JP2012225458A - 継手ベルト - Google Patents

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暁彦 栗谷
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Abstract

【課題】継手ベルトの継手部分の耐屈曲性を向上させる。
【解決手段】長尺ベルト10は、両端部11、21をフィンガー状に加工する。両端部11、21の端面は、継手部材30を介して、熱融着により継ぎ合わされる。継手部材30は、ウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマーから構成され、両端部11、21の端面の形状に合わせてW字状となる。長尺ベルト10は、熱可塑性エラストマーより融点が高い材料、溶融しない材料、又はこれらの組み合わせで形成され、熱融着により実質的に溶融していない。
【選択図】図1

Description

本発明は、長尺ベルトの端部同士が継ぎ合わされて構成される継手ベルトに関する。
長尺ベルトは、スカイバー継手、フィンバー継手等によって、両端部が継ぎ合わされて無端状にされたうえで使用されるのが一般的である。スカイバー継手は、ベルトの両端部がテーパー状にされ、テーパー面同士が接着剤によって接着されて継ぎ合わされるものである。フィンガー継手は、ベルトの両端部が互いに相補的なフィンバー形状にされたうえで、それらが嵌め合わされて両端部が継ぎ合わされるものである。フィンガー継手では、接着剤により両端部が接着され、あるいは、ベルト本体の熱可塑性樹脂層が加熱により溶融され、熱融着によりベルト両端部が継ぎ合わされる(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2009−197896号公報 特許第4296222号公報
ところで、ベルト両端部が接着剤で継ぎ合わされる場合、接着剤は通常柔軟性がないため、その継手部分の曲げ剛性が他の部分に比べて高くなる。しかし、継手部分が部分的に硬くなると、その部分に応力が集中しやすく、ベルトの耐久性、特に耐屈曲性が低下しやすくなる。
また、熱融着によりベルトが継ぎ合わされる場合、加熱によって継手部分の物性が変化することがある。例えば、ベルト芯体に延伸ポリアミドが用いられる場合、加熱溶融によって延伸ポリアミドの配向性が失われ、継手部分におけるモジュラスが他の部分と大きく異なるおそれがある。
さらに、熱融着の場合、ベルト両端部の間の隙間に樹脂を入り込ませるために、突き合わせ部分は厚さ方向に高い圧力が付勢される。したがって、突き合わせ部分は圧縮変形し、他の部分に比べて厚さが薄くなり段差が発生する。また、熱融着では、継手部分の厚みが薄くなるのを防止するために、継手部分の上に熱可塑性樹脂シートが配置される場合があるが、そのような構成ではバリが発生しやすくなる等の問題がある。
そこで、本発明は、ベルトの継手部分の物性変化や強度低下および寸法変化を生じにくくしつつ、継手部分の耐屈曲性を向上させることが可能な継手ベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る継手ベルトは、長尺ベルトの端部同士を継ぎ合わせて構成する継手ベルトにおいて、一方の端部の端面が、他方の端部の端面に熱可塑性エラストマーから構成される継手部材を介して継ぎ合わせられるとともに、これらベルト両端部は、上記熱可塑性エラストマーより融点が高い材料、溶融しない材料、又はこれらの組み合わせで形成されることを特徴とする。
上記継手部材の熱可塑性エラストマーの硬度は、70〜90であることが好ましい。また、両端部を溶融させずに、継手部材を両端部の端面に熱融着させることが好ましい。
ベルトの一方の端部は、ベルト長手方向に突出する凸部を有するとともに、他方の端部は凸部に相補的な形状の凹部を有することが好ましい。この場合、凸部は凹部の内部に配置されるとともに、凸部の外周面は、凹部の内周面に継手部材を介して接着される。
凸部の先端と、凹部の底部との離間距離は、0.3mm〜2.0mmであることが好ましい。また、凸部は、先端に向かうに従って幅が短くなる三角形であったほうが良い。ベルトの一方の端部は、例えば、ベルト幅方向に並ぶ2以上の凸部を有し、フィンガー形状となる。
ベルトの両端部の端面は、テーパー面に形成されており、そのテーパー面同士が、継手部材を介して接着されていても良い。この場合、テーパー面の離間距離は、0.3mm〜2.0mmであることが好ましい。
本発明に係る方法は、長尺ベルトの端部同士を継ぎ合わせて継手ベルトを製造する方法であって、一方の端部の端面が、熱可塑性エラストマーから構成される継手部材を介して、他方の端部の端面に突き合わされ、その突き合わせ部分が両端部が溶融しないように加熱されて、両端部が継手部材を介して熱融着されることを特徴とする。
