JP2012228917A - スタンバイ四輪駆動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えることが可能なスタンバイ四輪駆動車において、制動時のエネルギ回収効率の向上を図る。
【解決手段】ブレーキ作動による制動時に、プロペラシャフト10の回転数Nprが、回生ブレーキ7L,7Rが配置されている前輪車軸5L,5Rの回転数Nfrにデファレンシャルギヤ3のギヤρdfを乗算した値Na(プロペラシャフト相当回転数)よりも大きい場合に、2つの駆動力係合解放機構の一方を係合(電子制御カップリング11のみを係合)し、回生ブレーキ7L,7Rが配置されている前輪車軸5L,5Rと回転状態のプロペラシャフト10とを連結状態することにより、プロペラシャフト10の慣性エネルギを電力エネルギ(電力)に変換して回収する。
【選択図】図5

Description

本発明はスタンバイ四輪駆動車に関する。
エンジン等の駆動力源が搭載された車両として、車両運転状態に応じて、駆動輪で車両を駆動する二輪駆動状態と、駆動輪及び従動輪の両方で車両を駆動する四輪駆動状態とに切り替えることが可能なスタンバイ四輪駆動車が知られている。このようなスタンバイ四輪駆動車の一例として、駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有し、二輪駆動状態のときに、駆動輪と従動輪との間に配置のプロペラシャフトを、それら駆動輪及び従動輪から切り離すことが可能な車両がある(例えば、特許文献1参照)。こうしたスタンバイ四輪駆動車では、二輪駆動状態のときにプロペラシャフトが回転しないようにすることが可能であり、燃費(燃料消費率)の向上を図ることができる。
特開2009−166706号公報 特開2010−149745号公報
上記した駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有するスタンバイ四輪駆動車によれば、制動時には、四輪駆動を必要としないため、2つの駆動力係合解放機構を解放して二輪駆動状態としている。ここで、車両に装備される装置として、制動時に車両の慣性エネルギを電気エネルギ(電力)に変換して回生する回生装置(例えば、回生ブレーキ)がある。このような回生装置を上記スタンバイ四輪駆動車に設けた場合、制動時(二輪駆動時)にプロペラシャフトの慣性エネルギを電力として回生できなくなるという点が課題となるが、こうした点は従来技術では想定されていない。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切り替えることが可能なスタンバイ四輪駆動車において、制動時のエネルギ回収効率を高めることが可能な技術の実現を目的とする。
本発明は、駆動力源(例えば、エンジン)に連結された駆動輪と、前記駆動輪にプロペラシャフトを介して連結可能な従動輪と、前記駆動力源の駆動力が伝達される駆動力伝達系の2箇所に設けられた駆動力係合解放機構とを備え、前記駆動輪で車両を駆動する二輪駆動状態と、前記駆動輪及び従動輪の両方で車両を駆動する四輪駆動状態とに切り替え可能であるとともに、二輪駆動状態のときには前記2つの駆動力係合解放機構の両方を解放するように構成されたスタンバイ四輪駆動車を前提としており、このようなスタンバイ四輪駆動車において、車軸に配置され、車両の慣性エネルギを電力エネルギに変換して回収する回収手段(例えば、回生ブレーキ)と、前記駆動力係合解放機構の係合解放制御手段とを備えている。そして、その係合解放制御手段は、ブレーキ作動による制動時に、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとが非連結状態であって、前記プロペラシャフトの回転数が、前記回生手段が配置されている車軸の回転数に当該車軸と前記プロペラシャフトとの間のギヤ比(具体的には、デファレンシャルギヤのギヤ)を乗算した値(プロペラシャフト相当回転数)よりも大きい場合に、前記2つの駆動力係合解放機構の一方を係合して、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとを連結状態にすることを技術的特徴としている。
本発明によれば、ブレーキ作動による制動時に、2つの駆動力係合解放機構の一方を係合して、回生手段(回生ブレーキ)が配置されている車軸とプロペラシャフトとを連結状態にするので、制動時にプロペラシャフトの慣性エネルギ(回転エネルギ)を電力として回収することが可能になる。この点について説明する。
まず、本発明のスタンバイ四輪駆動車では、例えば、四輪駆動で走行(例えば加速走行)している状態で、ドライバが制動をかけようとしてアクセルオフになると、駆動力伝達系の2箇所に設けられた駆動力係合解放機構の両方を解放して二輪駆動状態にするとともに、プロペラシャフトを駆動輪及び従動輪から切り離す。このとき、プロペラシャフトは慣性(惰性)により回転状態が継続される。また、そのプロペラシャフトの回転数は、回生手段が配置されている車軸のプロペラシャフト相当回転数(車軸の回転数にデフ比を乗算した値)よりも大きい。こうした状況で、ドライバがブレーキペダルを踏み込んでブレーキ作動による制動状態になった場合には、2つの駆動力係合解放機構の一方(回生手段を配置した車軸側の駆動力係合解放機構)のみを係合する。これにより、回生手段を配置した車軸と回転状態のプロペラシャフトとが連結されて、プロペラシャフトの慣性エネルギが回収手段にて電気エネルギ(電力)に変換されて回収される。
このように、本発明によれば、ブレーキによる制動時に、回生手段が配置されている車軸とプロペラシャフトとが非連結状態であって、プロペラシャフトの回転数が回生手段を配置した車軸のプロペラシャフト相当回転数よりも大きい場合には、これら車軸(回生手段)とプロペラシャフトとを連結状態にするので、プロペラシャフトの慣性エネルギを回収することが可能になる。これによって、制動時のエネルギ回収効率を高めることができる。
ここで、本発明において、ブレーキ作動による制動時に、上記回生手段(回生ブレーキ)が配置されている車軸とプロペラシャフトとが非連結状態であって、そのプロペラシャフトの回転数を当該プロペラシャフトと上記回生手段が配置されている車軸との間のギヤ比(具体的には、デファレンシャルギヤのギヤ)で除算した値(車軸相当回転数)が、回生手段が配置されている車軸の回転数よりも大きい場合に、2つの駆動力係合解放機構の一方を係合して、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとを連結状態にするという係合解放制御を実行するようにしてもよい。この場合も、上記と同様な作用効果を達成することができる。
