以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
≪全体構成≫
図1、図2は、それぞれ本発明に係るダイシング装置の第1の実施形態の概略構成を示す平面図と正面図である。
同図に示すように、本実施の形態のダイシング装置10は、ウェーハWを格納する格納部12と、ウェーハWを加工する加工部14と、ウェーハWを洗浄する洗浄部16と、ウェーハWを搬送する搬送部18とを備えて構成される。
〈格納部〉
格納部12は、ウェーハWを格納するカセットCと、カセットCが載置されるカセットステージ20と、カセットステージ20を昇降させるカセットステージ昇降機構22とを備えて構成される。
カセットCは、正面部分が開口した四角い箱状に形成される。カセットCの内部は、水平な間仕切に仕切られて、格納室が複数段形成される。各格納室には、ウェーハWが1枚ずつ格納される。開口したカセットCの正面部分は、ウェーハWの取出口とされ、この取出口を介して各収納室にウェーハWが格納される。この際、ウェーハWは一方向に出し入れされる。すなわち、正面から背面に向けて水平に出し入れされる。
カセットCには、ダイシングフレームFにマウントされたウェーハWが格納される。ダイシングフレームFは、環状に形成され、その外周部には直線部が4箇所に形成される。直線部は、隣り合う直線部同士が互いに直交するように形成される(対向する直線部同士が互いに平行になるように形成される。)。ダイシングフレームFの内周部には、ダイシングテープTが弛みなく取り付けられる。ダイシングテープTは、一方側の面が貼着面とされる。ウェーハWは、この貼着面に貼り付けられることにより、ダイシングフレームFにマウントされる。
カセットステージ20は、矩形状に形成され、所定のワーク格納位置に水平に設置される。カセットステージ20の上には位置決め枠24が設けられる。位置決め枠24は、カセットステージ20の上に載置されるカセットCの外周を囲うように設けられる。カセットCは、この位置決め枠24の内側に底部を嵌め込んで、カセットステージ20の上に載置する。これにより、カセットCが、カセットステージ20の上に位置決めされて載置される。
なお、カセットCは、格納されたウェーハWが所定の取出方向で取り出されるように、取出口を所定方向に向けて水平な姿勢でカセットステージ20の上に載置される。カセットCは、底部を位置決め枠24の内側に嵌め込んでカセットステージ20の上に載置することにより、自動的にこのような姿勢でカセットステージ20の上に載置される。
カセットステージ昇降機構22は、カセットステージ20を垂直方向(Z軸方向)に昇降させる。カセットステージ昇降機構22は、たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構で構成される。
〈加工部〉
加工部14は、ウェーハWに送りを与えるワーク送り部14Aと、ウェーハWを切削する切削部14Bとで構成される。
ワーク送り部14Aは、ウェーハWを吸着保持するワークテーブル30と、ワークテーブル30をX軸方向に直線移動させるワークテーブル送り機構(不図示)とを備えて構成される。
ワークテーブル30は、円盤状に形成され、その上面にワーク載置面が形成される。ワークテーブル30は、このワーク載置面が水平になるように設置される。ワークテーブル30には、ワーク載置面に載置されたウェーハWを真空吸着する吸着機構(不図示)が備えられる。
ワークテーブル送り機構(不図示)は、ワークテーブル30を所定の送り方向(X軸方向)に沿って水平移動させる。ワークテーブル送り機構は、たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構で構成される。ワークテーブル30は、このワークテーブル送り機構によってX軸方向に直線移動する。
なお、ワークテーブル30へのウェーハWの受け渡し及び受け取りは、所定のワーク交換位置で行われる。ワークテーブル30は、ワーク交換位置に移動して、搬送部18から加工前のウェーハWを受け取り、また、加工後のウェーハWを搬送部18に受け渡す。
切削部14Bは、一対のスピンドルユニット32A、32Bと、各スピンドルユニット32A、32BをY軸方向に送るスピンドルユニットY送り機構34A、34Bと、各スピンドルユニット32A、32BをZ軸方向に送るスピンドルユニットZ送り機構36A、36Bと、ワークテーブル30に載置されたウェーハWを撮像する撮像ユニット38とを備えて構成される。
一対のスピンドルユニット32A、32Bは、それぞれスピンドルユニット本体40A、40Bと、スピンドルユニット本体40A、40Bの先端に回転自在に設けられる主軸42A、42Bと、スピンドルユニット本体40A、40Bに内蔵されるモータ(不図示)とで構成される。この一対のスピンドルユニット32A、32Bは、切削部14Bに移動したワークテーブル30の上方に配置される。各スピンドルユニット32A、32Bは、ワークテーブル30の移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に並列して配置され、互いの主軸42A、42Bが対向するように配置される。
スピンドルユニット本体40A、40Bは、円筒状に形成され、先端に主軸42A、42Bが設けられる。各主軸42A、42Bは、スピンドルユニット本体40A、40Bに内蔵されたモータ(不図示)に駆動されて高速回転する。各主軸42A、42Bには、それぞれダイシングブレード44A、44Bが着脱可能に取り付けられる。ダイシングブレード44A、44Bは、円盤状に形成され、その外周に切削刃が形成される。ウェーハWは、このダイシングブレード44A、44Bによって切削される。
図3に示すように、スピンドルユニットY送り機構34A、34Bは、Y軸方向に移動するスピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bを有する。スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bは、Y軸方向に沿って配設されたスピンドルユニットY送りガイドレール48A、48BにガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bは、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48B上をY軸方向に移動する。
スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48Bは、スピンドルユニット支持フレーム50に配設される。スピンドルユニット支持フレーム50は、ダイシング装置10の装置本体200に垂直に立設される一対の柱状の支持フレーム(不図示)に両端部を支持されて、ワークテーブル30の上方位置に梁状に配設される。このスピンドルユニット支持フレーム50は、ダイシング装置10の正面側にYZ平面と平行な支持面が形成される。スピンドルユニットY送りガイドレール48A、48Bは、この支持面に沿って配設される。
スピンドルユニットZ送り機構36A、36Bは、Z軸方向に移動するスピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bを有する。スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bは、Z軸方向に沿って配設されたスピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54BにガイドされてZ軸方向にスライド自在に設けられる。また、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bは、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、スピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54B上をZ軸方向に移動する。
