JP2012219414A - 高密度丸編物及びそれを用いたワイピングクロス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 四層以上の多層構造を有する高密度丸編物であって、少なくとも表面層と裏面層とが、単糸繊度0.001〜0.15デシテックスのポリエステル系極細繊維からなり、中間層に、高収縮ポリエステル系繊維が用いられてなる、編密度が65コース/インチ(2.54cm)以上、60ウェル/インチ(2.54cm)以上、厚みが0.3mm以上であることを特徴とする高密度丸編物
【選択図】 図1
Description
例えば、熱水収縮率の高い糸条を編目の内側に位置させ、極細繊維を編目の外側に位置させて、編目が糸条と極細繊維の二本の糸条で形成されるようにして、シングル編機で編地を編成した後、熱水処理を施して、熱水収縮率の高い糸条を収縮させることを特徴とする編物の製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、熱水収縮率に差のあるマルチフィラメントを組み合わせてなる糸条を少なくとも一部に用いて製織編された、特定の比容積であるワイピングクロスが提案されている(特許文献2)。
また、引用文献2に記載のワイピングクロスは、熱収縮率に差がある繊維からなる複合糸を用いているため、表面に極細繊維以外の繊維が露出してしまい、毛細管現象による吸水性と保水性の物理的特性が十分でなく、ワイピングクロスとしたときの清拭面の拭き取り性能が不十分である。
また、他の目的とするところは、適度な嵩高性を有し、拭き取り性能に優れ、また、全方向の拭き取りが可能で、拭き取り後の清浄度を高めることができる、自己発塵が少ないワイピングクロスを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記のような高密度丸編物を用いてなるワイピングクロスによって達成される。
また、本発明は、極細繊維と高収縮繊維とを用いて特定の編構造とすることにより、適度な嵩高性を有する、高密度の編物を得ることができ、電子機器部品(ハードディスク等)及び精密機器等の汚れの拭き取りに最適なワイピングクロスを提供できる。本発明の高密度丸編物は、編物であることから全方向の拭き取りが可能であり、また、表面と裏面が極細繊維で構成されているので表面積が大きく、より高い拭き取り性能が得られる。
更に、優れた拭き取り性能だけでなく、高い保水性、吸水性を保持する。
本発明の高密度丸編物は、四層以上の多層構造を有するものであって、
少なくとも表面層と裏面層とが、ポリエステル系極細繊維からなり、中間層に高収縮ポリエステル系繊維を用いてなることを特徴とするものである。
本発明は、編物とすることにより、織物に比べて表面積が大きくなることにより拭き取り性能に優れ、また、全方向の拭き取りにも優れたものが得られる。
単糸繊度がこの範囲であると、毛細管現象等の物理的性能と比容積(目付・厚み・嵩高性)に優れ、また、表面積が大きく、高密度とすることが可能となり、ワイピングクロスとしたとき拭き取り性能が良好となる。
また、総繊度は、20〜85dtexであることが好ましい。
総繊度がこの範囲であると、高密度編物の編成が可能である。総繊度が大きくなりすぎると高いゲージでの編成が困難となる傾向にある。
ポリエステル系繊維形成性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート及びそれらを主成分とするコポリエステル等が挙げられる。
SIPは、例えば、5−金属スルホイソフタル酸ジメチル(以下SIPMと記す)又はジメチル基をエチレングリコールでエステル化させた化合物(以下SIPEと記す)が挙げられる。SIPMを多量にスラリー槽へ投入するとスラリー物性を悪化させることがあるのでSIPEを採用するのが好ましい。
また、SIP中金属はナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられるが、最も好ましいのはナトリウムである。
ポリアルキレングリコールの平均分子量が上記範囲内であれば、ポリマーが均一となり、アルカリ溶解性も良好である。
