JP2012220256A - 表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップおよびセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置 - Google Patents

表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップおよびセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】装置が複雑化、大型化することなく、コストも低減でき、しかも、容易にウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査する。
【解決手段】誘電体部材と、該誘電体部材上に形成された金属薄膜とを備えたセンサー部材と、センサー部材上に固定され、測定用ウェルを形成する開口部を備えたウェル部材とを備え、表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップであって、センサーチップが回転可能に構成され、センサーチップが回転することにより、光源より励起光を照射する照射領域に、測定用ウェルが位置移動できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、医療、バイオテクノロジーなどの分野において、表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象を用いた表面プラズモン共鳴装置(以下、「SPR装置」と言う)、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)を用いた表面プラズモン増強蛍光分光測定装置(以下、「SPFS装置」と言う)に用いられるセンサーチップおよびセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置に関する。
従来より、極微少な物質の検出を行う場合において、物質の物理的現象を応用することでこのような物質の検出を可能とした様々な検体検出装置が用いられている。
このような検体検出装置の一つとしては、ナノメートルレベルなどの微細領域中で電子と光とが共鳴することにより、高い光出力を得る現象である表面プラズモン共鳴(SPR)現象を応用し、例えば、生体内の極微少なアナライトの検出を行うようにしたSPR装置が挙げられる。
また、表面プラズモン共鳴現象を応用した表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)の原理に基づき、SPR装置よりもさらに高精度にアナライト検出を行えるようにしたSPFS装置も、このような検体検出装置の一つである。
この表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)は、光源より照射したレーザー光などの励起光が、金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;attenuated total reflectance)する条件において、金属薄膜表面に表面プラズモン光(粗密波)を発生させることによって、光源より照射した励起光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やして、表面プラズモン光の電場増強効果を得るようになっている。
そして、この電場増強効果により、金属薄膜の表面近傍に捕捉したアナライトと結合(標識)した蛍光物質を効率良く励起させ、この蛍光を観察することによって、極微量、極低濃度のアナライトを検出する方法である。
ところで、従来、例えば、このようなSPR装置、SPFS装置では、いわゆる単一流路系(マイクロチャネル型)と呼ばれるSPR装置、SPFS装置が一般的に使用されている。
すなわち、例えば、図14に示したように、従来のSPFS装置100は、プリズムを構成する誘電体部材102を備えており、この誘電体部材102の上面104に金属薄膜106が形成されている。これら誘電部材102と金属薄膜106とからセンサー部材110が構成されている。なお、金属薄膜106上の所定位置に一般にリガンドが固定化される。そして、この金属薄膜106を介して、流路を形成する流路部材を配置することにより、微細流路108が形成され、金属薄膜上の所定位置に固定化されたリガンドを微細流路108中に配置するように形成されている。これらのセンサー部材110と金属薄膜106を介して微細流路108を形成する流路部材から、センサーチップ112が構成されている。
そして、センサーチップ112の誘電体部材102側には、誘電体部材102の入射面114から入射され、センサー部材110に向かって全反射条件となる所定の入射角θ(一定角度の入射角(共鳴角度))で、励起光116を照射する光源118を備えている。また、誘電体部材102の出射面120側には、光源118から照射され、金属薄膜106で反射した反射光122を受光して、全反射条件となる所定の入射角θであるかどうかを確認する受光手段124が備えられている。
一方、センサー部材110に固定されているリガンドによってアナライトが固定化され、このアナライトを標識した蛍光物質が発する蛍光126を受光するために、センサーチップ112の上方には、光検出手段128が設けられている。
なお、センサーチップ112と光検出手段128との間には、蛍光126を効率良く集光するための集光部材130と、蛍光126以外の光を除去して蛍光126のみを選択する波長選択機能部材132が設けられている。
このような単一流路系の測定装置では、微細流路108内にリガンドを固定するための反応液、洗浄液、アナライト溶液などの液体を送液しなければならず、煩雑な作業が必要で、測定に時間を要し、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いた同様のタイミングで検査することは困難である。
このため、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて検査するために、特許文献1(特開平11−64213号公報)などでは、複数のウェルを形成したセンサーチップが開示されている。この特許文献1のサンプルプレート型のセンサーチップ200は、以下のようにして製造されるものである。