スピンドルユニットZ送りガイドレール54A、54Bは、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bに配設される。したがって、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46Bが、Y軸方向に移動すると、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52BもY軸方向に移動する。
一対のスピンドルユニット32A、32Bは、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52Bに取り付けられる。これにより、スピンドルユニットZ送りテーブル52A、52BをZ軸方向に移動させると、スピンドルユニット32A、32BをZ軸方向に移動させることができる。また、スピンドルユニットY送りテーブル46A、46BをY軸方向に移動させると、スピンドルユニット32A、32BをY軸方向に移動させることができる。
スピンドルユニット32A、32Bは、Z軸方向に移動することにより、ダイシングブレード44A、44Bの高さを調整することができる。また、Y軸方向に移動することにより、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置を調整することができる。
ウェーハWの加工は、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置、高さを調整した後、ダイシングブレード44A、44Bを高速回転させ、この高速回転するダイシングブレード44A、44Bに対して、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより行われる。これにより、ウェーハWの表面に高速回転するダイシングブレード44A、44Bが接触し、ウェーハWがX軸方向に沿って切削される。ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置をストリート(切断ライン)に合わせて、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより、ウェーハWがストリートに沿って切削される。
なお、この加工に際して、ダイシングブレード44A、44BとウェーハWとの接触部に向けて図示しないノズルから切削液(水)が供給され、切削部の冷却及び切削屑の洗い流しが行われる。
図1に示すように、撮像ユニット38は、一方のスピンドルユニット32Aに撮像ユニット支持ブラケット38Aを介して取り付けられる。撮像ユニット38は、ワークテーブル30に保持されたウェーハWの表面を撮像する。この撮像ユニット38で撮像された画像に基づいてアライメント処理や加工状態の評価等が行われる。
〈洗浄部〉
洗浄部16は、加工後のウェーハWを洗浄するワーク洗浄装置56を有する。ワーク洗浄装置56は、たとえば、スピン洗浄装置で構成され、ワーク洗浄位置に設置される。スピン洗浄装置は、ウェーハWを回転させながら、洗浄液を付与して、ウェーハWを洗浄する。洗浄後は、ウェーハWを回転させながら、エアを吹き付けて乾燥させる。なお、この種のワーク洗浄装置の構成は公知なので、その具体的な構成の説明については省略する。
加工後のウェーハWは、ワーク洗浄装置56の上部からワーク洗浄装置56に受け渡される(ワーク洗浄装置56の上部から垂直に下降させて、ワーク洗浄装置56に受け渡される。)。また、洗浄後のウェーハWは、ワーク洗浄装置56の上部から回収される(ワーク洗浄装置56の上部から垂直に引き上げられて回収される。)。
図1及び図2に示すように、搬送部18は、カセットステージ20に載置されたカセットCからウェーハWを取り出して、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30に搬送するとともに、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30から加工後のウェーハWを回収し、ワーク洗浄装置56に搬送する。また、洗浄後のウェーハWをワーク洗浄装置56から回収し、カセットステージ20に載置されたカセットCに収納する。
〈搬送部〉
搬送部18は、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能な第1アーム60と、第1アーム60をY軸方向に移動させる第1アームY移動機構62と、第1アーム60をZ軸方向に移動させる第1アームZ移動機構64と、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能な第2アーム66と、第2アーム66をY軸方向に移動させる第2アームY移動機構68と、第2アーム66をZ軸方向に移動させる第2アームZ移動機構70と、第1アーム60に設けられ、ウェーハWを把持するウェーハ把持機構72と、第1アーム60に設けられ、ウェーハWの上面を吸着保持する第1吸着保持機構74と、第2アーム66に設けられ、カセットCから取り出されたウェーハWが載置されるトレイ76と、第2アーム66に設けられ、トレイ76に載置されたウェーハWを位置決め(プリアライメント)する位置決め機構78と、第2アーム66に設けられ、ウェーハWの上面を吸着保持する第2吸着保持機構80とを備えて構成される。
第1アーム60は、棒状に形成され、X軸方向に沿って水平に設置される。第1アーム60の先端には、ウェーハ把持機構72及び第1吸着保持機構74を取り付けるための第1取付ベース82が設けられる。第1取付ベース82は、所定の外形(本例では八角形)を有する平板状に形成され、第1アーム60の先端に水平に取り付けられる。
第1アームY移動機構62は、Y軸方向に移動する第1アームY移動テーブル84を有する。第1アームY移動テーブル84は、Y軸方向に沿って配設された第1アームY移動ガイドレール86にガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、第1アームY移動テーブル84は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、Y軸方向に移動する。
第1アームY移動ガイドレール86は、搬送部支持フレーム88に配設される。搬送部支持フレーム88は、ダイシング装置10の装置本体200に垂直に立設される柱状の支持フレーム(不図示)に両端部を支持されて、ワークテーブル30の上方位置に梁状に配設される。搬送部支持フレーム88には、YZ平面と平行な前支持面88Aと後支持面88Bとが、ダイシング装置10の正面側と背面側とに形成される。第1アームY移動ガイドレール86は、この搬送部支持フレーム88の前支持面88Aに配設される。
第1アームZ移動機構64は、Z軸方向にスライドする第1アームZスライドロッド90を有する。第1アームZスライドロッド90は、第1アームZスライドロッド支持部92に支持されて、Z軸方向にスライド自在に設けられる。また、第1アームZスライドロッド90は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構、あるいは、シリンダ)に駆動されて、Z軸方向にスライドする。
第1アームZスライドロッド支持部92は、第1アームY移動テーブル84に設けられる。したがって、第1アームY移動テーブル84がY軸方向に移動すると、第1アームZスライドロッド90もY軸方向に移動する。
