JP2012229365A - ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法 - Google Patents

ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高収率且つ高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】硫酸存在下、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミド類を反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に下記式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する工程(1)と、前記工程(1)により得られた反応混合物を水中に投入し、反応生成物を析出させ、析出物を濾過する工程(2)と、前記工程(2)により得られた析出物を、洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄する工程(3)とを有し、前記工程(1)において、前記顔料と前記環状イミド類を反応させる際の反応液の温度範囲を−2〜10℃とし、且つ、反応時間を2.0〜6.0時間とすることを特徴とする、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法。
Figure 2012229365

【選択図】なし

Description

本発明は、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような有機発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えば液晶表示装置のカラー画像の形成は、カラーフィルタを通過した光がそのままカラーフィルタを構成する各画素の色に着色されて、それらの色の光が合成されてカラー画像を形成する。また、有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルタを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
このような状況下、カラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近、テレビ用途に対しても、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、高輝度化の要望が高くなっている。
ここで、カラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
顔料分散法に用いられる顔料分散液は、顔料の分散性、分散安定性の他、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化等、多くの要求を実現するため、顔料や分散剤等、広く検討されている。その試みの一つとして、顔料誘導体を用いる方法が挙げられる。
特許文献1では、良好な一般特性、例えば、高い着色強度、良好な分散性、良好な耐ワニス性、耐移行性、耐熱性、耐光性、耐候性及び良好な光彩を得る手段として、ピロロピロール化合物を含有する組成物が開示されている。当該ピロロピロール化合物の一つとしてフタルイミドアルキル基を有する化合物が記載されており、その合成方法が開示されている。しかし、特許文献1に開示された合成方法では、副生成物が多く、純度が低いという問題があった。
特許文献2では、顔料分散性とその安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成し得る顔料分散組成物として、ジケトピロロピロール顔料と、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールと、フタルイミドアルキル化キナクリドンと有機溶剤を含有する顔料分散組成物が開示されている。
特開昭62−149759号公報 特開2009−251586号公報
ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を含む樹脂組成物をカラーフィルタの着色層として用いた場合、当該カラーフィルタのコントラストが向上する。しかし、本発明者らは、用いるジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の純度が低い場合には、特に加熱後のカラーフィルタのコントラストが低下するとの知見を得た。このため、純度の高いジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法が求められていた。
特許文献1の合成方法では、多量の副生成物が生じ、その不純物が多く含まれていた。そのため、純度を高くするには、乾燥工程後、有機溶剤による洗浄が行われていたが、洗浄後に得られた目的物の収率は低いものであった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、高収率で高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ジケトピロピロール顔料と環状イミド類を反応させる際の反応条件を特定のものとすることにより、従来の製造方法と比較して、目的物の収率が飛躍的に向上することを見出した。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明は、硫酸存在下、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミド類を反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に下記式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する工程(1)と、前記工程(1)により得られた反応混合物を水中に投入し、反応生成物を析出させ、析出物を濾過する工程(2)と、前記工程(2)により得られた析出物を、洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄する工程(3)とを有し、前記工程(1)において、前記顔料と前記環状イミド類を反応させる際の反応液の温度範囲を−2〜10℃とし、且つ、反応時間を2.0〜6.0時間とすることを特徴とする、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法を提供する。
Figure 2012229365
(式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法においては、前記工程(3)における水の液温が、40℃以上であることが、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の純度を向上できる点から好ましい。
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法においては、有機溶剤による洗浄工程を有しないことが、工程数や溶剤使用量を減らすことができる点、環境負荷を低下できる点から好ましい。
