JP6488143B2 - ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、顔料組成物、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置 - Google Patents

ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、顔料組成物、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、顔料組成物、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置に関する。
カラーフィルタは、通常、透明基板上に赤色、青色、緑色の3色の画素がパターン状に形成されたものである。色再現性を高めるため、近年、前記3色に黄色を加えた4色の画素がパターン状に形成されたカラーフィルタを用いたディスプレイ製品も上市されている。
このような状況下において、カラーフィルタの更なる高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。
カラーフィルタにおける画素の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
顔料分散法を用いて形成された画素を有するカラーフィルタにおいては、高輝度化や高コントラスト化を実現するため、顔料の微細化が検討されている。顔料を微細化することにより、顔料粒子によるカラーフィルタを透過する光の散乱が低減されて、高輝度化や高コントラスト化が達成されるものと考えられている。
しかしながら、微細化された顔料粒子は、凝集しやすいという問題があった。特に、ジケトピロロピロール系顔料の1つであるC.I.ピグメントレッド254は、高コントラスト化のために顔料を微細化すると、カラーフィルタの製造工程における高温加熱時において顔料粒子が凝集したり、結晶成長したりしやすく、加熱工程後、画素表面に顔料の粒子が異物のように析出して、コントラストが低下したり、欠陥として認識されるという問題があった。
上記問題に対して、特許文献1では、顔料分散性とその安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成し得る顔料分散組成物として、ジケトピロロピロール顔料と、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールと、フタルイミドアルキル化キナクリドンと有機溶剤を含有する顔料分散組成物が開示されている。当該顔料分散組成物では、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールと、フタルイミドアルキル化キナクリドンとを併用することにより、コントラストを向上させ、カラーフィルタの製造工程における高温加熱後の着色層の表面粗さを低減している。しかしながら、当該特許文献1の顔料分散組成物は、フタルイミドアルキル化キナクリドンを含むことから、輝度が不十分になるという問題があった。また、特許文献1においては、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールを多量に添加しているが、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールを多量に添加すると顔料分散性やコントラストが低下するという問題があった。
特許文献2では、高輝度、且つ高コントラスト化を目的として、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物として、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と特定の顔料分散剤を含む赤色感光性樹脂組成物が記載されている。特許文献2において、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と特定の顔料分散剤とに、更にジケトピロロピロール顔料のフタルイミドメチル誘導体を添加すると、カラーフィルタの製造工程における高温加熱後のコントラストが向上するが、黄色顔料のスルホン化誘導体を用いずに、ジケトピロロピロール系赤色顔料に、ジケトピロロピロール顔料のフタルイミドメチル誘導体を組み合わせると、分散安定性が悪化してしまうことが記載されている。特許文献2においては、より微分散化したジケトピロロピロール系赤色顔料に対して高温加熱後の顔料析出物の抑制の効果を得るために、ジケトピロロピロール顔料のフタルイミドメチル誘導体を多量に添加しているが、ジケトピロロピロール顔料のフタルイミドメチル誘導体を多量に添加すると顔料分散性やコントラストが低下するという問題があった。
特許文献3では、良好な一般特性、例えば、高い着色強度、良好な分散性、良好な耐ワニス性、耐移行性、耐熱性、耐光性、耐候性及び良好な光彩を得る手段として、ピロロピロール化合物を含有する組成物が開示されている。当該ピロロピロール化合物の一つとしてフタルイミドアルキル基を有する化合物が記載されており、その合成方法が開示されている。しかし、特許文献3に開示された合成方法では、副生成物が多く、純度が低いという問題があった。
特許文献4では、高収率且つ高純度のジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を得ることを目的とした製造方法が記載されている。しかしながら、後述の比較例で示したように、特許文献4に記載された製造方法により製造されたジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を用いても、カラーフィルタの製造工程における高温加熱後のコントラストが低下するという問題があった。
特開2009−251586号公報 国際公開第2011/122447号 特開昭62−149759号公報 特開2012−229365号公報
ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を、ジケトピロロピロール系顔料に組み合わせると、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制する効果があるが、一方で、加熱後のカラーフィルタのコントラストが低くなるとの知見を得た。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能なジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、高温加熱下においてジケトピロロピロール系顔料の析出物が抑制され、且つ高コントラストの着色層を作製可能な、顔料組成物、顔料分散液、及び着色樹脂組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、前記本発明に係る着色樹脂組成物を用いることにより顔料結晶の析出が抑制され、コントラスト等の光学特性に優れたカラーフィルタ、並びに、当該カラーフィルタを用いることにより表示特性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題点に対して、ジケトピロロピロールのイミドアルキル化誘導体は、異性体によって結晶析出抑制効果の差異があることを見出し、特定の位置に置換基を有するジケトピロロピロール系顔料誘導体の組成によって、より効果の高い結晶析出抑制効果と高コントラスト化を達成可能であることを見出した。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物は、下記一般式(I−p)で表される化合物を含有し、下記一般式(I−o)で表される化合物を含有していても良く、
下記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、下記(i)及び(ii)を満たす、ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物である。
(i)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上
(ii)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
(液体クロマトグラフィー測定条件)
装置:高速液体クロマトグラフ(HPLC)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(400nm〜600nmのピークを積算)
カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲル(粒子径:5.0μm)からなるカラム(内径;4.6mm×長さ;50mm)
溶離液:下記溶離液(A)、(B)、(C)の混合液(A/B/C)を使用
(A)水、(B)N−メチルピロリドン、(C)100mM酢酸アンモニウム
(A/B/C)溶離液AとBとCの体積比A/B/C=45/50/5(15分)
流速:0.8ml/分
カラム温度:60℃
注入量:50μL
試料溶解:前記溶離液(B)で100ppmに調製(完全溶解)
Figure 0006488143
(一般式(I−p)及び一般式(I−o)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。n及びmが2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
また、本発明に係る顔料組成物は、ジケトピロロピロール系顔料と、下記一般式(I−p)で表される化合物とを含有し、更に下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物の少なくとも1種を含有していても良く、
前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、下記(iii)、(iv)及び(v)を満たす、顔料組成物である。
(iii)下記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上
(iv)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
(v)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であるか、又は、下記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0である
Figure 0006488143
Figure 0006488143
(一般式(I−p)、一般式(I−o)及び一般式(I−di)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n、m、n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
また、本発明に係る顔料分散液は、前記本発明に係る顔料組成物と、溶剤とを含有することを特徴とする。
更に、本発明に係る着色樹脂組成物は、前記本発明に係る顔料組成物と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタを有する、表示装置を提供する。
本発明によれば、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能なジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、高温加熱下においてジケトピロロピロール系顔料の析出物が抑制され、且つ高コントラストの着色層を作製可能な、顔料組成物、顔料分散液、及び着色樹脂組成物を提供することができる。更に、本発明は、前記本発明に係る着色樹脂組成物を用いることにより顔料結晶の析出が抑制され、コントラスト等の光学特性に優れたカラーフィルタ、並びに、当該カラーフィルタを用いることにより表示特性に優れた表示装置を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。 図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係るジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物、顔料組成物、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置について、順に詳細に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において、C.I.ピグメントレッドを「PR」と省略することがある。
[ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物]
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物は、下記一般式(I−p)で表される化合物を含有し、下記一般式(I−o)で表される化合物を含有していても良く、
下記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、下記(i)及び(ii)を満たす、ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物であることを特徴とする。
(i)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上
(ii)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
(液体クロマトグラフィー測定条件)
装置:高速液体クロマトグラフ(HPLC)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(400nm〜600nmのピークを積算)
カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲル(粒子径:5.0μm)からなるカラム(内径;4.6mm×長さ;50mm)
溶離液:下記溶離液(A)、(B)、(C)の混合液(A/B/C)を使用
(A)水、(B)N−メチルピロリドン、(C)100mM酢酸アンモニウム
(A/B/C)溶離液AとBとCの体積比A/B/C=45/50/5(15分)
流速:0.8ml/分
カラム温度:60℃
注入量:50μL
試料溶解:前記溶離液(B)で100ppmに調製(完全溶解)
Figure 0006488143
(一般式(I−p)及び一般式(I−o)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。n及びmが2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
上記ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物を顔料析出抑制剤として、ジケトピロロピロール系顔料に組み合わせて用いることにより、240℃もの高温加熱下においても、ジケトピロロピロール系顔料の析出物の発生が抑制され、且つ、高コントラストの着色層を得ることができる。
上記特定の化合物により、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。
一般に顔料分散液の調製において、溶剤中での顔料の分散時間を長くすることにより、顔料は微細化される。微細化されて露出された顔料表面は吸着力が強く、顔料同士が吸着して凝集することがある。顔料分散剤を用いた場合には、微細化されて露出された顔料表面に顔料分散剤が吸着して、溶剤中での顔料の安定化を図ることができ、顔料を均一に微細化することができると推定される。その結果、コントラストが向上した塗膜を得ることができる。
しかしながら、均一に微細化されたジケトピロロピロール系顔料(例えば、PR254)を含む組成物を塗膜とした後、例えば、カラーフィルタの製造工程で例えば240℃もの高温が塗膜にかけられると、ジケトピロロピロール系顔料粒子が析出する。240℃もの高温が塗膜にかけられると、ジケトピロロピロール系顔料に吸着されていた顔料分散剤の熱運動により、顔料分散剤の吸着が弱まって顔料が凝集し、これが結晶成長して、塗膜表面等でジケトピロロピロール系顔料粒子の析出が起こるものと推定される。これにより顔料表面同士の凝集力が強まって、PR254の顔料析出物が発生するものと推定される。この顔料析出物の発生によって、塗膜のコントラストが低下してしまう。
一方で、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を調製すると、通常、前記一般式(I−p)で表される化合物(以下、単にp体という場合がある)、前記一般式(I−o)で表される化合物(以下、単にo体という場合がある)、更に、前記一般式(I−di)で表される化合物(以下、単にdi体という場合がある)等の異性体、及び原料、その他の不純物の混合物として調製される。
ジケトピロロピロール系顔料のフタルイミドメチル誘導体を多量に添加すると顔料分散性やコントラストが低下するという問題に対して、本発明者らは、後述の実施例で示すように、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体は、異性体によって、高温加熱下におけるジケトピロロピロール系顔料の析出物の発生を抑制する効果(以下、単に、前記顔料析出抑制効果という場合がある)に差異があることを見出した。
すなわち、p体は、前記顔料析出抑制効果が著しく高く、コントラストを低下させることを抑制する機能を有する。
それに対して、o体は、前記顔料析出抑制効果が殆どなく、且つ、添加することにより顔料分散性が低下し、コントラストを低下させてしまう。
また、イミドアルキル基を1分子内に2個有するdi体も、未解明な部分はあるが、前記顔料析出抑制効果が低く、且つ、添加することにより顔料分散性が低下し、コントラストを低下させてしまう傾向がある。
そして、従来の合成法によれば、顔料析出抑制に効果を発揮しない不純物が多く含まれ、また、顔料析出抑制効果を発現するp体に比べて、顔料析出抑制効果が殆どなくコントラストを低下させるo体が、比較的高い割合で含まれるものであったり、顔料析出抑制効果を発現するp体に比べて、顔料析出抑制効果が低くコントラストを低下させるdi体が、比較的高い割合で含まれるものであったため、顔料析出抑制効果を発現するように、誘導体を多量に添加すると、コントラストが低下してしまっていたと推定される。
それに対して、本発明においては、不純物が低減され、且つ、顔料析出抑制効果を発現するp体を、顔料析出抑制効果が殆どなくコントラストを低下させるo体と比較して、一定以上の割合で含む、顔料誘導体組成物とすることにより、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能である。
なお、後述する、実施例における液体クロマトグラフィーの測定結果と、NMR測定結果を参照すると、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比、及び、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比は、NMR測定結果のモル比と同様の傾向を示すことがわかった。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Rの炭素数2〜6のアルキレン基としては、炭素数2〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易で、顔料析出抑制効果が優れる点から、Rとしては、メチレン基であることが好ましい。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。化学式(I)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(I)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル機、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Xのアリーレン基は、前記置換基を有しない、無置換のアリーレン基であることが好ましい。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、Y及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であるが、組み合わせて用いられるジケトピロロピロール系顔料の色調や構造に合わせて、適宜選択されればよい。
及びYにおけるハロゲン原子は、前記と同様のものが挙げられるが、中でも塩素原子、臭素原子が好ましい。また、炭素数1〜10のアルキル基としては、中でも、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基であることが好ましい。また、フェニル基の置換基としてのアルキル基としても、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基であることが好ましい。前記ハロゲン原子や炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基は、立体障害が小さく、顔料に対する吸着を妨げ難いからである。炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
一般式(I−p)及び一般式(I−o)中、n及びmは、それぞれ独立に、ジケトピロロピロール骨格に結合したフェニル基の置換基の数であるが、より好ましくは各々0〜1である。
中でも、n及びmは0であること、すなわち、ジケトピロロピロール骨格に結合したフェニル基には置換基を有しないことが、顔料析出抑制効果が高くなる点から好ましい。当該フェニル基に置換基を有しない方が、ジケトピロロピロール系顔料に作用する側の立体障害が小さく、ジケトピロロピロール系顔料の一次粒子の表面により多く水素結合したり、吸着したりできるため、顔料析出物を抑制する効果が高くなるからと推定される。
本発明のジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物においては、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上である。このため、所定よりも不純物が少なく、所定量当該誘導体組成物をジケトピロロピロール系顔料と組み合わせた場合に、顔料析出抑制効果が得られながら、不純物により顔料析出抑制効果が阻害され難く、コントラストが向上されやすい。
前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積は、更に62以上であることが好ましく、より更に64以上であることが好ましい。
また、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、或いは、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である。このため、o体に対してp体の比率が所定よりも高いことから、当該顔料誘導体組成物をジケトピロロピロール系顔料と組み合わせた場合に、p体による顔料析出抑制効果が優勢になり、且つo体によるコントラスト低下の影響を小さくできる。そのため、顔料析出抑制効果を有し、且つ高いコントラストを実現可能になる。前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))は、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上であるように、所定よりも不純物が少ない状況下において、高ければ高いほど好ましく、中でも0.80以上であることが好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、2.5以上であることがより更に好ましく、5以上であることが特に好ましい。或いは、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上であるように、所定よりも不純物が少ない状況下において、前記一般式(I−o)で表される化合物が含まれない、すなわち、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0であることが特に好ましい。
更に、下記一般式(I−di)で表される化合物を含有している場合、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であることが好ましく、更に2.0以上であることがより好ましい。このような場合には、顔料析出抑制効果を向上し、且つ高いコントラストを実現可能である。下記一般式(I−di)で表される化合物は、顔料析出抑制能をある程度有する傾向があることから上記範囲内であれば含有していても良いが、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、下記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0であっても良い。
Figure 0006488143