第1アーム60は、第1アームZスライドロッド90の先端に取り付けられる。これにより、第1アームZスライドロッド90をZ軸方向にスライドさせると、第1アーム60がZ軸方向に移動する。また、第1アームY移動テーブル84をY軸方向に移動させると、第1アーム60がZ軸方向に移動する。
第2アーム66は、棒状に形成され、X軸方向に沿って水平に設置される。第2アーム66の先端には、トレイ76及び第2吸着保持機構80を取り付けるための第2取付ベース94が設けられる。第2取付ベース94は、所定の外形(本例では八角形)を有する平板状に形成され、第2アーム66の先端に水平に取り付けられる。
第2アームY移動機構68は、Y軸方向に移動する第2アームY移動テーブル96を有する。第2アームY移動テーブル96は、Y軸方向に沿って配設された第2アームY移動ガイドレール98にガイドされてY軸方向にスライド自在に設けられる。また、第2アームY移動テーブル96は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構)に駆動されて、Y軸方向に移動する。第2アームY移動ガイドレール98は、搬送部支持フレーム88の後支持面88Bに配設される。
第2アームZ移動機構70は、Z軸方向にスライドする第2アームZスライドロッド100を有する。第2アームZスライドロッド100は、第2アームZスライドロッド支持部102に支持されて、Z軸方向にスライド自在に設けられる。また、第2アームZスライドロッド100は、図示しない駆動機構(たとえば、モータによって駆動される送りねじ機構、あるいは、シリンダ)に駆動されて、Z軸方向にスライドする。
第2アームZスライドロッド支持部102は、第2アームY移動テーブル96に設けられる。したがって、第2アームY移動テーブル96がY軸方向に移動すると、第2アームZスライドロッド100もY軸方向に移動する。
第2アーム66は、第2アームZスライドロッド100の先端に取り付けられる。これにより、第2アームZスライドロッド100をZ軸方向にスライドさせると、第2アーム66がZ軸方向に移動する。また、第2アームY移動テーブル96をY軸方向に移動させると、第2アーム66がZ軸方向に移動する。
なお、第1アーム60と第2アーム66は、上下に重ねて配置することができるように構成される。この際、第1アーム60が第2アーム66の下に配置されるように構成される。
図4及び図5に示すように、ウェーハ把持機構72は、ダイシングフレームFの縁部を把持するフィンガ104を有する。フィンガ104は、フィンガ本体104Aに備えられた上下一対の把持爪104BによってダイシングフレームFの縁部を把持する。一対の把持爪104Bは、それぞれ矩形の平板状に形成され、フィンガ本体104Aに内蔵された図示しない駆動機構に駆動されて、その隙間の間隔が開閉する。ダイシングフレームFは、この一対の把持爪104Bによって、縁部が上下から挟まれて、フィンガ104に把持される。
フィンガ104は、フィンガ揺動アーム106の先端に取り付けられる。フィンガ揺動アーム106の基端部は、X軸方向に沿って配置された回転軸106Aに固定される。回転軸106Aは、第1取付ベース82に取り付けられたフィンガ揺動アーム支持ブラケット108に回転自在に支持される。フィンガ揺動アーム支持ブラケット108には、フィンガ移動モータ110が取り付けられる。フィンガ移動モータ110の出力軸は、回転軸106Aに連結される。回転軸106Aは、フィンガ移動モータ110を駆動することにより、所定の角度範囲で正逆回転する。そして、この回転軸106Aが回転することにより、フィンガ揺動アーム106が揺動し、フィンガ104が「フィンガ把持位置」と「フィンガ退避位置」との間を移動する。フィンガ104は、フィンガ把持位置に移動することにより、第1取付ベース82の下方に移動する。また、フィンガ退避位置に移動することにより、第1取付ベース82の上方に移動する。
フィンガ把持位置に移動することにより、フィンガ104は、カセットステージ20に載置されたカセットCの取出口に対向して配置される。これにより、カセットCに格納されたウェーハWのダイシングフレームFの縁部を把持することが可能になる。
第1吸着保持機構74は、図4及び図5に示すように、4つの第1吸着パッド112で構成され、X軸方向に移動可能に設けられる。
4つの第1吸着パッド112は、第1吸着保持機構X送りテーブル130に取り付けられる。
第1吸着保持機構X送りテーブル130は、矩形の平板状に形成される。この第1吸着保持機構X送りテーブル130は、第1取付ベース82と平行に設けられ、第1取付ベース82の下部に配置される。
第1取付ベース82の下面には、一対の第1吸着保持機構X送りガイドレール132がX軸と平行に敷設される。第1吸着保持機構X送りテーブル130は、この第1吸着保持機構X送りガイドレール132にスライダを介してスライド自在に支持される。
一対の第1吸着保持機構X送りガイドレール132の間には、第1吸着保持機構X送り用シリンダ134が配置される。第1吸着保持機構X送り用シリンダ134は、X軸と平行に配設され、そのシリンダ本体が第1取付ベース82の下面に固定される。また、そのシリンダロッドの先端が第1吸着保持機構X送りテーブル130に固定される。
4つの第1吸着パッド112は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第1吸着保持機構X送りテーブル130の下面部に取り付けられる。この4つの第1吸着パッド112は、第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
第1吸着保持機構X送り用シリンダ134を駆動すると、第1吸着保持機構X送りテーブル130が、第1吸着保持機構X送りガイドレール132に沿ってスライドし、図6に示すように、X軸方向に移動する。これにより、第1吸着保持機構74をX軸方向に移動させることが可能になる。また、これにより、第1吸着保持機構74によってウェーハWをX軸方向にも搬送することが可能になる。
図7に示すように、トレイ76は、第2取付ベース94の上面部に設けられる。このトレイ76は、一対のフレームガイドレール114で構成される。フレームガイドレール114は、L字状に形成され、水平部114Aと垂直部114Bとで構成される。水平部114Aは、XY平面と平行に設けられ、垂直部114Bは、YZ平面と平行に設けられる。一対のフレームガイドレール114は、互いの水平部114Aを内側にして、一定の間隔をもって平行に配置される。カセットCから取り出されたウェーハWは、この平行に配置された一対のフレームガイドレール114の水平部114Aに載置される。
位置決め機構78は、トレイ76を構成する一対のフレームガイドレール114を互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動させ、その間隔を拡縮させる。この位置決め機構78は、位置決め用ガイドレール116と、ピニオンギア118と、一対のラック120と、位置決め用シリンダ122とを備えて構成される。
位置決め用ガイドレール116は、第2取付ベース94の上に設けられる。位置決め用ガイドレール116は、XY平面上をX軸方向に沿って配設される。フレームガイドレール114は、この位置決め用ガイドレール116にガイドされて、X軸方向に移動自在に設けられる。
ピニオンギア118は、第2取付ベース94の中央に配置されたピニオンギア支持軸124に回転自在に支持される。ピニオンギア支持軸124は、第2取付ベース94の上面に垂直に立設され、Z軸方向に沿って配設される。
一対のラック120は、ピニオンギア118を挟んで位置決め用ガイドレール116と平行に配設される。各ラック120は、ピニオンギア118に噛み合わされるとともに、一端がフレームガイドレール114に連結される。これにより、ピニオンギア118を回転させると、フレームガイドレール114が互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動する。
