JP2012229998A - 海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置及び除染方法 - Google Patents

海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置及び除染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一般的なイオン交換樹脂を用いることをしないで、放射性汚染水が海水などの塩類を混入している場合にあっても放射性物質を機能的、効果的に除染して浄化し、低レベルの放射性汚染水をすることのできるようにする。
【解決手段】浄化塔に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持させた活性炭で形成したオキシン担持活性炭層と、リンモリブデン酸アンモニウムを担持させた活性炭で形成したAMP担持活性炭層と、Brを担持させた活性炭で形成したAMP担持活性炭層と、Brを担持させた活性炭で形成したBr担持活性炭層との3種類の組み合わせで構成した活性炭除染剤層を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置及び除染方法に関する。
非特許文献1には、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持した活性炭を用いて放射性汚染水中の放射性のCP、FP、TRUを除去する方法が記載されている。
特許文献1には、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を担持した多孔性無機物担体、例えばアルミナやシリカを用いて放射性汚染水中の放射性のCsを除去する方法が記載されている。
特許文献2には、Brを担持した活性炭を用いてヨウ素(Iodine)を除去する方法が記載されている。
特許文献3には、水に不溶とした放射性物質を活性炭、ゼオライト、濾過砂、炭素繊維系材料、セルロース系材料あるいはガラス繊維系材料にトラップすることが記載されている。
特開2000−84418号公報 特開2000−239190号公報 特開2002−267795号公報
K. Motojima, et al., Annuals of Nuclear Energy, Vol. 5, pp.5-12 (1978)
海水などの塩類が混入している放射性汚染水は、一般的なイオン交換樹脂による浄化は困難であると予想される。従って、イオン交換樹脂に代替えする除染剤が求められることになる。
本発明は、一般的なイオン交換樹脂を用いることをしないで、流出している放射性汚染水が海水を混入している場合にあっても機能的、効果的に放射性物質を除染して浄化し、低レベルの放射性汚染水とすることのできる除染装置及び除染方法を提供することを目的とする。
本発明は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させる1次浄化処理系、さらに1次浄化処理系で処理した放射性汚染水についてオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持した粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液する2次浄化処理系からなることを特徴とする、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去装置を提供する。
本発明は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水を導入する導入口及び浄化された水を導出する導出口を備えた放射性汚染水浄化塔に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持した活性炭で形成したオキシン担持活性炭層と、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を担持した活性炭で形成したAMP担持活性炭層と、Brを担持した活性炭で形成したBr担持活性炭層との3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層を設けたことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置を提供する。
本発明は、また、前記3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層の上流側あるいは/及び下流側に活性炭層を設けて活性炭除染剤層を構成したことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置を提供する。
本発明は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水を導入する導入口及び浄化された水を導出する導出口を備えた放射性汚染水浄化塔に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持したオキシン担持活性炭と、リンモリブデン酸アンモニウムを担持したAMP担持活性炭と、Brを添着し、担持させたBr担持活性炭との3種類の機能性活性炭を組み合わせ、混合することで構成した活性炭除染混床層を設けたことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置を提供する。
本発明は、また、上述した放射性物質の除染装置が用いられて、海水などの塩類が混入した放射性汚染水から、オキシン担持活性炭で、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)を除去し、AMP担持活性炭で、放射性のCsを除去し、Br担持活性炭で、放射性のヨウ素を除去することを特徴とする海水が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染方法を提供する。