本発明によれば、高収率で高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法を提供することができる。
実施例1の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体のH−NMRスペクトルである。 実施例2の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体のH−NMRスペクトルである。 実施例3の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体のH−NMRスペクトルである。 比較例1の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体のH−NMRスペクトルである。 比較例2の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体のH−NMRスペクトルである。
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法は、硫酸存在下、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミド類を反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に下記式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する工程(1)と、前記工程(1)により得られた反応混合物を水中に投入し、反応生成物を析出させ、析出物を濾過する工程(2)と、前記工程(2)により得られた析出物を、洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄する工程(3)とを有し、前記工程(1)において、前記顔料と前記環状イミド類を反応させる際の反応液の温度範囲を−2〜10℃とし、且つ、反応時間を2.0〜6.0時間とすることを特徴とする。
Figure 2012229365
(式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法は、ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類を反応させる際、その反応液の温度範囲を−2〜10℃とし、且つ、反応時間を2.0〜6.0時間とすることにより、副生成物が生じるのを抑制し、高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を高収率で得ることができる。
上記製造方法により、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明ではあるが、以下のように推定される。
ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類の反応は、硫酸存在下で進行する。このため、上記ジケトピロロピロール系顔料は、副反応としてスルホン化が起こりやすいと推定される。また、ジケトピロロピロール系顔料は、骨格内にアミドを有しているため、硫酸存在下では、副反応として加水分解が起こりやすいと推定される。従来の合成方法においては、反応温度が高く、反応時間が長いため、これらの副反応を十分に抑制することができなかったものと推定される。
これに対して、ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類を反応させる際の反応液を従来よりも低温の−2〜10℃とし、且つ、反応時間を従来よりも短い2.0〜6.0時間と設定することにより、ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類の反応が進行し、且つ、上記のような副反応を十分に抑制できるものと推定される。
以下、本発明に係るジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法について、工程(1)〜工程(3)の順に説明する。
なお、本発明において純度とは、得られた固形物の全質量に対する、目的物の質量の割合のことをいう。本発明において目的物とは、ジケトピロロピロール顔料のイミドアルキル化誘導体であるが、当該顔料のイミドアルキル化誘導体は、顔料に環状イミドアルキル基が1つ導入されたものに限られず、顔料に環状イミドアルキル基が2つ以上導入されたものが含まれる。従って、本発明における純度とは、単一成分の割合を表すものに限られない。
<硫酸存在下、ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類を反応させることにより、ジケトピロロピロール系顔料に式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する工程(1)>
本発明における工程(1)は、ジケトピロロピロール系顔料と環状イミド類を反応させることにより、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を生成させる工程であり、硫酸存在下で行われる。
[硫酸]
本発明において工程(1)は、硫酸存在下で行われる。本発明において硫酸は、溶剤として且つ触媒として用いられるものであり、濃硫酸の他、濃硫酸に三酸化硫黄を吸収させた発煙硫酸が含まれる。濃硫酸を用いる場合、当該濃硫酸の濃度は特に限定されないが、通常90質量%以上であり、中でも、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化が進みやすい点から、95質量%以上であることが好ましい。発煙硫酸を用いる場合、顔料のイミドアルキル化が進みやすい点から、発煙硫酸中の三酸化硫黄の含有量が、0.1〜8質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることが、より好ましい。
[ジケトピロロピロール系顔料]
本発明においてジケトピロロピロール系顔料は、下記化学式(1)で表される構造を有する。
Figure 2012229365
(化学式(1)中、A及びAは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基、N,N−ジメチルアミノ基、トリフルオロメチル基又はシアノ基である。A及びAは、同一であっても異なっていてもよい。)
ジケトピロロピロール系顔料の中でも、得られたイミドアルキル化誘導体が、顔料の結晶析出抑制剤として好適に用いられる点から、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272であることが好ましく、中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255であることがより好ましい。
[環状イミド類]
本発明において環状イミド類とは、前記ジケトピロロピロール系顔料に反応させて、後述する環状イミドアルキル基を形成する化合物である。環状イミド類としては、例えば、下記化学式(II)で表される環状イミドや、下記化学式(III)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドが挙げられる。
Figure 2012229365