位置決め用シリンダ122は、そのシリンダ本体が第2取付ベース94の上に設けられる。位置決め用シリンダ122は、X軸方向に沿って配設され、そのロッドの先端部が、一方のフレームガイドレール114に連結される。
位置決め用シリンダ122を駆動すると、一方のフレームガイドレール114がX軸方向に移動する。これにより、一対のフレームガイドレール114が、第2取付ベース94の中心を中心にして、互いに近づく方向/互いに離れる方向に移動して、その間隔が拡縮する。
ウェーハWは、フレームガイドレール114の間隔を広げた状態でフレームガイドレール114の水平部114Aの上に載置される。水平部114Aの上に載置されたウェーハWは、フレームガイドレール114の垂直部114Bに挟まれて、位置決め(プリアライメント)される。
第2吸着保持機構80は、図7及び図8に示すように、4つの第2吸着パッド126で構成され、X軸方向に移動可能に設けられる。
4つの第2吸着パッド126は、第2吸着保持機構X送りテーブル140に取り付けられる。
第2吸着保持機構X送りテーブル140は、矩形の平板状に形成される。この第2吸着保持機構X送りテーブル140は、第2取付ベース94と平行に設けられ、第2取付ベース94の下部に配置される。
第2取付ベース94の下面には、一対の第2吸着保持機構X送りガイドレール142がX軸と平行に敷設される。第2吸着保持機構X送りテーブル140は、この第2吸着保持機構X送りガイドレール142にスライダを介してスライド自在に支持される。
一対の第2吸着保持機構X送りガイドレール142の間には、第2吸着保持機構X送り用シリンダ144が配置される。第2吸着保持機構X送り用シリンダ144は、X軸と平行に配設され、そのシリンダ本体が第2取付ベース94の下面に固定される。また、そのシリンダロッドの先端が第2吸着保持機構X送りテーブル140に固定される。
4つの第2吸着パッド126は、ウェーハWのダイシングフレームFの上面部分を吸着保持するように、第2吸着保持機構X送りテーブル140の下面部に取り付けられる。この4つの第2吸着パッド126は、第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心を中心とした同心円上に所定の間隔をもって配置され、ダイシングフレームFの上面部を吸着可能に配置される(ウェーハWの中心と第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心とを一致させたときにダイシングフレームFの上面部を吸着可能な位置に配置される。)。
第2吸着保持機構X送り用シリンダ144を駆動すると、第2吸着保持機構X送りテーブル140が、第2吸着保持機構X送りガイドレール142に沿ってスライドし、X軸方向に移動する。これにより、上記第1吸着保持機構74と同様に、第2吸着保持機構80をX軸方向に移動させることが可能になる。また、これにより、第2吸着保持機構80によってウェーハWをX軸方向にも搬送することが可能になる。
〈レイアウト〉
図9は、格納部、加工部(ワーク送り部、切削部)、洗浄部のレイアウトと、搬送部による搬送経路を示す平面図である。
同図に示すように、装置本体200は、平面の外形形状が、ほぼ矩形状に形成される。格納部12、ワーク送り部14A、切削部14B、洗浄部16及び搬送部18は、図10に示すように、それぞれ装置本体200の格納エリア202、ワーク送りエリア204、切削エリア206、洗浄エリア208、搬送エリア210に配設される。
格納部12が設置される格納エリア202と、洗浄部16が設置される洗浄エリア208は、装置本体200の正面部に配置される。この格納エリア202と洗浄エリア208は、一定の間隔をもって配置され、その間にワーク送りエリア204が配置される。
ワーク送りエリア204は、装置本体200の正面部から装置本体200の後方(背面方向)に向かって延びるように配置され、切削エリア206と搬送エリア210とを跨いで配置される。
切削エリア206は、装置本体200の背面部に配置され、格納エリア202及び洗浄エリア208の後部(背部)に配置される。
一方、搬送エリア210は、装置本体200の正面部に配置され、洗浄エリア208とワーク送りエリア204を跨いで配置される。
カセットステージ20が設置されるワーク格納位置と、ワーク洗浄装置56が設置されるワーク洗浄位置は、Y軸と平行な直線L上に設定される。搬送部18の第1アーム60に設けられる第1取付ベース82と、第2アーム66に設けられる第2取付ベース94は、この直線L上を移動するように配置される。したがって、第1取付ベース82に設けられるウェーハ把持機構72と、第2取付ベース94に設けられるトレイ76も直線L上を移動するように配置される。
一方、ワークテーブル30が、ウェーハWの受け取り、受け渡しを行うワーク交換位置は、直線Lから装置本体200の後方に向けて所定距離退避した位置に設定される。この結果、ワーク送りエリア204の装置正面側の端部は、格納エリア202及び洗浄エリア208の装置正面側の端部よりも装置後方に退避して形成される。
そして、このように、ワーク送りエリア204が装置後方に退避して形成されることにより、装置本体200の正面部には凹状に窪んだ領域が形成される。この凹状に窪んだ領域は、ワーク送りエリア204の手前に形成され、メンテナンスエリア212とされる。
このように、ワーク交換位置を装置後方にずらして設定し、切削部14Bに近づけて設定するとともに、ワーク送りエリア204を装置後方に退避させて形成し、装置本体200の正面部に凹状に窪んだメンテナンスエリア212を形成することにより、メンテナンス作業時にオペレータが、切削部14Bにより近づいてメンテナンス作業をすることができる。これにより、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
なお、切削部14Bは、その設置位置が装置正面から近いほど、メンテナンス作業がしやすくなる。スピンドルユニット支持フレーム50などを設置する関係上、切削部14Bは装置正面に近づけて設置するには限界があるが、可能な限り装置正面に近づけて設置することが好ましい。
〈ウェーハの搬送〉
ウェーハWの搬送は、次のように行われる。
カセットCに格納されたウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出される。ウェーハ把持機構72は、フィンガ104でダイシングフレームFの縁部を把持し、洗浄部16に向けてY軸方向に所定量移動することにより、ウェーハWをカセットCから引き出す。
なお、ウェーハ把持機構72がカセットCからウェーハWを引き出す高さ位置は常に一定であり、カセットステージ20が上下方向に移動して、カセットCから引き出すウェーハWの高さ位置を調整する。
カセットCから引き出されたウェーハWは、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置される。なお、トレイ76は、ウェーハWの取り出しに連動して、あらかじめウェーハWが引き出される位置の下に位置している。
ウェーハWをトレイ76に載置すると、ウェーハ把持機構72は、フィンガ104をフィンガ退避位置に移動させる。これにより、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74でウェーハWを保持することが可能になる。
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決め(プリアライメント)される。位置決めは、一対のフレームガイドレール114の間隔を狭めることにより行われる。ウェーハWは、一対のフレームガイドレール114の間隔を広げた状態でトレイ76に載置される。ウェーハWが載置された後、この一対のフレームガイドレール114の間隔を狭めることにより、一対のフレームガイドレール114でウェーハWが挟持され、ウェーハWが位置決めされる。一対のフレームガイドレール114は、ウェーハWを位置決めすると、元の位置に戻り、その間隔を広げる。