本発明は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ添着し、担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸(RHOD)の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させて1次浄化処理し、さらに1次浄化処理した放射性汚染水についてオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持した粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液する2次浄化処理することからなることを特徴とする、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去方法を提供する。
本発明は、上述したように、一般的なイオン交換樹脂を用いることなく、3種類の機能性活性炭を組み合わせることで構成した活性炭除染剤を使い、オキシン担持活性炭で、海水などの塩類が混入した放射性汚染水から、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)を除去し、AMP担持活性炭で、放射性のCsを除去し、Br担持活性炭で、放射性のヨウ素(Iodine)を除去することができるので、海水などの塩類が混入した高レベル放射性汚染水を機能的に、効果的に低レベル放射性汚染水とすることができる。
本発明の実施例の構成を示す図。 本発明の実施例である放射性物質の除染装置の構成を示す図。 オキシン炭の基本反応式を示す図。 AMPの基本構造式を示す図。 Brを担持した活性炭のヨウ素除去原理を示す図。 Brを担持した活性炭の廃液処理効率を示す図。 活性炭除染剤の性能確認に用いられた装置の構成を示す図。 活性炭除染剤層による除染の効果を示す図。 海水成分が共存しても放射性核種の除去可能を示す図。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例である海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去装置(以下、放射性物質の除去装置という。)の構成を示す図である。
図1において、放射性物質の除去装置100は、RO膜(逆浸透膜)を備えたRO脱塩システム11で構成される前処理系1、凝集沈殿分離槽12を有して凝集沈殿分離を行うことで構成される1次処理系(1次処理浄化系)2及び放射性汚水浄化塔13で構成される2次処理系(2次処理浄化系)3を備えて構成される。2次処理系3の下流側に低レベル汚染水を貯蔵する貯槽5が接続される。
前処理系1は、1st−stepとして構成され、放射性汚染水の真水である脱塩水9と放射性物質を含む放射性汚染水20との分離(真水化を放射性物質の分離)を行う。
1次処理系2と2次処理系3は、2nd−stepとして構成され、分離放射性汚染水の低レベル化を行う。
RO脱塩システム11は、RO膜を備えて構成される。図1には、多段化されたRO脱塩システムが図示されており、初段のRO脱塩塔11Aの下部には、放射性汚染水が導入され、上部からは分離放射性汚染水が導出される。
海水などの塩類が混入(ここでは、海水成分混入して記す。)した放射性汚染水4は、濾過装置6に導入され、放射性汚染水7と高レベルの放射性物質である濾過分離物質8とに分離される。
初段のRO脱塩塔11Aで分離された脱塩水は上部側から次段のRO脱塩塔11Bに導入され、更に脱塩処理される。脱塩処理された脱塩水は、真水である脱塩水9とされて導出され、放射性物質が残留する放射性汚染水は再度初段のRO脱塩塔11Aに導入される。
このようにして、海水が混入した放射性汚染水はRO膜でその一部が真水化され、他の部分が分離放射性汚染水20とされる。分離放射性汚染水20は、分離した放射性物質と海水成分を含む放射性汚染水である。この放射性汚染水は、1次処理系2及び2次処理系3で処理され浄化される。1次処理系2で凝集沈殿処理を行い、2次処理系3でイオン吸着処理を行う。
1次処理系2を構成する凝集沈殿分離槽12は、撹拌機21を備え、導入された分離放射性汚染水20を撹拌することができる。
凝集沈殿分離槽12には、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を添着し、担持させた細粒の活性炭であるオキシン担持活性炭(KMAC)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を添着し、担持させた細粒の活性炭であるAMP担持活性炭(AMP/AC)、Brを添着し、担持させた細粒の活性炭であるBr担持活性炭(KBAC)及び吸着剤としてのロジゾン酸(RHOD)の粉末あるいは溶液を順次投入処理する。この順次投入の後に、凝集沈殿剤を投入する。
このように、上述したKMAC、AMP/AC、KBAC及びRHODを順次投入処理すると共に、凝集剤を投入して、撹拌機21で撹拌する撹拌処理を行う。これらの処理によって放射性物質の凝集沈殿分離処理を行う。
以上のように、海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ添着し、担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させる1次浄化処理を行う系統が形成される。