(式(II)及び、式(III)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
式(II)及び、式(III)中のR及びXは、後述する化学式(I)で表される環状イミドアルキル基におけるR及びXと同様のものとすることができる。
(ジケトピロロピロール系顔料と化学式(II)で表される環状イミドとの反応)
本発明において、ジケトピロロピロール系顔料に化学式(II)で表される環状イミドを反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に後述する式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で反応させることができる。
−2〜10℃の前記発煙硫酸又は濃硫酸中に、攪拌下、化学式(II)で表される環状イミドとパラホルムアルデヒド、ホルマリン又はトリオキサンを添加する。この混合物を1〜20時間、更に攪拌する。次にこの混合物に、前記ジケトピロロピロール系顔料を加え、−2〜10℃の範囲で冷却しながら攪拌することにより、ジケトピロロピロール系顔料に式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入することができる。
上記反応において、化学式(II)で表される環状イミドの使用量は、導入する環状イミドアルキル基の数により適宜調整されれば良い。例えば、ジケトピロロピロール系顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基を導入する場合は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、ジケトピロロピロール系顔料1モル当量に対して、1.0〜4.0モル当量であることが好ましく、1.0〜2.0モル当量であることがより好ましく、更に1.0〜1.2モル当量であることが、より好ましい。
上記反応において、パラホルムアルデヒド、ホルマリン又はトリオキサンの使用量は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、化学式(II)で表される環状イミド1モル当量に対して、0.8〜10モル当量であることが好ましく、0.8〜2.0モル当量であることがより好ましく、更に0・8〜1.2モル当量であることが、より好ましい。
また、上記反応における発煙硫酸又は濃硫酸の量は、特に限定されない。顔料の種類によっても異なるが、通常、顔料1モル当量に対して、発煙硫酸又は濃硫酸は100〜300モル当量であり、100〜150モル当量であることが好ましい。
本発明においては、副反応を抑制する点から、上記反応において、ジケトピロロピロール系顔料を加えた後の反応液の温度は、−2〜10℃とする。また、上記反応における反応時間は、2.0〜6.0時間とし、好ましくは4.5〜6.0時間の範囲である。なお、本発明において、ジケトピロロピロール顔料と、環状イミド類との反応時間とは、硫酸存在下、ジケトピロロピロール顔料と環状イミド類を混合し終わった時点を始点とし、反応混合物を水に投入した時点を終点とし、その始点から終点までの時間をいう。また、上記反応の反応圧力に特に制限は無いが、常圧〜0.1MPaが好ましく、常圧がより好ましい。
(ジケトピロロピロール系顔料と化学式(III)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドとの反応)
本発明において、ジケトピロロピロール系顔料に化学式(III)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドを反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に後述する式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で反応させることができる。
−2〜10℃の前記濃硫酸中に、攪拌下、ジケトピロロピロール系顔料を添加し溶解させる。次に、化学式(III)で表される環状イミドを添加する。この混合物を攪拌することにより、ジケトピロロピロール系顔料に式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入することができる。
上記反応において、化学式(III)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドの使用量は、導入する環状イミドアルキル基の数により適宜調整すればよい。例えば、ジケトピロロピロール系顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基を導入する場合は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、ジケトピロロピロール系顔料1モル当量に対して、1.0〜4.0モル当量であることが好ましく、1.0〜2.0モル当量であることがより好ましく、更に1.0〜1.2モル当量であることが、より好ましい。
また、上記反応における濃硫酸の量は、特に限定されない。顔料の種類によっても異なるが、通常、顔料1モル当量に対して、濃硫酸は100〜300モル当量であり、100〜150モル当量であることが好ましい。
本発明においては、副反応を抑制する点から、上記反応において、ジケトピロロピロール系顔料を加えた後の反応液の温度は、−2〜10℃とする。また、上記反応における反応時間は、2.0〜6.0時間とし、好ましくは4.5〜6.0時間の範囲である。なお、本発明において、ジケトピロロピロール顔料と、環状イミド類との反応時間とは、硫酸存在下、ジケトピロロピロール顔料と環状イミド類を混合し終わった時点を始点とし、反応混合物を水に投入した時点を終点とし、その始点から終点までの時間をいう。また、上記反応の反応圧力に特に制限は無いが、常圧〜0.1MPaが好ましく、常圧がより好ましい。
前記化学式(II)で表される環状イミドは、所望の構造が市販で入手可能ならば、市販品を用いることができる。また、所望の構造を有する酸無水物誘導体と、アンモニア又は炭酸アンモニウムから、公知の方法により合成して得ることができる。
前記化学式(III)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドは、所望の構造が市販で入手可能ならば、市販品を用いることができる。また、また、公知の方法により合成して得ることができる。
例えば、前記化学式(II)で表される環状イミドと、パラホルムアルデヒドを水又は硫酸存在下で反応させることにより前記化学式(III)におけるRの炭素数が1のヒドロキシアルキル環状イミドを得ることができる。
また、前記化学式(III)におけるRが2以上のヒドロキシアルキル環状イミドは、例えば、特開2001−81073に記載の方法により、前記化学式(II)で表される環状イミドと、モノアルキルアミンとを反応させることにより得ることができる。
[環状イミドアルキル基]
本発明において導入される環状イミドアルキル基は、下記式(I)で表される基である。
Figure 2012229365
(式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
化学式(I)中、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