ウェーハWが位置決めされると、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、トレイ76からウェーハWが回収される。
ウェーハWを回収した第1吸着保持機構74は、Y軸方向及びX軸方向に移動して、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30にウェーハWを搬送する。
ウェーハWが搬送されたワークテーブル30は、ウェーハWを受け取った後、切削部14Bに向けて移動する。この後、ウェーハWは、ダイシングブレード44A、44Bによって、ダイシング加工される。
ダイシング加工が終了すると、ワークテーブル30は、ワーク交換位置に移動する。
ワークテーブル30が、ワーク交換位置に移動すると、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によって、ワークテーブル30からウェーハWが回収される。
ウェーハWを回収した第2吸着保持機構80は、X軸方向及びY軸方向に移動して、ウェーハWをワーク洗浄装置56に搬送する。
ウェーハWが搬送されたワーク洗浄装置56は、ウェーハWを受け取った後、そのウェーハWを洗浄処理する。
洗浄が完了すると、洗浄後のウェーハWが、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってワーク洗浄装置56から回収される。
ウェーハWを回収した第1吸着保持機構74は、Y軸方向に移動して、カセットCの手前の位置であらかじめ待機したトレイ76の上にウェーハWを搬送する。
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決めされた後、カセットCの元の位置(そのウェーハWが格納されていた格納室)に格納される。カセットCへの格納は、第1アーム60に設けられたフィンガ104によって、トレイ76に載置されたウェーハWをカセットCに向けて押し込むことにより行われる。
なお、このようにトレイ76に載置されたウェーハWは、フィンガ104によってカセットCに向けて押し込むことにより、カセットCに格納できる。したがって、トレイ76は、載置されたウェーハWをカセットCに向けて押し込むことにより、ウェーハWをカセットCに格納できる位置であらかじめ待機する。
以上のように、ウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出され、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置された後、トレイ76の上で位置決めされる。そして、位置決めされたウェーハWは、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってトレイ76からワークテーブル30に搬送され、ワークテーブル30によって切削部14Bに搬送されて、ダイシング加工される。ダイシング加工されたウェーハWは、ワークテーブル30によってワーク交換位置に搬送された後、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によってワーク洗浄装置56に搬送され、洗浄処理される。洗浄されたウェーハWは、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、カセットCの手前まで搬送され、そのカセットCの手前に待機したトレイ76の上に載置される。そして、トレイ76の上で位置決めされた後、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCの元の位置に格納される。
なお、図11に示すように、第1アーム60と第2アーム66は、非動作時、所定の搬送機構退避位置で退避する。この搬送機構退避位置は、XY平面上でワーク洗浄位置と同じ位置に設定される。したがって、第1アーム60と第2アーム66は、ワーク洗浄装置56の上方に退避する。この際、第1アーム60と第2アーム66とは、上下に重なるようにして、搬送機構退避位置に退避する。
このように、第1アーム60と第2アーム66を搬送機構退避位置に退避させることにより、加工部14の手前側(装置正面側)の空間が開放され、ダイシングブレード44A、44Bの交換や、ワークテーブル30のメンテナンス等を容易に行うことができる。
〈メンテナンスカバー〉
上記のように、本実施の形態のダイシング装置10では、ワーク送りエリア204が装置後方に退避して形成され、装置本体200の正面部に凹状に窪んだメンテナンスエリア212が形成される。
加工対象のウェーハWは、ワークテーブル30に受け渡される際、その一部がメンテナンスエリア212の上方を通過して、ワークテーブル30に受け渡される。同様に、加工後のウェーハWは、ワークテーブル30から回収されてワーク洗浄装置56へと搬送される際、その一部がメンテナンスエリア212の上方を通過して、ワーク洗浄装置56に搬送される。
ところで、加工後のウェーハWは、切削水などが付着しており、そのまま搬送すると、搬送中にウェーハWから滴下することがある。
上記のように、本実施の形態のダイシング装置10では、加工後のウェーハWは、一部がメンテナンスエリア212の上方を通過して搬送される。この際、メンテナンスエリア212の上方で切削液が、ウェーハWから滴下すると、床面に落下して、床面を汚すことになる。
そこで、本実施の形態のダイシング装置10には、メンテナンスエリア212にメンテナンスカバー174が取り付けられる。
メンテナンスカバー174は、このメンテナンスエリア212を覆うように形成される。本例では、メンテナンスエリア212は、格納エリア202とワーク送りエリア204と洗浄エリア208とに画成されて、矩形状に形成される。したがって、メンテナンスカバー174は、この矩形状に形成されたメンテナンスエリア212よりも一回り大きな矩形の板状に形成される。
メンテナンスカバー174は、図12に示すように、ヒンジ176を介して、ワーク送りエリア204の正面側の端部に取り付けられる。メンテナンスカバー174は、このヒンジ176によってY軸と平行な軸の周りを揺動自在に設けられる。
図12(a)及び図13は、メンテナンスカバー174を閉じた状態を示している。また、図12(b)及び図14は、メンテナンスカバー174を開いた状態を示している。
図12(a)及び図13に示すように、メンテナンスカバー174は、閉じたとき、その左右両縁部が格納部12及び洗浄部16を構成するフレームの縁部に載置される。これにより、水平に支持されて、メンテナンスエリア212を遮蔽する。
図12(b)及び図14に示すように、開いたメンテナンスカバー174は、180度回転して、水平に支持される。
ここで、図13、図14に示すように、ワークテーブル30は、装置本体200の上面部に形成された凹部220内を移動するように配置される。メンテナンスカバー174は、この凹部220の縁部に載置され、凹部220を覆うようにして、水平に支持される。ワークテーブル30は、ワーク交換位置に位置したとき、この開かれたメンテナンスカバー174の下に配置される。
ダイシング装置の運転中、メンテナンスカバー174は閉じられる。これにより、加工後のウェーハWに付着した切削水等が、ウェーハWから滴下した場合であっても、このメンテナンスカバー174で受けることができる。これにより、メンテナンスエリア212の床面が汚れるのを防止することができる。
一方、メンテナンス時などは、メンテナンスカバー174を開ける。これにより、オペレータが、メンテナンスエリア212に立ち入ることができるようになる。
