切替機能64は、高所に設置された冷却熱交換設備への切替や、高所に設置された淡水貯留池から冷却水を確保したりする。
なお、これらの機能61〜64は、監視制御装置13または非常用機能制御部15がプラント外に設けられる可搬式の監視制御設備に切替えられた場合、この設備からも監視・制御可能とする。
次に、プラント監視制御システム1の動作について説明する。まず、プラント運転中においてプラント監視制御システム1により実施される津波判定処理を説明する。この津波判定処理は、地震監視部12による地震の検知に基づく処理とは独立して実行される。すなわち、この津波判定処理は、例えば地震監視部12により地震が検知されたことによりスクラムが実施された場合であっても実施される。既にスクラムが実施されている場合は、スクラム以外の非常用機能が実施対象となる。
図2は、プラント監視制御システム1により実行される津波判定処理を説明するフローチャートである。
ステップS1において、津波判定部31は、津波監視部11より津波情報および海面変動の監視結果をオンライン、リアルタイムに取得する。ステップS2において、津波判定部31は、到来する津波が、注意報が発報される第1の基準値以上であるか否かの判定を行う。津波が第1の基準値より小さい、すなわち注意報相当より小さい津波が到来すると判定された場合(ステップS2のNO)、処理は津波情報等取得ステップS1に戻り、津波判定部31は津波情報などの監視結果を取得する。
一方、注意報相当以上の津波が到来すると判定された場合(ステップS2のYES)、ステップS3において、津波判定部31は到来する津波が、警報が発報される第2の基準値以上であるか否かの判定を行う。津波が第2の基準値より小さい、すなわち注意報相当の津波が到来すると判定された場合(ステップS3のNO)、ステップS4において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、注意報を発報する。アラーム部41は、監視盤・操作盤14において所要の情報を通知すると同時に、ホーンやフラッシュライトを用いてプラント内に通知する。
ステップS5において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された注意報発報時における非常用機能17の制御手順を参照して、停止準備等処理を実施する。停止準備等処理の一例は、図3を参照して後述する。
一方、津波が第2の基準値以上、すなわち警報相当の津波が到来すると判定された場合(ステップS3のYES)、ステップS6において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、警報を発報する。アラーム部41は、監視盤・操作盤14において所要の情報を通知すると同時に、ホーンやフラッシュライトを用いてプラント内に通知する。
ステップS7において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された警報発報時における非常用機能17の制御手順を参照して、プラント停止等処理を実施する。プラント停止等処理の一例は、図4を参照して後述する。
次に、注意報が発報された場合に実行されるプラント停止準備等処理の一例を説明する。
図3は、プラント監視制御システム1により実行されるプラント停止準備等処理を説明するフローチャートである。
ステップS11において、非常用機能制御部15は、非常用機能17のプラント運転停止操作の準備を実施する。プラント運転停止操作の準備は、当直長の判断により直ちに手動停止を可能とする操作のための作業である。
ステップS12において、非常用機能制御部15は、電源系切替機能63を制御し、津波の規模や到達すると予測される方向に応じて、プラントへの給電を津波による影響を受けない非常用電源系へ切り替えるための準備を実施する。
ステップS13において、非常用機能制御部15は、冷却系切替機能64を制御し、津波の規模や到達すると予測される方向に応じて、原子炉などの冷却系を津波による影響を受けない冷却系へ切り替えるための準備を実施する。なお、注意報が、海面変動がマイナス値となったことに伴い発報された場合は、引き波による津波の影響として、冷却系ポンプが空転するリスクが発生する。この場合、非常用機能制御部15は、引き波による影響を考慮して、津波による影響を受けない冷却系へ切り替えるための準備を電源系切替機能63よりも優先させて実施する。
次に、警報が発報された場合に実行されるプラント停止等処理の一例を説明する。プラント停止等処理は、「プラントの運転停止」、「炉心等の冷却」、「放射性物質の閉じ込め」、「プラントの冷温停止」を実施するための処理である。
図4は、プラント監視制御システム1により実行されるプラント停止等処理を説明するフローチャートである。
ステップS21において、非常用機能制御部15は、非常用機能17のスクラム機能61を制御し、プラントの運転停止(スクラム)を実施する。ステップS22において、非常用機能制御部15は、電源系切替機能63を制御し、津波の規模や到達すると予測される方向に応じて、プラントへの給電を津波による影響を受けない非常用電源系へ切り替える。