また、海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ添着し、担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸(RHOD)の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させて1次浄化処理し、さらに1次浄化処理した放射性汚染水についてオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持した粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液する2次浄化処理することからなる海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去方法が形成される。
凝集沈殿分離槽12の下流側には2つの濾布あるいは遠心分離機22、23が設けられる。
凝集沈殿分離槽12の下部からは、凝集沈殿物が導出され、濾布あるいは遠心分離機22に導入されて、一方の高レベルAC24として取り出されると共に、分離された液は凝集沈殿分離槽12に戻される。
凝集沈殿分離槽12の上澄み液は中レベルの汚染水26であり、この上澄み液は上部側から他の濾布あるいは遠心分離機23に導入される。濾布あるいは遠心分離機23に導入された中レベル汚染水26からは、他の高レベルAC24が分離され、他の高レベルAC24が分離された放射性汚染水27は2次処理系3へと送られる。
上述したKMAC、AMP/AC、KBACの各機能炭及び活性炭(AC)の機能については、2次処理系3の説明の際に行う。
このように、1次処理系2で放射性Sr.Baを含む放射性物質の全般の1次除染がなされ、2次処理系3で残留する放射性物質の除去を行う。
2次処理系3は、放射性汚染水浄化塔13によって構成される。
本例の場合、放射性汚染水浄化塔13は並列した4つの放射性汚染水浄化塔13A−13Dから構成されている。各放射性汚染浄化塔13A−13Dは同一構成とされ、放射性汚染水27が上方から導入される。
本実施例は、以上述べた浄化系である放射性物質の除去装置100は、図9に図示した各種の元素に適用されて、各種の放射性物質を除去することができる。
図2に、1つの放射性汚染浄化塔13を示す。この放射性汚染浄化塔13は、機能性活性炭充填放射性汚染水浄化塔として構成され、放射性物質が吸着し蓄積するためその周囲は放射線の外部漏出を防止するため遮蔽される。
放射性汚染水27に混入が予想される放射性物質には、I−131、Cs−134、Cs−137、CP、FP、TRUがある。予め、放射性Sr、Baなどは1次処理系で用いたロジゾン酸(RHOD)によって分離してある。
このように、図2は、放射性汚染水浄化塔13を備えた本発明の実施例である海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置(以下、除染装置という。)を示す。
放射性物質の除染装置200は、上述したように、本体となる放射性汚染水浄化塔13(以下、浄化塔という。)を備える。
浄化塔13は、筒状に形成され、上部に導入口32、そして下部に導出口33を備える。導入口32には、海水などの塩類が混入した高レベル放射性汚染水27が導入され、導出口33からは、浄化された水が低レベル放射性汚染水45として導出される。
浄化塔13の内部には、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を添着し、担持させた活性炭で形成したオキシン担持活性炭層41、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を添着し、担持させた活性炭で形成したAMP担持活性炭層42及びBrを添着し、担持させた活性炭で形成したBr担持活性炭層43との3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層40が設けてある。組み合わせ方は任意のものが採用可能である。
オキシン担持活性炭層41は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水27から、放射性のCP、FP、TRUを機能的に、効果的に除去する。そのため、ここではこの層を1ST機能炭〔KMAC〕と呼ぶ。
AMPを添付して担持したAMP担持活性炭層42は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水であって、1ST機能炭を通過した放射性汚染水から放射性のCsを除去する。そのため、ここではこの層を2nd機能炭〔AMP/AC〕と呼ぶ。
Br担持活性炭層43は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水であって、1ST及び2nd機能炭を通過した放射性汚染水から放射性のヨウ素(Iodine)を除去する。そのため、ここではこの層を3rd機能炭〔KBAC〕と呼ぶ。
特許文献及び非特許文献に記載してあるように、個々の放射性物質をそれぞれ除染剤で除染することは公知であるが、3種類の機能炭を組み合わせて活性炭除染剤層40とすることで、はじめて海水などの塩類が混入した放射性汚染水の除染用装置として実用的となる。今までに海水などの塩類が混入した放射性汚染水から放射性物質を除染することについての報告はなされていない。
これらの機能炭単独あるいは2種の組み合わせのみでは海水などの塩類が混入した放射性汚染水の除染用装置として有効ではない。上述した3種類の機能炭を組み合わせて活性炭除染剤層を構成することが重要であり、この組み合わせは海水などの塩類が混入した放射性汚染水の処理方法として注目されなければならない。
3種類の組み合わせになるこの活性炭除染剤層40を用いることで一次処理された高レベル放射性汚染水27の放射能を1/100〜1/1000程度に低減することが可能になり、除染剤層40の量や厚み、ならびに処理流量を制御することで、除染効率をさらに向上できる。