また、開けられたメンテナンスカバー174は、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30の上部を覆うようにして水平に配置されるため、オペレータがワークテーブルに接触するのを防止することができる。
また、水平に支持されたメンテナンスカバー174は、メンテナンス時に工具等を一時的に載置するトレイとして使用することができる。これにより、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
≪作用≫
以上のように構成される本実施の形態のダイシング装置10の作用は、次のとおりである。
〈加工処理〉
まず、加工時の作用について説明する。
上記のように、加工時は、メンテナンスカバー174が閉じられ、メンテナンスエリア212がメンテナンスカバー174で覆われる。
まず、加工処理対象のウェーハWが格納されたカセットCをカセットステージ20の上にセットする。上記のように、カセットCは、その取出口を所定の方向(洗浄部16の方向)に向けてカセットステージ20にセットされる。カセットCのセット後、加工処理がスタートされる。
まず、1枚目のウェーハWがカセットCから引き出される。上記のように、ウェーハWは、第1アーム60に設けられたウェーハ把持機構72によってカセットCから引き出される。
カセットCから引き出されたウェーハWは、第2アーム66に設けられたトレイ76の上に載置される。そして、そのトレイ76の上で位置決め(プリアライメント)される。
位置決めされたウェーハWは、次に、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によってトレイ76から回収され、ワーク交換位置に位置したワークテーブル30に搬送される。
ワークテーブル30は、第1吸着保持機構74によって搬送されたウェーハWを受け取り、吸着保持して、切削部14Bに向けて移動する。この後、ウェーハWは、ダイシングブレード44A、44Bによりダイシング加工される。
ウェーハWの加工は、ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置、高さを調整した後、ダイシングブレード44A、44Bを高速回転させ、この高速回転するダイシングブレード44A、44Bに対して、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより行われる。これにより、ウェーハWの表面に高速回転するダイシングブレード44A、44Bが接触し、ウェーハWがX軸方向に沿って切削される。ダイシングブレード44A、44BのY軸方向の位置をストリート(切断ライン)に合わせて、ワークテーブル30をX軸方向に送ることにより、ウェーハWがストリートに沿って切削される。この処理を繰り返すことにより、ウェーハWがチップに分割される。
ウェーハWの加工が終了すると、ワークテーブル30がワーク交換位置に移動する。ワークテーブル30がワーク交換位置に移動すると、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80よってウェーハWがワークテーブル30から回収される。
ワークテーブル30から回収されたウェーハWは、第2アーム66に設けられた第2吸着保持機構80によってワーク洗浄装置56に搬送される。
この際、ウェーハWは、その一部がメンテナンスエリア212を通過するが、加工時に付着した切削水等がメンテナンスエリア212で滴下した場合であっても、メンテナンスカバー174によって、これを捕捉することができる。したがって、メンテナンスエリア212の床面が汚れることはない。
ワーク洗浄装置56は、第2吸着保持機構80からウェーハWを受け取り、洗浄処理する。
洗浄が終了すると、第1アーム60に設けられた第1吸着保持機構74によって、洗浄後のウェーハWがワーク洗浄装置56から回収される。
第1吸着保持機構74は、回収したウェーハWをカセットCの手前まで搬送し、そのカセットCの手前であらかじめ待機したトレイ76の上にウェーハWを載置する。
トレイ76に載置されたウェーハWは、位置決め機構78によって位置決めされた後、第1吸着保持機構74によってカセットCに向けて押し込まれる。これにより、取り出したときと同じ格納室にウェーハWが格納される。
以上一連の工程で1枚目のウェーハWの加工処理が終了する。1枚目のウェーハWの加工処理が終了すると、カセットCが所定量上昇する(次に処理するウェーハWをウェーハ把持機構72によって取り出し可能な位置まで上昇する。)。そして、上記同様の手順で2枚目のウェーハWがカセットCから取り出されて加工処理される。
〈メンテナンス時〉
次に、メンテナンス時の作用について説明する。
上記のように、メンテナンス時は、メンテナンスカバー174を開き、ワークテーブル30を収容する凹部220の上に移動させる。これにより、メンテナンスエリア212にオペレータが立ち入れるようになる。
メンテナンスエリア212に立ち入ることにより、オペレータは、切削部14Bにより近づくことができ、メンテナンス作業(ダイシングブレード44A、44Bの交換等)を簡単に行うことができる。
また、凹部220の上に移動させたメンテナンスカバー174は、作業工具のトレイとして使用することができる。これにより、作業効率をより向上させることができる。
なお、このメンテナンス作業を行う際、第1アーム60及び第2アーム66は、図11に示すように、搬送機構退避位置に退避させる。これにより、切削部14Bの前方の空間を大きく開くことができ、メンテナンス作業をしやすくすることができる。
メンテナンス作業の終了後は、再びメンテナンスカバー174を閉じ、メンテナンスエリア212をメンテナンスカバー174で覆う。
以上説明したように、本実施の形態のダイシング装置10によれば、装置正面から切削部14Bまでの距離を短縮して、切削部14Bにアクセスしやすくできる。これにより、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
図15は、メンテナンスカバーの他の例を示す概略構成図である。同図に示すように、この例のメンテナンスカバー174は、3枚の板材174A、174B、174Cで構成される。
3枚の板材174A、174B、174Cは、それぞれ同じサイズの矩形状の平板で構成され、隣り合う板材同士が連結用ヒンジ180で連結されて、折り畳み可能に形成される。
折り畳み可能に連結されたメンテナンスカバー174は、一端に位置する板材174Aがヒンジ176を介して、ワーク送りエリア204の正面側の端部に取り付けられる。
図15(a)及び図16は、メンテナンスカバー174を閉じた状態を示している。また、図25(b)及び図27は、メンテナンスカバー174を開いた状態を示している。
図15(a)及び図16に示すように、メンテナンスカバー174は、折り畳まれた状態で閉じられる。このとき、最下層に位置する板材174Aの左右両縁部が格納部12及び洗浄部16を構成するフレームの縁部に載置される。これにより、水平に支持されて、メンテナンスエリア212を遮蔽する。
図15(b)及び図17に示すように、メンテナンスカバー174は、展開された状態で開かれ、ワークテーブル30を収容する凹部220の縁部に載置されて、水平に支持される。ワークテーブル30は、ワーク交換位置に位置したとき、この開かれたメンテナンスカバー174の下に配置される。
このように、メンテナンスカバー174を折り畳み可能に形成することにより、メンテナンスカバー174を開いたとき、より広範囲にワークテーブル30を収容する凹部220の上面部分を覆うことができる。これにより、メンテナンス時の作業性を更に向上させることができる。