本発明によれば、駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切り替えることが可能であるとともに、二輪駆動状態のときには2つの駆動力係合解放機構の両方を解放するように構成されたスタンバイ四輪駆動車において、制動時のエネルギ回収効率を向上させることができる。
本発明を適用するスタンバイ四輪駆動車の一例を示す概略構成図である。なお、図1では二輪駆動状態を示している。 図1のスタンバイ四輪駆動車の制御系の概略構成を示すブロック図である。 ディスコネクト機構及び電子制御カップリングの係合解放制御の一例を示すフローチャートである。 図1のスタンバイ四輪駆動車の四輪駆動状態を示す図である。 図1のスタンバイ四輪駆動車のブレーキ作動による制動時の状態を示す図である。 本発明を適用するスタンバイ四輪駆動車の他の例を示す概略構成図である。なお、図6では二輪駆動状態を示している。 図6のスタンバイ四輪駆動車の制御系の概略構成を示すブロック図である。 ADD装置及びディスコネクト機構の係合解放制御の一例を示すフローチャートである。 図6のスタンバイ四輪駆動車の四輪駆動状態を示す図である。 図6のスタンバイ四輪駆動車のブレーキ作動による制動時の状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は本発明を適用するスタンバイ四輪駆動車の一例を示す概略構成図である。
この例の車両は、エンジン横置き型のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式を基本とするスタンバイ四輪駆動車であって、車両走行用の駆動力を発生するエンジン1、トランスアクスル2、フロントデファレンシャルギヤ3、前輪(駆動輪)4L,4R、前輪車軸(フロントドライブシャフト)5L,5R、回生ブレーキ7L,7R、ディスコネクト機構8、トランスファ9、プロペラシャフト10、電子制御カップリング11、リアデファレンシャルギヤ12、後輪(従動輪)13L,13R、後輪車軸(リアドライブシャフト)14L,14R、フロントブレーキ6L,6R及びリアブレーキ15L,15Rなどを備えたブレーキシステム、並びに、ECU100(図2参照)などを備えている。
次に、エンジン1、トランスアクスル2、ディスコネクト機構8、トランスファ9、電子制御カップリング11、ブレーキシステム、及び、ECU100などの各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、例えば、吸気通路に設けられたスロットルバルブ(図示せず)のスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。
−トランスアクスル−
トランスアクスル2は、トルクコンバータ、自動変速機(AT)、及び、フロントデファレンシャルギヤ3などを備えている。
トルクコンバータは、入力側のポンプインペラ及び出力側のタービンランナなどを備えており、それらポンプインペラとタービンランナとの間で流体(作動油)を介して動力伝達を行う。ポンプインペラはエンジン1の出力軸であるクランクシャフトに連結されている。タービンランナはタービンシャフトを介して自動変速機の入力軸に連結されている。
自動変速機は、例えば、クラッチ及びブレーキ等の摩擦係合装置と遊星歯車装置とを用いてギヤ段を設定する有段式(遊星歯車式)の自動変速機である。自動変速機の出力軸には出力ギヤが回転一体に連結されている。その出力ギヤはフロントデファレンシャルギヤ3のデフドリブンギヤ31に噛み合っており、自動変速機の出力軸に伝達された駆動力は、フロントデファレンシャルギヤ3及び前輪車軸5L,5Rを介して左右の前輪4L,4Rに伝達される。その前輪車軸5L,5Rの回転数(前輪4L,4Rの回転数(車輪速))はFr軸回転数センサ102(図2参照)によって検出される。
また、前輪車軸5L,5Rには回生ブレーキ7L,7Rが設けられている。回生ブレーキ7L,7Rは、例えば、電動モータを発電機として作動させ、車両の慣性エネルギを電気エネルギ(電力)に変換して回収する公知の装置(前輪4L,4Rに制動トルクを加える装置)であって、これら回生ブレーキ7L,7Rにて回収された電力はバッテリ110(図2参照)に充電される。回生ブレーキ7L,7Rの回生制御はECU100によって実行される。
−ディスコネクト機構−
ディスコネクト機構8(駆動力係合解放機構)は、フロントデファレンシャルギヤ3とトランスファ9との間に設けられており、フロントデファレンシャルギヤ3とトランスファ9(プロペラシャフト10)との間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替えるように構成されている。
具体的に、ディスコネクト機構8は、フロントデファレンシャルギヤ3のデフケース32に回転一体に連結されたデフ側係合プレート81、トランスファ9のドライブギヤ91に回転一体に連結されたトランスファ側係合プレート82、及び、これらデフ側係合プレート81とトランスファ側係合プレート82との係合または非係合を切り替えるディスコネクトスリーブ83などを備えている。
上記デフ側係合プレート81及びトランスファ側係合プレート82は互いに同一径であって、その外周面にはスプラインがそれぞれ形成されている。一方、上記ディスコネクトスリーブ83の内周面には、デフ側係合プレート81及びトランスファ側係合プレート82の各外周面に形成されているスプラインに係合可能なスプラインが形成されている。ディスコネクトスリーブ83はディスコネクトアクチュエータ80(図2参照)によって前輪車軸5Rの軸方向に沿ってスライド移動するように構成されており、トランスファ側係合プレート82(またはデフ側係合プレート81)のみに係合する位置(図1に示す位置)と、デフ側係合プレート81及びトランスファ側係合プレート82の両方に係合する位置(図4に示す位置)との間でスライド移動可能となっている。このディスコネクトスリーブ83が一方の係合プレート(例えばトランスファ側係合プレート82)のみに係合する位置にある場合には、トランスファ9つまりプロペラシャフト10にはトルクが伝達されない状態となる(非伝達状態となる)。これに対し、ディスコネクトスリーブ83がデフ側係合プレート81及びトランスファ側係合プレート82の両方に係合する位置にある場合には、プロペラシャフト10にトルクが伝達可能な状態となる。なお、上記ディスコネクトアクチュエータ80としては、例えば、電動モータを駆動源とする電動式アクチュエータ、あるいは、油圧式アクチュエータなどが挙げられる。