化学式(I)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。化学式(I)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
化学式(I)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化学式(I)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(I)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル機、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
<前記工程(1)により得られた反応混合物を水中に投入し、反応生成物を析出させ、析出物を濾過する工程(2)>
本発明において工程(2)は、前記工程(1)により得られた反応混合物を氷水中に投入することにより、顔料のイミドアルキル化誘導体を含む反応生成物を析出させ、濾過することにより当該析出物を得る工程である。
工程(2)において用いられる水の量は、特に限定されない。顔料の種類によっても異なるが、通常、工程(1)で用いた顔料1質量部に対して、水又は氷水は50〜1000質量部であり、濾過速度の点から、100〜200質量部であることが好ましい。
また、当該水又は氷水の温度は、特に限定されないが、通常−5〜25℃であり、0℃以下であることが好ましい。
工程(2)において、析出物を濾過する方法は、特に限定されない。常圧による自然濾過の他、減圧濾過や加圧濾過等を用いることができる。また濾過に用いられる濾材は、特に限定されず、例えば、ろ紙やメンブレンフィルター等を用いることができる。
<前記工程(2)により得られた析出物を、洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄する工程(3)>
本発明において工程(3)は、工程(2)により得られた析出物を、洗浄する工程である。洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄することにより、高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体が得られる。洗液のイオン伝導度を指標とすることにより、ウェットケーキ乾燥時のスルホン化を防ぐというメリットがある。
洗浄に用いる水は、特に限定されない。中でも、洗浄効率が高く、より高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体が得られる点から、電気伝導度が0.05〜15.00μS/cmである脱イオン水を用いることが好ましい。
工程(3)において、水による洗浄方法は特に限定されない。例えば、水に前記析出物を投入し、攪拌洗浄する方法や、濾材上に置いた前記析出物に水を注いで洗浄する方法等が挙げられる。
洗浄に用いる水の温度は特に限定されない。洗浄効率及び濾過速度を向上させる点からは、水の温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。水の温度の上限としては70℃以下であることが好ましい。
本発明において、洗液のイオン伝導度は、pHメーター(例えば、HORIBA社製 ツインpHメーター等)を用いて測定することができる。洗液の少なくとも一部を採取し、洗液のイオン伝導度を測定する。ここで、洗液とは、析出物を水で洗浄した後に、得られた液体をいう。測定したイオン伝導度の値が1000μS/cmを超える場合には、水による洗浄を再度行う。一方、測定したイオン伝導度の値が1000μS/cm以下であれば、水による洗浄を終了する。
前記反応混合物は、水による洗浄後、更に、有機溶剤で洗浄しても良い。これにより、水に不溶又は難溶の不純物を除去することができる。しかしながら、本発明の製造方法は、目的物を高収率で得ることができるので、有機溶剤による洗浄工程を有しなくても良い。これにより、工程数や溶剤使用量を減らすことができ、環境負荷を低下できるというメリットを有する。
本発明に係る製造方法により得られた顔料のイミドアルキル化誘導体は、純度が高く、公知のあらゆる用途に用いることができる。中でも、カラーフィルタ用途として好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1:C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の製造)
98.5%濃硫酸320gに5℃以下を保ちながら、パラホルムアルデヒド1.02gとフタルイミド5.00gを、交互に10分間かけて添加し、5℃以下で1時間攪拌した。次いでPR255 8.0gを5℃以下に保ちながら10分間かけて添加し、2〜5℃で6時間攪拌した。反応混合物を氷水(氷870g、水450g)にあけ、30分間攪拌後、析出物を濾別した。得られたウェットケーキを40〜60℃の温水で洗浄、濾別し、濾液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまでこれを繰り返した。洗浄後、得られたウェットケーキを80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、実施例1のC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を得た。このときの収率は97.0%であった。ただし、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基が導入されていると仮定して求めた。
(実施例2:C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の製造)
98.5%濃硫酸160gに、PR255 8.0gを5℃以下で10分間かけて添加し、0〜5℃で1時間攪拌した。さらに98.5%濃硫酸160gを追加し、次いで、5℃以下に保ちながらヒドロキシメチルフタルイミドを10分間かけて添加し、−2〜5℃で6時間攪拌した。反応混合物を氷水(氷870g、水450g)にあけ、30分間攪拌後、析出物を濾別した。得られたウェットケーキを40〜60℃の温水で洗浄、濾別し、濾液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまでこれを繰り返した。洗浄後、得られたウェットケーキを80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、実施例2のC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を得た。このときの収率は98.5%であった。ただし、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基が導入されていると仮定して求めた。
(実施例3:C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の製造)
