JP2012228032A - ロータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】収納部内に注入された熱硬化性の樹脂が注入孔から漏れ出ることを防止できるロータの製造方法を提供すること。
【解決手段】ヨーク11に形成された収納部16に永久磁石13を挿入する工程(S2)と、このヨーク11に上抑え板14を重ねて収納部16を塞ぐとともに、当該上抑え板14に設けられた注入孔141から収納部16内に永久磁石13を固定するシリコーン樹脂を注入する工程(S3)と、注入孔141を封止ピンで封止する工程(S4)と、封止ピンで注入孔141を封止した状態でロータ10を加熱してシリコーン樹脂を硬化させる工程(S5)とを備えた。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータや発電機に用いられるロータの製造方法に関し、特に、ロータのヨーク(ロータコア)に形成された収納部に永久磁石を収納し、この収納部に樹脂を注入して永久磁石を固定するロータの製造方法に関する。
一般に、ヨーク(ロータコア)に形成された収納部に永久磁石を組み込んだロータが知られている。この種のロータを用いた、いわゆるインナロータ型のモータまたは発電機においては、ロータの外周にステータが配置されるので、永久磁石とステータとの間の距離をできる限り小さくして磁力を有効に利用するために、当該永久磁石は収納部の外周側に寄せて固定されることが望ましい。このため、従来、ヨーク(ロータコア)に形成された収納部に永久磁石を挿入し、このロータコアに端面板を重ねて当該端面板に設けられた注入孔から収納部内に熱硬化性の樹脂を加圧注入し、当該収納部内の永久磁石をヨークの内径側から外径側に押圧して位置決めするとともに、当該ヨークを加熱炉で加熱して樹脂を硬化させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−219992号公報
ところで、端面板に設けられた注入孔から収納部内に熱硬化性の樹脂を加圧注入する構成では、この樹脂が加熱時に熱膨張することにより注入孔から漏れ出てしまい、この注入孔付近に付着してヨークを汚してしまうという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、収納部内に注入された熱硬化性の樹脂が注入孔から漏れ出ることを防止できるロータの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ロータコアに形成された収納部に永久磁石を挿入する工程と、このロータコアに端面板を重ねて前記収納部を塞ぐとともに、当該端面板に設けられた注入孔から前記収納部内に前記永久磁石を固定する熱硬化性樹脂を注入する工程と、前記注入孔を封止部材で封止する工程と、前記封止部材で前記注入孔を封止した状態でロータを加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ロータを加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる際に、端面板に形成された注入孔が封止部材で封止されることにより、当該注入孔から樹脂が漏れ出ることが防止され、ひいては、樹脂漏れによるロータコアの汚れを防止することができる。
この構成において、前記封止部材は、少なくとも表面部が樹脂材料で形成されていても良い。例えば、封止部材を熱伝導性の高い金属(銅金属)で形成した場合、熱硬化性樹脂を硬化させるための熱量が封止部材に伝達されて空気中に放出されることにより、注入孔付近で樹脂が未硬化となり、収納部内の永久磁石が固定不良となる事態が想定される。
この構成によれば、封止部材は、少なくとも表面部が樹脂材料で形成されているため、熱硬化性樹脂から封止部材への熱伝達が抑制されることにより、当該樹脂を十分に加熱して硬化させることができ、収納部内の永久磁石の固定不良を防止できる。この場合、樹脂材料は、熱伝導率が前記熱硬化性樹脂と同等、または、前記熱硬化性樹脂よりも低いものが望ましい。
また、前記封止部材は、前記樹脂材料にカーボンもしくはグラファイトを混入して形成されていてもよい。この構成によれば、封止部材に使用される樹脂材料の強度を向上させることができるため、封止部材の曲げや変形を抑制することができ、当該封止部材の耐久性を向上できる。
また、前記封止部材は、前記注入孔に配置された際に、前記熱硬化性樹脂と対向する対向面に凹状の樹脂逃げ部を設けてもよい。この構成によれば、加熱時に熱膨張した樹脂が樹脂逃げ部に侵入することにより、収納部内の樹脂の内圧が過剰に上昇することを防止でき、例えば、ロータコアと端面板との隙間から樹脂が漏れ出ることを防止できる。