(一般式(I−di)において、R、X、Y及びYは、それぞれ独立に、一般式(I−p)及び一般式(I−o)と同様であり、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
一般式(I−di)中、n’及びm’は、それぞれ独立に、ジケトピロロピロール骨格に結合したフェニル基の置換基の数であるが、より好ましくは各々0〜1である。
中でも、n’及びm’は0であること、すなわち、ジケトピロロピロール骨格に結合したフェニル基には置換基を有しないことが、顔料析出抑制効果が高くなる点から好ましい。当該フェニル基に置換基を有しない方が、ジケトピロロピロール系顔料に作用する側の立体障害が小さく、ジケトピロロピロール系顔料の一次粒子の表面により多く水素結合したり、吸着したりできるため、顔料析出物を抑制する効果が高くなるからと推定される。
本発明のジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物においては、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物の合計面積が80以上であることが好ましい。このような場合には、所定量当該誘導体組成物をジケトピロロピロール系顔料と組み合わせた場合に、顔料析出抑制効果が得られながら、不純物により顔料析出抑制効果が阻害され難く、コントラストが向上されやすい。
また、顔料析出抑制効果が高くなる点から、本発明のジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物においては、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、下記一般式(II)で表されるジケトピロロピロール系顔料(原料)の面積が20以下であることが好ましい。
<ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物の製造方法>
本発明で用いられるジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物は、例えば、硫酸存在下で、下記一般式(II)で表されるジケトピロロピロール系顔料と、環状イミド類を反応させることにより得ることができる。
Figure 0006488143
(一般式(II)において、Y及びY、並びに、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
一般式(II)において、Y及びYについては、一般式(I−p)及び一般式(I−o)と同様であって良く、n’及びm’については、一般式(I−di)と同様であって良いので、ここでの説明を省略する。
ジケトピロロピロール系顔料の中でも、得られたジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物が、ジケトピロロピロール系顔料の顔料析出抑制剤として好適に用いられる点から、C.I.ピグメントレッド254、255、264、又は272であることが好ましく、中でも、C.I.ピグメントレッド254、又は255であることがより好ましい。
前記硫酸は、溶剤として且つ触媒として用いられるものであり、濃硫酸の他、濃硫酸に三酸化硫黄を吸収させた発煙硫酸が含まれる。濃硫酸を用いる場合、当該濃硫酸の濃度は特に限定されないが、通常90質量%以上であり、中でも、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化が進みやすい点から、95質量%以上であることが好ましい。発煙硫酸を用いる場合、顔料のイミドアルキル化が進みやすい点から、発煙硫酸中の三酸化硫黄の含有量が、0.1〜8質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることが、より好ましい。
前記環状イミド類としては、例えば、下記一般式(III−1)で表される環状イミドや、下記一般式(III−2)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドが挙げられる。
Figure 0006488143
(一般式(III−1)及び、一般式(III−2)中、R及びXは、それぞれ、一般式(I−p)及び一般式(I−o)と同様のものである。)
一般式(III−1)で表される環状イミドを用いる場合、例えば、以下のように製造することができる。−2〜25℃の前記発煙硫酸又は濃硫酸中に、攪拌下、前記一般式(III−1)で表される環状イミドとパラホルムアルデヒド、ホルマリン又はトリオキサンを添加する。この混合物を1〜20時間、更に攪拌する。次にこの混合物に、前記ジケトピロロピロール系顔料を加え、0〜20℃の範囲で冷却しながら6〜20時間攪拌することにより、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミドアルキル基を導入することができる。
前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点からは、前記ジケトピロロピロール系顔料を加えた後の反応液の温度としては、中でも0〜10℃が好ましく、更に、0〜5℃が好ましい。
また、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点からは、ジケトピロロピロール顔料と、環状イミド類との反応時間として、中でも6〜10時間が好ましく、更に6〜8時間が好ましい。なお、前記ジケトピロロピロール顔料と、環状イミド類との反応時間とは、硫酸存在下、ジケトピロロピロール顔料と環状イミド類を混合し終わった時点を始点とし、後述するように、反応混合物を水に投入した時点を終点とし、その始点から終点までの時間をいう。
上記反応において、前記一般式(III−1)で表される環状イミドの使用量は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、ジケトピロロピロール系顔料1モル当量に対して、1.0〜1.4モル当量であることが好ましく、1.0〜1.2モル当量であることがより好ましい。
上記反応において、パラホルムアルデヒド、ホルマリン又はトリオキサンの使用量は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、前記一般式(III−1)で表される環状イミド1モル当量に対して、1.0〜1.2モル当量であることが好ましく、1.0〜1.05モル当量であることがより好ましい。
また、一般式(III−2)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドを用いる場合、例えば、以下のように製造することができる。−2〜25℃の前記濃硫酸中に、攪拌下、ジケトピロロピロール系顔料を添加し溶解させる。次に、一般式(III−2)で表される環状イミドを添加する。この混合物を攪拌することにより、ジケトピロロピロール系顔料に環状イミドアルキル基を導入することができる。
前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点からは、前記一般式(III−2)で表される環状イミドを加えた後の反応液の温度としては、中でも0〜10℃が好ましく、0〜5℃がより好ましい。
また、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点からは、ジケトピロロピロール顔料と、環状イミド類との反応時間として、中でも6〜10時間が好ましく、6〜8時間がより好ましい。
上記反応において、化学式(III−2)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドの使用量は、副生成物を抑制し、目的物の純度を向上できる点から、ジケトピロロピロール系顔料1モル当量に対して、1.0〜1.4モル当量であることが好ましく、1.0〜1.2モル当量であることがより好ましい。
また、前記いずれの環状イミド類を用いる場合でも、上記反応における濃硫酸の量は、特に限定されない。顔料の種類によっても異なるが、通常、顔料1モル当量に対して、濃硫酸は50〜300モル当量であり、50〜150モル当量であることが好ましい。
また、上記反応の反応圧力に特に制限は無いが、常圧〜0.1MPaが好ましく、常圧がより好ましい。
前記化学式(III−1)で表される環状イミドは、所望の構造が市販で入手可能ならば、市販品を用いることができる。また、所望の構造を有する酸無水物誘導体と、アンモニア又は炭酸アンモニウムから、公知の方法により合成して得ることができる。
前記化学式(III−2)で表されるヒドロキシアルキル環状イミドは、所望の構造が市販で入手可能ならば、市販品を用いることができる。また、公知の方法により合成して得ることができる。例えば、前記化学式(III−1)で表される環状イミドと、パラホルムアルデヒドを水又は硫酸存在下で反応させることにより前記一般式(I−p)及び前記一般式(I−o)におけるRの炭素数が1のヒドロキシアルキル環状イミドを得ることができる。
また、前記化学式(III−2)におけるRの炭素数が2以上のヒドロキシアルキル環状イミドは、例えば、特開2001−81073に記載の方法により、所望の構造を有する酸無水物誘導体と、HN−(CH−OH(nは2〜6)で表されるアミノアルコール類とを反応させることにより得ることができる。
前記反応により得られた反応混合物を氷水中に投入することにより、ジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体を含む反応生成物を析出させ、濾過することにより当該析出物を得ることができる。
また、得られた析出物は、更に水で洗浄することが好ましい。 水で洗浄することにより、ウェットケーキ乾燥時のスルホン化を抑制し、スルホン化誘導体からなる不純物の生成を抑制することができる。中でも、40〜70℃の水により、ろ液のpHが4以上となるまで、洗浄することが好ましく、更に60〜70℃の水により、ろ液のpHが4以上となるまで、洗浄することが好ましい。
前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点からは、更に有機溶剤による洗浄を行うことが好ましい。
当該洗浄に用いられる有機溶剤としては、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くする点から、メタノール、N−メチルピロリドン、及びアセトニトリルの少なくとも1種が好ましく用いられる。
中でも、得られたウェットケーキを更に70℃以下のメタノール中で、より好ましくは50〜70℃のメタノール中で、0.5〜1時間撹拌し洗浄することが好ましい。
また、前記有機溶剤による洗浄による沈殿物は、撹拌洗浄時と同じ有機溶剤及び温度で、濾過することが好ましい。
当該有機溶剤洗浄後は、例えば80℃程度の真空乾燥機で乾燥し、粉砕してジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物を得ることができる。
更に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))をより高くするため、或いは、前記一般式(I−o)で表される化合物を含まないようにするために、上記のように合成された顔料誘導体組成物を、更に再結晶化しても良い。前記一般式(I−p)で表される化合物が再結晶化するような条件で再結晶化することにより、前記(I−p)/(I−o)比を著しく高くすることができるようになる。このような場合、顔料誘導体組成物を少量用いるだけで顔料析出抑制効果が高くなり、且つコントラスト低下抑制効果が高くなる点から好ましい。
前記一般式(I−p)で表される化合物が再結晶化するような条件としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)に1.0〜3質量%、50〜90℃で加熱して完全に溶解させた後、25℃で24時間放置することにより再結晶化することが挙げられるが、当該条件に限定されるものではない。
本発明に係る前記一般式(I−p)で表される化合物を特定の比で含む、ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物は、コントラストを低減させることなく、顔料析出抑制剤として好適に用いることができる。本発明において顔料析出抑制剤とは、溶液中乃至塗膜中で、顔料析出物の発生を抑制できる化合物をいう。本発明に係るジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物を含む顔料析出抑制剤は、高温加熱時であっても顔料析出物の発生を抑制する優れた効果を有する。
[顔料組成物]
