JP2012229951A - インパルス電圧試験装置及びその試験方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試験対象の微小異常をも適切に検出できるインパルス電圧試験装置提供する。
【解決手段】試験対象13である巻線機器と並列に異常検出用コンデンサ31が設けられ、該コンデンサ31の接地側の電流が電流測定センサ32にて測定される。測定されたインパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて試験対象13のインパルス電圧(サージ電圧)に対する耐性の良否判定が行われる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インパルス電圧印加による試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験装置及びその試験方法に関するものである。
電力伝送系路上に備えられる電力機器は、落雷による雷サージ電圧や、開閉器作動時に生じる開閉サージ電圧に対する耐性を備えていなければならない。そのため、従来より、雷サージ電圧や開閉サージ電圧に相当する人工のインパルス電圧を発生させて試験対象の電力機器に印加し、その試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験装置が知られている。
例えば特許文献1に開示のインパルス電圧試験装置は、変圧器を試験対象とし雷インパルス電圧印加による耐性試験を行うものである。低インピーダンスの変圧器を試験対象とする場合では波頭長及び波尾長の短いインパルス電圧波形となるのを防止するために、同文献1の試験装置ではインパルス電圧発生回路と試験対象との間にリアクトル及び抵抗の並列回路が挿入され、インパルス電圧波形を伸長させるように構成されている。
特開2009−168733号公報
ところで、上記の試験装置においては、試験対象の接地側にてインパルス電圧印加に伴う電流変化(電流波形)を測定して試験対象の異常検出が行われている。そのため、変圧器等の巻線機器内部で生じている微小な異常、例えば数百〜数千ターンの巻線のうちの数ターン分の巻線間短絡異常(部分放電)を検出しようとしても、巻線機器に流れる主電流が大きいため、主電流に重畳する微小異常の極めて小さな電流変化を検出するのは非常に困難であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、試験対象の微小異常をも適切に検出することができるインパルス電圧試験装置及びその試験方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インパルス電圧印加による試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験装置であって、前記試験対象と並列に異常検出用コンデンサを設けるとともに、該コンデンサの接地側の電流を測定する電流測定センサを設け、前記電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うことをその要旨とする。
この発明では、試験対象と並列に異常検出用コンデンサが設けられ、該コンデンサの接地側の電流が電流測定センサにて測定される。そして、測定されたインパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて試験対象のインパルス電圧(サージ電圧)に対する耐性の良否判定が行われる。これにより、試験対象で生じた部分放電に伴い異常検出用コンデンサにて電流変化が生じるため、試験対象に流れる主電流変化とは異なる電流変化による異常検出が可能となる。つまり、試験対象に流れる主電流に重畳した電流変化による異常検出ではなくなるため、微小異常による小さな電流変化も適切に検出できるようになる。尚、異常検出用コンデンサは、小容量とすることで、試験対象と並列接続することによるインパルス電圧波形への影響も小さく抑えられる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインパルス電圧試験装置において、前記試験対象は、巻線機器であり、巻線本体とそれに付随する付随部品とが分離可能な構造をなすものであり、前記異常検出用コンデンサの接地側の電流を測定する前記電流測定センサは第1の電流測定センサとして前記巻線本体の異常検出を行うとともに、前記付随部品の接地側の電流を測定する第2の電流測定センサを設け、前記第1及び第2の電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うことをその要旨とする。