すなわち、図15に示したように、透明基板202上に金属膜204が形成され、この金属膜204上に、親水性の結合反応膜206を形成している。
そして、この結合反応膜206上に、疎水性のネガ型フォトレジスト208を形成し、所定のパターンのマスクを用いて、フォトレジスト208を露光して現像している。
これによって、フォトレジスト208を所定のパターンにパターニングして、現像後に残ったフォトレジストからなる疎水膜208と親水性の結合反応膜206とにより囲まれた複数のウェル部分210を形成している。
特開平11−64213号公報 特開平11−51857号公報
しかしながら、このような特許文献1のような従来の複数のウェルが形成されたセンサーチップでは、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて検査する場合には、センサーチップ自体を光源の照射領域に移動させたり、光源自体をセンサーチップに対して移動させる必要がある。
このため、例えば、特許文献2(特開平11−51857号公報)では、センサーチップ自体を光源の照射領域に移動させる表面プラズモンセンサーが提案されている。
すなわち、図16に示したように、この表面プラズモンセンサー300では、プリズム302を有する容器型のカップラー手段304に、X軸方向(図面における左右方向)に延びるセンサアタッチメント306を設けている。そして、このセンサアタッチメント306によって、センサユニット308とカップラー手段304との間隔が常に一定となるように、センサユニット308を支持している。
そして、センサユニット308とカップラー手段304との間に、所定の屈折率のマッチングオイル310を充填している。
センサユニット308をセンサアタッチメント306に沿ってX軸方向に移動可能とし、センサユニット308に固定された搬送シャフト312によって、センサユニット308をX軸方向に移動するように構成している。さらに、光源314をY軸方向(図面に垂直な方向)に移動できるように構成して、二次元走査を行うように構成されている。
しかしながら、このような特許文献2のような構造では、センサユニット308に対して光源314からの光が照射される照射領域を変更する際に、センサユニット308をX軸方向移動させており、センサアタッチメント306などの複雑な移動機構が必要で、また、光源314もY軸方向に移動させており、そのための機構も必要で、装置が大型化してしまい、コストも高くつくことになるとともに、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整が困難となり、正確な測定ができないことにもなる。
本発明は、このような現状に鑑み、表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップにおいて、従来のように、照射領域を変更する際にセンサーチップをX軸方向およびY軸方向に移動させる機構が不要で、装置が複雑化、大型化することなく、コストも低減でき、しかも、容易にウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することが可能な表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップおよびセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明のセンサーチップは、
誘電体部材と、該誘電体部材上に形成された金属薄膜とを備えたセンサー部材と、
前記センサー部材上に固定され、測定用ウェルを形成する開口部を備えたウェル部材と、
を備え、表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップであって、
前記センサーチップが回転可能に構成され、センサーチップが回転することにより、光源より励起光を照射する照射領域に、前記測定用ウェルが位置移動できるように構成されていることを特徴とする。
このようにセンサーチップが回転可能に構成され、センサーチップが回転することにより、光源より励起光を照射する照射領域に、測定用ウェルが位置移動できるように構成されているので、照射領域を変更する際に光源の位置を固定して、センサーチップを回転する機構を設けるだけで、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
従って、従来のように、照射領域を変更する際にセンサーチップ、光源を、相対的にX軸方向、Y軸方向に移動するための複雑な機構が不要で、装置が複雑化、大型化することなく、コストも低減でき、しかも、容易にウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、前記ウェル部材には、単一の測定用ウェルを形成する単一の開口部が形成されていることを特徴とする。
このようにウェル部材に、単一の測定用ウェルを形成する単一の開口部が形成されていれば、単一のウェルの中の試料に対して、同一条件での二次元的な物性情報を一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、前記ウェル部材には、複数の測定用ウェルを形成する複数の開口部が形成されていることを特徴とする。
このようにウェル部材に、複数の測定用ウェルを形成する複数の開口部が形成されていれば、複数のウェルにより、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、
前記誘電体部材が、誘電体部材本体を備え、該誘電体部材本体上に金属薄膜が形成されており、
前記誘電体部材本体と、該誘電体部材本体上に固定されたウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、直接金属薄膜が形成されたプリズムを構成する誘電体部材本体と、この誘電体部材本体上に固定されたウェル部材とを一体で回転するだけで良い。
従って、プリズムを構成する誘電体部材本体に直接金属薄膜を形成して、センサーチップとすることができるので、簡単な構成とすることができ、コストを低減することができる。
また、これらの誘電体部材本体とウェル部材とを一体的に回転する簡単な回転機構を設けるだけで良く、回転機構が簡単な構造となり、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