なお、本例では、メンテナンスカバー174を装置本体200にヒンジ176で取り付けているが、着脱自在に設け、着脱してメンテナンスエリア212を開閉する構成とすることもできる。また、たとえば、X軸方向にスライド自在に設け、スライドさせてメンテナンスエリア212を開閉する構成とすることもできる。
[第3の実施の形態]
上記第1、2の実施の形態のダイシング装置では、第1吸着保持機構74を構成する4つの第1吸着パッド112が一定位置に固定して設置されている。同様に、第2吸着保持機構80を構成する4の第2吸着パッド126が一定位置に固定して設置されている。この場合、一定サイズのウェーハWしか搬送することができない。
そこで、本実施の形態のダイシング装置では、第1吸着保持機構74及び第2吸着保持機構80において、さまざまなサイズのウェーハWを搬送できるように構成する。
以下、上記第2の実施の形態のダイシング装置において、異なるサイズのウェーハWを搬送するための構成について説明する。
図18は、吸着保持するウェーハWのサイズを切り替え可能にした第1吸着保持機構の構成を示す正面図である。また、図19は、その平面図である。
同図に示すように、第1吸着保持機構X送りテーブル130の上面には、一対の第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aが敷設される。この一対の第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aは、第1吸着保持機構X送りテーブル130の中心に対して左右対称に配置され、Y軸方向に沿って敷設される。
各第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aには、それぞれ第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aが一定のフリクションをもってスライド可能に支持される(一定以上の力を付与することによりスライド可能に支持される。)。
また、各第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aには、それぞれ第1吸着パッド支持アーム148Aが取り付けられる。第1吸着パッド支持アーム148Aは、矩形の棒状に形成され、第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aと直交して配置される。
第1吸着保持機構74を構成する4つの第1吸着パッド112は、各第1吸着パッド支持アーム148Aに2つずつ配置される。各第1吸着パッド支持アーム148Aに配置される2つの第1吸着パッド112は、所定の間隔をもって配置され、鉛直下向きに取り付けられる。
第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aを第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aに沿ってスライドさせることにより、第1吸着パッド支持アーム148AがY軸方向に沿って移動し、この結果、2つの第1吸着パッド112が、Y軸方向に沿って移動する。
第1吸着保持機構X送りテーブル130には、この第1吸着パッド112が、Y軸方向に沿って移動できるように、Y軸方向に沿って切欠き149Aが形成される。
一対の第1吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Aを第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Aに沿ってスライドさせることにより、一対の第1吸着パッド支持アーム148Aの間の間隔が拡大、縮小する。これにより、左右2つずつある第1吸着パッド112の間隔が拡大、縮小し、ウェーハWのサイズ(ダイシングフレームFのサイズ)に応じて、その位置を調整することができる。
図20は、吸着保持するウェーハWのサイズを切り替え可能な第2吸着保持機構の構成を示す平面図である。
同図に示すように、第2吸着保持機構X送りテーブル140の上面には、一対の第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bが敷設される。この一対の第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bは、第2吸着保持機構X送りテーブル140の中心に対して左右対称に配置され、Y軸方向に沿って敷設される。
各第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bには、それぞれ第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bが、所定フリクションをもってスライド可能に支持される。
また、各第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bには、それぞれ第2吸着パッド支持アーム148Bが取り付けられる。第2吸着パッド支持アーム148Bは、矩形の棒状に形成され、第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bと直交して配置される。
第2吸着保持機構80を構成する4つの第2吸着パッド126は、各第2吸着パッド支持アーム148Bに2つずつ配置される。各第2吸着パッド支持アーム148Bに配置される2つの第2吸着パッド126は、所定の間隔をもって配置され、鉛直下向きに取り付けられる。
第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bを第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bに沿ってスライドさせることにより、第2吸着パッド支持アーム148BがY軸方向に沿って移動し、この結果、2つの第2吸着パッド126が、Y軸方向に沿って移動する。
第2吸着保持機構X送りテーブル140には、この第2吸着パッド126が、Y軸方向に沿って移動できるように、Y軸方向に沿って切欠き149Bが形成される。
一対の第2吸着保持機構サイズ調整用スライダ146Bを第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレール145Bに沿ってスライドさせることにより、一対の第2吸着パッド支持アーム148Bの間の間隔が拡大、縮小する。これにより、左右2つずつある第2吸着パッド126の間隔が拡大、縮小し、ウェーハWのサイズ(ダイシングフレームFのサイズ)に応じて、その位置を調整することができる。
以上のように構成される第1吸着保持機構及び第2吸着保持機構を用いることにより、異なるサイズのウェーハWを搬送することができる。
なお、サイズの切り替え作業は、オペレータが手作業で行う。本実施の形態のダイシング装置では、第1吸着保持機構74及び第2吸着保持機構80が装置正面部において移動可能に設けられているため、作業しやすい位置に第1吸着保持機構74及び第2吸着保持機構80を移動させることができる。これにより、サイズの切り替え作業を簡単に行うことができる。また、第1アーム60及び第2アーム66を搬送機構退避位置に位置させた場合であっても、本実施の形態のダイシング装置には、メンテナンスエリア212が設けられているため、このメンテナンスエリア212から容易にアクセスすることができ、簡単に切り替え作業を行うことができる。
なお、一般にウェーハのサイズは規格化されている。したがって、ウェーハのサイズに応じて第1吸着パッド及び第2吸着パッドの左右の間隔を一定の間隔で拡大、縮小できるように構成することが好ましい。たとえば、第1吸着保持機構サイズ調整用スライダと第1吸着保持機構サイズ調整用ガイドレールとの間にクリック機構を設け、所定の間隔で第1吸着保持機構サイズ調整用スライダが移動できるように構成する。同様に、第2吸着保持機構サイズ調整用スライダと第2吸着保持機構サイズ調整用ガイドレールとの間にクリック機構を設け、所定の間隔で第2吸着保持機構サイズ調整用スライダが移動できるように構成する。