本発明によれば、ロータを加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる際に、端面板に形成された注入孔が封止部材で封止されることにより、当該注入孔から樹脂が漏れ出ることが防止され、ひいては、樹脂漏れによるロータコアの汚れを防止することができる。
また、本発明によれば、封止部材は、少なくとも表面部が樹脂材料で形成されているため、熱硬化性樹脂から封止部材への熱伝達が抑制されることにより、当該樹脂を十分に加熱して硬化させることができ、収納部内の永久磁石の固定不良を防止できる。
また、本発明によれば、封止部材は、樹脂材料にカーボンもしくはグラファイトを混入して形成されるため、封止部材に使用される樹脂材料の強度を向上させることができるため、封止部材の曲げや変形を抑制することができ、当該封止部材の耐久性を向上できる。
また、本発明によれば、封止部材は、注入孔に配置された際に、熱硬化性樹脂と対向する対向面に凹状の樹脂逃げ部を設けたため、加熱時に熱膨張した樹脂が樹脂逃げ部に侵入することにより、収納部内の樹脂の内圧が過剰に上昇することを防止でき、例えば、ロータコアと端面板との隙間から樹脂が漏れ出ることを防止できる。
本実施の形態に係るロータの平面図である。 ロータの縦断面図および側面図である。 ロータの部分拡大平面図である。 ロータの製造手順を示すフローチャートである。 樹脂注入装置の要部構成を示す側面図である。 封止ピンと注入孔との関係を示すロータの部分拡大縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータのロータ10の平面図である。図2は、ロータ10の縦断面図および側面図である。
ロータ10は、リング状(円筒状)に形成されたヨーク(ロータコア)11と、このヨーク11の内径側に設けられた有底筒状のボス部(回転軸)12と、この該ボス部12の底部17の中心部に形成された孔18とを備える。底部17には、孔18からボス部12の径方向に離間して6つの固定孔19が形成されている。各固定孔19にボルトがそれぞれ挿通することにより図示しないシャフトがボス部12に固定される。なお、図1及び図2に示すように、ヨーク11及びボス部12は略同軸に配置されているので、ヨーク11の軸方向とボス部12の軸方向とは略一致する。
ヨーク11は、その軸方向(図2の上下方向)に薄板状の薄板鋼板111を積層して構成され、積層された薄板鋼板111は、リング状の上抑え板(端面板)14及び下抑え板(端面板)15で狭持された状態でボス部12の外周側に装着される。すなわち、ヨーク11は、ボス部12の下端部側の突出部21と、ボス部12の上端部側の突出部22との間のボス部12の外周側に装着され、ヨーク11を構成する積層された薄板鋼板111及び上抑え板14は、ボス部12の外周面に対して、しめ代を有し、突出部21側に配置された下抑え板15の上方で該ボス部12の外周側に圧入保持される。上抑え板14及び下抑え板15は、積層された薄板鋼板111を上下方向から略覆うようにロータ10にそれぞれ配設されている。また、上抑え板14及び下抑え板15は、例えば、ステンレス鋼板により構成される。
ヨーク11の外周側には、所定角度間隔で、複数(本実施形態では12箇所)の凹部24が上記した軸方向に沿って形成され、当該ヨーク11における2つの凹部24間には、それぞれ2つの収納部16,16が当該軸方向に沿って形成されている。収納部16は、図1に示すように、長方形状に形成され、各収納部16内には、永久磁石13がそれぞれ収納され、各収納部16及び永久磁石13により形成される空間にはシリコーン樹脂等の熱硬化性を有する樹脂25が充填されている。
ロータ10をモータ等に適用する場合には、その外周にステータが配置されるので、永久磁石13とステータとの間の距離をできる限り小さくして磁力を有効に利用することが望ましい。このため、本実施形態では、図3に示すように、永久磁石13は収納部16の外周側の内面164に寄せて固定されている。この場合、収納部16の内周側の内面161には、平面視で円弧状の凹部溝162が形成され、上抑え板14(図1)には、収納部16の円弧状の凹部溝162に対向して注入孔141が形成されている。これにより、これら各注入孔141を介して凹部溝162に樹脂25を加圧注入(圧送充填)することにより、この樹脂25が収納部16の内周側の内面161と永久磁石13との隙間に侵入して当該永久磁石13を収納部16の外周側の内面164に寄せて固定することができる。