−トランスファ−等
トランスファ9は、上記フロントデファレンシャルギヤ3のデフケース32にディスコネクト機構8を介して連結可能となっている。トランスファ9は、ディスコネクト機構8のトランスファ側係合プレート82に回転一体に連結されたドライブギヤ91と、このドライブギヤ91に噛み合うドリブンギヤ92とを備えている。ドリブンギヤ92にはプロペラシャフト10が回転一体に連結されている。プロペラシャフト10は、電子制御カップリング11、リアデファレンシャルギヤ12、及び、後輪車軸14L、14Rを介して左右の後輪13L,13Rに連結されている。そして、上記フロントデファレンシャルギヤ3からトランスファ9にて伝達された駆動力は、プロペラシャフト10及び電子制御カップリング11に伝達され、その電子制御カップリング11が係合状態(カップリングトルク伝達状態)であるときに、駆動力がリアデファレンシャルギヤ12及び後輪車軸14L,14Rを介して左右の後輪13L,13Rに伝達(配分)される。その後輪車軸14L,14Rの回転数(後輪13L,13Rの回転数(車輪速))はRr軸回転数センサ103(図2参照)によって検出される。
−電子制御カップリング−
電子制御カップリング11(駆動力係合解放機構)は、パイロットクラッチ式のものであって、例えば、多板摩擦クラッチで構成されたメインクラッチ、パイロットクラッチ(電磁多板クラッチ)、カム機構及び電磁石などを備えており、電磁石の電磁力によってパイロットクラッチが係合され、その係合力をカム機構にてメインクラッチに伝達することにより、メインクラッチが係合するように構成されている(具体的な構成については、例えば、特開2010−254135公報参照)。
そして、この例の電子制御カップリング11においては、上記電磁石に供給する励磁電流Ieを制御することによってトルク容量つまりカップリングトルクTcが制御されるようになっており、全駆動力に対する後輪13L,13R側への駆動力配分率を、例えば0〜0.5の範囲で無段階で調整することができる。電子制御カップリング11の電磁石への励磁電流IeはECU100によって制御される。
−ブレーキシステム−
ブレーキシステムは、左右の前輪4L,4Rに設けられたフロントブレーキ(油圧ブレーキ)6L,6R、及び、左右の後輪13L,13Rに設けられたリアブレーキ(油圧ブレーキ)15L,15Rなどを備えている。これらフロントブレーキ6L,6R及びリアブレーキ15L,15Rは、例えばディスクブレーキであって、ディスクロータ及びブレーキキャリパを備えている。そのブレーキキャリパには、ディスクロータの両側面に配置される左右一対のブレーキパッドが保持されている。
そして、これらフロントブレーキ6L,6R及びリアブレーキ15L,15Rは、それぞれブレーキ制御手段(ブレーキ油圧制御手段:図示せず)によって制御され、ドライバがブレーキペダルを踏み込み操作することによって作動されるようになっている。そのブレーキペダルのON/OFF(ブレーキ踏力も含む)はブレーキペダルセンサ106(図2参照)によって検出される。
−ECU−
ECU100は、エンジン1の運転制御などを実行する電子制御装置であって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAMなどを備えている。
ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエンジン1の停止時などにおいて保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU100には、図2に示すように、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ101、前輪車軸5L、5Rの回転数Nfr(以下、Fr軸回転数Nfrともいう)を検出するFr軸回転数センサ102、後輪車軸14L、14Rの回転数Nrr(以下、Rr軸回転数Nrrともいう)を検出するRr軸回転数センサ103、プロペラシャフト10の回転数Nprを検出するプロペラシャフト回転数センサ104、車両(スタンバイ四輪駆動車)の前後加速度Gを検出する加速度センサ105、ブレーキペダルのON/OFF(ブレーキ踏力も含む)を検出するブレーキペダルセンサ106などが接続されている。さらに、ECU100には、エンジン1のクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、吸気通路に配置のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、及び、吸入空気量を検出するエアフロメータなどが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
そして、ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットル開度制御(吸入空気量制御)、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。また、ECU100は、回生ブレーキ7L,7Rの回生制御を実行する。さらに、ECU100は、車両の運転状態に応じてディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の係合/解放を制御して、二輪駆動状態と四輪状態との切り替えなどの駆動力制御を行う。
−係合解放制御−
次に、ECU100が実行する、ディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の係合解放制御について図3のフローチャートを参照して説明する。図3の制御ルーチンはECU100において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