この発明では、試験対象の巻線機器が巻線本体と付随部品とに分離可能な構造をなすものにおいては、巻線本体とは別に付随部品が接地され、第1の電流測定センサによる異常検出用コンデンサの接地側の電流測定にて、その巻線本体側の異常検出が行われる。一方、第2の電流測定センサによる付随部品の接地側の電流測定にて、その付随部品側の異常検出が行われる。これにより、各電流測定センサにて巻線本体と付随部品とに生じた異常が個別に検出でき、しかも各電流測定センサの配置から各異常に伴う電流変化は逆になるため、いずれの箇所に生じた異常かが容易に判別可能である。
請求項3に記載の発明は、インパルス電圧印加による試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験方法であって、前記試験対象と並列に設けた異常検出用コンデンサの接地側の電流を電流測定センサにて測定し、その前記電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うようにしたことをその要旨とする。
この発明では、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、試験対象の微小異常をも適切に検出することができるインパルス電圧試験装置及びその試験方法を提供することができる。
第1実施形態におけるインパルス電圧試験装置の回路図である。 同じくインパルス電圧試験装置の動作を説明するための波形図である。 第2実施形態におけるインパルス電圧試験装置の回路図である。 同じくインパルス電圧試験装置の動作を説明するための波形図である。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のインパルス電圧試験装置10は、インパルス電圧発生回路11と、該回路11で発生させたインパルス電圧波形を伸長させる波形伸長回路12とを備え、電路上の開閉器(図示略)の作動時における開閉サージ電圧に対する耐性を試験する装置である。
インパルス電圧発生回路11は、ダイオード21と、充電用コンデンサ22と、抵抗23,24と、放電ギャップスイッチ25とを備えている。例えば商用交流電源20からの交流電力が供給される電源線La,Lbの内の高電位側の電源線Laにはダイオード21が設けられ、該ダイオード21にて交流電力が整流されて直流電力に変換される。ダイオード21の後段の電源線La,Lb間には充電用コンデンサ22が接続され、該コンデンサ22はダイオード21を経た直流電力に基づいて充電される。充電用コンデンサ22の後段の電源線La上には、抵抗23と放電ギャップスイッチ25とが設けられ、更にその後段の電源線La,Lb間には抵抗24が接続されている。
そして、交流電源20からの電源供給に基づいて充電用コンデンサ22が充電され、その充電電圧が所定の放電開始電圧に到達すると、放電ギャップスイッチ25にて放電が生じて該スイッチ25が瞬間的に導通状態となって、後段の波形伸長回路12側に波頭長及び波尾長がともに短いインパルス電圧が出力される。
波形伸長回路12は、抵抗26,27と、リアクトル28とを備えている。抵抗26(制動用抵抗)とリアクトル28とは並列回路を構成して電源線La上に設けられ、その後段の電源線La,Lb間に抵抗27が接続されている。そして、インパルス電圧発生回路11から出力されたインパルス電圧は、リアクトル28の電気特性から波頭長及び波尾長が伸長され、出力端子Ta,Tbに接続される試験対象13、本実施形態では巻線機器(変圧器等)の低インピーダンス機器の耐性試験を行うのに好適なインパルス電圧波形に調整される。
ここで、従来より行われる一般的なインパルス電圧耐性試験では、試験対象13の巻線機器の接地側に、パルスCT等の変流器よりなる電流測定センサが設置され、該センサによる試験対象13に流れる主電流の変化を検出し、インパルス電圧に対する耐性に異常があるか否かの判定が行われていた。しかしながら、このような主電流変化による異常検出では、電流値が大きいため、試験対象13に生じた微小な異常による電流変化が本当に異常によってのものかノイズ等によるものか、重畳する主電流に対してその変化が小さすぎて異常判断が困難であるため、微小異常を見逃す虞もあった。
例えば、試験対象13の巻線機器を1000T(ターン)の巻線機器とし、その1000T中の1Tで巻線間短絡異常が生じ、全ターン数の0.1%の微小な異常(部分放電)が生じているものとする。試験対象13が巻線機器である場合、試験対象13は、リアクトル成分(L成分)、容量成分(C成分)及び抵抗成分(R成分)の並列回路と等価である。試験対象13の巻線機器に流れる主電流としては、L成分電流が主体となる。この場合、1Tの巻線間短絡異常によるL成分電流の増加分は、この0.1%となり、極めて小さい。因みに、この微小異常による電流変化を図2の矢印Xにて示すが、誇張してある。
