JP2012229134A - 酸化物共晶体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を効率よく製造できる酸化物共晶体の製造方法を提供する。
【解決手段】2種以上の酸化物の融液13を収容するルツボ3内に設置したダイ1を用いて酸化物共晶体を製造する酸化物共晶体の製造方法であって、ダイ1が融液13を吸い上げる2以上の経路2を有し、2以上の経路2によって吸い上げられた融液13を合体させ、合体させた融液13に種結晶を接触させて引き上げることにより酸化物共晶体を得る酸化物共晶体の製造方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、酸化物共晶体の製造方法に関する。
ジェットエンジンなどで使用されるタービンブレードは、極めて高温に曝される部材であり、非常に高い耐熱性が求められる。現在、タービンブレードの材料として、主にNi基超合金が使用されている。
一方、ジェットエンジンは、燃焼室をより高い温度にして運転することにより燃焼効率を高めることができ、このことが省エネルギー化にもつながる。しかも、ジェットエンジンの運転温度は、最大出力時で約1500℃ほどになり、今後さらなる上昇傾向にあると見られる。
しかし、Ni基超合金は、サーマルバリアコーティングを施しても、1500℃以上の温度で使用することが困難である。
そこで、Ni基超合金に代わる新たな超高温材料が必要とされており、その候補の一つとして酸化物共晶体が知られている。酸化物共晶体は、共晶を構成する2種類以上のセラミックス相がそれぞれ単結晶として凝固成長し、これらのセラミックス相が単結晶のまま互いに絡み合って存在しているマトリクス構造を有するものである。
このような酸化物共晶体の製造方法として、例えば、いわゆるEFG(Edge-defined Film -fed Growth)法を用いて酸化物共晶体を製造する方法(下記特許文献1)、μ−PD(Micro Pull Down)法を用いて酸化物共晶体を製造する方法(下記特許文献2)およびブリッジマン法を用いて酸化物共晶体を製造する方法(下記特許文献3)が知られている。
特許文献1には、種結晶を、ルツボ内の共晶性融液の表面に接触させて、溶融フィルムを形成し、種結晶を上方に引き上げることによって溶融フィルムを方向性固化させ共晶性ファイバを形成することが記載されている。そして、複数本の共晶性ファイバを形成する場合には、複数のキャビティを持った金型を用い、複数の種結晶を用いて同時に引き上げることも開示されている。
特許文献2には、ルツボの底部に設けた細孔から下方に流出した融液を種結晶によりさらに下方へ引き出すことで、一方向凝固成長した酸化物共晶体からなる繊維を得ることが開示されている。
特許文献3には、2種の酸化物からなる混合粉末をルツボに仕込み、ルツボを加熱して混合粉末を溶解した後、ルツボを一定速度で降下させ一方向凝固させてセラミックス複合材料を得ることが記載されている。
特許第3770404号公報 特許第3852804号公報 特許第3216683号公報
しかし、上述した特許文献1〜3に記載の製造方法は以下の課題を有していた。
すなわち、特許文献1に記載の方法では、タービンブレードなどの構造部材を製造できる程度に十分大きな酸化物共晶体を得ることができない。ここで、十分大きな酸化物共晶体を得るためには、キャビティを大きくすることで、大型の酸化物共晶体を得ることも考えられる。しかし、キャビティが大きくなると、金型において毛細管現象が十分に起こらず、融液が結晶化されるまでに時間がかかり、その間に単結晶が十分に成長することとなる。その結果、微細な単結晶組織が得られず、1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を得ることができない。
また特許文献2に記載の方法では、最大でも直径2mmの非常に細い棒状の結晶しか得られず、タービンブレードなどの大型部材を製造することは困難である。
さらに特許文献3に記載の方法では、ルツボを降下させる速度が十分でない。このため、得られる酸化物共晶体を製造する過程において、単結晶組織の粒成長が起こり、微細な単結晶組織が得られなくなる。その結果、1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を得ることができない。また、特許文献3に記載の方法では、結晶の育成速度が5mm/h程度であり、EFG法やμ−PD法などに比べて非常に遅く、酸化物共晶体を効率よく製造することができない。