しかも、プリズムを構成する誘電体部材本体と、この誘電体部材本体上に固定されたウェル部材とが一体で回転するので、プリズムを構成する誘電体部材本体とウェルとの相対位置がずれることがなく、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、
前記誘電体部材が、誘電体部材本体と、該誘電体部材本体の上に配置され、誘電体からなる基板部材とを備え、
前記基板部材上に金属薄膜が形成されており、
前記基板部材と該基板部材上に固定されたウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、プリズムを構成する誘電体部材本体を固定して、金属薄膜が形成された基板部材とこの基板部材上に固定されたウェル部材とを一体で回転するだけで良い。
従って、これらの基板部材とウェル部材とを一体的に回転する簡単な回転機構を設けるだけで良く、回転機構が簡単な構造となり、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
しかも、プリズムを構成する誘電体部材本体を回転せずに固定しているので、一通り検査が終了した後、別途用意した、金属薄膜が形成された基板部材とこの基板部材上に固定されたウェル部材に交換でき、一度に多量に検査を実施することができる。
また、本発明のセンサーチップは、
前記誘電体部材が、誘電体部材本体と、該誘電体部材本体の上に配置され、誘電体からなる基板部材とを備え、
前記基板部材上に金属薄膜が形成されており、
前記誘電体部材本体と、基板部材と、該基板部材上に固定されたウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、プリズムを構成する誘電体部材本体と、金属薄膜が形成された基板部材と、基板部材上に固定されたウェル部材とを一体で回転するだけで良い。
従って、これらの誘電体部材本体と、基板部材と、ウェル部材とを一体的に回転する簡単な回転機構を設けるだけで良く、回転機構が簡単な構造となり、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
しかも、プリズムを構成する誘電体部材本体も一体で回転するので、プリズムを構成する誘電体部材本体とウェルとの相対位置がずれることがなく、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、前記誘電体部材の光の入射面と光の出射面とが、断面において、誘電体部材の中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、プリズムである誘電体部材の光の入射面に対する入射角度と出射面に対する出射角度が等しくなるので、プリズムを構成する誘電体部材が一緒に回転する場合であっても、一定角度の入射角(共鳴角度)で、金属薄膜上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面側に配置した受光手段で受光される金属薄膜反射光のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。
従って、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、前記誘電体部材の光の入射面と光の出射面とが、断面において、測定用ウェルの中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、各測定用ウェルに対して、プリズムである誘電体部材の光の入射面の入射角度と出射面の出射角度が等しくなるので、プリズムを構成する誘電体部材が一緒に回転する場合であっても、各測定用ウェルに対して、一定角度の入射角(共鳴角度)で、各測定用ウェルの金属薄膜上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面側に配置した受光手段で受光される金属薄膜反射光のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。
従って、各ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明のセンサーチップは、前記誘電体部材が、環状に形成されていることを特徴とする。
このように誘電体部材が、環状に形成されているので、プリズムを構成する誘電体部材が一緒に回転する場合であっても、常にプリズムである誘電体部材の光の入射面の入射角度と出射面の出射角度が等しくなるので、各測定用ウェルに対して、常に一定角度の入射角(共鳴角度)で、各測定用ウェルの金属薄膜上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面側に配置した受光手段で受光される金属薄膜反射光のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。
従って、各ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、本発明の表面プラズモン測定装置は、
前述のいずれかに記載のセンサーチップと、
前記センサーチップを回転させる回転手段と、
前記センサーチップの励起光を照射する照射領域に、励起光を照射する光源と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、センサーチップが回転可能に構成され、センサーチップが回転することにより、光源より励起光を照射する照射領域に、測定用ウェルが位置移動できるように構成されているので、照射領域を変更する際に光源の位置を固定して、センサーチップを回転する機構を設けるだけで、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
従って、従来のように、照射領域を変更する際にセンサーチップ、光源を、相対的にX軸方向、Y軸方向に移動するための複雑な機構が不要で、装置が複雑化、大型化することなく、コストも低減でき、しかも、容易にウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