上記ポリアルキレングリコールは、一般式HO(CnH2nO)mH(但し、n,mは正の整数)で表されるもので、n=2のポリエチレングリコールが汎用的で最も好ましい。
図1において、P1はポリエステル系繊維形成性ポリマー、P2は溶解性の高いポリマーである。
中でも、図1(a)及び(b)に示すような、分割後に、繊維のほぼ中心部をしめる1つの芯フィラメントと、この芯フィラメントを取り囲んで位置する複数個の花弁状フィラメントとなる分割型複合繊維が好ましい。
このような横断面構造の分割型複合繊維を用いると、得られる布帛の嵩高性が良好で、ソフトな風合いとなる。
極細繊維における芯フィラメントの大きさは、1個の花弁状フィラメントの1〜15倍が好ましく、2〜10倍がより好ましい。
また、花弁状フィラメントは、芯フィラメントを取り囲むように分布しており、花弁状フィラメントの個数は、6〜36個が好ましく、8〜24個が特に好ましい。
この範囲であると、編物の編成が問題なく行える。
熱水収縮率が10%以上高いことで、編物の高密度化が可能となり、また、嵩高性と厚み感が得られると共に、ポリエステル系極細繊維の膨らみによって空隙率が大きくなり、ワイピングクロスとしたときの拭き取り性に優れるものとなる。
高収縮ポリエステル系繊維としては、熱水収縮率が30%以上であることが好適である。
また、丸編機のゲージは、好ましくは30G以上、より好ましくは40G以上である。
このようにハイゲージとすることで、高密な編目が得られ、極細繊維を密生させることが可能である。
また、本発明によれば、油性汚れ、水性汚れの拭取除去性、発塵力に優れ、拭き取り時の押圧を全方向性に分倣することにより、スクラッチなどの微小傷を消拭面につけることがなく、また、自己発塵が極めて少ない為、クリーンルームでの使用にも好適なワイピングクロスが提供される。
更に保水性、吸水性能に優れた拭取性能を保持しているワイヒングクロスとなる。
また、高収縮ポリエステル系繊維が編物の内側で濃色に染まるので、深みのある色合いの編地が得られる。
制電加工方法は、例えば、制電性モノマーを布帛に付与し、反応、固着させるものである。
用いられる制電性モノマーとしては、水溶性の、アクリレート,メタクリレート,ジアクリレート,ジメタクリレート及びその変性体等が挙げられ、これらを単独または組合せて用いる。
具体的には、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
中でも、PEG400〜600のジアクリレートが制電性効果の点で好ましい。
このとき、上記制電性モノマーが2.0〜25.0質量%の水溶液を用いることが好ましい。
上記のようにして、処理された加工処理布は、耐久性よく、帯電防止効果を有するものとなる。
なお、実施例の物性測定、評価は下記の方法により行った。
荷重を2mg/dtex掛けた試料長500mmの糸を沸騰水中に15分間浸漬し、次いで風乾した後に次式により収縮率(BWS)を求めた。
BWS(%)=(初期試料長―収縮後の試料長)/初期試料長×100
編物の目付は、20cm×20cm四方に試料を切り出し、電子秤で重さを測定し、25倍して目付(g/m2)を得た。試料を5点切り出し、測定した平均値を目付(g/m2)とした。
厚みはダイヤルシックネスゲージを用いて5箇所の厚みを測定し、その平均値を厚みとした。
JIS L−1096に準じ、つかみ間隔200mm、引張速度は100mm/minとして測定した。
JIS L−1096に準じ、つかみ間隔200mm、引張速度は100mm/minとして測定した。また、荷重は14.7Nとした。
JIS L−1076に準じ、測定した。
JIS L−1058に準じ、測定した。
鏡面に1mg/cm2の量のグリースを手の平で強く塗り付け、30分後に試料でその面が美しくなるまで拭う回数にて評価した。○は10回未満、△は10〜20回未満、×は20回以上の拭き取り回数を表す。
JIS L−1094(1997)に準じ、表面漏洩抵抗、摩擦耐電圧、半減期を測定した。
摩擦布:綿
温度、湿度:20℃、45%RH
<ポリエステル系極細繊維>