このように、特許文献1〜3記載の方法では、大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を効率よく製造することができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を効率よく製造できる酸化物共晶体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、2種以上の酸化物の融液を収容するルツボ内に、2以上の経路を有するダイを配置すると、2以上の経路によって吸い上げられた融液同士が互いに合体することを見出した。そして、この合体した融液に種結晶を接触させて引き上げることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、2種以上の酸化物の融液を収容するルツボ内に設置したダイを用いて酸化物共晶体を製造する酸化物共晶体の製造方法であって、前記ダイが前記融液を吸い上げる2以上の経路を有し、前記2以上の経路によって吸い上げられた前記融液を合体させ、合体させた前記融液に種結晶を接触させて引き上げることにより前記酸化物共晶体を得る酸化物共晶体の製造方法である。
この製造方法によれば、ダイの2以上の経路によって吸い上げられた融液を合体させ、合体させた融液に種結晶を接触させて引き上げることで、経路の数に応じた大きさの酸化物共晶体を得ることができる。このため、経路の数を多くすることで、大型の酸化物共晶体を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、合体した融液の引き上げ速度を、ブリッジマン法におけるルツボの降下速度よりも十分に大きくすることが可能である。このため、単結晶の組織の成長を十分に抑えながら酸化物共晶体を製造することが可能となる。このため、1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を得ることが可能となる。また、合体した融液の引き上げ速度を、ブリッジマン法におけるルツボの降下速度よりも十分に大きくすることが可能であるため、酸化物共晶体を効率よく形成することもできる。
上記製造方法において、前記経路がスリットであることが好ましい。この場合、経路が貫通孔である場合に比べて、原料の融液を吸い上げやすくなる。
ここで、前記ダイが、複数枚の板状部材と、隣り合う板状部材同士を接合する接合部とを有し、前記スリットが、隣り合う板状部材と前記接合部とによって形成されていることが好ましい。この場合、融液がスリットによって吸い上げられる際、融液の漏れが接合部によって十分に抑制される。このため、融液がスリットによって効率よく吸い上げられ、酸化物共晶体をより効率よく形成することができる。
上記製造方法において、前記経路は貫通孔であってもよい。
上記製造方法において、前記ダイがイリジウムによって構成されることが好ましい。この場合、ダイがイリジウム以外の材料によって構成される場合に比べて、酸化によるダメージが少なくなる。
上記製造方法において、前記ダイが、前記2以上の経路に接続され且つ前記融液を合体させる融液合体面を有し、前記融液合体面が凸面となっていることが好ましい。
融液合体面が平坦面であるダイにおいては、外側の方が中央部よりも冷却されやすいため、融液合体面において中央部の温度は外側部分の温度よりも高くなる。これに対し、融液合体面が凸面である場合、種結晶により融液が引き上げられると、引き上げられた融液は冷却されることとなる。このとき、融液合体面が凸面であると、冷却された融液によって融液合体面の中央部が外側部分よりもより冷却されることになる。その結果、融液合体面において中央部の温度と外側部分の温度との差を、融液合体面が平坦面である場合に比べて小さくすることができる。すなわち、ダイの外側部分の冷却速度と中央部分の冷却速度との差を小さくすることが可能となる。このため、得られる酸化物共晶体において、単結晶組織の大きさを比較的均一にすることが可能となり、酸化物共晶体の強度を比較的均一にすることが可能となる。
なお、本発明において、「融液合体面」とは、2以上の経路に接続され且つ融液を合体させる面であり且つダイの経路を形成する部材の端面を意味し、ダイの経路が複数の部材によって構成される場合には、各部材の端面の集合体をも意味するものとする。
本発明によれば、大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を効率よく製造できる酸化物共晶体の製造方法が提供される。