図1は、本発明のセンサーチップの斜視図である。 図2は、図1のセンサーチップの上面図である。 図3は、図1のセンサーチップのA−A線での断面図である。 図4は、本発明のセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置の使用方法を説明する上面図である。 図5は、本発明のセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置の使用方法を説明する斜視図である。 図6は、本発明の別の実施例のセンサーチップの斜視図である。 図7は、図6のセンサーチップのA−A線での図3と同様な断面図である。 図8(A)は、本発明の別の実施例のセンサーチップの下面図、図8(B)は、図8(A)のセンサーチップのA−A線での断面図である。 図9(A)は、本発明の別の実施例のセンサーチップの下面図、図9(B)は、図9(A)のセンサーチップのA−A線での断面図である。 図10(A)は、本発明の別の実施例のセンサーチップの下面図、図10(B)は、図10(A)のセンサーチップのA−A線での断面図である。 図11(A)は、本発明の別の実施例のセンサーチップの下面図、図13は、図12のセンサーチップのA−A線での図3と同様な断面図である。 図12は、本発明の別の実施例のセンサーチップの斜視図である。 図13は、図12のセンサーチップのA−A線での図3と同様な断面図である。 図14は、従来のSPFS装置の基本的な構造を説明する概略図である。 図15は、従来のサンプルプレート型のセンサーチップの断面図である。 図16は、従来の表面プラズモンセンサーの断面図である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明のセンサーチップの斜視図、図2は、図1のセンサーチップの上面図、図3は、図1のセンサーチップのA−A線での断面図、図4は、本発明のセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置の使用方法を説明する上面図、図5は、本発明のセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置の使用方法を説明する斜視図である。
図1〜図3に示したように、この実施例のセンサーチップ10は、例えば、SPR装置、SPFS装置などの表面プラズモン測定装置に用いられるものである。
そして、センサーチップ10は、誘電体部材本体を構成するとともに、プリズムを構成する断面略台形形状の六面体(截頭四角錐形状)からなる誘電体部材12を備えており、この誘電体部材12の水平な上面14に、金属薄膜16が形成されている。
この誘電体部材12と、誘電体部材12の水平な上面14に形成された金属薄膜16とでセンサー部材18を構成している。
そして、このセンサー部材18上に、測定用ウェル20(この実施例では、便宜上4個の測定用ウェル20a〜20d)を形成する、複数の開口部22(この実施例では、便宜上4個の開口部22a〜22dを示している)を備えたウェル部材24が固着されている。
これらのセンサー部材18とウェル部材24とで、センサーチップ10が構成されている。
なお、誘電体部材12の水平な上面14に、金属薄膜16を形成する場合、図3(A)に示したように、誘電体部材12の水平な上面14の全面に形成しても良いが、図3(B)に示したように、パターンニングなどにより、誘電体部材12の水平な上面14の測定用ウェル20に対応する部分のみに形成することもできる。この場合には、金属薄膜材料を節約することができ、コストを低減できることになる。
この実施例では、図1、図2に示したように、ウェル部材24の4個の開口部22a〜22dは、センサーチップ10の中心軸Oを中心として、同心円状に中心角αが、所定の角度となるように(この実施例では、中心角度αが90°)離間して形成されている。
また、図1、図3、図5に示したように、誘電体部材12の下方の一方の側面が、光源26からの光が入射する入射面28を形成している。
一方、誘電体部材12の下方の他方の側面が、金属薄膜16によって反射された反射光が出射する出射面30を形成している。
なお、この出射面30から出射した光は、誘電体部材12の下方の他方の側面の側に配置された受光手段32によって、金属薄膜16によって反射された反射光を受光するようになっている。
この場合、図3に示したように、誘電体部材12の光の入射面28と光の出射面30とが、断面において、誘電体部材12の中心軸線Oに対して線対称となるように形成されている。
すなわち、誘電体部材12の光の入射面28と中心軸線Oのなす角度β1と、誘電体部材12の光の出射面30と中心軸線Oのなす角度β2とが等しくなるように設定されている。
そして、後述するように、センサーチップ10は、図示しない、中心軸Oを回転軸として回転させる回転機構や、センサーチップ10の外周に当接して、センサーチップ10を中心軸Oを回転軸として回転させる回転機構などによって回転可能に構成されている。
この場合、誘電体部材12としては、特に限定されるものではないが、光学的に透明な、例えば、ガラス、セラミックスなどの各種の無機物、天然ポリマー,合成ポリマーを用いることができ、化学的安定性,製造安定性、光学的透明性の観点から、二酸化ケイ素(SiO)または二酸化チタン(TiO)を含むのが好ましい。

また、誘電体部材12の材質は、少なくとも励起光に対して光学的に透明な材料から形成されていれば、その材質は、上記のように特に限定されないが、安価で取り扱い性に優れるセンサーチップ10を提供する上で、例えば、樹脂材料から形成されていることが好ましい。
誘電体部材12を樹脂材料から形成する場合は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などのポリ環状オレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
また、金属薄膜16の材質としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、より好ましくは、金からなり、さらに、これら金属の合金から構成しても良い。
すなわち、このような金属は、酸化に対して安定であり、かつ、後述するように、表面プラズモン光(粗密波)による電場増強が大きくなるので、金属薄膜16として好適である。