まず、ステップST101において、アクセル開度センサ101、Fr軸回転数センサ102、Rf軸回転数センサ103、加速度センサ105等の出力信号に基づいて各センサ値(アクセル開度Acc、Fr軸回転数Nfr、Rr軸回転数Nrr、加速度Gなど)を読み込む。
ステップST102では、ステップST101で読み込んだアクセル開度Acc、Fr軸回転数Nfr、Rr軸回転数Nrr、車両の加速度Gなどに基づいて、四輪駆動走行条件が成立しているか否かを判定する。四輪駆動走行条件としては、例えば、「Fr軸回転数NfrとRr軸回転数Nrrとに差回転がある場合(前輪・後輪にスリップが生じている場合)」、「四輪駆動状態での加速が必要な場合」などの条件が挙げられる。これらの四輪駆動走行条件が不成立である場合(ステップST102の判定結果が否定判定(NO)であり、走行条件が二輪駆動状態である場合)はステップST105に移行する。ステップST105では、ディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の両方を解放状態にして二輪駆動状態(図1参照)にする。このように、二輪駆動状態のときに、ディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の両方を解放して、プロペラシャフト10を前輪4L,4R及び後輪13L,13Rから切り離すことにより、プロペラシャフト10(トランスファ9等の回転部材も含む)のイナーシャがエンジン1の負荷とならなくなるので、燃費の向上を図ることができる。
上記ステップST102の判定結果が肯定判定(YES)である場合(四輪駆動走行条件が成立している場合)はステップST103に移行する。ステップST103では、ディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の両方を係合状態にして四輪駆動状態(図4参照)にする。
次に、ステップST104において、アクセル開度センサ101の出力信号に基づいてアクセルオフであるか否かを判定する。このステップST104の判定結果が否定判定である場合はリターンしてステップST101に戻り、このステップST101〜ステップST104の処理を繰り返して実行する。その処理中にステップST102の判定結果が否定判定(NO)となった場合には、四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替える。
ステップST104の判定結果が肯定判定(YES)となった場合(アクセルオフとなった場合)は、ステップST105においてディスコネクト機構8及び電子制御カップリング11の両方を解放状態にして二輪駆動状態(図1参照)にする。このとき、プロペラシャフト10は慣性(惰性)により回転状態が継続される。
次に、ステップST106において、ブレーキペダルセンサ106の出力信号に基づいてブレーキオン(ブレーキ作動状態)であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST106の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST107に進む。
ステップST107では、プロペラシャフト回転数センサ104の出力信号からプロペラシャフト10の回転数Nprを算出する。さらに、回生ブレーキ7L,7Rが配置された車軸つまり前輪車軸5L,5RのFr軸回転数NfrをFr軸回転数センサ102の出力信号から算出し、その算出したFr軸回転数Nfrにフロントデファレンシャルギヤ3のギヤ比(デフ比)ρdfを乗算して前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Na(Na=Nfr×ρdf)を算出する。そして、このようして算出したプロペラシャフト10の回転数Nprが、前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Naよりも大きいか否かを判定する。ステップST107の判定結果が否定判定(NO)である場合(Npr≦Naである場合)はリターンする。
なお、この例では、トランスファ9のギヤ比ρtrを「1」としているので、前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Naは[Na=Nfr×ρdf]となるが、トランスファ9のギヤ比ρtrが「1」でない場合は、前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Naは[Na=Nfr×ρdf×ρtr]とすればよい。
一方、ステップST107の判定結果が肯定判定(YES)である場合、つまり、ブレーキ作動による制動時に、プロペラシャフト10の回転数Nprが、前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Naよりも大きい場合([Npr>Na]である場合)は、そのプロペラシャフト10の回転エネルギ(慣性エネルギ)を回収することが可能であるので、ディスコネクト機構8のみを係合して(図5参照)、前輪車軸5L,5Rに回転状態のプロペラシャフト10を連結する(ステップST108)。これによって、プロペラシャフト10の慣性エネルギが回生ブレーキ7L,7Rにて電気エネルギに変換され、その電力がバッテリ110に充電される。なお、この後、車両(スタンバイ四輪駆動車)が停止した場合、その車両停止時にディスコネクト機構8を解放しておけばよい。
以上説明したように、この例のスタンバイ四輪駆動車によれば、ブレーキ作動による制動時に、前輪車軸5L,5R(回生ブレーキ7L,7Rが配置されている車軸)とプロペラシャフト10とが非連結状態であって、プロペラシャフト10の回転数Nprが、前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数Naよりも大きい場合には、これら前輪車軸5L,5R(回生ブレーキ7L,7R)とプロペラシャフト10とを連結状態にするので、プロペラシャフト10の慣性エネルギを回収することが可能になる。これによって制動時のエネルギ回収効率を高めることができる。
なお、以上の例では、プロペラシャフト回転数センサ105を用いてプロペラシャフト10の回転数を検出しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両走行中においてアクセルオフ(もしくはブレーキによる制動時)となるまでの車両運転状態(例えば、エンジン回転数、トランスアクスルの変速比(ギヤ比)など)に基づいて、アクセルオフ(もしくはブレーキによる制動時)となった場合のプロペラシャフト10の回転数を推定するようにしてもよい。