本発明に係る酸化物共晶体の製造方法の一実施形態に使用するダイを示す切断面端面図である。 図1のダイを示す平面図である。 図1のダイを収容したルツボを示す切断面端面図である。 ルツボを加熱する装置の一例を示す切断面端面図である。 図3のダイを収容したルツボにおいて、混合粉末を溶解させた状態を示す切断面端面図である。 図5のダイを収容したルツボにおいて、合体した融液に種結晶を接触させた状態を示す図である。 図6のダイを収容したルツボによって形成された育成結晶を引き上げている状態を示す図である。 本発明に係る酸化物共晶体の製造方法の他の実施形態において種結晶を引き上げている状態を示す図である。 図1のダイの変形例を示す平面図である。
以下、本発明に係る酸化物共晶体の製造方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の酸化物共晶体の製造方法の一実施形態における一工程を示す図である。
<第1実施形態>
(ダイ準備工程)
まず図1に示すようにダイ1を準備する。ダイ1は、原料となる2種以上の酸化物の融液を合体させる融液合体面1aと、融液合体面1aと反対側にあって融液が吸い込まれる融液吸込面1bと、融液合体面1aと融液吸込面1bとを結ぶように形成される2以上のスリット2とを有する。スリット2は、原料となる2種以上の酸化物の融液を吸い上げるためのものである。ここで、融液合体面1aは平坦面となっている。融液吸込面1bは通常は平坦面であるが、平坦面でなくてもよい。
図2は、ダイを示す平面図である。図2に示すように、2以上のスリット2は融液合体面1aにおいて互いに平行に配列されている。2以上のスリット2同士の間隔gは好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.3mm〜2mmである。スリット2同士の間隔gが上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比較して、各スリット2から突出した融液同士が合体しやすくなる。またスリット2の幅(最大幅)wは好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.3mm〜2mmである。スリット2の幅wが上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比較して、各スリット2から突出した融液同士が合体しやすくなる。
ダイ1は、平行に配置される複数枚の板状部材1cと、隣り合う板状部材1cの縁部同士を接合する接合部1dとによって構成され、スリット2は、隣り合う板状部材1cとそれらを接合する接合部1dとよって形成されている。ここで、接合部1dは、板状部材1cの融液合体面1a側の端部から、融液吸込面1b側の端部まで連続して設けられてもよいし、複数の接合部で構成され、これらが所定の間隔で不連続に設けられていてもよい。
ダイ1は、酸化物共晶体の原料となる酸化物の融点よりも高い融点を有する材料、例えばイリジウム、タングステン,モリブデン,レニウムで構成される。中でもイリジウムが、酸化によるダメージが少ないことから好ましい。
(収容工程)
図3は、図1のダイを収容したルツボを示す切断面端面図である。図3に示すように、ダイ1を準備した後は、ダイ1をルツボ3に収容する。このとき、ダイ1の融液吸込面1bがルツボ3の底面3aに対向するようにダイ1をルツボ3に収容する。またダイ1は、融液吸込面1bがルツボ3の底面3aと離間するようにルツボ3に収容される。これは原料となる2種以上の酸化物の混合粉末の融液をダイ1の融液吸込面1bから吸い上げることができるようにするためである。
続いて、酸化物共晶体の原料となる2種以上の酸化物の混合粉末4をルツボ3に収容する。ここで、2種以上の酸化物としては、例えばY、Sc、Zr、Fe、Co、Ni、Ga、Al、Mg、Ba、Be、Ca、Sr、Ti、Ta、Nb、Hf、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびThからなる群より選択される少なくとも22種の元素の酸化物が用いられる。酸化物としては、ダイ1との濡れ性が良好である酸化物が好ましい。この場合、毛細管現象による融液の吸い上げが起こり易くなるとともに、各スリット2から突出した融液同士が合体しやすくなる。ここで、「濡れ性が良好である」とは、酸化物の融液を、ダイ1と同一の材料で構成された部材の平坦面に滴下した場合の接触角が5°以下となることを言う。
次に、ルツボ3に、ダイ1を貫通させる開口6aが形成された蓋6を設ける。蓋6を設けるのは、混合粉末4の溶解によって得られる融液が蒸発によって流出することを抑制するためである。
(溶融工程)
次に、ルツボ3を加熱して混合粉末4を溶融させる。
図4は、ルツボ3を加熱する装置の一例を示す切断面端面図、図5は、図3のダイ1を収容したルツボ3において、混合粉末4を溶解させた状態を示す切断面端面図である。図4に示すように、加熱装置7は、筒状の気密用石英管8と、その内側に設けられる断熱性を有する筒状の保温材9と、保温材9の内側に収容される保温用セラミック粉末10と、保温材9を支持する支持台11と、気密用石英管8を巻回するように設けられる高周波コイル12とを備えている。