実施例1と同様に合成から粉砕までの操作を行った後、得られた粉末状物質を、更に、70〜80℃のエタノール300mlで1時間攪拌し、沈殿物を熱濾別した。次に、80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、実施例2のC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を得た。このときの収率は89.7%であった。ただし、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基が導入されていると仮定して求めた。
(比較例1:C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の製造)
98.5%濃硫酸160gに、PR255 8.0gを5℃以下で10分間かけて添加し、0〜5℃で1時間攪拌した。さらに98.5%濃硫酸160gを追加し、次いで、5℃以下に保ちながらヒドロキシメチルフタルイミドを10分間かけて添加した。3時間で14℃まで昇温し、次いで16時間20℃で攪拌した。反応混合物を氷水(氷870g、水450g)にあけ、30分間攪拌後、析出物を濾別した。得られたウェットケーキを40〜60℃の温水で洗浄、濾別し、濾液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまでこれを繰り返した。洗浄後、得られたウェットケーキを80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、比較例1のC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を得た。このときの収率は96.0%であった。ただし、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基が導入されていると仮定して求めた。
(比較例2:C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の製造)
比較例1と同様に合成から粉砕までの操作を行った後、得られた粉末状物質を、更に、70〜80℃のエタノール300mlで1時間攪拌し、沈殿物を熱濾別した。次に、80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、比較例2のC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を得た。このときの収率は19.8%であった。ただし、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つの環状イミドアルキル基が導入されていると仮定して求めた。
[純度の評価]
実施例1〜3及び比較例1〜2の製造方法により得られた、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体を、波長分散型蛍光X線分析装置(島津製作所社製 XRF−1800)、核磁気共鳴装置(NMR、日本電子社製、JEOL JNM−LA400WB)及び質量分析装置(TOF−MS、BRUKER製 REFLFX II)を用いて測定した。
波長分散型蛍光X線分析装置では、硫黄元素の固有X線(Kα線:2.31keV)の強度を測定した。X線強度が低いほど、試料中の硫黄元素が少なく、主な副生成物の一つであるジケトピロロピロール顔料のスルホン化物が少なく、得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の純度が高いといえる。また、測定結果から、試料中の硫黄原子と炭素原子の比(S/C)(質量比)を算出した。
核磁気共鳴装置では、各試料をジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)に溶解して、H−NMRを測定した。
蛍光X線の測定結果を表1に、H−NMRの結果を図1〜図5に示す。
Figure 2012229365
実施例1及び実施例2の製造方法により得られたジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体である、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体は、X線強度が低く、TOF−MSの測定では、Positive modeで、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の分子イオン(m/z=447.4)が強く検出された。これらの結果から、実施例1及び2では、製造時の反応温度を−2〜10℃とし、反応時間を2.0〜6.0時間の範囲内としているため、収率が高く、副生成物であるC.I.ピグメントレッド255のスルホン化誘導体や、C.I.ピグメントレッド255の加水分解物が少なく、純度が高いことがわかる。
また、実施例1の製造方法により得られた粉末状物質を、更に有機溶剤で洗浄した実施例3の製造方法により得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体は、実施例1と比較して、収率がわずかに減少したが、X線強度、マススペクトル及びH−NMRスペクトルはいずれもほとんど変化がなかった。これは、実施例1の製造方法により得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の純度が十分に高いことを示しており、有機溶剤による洗浄工程が必須の工程ではないことが分かった。
比較例1の製造方法により得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体は、収率が高かったが、X線強度が高く、H−NMRスペクトルが、実施例1〜3とは大きく異なっていた。また、TOF−MSの測定では、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の分子イオンピークの他、Positive modeでは、C.I.ピグメントレッド255の加水分解物由来のイオン(m/z=422.4、580.4、262.2、404.5)が、Negative modeでは、C.I.ピグメントレッド255のスルホン化誘導体由来のイオン(m/z=368.2、527.7)が強く検出された。これは、比較例1の製造方法により得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体は、見かけの収率が高いものの、ジケトピロロピロール顔料のスルホン化物等の不純物を多く含んでいることを示している。実際に、比較例1の製造方法により得られた粉末状物質を、更に有機溶剤で洗浄した比較例2の製造方法により得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体は、比較例1と比べて、収率が大きく下がっている。また、比較例2のように、有機溶剤で洗浄した場合であっても、実施例1〜3よりも不純物を多く含んでいることが分かった。
(カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の調製)
<バインダー樹脂Aの合成>
重合槽に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44重量%)を得た。得られたバインダー樹脂Aの重量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
<分散剤・バインダー樹脂溶液の調製>