浄化塔13の内部には、3rd機能炭の下流側に活性炭層44を設けて、各機能炭をバックアップするようにしている。ここでは、4th活性炭〔AC〕と呼ぶ。このバックアップ層を設けることで4層の活性炭除染層が構成されることになる。このバックアップ用に設けた活性炭層によって海水などの塩類が混入した他の放射性物質、例えば放射性テクネチウム(Tc99)などを吸着、除去することが可能になる。活性炭層44は、1st機能炭41の上流側に設けてもよい。
放射性物質の除染装置200の仕様例を示せば次のようになる。
〔仕様例〕
Figure 2012229998
・浄化能力は機能活性炭の使い方や浄化塔サイズあるいは通液条件で変わる。
・浄化剤カートリッジ内蔵遠隔システムにより、汚染水貯蓄槽の中でも効率的除染が可能となる。
以下、各機能炭について説明する。
図3は、オキシン炭の公知の基本反応式を示す。
本実施例は、オキシン炭〔KMAC〕を、海水などの塩類が混入した放射性汚染水中のCP、FP、TRUを効果的に除染するのに用いることにした。
図4は、AMPの公知の基本構造式を示す。
AMPは、Csに対する高い選択的吸着性を有し、そのアルミナ・シリカ担持体はCs分配比が2000〜6000と高い。本実施例は、AMPを添着し、坦持させた活性炭を、海水などの塩類が混入した放射性汚染水中のCsを効果的に除去するのに用いることにした。
図5、図6は、Br担持活性炭〔KBAC〕の公知の機能を示す。
図5において、放射性ヨウ素の酸化除去反応は次のように示される。
〔放射性ヨウ素(I)酸化除去反応〕
+Br−AC → IBr−AC+Br
CHI+Br−AC → IBr−AC+CH−Br
図6はBrを担持したBr担持活性炭の廃液処理効率を示す。
本実施例で、Brを担持したBr担持活性炭〔KBAC〕は、海水などの塩類が混入した放射性汚染水中のヨウ素を効果的に除去するのに用いることとした。
本実施例の3種類の機能炭を組み合わせて構成された活性炭除染剤層40(除染剤)の性能確認について説明する。
図7は、活性炭除染剤の性能確認のために用いられた装置の概要を示す。
浄化塔13には、図2に示すと同様にして、上流側の上方から活性炭層〔AC〕、オキシン担持活性炭層〔KMAC〕、AMP担持活性炭層〔AMP/AC〕及びBr担持活性炭層〔KBAC〕が形成されて活性炭除染剤層が構成され、更に活性炭層〔AC〕が付加され、4層からなる除染剤が構成された。
サンプル
原子力発電所事故の現場に近い地区から採取した運搬設備等の洗浄水(洗剤混入)を用いた。
〔含有放射能:採取日時換算〕多数サンプル採取
l−131:min.5,800〜max.22,000Bq/L
総Cs(Cs−134,136,137):min.280〜max.750Bq/L
除染試験
1)試験サンプル
試験用に上記サンプル複数を混合し、海水10%混入試料も作製
i)試料500ml
ii)試料450ml+実海水50ml(海水10%混合)
2)カラム試験(図7に示す通り)
カラムサイズ:内径20mmΦ、300mm(長)
充填除染剤:上から〔KMAC+AMP/AC+KBAC+AC〕の順に充填
充填高さ21cm、充填容積66cc
全SV:5h−1
〔試験結果〕
Figure 2012229998

図8は、活性炭除染剤としての活性炭除染剤層による除染の効果を示す。そして、図8は、廃水サンプル(+海水10%混入)についての計測された除染処理前後のγ線スペクトルを示す。
上述した機能的活性炭の組み合わせによって構成した活性炭除染剤によれば、除染カラム通液前後で図8に示すようなγ線スペクトルが得られ、除染が機能的に効果的になされることが判る。除染効果は次のようである。
・放射性ヨウ素99%以上除去
・放射性セシウム97〜99%除去
・オキシン担持活性炭の使用によってCP、FP、TRUを機能的、効果的に除去
上述した例にあっては、図2に示すように、浄化塔13の内部に、オキシン担持活性炭層41、AMP担持炭層42、Br担持活性炭層43の順に配列配設しているが、この配列配設はこの順でなくて任意の配列配設としても同様の結果が期待できる。また、浄化塔1は、各機能炭を収納した独立の3つの浄化塔部を接続することで構成されてもよい。
また、この例にあっては、3種類の機能炭を層として形成し、これらを組み合わせることで活性炭除染剤層としているが、3種類の機能炭を混合することで混床を形成し、もって活性炭除染剤層を形成して用いることによっても同様の効果が期待できる。
そして、この構成によれば、海水などの塩類が混入した放射性汚染水を導入する導入口32及び浄化された水を導出する導出口33を備えた放射性汚染水浄化塔13に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持した活性炭と、リンモリブデン酸アンモニウムを担持した活性炭と、Brを担持した活性炭との3種類の機能性活性炭を組み合わせ、混合することで構成した活性炭除染層40としての活性炭除染混床層を設けた海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置200が構成される。
本実施例は、放射性汚染水に混入する放射能物質の種類や放射能量に応じて、上述の凝集沈殿法である1次処理を行うこと無く、2次系処理であるオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ添着し、担持させた粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液することで、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質を効果的に除去する放射性物質除去装置を提供することができる。