次に、ロータ10の製造手順について説明する。
図4は、ロータ10の製造手順を示すフローチャートである。
最初に、ヨーク11を形成する(ステップS1)。ヨーク11は、例えば、板部材(例えば、珪素鋼板)からプレス加工によりリング状の薄板鋼板111を切り取り、切り取った薄板鋼板111を一枚ずつかしめながら積層して、ヨーク11を形成する。また、このプレス加工においては、上記した収納部16及び凹部24となる箇所の加工も併せて行うことが望ましい。
次に、ヨーク11に形成された収納部16内に永久磁石13を挿入する(ステップS2)。具体的には、ボス部12の突出部21上に下抑え板15を配置した後に、この下抑え板15の上方に上記したヨーク11をボス部12の外周側に圧入し、このヨーク11をボス部12に保持する。そして、各収納部16内にそれぞれ永久磁石13を収納し、これら永久磁石13を収納した状態で上抑え板14をボス部12の外周側に圧入し、これら上抑え板14及び下抑え板15でヨーク11を狭侍する。
続いて、上抑え板14に形成された注入孔141を通じて、各収納部16に熱硬化性の樹脂を注入する(ステップS3)。この場合、ヨーク11を形成する各薄板鋼板111の間、もしくはヨーク11と上抑え板14及び下抑え板15との間に隙間があると、この隙間に樹脂が侵入して樹脂漏れの原因となり得る。このため、収納部16に樹脂を注入する際には、ヨーク11、上抑え板14及び下抑え板15を隙間なく挟んだ状態で行うことが望ましい。本実施形態では、図5に示す樹脂注入装置50が使用されている。
図5は、ロータ10の収納部16に熱硬化性の樹脂を注入する工程で使用される樹脂注入装置50の要部構成を示す側面図である。
樹脂注入装置50は、図5に示すように、ベース51上に配置された受台移動手段52と、受台移動手段52から上方に延在する回転軸53の先端部に装着された受台(載置台)54と、この受台54に載ったロータ10の周縁部(上抑え板14、ヨーク及び下抑え板15)をクランプするクランプ手段55,55と、このクランプ手段55,55にてロータ10の周縁部をクランプした状態で、当該ロータ10の収納部16に熱硬化性の樹脂を注入する注入ノズル56,56とを備える。
受台移動手段52は、回転軸53を介して受台54を回転するとともに、当該受台54を上下方向に移動可能に構成されている。そして、受台54には、ロータ10の孔18に嵌り当該ロータ10を受台54に固定する固定手段(不図示)が設けられている。この固定手段を作動させることにより、ロータ10は、受台54と一体に回転軸53回りに回転する。
クランプ手段55,55は、受台54に載置されたロータ10を挟んで対向して配置され、当該ロータ10の周縁部をクランプする上爪部材57及び下爪部材58と、これら上爪部材57及び下爪部材58をロータ10に対して水平方向に進退させる進退機構(不図示)とを備える。受台移動手段52がロータ10を所定位置まで上昇させると、進退機構が上爪部材57及び下爪部材58をロータ10側に進行させる。そして、これら上爪部材57及び下爪部材58を互いに接近するように上下方向に移動させることにより、ロータ10の周縁部が上爪部材57及び下爪部材58によって上下方向に把持される。すなわち、上抑え板14、ヨーク11及び下抑え板15は、上爪部材57及び下爪部材58により上下方向に閉じられた状態となる。
注入ノズル56は、クランプ手段55により把持されたロータ10の周縁部に対応する注入孔141の上方に配置され、この注入孔141に対して上下方向に接離自在に構成されている。また、注入ノズル56は、2種類の液状の樹脂を混合し、混合した樹脂(例えば、シリコーン樹脂)をノズル先端部59から外部に噴射(ロータ10の収納部16に注入)するノズルである。本構成では、図示を省略したが、第1貯留部から供給された一方の樹脂と、第2貯留部から供給された他方の樹脂とをミキサ部にて混合し、混合した樹脂をノズル先端部59を介して収納部16に注入している。この場合、注入量は、収納部16及び永久磁石13の大きさから求められる隙間に対応する量に設定される。
そして、上爪部材57及び下爪部材58により、上抑え板14、ヨーク11及び下抑え板15が上下方向で把持された状態で、注入ノズル56をロータ10に向けて降下させ、ノズル先端部59から注入孔141を通じて収納部16に樹脂を注入する。
一の収納部16への樹脂の注入が終了すると、注入ノズル56を上昇させるとともに、クランプ手段55による把持を解除し、受台54及びロータ10を所定角度(隣の注入孔141の位置に該当する角度)だけ回転させる。これにより、樹脂が注入されていない収納部16に対して、上述した動作により樹脂を注入することができ、従って、全ての収納部16に対して樹脂を注入することが可能となる。