この加熱装置7において、高周波コイル12に電流を流すと、ルツボ3を介して混合粉末4が溶解して融液13となる(図5参照)。このとき、融液13は、毛細管現象により、ダイ1の融液吸込面1bから、2以上のスリット2によって融液合体面1aまで吸い上げられる。そして、図5に示すように、ダイ1の複数のスリット2の各々から突出した融液13同士は融液合体面1aにおいて広がり互いに合体する。
(種結晶接触工程)
図6は、図5のダイ1を収容したルツボ3において、合体した融液に種結晶を接触させた状態を示す切断面端面図である。ダイ1の2以上のスリット2の各々から突出した融液13同士を合体させた後は、図6に示すように、合体した融液13に種結晶14を接触させる。種結晶14としては、育成する共晶体と同組成の共晶体であることが望ましいが,サファイア等でも構わない。
(種結晶引上げ工程)
図7は、図6のダイ1を収容したルツボ3によって形成された育成結晶を引き上げている状態を示す切断面端面図である。図7に示すように、合体した融液13に種結晶14を接触させた後は、種結晶14を矢印Aの方向に引き上げる。すると、種結晶14とダイ1との間に酸化物共晶体(育成結晶)15が得られる。種結晶引上げ速度は、好ましくは10〜1000mm/hであり、より好ましくは200〜1000mm/hである。種結晶の引上げ速度が上記範囲内にあると、10mm/h未満である場合に比べて、酸化物共晶体15をより効率よく形成することができる。また1000mm/hを超える場合に比べて、酸化物共晶体15の太さが減少することをより抑制することができる。
この製造方法によれば、2種以上の酸化物の混合粉末4の融液13を、ダイ1の融液吸込面1bから2以上のスリット2によって融液合体面1aまで吸い上げ、融液合体面1aから突出する融液13同士を合体させ、この合体させた融液13に種結晶14を接触させて引き上げることで、スリット2の数に応じた大きさの酸化物共晶体15を得ることができる。このため、スリット2の数を多くすることで、大型の酸化物共晶体15を得ることができる。また、本実施形態の製造方法によれば、合体した融液13の引き上げ速度を、ブリッジマン法におけるルツボの降下速度よりも十分に大きくすることが可能である。このため、単結晶の組織の成長を十分に抑制しながら酸化物共晶体15を製造することが可能となる。このため、1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体15を得ることが可能となる。また、合体した融液13の引き上げ速度を、ブリッジマン法におけるルツボの降下速度よりも十分に大きくすることが可能であるため、酸化物共晶体を効率よく製造することもできる。
また本実施形態では、ダイ1が、複数枚の板状部材1cと、隣り合う板状部材1c同士を接合する接合部1dとを有し、スリット2が、隣り合う板状部材1cと接合部1dとによって形成されている。このため、融液13がスリット2によって吸い上げられる際、融液13の漏れが接合部1dによって十分に抑制される。このため、融液13がスリット2によって効率よく吸い上げられ、酸化物共晶体15をより効率よく形成することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る酸化物共晶体の製造方法の第2実施形態について図8を参照して説明する。なお、図8において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図8は、本発明に係る酸化物共晶体の製造方法の第2実施形態の一工程を示す図である。図8に示すように、本実施形態の製造方法は、ダイ1の融液合体面1aが凸面となっている点で、融液合体面1aが平坦面となっている第1実施形態と相違する。
第1実施形態では、融液合体面1aが平坦面であるため、外側の方が中央部よりも冷却されやすく、融液合体面1aにおいて中央部の温度は外側部分の温度よりも高くなる。
これに対し、本実施形態の製造方法によれば、種結晶14により融液13が引き上げられると、引き上げられた融液13は冷却されることとなる。このとき、融液合体面1aが凸面であると、冷却された融液13によって融液合体面1aの中央部が外側部分よりもより冷却されやすくなる。