本発明の顔料組成物は、ジケトピロロピロール系顔料と、下記一般式(I−p)で表される化合物とを含有し、更に下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物の少なくとも1種を含有していても良く、
前記請求項1に記載の条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、下記(iii)、(iv)及び(v)を満たす、顔料組成物であることを特徴とする。
(iii)下記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上
(iv)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
(v)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であるか、又は、下記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0である
Figure 0006488143
Figure 0006488143
(一般式(I−p)、一般式(I−o)及び一般式(I−di)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n、m、n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る顔料組成物は、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、(iii)前記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上であり、(iv)前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか又は前記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0であり、且つ、(v)前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であることにより、前記ジケトピロロピロール系顔料に対して、顔料析出抑制効果を発現するp体を、効果を発現するのに十分な量比で含有し、且つ、顔料析出抑制効果を発現するp体を顔料析出抑制効果が殆どなくコントラストを低下させるo体と比較して一定以上の割合で含み、且つ、顔料析出抑制効果を発現するp体を顔料析出抑制効果が低くコントラストを低下させるdi体と比較して一定以上の割合で含むことにより、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能である。
上記顔料組成物は、後述する本発明に係る着色樹脂組成物の予備調製物として好適に用いられる。本発明の顔料組成物は、少なくとも、ジケトピロロピロール系顔料と、前記一般式(I−p)で表される化合物とを含有し、更に下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物の少なくとも1種を含有していても良く、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。例えば、本発明の顔料組成物には、更に、溶剤を含有する顔料分散液の態様も含まれる。
以下、本発明の顔料組成物の第一の態様である溶剤を含有しない混合物と、第二の態様である溶剤を含有する顔料分散液について、順に説明する。
(1)溶剤を含有しない混合物
本発明の顔料組成物が溶剤を含有しない混合物である場合、当該混合物は、少なくともジケトピロロピロール系顔料と、前記一般式(I−p)で表される化合物とを含有し、更に下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物を含有していても良い粉体混合物であり、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。以下、このような粉体混合物に含まれる各成分について順に説明するが、前記一般式(I−p)で表される化合物、前記一般式(I−o)で表される化合物、及び前記一般式(I−di)で表される化合物については上述したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
<ジケトピロロピロール系顔料>
本発明の顔料組成物において、前記本発明に係る顔料誘導体組成物と組み合わせて用いられるジケトピロロピロール系顔料は、ジフェニルジケトピロロピロール骨格を有することが好ましく、下記一般式(II’)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0006488143
(一般式(II’)において、Y及びY、並びに、n”及びm”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n”及びm”がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
一般式(II’)中、Y及びYについては、一般式(I−p)及び一般式(I−o)と同様であって良いので、ここでの説明を省略する。
一般式(II’)中、n”及びm”は、それぞれ独立に、ジケトピロロピロール骨格に結合したフェニル基の置換基の数であるが、より好ましくは各々0〜1である。顔料誘導体組成物の原料ではなく、顔料として用いられる一般式(II’)においては、n” 及びm”は、各々1であることが、中でもより好ましい。
置換基Y及びYについては、所望の色により適宜選択されれば良いが、中でも、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基、フェニル基であることが好ましく、中でも塩素原子、臭素原子が好ましい。
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、適宜調整すればよい。中でも、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、15〜60nmであることがより好ましい。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)又は走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。
市販のC.I.ピグメントレッド254、255、264、272等を用いても良い。ジケトピロロピロール系顔料がC.I.ピグメントレッド254の場合、市販のC.I.ピグメントレッド254(例えば、BASFジャパン製イルガフォアレッドB−CF等)をミリングして用いても良い。
<他の顔料>
本発明において、顔料は、ジケトピロロピロール系顔料の他に、必要な色度を達成するために、公知の無機顔料および有機顔料の中から1種または2種以上を混合して用いてもよい。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。
本発明の顔料組成物は、その他の顔料を含んでいても良い。その他の顔料を用いることにより、本発明の顔料組成物は、カラーフィルタの所望の色の着色層に適した組成物とすることができる。例えば、本発明の顔料組成物は、赤色顔料、或いは、橙顔料又は黄色顔料等を含むことが好ましい。当該顔料を用いることにより、本発明の顔料組成物は、所望の赤色着色層に適した組成物とすることができる。
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、168、175;
C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、265。中でも、C.I.ピグメントレッド177、242、C.I.ピグメントイエロー138、139、150からなる群から選択される少なくとも1種が、ジケトピロロピロール系顔料と組み合わせて好ましく用いられる。
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラック等を挙げることができる。
ジケトピロロピロール顔料を含む顔料全体の平均一次粒径は、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、15〜60nmであることがより好ましい。
<顔料分散剤>
本発明の顔料組成物は、更に顔料分散剤を含有してもよい。
顔料分散剤としては、従来公知の顔料分散剤の中から適宜選択して用いることができる。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、分散性の点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプトラクトン系の主鎖を有し、側鎖に、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の極性基を有する分散剤等が挙げられる。このような高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
このような高分子分散剤としては、市販品を用いることができ、例えば、ルーブリゾール社製のSOLSPERSE、ビックケミー社製のDISPERBYK、BASF社製のEFKA等が挙げられる。
顔料分散剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子分散剤としては、中でも、前記顔料を好適に分散でき、分散安定性が良好である点から、主鎖又は側鎖に窒素原子を含み、アミン価を有する高分子分散剤が好ましく、中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体からなる高分子分散剤であることが、分散性が良好で塗膜形成時に異物を析出し難く、溶剤への再溶解性に優れる点から好ましい。
3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体を分散剤として用いることにより、前記顔料の分散性及び分散安定性が向上する。3級アミンを有する繰り返し単位は、前記顔料と親和性を有する部位である。3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体からなる高分子分散剤は、通常、溶剤と親和性を有する部位となる繰り返し単位を含む。3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体としては、中でも、3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部と、溶剤親和性を有するブロック部とを有するブロック共重合体であることが、耐熱性に優れ、高輝度となる塗膜を形成可能となる点で好ましい。
このような3級アミンを有する繰り返し単位からなるブロック部と溶剤親和性を有するブロック部とを有するブロック共重合体の具体例としては、例えば、特許第4911253号公報、特許第5487564号公報、特開2013−68935公報に記載のブロック共重合体を好適なものとして挙げることができる。またこのような分散剤の具体例の市販品としては、BYK−LPN6919(ビックケミー社製)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体のアミン価は、特に限定されないが、分散性を良好なものとし、耐熱性に優れ、再溶解性、アルカリ現像性を向上する点から、30〜180mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、更に50〜160mgKOH/gであることがより好ましい。
アミン価は、試料1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237に定義された方法により測定することができる。
本発明においては、前記顔料の分散性や分散安定性の点から、前記3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体中のアミノ基のうちの少なくとも一部と、有機酸化合物及びハロゲン化炭化水素の少なくとも1種とが塩を形成したものを分散剤として用いることがより好ましい(以下、このような重合体を、塩型重合体と称することがある)。
中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体がブロック共重合体であって、前記有機酸化合物がフェニルホスホン酸やフェニルホスフィン酸等の酸性有機リン化合物であることが、顔料の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。このような分散剤の具体例としては、例えば、特開2012−236882号公報、特許第5540599号公報、特許第5229426号等に記載の塩型ブロック共重合体が好適なものとして挙げられる。