再び図4に戻って製造手順を説明する。
収納部16に樹脂が注入されると、各注入孔141にそれぞれ封止ピン(封止部材)80を配置して当該注入孔141を封止する(ステップS5)。そして、封止ピン80で注入孔141を封止した状態でロータ10を加熱炉内に入れ、高周波加熱コイル90に高周波通電してロータ10を加熱して樹脂を硬化させる(ステップS6)。
封止ピン80は、図6に示すように、ピン本体81と、このピン本体81の先端に当該ピン本体81よりも縮径して注入孔141に密着する縮径部82とを一体に備える。この縮径部82は、注入孔141よりも大きく形成され、当該縮径部82の端面82Aが注入孔141を覆うように上抑え板14に密着することにより、当該注入孔141を封止する。
この構成によれば、ロータ10を加熱して熱硬化性の樹脂を硬化させる際に、上抑え板14に形成されたすべての注入孔141がそれぞれ封止ピン80で封止されることにより、当該注入孔141から熱膨張した樹脂が漏れ出ることが防止され、ひいては、樹脂漏れによる上抑え板14及びヨーク11の汚れを防止することができる。
また、封止ピン80は、縮径部82の端面(樹脂と対向する対向面)82Aに凹状の樹脂逃げ部83を備える。この樹脂逃げ部83は、封止ピン80を注入孔141に配置した際に熱膨張した樹脂が退避するスペースであり、当該樹脂逃げ部83に樹脂が侵入することにより、収納部16内の樹脂の内圧が過剰に上昇することを防止でき、ヨーク11の薄板鋼板111間やヨーク11と上抑え板14または下抑え板15との隙間から樹脂が漏れ出ることを防止できる。本実施形態では、退避させた樹脂を樹脂逃げ部83の形状に成形することで無駄な漏れ出しを防止できるとともに硬化後の見た目を良くすることができる。
また、封止ピン80は、ピン本体81の上端部に軸方向に延びる孔部84を備える。この孔部84には、封止ピン80を上下に移動させるための軸(不図示)が装着され、注入孔141を封止した状態で封止ピン80を保持するように当該封止ピン80を下方に付勢している。
このように、ロータ10を加熱して熱硬化性の樹脂を硬化させる際に、注入孔141を封止ピン80で封止することにより、当該注入孔141から熱膨張した樹脂が漏れ出ることを防止できる。このため、注入孔141を封止できる形状であれば、封止ピン80をいかなる材料で形成できるとも考えられる。しかし、封止ピン80を、例えば、熱伝導性の高い金属(銅金属)で形成した場合、熱硬化性樹脂を硬化させるための熱量が封止ピンに伝達されて空気中に放出されることにより、注入孔141付近で樹脂が未硬化となり、収納部16内の永久磁石13が固定不良となる事態が想定される。このため、封止ピン80は、樹脂の硬化を阻害しない材質で形成することが望ましい。
本実施形態では、封止ピン80は、熱硬化性樹脂としてのシリコーン樹脂と同等、または熱伝導率の低い樹脂材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(poly tetra fluoro ethylene, PTFE))で形成されている。ポリテトラフルオロエチレンは、シリコーン樹脂を硬化させる際の加熱温度(例えば200℃)の環境下での使用に耐えうる耐熱性を備えており、熱伝導率(0.41W/mk)は、銅金属の熱伝導率(400W/mk)よりも遥かに小さく、シリコーン樹脂の熱伝導率(0.48W/mk)よりも小さな値になっている。
この場合、ロータ10を200℃に加熱した際の封止ピンの温度を測定すると、銅金属で形成した場合の温度(92.4℃)に比べて、ポリテトラフルオロエチレンで形成した場合の温度(61.8℃)が低くなることが判明した。
このため、ポリテトラフルオロエチレンで形成された封止ピン80を使用することにより、シリコーン樹脂から封止ピン80への熱伝達が抑制されるため、当該シリコーン樹脂を十分に加熱して硬化させることができ、収納部16内の永久磁石13の固定不良を防止できる。
また、シリコーン樹脂と接触する部位となる縮径部82を粗面化処理することが望ましく、本実施形態では、縮径部82の面粗度を6.3sに形成している。これによれば、縮径部82にシリコーン樹脂が付着した場合であっても、このシリコーン樹脂を簡単に除去できるため、当該シリコーン樹脂が樹脂逃げ部83に堆積してしまう事態を防止できる。