また、モータ等の駆動機構を設けて、自動でサイズの切り替えを行うことができるように構成してもよい。
[第4の実施の形態]
図21は、本発明に係るダイシング装置の第4の実施の形態の外観構成を示す正面図である。また、図22は、本発明に係るダイシング装置の第4の実施の形態の内部の概略構成を示す平面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態のダイシング装置10は、格納部12の上部空間を除いて、装置本体200の上部がケース150で覆われる。格納部12の上部空間については、カセットCの交換を容易にするため、ケース150で覆わずに解放される。
ケース150は、主として、右側面部150Rと、背面部150Bと、左側面部150L、天井面部150Cとで構成され、正面(ワーク送りエリア204と洗浄エリア208の前方)が開口して形成される。
カセットステージ20に載置されたカセットCの取出口と対向するケース150の壁面150Aには、ウェーハ取出用開口部152が形成される。ウェーハ取出用開口部152には、ウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154が設けられる。ウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154は、図示しない駆動手段に駆動されて開閉される。このウェーハ取出用開口部開閉シャッタ154は、カセットCからのウェーハWの取り出し、及び、カセットCへのウェーハWの格納に連動して自動で開閉される。
また、開口した正面部(以下、正面開口部156という)には、正面扉158が設けられる。正面開口部156は、この正面扉158によって開閉される。
正面扉158は、板状に形成され、一方側(図21の右側)の側辺部に設けられた正面扉開閉用ヒンジ158Aを介してケース150に取り付けられる。正面扉158は、この正面扉開閉用ヒンジ158Aを介して、横方向に揺動自在に設けられる。
また、正面扉158は、装置の内部状況を確認できるように、一部が透明体(ガラス板、アクリル板など)で形成される。また、正面扉158には、開閉を容易にするため、取手160が設けられる。
ここで、本実施の形態のダイシング装置は、メンテナンスエリア212として、装置本体200の正面部が凹状に窪んで形成される。この凹状に窪んで形成される装置本体200に対して、板状に形成される正面扉158でケース150の正面開口部156を開閉する構成とすると、凹状に窪んだ領域(メンテナンスエリア212の部分)が開口して形成されるが、この開口は、メンテナンスカバー174を閉じることにより遮蔽される。これにより、装置内部の密閉性を確保することができる。
図23は、正面扉を開いたときのダイシング装置の正面図である。同図に示すように、正面扉158を開けることにより、装置内部へのアクセスが可能になる。これにより、加工部14(ワーク送り部14A、切削部14B)、洗浄部16及び搬送部18が露出し、これらのメンテナンス等を行うことが可能になる。
また、このように上部をケース150で覆うことにより、動作中の機器(特にダイシングブレード)にオペレータが触れたりするのを防止でき、安全に装置を稼働させることができる。
また、加工時に発生するミスト等が周囲に飛散して、周囲を汚染するのを防止できる。
一方、格納部12については、外部に露出して設置することにより、カセットCの交換を容易に行うことができる。また、加工中であっても、カセットCの交換を行うことが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
ところで、上記のように、ダイシング装置では、切削水を供給しながら加工を行うため、ミストが発生する。装置外部へのミストの飛散は、ケース150及び正面扉158によって防ぐことができる。
一方、装置内部では、ミストが飛散する。一般にダイシング装置には、排気システムが設けられ、内部のミストを吸引できるように構成される。
しかしながら、排気システムだけでは、完全にはミストを排除することはできない。ミストが、搬送部18を構成する機器に付着すると、加工前のウェーハWや洗浄後のウェーハWに汚れが付着する。
そこで、本実施の形態のダイシング装置には、ケース150の内部に隔壁162が設けられ(図23の斜格子部分)、切削部14Bが隔離される。
隔壁162は、スピンドルユニット32A、32Bの設置部と搬送部18との間に設けられる。この隔壁162には、装置正面側から切削部14Bのメンテナンスを行うことができるように、メンテナンス用開口部164が形成される。
メンテナンス用開口部164は、ワークテーブル30の移動経路上に設けられ、装置正面側から切削部14B(特にスピンドルユニット32A、32B)にアクセスできるように所定の大きさで形成される。本例では、ワークテーブル30の移動経路上に矩形状に形成されている。
メンテナンス用開口部164には、メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166が設けられる。メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166は、隔壁162に沿って横方向(Y軸方向)にスライド自在に設けられ、図示しない駆動手段に駆動されて、メンテナンス用開口部164を開閉する。
メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166は、ウェーハWの加工に連動して開閉する。すなわち、ウェーハWの加工が開始されると閉じられ、加工が終了すると開かれる。ワークテーブル30は、このメンテナンス用開口部開閉用シャッタ166の下を通過して、ワーク加工位置とワーク交換位置との間を移動する。
なお、本例では、メンテナンス用開口部開閉用シャッタ166の開閉を図示しない駆動手段で自動的に行う構成としているが、手動で開閉する構成とすることもできる。
このように、装置内で切削部14Bを隔離することにより、切削部14Bで発生するミストが、洗浄部16や搬送部18に飛散して、加工前のウェーハWを汚したり、洗浄後のウェーハWを汚したりするのを防止することができる。
また、たとえミストが搬送部18等に漏れた場合であっても、ケース自体はメンテナンスエリア212を含めて密閉されるため、外部への飛散は防止することができる。
また、装置本体200の正面部に窪んだ領域(メンテナンスエリア212)を有する場合であっても、メンテナンスカバー174を有することにより、巻き込み等の事故も未然に防止することができ、装置を安全に稼働することができる。
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、装置本体200及びケース150がほぼ直方体形状に形成されているが、ケースの形状は、これに限定されるものではない。たとえば、図24に示すように、背面部を直角二等辺三角形状に形成する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、ワークテーブルから洗浄装置へのウェーハの搬送(加工後のウェーハの搬送)を第2アームに備えられた第2吸着保持機構で行う構成としているが、加工後のウェーハの搬送については、別の搬送機構で行う構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、トレイからワークテーブルへのウェーハの搬送(加工前のウェーハの搬送)を第1アームに備えられた第1吸着保持機構で行う構成としているが、加工前のウェーハの搬送については、別の搬送機構で行う構成とすることもできる。