また、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体がブロック共重合体であって、前記ハロゲン化炭化水素が、臭化アリル、塩化ベンジル等のハロゲン化アリル及びハロゲン化アラルキルの少なくとも1種であることが、顔料の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。このような分散剤の具体例の市販品としては、BYK21116(ビックケミー社製)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
<その他の成分>
本発明の顔料組成物には、更に必要に応じて、分散補助樹脂、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤など、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述する着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
<含有割合>
本発明に係る顔料組成物は、前記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上であり、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であり、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上となるように、ジケトピロロピロール系顔料と、前記顔料誘導体組成物とを組み合わせて用いる。
前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物の面積は0.60以上であるが、中でも0.80以上、更に1.00以上とすると、特に顔料析出抑制効果が高い点から好ましい。一方で、前記一般式(I−p)で表される化合物の添加量が高すぎると、顔料析出抑制には必要以上添加することになり、コントラストが低下する恐れがある。そのため、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物の面積は10以下であることが好ましく、更に5以下であることが好ましく、更に3以下であることがより好ましい。
高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能な点から、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))は0.55以上であるが、より少量の顔料誘導体組成物の添加で顔料析出物の発生を抑制して、コントラストを向上することができる点から、前記面積比の値は高ければ高いほど好ましく、中でも0.80以上であることが好ましく、1.00以上であることが更に好ましく、2.50以上であることがより更に好ましく、5以上であることが特に好ましい。
また、高温加熱下等において顔料析出物の発生を抑制し、且つ高コントラストの着色層を作製可能な点から、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))は1.30以上であるが、より少量の顔料誘導体組成物の添加で顔料析出物の発生を抑制して、コントラストを向上することができる点から、前記面積比の値は高ければ高いほど好ましく、更に2.0以上であることがより好ましい。
また、高コントラストの着色層を作製可能な点から、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積は2.50以下であることが好ましく、更に1.20以下、より更に1.00以下であることが好ましい。或いは、顔料組成物中に前記一般式(I−o)で表される化合物が含まれない、すなわち、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0であることが特に好ましい。
更に、高コントラストの着色層を作製可能な点から、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−di)で表される化合物の面積は1.6以下であることが好ましい。或いは、前記一般式(I−di)で表される化合物は、顔料析出抑制能をある程度有する傾向があることから上記範囲内であれば含有していても良いが、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0であっても良い。
本発明の顔料組成物が、溶剤を含まない粉体混合物である場合において、ジケトピロロピロール系顔料を含む顔料の合計の含有量は、粉体混合物全量100質量部に対して、1質量部以上99.7質量部未満であることが好ましく、10質量部以上99.7質量部未満であることがより好ましく、30質量部以上99.7質量部未満であることがより好ましい。
顔料中のジケトピロロピロール系顔料の含有割合は、顔料全体を100質量部としたときに、3.0〜100質量部であることが好ましく、5.0〜100質量部であることがより好ましい。
粉体混合物において、前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物の合計の含有量は、前記条件で液体クロマトグラフィー測定により特定された前記特定の面積比を満たすように添加されれば良いが、ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましく、更に1〜3質量部であることがより好ましい。
また、顔料分散剤を用いる場合、その含有割合は、顔料全体を100質量部としたときに、5.0〜100質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
<調製方法>
粉体混合物は、前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物と、ジケトピロロピロール系顔料と必要に応じて他の成分を混合することにより得ることができる。前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物と、ジケトピロロピロール系顔料は、混合前にソルベントソルトミリング法やドライミリング法などにより粉砕し、必要に応じて洗浄、乾燥、分級したものを用いてもよく、混合後に同様の方法により粉砕し、必要に応じて洗浄、乾燥、分級したものを用いてもよい。
また、前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物は、ジケトピロロピロール系顔料を合成・製造する段階において混合してもよく、顔料の結晶成長抑制や結晶型制御に効果が期待できる。また、ジケトピロロピロール系顔料を含む、顔料組成物や着色樹脂組成物を作製する段階において混合してもよい。
(2)顔料分散液
本発明の顔料組成物は、溶剤を含有して、顔料分散液となっていてもよい。当該顔料分散液は、少なくとも、前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物と、ジケトピロロピロール系顔料と、溶剤とを含有し、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。以下、このような顔料分散液について説明するが、溶剤以外の各成分については上記溶剤を含まない顔料組成物と同様であるため、ここでの説明は省略する。
<溶剤>
溶剤は顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な溶剤であればよく、特に限定されない。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸イソブチル、酪酸n−ブチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、及び、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の顔料組成物が、溶剤を含有する顔料分散液である場合において、顔料分散液中の固形分の含有割合は、溶剤を含む顔料分散液全体を100質量部としたときに、固形分が0.1〜70質量部であることが好ましく、1.0〜50質量部であることがより好ましい。
なお、本発明において固形分とは、溶剤以外のすべての成分のことをいい、後述する室温で液状のモノマーも固形分に含まれる。
溶剤を含有する顔料分散液は、後述する着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として好適に用いられる。すなわち、顔料分散液とは、後述の着色樹脂組成物を調製する前段階において、予備調製される(組成物中の顔料分)/(組成物中の顔料以外の固形分)比の高い顔料分散液である。具体的には、(組成物中の顔料分)/(組成物中の顔料以外の固形分)比は通常1.0以上である。顔料分散液と少なくともバインダー成分を混合することにより、顔料分散性に優れた着色樹脂組成物を調製することができる。
<調製方法>
顔料分散液の調製方法は、前記溶剤中に、少なくとも、前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物と、ジケトピロロピロール系顔料を含む顔料を添加し、従来公知の分散処理を行うことにより得ることができる。分散処理を行うための分散機としては、例えば、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
また、上記溶剤中に、上記粉体混合物を添加し、上記と同様の方法により分散処理を行うことにより、顔料分散液を得ることができる。
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、15〜60nmの範囲内であることがより好ましい。顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する顔料分散液中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
[着色樹脂組成物]
本発明に係る着色樹脂組成物は、前記本発明に係る顔料組成物と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
本発明に係る着色樹脂組成物は、前記本発明に係る顔料組成物と、バインダー成分とを必須成分として含み、溶剤や、その他の成分を含有してもよい。例えば、室温(25℃)で液状のモノマーを含有する場合等、溶剤を含有しない態様であっても良い。
以下、着色樹脂組成物について説明するが、顔料組成物については上述の通りであり、溶剤については上述のものと同様のものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
<バインダー成分>
本発明に係る着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与し、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、カラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる公知の硬化性バインダー成分を適宜選択して用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
本発明に係る着色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタの着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、光硬化性バインダー成分等を適宜用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、国際公開第2014/069416号公報に記載のものを挙げることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。