また、本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレンにグラファイトを所定の比率(30%)で混入させている。この構成によれば、ポリテトラフルオロエチレンのみの場合よりも強度を向上させることができるため、封止ピン80の曲げや変形を抑制することができ、当該封止ピン80の耐久性を向上できる。なお、グラファイトの代わりにカーボンを混入させても構わない。
以上、本実施形態によれば、ヨーク11に形成された収納部16に永久磁石13を挿入する工程と、このヨーク11に上抑え板14を重ねて収納部16を塞ぐとともに、当該上抑え板14に設けられた注入孔141から収納部16内に永久磁石13を固定する熱硬化性のシリコーン樹脂を注入する工程と、注入孔141を封止ピン80で封止する工程と、封止ピン80で注入孔141を封止した状態でロータ10を加熱してシリコーン樹脂を硬化させる工程とを備えたため、ロータ10を加熱してシリコーン樹脂を硬化させる際に、注入孔141が封止ピン80で封止されることにより、当該注入孔141からシリコーン樹脂が漏れ出ることが防止され、ひいては、樹脂漏れによる上抑え板14及びヨーク11の汚れを防止することができる。
また、本実施形態によれば、封止ピン80は、シリコーン樹脂よりも熱伝導率の低い樹脂材料で形成されているため、シリコーン樹脂から封止ピンへの熱伝達が抑制されることにより、当該シリコーン樹脂を十分に加熱して硬化させることができ、収納部16内の永久磁石13の固定不良を防止できる。
また、本実施形態によれば、封止ピン80は、樹脂材料にカーボンもしくはグラファイトを混入して形成されているため、封止ピン80に使用される樹脂材料の強度を向上させることができることにより、封止ピン80の曲げや変形を抑制することができ、当該封止ピン80の耐久性を向上できる。
また、本実施形態によれば、封止ピン80は、注入孔141に配置された際に、シリコーン樹脂と対向する縮径部82の端面82Aに凹状の樹脂逃げ部83を備えるため、加熱時に熱膨張したシリコーン樹脂が樹脂逃げ部83に侵入することにより、収納部16内のシリコーン樹脂の内圧が過剰に上昇することを防止でき、ヨーク11の薄板鋼板111間やヨーク11と上抑え板14または下抑え板15との隙間から樹脂が漏れ出ることを防止できる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。例えば、本実施の形態では、封止ピン80をシリコーン樹脂よりも熱伝導率の低い樹脂材料で一体に形成したが、少なくとも表面部が当該樹脂材料で形成されていれば、内部に金属製の基体部を備える構成としても良い。この構成によれば、封止ピンの強度を向上させることができ、封止ピンの耐久性を向上できる。
また、本実施形態では、樹脂材料にカーボンやグラファイトを混入させたが、耐久性に問題が無ければ、これらを混入しなくても良いことは勿論である。また、封止ピンを形成する材料は、シリコーン樹脂よりも熱伝導率の低いものであれば、樹脂材料に限るものではない。
10 ロータ
11 ヨーク(ロータコア)
13 永久磁石
14 上抑え板(端面板)
15 下抑え板
16 収納部
17 底部
18 孔
25 樹脂
50 樹脂注入装置
52 受台移動手段
55 クランプ手段
56 注入ノズル
80 封止ピン
81 ピン本体
82 縮径部
82A 端面(対向面)
83 樹脂逃げ部
111 薄板鋼板
141 注入孔

Claims (4)

  1. ロータコアに形成された収納部に永久磁石を挿入する工程と、このロータコアに端面板を重ねて前記収納部を塞ぐとともに、当該端面板に設けられた注入孔から前記収納部内に前記永久磁石を固定する熱硬化性樹脂を注入する工程と、前記注入孔を封止部材で封止する工程と、前記封止部材で前記注入孔を封止した状態でロータを加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程とを備えたことを特徴とするロータの製造方法。
  2. 前記封止部材は、少なくとも表面部が樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータの製造方法。
  3. 前記封止部材は、前記樹脂材料にカーボンもしくはグラファイトを混入して形成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータの製造方法。
  4. 前記封止部材は、前記注入孔に配置された際に、前記熱硬化性樹脂と対向する対向面に凹状の樹脂逃げ部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のロータの製造方法。
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