以上の例では、前後輪への駆動力配分にパイロットクラッチ式の電子制御カップリング11を用いているが、クラッチ直押付式の電子制御カップリングを用いてもよい。また、このような電子制御カップリングに限られることなく、プロペラシャフト10と後輪車軸14L、14Rとの間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替えることが可能であれば、クラッチ機構等の他の方式の駆動力係合解放機構を適用してもよい。
以上の例では、図3のステップST107において、プロペラシャフト10の回転数Nprと、回生ブレーキ7L,7Rが配置されている前輪車軸5L,5Rの回転数Nfrにフロントデファレンシャルギヤ3のギヤ比ρdfを乗算した値Na(前輪車軸5L,5Rのプロペラシャフト相当回転数)とを比較しているが、これに替えて、プロペラシャフト10の回転数Nprをフロントデファレンシャルギヤ3のギヤ比ρdfで除算した値(プロペラシャフト10の車軸相当回転数)と、回生ブレーキ7L,7Rが配置されている前輪車軸5L,5Rの回転数Nfrとを比較するようにしてもよい。
以上の例では、トランスアクスル2をトルクコンバータ及び自動変速機(AT)などによって構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、トランスアクスル2を、トルクコンバータ、及び、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)などによって構成してもよいし、これらの自動変速機(AT)や、ベルト式無段変速機(CVT)に替えてマニュアルトランスミッション(MT)を用いてもよい。さらに、トランスアクスル2については、モータジェネレータ(電動機)及び遊星歯車機構などを有するハイブリッドシステムで構成してもよい。
[実施形態2]
図6は本発明を適用するスタンバイ四輪駆動車の一例を示す概略構成図である。
この例の車両は、エンジン縦置き型のFR(フロントエンジン・リアドライブ)方式を基本とするスタンバイ四輪駆動車であって、車両走行用の駆動力を発生するエンジン301、トランスアクスル302、フロントデファレンシャルギヤ303、前輪(従動輪)304L,304R、前輪車軸(フロントドライブシャフト)305L,305R、上記フロントデファレンシャルギヤ303に設けられたADD装置(Automatic Disconnecting Differntial)330、回生ブレーキ307L,307R、フロントプロペラシャフト308、ディスコネクト機構309、トランスファ310、リアプロペラシャフト311、リアデファレンシャルギヤ312、後輪(駆動輪)313L,313R、後輪車軸(リアドライブシャフト)314L,314R、フロントブレーキ306L,306R及びリアブレーキ315L,315Rなどを備えたブレーキシステム、並びに、ECU400(図7参照)などを備えている。
次に、エンジン301、トランスアクスル302、トランスファ310、ディスコネクト機構309、ADD装置330、ブレーキシステム、及び、ECU400などの各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン301は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、例えば、吸気通路に設けられたスロットルバルブ(図示せず)のスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。
−トランスアクスル−
トランスアクスル302は、上記した[実施形態1]と同様なトルクコンバータ及び自動変速機などを備えている。トランスアクスル302の出力軸321(自動変速機の出力軸)はリアプロペラシャフト311に連結されており、トランスアクスル302からリアプロペラシャフト311に伝達された駆動力は、リアデファレンシャルギヤ312及び後輪車軸314L,314Rを介して左右の後輪313L,313Rに伝達される。その後輪車軸314L,314Rの回転数(後輪313L,313Rの回転数(車輪速))はRr軸回転数センサ403(図7参照)によって検出される。
−トランスファ−
トランスファ310は、ドライブスプロケット310a、ドリブンスプロケット310b、及び、これらドライブスプロケット310aとドリブンスプロケット310bとの間に巻き掛けられたチェーン310cなどを備えている。ドライブスプロケット310aはリアプロペラシャフト311(トランスアクスル302の出力軸321)に回転一体に取り付けられている。ドリブンスプロケット310bには、後述するディスコネクト機構309のトランスファ側係合プレート391が回転一体に取り付けられている。
−ディスコネクト機構・ADD装置−
ディスコネクト機構309(駆動力係合解放機構)は、トランスファ310とフロントプロペラシャフト308との間に設けられており、トランスファ310とフロントプロペラシャフト308との間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替えるように構成されている。
具体的に、ディスコネクト機構309は、トランスファ310のドリブンスプロケット310bに回転一体に連結されたトランスファ側係合プレート391、フロントプロペラシャフト308に回転一体に取り付けられたプロペラシャフト側係合プレート392、及び、これらトランスファ側係合プレート391とプロペラシャフト側係合プレート392との係合または非係合を切り替えるディスコネクトスリーブ393などを備えている。