本実施例は、また、上述した3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層の上流側あるいは/ならびに下流側に各種の活性炭層を設けて活性炭除染剤層を構成したことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置を提供する。
図1において、濾布あるいは遠心分離機22、23及び放射性浄化塔13から導出された低レベル汚染水45は低レベル汚染水として貯槽5に貯蔵される。このようにして除染された低レベル汚染水は、汚染チェックして放水48、あるいは更なる高度浄化処理47がなされる。
図9は、凝集沈殿法と機能性活性炭を適用して、分離除去が可能な元素を示す。
図9から明らかなように、本実施例は、海水成分が共存していても各種の放射性核種を除去することができる。KMAC、AMP/AC、KBAC、RHOD及びTR/ACの適用元素については図9が参照されるものとする。
1…前処理系、2…1次処理系(1次浄化処理)、3…2次処理系(2次浄化処理系)、4…放射性汚染水、5…貯槽、12…凝集沈殿分離槽、13…放射性汚染水浄化槽(浄化塔)、26…中レベル汚染水、27…放射性汚染水、32…導入口、33…導出口、40…活性炭除染層(除染剤)、41…オキシン担持活性炭層(1st機能炭〔KMAC〕)、42…AMP担持活性炭層(2nd機能炭〔AMP/AC〕)、43…Br担持活性炭層(3rd機能炭〔KBAC〕)、44…活性炭層(4th活性炭〔AC〕)、100…放射性物質の除去装置、200…放射性物質の除染装置。

Claims (6)

  1. 海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させる1次浄化処理系、さらに1次浄化処理系で処理した放射性汚染水についてオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持させた粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液する2次浄化処理系からなることを特徴とする、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去装置。
  2. 海水などの塩類が混入した放射性汚染水を導入する導入口及び浄化された水を導出する導出口を備えた放射性汚染水浄化塔に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持させた活性炭で形成したオキシン担持活性炭層と、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を担持させた活性炭で形成したAMP担持活性炭層と、Brを担持させた活性炭で形成したBr担持活性炭層との3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層を設けたことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置。
  3. 請求項2において、前記3種類の機能性活性炭を組み合わせて構成した活性炭除染剤層の上流側あるいは/及び下流側に活性炭層を設けて活性炭除染剤層を構成したことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置。
  4. 海水などの塩類が混入した放射性汚染水を導入する導入口及び浄化された水を導出する導出口を備えた放射性汚染水浄化塔に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)を担持したオキシン担持活性炭と、リンモリブデン酸アンモニウムを担持させたAMP担持活性炭と、Brを担持させたBr担持活性炭との3種類の機能性活性炭を組み合わせ、混合することで構成した活性炭除染混床層を設けたことを特徴とする海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染装置。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載した放射性物質の除染装置が用いられて、海水などの塩類が混入した放射性汚染水から、前記オキシン担持活性炭で、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)を除去し、AMP担持活性炭で、放射性のCsを除去し、Br担持活性炭で、放射性のヨウ素を除去することを特徴とする海水が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除染方法。
  6. 海水などの塩類が混入した放射性汚染水に、オキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持させた細粒の活性炭を投入し、放射性のCP(放射性腐食生成物)、FP(放射性核分裂生成物)、TRU(ウランを含む超ウラン元素類:U、Pu、Am、Cm)、Cs(セシウム)、Iodine(ヨウ素)を捕捉し、ロジゾン酸(RHOD)の粉末あるいは溶液を添加して放射性Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)とキレート化し、それらを沈殿剤で凝集沈殿させて1次浄化処理し、さらに1次浄化処理した放射性汚染水についてオキシン(8-Hydroxyquinoline)、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)、Brをそれぞれ担持した粗粒の活性炭を充填した浄化塔へ通液する2次浄化処理することからなることを特徴とする、海水などの塩類が混入した放射性汚染水からの放射性物質の除去方法。
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