本発明の着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体の具体例としては、例えば、国際公開第2014/069416号公報、特開2010−150404公報に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有しないモノマーと、(メタ)アクリル酸及びその無水物から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい重量平均分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。なお、本発明における重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出したものである。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2014/069416号公報に記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、着色樹脂組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
(2)多官能モノマー
着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、国際公開第2014/069416号公報に記載のもの等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
(3)光開始剤
着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2014/069416号公報に記載のもの等が挙げられる。
着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、着色樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
<任意添加成分>
本発明の着色樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じ、溶剤、エチレン性不飽和二重結合を1つ有する単官能モノマーや各種添加剤を含むものであってもよい。溶剤としては、前述と同様で良いので、ここでの説明を省略する。
添加剤としては、例えば、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
<着色樹脂組成物における各成分の配合割合>
顔料の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量100質量部に対して、5〜65質量部、より好ましくは8〜55質量部の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、着色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその着色樹脂組成物中の顔料の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために耐溶剤性等の特性が不十分になる恐れがある。
前記一般式(I−p)で表される化合物を含む顔料誘導体組成物の合計の含有量は、前記顔料組成物で特定されたように、前記条件で液体クロマトグラフィー測定により特定された顔料に対する前記特定の面積比を満たすように添加されれば良いが、ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましく、更に1〜3質量部であることがより好ましい。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量100質量部に対して、1〜60質量部の範囲内であることが好ましく、中でも5〜50質量部の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、着色樹脂組成物の固形分全量100質量部に対して、1質量部未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60質量部を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
バインダー成分は、これらの合計量が、着色樹脂組成物の固形分全量100質量部に対して24〜94質量部、好ましくは40〜90質量部の割合で配合するのが好ましい。
また、溶剤の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶剤を含む上記着色樹脂組成物の全量100質量部に対して、通常、65〜95質量部の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量部の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
<着色樹脂組成物の製造>
着色樹脂組成物の製造方法としては、例えば(1)溶剤中に、上記本発明に係る顔料組成物と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(2)溶剤中に、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに上記本発明に係る顔料組成物を加えて混合する方法などを挙げることができる。該顔料組成物としては(1)、(2)のいずれの場合も予備調製物である、溶剤を含有する顔料分散液を用いるのが好ましい。
[カラーフィルタ]
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係る着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有する。
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
<着色層>
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係る着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、前記着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
当該着色層は、例えば感光性樹脂組成物を用いる場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
<遮光部>
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
<透明基板>
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や配向突起、柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
[表示装置]
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。
<液晶表示装置>
液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。前記方法によって液晶層を形成後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
<有機発光表示装置>
有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
なお、各分析は、以下のように行った。
(1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
装置:高速液体クロマトグラフィー、日本ウォーターズ(株)社製 2696 Separation Module
検出器:2996 Photodiode Detector(フォトダイオードアレイ検出器)
検出条件:全波長域(250nm〜800nm)で収集した後、400nm〜600nmのピークを積算。Sampling Rateは1.000spectra/s、分解能は3.6nm
カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲル(粒子径:5.0μm)からなるカラム(内径;4.6mm×長さ;50mm)
溶離液:下記(A)、(B)、及び(C)の混合液を使用。
(A)水、(B)NMP、(C)100mM酢酸アンモニウム水溶液
溶離液(A)、(B)、(C)の体積比 (A)/(B)/(C)=45/50/5 (15分)
流速:0.8ml/分
カラム温度:60℃
注入量:50μL
試料溶解:前記溶離液(B)で100ppmに調製(完全溶解)
(2)質量分析
装置;高速液体クロマトグラフ質量分析計
(ブルカーダルトニクス株式会社製、MicrOTOF−QII)
イオン化法;ESI(エレクトロスプレーイオン化)法
(3)NMR測定
装置:NMR測定装置(ブルカー・バイオスピン社、AVANCEIII HD500MHz、解析ソフトウェア Top spin 3.2)
サンプル:0.0015gを重DMSOに溶解させた。
測定条件;H NMR、H−H COSY
<解析>
PR255とN−ヒドロキシフタルイミド(フタルイミドとパラホルムアルデヒドの反応生成物)の反応では数種類の異性体が生成する可能性がある。HPLC、ESI−MS、及びNMRにて生成物を分析した結果、PR255にフタルイミドメチル基が1つ導入された1置換体と2つ導入された2置換体が生成し、3置換体は生成していないことが分かった。また1置換体としては、ジケトピロロピロール骨格に置換したフェニレン基において、ジケトピロロピロール骨格に対してパラ(p)位にフタルイミドメチル基が置換したp体(前記一般式(I−p))と、ジケトピロロピロール骨格に対してオルト(o)位にフタルイミドメチル基が置換したo体(前記一般式(I−o))が生成し、2置換体(前記一般式(I−di))としては、ジケトピロロピロール骨格に置換した2つのフェニレン基にそれぞれ1つずつフタルイミドメチル基が置換した、o,o’体、o,p’体、p,p’体と、ジケトピロロピロール骨格に置換した2つのフェニレン基のうち1つのフェニレン基のオルト位とパラ位にフタルイミドメチル基が置換したop体が生成していることが分かり、ジケトピロロピロール骨格に対してメタ(m)位にフタルイミドメチル基が置換したm体は存在しないことが分かった。
具体的には、顔料誘導体組成物を前記HPLC測定によると、リテンションタイムが2.6分、3.1分、3.6分、5.2分、6.2分、11.8分において、ピークが検出された。原料のPR255の測定により2.6分のピークはPR255と同定した。2.6分以外のピークについては各ピークのリテンションタイムで分取を行い、各分取物について、ESI−MSによる質量分析を行った。その結果(M+H)は以下のとおりである。
3.1分: ESI−MS(M+H)448.14
3.6分: ESI−MS(M+H)607.17
5.2分: ESI−MS(M+H)448.14
6.2分: ESI−MS(M+H)607.17
11.8分: ESI−MS(M+H)607.17
ESI−MSによる質量分析からPR255にフタルイミドメチル基が1つ導入された1置換体であることが明らかにされたリテンションタイム 3.1分および5.2分の成分については、再結晶により、これらの成分の含有率を十分に高くした顔料誘導体組成物3及び4を下記のように調製し、当該顔料誘導体組成物3及び4を用いて、H NMR、H−H COSY二次元NMR測定により構造の同定を行った。上記のNMR測定及び質量分析の結果、3.1分の成分は前記一般式(I−o)で表される化合物、5.2分の成分は前記一般式(I−p)で表される化合物であることがわかった。更に、顔料誘導体組成物3及び4と顔料誘導体組成物1とを用いて、H NMR、H−H COSY二次元NMR測定により構造の同定を行い、6.2分の成分は前記一般式(I−di)で表される化合物の異性体のうち前記o,p’体であることが、11.8分の成分は前記一般式(I−di)で表される化合物の異性体のうち、前記o,o’体及びp,p’体の2成分であることがわかった。更に、3.6分の成分は前記一般式(I−di)で表される化合物の異性体のうち、前記op体であることが推定された。
また、再結晶を行ってp体の含有率を十分に高くした顔料誘導体組成物3と、o体の含有率を十分に高くした顔料誘導体組成物4の試料を用いて、前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合の前記一般式(I−p)で表される化合物の面積比と、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積比から計算した各成分の含有割合と、NMR測定結果のピーク積分値から計算した各成分の含有割合とを比較した。