トランスファ側係合プレート391及びプロペラシャフト側係合プレート392は互いに同一径であって、その外周面にはスプラインがそれぞれ形成されている。一方、ディスコネクトスリーブ393の内周面には、上記トランスファ側係合プレート391及びプロペラシャフト側係合プレート392の各外周面に形成されているスプラインに係合可能なスプラインが形成されている。ディスコネクトスリーブ393はディスコネクトアクチュエータ390(図7参照)によってフロントプロペラシャフト308の軸方向に沿ってスライド移動するように構成されており、プロペラシャフト側係合プレート392(またはトランスファ側係合プレート391)のみに係合する位置(図6に示す位置)と、プロペラシャフト側係合プレート392及びトランスファ側係合プレート391の両方に係合する位置(図9に示す位置)との間でスライド移動可能となっている。このディスコネクトスリーブ393が一方の係合プレート(例えばプロペラシャフト側係合プレート392)のみに係合する位置にある場合には、フロントプロペラシャフト308にはトルクが伝達されない状態となる(非伝達状態となる)。これに対し、ディスコネクトスリーブ393がプロペラシャフト側係合プレート392及びトランスファ側係合プレート391の両方に係合する位置にある場合には、トランスファ310からフロントプロペラシャフト308にトルク(駆動力)が伝達可能な状態となる。なお、上記ディスコネクトアクチュエータ390としては、例えば、電動モータを駆動源とする電動式アクチュエータ、あるいは、油圧式アクチュエータなどが挙げられる。
上記フロントプロペラシャフト308に伝達された駆動力はフロントデファレンシャルギヤ303に伝達される。フロントデファレンシャルギヤ303には左側の前輪304Lが前輪車軸305Lを介して連結されている。また、フロントデファレンシャルギヤ303にはADD装置330が連結されており、このADD装置330の出力側に右側の前輪304Rが前輪車軸305Rを介して連結されている。その前輪車軸305L,305Rの回転数(前輪304L,304Rの回転数(車輪速))はFr軸回転数センサ402(図7参照)によって検出される。
また、前輪車軸305L,305Rには回生ブレーキ307L,307Rが設けられている。回生ブレーキ307L,307Rは、例えば、電動モータを発電機として作動させ、車両の慣性エネルギを電気エネルギ(電力)に変換して回収する公知の装置(前輪304L,304Rに制動トルクを加える装置)であって、これら回生ブレーキ307L,308Rにて回収された電力はバッテリ310(図7参照)に充電される。回生ブレーキ307L,308Rの回生制御はECU400によって実行される。
上記ADD装置330は、フロントデファレンシャルギヤ303のサイドギヤ331(フロントプロペラシャフト308)と前輪304L,304Rとの間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替える装置である。
−ブレーキシステム−
ブレーキシステムは、左右の前輪304L,304Rに設けられたフロントブレーキ(油圧ブレーキ)306L,306R、及び、左右の後輪313L,313Rに設けられたリアブレーキ(油圧ブレーキ)315L,315Rなどを備えている。これらフロントブレーキ306L,306R及びリアブレーキ315L,315Rは、例えばディスクブレーキであって、ディスクロータ及びブレーキキャリパを備えている。そのブレーキキャリパには、ディスクロータの両側面に配置される左右一対のブレーキパッドが保持されている。
そして、これらフロントブレーキ306L,306R及びリアブレーキ315L,315Rは、それぞれブレーキ制御手段(ブレーキ油圧制御手段:図示せず)によって制御され、ドライバがブレーキペダルを踏み込み操作することによって作動されるようになっている。そのブレーキペダルのON/OFF(ブレーキ踏力も含む)はブレーキペダルセンサ406(図7参照)によって検出される。
−ECU−
ECU400は、エンジン301の運転制御などを実行する電子制御装置であって、上記した[実施形態1]と同様に、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。
ECU400には、図7に示すように、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ401、前輪車軸305L、305Rの回転数Nfr(以下、Fr軸回転数Nfrともいう)を検出するFr軸回転数センサ402、後輪車軸314L、314Rの回転数Nrr(以下、Rr軸回転数Nrrともいう)を検出するRr軸回転数センサ403、フロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprを検出するプロペラシャフト回転数センサ404、車両(スタンバイ四輪駆動車)の前後加速度Gを検出する加速度センサ405、ブレーキペダルのON/OFF(ブレーキ踏力も含む)を検出するブレーキペダルセンサ406などが接続されている。さらに、ECU400には、エンジン301のクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、吸気通路に配置のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、及び、吸入空気量を検出するエアフロメータなどが接続されており、これらの各センサからの信号がECU400に入力される。
そして、ECU400は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン301のスロットル開度制御(吸入空気量制御)、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン301の各種制御を実行する。また、ECU400は、回生ブレーキ307L,307Rの回生制御を実行する。さらに、ECU400は、車両の運転状態に応じてADD装置330及びディスコネクト機構309の係合/解放を制御して、二輪駆動状態と四輪状態との切り替えなどの駆動力制御を行う。
−係合解放制御−
次に、ECU400が実行する、ADD装置330及びディスコネクト機構309の係合解放制御について図8のフローチャートを参照して説明する。図8の制御ルーチンはECU400において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
まず、ステップST201において、アクセル開度センサ401、Fr軸回転数センサ402、Rf軸回転数センサ403、加速度センサ405等の出力信号に基づいて各センサ値(アクセル開度Acc、Fr軸回転数Nfr、Rr軸回転数Nrr、加速度Gなど)を読み込む。