一方の端部は、ベルト長手方向に突出する凸部を有するとともに、他方の端部は凸部に相補的な形状の凹部を有し、その凸部が、凹部の内部に配置され、凸部の外周面は、凹部の内周面に継手部材を介して突き合わされることが好ましい。また、両端部の端面は、テーパー面に形成されており、そのテーパー面同士が、継手部材を介して突き合わされていても良い。
本発明においては、ベルトの端部同士を熱可塑性エラストマーの継手部材を介して継ぎ合わせるため、継手部分でベルトが固くなるのを防止し、ベルトの耐屈曲性を向上させることが可能になる。また、長尺ベルトの両端部は、熱融着時に溶融しにくい材料で構成されるため、継ぎ合わせ時の物性変化や強度低下並びに寸法変化が生じにくくなる。
本発明の第1の実施形態における継手ベルトを示す上面図である。 第1の実施形態における継手ベルトの各部材を示す斜視図である。 第1の実施形態における継手ベルトの製造過程を示す上面図である。 第1の実施形態における継手ベルトの製造過程を示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態における継手ベルトを示す模式的な断面図である。 第2の実施形態における継手ベルトの各部材を示す斜視図である。 破断屈曲寿命試験の結果を示すグラフである。 引張試験における伸び率に対する引張強度を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る継手ベルトを示す。図2は、継手ベルトを構成する各部材を示す図である。継手ベルト40は、図1に示すように、平ベルトである長尺ベルト10の長手方向における両端部11、21が継ぎ合わされて無端状にされたものであり、例えば、搬送用途で使用されるものである。
長尺ベルトの一方の端部11には、ベルトの長手方向に突出する2つの凸部12、12が、ベルト幅方向に2つ並べられて構成されフィンガー形状を呈する。各凸部12、12は、ベルトの厚さ方向に見たとき、先端に向かうに従って幅が漸次狭くなる二等辺三角形である。凸部12、12は、幅方向において連続的に並べられ、これにより、一方の端部11の端面は、2つの凸部12、12の外周面が連続したものとなり、2つのV字を接続して成るW字形状になる。
長尺ベルトの他方の端部21は、一方の端部11に対して相補的な形状を有する。すなわち、他方の端部21は、厚さ方向に見ると二等辺三角形の2つの凹部22、22がベルト幅方向において連続的に並べられており、フィンガー形状を呈する。そして、端部21の端面は、2つの凹部22、22の内周面が連続したものとなり、2つのV字を接続して成るW字形状になる。長尺ベルト10の両端部11、21は、例えば、打ち抜き加工により成形される。
ベルトの両端部11、21は、熱可塑性エラストマーで構成される継手部材30を介して継ぎ合わされる。両端部11、21は、各凸部12が各凹部22の内部に配置されつつ、両端部11、21の端面間が離間した状態で配置され、その離間した端面間に継手部材30が配置される。継手部材30は、両端部11、21の端面と一致した形状、すなわち、2つのV字を接続して成るW字形状を有し、これにより両端部11、21の端面間には隙間がない。
継手部材30は、後述するプレス加熱により、両端部11、21の端面に熱融着するとともに、一部がベルト10を構成する材料(例えば、後述する布部材15、16)内部に浸入し、これにより、ベルトの両端部11、21は継手部材30によって継ぎ合われる。
本実施形態では、両端部11、21の両端面の間は、凸部12の先端と、凹部22の底部との間が最も離間することになる。このような凸部12の先端と、凹部22の底部の離間距離(最大離間距離)Dは、好ましくは0.2mm〜3.0mmであり、より好ましくは0.3mm〜2.0mmである。距離Dがこれら範囲内にあると、ベルトの継手部分における柔軟性を確保しつつ、両端部11、21の端面間におけるアンカー効果により、ベルトが例えば長手方向に引っ張られても、応力が継手部材30に集中することが防止され、継手部材30が破損したり、大きく伸長したりすることが防止される。
三角形の凸部12における両側辺12A、12Aのベルト長手方向に対する傾斜角度αは、好ましくは20度以下である。角度αがこれら範囲より大きくなると、継手部材30に側辺(すなわち、両端部11、21の端面)に直交する方向の力が作用されやすくなり、ベルトが継手部材30で破損されやすくなる。
継手部材30は、融点が後述するプレス板による加熱温度より低く、プレス加熱で溶融可能な熱可塑性エラストマーで構成される。熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるわけではないが、ウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