その結果、融液合体面1aにおいて中央部の温度と外側部分の温度との差を、融液合体面1aが平坦面である場合に比べて小さくすることができる。すなわち、酸化物共晶体15の外側部分の冷却速度と中央部分の冷却速度との差を小さくすることが可能となる。このため、得られる酸化物共晶体15において、単結晶組織の大きさを比較的均一にすることが可能となり、酸化物共晶体15の強度を比較的均一にすることが可能となる。なお、凸面の形状は、半球状、階段状や、円錐状、四角錐状等の先端が尖っている形状であってもよい。但し、得られる酸化物共晶体の強度の均一性を向上させるためには、凸面の形状は、半球状であることが好ましい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1および第2実施形態では、経路がスリットとなっているが、経路はスリットに限定されるものではなく、例えば図9に示すように、貫通孔22であってもよい。
ここで、貫通孔22同士の間隔gは、好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.3mm〜2mmである。貫通孔22同士の間隔gが上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比較して、各貫通孔22から突出した融液同士が合体しやすくなる。また貫通孔22の幅(最大幅)dは好ましくは0.1mm〜3mmであり、より好ましくは0.3mm〜2mmである。貫通孔22の幅dが上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比較して、各貫通孔22から突出した融液同士が合体しやすくなる。
この場合、ダイ1は、例えば直方体状の部材に、ドリルで貫通孔を形成することによって得ることが可能であるが、ドリルで貫通孔を形成することが困難である場合には、以下のように形成することも可能である。すなわちまず、板状部材の両面にそれぞれ複数本の溝を平行に形成し、このような板状部材(以下、「第1板状部材」という)を複数枚用意する。一方、板状部材の片面に複数本の溝を平行に形成し、このような板状部材(以下、「第2板状部材」という)を2枚用意する。そして、第2板状部材の間に少なくとも1枚の第1板状部材を配置し、隣り合う板状部材同士を、溝同士が対向して貫通孔を形成するように接合させる。こうして図9に示すダイ1を得ることも可能である。なお、貫通孔の形状は、例えば円柱状、角柱状等とすることができる。
また上記第1実施形態では、ダイ1が、複数枚の板状部材1cを接合する接合部1dを有しているが、接合部1dは必ずしも必要ではなく、省略することが可能である。
また本発明に係る酸化物共晶体の製造方法によって得られる酸化物共晶体は、大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する。したがって、本発明の製造方法によって得られる酸化物共晶体は、ジェットエンジンで使用されるタービンブレードや、火力発電所で使用されるタービンブレードなどの高温で高い強度を要求される用途に極めて有用である。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず52mm×15mm×2mmの四角板状のイリジウム板を5枚用意し、これらを1.5mm間隔で平行に並べ、この状態でイリジウム板の側縁部同士を溶接で接合した後、イリジウム板の反対側の側縁部同士を溶接で接合した。このとき、溶接は、イリジウム板の側縁部全体にわたって行うのではなく、イリジウム板の側縁部に1cm間隔で4箇所行った。こうして、複数のスリットを有する直方体状のダイを得た。このとき、ダイの融液合体面およびその反対側の融液吸込面は平坦面とした。そして、このダイをイリジウム製のルツボに収容した。
一方、原料として、Y粉末(純度99.99%)、Al粉末(純度99.99%)およびZrO粉末(純度99.99%)をモル比で16:65:19の割合となるように乾式混合し、上記ルツボ内に収容した。
続いて、ダイを貫通させる開口が形成された蓋を用意し、ルツボに蓋を設けた。その後、ダイが蓋の開口を貫通するようにした。
次に、ルツボを、図4に示す加熱装置7の保温材9に収容した。このとき、ルツボが保温材に収容されたZrOからなる保温用セラミックスバブルで囲まれるようにした。
次に、ルツボの外側の雰囲気を窒素雰囲気とし、雰囲気の圧力は大気圧とした。
次に、高周波コイルに電流を流すことによってルツボを加熱し、上記混合粉末を溶解させた。
これにより、混合粉末の融液は、ダイの融液吸込面から、複数のスリットを経て融液合体面まで吸い上げられ、ダイの複数のスリットの各々から突出した融液はダイの融液合体面において広がり互いに合体した。
次に、サファイヤ製の種結晶を、合体した融液に接触させた後、50mm/hの速度で2時間引き上げた。
こうしてY/Al/ZrOからなる酸化物共晶体を得た。
(実施例2)