ステップST202では、ステップST201で読み込んだアクセル開度Acc、Fr軸回転数Nfr、Rr軸回転数Nrr、車両の加速度Gなどに基づいて、四輪駆動走行条件が成立しているか否かを判定する。四輪駆動走行条件としては、例えば、「Fr軸回転数NfrとRr軸回転数Nrrとに差回転がある場合(前輪・後輪にスリップが生じている場合)」、「四輪駆動状態での加速が必要な場合」などの条件が挙げられる。これらの四輪駆動走行条件が不成立である場合(ステップST202の判定結果が否定判定(NO)であり、走行条件が二輪駆動状態である場合)はステップST205に移行する。ステップST205では、ADD装置330及びディスコネクト機構309の両方を解放状態にして二輪駆動状態(図6参照)にする。このように、二輪駆動状態のときに、ADD装置330及びディスコネクト機構309の両方を解放して、フロントプロペラシャフト308を、前輪304L,304R及び後輪313L,313Rから切り離すことにより、フロントプロペラシャフト308等のイナーシャがエンジン1の負荷とならなくなるので、燃費の向上を図ることができる。
上記ステップST202の判定結果が肯定判定(YES)である場合(四輪駆動走行条件が成立している場合)はステップST203に移行する。ステップST203では、ADD装置330及びディスコネクト機構309の両方を係合状態にして四輪駆動状態(図9参照)にする。
次に、ステップST204において、アクセル開度センサ401の出力信号に基づいてアクセルオフであるか否かを判定する。このステップST204の判定結果が否定判定である場合はリターンしてステップST201に戻り、このステップST201〜ステップST204の処理を繰り返して実行する。その処理中にステップST202の判定結果が否定判定(NO)となった場合には、四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替える。
ステップST204の判定結果が肯定判定(YES)となった場合(アクセルオフとなった場合)は、ステップST205においてADD装置330及びディスコネクト機構309の両方を解放状態にして二輪駆動状態(図6参照)にする。このとき、フロントプロペラシャフト308は慣性(惰性)により回転状態が継続される。
次に、ステップST206において、ブレーキペダルセンサ406の出力信号に基づいてブレーキオン(ブレーキ作動状態)であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST206の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST207に進む。
ステップST207では、プロペラシャフト回転数センサ404の出力信号からフロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprを算出する。さらに、回生ブレーキ307L,307Rが配置された車軸、つまり、前輪車軸305L,305RのFr軸回転数NfrをFr軸回転数センサ402の出力信号から算出し、その算出したFr軸回転数Nfrにフロントデファレンシャルギヤ303のギヤ比(デフ比)ρdfを乗算して前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nb(Nb=Nfr×ρdf)を算出する。そして、このようして算出したフロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprが、前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nbよりも大きいか否かを判定する。ステップST207の判定結果が否定判定(NO)である場合(Nfrpr≦Nbである場合)はリターンする。
なお、この例では、トランスファ310の伝達比ρtrを「1」としているので、前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nbは[Nb=Nfr×ρdf]となるが、トランスファ310の伝達比ρtrが「1」でない場合は、前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nbは[Nb=Nfr×ρdf×ρtr]とすればよい。
一方、ステップST207の判定結果が肯定判定(YES)である場合、つまり、ブレーキ作動による制動時に、フロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprが、前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nbよりも大きい場合([Nfrpr>Nb]である場合)は、そのフロントプロペラシャフト308の回転エネルギ(慣性エネルギ)を回収することが可能であるので、ディスコネクト機構309のみを係合して(図10参照)、前輪車軸305L,305Rに回転状態のフロントプロペラシャフト308を連結する(ステップST208)。これによってフロントプロペラシャフト308の慣性エネルギが回生ブレーキ307L,307Rにて電気エネルギに変換され、その電力がバッテリ110に充電される。なお、この後、車両(スタンバイ四輪駆動車)が停止した場合、その車両停止時にディスコネクト機構309を解放しておけばよい。
以上説明したように、この例のスタンバイ四輪駆動車によれば、ブレーキ作動による制動時に、前輪車軸305L,305R(回生ブレーキ307L,307Rが配置されている車軸)とフロントプロペラシャフト308とが非連結状態であって、フロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprが、前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数Nbよりも大きい場合には、これら前輪車軸305L,305R(回生ブレーキ307L,307R)とフロントプロペラシャフト308とを連結状態にするので、フロントプロペラシャフト308の慣性エネルギを回収することが可能になる。これによって制動時のエネルギ回収効率を高めることができる。
なお、以上の例では、プロペラシャフト回転数センサ405を用いてフロントプロペラシャフト308の回転数を検出しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両走行中においてアクセルオフ(もしくはブレーキによる制動時)となるまでの車両運転状態(例えば、エンジン回転数、トランスアクスルの変速比(ギヤ比)など)に基づいて、アクセルオフ(もしくはブレーキによる制動時)となった場合のフロントプロペラシャフト308の回転数を推定するようにしてもよい。