225mLマヨネーズ瓶中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)66.9質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価135mgKOH/g、固形分60重量%)4.83質量部、上記バインダー樹脂A 14.7質量部をそれぞれ溶解させた。混合溶液にフェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)0.3質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤・バインダー樹脂溶液を調製した。
<赤色顔料分散液の調製>
上記で調製した分散剤・バインダー樹脂溶液84質量部にC.I.ピグメントレッド254(平均一次粒径30nm)15.36質量部、実施例1で得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体 0.64質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで24時間分散し、赤色顔料分散液1を得た。
また、実施例1で得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体の代わりに、実施例2、3及び比較例1で得られたC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体をそれぞれ用いて、上記と同様の操作を行い、さらに赤色顔料分散液2〜4を得た。
<カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の調製>
上記で得られた赤色顔料分散液1 59.6質量部とアルカリ可溶性樹脂(上記バインダー樹脂A、固形分44重量%)2.49質量部、3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成(株)製)1.87質量部、光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製))0.26質量部、光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製))0.58質量部、光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.20質量部、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35.0質量部から成るバインダー組成物40.4質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物1を得た。
また、赤色顔料分散液1の代わりに、赤色顔料分散液2〜4をそれぞれ用いて、上記と同様の操作を行い、さらにカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物2〜4を得た。
[輝度及びコントラストの評価]
実施例1〜3及び比較例1のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を含有するカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物1〜4を、それぞれ、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(赤色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.653になるように調整した。赤色着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし赤色着色基板を得た。当該基板のポストベーク前及びポストベーク後のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
[耐熱性の評価]
実施例1〜3及び比較例1のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を含有するカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物1〜4を、それぞれ、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、パターンの形成された赤色着色基板を得た。
パターンの形成された赤色着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、パターン塗膜上に顔料凝集体の析出の有無がないか確認した。
輝度、コントラスト及び耐熱性の評価を表2に示す。
(耐熱性評価基準)
○:析出しなかった。
△:わずかに析出した。
×:析出した。
Figure 2012229365
(結果のまとめ)
表2の結果から、実施例1〜3の製造方法により得られたジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を用いて製造された赤色着色層は、耐熱性に優れ、コントラスト保持率が高く純度が高いことがわかった。一方、純度の低い比較例1の場合、耐熱性が不十分であり、顔料の凝集体が析出した。

Claims (3)

  1. 硫酸存在下、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミド類を反応させて、ジケトピロロピロール系顔料に下記式(I)で表される環状イミドアルキル基を導入する工程(1)と、
    前記工程(1)により得られた反応混合物を水中に投入し、反応生成物を析出させ、析出物を濾過する工程(2)と、
    前記工程(2)により得られた析出物を、洗液のイオン伝導度が1000μS/cm以下となるまで水で洗浄する工程(3)とを有し、前記工程(1)において、前記顔料と前記環状イミド類を反応させる際の反応液の温度範囲を−2〜10℃とし、且つ、反応時間を2.0〜6.0時間とすることを特徴とする、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法。
    Figure 2012229365
    (式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
  2. 前記工程(3)における水の液温が、40℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法。
  3. 有機溶剤による洗浄工程を有しない、請求項1又は2に記載のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016148000A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 株式会社Dnpファインケミカル ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、顔料組成物、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置

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