一方、長尺ベルト10は、後述するプレス加熱により両端部11、21が溶融しないように構成されるものである。そのため、長尺ベルトを構成する材料としては、継手部材30を構成する熱可塑性エラストマーよりも融点が高い材料、加熱しても熱溶融しない材料、又はこれらの組み合わせが使用される。
ここで、熱可塑性エラストマーよりも融点が高い材料としては、例えば、ベルトの芯体を構成し、延伸ポリアミド樹脂等から成る延伸フィルム、若しくはその他の樹脂層、又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の樹脂繊維で構成された織布等が挙げられる。また、熱溶融しない材料としては、例えば、各種ゴムや綿やアラミド繊維等で構成された織布等が挙げられる。
なお、本実施形態における長尺ベルト10は、図4に示すように、織布から成る2枚の布部材15、16をゴム糊によって接着したものの上面に、表面ゴム層17をさらに積層したベルトであるが、この構成に限定されるものではなく、例えば後述する図5の構成を有するベルトであっても良いし、他の構成のベルトであっても良い。
本実施形態では、継手部材30がエラストマーであるため、ベルトの継手部分の柔軟性が確保されやすくなる。また、柔軟性を確保しつつ継手部分の強度を維持するために、継手部材30の硬度は、70〜90であることが好ましい。なお、本明細書において硬度とは、JIS K6253に従って測定したJIS−A硬度である。
次に、本実施形態における継手ベルトの製造方法を図3、4を用いて説明する。本実施形態では、まず、長尺ベルト10の両端部11、21は、両端部11、21の端面の間に僅かなW字状の間隙ができるように、各凹部22の内部に各凸部12が配置された状態で、ベース33の上に配置され、次いで、その間隙にW字形状の継手部材30が押し込まれる。これにより、長尺ベルト10の両端部11、21は、継手部材30を介して、端面同士が互いに突き合わされた状態になる。
次いで、その突き合わされた部分は、図4に示すように、その上面側から、プレス板34によって加熱されつつ厚さ方向に加圧される。この加熱加圧により、熱可塑性エラストマーから構成される継手部材30は、溶融・流動化され、両端部11、21の端面間の間隙に隙間なく充填させられ、また、一部はベルト10を構成する材料の隙間(例えば、布部材15、16内部の隙間)にも浸入させられる。
なお、プレス加熱される前の継手部材30は、図4に示すように、その高さHが長尺ベルト10の厚さより大きく、両端部11、21間に配置された継手部材30の上端は、ベルトの上面よりも上側に突出する。そのため、継手部材30は、プレス板34によって加熱・加圧されやすくなる。ただし、この上面より突出した部分は、プレス板34により押圧されて両端部11、21の端面間の間隙に充填され、或いは、ベルト10の上面に付着し、加熱融着後には殆どない状態となる。
プレス板34による加熱・加圧が終了すると、突き合わせ部分は冷却され、溶融されていた継手部材30が固化され、これにより、両端部11、21が継手部材30によって継ぎ合わされ図1に示す継手ベルト40が得られる。
以上のように、本実施形態では、ベルト両端部が弾性を有する熱可塑性エラストマーで継ぎ合わされたため、ベルトの継手部分に柔軟性を持たせやすくなり、ベルトの耐屈曲性を向上させることができる。そのため、例えばベルトが小径プーリに掛けられて大きく屈曲させられても、継手部分で割れが生じにくくなる。また、例えば、凹部22の底部が起点となって発生する縦裂け等も発生しにくくなる。
一方、長尺ベルト10の両端部11、21は、上記プレス加熱により熱溶融しないため、熱融着されているにもかかわらず物性変化がほとんどなく、ベルト本来の強度や特性を維持することが可能である。
また、本実施形態では、両端部11、21は、先端又は底部に向かうに従って幅が漸次狭くなる凸部12、凹部22から成るフィンガー形状で構成されるため、継手部材30によって継ぎ合わされる端部11、21の両端面は、全てがベルトの長手方向に対して傾斜した面となる。そのため、継手ベルト40が長手方向に引っ張られても、端部11、21の両端面間には、それら端面に対して垂直となる力が作用されにくくなり、継手部材30でベルトが破損されにくくなる。
ただし、凸部12及び凹部22の形状は、三角形に限定されず、先端が丸くなっていても良いし、矩形であっても良いし、その他の形状であっても良い。また、端部11、21は、2つの凸部12及び凹部22から構成されたが、凸部12及び凹部22は1つ以上であればいくつであっても良い。この場合、両端部11、21の端面は、V字となり、或いは、V字が2つ以上接続した鋸歯形状となる。