ステップS23において、非常用機能制御部15は、冷却系切替機能64を制御し、津波の規模や到達すると予測される方向に応じて、原子炉などの冷却系を津波による影響を受けない冷却系へ切り替える。ステップS24において、非常用機能制御部15は、建屋隔離機能62を制御し、原子炉建屋およびタービン建屋を含む建屋の出入口をロックする。ステップS25において、非常用機能制御部15は、建屋隔離機能62を制御し、原子炉建屋などに海水が侵入した場合に備え、排水の準備を行う。
ステップS26において、非常用機能制御部15は、監視制御装置13の制御切替部32に対して監視・制御機能を可搬式の監視・制御設備へ切り替えるための準備を行わせる。
次に、プラント監視制御システム1において注意報発報中に実施される注意報発報中処理について説明する。この注意報発報中処理は、注意報発報中における津波情報や海面監視の結果を踏まえてアラームの種類の変更や解除を行うための処理である。
図5は、プラント監視制御システム1により実行される注意報発報中処理を説明するフローチャートである。
ステップS31において、津波判定部31は、津波監視部11より津波情報および海面変動の監視結果を取得する。ステップS32において、津波判定部31は、到来する津波が警報が発報される第2の基準値より小さい、すなわち警報相当の津波より小さい津波が到来するか否かの判定を行う。
津波が第2の基準値より小さい、すなわち警報相当より小さい津波が到来すると判定された場合(ステップS32のYES)、ステップS33において、津波判定部31は到来する津波が注意報が発報される第1の基準値より小さい、すなわち注意報相当の津波より小さい津波が到来するか否かの判定を行う。津波が第1の基準値以上、すなわち注意報相当の津波が到来する可能性が継続していると判定された場合(ステップS33のNO)、処理は津波情報等取得ステップS31に戻り、津波判定部31は津波情報等の監視結果を取得する。
一方、津波が第1の基準値より小さい、すなわち注意報相当以上の津波の到来は予測されないと判定された場合(ステップS33のYES)、ステップS34において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、注意報を解除する。ステップS35において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された注意報解除時における非常用機能17の制御手順を参照して、プラント停止準備等解除処理を実施する。プラント停止準備等解除処理の一例は、図3のプラント停止準備等処理の処理が逆順に行われるものであるため、フローチャートを用いた説明を省略する。
一方、ステップS32において、津波が第2の基準値以上、すなわち警報相当の津波が到来すると判定された場合(ステップS32のNO)、ステップS36において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、警報を発報する。すなわち、アラームのレベルが引き上げられる。アラーム部41は、監視盤・操作盤14において所要の情報を通知すると同時に、ホーンやフラッシュライトを用いてプラント内に通知する。ステップS37において、非常用機能制御部15は、現在実施中のプラント停止準備等処理からプラント停止等処理(図4)に移行する。
次に、プラント監視制御システム1において警報発報中に実施される警報発報中処理について説明する。
図6は、プラント監視制御システム1により実行される警報発報中処理を説明するフローチャートである。
ステップS41において、津波判定部31は、津波監視部11より津波情報および海面変動の監視結果を取得する。ステップS42において、津波判定部31は、到来する津波が警報が発報される第2の基準値より小さい、すなわち警報相当の津波より小さい津波が到来するか否かの判定を行う。
津波が第2の基準値以上、すなわち警報相当の津波が到来すると判定された場合(ステップS42のNO)、処理は津波情報等取得ステップS41に戻り、津波判定部31は警報発報を維持し、引き続き津波情報等の監視結果を取得する。
一方、到来する津波が警報が発報される第2の基準値より小さい、すなわち警報より小さい津波が到来すると判定された場合(ステップS42のYES)、ステップS43において、津波判定部31は、到来する津波が注意報が発報される第1の基準値より小さい、すなわち注意報相当の津波より小さい津波が到来するか否かの判定を行う。
津波が第1の基準値より小さい、すなわち注意報相当以上の津波の到来は予測されないと判定された場合(ステップS43のYES)、ステップS44において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、警報を解除する。ステップS45において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された警報解除時における非常用機能17の制御手順を参照して、プラント停止等復旧処理を実施する。プラント停止等復旧処理の一例は、図4のプラント停止等処理の処理が逆順に行われるものであるため、フローチャートを用いた説明を省略する。