以上の例では、トランスファ310とフロントプロペラシャフト308との間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替える駆動力係合解放機構としてディスコネクト機構309を用いているが、本発明はこれに限定されず、例えば、上記した[実施形態1]で用いた電子制御カップリング11やクラッチ機構などの他の方式の駆動力係合解放機構を適用してもよい。
また、フロントプロペラシャフト308と回生ブレーキ307l,307R(前輪車軸305L,305R)との間でトルク伝達(駆動力伝達)を行う伝達状態と、トルク伝達を行わない非伝達状態(遮断状態)とを切り替える駆動力係合解放機構ついても、クラッチ機構などの他の方式の駆動力係合解放機構を適用してもよい。
以上の例では、図8のステップST207において、フロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprと、回生ブレーキ307L,307Rが配置されている前輪車軸305L,305Rの回転数Nfrにフロントデファレンシャルギヤ303のギヤ比ρdfを乗算した値Nb(前輪車軸305L,305Rのプロペラシャフト相当回転数)とを比較しているが、これに替えて、フロントプロペラシャフト308の回転数Nfrprをフロントデファレンシャルギヤ303のギヤ比ρdfで除算した値(フロントプロペラシャフト308の車軸相当回転数)と、回生ブレーキ307L,307Rが配置されている前輪車軸305L,305Rの回転数Nfrとを比較するようにしてもよい。
以上の例では、トランスアクスル302をトルクコンバータ及び自動変速機(AT)などによって構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、トランスアクスル302を、トルクコンバータ、及び、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT)などによって構成してもよいし、これらの自動変速機(AT)やベルト式無段変速機(CVT)に替えてマニュアルトランスミッション(MT)を用いてもよい。さらに、トランスアクスル302については、モータジェネレータ(電動機)及び遊星歯車機構などを有するハイブリッドシステムで構成してもよい。
本発明は、駆動力伝達系の2箇所に駆動力係合解放機構を有し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切り替えることが可能なスタンバイ四輪駆動車に利用可能である。
1,301 エンジン
2,302 トランスアクスル
3,303 フロントデファレンシャルギヤ
330 ADD装置(駆動力係合解放機構)
4L,4R 前輪(駆動輪)
304L,304R 前輪(従動輪)
5L,5R,305L,305R 前輪車軸
6L,6R,306L,306R フロントブレーキ
7L,7R,307L,307R 回生ブレーキ
8,309 ディスコネクト機構(駆動力係合解放機構)
80,390 ディスコネクトアクチュエータ
92 ドリブンギヤ
10 プロペラシャフト
11 電子制御カップリング(駆動力係合解放機構)
12,312 リアデファレンシャルギヤ
13L,13R 後輪(従動輪)
313L,313R 後輪(駆動輪)
14L,14R,314L,314R 後輪車軸
15L,15R,315L,315R リアブレーキ
100,400 ECU
101,401 アクセル開度センサ
102,402 Fr軸回転数センサ
103,403 Rr軸回転数センサ
104,404 プロペラシャフト回転数センサ
105,405 ブレーキペダルセンサ
110,310 バッテリ

Claims (2)

  1. 駆動力源に連結された駆動輪と、前記駆動輪にプロペラシャフトを介して連結可能な従動輪と、前記駆動力源の駆動力が伝達される駆動力伝達系の2箇所に設けられた駆動力係合解放機構とを備え、前記駆動輪で車両を駆動する二輪駆動状態と、前記駆動輪及び従動輪の両方で車両を駆動する四輪駆動状態とに切り替え可能であるとともに、二輪駆動状態のときには前記2つの駆動力係合解放機構の両方を解放するように構成されたスタンバイ四輪駆動車において、
    車軸に配置され、車両の慣性エネルギを電力エネルギに変換して回収する回収手段と、
    ブレーキ作動による制動時に、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとが非連結状態であって、前記プロペラシャフトの回転数が、前記回生手段が配置されている車軸の回転数に当該車軸と前記プロペラシャフトとの間のギヤ比を乗算した値よりも大きい場合に、前記2つの駆動力係合解放機構の一方を係合して、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとを連結状態にする係合解放制御手段とを備えていることを特徴とするスタンバイ四輪駆動車。
  2. 駆動力源に連結された駆動輪と、前記駆動輪にプロペラシャフトを介して連結可能な従動輪と、前記駆動力源の駆動力が伝達される駆動力伝達系の2箇所に設けられた駆動力係合解放機構とを備え、前記駆動輪で車両を駆動する二輪駆動状態と、前記駆動輪及び従動輪の両方で車両を駆動する四輪駆動状態とに切り替え可能であるとともに、二輪駆動状態のときには前記2つの駆動力係合解放機構の両方を解放するように構成されたスタンバイ四輪駆動車において、
    車軸に配置され、車両の慣性エネルギを電力エネルギに変換して回収する回収手段と、
    ブレーキ作動による制動時に、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとが非連結状態であって、前記プロペラシャフトの回転数を当該プロペラシャフトと前記回生手段が配置されている車軸との間のギヤ比で除算した値が、前記回生手段が配置されている車軸の回転数よりも大きい場合に、前記2つの駆動力係合解放機構の一方を係合して、前記回生手段が配置されている車軸と前記プロペラシャフトとを連結状態にする係合解放制御手段とを備えていることを特徴とするスタンバイ四輪駆動車。
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