次に、本発明の第2の実施形態について図5、6を用いて説明する。第1の実施形態においては、フィンガー継手であったが、本実施形態では、スカイバー継手によってベルトの両端部が継ぎ合わされ、継手ベルト80が得られる。以下、第2の実施形態ついて、第1の実施形態との相違点を説明する。
第2の実施形態における長尺ベルト50の一方の端部51の端面は、ベルト50の両面(上面及び下面)に交わり、かつ上面との接続角度が鈍角であるテーパー面52とされる。また、他方の端部61の端面は、同様にテーパー面62とされ、上記接続角度と同じ接続角度でベルト50の下面に接続される。これらテーパー面52、62は、例えば研削ローラ等によって両端部51、61が研削加工されることにより成形される。ただし、両端部51、61は、後述する継手部材70の厚さTも考慮され、テーパー面52、62の間に継手部材70が配置されても、継手部分の厚さがベルトのその他の部分の厚さと同一となるように加工される。
両端部51、61の端面を構成するテーパー面52、62は、第1の実施形態と同様に、継手部材70を介して継ぎ合わされる。具体的には、一方のテーパー面52の上に、一定厚さTの層状の継手部材70が配置され、その継手部材70の上に、他方のテーパー面62が配置され、これにより、テーパー面52、62は、継手部材70を介して、互いに突き合わされた状態で接着される。
継手部材70は、第1の実施形態と同様に、両テーパー面52、62に熱融着するとともに、一部がベルト50を構成する材料の隙間(例えば、後述する布部材56、57内部の隙間)に浸入しており、これにより、ベルト50の両端部51、61は継手部材70によって継ぎ合われ、継手ベルト80となる。
なお、継手部材70のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。また、長尺ベルト50を構成する材料としては、第1の実施形態と同様に、継手部材70を構成する熱可塑性エラストマーよりも融点が高い材料、加熱しても熱溶融しない材料、又はこれらの組み合わせが使用される。
本実施形態では、長尺ベルト50は、例えば、図5に示すように、ベルトの長手方向が延伸方向である延伸ポリアミドから成る芯体55と、芯体55の両面に接着され、ポリアミド織布から成る布部材56、57と、布部材56、57の外面に積層されたカバーゴム層58、59とを備える。ただし、長尺ベルト50は、この構成に限定されるわけではなく、例えばカバーゴム層58、59の一方又は両方が省略されても良いし、図4のような構造を有するベルトであっても良いし、その他の構造を有するベルトであっても良い。
継手部材70の厚さT(すなわち、端面間の離間距離)は、好ましくは0.2mm〜3.0mm、より好ましくは0.3mm〜2.0mmである。厚さTは、これら範囲内にあることにより、第1の実施形態の離間距離Dを所定の範囲とした場合と同様に、継手部分における柔軟性を確保しつつ、応力が継手部材70に集中することを防止できる。
本実施形態では、図6に示すように、一方の端部51、シート状の継手部材70及び他方の端部61が重ねられ、テーパー面52、62が継手部材70を介して互いに突き合わされた状態で、第1の実施形態と同様に、ベルトの厚さ方向にプレス加熱が行われ、ベルト50の両端部51、61が継ぎ合わされる。なお、プレス加熱前の継手部材70は、プレス加熱により若干薄くなるため、その厚さは上記厚さTよりも僅かに厚いものである。
以上のように、本実施形態においても、ベルト両端部が弾性を有する熱可塑性エラストマーの継手部材で継ぎ合わされたため、ベルトの継手部分に柔軟性を持たせやすくなり、ベルトの耐屈曲性が向上する。また、ベルト両端部は、プレス加熱により熱溶融されないため、ベルト本来の強度や特性が維持されている。
次に、本発明について、以下実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例の構成に限定されない。
[実施例1]
長尺ベルトの両端部を、図3に示すように、フィンガー形状に加工して、継手部材を介して150℃のプレス加熱により継ぎ合わせて、図1に示す継手ベルトを得た。長尺ベルトは、図4に示すように、各々ナイロン織布から成る2枚の帆布をゴム糊により接着したものに、NBRの表面ゴム層を積層したものであった。継手部材としては、ウレタンエラストマーを用い、その硬度は85度(JIS A)であった。また、ベルトの幅を20mmとし、凸部の高さLを70mm、凸部の両側辺のベルト長手方向に対する傾斜角度αを4度とするとともに、凸部の先端と凹部の底部との離間距離Dを0.5mmとした。
[実施例2]
ベルト両端部の端面を、図6に示すようにテーパー面とし、厚さ0.5mmのシート状の継手部材を介して継ぎ合わせて、継手ベルトを得た点を除いて実施例1と同様に実施した。
[実施例3]
凸部の先端と凹部の底部との離間距離Dを2.0mmとした点を除いて実施例1と同様にした。