顔料誘導体組成物3の前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合の3.1分の成分(前記一般式(I−o)で表される化合物)の面積比は“2”、5.2分の成分(前記一般式(I−p)で表される化合物)の面積比は“65”、前記o,o’体及びp,p’体の2成分である11.8分の成分の面積比は“27”であった。顔料誘導体組成物3のNMR測定結果のピーク積分値から求められるモル比は、前記一般式(I−o)で表される化合物が6モル%、前記一般式(I−p)で表される化合物及び前記p,p’体の合計が91モル%、前記o,o’体が0モル%であった。顔料誘導体組成物3においては、前記HPLC測定における11.8分の成分は、前記p,p’体のみであると推定され、5.2分の成分(前記一般式(I−p)で表される化合物)の面積比“65”と前記p,p’体である11.8分の成分の面積比“27”の合計は“92”と算出される。顔料誘導体組成物3において、前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合前記一般式(I−o)で表される化合物の面積比は“2”、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記p,p’体の面積比の合計は“92”に対して、NMR測定結果のピーク積分値から求められるモル比は、前記一般式(I−o)で表される化合物が6モル%、前記一般式(I−p)で表される化合物及び前記p,p’体の合計が91モル%であった。
また、顔料誘導体組成物4の前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合の3.1分の成分(前記一般式(I−o)で表される化合物)の面積比は“82”、5.2分の成分(前記一般式(I−p)で表される化合物)の面積比は“2”、前記o,o’体及びp,p’体の2成分である11.8分の成分の面積比は“6”、前記o,p’体である6.2分の成分の面積比は“2”であった。顔料誘導体組成物4のNMR測定結果のピーク積分値から求められるモル比は、前記一般式(I−o)で表される化合物が85モル%、前記一般式(I−p)で表される化合物及び前記p,p’体の合計が5モル%、前記o,o’体が2モル%、前記o,p’体が4モル%であった。顔料誘導体組成物4においては、前記HPLC測定における11.8分の成分は、前記p,p’体とo,o’体の混合物と推定され、5.2分の成分(前記一般式(I−p)で表される化合物)の面積比“2”と前記p,p’体とo,o’体の混合物である11.8分の成分の面積比“6”の合計は“8”と算出される。顔料誘導体組成物4において、前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合前記一般式(I−o)で表される化合物の面積比は“82”、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記p,p’体とo,o’体の面積比の合計は“8”、前記o,p’体の面積比は“2”に対して、NMR測定結果のピーク積分値から求められるモル比は、前記一般式(I−o)で表される化合物が85モル%、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記p,p’体とo,o’体の合計が7モル%、前記o,p’体が4モル%であった。
このように、HPLCの面積比から計算した各成分の含有割合と、NMRのピーク積分値から計算した各成分の含有割合(モル比)は同様の傾向を示すことが分かった。以上のことから、前記HPLC測定における、全ピーク面積を100とした場合の、前記一般式(I−p)で表される化合物と、前記一般式(I−o)で表される化合物の面積比のそれぞれは定量性があり、組成比の指標とすることが可能であることが分かった。
(合成例1:顔料誘導体組成物1の調製)
98.5%濃硫酸320gに10〜25℃を保ちながら、フタルイミド(三星化学工業(株)製)5.00gとパラホルムアルデヒド(関東化学(株)製)1.02gを、徐々に添加し、10〜25℃で完全に溶解させた後、温度を保ったまま1時間攪拌した。次いでPR255(クロモフタルDPPコーラルレッドC;BASF社製)8.0gを5℃以下に保ちながら10分間かけて添加し、その後温度を2.5〜5℃の範囲に保ったまま7時間攪拌した。反応混合物を氷水(氷870g、水450g)にあけ、30分間撹拌後、析出物を濾別した。得られたウェットケーキを60〜70℃の温水で洗浄、ろ別し、濾液のpHが4以上となるまでこれを繰り返した。得られたウェットケーキを更に60〜70℃のメタノール300ml中で1時間撹拌し、沈殿物を60〜70℃で熱ろ別した。次に、80℃の真空乾燥機で乾燥し、粉砕して、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体(顔料誘導体組成物1)を得た。このときの収率は83%であった。ただし、顔料誘導体組成物の調製において、収率は、得られた生成物が全て、顔料1分子中に1つのフタルイミドメチル基が導入されていると仮定して計算によって求めた。
(合成例2:顔料誘導体組成物2の調製)
60〜70℃のメタノール300ml中で1時間撹拌後の沈殿物をろ別する際の温度を50℃とした以外は、合成例1と同様にしてC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体(顔料誘導体組成物2)を得た。このときの収率は89%であった。
(合成例3:顔料誘導体組成物3の調製)
合成例1で調製した顔料誘導体組成物1 10.0gにNMP700gを加え、90℃で加熱攪拌し、顔料誘導体組成物1を完全に溶解させた。その後このNMP溶液を室温で24時間放置することで、沈殿物を得た。当該沈殿物を室温でろ別、水洗、乾燥し、顔料誘導体組成物3とした。
(合成例4:顔料誘導体組成物4の調製)
合成例3において、顔料誘導体組成物3をろ別した後のろ液に、エタノールを500g添加し沈殿物をろ別した。得られたろ液にさらに水50mlを加え、析出した沈殿物をろ別した。その後、水の添加と沈殿物のろ別を繰り返し、得られた沈殿物を水洗、乾燥粉砕することで、顔料誘導体組成物4を得た。
(合成例5:顔料誘導体組成物5の調製)
前記特許文献4(特開2012−229365)に記載のように、98.5%濃硫酸320gに5℃以下を保ち、得られたウェットケーキを40〜60℃の温水で洗浄し、温水洗浄後の洗浄時の溶剤をエタノールにし、洗浄温度を70〜80℃、ろ過温度を70〜80℃に変更した以外は、合成例1と同様にしてC.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体(顔料誘導体組成物5)を得た。このときの収率は89%であった。
(合成例6:顔料誘導体組成物6の調製)
前記特許文献3(特開昭62−149759号公報)の実施例10の記載に従って、C.I.ピグメントレッド255のフタルイミドメチル化誘導体(顔料誘導体組成物6)を合成した。このときの収率は42%であった。
(合成例7〜12:顔料誘導体組成物7〜12の調製)
顔料誘導体組成物3と顔料誘導体組成物4とを質量比で、合成例7では80:20、合成例8では60:40、合成例9では50:50、合成例10では40:60、合成例11では20:80、合成例12では10:90で混合して、顔料誘導体組成物7〜12を調製した。
得られた顔料誘導体組成物1〜12について、前記HPLC分析によって、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積と、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))を求めた。更に、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))も求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006488143
<バインダー樹脂Aの合成>
重合槽に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてアゾイソブチロニトリル2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44重量%)を得た。得られたバインダー樹脂Aの重量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
<分散剤・バインダー樹脂溶液の調製>
225mLマヨネーズ瓶中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート66.9質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(固形分60重量%)4.83質量部、上記バインダー樹脂A 14.7質量部をそれぞれ溶解させた。混合溶液にフェニルホスホン酸0.3質量部を加え、室温で30分攪拌することで分散剤・バインダー樹脂溶液を調製した。
(実施例1)
(1)赤色顔料分散液の調製
上記で調製した分散剤・バインダー樹脂溶液90.5質量部に、C.I.ピグメントレッド254顔料9.00質量部、合成例1で得られた顔料誘導体組成物1を0.50質量部混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで24時間分散し、赤色顔料分散液1を得た。
(2)赤色着色樹脂組成物の調製
上記で得られた赤色顔料分散液1 59.6質量部とアルカリ可溶性樹脂(上記バインダー樹脂A、固形分44重量%)2.49質量部、3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成(株)製)1.87質量部、光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン)0.26質量部、光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン)0.58質量部、光増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)0.20質量部、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))35.0質量部から成るバインダー組成物40.4質量部とを混合し、加圧濾過を行って、赤色着色樹脂組成物1を得た。
(実施例2〜9、及び比較例1〜9)
(1)赤色顔料分散液の調製
実施例1において、C.I.ピグメントレッド254顔料と、顔料誘導体組成物とを表2に記載するように変更した以外は、実施例1と同様にして、赤色顔料分散液2〜9及び比較赤色顔料分散液1〜9を調製した。
(2)赤色着色樹脂組成物の調製
実施例1において、赤色顔料分散液1の代わりに、上記で得られた赤色顔料分散液2〜9及び比較赤色顔料分散液1〜9を用いた以外は実施例1と同様にして、赤色着色樹脂組成物2〜9及び比較赤色着色樹脂組成物1〜9を調製した。
(比較例10)
(1)比較赤色顔料分散液の調製
実施例1において、顔料誘導体組成物を用いずに、C.I.ピグメントレッド254顔料の含有量を表2に記載するように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較赤色顔料分散液10を調製した。
(2)比較赤色着色樹脂組成物の調製
実施例1において、赤色顔料分散液1の代わりに、上記で得られた比較赤色顔料分散液10を用いた以外は実施例1と同様にして、比較赤色着色樹脂組成物10を調製した。
[評価]
(1)顔料析出物の発生の確認
実施例1〜9、比較例1〜10の赤色感光性樹脂組成物を、それぞれ、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、パターンの形成された赤色着色基板を得た。
パターンの形成された赤色着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークを行った。さらに240℃のオーブンで追加ベークを30分行い、パターン塗膜上に顔料析出物の有無を確認した。
(2)コントラスト
実施例1〜9、比較例1〜10の赤色感光性樹脂組成物を、それぞれ、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(赤色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.653になるように調整した。赤色着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークを行った。さらに240℃のオーブンで追加ベークを30分行い、赤色着色基板を得た。当該基板のポストベーク後、追加ベーク後のコントラストを測定した。
コントラスト及び耐熱性の評価結果を表2に示す。
[評価基準]
<顔料析出>
全くなし ◎
10cm×10cmあたり1個以上10個以下 ○
10cm×10cmあたり10個超過30個未満 △
10cm×10cmあたり30個以上 ×
<追加ベーク後コントラスト>