そこで、本実施形態のインパルス電圧試験装置10では、試験対象13と並列となるように出力端子Ta,Tb間に異常検出用コンデンサ31を接続し、該コンデンサ31の接地側(電源線Lb側)にパルスCT等の変流器よりなる電流測定センサ32を設置し、該センサ32にて微小異常を含む異常判定を行うようにその手法が変更されている。
この場合、異常検出用コンデンサ31に本実施形態では小容量のものが用いられる。上記と同様の微小異常に対し、電流測定センサ32が測定したコンデンサ31の電流(C電流)の値は、配線のインピーダンスで制約されるのみであり、大きなピーク電流値が得られる。図2の矢印Yにて示すように、この微小異常による電流変化は大きくなる。しかも、試験対象13を流れる主電流とは独立したC電流として検出されるため、微小異常による電流変化が一層検出し易いようになる。結果、このような微小異常であっても、その異常の適切な検出が可能となっている。尚、図2に示すように、電流測定センサ32での測定電流は、異常検出用コンデンサ31の充電電流は正側に振れるのに対し、試験対象13の異常変化は負側に振れる。また、異常検出用コンデンサ31に小容量のものを使用していることから、インパルス電圧(電流)波形への影響は極めて小さいものとなっている。尚、試験対象13の巻線機器の主電流を測定する電流測定センサの設置を省略できるが、先の電流測定センサ32と併用してもよい。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)試験対象13である巻線機器と並列に異常検出用コンデンサ31が設けられ、該コンデンサ31の接地側の電流が電流測定センサ32にて測定される。そして、測定されたインパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて試験対象13のインパルス電圧(サージ電圧)に対する耐性の良否判定が行われる。これにより、試験対象13で生じた部分放電に伴い異常検出用コンデンサ31にて電流変化が生じるため、試験対象13に流れる主電流変化とは異なる電流変化による異常検出を行うことができる。つまり、試験対象13に流れる主電流に重畳した電流変化による異常検出ではなくなるため、微小異常による小さな電流変化も適切に検出することができる。
(2)異常検出用コンデンサ31には、微小異常(部分放電)においても好適な電流変化が生じるような小容量のものを用いているため、微小異常による電流変化が好適に生じるが、またこのように異常検出用コンデンサ31を小容量とすることで、試験対象13と並列接続することによるインパルス電圧波形への影響も小さく抑えることもできる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
図3に示すように、本実施形態のインパルス電圧試験装置10aは、前記第1実施形態の試験装置10と略同様な構成であり、試験対象13の巻線機器が巻線本体13aとその巻線本体13aに付随する鉄心部やシールド等の付随部品13bと分離可能な構造をなしている場合に適した試験装置(手法)となっている。
本実施形態の耐性試験時においては、巻線本体13aに対して付随部品13bが分離され、この付随部品13bは個別に接地される。因みに、巻線本体13aはL成分であるのに対し、鉄心やシールド等の付随部品13bはその巻線本体13aと絶縁材料を介して設置されることから、容量成分となる。付随部品13bの接地側にはパルスCT等の変流器よりなる電流測定センサ33が設置され、異常検出用コンデンサ31の接地側に設けられる電流測定センサ32とともに各箇所の電流測定が行われる。そして、各電流測定センサ32,33の測定電流(図4中、測定電流1,2)に基づいて、試験対象13の巻線機器における微小異常を含む異常判定が行われるようになっている。
この場合、巻線本体13a自体の異常判定は、電流測定センサ32にて測定した異常検出用コンデンサ31のC電流(測定電流1)にて行われ、巻線本体13aと付随部品13bとの間や付随部品13b自身の異常判定は、電流測定センサ33にて測定した付随部品13bのC電流(測定電流2)にて行われる。このようにすると、巻線本体13aの異常により電流測定センサ32の測定部分に流れる電流の方向は、図3の矢印a方向であり、付随部品13bの異常により電流測定センサ33の測定部分に流れる電流の方向は、図3の矢印b方向となり、逆方向に流れる。