また、金属薄膜16の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法,蒸着法(抵抗加熱蒸着法,電子線蒸着法など)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法、蒸着法を使用するのが、薄膜形成条件の調整が容易であるので望ましい。
さらに、金属薄膜16の厚さとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、および、それらの合金:5〜500nmの範囲内であるのが望ましい。
なお、電場増強効果の観点からは、より好ましくは、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、および、それらの合金:10〜70nmの範囲内であるのが望ましい。
金属薄膜16の厚さが上記範囲内であれば、表面プラズモン光(粗密波)が発生し易く好適である。また、このような厚さを有する金属薄膜16であれば、大きさ(縦×横)の寸法、形状は、特に限定されない。
また、ウェル部材24の材質としては、測定用ウェル20を形成する複数の開口部22を形成できるものであれば、特に限定されるものではなく、合成樹脂、金属、セラミックスなど種々の材料から作製することができる。
このウェル部材24の製造方法も特に限定されるものではない。例えば、ごく一般的に行われる樹脂成形法、打ち抜きなどで、センサー部材18とは別体のウェル部材24を作製して、これを、誘電体部材12と同じ光屈折率を有する、接着剤、マッチングオイル、透明な貼着シートなどでセンサー部材18に固着すれば良い。
また、センサー部材18の上面に、フォトリソグラフィー法、スパッタリング法などでパターニングして、ウェル部材24を固着するようにしても良い。
なお、センサー部材18上に金属薄膜16等が形成され、センサー部材18とウェル部材24間に金属薄膜16等が介在する際には、ウェル部材24はそれら金属薄膜16等の上に固着すれば良い。
なお、このウェル部材24の複数の開口部22a〜22dの数、配置位置などは、特に限定されるものではなく、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどの検査項目に応じて、適宜選択すれば良い。
また、ウェル部材24の開口部22a〜22dの形状も、この実施例では、円形としたが、四角形、三角形、多角形など適宜変更可能である。
また、ウェル部材24の開口部22a〜22dの大きさ(深さ、直径、容量など)としては、検査項目に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、80〜100μlの容量とするのが、SPR装置、SPFS装置として用いる場合に好適である。
このように構成されるセンサーチップ10は、図4、図5に示したように、表面プラズモン測定装置1のセンサーチップ10として用いられる。
以下に、例えば、センサーチップ10を、表面プラズモン測定装置1として、SPFS装置に用いる場合について説明する。
先ず、検出対象となるアナライトと特異的に結合するリガンドを含む溶液を測定用ウェル20に注入し、金属薄膜16上にリガンドを固定化した後、測定用ウェル20を洗浄する。
なお、本発明において、センサーチップ10としては、このように金属薄膜16上にリガンドを固定化した後の状態のものだけでなく、金属薄膜16上にリガンドを固定化する前の状態のものをも含むものである。
その後、蛍光物質で結合(標識)したアナライトを含む試料溶液を、測定用ウェル20に注入し、金属薄膜16上のリガンドと特異的に結合させた後、測定用ウェル20を洗浄する。
なお、ここで用いられる試料溶液は、検体を用いて調製された溶液であり、例えば、検体と試薬とを混合して検体中に含有されるアナライトに蛍光物質を結合させるための処理をしたものが挙げられる。
このような検体としては、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられる。
また、検体中に含有されるアナライトは、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
そして、例えば、図4(A)、図5に示したように、測定ポイント(照射領域)Aに位置する測定用ウェル20aに対して、誘電体部材12の下方の一方の側面側に配置した光源26から、励起光P1を誘電体部材12の入射面28から入射面28に対する入射角度θ1で入射させて屈折させ、誘電体部材12の上面の金属薄膜16に向かって、全反射条件となる入射角θ(一定角度の入射角(共鳴角度))で、励起光P2として照射する。
そして、金属薄膜16で反射された反射光P3は、誘電体部材12の下方の他方の側面に形成された出射面30により、一定角度θ2で屈折されて、反射光P4として、誘電体部材12の下方の他方の側面側に配置された受光手段32によって受光され、全反射条件となる所定の入射角θであるかどうかを確認することができるようになっている。
すなわち、一定角度の入射角θ(共鳴角度)で、金属薄膜16上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面側に配置した受光手段32で受光される金属薄膜16からの反射光P4のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。
そして、この誘電体部材12の上面の金属薄膜16に照射された励起光P2によって、金属薄膜16の表面に表面プラズモン光(粗密波)を発生させることによって、光源26より照射した励起光P2が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やして、表面プラズモン光の電場増強効果を得るようになっている。
そして、この電場増強効果により、金属薄膜16に固定化されたリガンドによって、金属薄膜16の表面近傍に捕捉したアナライトと結合(標識)した蛍光物質を効率良く励起させ、この蛍光を観察することによって、極微量、極低濃度のアナライトを検出するようになっている。
すなわち、センサーチップ10に固定されているリガンドによってアナライトが捕捉され、このアナライトを標識した蛍光物質が発する蛍光を受光するために、センサーチップ10の上方には、光電子増倍管(PMT)やCCDなどの光検出手段34が設けられている。
なお、センサーチップ10と光検出手段34との間には、図示しないが、図14に示した従来のSPFS装置と同様に、蛍光を効率良く集光するための集光部材と、蛍光以外の光を除去して蛍光のみを選択する波長選択機能部材が設けられている。