一方、ステップS43において、津波が第1の基準値以上、すなわち注意報相当の津波が到来すると判定された場合(ステップS43のNO)、ステップS46において、監視盤・操作盤14のアラーム部41は、警報を解除し、注意報を発報する。すなわち、アラームのレベルが引き下げられる。
ステップS47において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された警報復旧時における非常用機能17の制御手順を参照して、プラント停止等復旧処理を実施する。また、ステップS48において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された注意報発報時における非常用機能17の制御手順を参照して、プラント停止準備等処理(図3)を実施する。
このプラント監視制御システム1は、従来から原子力発電プラントなどに設けられていた地震監視システムに加え、津波を監視するシステムを備える。このプラント監視制御システム1は、津波を監視し、津波が到達すると判定した場合には、津波の規模や到達時間に応じてプラントの非常用機能17を制御することにより、地震では非常用機能17が作用しない場合であっても、津波に対する安全性を確保することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、津波の到達時間は地震とは異なり、警報発報から到達までの時間をある程度確保することができる。このため、プラント監視制御システム1は、自動的なスクラム実施に代えて、監視盤・操作盤14において手動によるプラント停止の指示を受付けた場合にプラントを停止させてもよい。また、建屋隔離機能62による各建屋の出入口のロックについては、建屋から人員が退避したことを確認するのが好ましいため、非常用機能制御部15は、人間系により退避が確認できた場合に手動でロックを実施してもよい。
また、本実施形態におけるプラント監視制御システム1は、図5および図6の各種アラーム発報中処理によりプラント停止準備等およびプラント停止等から復旧する例を説明したが、解除・復旧は、所定時間経過後、安全が確認できた場合に、監視盤・操作盤14の手動指示受付部42から手動で行うようにしてもよい。
ここで、本実施形態におけるプラント監視制御システム1を、津波に起因する異常時のみならず、プラント通常運転時に実施される点検・保守に利用してもよい。具体的には、プラント監視制御システム1は、プラント通常運転時に、手動指示受付部42にて津波などに影響を受けない非常用の電源系・冷却系への切替指示を受け付けることを可能とする。
プラント監視制御システム1は、切替指示の受付により、非常用機能制御部15により電源系切替機能63および冷却系切替機能64を制御し、常用の電源系および冷却系から非常用の電源系および冷却系に切替える。この場合、制御手順DB16に切替手順を格納し、この切替手順により切替制御を実施しても良い。
これにより、プラント通常運転時において、常用の電源系・冷却系を停止することが可能となり、常用の電源系・冷却系をプラント通常運転時に点検・保守することができる。
例えば、原子力発電プラントは、定期的にプラントを停止して設備機器の点検、保守を実施している。これは定期検査と呼ばれ、実施する保守の内容によって数ヶ月〜年単位実施され、この間プラントは停止し、発電できない。定期検査の期間は、プラントの稼働率は低下するため、定期検査期間をいかに短縮させるかが課題となっている。
そこで、本実施形態におけるプラント監視制御システム1により、プラント運転中に上述した切替指示を受けることにより、常用の電源系・冷却系の各種設備機器の点検、保守(運転中保全(Online Maintenance))をプラントを停止させることなく実施することが可能となる。
この結果、プラント監視制御システム1は、定期検査時の保守作業を大幅に低減することができ、定期検査期間の短縮によるプラント稼働率の向上に大きく貢献できる。
プラント監視制御システム1は、プラント通常運転時に実施される点検・保守以外にも、警報発報時に電源系切替機能63および冷却系切替機能64による切替の対象となる、津波などに影響を受けない非常用の電源系・冷却系の健全性を確認するために利用される。
プラント監視制御システム1が非常用の電源系・冷却系の健全性の確認に利用される場合、制御手順DB16はさらに健全性確認手順を格納する。この健全性確認手順は、手動指示受付部42による手動での指示を受け付けることにより実施される。以下、フローチャートを用いて健全性確認処理の詳細を説明する。
図7は、プラント監視制御システム1により実行される健全性確認処理を説明するフローチャートである。
ステップS51において、プラントの通常運転において、手動指示受付部42は健全性確認処理を実行するための指示を受け付ける。ステップS52において、非常用機能制御部15は、制御手順DB16に格納された健全性確認手順に従って、電源系切替機能63および冷却系切替機能64を制御し、常用の電源系および冷却系から非常用の電源系および冷却系に切替える。