[実施例4]
凸部の先端と凹部の底部との離間距離Dを4.0mmとした点を除いて実施例1と同様にした。
[比較例1]
シート状の継手部材の代わりに接着剤を用いて、ベルト両端部を継ぎ合わせて継手ベルトを得た点を除いて、実施例2と同様に実施した。
[破断屈曲寿命試験]
実施例1、2及び比較例1の継手ベルトを破断屈曲寿命試験により評価した。破断屈曲寿命試験では、無端状の継手ベルトを、軸間距離500mm、プーリ径30mm、30mmの2軸プーリに掛け回した。そして、原動プーリから遠ざかる方向に沿って、従動プーリ側に一定の負荷を作用させた状態で、回転数3000rpmで原動プーリを回転させて、ベルトが破断するまでの屈曲回数を測定し、その屈曲回数を破断屈曲比として図7に示した。但し、実施例1では、長時間回転させてもベルトが破断しなかったので、試験を途中で中止した。
[引張強度試験]
離間距離Dを変化させたことによる引張特性の違いを確認するために、実施例1、3、4について引張強度試験を実施した。引張強度試験では、継手部分を含む短冊状の20mm幅のベルトをベルトの長手方向に、50mm/分で引っ張ることにより、その伸び率と引張強度との関係を求めた。その結果を図8に示す。
図7に示すように、接着剤により両端を継ぎ合わせた比較例1では、耐久性が十分ではなかった。それに対して、熱可塑性エラストマーの継手部材を使用した実施例1、2では、耐屈曲性が向上しベルト耐久性が良好になった。また、図8に示すように引張強度の観点から、離間距離Dは2.0mm以下であったほうが良いことが理解できる。
10、50 長尺ベルト
11、21、51、61 端部
12 凸部
22 凹部
30、70 継手部材
40、80 継手ベルト
52、62 テーパー面




Claims (12)

  1. 長尺ベルトの端部同士を継ぎ合わせて構成する継手ベルトにおいて、
    一方の前記端部の端面が、他方の前記端部の端面に熱可塑性エラストマーから構成される継手部材を介して継ぎ合わせられるとともに、
    前記両端部は、前記熱可塑性エラストマーより融点が高い材料、溶融しない材料、又はこれらの組み合わせで形成されることを特徴とする継手ベルト。
  2. 前記熱可塑性エラストマーの硬度は、70〜90であることを特徴とする請求項1に記載の継手ベルト。
  3. 前記両端部を溶融させずに、前記継手部材を前記両端部の端面に熱融着させることを特徴とする請求項1に記載の継手ベルト。
  4. 前記一方の端部は、ベルト長手方向に突出する凸部を有するとともに、前記他方の端部は前記凸部に相補的な形状の凹部を有し、
    前記凸部は、前記凹部の内部に配置されるとともに、前記凸部の外周面は、前記凹部の内周面に前記継手部材を介して接着されることを特徴とする請求項1に記載の継手ベルト。
  5. 前記凸部の先端と、前記凹部の底部との離間距離は、0.3mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項4に記載の継手ベルト。
  6. 前記凸部は、先端に向かうに従って幅が狭くなる三角形であることを特徴とする請求項4に記載の継手ベルト。
  7. 前記一方の端部は、ベルト幅方向に並ぶ2以上の凸部を有し、フィンガー形状であることを特徴とする請求項4に記載の継手ベルト。
  8. 前記両端部の端面は、テーパー面に形成されており、そのテーパー面同士が、前記継手部材を介して接着されることを特徴とする請求項1に記載の継手ベルト。
  9. 前記テーパー面の離間距離は、0.3mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項8に記載の継手ベルト。
  10. 長尺ベルトの端部同士を継ぎ合わせて継手ベルトを製造する方法において、
    一方の前記端部の端面が、熱可塑性エラストマーから構成される継手部材を介して、他方の前記端部の端面に突き合わされ、
    その突き合わせ部分が前記両端部が溶融しないように加熱されて、前記両端部が前記継手部材を介して熱融着されることを特徴とする方法。
  11. 前記一方の端部は、ベルト長手方向に突出する凸部を有するとともに、前記他方の端部は前記凸部に相補的な形状の凹部を有し、
    前記凸部は、前記凹部の内部に配置され、前記凸部の外周面は、前記凹部の内周面に前記継手部材を介して突き合わされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記両端部の端面は、テーパー面に形成されており、そのテーパー面同士が、前記継手部材を介して突き合わされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
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