このように、測定ポイント(照射領域)Aに位置する測定用ウェル20aに対して、検査が終了した後、図4(A)、(B)の矢印に示したように、センサーチップ10を、図示しない前述したような回転機構を用いて、中心軸Oを回転軸として回転させて、図4(B)に示したように、次の検査対象である測定用ウェル20bを測定ポイント(照射領域)Aに位置させ、上記のように検査を行えばよい。その後、同様にして、センサーチップ10を、回転機構を用いて、中心軸Oを回転軸として、水平な方向に回転させて、順次、測定用ウェル20c、20dを測定ポイント(照射領域)Aに位置させ、測定用ウェル20c、20dにおいて検査を行えばよい。
このように構成される本発明の表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップ10およびセンサーチップ10を用いた表面プラズモン測定装置1によれば。センサーチップ10が回転可能に構成され、センサーチップ10が回転することにより、光源26より励起光を照射する測定ポイント(照射領域)Aに、測定用ウェル20が位置移動できるように構成されているので、照射領域を変更する際に光源26の位置を固定して、センサーチップ10を回転する機構を設けてセンサーチップ10を回転するだけで、測定用ウェル20の位置と測定ポイント(照射領域)Aとの正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
例えば、測定用ウェル20aをリファレンスとして、その他の測定用ウェル20b〜20dを、同一条件での検査、多項目検査に用いることができる。
従って、従来のように、照射領域を変更する際にセンサーチップ、光源を、相対的にX軸方向、Y軸方向に移動するための複雑な機構が不要で、装置が複雑化、大型化することなく、コストも低減でき、しかも、容易にウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
また、誘電体部材12の光の入射面28と光の出射面30とが、断面において、誘電体部材12の中心軸線Oに対して線対称となるように形成されている。
従って、プリズムである誘電体部材12の光の入射面28に対する入射角度θ1と出射面30に対する出射角度θ2が等しくなるので、プリズムを構成する誘電体部材12が一緒に回転する場合であっても、一定角度の入射角(共鳴角度)θで、金属薄膜16上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面30側に配置した受光手段32で受光される金属薄膜16からの反射光P4のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。なお、この実施例では、センサーチップ10を180度回転した位置関係では、光の入射面が光の出射面として用いられ、光の出射面が光の入射面として用いられることになる。
従って、測定用ウェル20の位置と測定ポイント(照射領域)Aとの正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
図6は、本発明の別の実施例のセンサーチップの斜視図、図7は、図6のセンサーチップのA−A線での図3と同様な断面図である。
この実施例のセンサーチップ10は、図1〜図5に示したセンサーチップ10と基本的には同様な構成であるので、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
図1〜図5に示した実施例1のセンサーチップ10では、プリズムを構成する誘電体部材12が、断面略台形形状の六面体(截頭四角錐形状)からなる誘電体部材12であったが、この実施例の誘電体部材12では、断面略三角形の四角錐形状の誘電体部材12である点が相違する。
従って、このように構成されるセンサーチップ10は、図4、図5に示したように、表面プラズモン測定装置1のセンサーチップ10として用いる方法は、実施例1と同様な原理であるのでその詳細な説明は省略する。
このように、プリズムを構成する誘電体部材12の形状は、誘電体部材12の光の入射面28と光の出射面30とが、断面において、誘電体部材12の中心軸線Oに対して線対称となるように形成され、プリズムである誘電体部材12の光の入射面28の入射角度θ1と出射面30の出射角度θ2が等しくなるような形状であればよい。
すなわち、誘電体部材12の光の入射面28と中心軸線Oのなす角度β1と、誘電体部材12の光の出射面30と中心軸線Oのなす角度β2とが等しくなるように設定されていればよい。
従って、図示しないが、四角錐形状以外でも、例えば、円錐形状や、三角錐、多角錐などの角錐形状、または、截頭円錐形状、截頭角錐形状あってもよい。
また、図示しないが、誘電体部材12に光の入射面28と光の出射面30をそれぞれに二面以上形成することも可能である。
なお、誘電体部材12の水平な上面14に、金属薄膜16を形成する場合、図7(A)に示したように、誘電体部材12の水平な上面14の全面に形成しても良いが、図7(B)に示したように、パターンニングなどにより、誘電体部材12の水平な上面14の測定用ウェル20に対応する部分のみに形成することもできる。この場合には、金属薄膜材料を節約することができ、コストを低減できることになる。
図8(A)は、本発明の別の実施例のセンサーチップの下面図、図8(B)は、図9(A)のセンサーチップのA−A線での断面図である。
この実施例のセンサーチップ10は、図1〜図5に示したセンサーチップ10と基本的には同様な構成であるので、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
図1〜図5に示した実施例1のセンサーチップ10では、プリズムを構成する誘電体部材12を、断面略台形形状の六面体(截頭四角錐形状)とした。
これに対して、この実施例のセンサーチップ10では、誘電体部材12において、誘電体部材12の中心軸線Oの部分に、平面視で四角形の開口部40を形成して、複数の測定用ウェル20a〜20dの配置に合わせて、断面が略台形状で、平面視で四角形の環状のプリズム部42を形成している。
この場合、プリズム部42では、誘電体部材12の光の入射面28と光の出射面30とが、断面において、測定用ウェル20の中心軸線Pに対して線対称となるように形成されている。