比較例10(誘導体未添加)のポストベーク後(追加ベーク前)のコントラストを基準値としたときの、コントラストの変化率を元に評価した。
基準値比100%以上 ◎
基準値と同等(97.5以上100%未満) ○
基準値比90%以上97.5%未満 △
基準値比90%未満 ×
Figure 0006488143
[結果のまとめ]
実施例1〜9の結果から、ジケトピロロピロール系顔料と、前記一般式(I−p)で表される化合物と、前記一般式(I−o)で表される化合物とを含有し、前記特定条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、下記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上であり、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であり、前記一般式(I−p)で表される化合物と前記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上である場合には、高温加熱下においてジケトピロロピロール系顔料の析出物が抑制され、且つ高コントラストの着色層を作製可能な、顔料組成物、顔料分散液、及び着色樹脂組成物を提供することができることが明らかにされた。
また、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、下記一般式(I−p)で表される化合物の面積が1.00以上程度とすれば、顔料析出抑制効果が特に高くなることが明らかにされた。
実施例6のように、前記((I−p)/(I−o))が著しく高い場合には、顔料誘導体の添加量をより少量とすることができるため、コントラストを特に高くすることができることが明らかにされた。
一方、前記((I−p)/(I−o))が0.55以上を満たさない比較例1は、顔料の析出物は抑制できるものの、低いコントラストとなることが明らかにされた。
前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、前記(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上、前記((I−p)/(I−o))が0.55以上、前記((I−p)/(I−di))が1.30以上のいずれも満たさない比較例2〜6は、顔料析出抑制効果が殆どなく、低いコントラストとなることが明らかにされた。比較例4〜6のように、前記((I−p)/(I−o))が著しく低い場合には、顔料誘導体の添加量を多くしても顔料析出抑制効果が殆どなく、低いコントラストとなることが明らかにされた。
前記((I−p)/(I−o))と前記((I−p)/(I−di))とが本願の範囲を満たさないが比較的近い値を有する顔料誘導体組成物5の場合、比較例8のように実施例2,3,5,7,8,9と同様の添加量で用いると、顔料析出抑制効果が殆どなく、低いコントラストとなり、比較例7のように添加量を多くすると、顔料の析出物は抑制できるものの、やはり低いコントラストとなることが明らかにされた。
前記((I−p)/(I−o))は本願の範囲を満たすが、前記((I−p)/(I−di))が本願の範囲を満たさない顔料誘導体組成物6を用いた比較例9では、実施例2,3,5,7,8,9と同様の含有量で用いると、顔料析出抑制効果が殆どなく、低いコントラストとなることが明らかにされた。
また、顔料誘導体組成物を添加しなかった比較例10は、顔料の析出物が発生し、コントラストが著しく低下した。
[誘導体添加による顔料分散性への影響]
誘導体添加による顔料分散性への影響を確認するために、再結晶を行ってp体の含有率を十分に高くした顔料誘導体組成物3と、o体の含有率を十分に高くした顔料誘導体組成物4の試料を用いて、ポストベーク後追加ベーク前のコントラストを評価した。上記評価方法においてポストベーク後(追加ベーク前)は、顔料が未だ析出されない時点である。そのため、ポストベーク後(追加ベーク前)のコントラストについて、誘導体を添加していない比較例10のコントラストと比較することにより、誘導体添加による顔料分散性への影響が確認できる。
(比較例11〜12)
(1)赤色顔料分散液の調製
実施例1において、C.I.ピグメントレッド254顔料と、顔料誘導体組成物とを表3に記載するように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較赤色顔料分散液11〜12を調製した。
(2)赤色着色樹脂組成物の調製
実施例1において、赤色顔料分散液1の代わりに、上記で得られた比較赤色顔料分散液11〜12を用いた以外は実施例1と同様にして、比較赤色着色樹脂組成物11〜12を調製した。
比較例10、実施例4〜6、比較例4、11及び12の赤色感光性樹脂組成物を、それぞれ、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(赤色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.653になるように調整した。赤色着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークを行い、赤色着色基板を得た。当該基板のポストベーク後(追加ベーク前)のコントラストを測定した。
顔料誘導体組成物を添加していない比較例10のポストベーク後(追加ベーク前)のコントラストを100%とした時の相対値を表3に示す。
Figure 0006488143
分散性が劣ると、ポストベーク後(追加ベーク前)のコントラストが低下する。コントラストが低下した度合いは、オルト体の含有量が多い比較例4が最も高かった。一方、パラ体の含有量が高い顔料誘導体組成物の添加では、添加量の差によるコントラストの差は生じておらずまた低下も見られなかった。これらのことから、パラ体添加により分散性の悪化は生じていないが、オルト体添加により分散性の悪化が生じることが明らかにされた。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置

Claims (6)

  1. 下記一般式(I−p)で表される化合物を含有し、下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物の少なくとも1種を含有していても良く、
    下記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、液体クロマトグラフィーの全ピーク面積を100とした場合に、下記(i)(ii)及び(vi)を満たす、ジケトピロロピロール系顔料誘導体組成物。
    (i)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との合計面積が60以上
    (ii)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
    (vi)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であるか、又は、下記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0である
    (液体クロマトグラフィー測定条件)
    装置:高速液体クロマトグラフ(HPLC)
    検出器:フォトダイオードアレイ検出器(400nm〜600nmのピークを積算)
    カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲル(粒子径:5.0μm)からなるカラム(内径;4.6mm×長さ;50mm)
    溶離液:下記溶離液(A)、(B)、(C)の混合液(A/B/C)を使用
    (A)水、(B)N−メチルピロリドン、(C)100mM酢酸アンモニウム
    (A/B/C)溶離液AとBとCの体積比A/B/C=45/50/5(15分)
    流速:0.8ml/分
    カラム温度:60℃
    注入量:50μL
    試料溶解:前記溶離液(B)で100ppmに調製(完全溶解)
    Figure 0006488143
    (一般式(I−p)及び一般式(I−o)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
    及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。n及びmが2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
    Figure 0006488143
    (一般式(I−di)において、R、X、Y 及びY は、それぞれ独立に、一般式(I−p)及び一般式(I−o)と同様であり、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY 及びY は同一であっても異なっていても良い。)
  2. ジケトピロロピロール系顔料と、下記一般式(I−p)で表される化合物とを含有し、更に下記一般式(I−o)で表される化合物及び下記一般式(I−di)で表される化合物の少なくとも1種を含有していても良く、
    下記条件で液体クロマトグラフィーにより測定された、前記ジケトピロロピロール系顔料のピーク面積を100とした場合に、下記(iii)、(iv)及び(v)を満たす、顔料組成物。
    (iii)下記一般式(I−p)で表される化合物の面積が0.60以上
    (iv)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−o)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−o))が0.55以上であるか、又は、下記一般式(I−o)で表される化合物の面積が0である
    (v)下記一般式(I−p)で表される化合物と下記一般式(I−di)で表される化合物との面積比((I−p)/(I−di))が1.30以上であるか、又は、下記一般式(I−di)で表される化合物の面積が0である
    (液体クロマトグラフィー測定条件)
    装置:高速液体クロマトグラフ(HPLC)
    検出器:フォトダイオードアレイ検出器(400nm〜600nmのピークを積算)
    カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲル(粒子径:5.0μm)からなるカラム(内径;4.6mm×長さ;50mm)
    溶離液:下記溶離液(A)、(B)、(C)の混合液(A/B/C)を使用
    (A)水、(B)N−メチルピロリドン、(C)100mM酢酸アンモニウム
    (A/B/C)溶離液AとBとCの体積比A/B/C=45/50/5(15分)
    流速:0.8ml/分
    カラム温度:60℃
    注入量:50μL
    試料溶解:前記溶離液(B)で100ppmに調製(完全溶解)
    Figure 0006488143
    Figure 0006488143
    (一般式(I−p)、一般式(I−o)及び一般式(I−di)において、Rはそれぞれ独立に、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Xはそれぞれ独立に、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
    及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ベンジル基、アルキル基が置換されていても良いフェニル基、及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、n’及びm’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。n、m、n’及びm’がそれぞれ独立に2以上の場合、複数のY及びYは同一であっても異なっていても良い。)
  3. 前記請求項に記載の顔料組成物と、溶剤とを含有する、顔料分散液。
  4. 前記請求項に記載の顔料組成物と、バインダー成分とを含有する、着色樹脂組成物。
  5. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項に記載の着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  6. 前記請求項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
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