ダイの融液合体面の中央部を1mm突出させて凸面としたこと以外は実施例1と同様にしてY/Al/ZrOからなる酸化物共晶体を得た。
すなわち、まず直径3mm、長さ52mmのイリジウムロッドを束ね、直径が約15mmとなるように稠密に並べてロッド束を得た後、このロッド束を、ダイを貫通させる開口が形成されたIr製の蓋の開口に挿入して固定した。そして、このロッド束の先端面を融液合体面とし、この融液合体面が凸面となるように融液合体面を研削機で丸め、ダイを得た。このとき、凸面は、ダイの融液合体面の中央のイリジウムロッドの先端面と、最も外側のイリジウムロッドの先端面との高低差(最大高低差)が1mmとなるように形成した。
(比較例1)
ブリッジマン法によりY/Al/ZrOからなる酸化物共晶体を得た。
具体的には、まず原料として、Y粉末(純度99.99%)、Al粉末(純度99.99%)およびZrO粉末(純度99.99%)をモル比で16:65:19の割合となるように乾式混合し、イリジウムルツボ内に収容した。
続いて、ルツボを、加熱炉に収容した。
次に、ルツボの外側の雰囲気を窒素雰囲気とし、雰囲気の圧力は大気圧とした。
この状態で加熱炉にて混合粉末を加熱し溶解させた。
そして、ルツボを5mm/hの速度で20時間降下させて凝固させた。
こうしてY/Al/ZrOからなる酸化物共晶体を得た。
[特性評価]
(サイズ)
実施例1〜2及び比較例1で得られた酸化物共晶体の大きさを測定した。結果を表1に示す。
(強度)
実施例1〜2及び比較例1で得られた酸化物共晶体について、室温(25℃)、1000℃、1300℃および1500℃における引張強度を測定した。このとき、引張強度は、JISR1606に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(断面観察)
実施例1〜2及び比較例1で得られた酸化物共晶体について、種結晶の引上げ方向に垂直な断面をSEMで観察し、結晶中心部および結晶外側部における組織の大きさを測定した。ラメラ状になっているAlおよびYAGの領域を楕円形に近似し、長径と短径の平均値を算出し、これを20点ほど測定し、それら測定値の平均値を組織の大きさとした。結果を表1に示す。
Figure 2012229134
表1に示す結果より、実施例1〜2および比較例1で得られた酸化物共晶体は、サイズは同程度であった。しかし、特に1500℃における引張強度については、実施例1〜2で得られた酸化物共晶体は、比較例1の酸化物共晶体の2倍以上となっていた。また実施例1〜2と比較例1とで得られた酸化物共晶体のサイズは同程度であったが、実施例1〜2では、2時間で酸化物共晶体を得ることができたのに対し、比較例1では、酸化物共晶体を得るのに20時間もかかった。
また実施例2は実施例1に比べて結晶中心部と結晶外側部とで組織の大きさの差が小さく、結晶全体にわたって組織の大きさが比較的均一であることが分かった。
以上より、本発明の酸化物共晶体の製造方法によれば、大型で且つ1500℃以上の高温においても高い強度を有する酸化物共晶体を効率よく製造できることが確認された。
1…ダイ
1a…融液合体面
1b…融液吸込面
1c…板状部材
2…スリット(経路)
3…ルツボ
4…混合粉末
13…融液
14…種結晶
15…酸化物共晶体

Claims (6)

  1. 2種以上の酸化物の融液を収容するルツボ内に設置したダイを用いて酸化物共晶体を製造する酸化物共晶体の製造方法であって、
    前記ダイが前記融液を吸い上げる2以上の経路を有し、前記2以上の経路によって吸い上げられた前記融液を合体させ、合体させた前記融液に種結晶を接触させて引き上げることにより前記酸化物共晶体を得る酸化物共晶体の製造方法。
  2. 前記経路がスリットである請求項1に記載の酸化物共晶体の製造方法。
  3. 前記ダイが、複数枚の板状部材と、隣り合う板状部材同士を接合する接合部とを有し、
    前記スリットが、隣り合う板状部材と前記接合部とによって形成されている請求項2に記載の酸化物共晶体の製造方法。
  4. 前記経路が貫通孔である請求項1に記載の酸化物共晶体の製造方法。
  5. 前記ダイがイリジウムによって構成される請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化物共晶体の製造方法。
  6. 前記ダイが、前記2以上の経路に接続され且つ前記融液を合体させる融液合体面を有し、前記融液合体面が凸面となっている請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化物共晶体の製造方法。
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