このように誘電体部材12のプリズム部42が、環状に形成されているので、各測定用ウェル20a〜20dに対して、プリズムである誘電体部材12のプリズム部42の光の入射面28の入射角度と出射面30の出射角度が常に等しくなる。
すなわち、誘電体部材12の光の入射面28と測定用ウェル20の中心軸線Pのなす角度β1と、誘電体部材12の光の出射面30と測定用ウェル20の中心軸線Pのなす角度β2とが等しくなるように設定されていればよい。
従って、プリズムを構成する誘電体部材12が一緒に回転する場合であっても、各測定用ウェル20a〜20dに対して、一定角度の入射角(共鳴角度)で、各測定用ウェル20a〜20dの金属薄膜16上に表面プラズモン光(粗密波)が生ずるのを、出射面30側に配置した受光手段32で受光される金属薄膜16の反射光のシグナルが変化(光量が減少)する地点で見つけることができる。
この実施例においても、各ウェルの位置と測定ポイント(照射領域)Aとの正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
なお、この実施例のセンサーチップ10では、誘電体部材12において、断面が略台形状で、平面視で四角形の環状のプリズム部42を形成しているが、この形状に何ら限定されるものではない。
すなわち、プリズム部42において、誘電体部材12の光の入射面28と光の出射面30とが、断面において、測定用ウェル20の中心軸線Pに対して線対称となるように形成されていれば良い。
例えば、図9に示したように、誘電体部材12において、誘電体部材12の中心軸線Oの部分に、平面視で円形の開口部40を形成して、複数の測定用ウェル20a〜20dの配置に合わせて、断面が略台形状で、平面視で円形の環状のプリズム部42を形成してもよい。
また、図10、図11に示したように、誘電体部材12において、誘電体部材12の中心軸線Oの部分に、平面視で多角形(図10では六角形、図11では八角形)の開口部40を形成して、複数の測定用ウェル20a〜20dの配置に合わせて、断面が略台形状で、平面視で多角形(図10では六角形、図11では八角形)の環状のプリズム部42を形成してもよい。
なお、或る測定用ウェルに対して誘電体部材12の光の入射面として用いられる面が、別の測定用ウェルに対しては光の出射面として用いられることがなく、入射面と出射面とが共用されることなく別々に構成されている場合には、誘電体部材12の形状は、各測定用ウェル20の中心軸線Pに対して線対称とすることなく、言い換えれば、入射面に対する入射角度と出射面に対する出射角度とが異なるようにしても良い。この場合、誘電体部材12の回転軸(実施例では誘電体部材12の中心軸線Oに等しい)に対して対称となる形状とすれば良い。
図12は、本発明の別の実施例のセンサーチップの斜視図、図13は、図12のセンサーチップのA−A線での図3と同様な断面図である。
この実施例のセンサーチップ10は、図1〜図5に示したセンサーチップ10と基本的には同様な構成であるので、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
図1〜図5に示した実施例1のセンサーチップ10では、誘電体部材本体を構成するとともに、プリズムを構成する誘電体部材12の水平な上面14に、直接金属薄膜16を形成したが、この実施例のセンサーチップ10では、誘電体部材12が、プリズムを構成する誘電体部材本体48と、この誘電体部材本体48の上に配置され、誘電体からなり光を導光する基板部材46とを備え、この基板部材46上に金属薄膜16が形成されている点が相違する。
この場合、プリズムを構成する誘電体部材本体48を固定して、金属薄膜が形成された基板部材46とこの基板部材46上に固定されたウェル部材24とが、一体で回転するように構成されていても良い。
このように構成することによって、これらの基板部材46とウェル部材24とを一体的に回転する簡単な回転機構を設けるだけで良く、回転機構が簡単な構造となり、ウェルの位置と照射領域との正確な位置調整ができ、同一条件での検査、多項目検査、リファレンスなどを一つのセンサーチップを用いて正確に検査することができる。
しかも、プリズムを構成する誘電体部材本体48を回転せずに固定しているので、一通り検査が終了した後、別途用意した、金属薄膜16が形成された基板部材46とこの基板部材46上に固定されたウェル部材24に交換でき、一度に多量に検査を実施することができる。
なお、この場合、基板部材46とプリズムを構成する誘電体部材本体48との間は、基板部材46と基板部材46上に固定されたウェル部材24が、回転せず固定された誘電体部材本体48に対して回転できるように、誘電体部材12と同じ光屈折率を有する、マッチングオイル、潤滑材などを介在させるようにすればよい。
また、このようにプリズムを構成する誘電体部材本体48を回転せずに固定する場合、図示しないが、誘電体部材本体48を、測定ポイント(照射領域)Aに対応する部分のみに形成するようにすることもできる。この場合には、誘電体部材本体48の材料費を低減できるとともに、センサーチップ10を小型化することが可能となる。また、誘電体部材本体44の形成をしないことで生じた空間は、光源を配置するスペースなどに利用することができる。
また、誘電体部材本体48と、基板部材46と、基板部材46上に固定されたウェル部材24とが、一体で回転するように構成しても良い。
本発明のSPFS測定用のセンサーチップ10を用いて、単一のセンサー部材上に形成された複数の測定用ウェルa〜d内で、同一条件下(下記の抗原濃度、反応温度、反応時間)でアッセイし、各測定用ウェルを水平に回転して位置移動させて測定した際のPMTカウント値を比較した。
再現性、安定性の高さを変動係数であるCV値によって下記の表1に示した。
下記の表1から明らかなように、CV値が5.6%であり、再現性、安定性が良好で高精度の測定が可能であることが分る。
・測定粂件
AFP抗原濃度:1.0ng/ml
反応温度:25°C
反応時間:25min
ウェル数:4
Figure 2012220256