ステップS53において、非常用の電源系および冷却系により運転が開始される。ステップS54において、所定の手順に従い、非常用の電源系および冷却系の健全性が確認される。ステップS55において、非常用機能制御部15は、健全性の確認が終了したか否かの判定を行う。非常用機能制御部15は、例えば手動指示受付部42を介して受け付ける健全性の確認を終了した旨の指示の有無に基づいて判定を行う。
非常用機能制御部15は、健全性の確認が終了していないと判定した場合(ステップS55のNO)、健全性確認ステップS54に戻り健全性の確認を継続する。一方、非常用機能制御部15は、健全性の確認が終了したと判定した場合(ステップS55のYES)、ステップS56において、制御手順DB16に蓄積された健全性確認手順に従って、電源系切替機能63および冷却系切替機能64を制御し、非常用の電源系および冷却系から常用の電源系および冷却系に切替える。
この健全性確認処理は、警報発報時に切り替えられる非常用電源系および冷却系の保守・点検を通常時に行うことにより、警報発報時の信頼性を向上させることができる。
1 プラント監視制御システム
11 津波監視部
12 地震監視部
13 監視制御装置
14 監視盤・操作盤
15 非常用機能制御部
16 制御手順DB(データベース)
17 非常用機能
21 津波情報監視部
22 海面監視部
31 津波判定部
32 制御切替部
41 アラーム部
42 手動指示受付部
61 スクラム機能
62 建屋隔離機能
63 電源系切替機能
64 冷却系切替機能

Claims (8)

  1. 津波を監視する津波監視部と、
    前記津波監視部より得られる監視結果に基づいて、原子力発電プラントが設けられる沿岸において、予め設けられた複数の基準値に相当する津波が発生するか否かを判定する津波判定部と、
    前記津波が発生した場合に前記原子力発電プラントにおいて機能する非常用機能と、
    前記津波判定部によりいずれかの基準値に相当する津波が発生すると判定された場合、前記津波の各前記基準値に応じて設けられたアラームを発報するアラーム部と、
    前記アラームの種類に応じて前記非常用機能を制御する非常用機能制御部とを備えたことを特徴とするプラント監視制御システム。
  2. 各前記アラームが発報された場合に前記非常用機能制御部が実施する前記非常用機能の制御手順を格納する制御手順記憶部をさらに備え、
    前記非常用機能制御部は、前記制御手順記憶部に格納された手順に従い、前記非常用機能を制御する請求項1記載のプラント監視制御システム。
  3. 前記津波判定部は、前記アラーム発報中においても前記津波監視部より監視結果を取得して前記津波の発生を判定し、
    前記アラーム部は、前記津波監視部より得られる監視結果に変化があった場合、前記アラームの変更または解除を行う請求項1または2記載のプラント監視制御システム。
  4. 前記非常用機能は、前記原子力発電プラントの運転を緊急停止させるスクラム機能、前記原子力発電プラントの建屋の出入口をロックする建屋隔離機能、電源系を切り替える電源系切替機能、および冷却系を切り替える冷却系切替機能のうち、少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれか一項記載のプラント監視制御システム。
  5. 前記アラームは、第1のアラームおよび前記第1のアラームよりリスクレベルの高い第2の警報を含み、
    前記非常用機能制御部は、前記第1のアラームが発報された場合、前記非常用機能を機能させるための準備を行い、前記第2のアラームが発報された場合、前記非常用機能を機能させる請求項1〜4のいずれか一項記載のプラント監視制御システム。
  6. 前記津波監視部は、前記プラント監視システム外部からの津波情報、および前記前記原子力発電プラントの沖合の海面変動を撮影することにより得られる画像情報の少なくとも一方を監視結果として取得する請求項1〜5のいずれか一項記載のプラント監視制御システム。
  7. 前記原子力発電プラントの通常運転時に、前記非常用機能の健全性を確認するための指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、
    前記制御手順記憶部は、前記非常用機能の健全性を確認するための手順をさらに格納し、
    前記非常用機能制御部は、前記指示受付部が前記指示を受付けた場合、前記制御手順記憶部に格納された手順に従い前記非常用機能を制御する請求項1〜6のいずれか一項記載のプラント監視制御システム。
  8. 前記非常用機能は、電源系を切り替える電源系切替機能、および冷却系を切り替える冷却系切替機能を少なくとも備え、
    前記原子力発電プラントの通常運転時に、切替指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、
    前記非常用機能制御部は、前記指示受付部が前記切替指示を受け付けた場合、前記電源系切替機能および前記冷却系切替機能のうち少なくとも1つの機能を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のプラント監視制御システム。
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