つまり、各センサ32での測定電流の変化が、巻線本体13aと付随部品13bとで、図4の矢印Y1,Y2のように異常に伴う電流波形の変化方向(極性)も逆になるため、試験対象13の巻線機器に生じた異常が巻線本体13a自体なのか、付随部品13bにかかる部分なのかの判定も容易にできるようになっている。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)巻線本体13aと鉄心やシールド等の付随部品13bとに分離可能な試験対象13の巻線機器においては、巻線本体13aとは別に付随部品13bが接地され、電流測定センサ32による異常検出用コンデンサ31の接地側の電流測定にて、その巻線本体13a側の異常検出が行われる。一方、電流測定センサ33による付随部品13bの接地側の電流測定にて、その付随部品13b側の異常検出が行われる。これにより、各電流測定センサ32,33にて巻線本体13aと付随部品13bとに生じた異常を個別に検出することができ、しかも各電流測定センサ32,33の配置から各異常に伴う電流変化は逆になるため、いずれの箇所に生じた異常かを容易に判別することができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態の試験装置10,10aの構成は一例であり、適宜変更してもよい。
例えば電流測定センサ32,33に変流器を用いたが、その他の電流測定を行うセンサを用いてもよい。
また特に言及しなかったが、抵抗23,24,26,27のいずれかに可変抵抗を用いて、インパルス電圧波形を調整可能としてもよい。
また上記第2実施形態において、図3に示すように付随部品13bを1つのみ図示したが、付随部品13bを異常検出を行う毎に2以上に分離させてもよく、この場合、分離させた付随部品13b毎に接地し、各付随部品13bの接地側にそれぞれ電流測定センサ33を設置して対応する。
・上記各実施形態では、試験対象13に変圧器等の巻線機器としたが、巻線機器以外の機器を試験対象としてもよい。
・上記実施形態では、開閉サージ電圧に相当するインパルス電圧の耐性試験を行う試験装置10,10aに適用したが、雷サージ電圧等、その他のサージ電圧に相当するインパルス電圧の耐性試験を行う試験装置に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項3に記載のインパルス電圧試験方法において、
前記試験対象は、巻線機器であり、巻線本体とそれに付随する付随部品とが分離可能な構造をなすものであり、
前記異常検出用コンデンサの接地側の電流を測定する前記電流測定センサは第1の電流測定センサとして前記巻線本体の異常検出を行うとともに、前記付随部品の接地側の電流を第2の電流測定センサにて測定し、
前記第1及び第2の電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うようにしたことを特徴とするインパルス電圧試験方法。
このようにすれば、請求項2と同様の作用効果を得ることができる。
10,10a…インパルス電圧試験装置、13…試験対象、13a…巻線本体、13b…付随部品、31…異常検出用コンデンサ、32…電流測定センサ(第1の電流測定センサ)、33…電流測定センサ(第2の電流測定センサ)。

Claims (3)

  1. インパルス電圧印加による試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験装置であって、
    前記試験対象と並列に異常検出用コンデンサを設けるとともに、該コンデンサの接地側の電流を測定する電流測定センサを設け、
    前記電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うことを特徴とするインパルス電圧試験装置。
  2. 請求項1に記載のインパルス電圧試験装置において、
    前記試験対象は、巻線機器であり、巻線本体とそれに付随する付随部品とが分離可能な構造をなすものであり、
    前記異常検出用コンデンサの接地側の電流を測定する前記電流測定センサは第1の電流測定センサとして前記巻線本体の異常検出を行うとともに、前記付随部品の接地側の電流を測定する第2の電流測定センサを設け、
    前記第1及び第2の電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うことを特徴とするインパルス電圧試験装置。
  3. インパルス電圧印加による試験対象の耐性試験を行うインパルス電圧試験方法であって、
    前記試験対象と並列に設けた異常検出用コンデンサの接地側の電流を電流測定センサにて測定し、その前記電流測定センサにて測定した前記インパルス電圧印加に伴う電流変化に基づいて前記試験対象の耐性の良否判定を行うようにしたことを特徴とするインパルス電圧試験方法。
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