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、表面プラズモン測定装置SPFS装置を一例として挙げたが、SPR装置にも適用可能であり、また、上記の回転機構による回転としては、水平な回転について説明したが、傾斜した回転軸による回転が可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明は、例えば、医療、バイオテクノロジーなどの分野において、表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象を用いた表面プラズモン共鳴装置、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)を用いた表面プラズモン増強蛍光分光測定装置(に用いられるセンサーチップおよびセンサーチップを用いた表面プラズモン測定装置に適用できる。
1 表面プラズモン測定装置
10 センサーチップ
12 誘電体部材
14 上面
16 金属薄膜
18 センサー部材
20 測定用ウェル
20a、20b、20c、20d 測定用ウェル
22 開口部
22a、22b、22c、22d 開口部
24 ウェル部材
26 光源
28 入射面
30 出射面
32 受光手段
40 開口部
42 プリズム部
48 誘電体部材本体
46 基板部材
100 SPFS装置
102 誘電体部材
104 上面
106 金属薄膜
108 微細流路
110 センサー部材
112 センサーチップ
114 入射面
116 励起光
118 光源
120 出射面
122 反射光
124 受光手段
126 蛍光
128 光検出手段
130 集光部材
132 波長選択機能部材
200 センサーチップ
202 透明基板
204 金属膜
206 結合反応膜
208 ネガ型フォトレジスト
208 フォトレジスト
208 疎水膜
210 ウェル部分
300 表面プラズモンセンサー
302 プリズム
304 カップラー手段
306 センサアタッチメント
308 センサユニット
310 マッチングオイル
312 搬送シャフト
314 光源

Claims (15)

  1. 誘電体部材と、該誘電体部材上に形成された金属薄膜とを備えたセンサー部材と、
    前記センサー部材上に固定され、それぞれ測定用ウェルを形成する複数の開口部を備えたウェル部材と、
    を備え、表面プラズモン測定装置に用いられるセンサーチップであって、
    前記センサーチップが回転可能に構成され、センサーチップが回転することにより、光源より励起光を照射する照射領域に、前記測定用ウェルが位置移動できるように構成されていることを特徴とするセンサーチップ。
  2. 前記誘電体部材が、誘電体部材本体を備え、該誘電体部材本体上に前記金属薄膜が形成されており、
    前記誘電体部材本体と、該誘電体部材本体上に固定された前記ウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  3. 前記誘電体部材は、前記光源より照射された励起光を入射する入射面を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  4. 前記誘電体部材が、誘電体部材本体と、該誘電体部材本体の上に配置され、誘電体からなる基板部材とを備え、
    前記基板部材上に前記金属薄膜が形成されており、
    前記基板部材と該基板部材上に固定された前記ウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  5. 前記誘電体部材が、誘電体部材本体と、該誘電体部材本体の上に配置され、誘電体からなる基板部材とを備え、
    前記基板部材上に前記金属薄膜が形成されており、
    前記誘電体部材本体と、基板部材と、該基板部材上に固定された前記ウェル部材とが、一体で回転するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  6. 前記基板部材は、平板状であることを特徴とする請求項4または5に記載のセンサーチップ。
  7. 前記誘電体部材は、平板状であることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  8. 前記誘電体部材は、前記光源より照射された励起光を入射する入射面を備えた誘電体部材本体と、前記誘電体部材本体上に配置された平板状の基板部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップ。
  9. 前記誘電体部材の光の入射面と光の出射面とが、断面において、前記誘電体部材の中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1から3、8のいずれかに記載のセンサーチップ。
  10. 前記誘電体部材本体の光の入射面と光の出射面とが、断面において、前記誘電体部材本体の中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項4から6、8のいずれかに記載のセンサーチップ。
  11. 前記誘電体部材の前記測定用ウェルのそれぞれに対応する光の入射面と光の出射面とが、断面において、それぞれ対応する前記測定用ウェルの中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1から3、8のいずれかに記載のセンサーチップ。
  12. 前記誘電体部材本体の前記測定用ウェルのそれぞれに対応する光の入射面と光の出射面とが、断面において、それぞれ対応する前記測定用ウェルの中心軸線に対して線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項4から6、8のいずれかに記載のセンサーチップ。
  13. 前記誘電体部材が、環状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のセンサーチップ。
  14. 前記誘電体部材本体が、環状に形成されていることを特徴とする請求項4から6、8から10、12のいずれかに記載のセンサーチップ。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のセンサーチップと、
    前記センサーチップを回転させる回転手段と、
    前記センサーチップの励起光を照射する照射領域に、励起光を照射する光源と、
    を備えたことを特徴とする表面プラズモン測定装置。
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