繊維形成性ポリマーとして、ポリエチレンテレフタレート(酸化チタン0.3〜04質量%含有、固有粘度〔η〕0.64)を用い、溶解性ポリマーとして、5−スルホイソフタル酸エチレングリコールエステルナトリウム塩2.3モル%、分子量6000のポリエチレングリコール10重量%含有共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度〔η〕0.77)を用いた、図1(a)に示すような横断面形状の分割型複合繊維を56dtex/25フィラメントを用いた。熱水収縮率は8%であった。
イソフタル酸5モル%、2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン5モル%含有ポリエチレンテレフタレート繊維33dtex/12フィラメントを用いた。高縮ポリエステル系繊維の単糸繊度は2.7デシテックス、強度は4cN/dT、伸度は28%、熱水収縮率は33%であった。
ダブルニット丸編機(福原精機製作所社製、40ゲージ)を使用し、二穴給糸口の穴に上記2種類の糸を給糸し、両面編で編成した。
上記のように編成された編地に、アルカリ減量処理を施した。編地は分割型繊維の溶解性ポリマーが除去され、極細繊維が発現した。このときの、減量率は27質量%であった。
次いで、染色加工を130℃で行い、ファイナルセット機で熱セット(190℃)加工を施した。染色に加工により高収縮ポリエステル系繊維が収縮し、編地表面が極細繊維で覆われていた。
このようにして得られた編物は、幅161cm、厚み0.36mm、目付189g/m2、密度(72コース/インチ,64ウェル/インチ)であつた。また、極細繊維の単糸繊度は、芯フィラメントが0.6デシテックス、花弁状フィラメントが0.12デシテックスであった。
物性及び評価結果を表1に示す。
極細繊維のための分割型複合繊維として、図1(b)に示すような横断面構造の繊維を用いる他は、実施例1と同様にして編物を得た。このときの、編物の減量率は34質量%であった。
このようにして得られた編地は、幅161cm、厚み0.34mm、目付169g/m2、密度(70コース/インチ,63ウェル/インチ)であつた。また、極細繊維の単糸繊度は、芯フィラメントが0.5デシテックス、花弁状フィラメントが0.07デシテックスであった。
物性及び評価結果を表1に示す。
実施例1で用いた分割型複合繊維(56dtex/25フィラメント)と高収縮ポリエステル系繊維(33dtex/12フィラメント)とを用いた混繊糸を用いて、実施例1と同じ編機に用い、編物を製造した。
このようにして得られた編地は、幅204cm、厚み0.45mm、目付147g/m2、密度(48コース/インチ,44ウェル/インチ)であつた。
物性及び評価結果を表1に示す。
実施例1で用いた分割型複合繊維の代わりに、レギュラーポリエステル繊維(56dtex/36フィラメント)を用い、実施例と同様にして編物を製造した。
このようにして得られた編地は、幅25cm、厚み0.45mm、密度(71/インチ,50ウェル/インチ)であつた。
その結果、実施例1,2は○、比較例1は△、比較例2は×であった。
実施例2で製造した編物に、下記方法により制電加工を施した。
すなわち、ポリエチレングリコールジアクリレート系制電剤(「SRM−1000」明成化学工業株式会社製) 10質量%、過硫酸アンモニウム0.1質量%を含む水溶液に浸漬し、ピックアップ率65%にて水溶液を付与した後、直ちに120℃で5分間蒸熱処理し、その後未着の上記化合物を除去するために、流水にて10分間処理する水洗を2回実施した。
その後、マングルにて搾液後、テンターにて130℃で2分間乾燥を行い、加工処理布を得た。
得られた加工布の制電性を評価した。
結果を表2に示す。
Claims (3)
- 四層以上の多層構造を有する高密度丸編物であって、少なくとも表面層と裏面層とが、単糸繊度0.001〜0.15デシテックスのポリエステル系極細繊維からなり、中間層に、高収縮ポリエステル系繊維が用いられてなる、編密度が65コース/インチ(2.54cm)以上、60ウェル/インチ(2.54cm)以上、厚みが0.3mm以上であることを特徴とする高密度丸編物。
- ポリエステル系極細繊維に高収縮ポリエステル系繊維をプレーティングして両面編されてなることを特徴とする請求項1記載の高密度丸編物。
- 請求項1または2記載の高密度丸編物を用いてなるワイピングクロス。
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