JP2012215548A - 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 - Google Patents
時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012215548A JP2012215548A JP2011262084A JP2011262084A JP2012215548A JP 2012215548 A JP2012215548 A JP 2012215548A JP 2011262084 A JP2011262084 A JP 2011262084A JP 2011262084 A JP2011262084 A JP 2011262084A JP 2012215548 A JP2012215548 A JP 2012215548A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cage
- peripheral surface
- shaft
- bearing
- shaft body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Support Of The Bearing (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
【解決手段】保持器201aは、第3内周面204に第3ガイド面207aが形成され、第3ガイド面207aが小径軸部147の第2外周面208に当接することで、軸体143または外輪185にガイドされることを特徴とする。
【選択図】図6
Description
図24に示すように、てんぷ520は、てんぷ受505及び地板504に中心軸線Cに沿って形成された時計用軸受510により両端の細い小径軸部521,522において中心軸線C回りで回転自在に支持されたてん真523と、てん輪本体をなす環状のリム部524、及びリム部524に両端でつながりリム部524の直径方向に延びたアーム部525を備え、アーム部525の中間部526において、てん真523の中央軸部527に固定されたひげ玉550と、振り石552を保持した振り座554と、を備えている。
一般的な玉軸受は、各球体と保持器との間に各球体を転動可能とするための隙間が設けられている。前述の隙間は、各球体の転動径に対して十分小さいため、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の傾きは小さく抑えられ、保持器の挙動は安定する。
しかしながら、比較的小型の時計においては、それに組み込まれる玉軸受も微小なものとなり、球体の転動径は小さくなる。また、内輪が無く、内輪の代わりに軸に球体の転動面が形成されている場合、さらに球体の転動面が小さくなることがある。つまり、各球体と保持器との間の隙間量が、加工精度上従来と同程度であるのに対して、各球体の転動径が非常に小さくなる。従って、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きは大きくなり、保持器の姿勢が変動し、回転時の挙動が不安定になってしまう。よって、各球体のピッチ間距離が変動したり、保持器が軸や外輪に強く衝突したりしてしまう。よって、玉軸受における抵抗が増加および変動し、回転軸に備えられるエネルギーや回転軸が伝達するトルクが変動してしまう。
前述の玉軸受を時計の軸受として用いた場合、動力、輪列及び脱進機におけるトルク変動や、調速機における回転周期の変動が大きくなる。従って、時計の計時精度が悪化するという問題がある。
本発明に係る時計用軸受ユニットは、軸中心に回転する軸体と、軸体を回転可能に支持する軸受とを備えた時計用軸受ユニットであって、軸受は、軸体の外周面に当接可能に軸体の周方向に沿って配された少なくとも3つ以上の球体と、軸体との間で球体を保持する外輪と、軸体と外輪との間に軸体の外周面に沿って配され、球体を互いに一定間隔に内包する保持器とを備え、保持器は、軸体と外輪との間にガイド部を備えることを特徴としている。
この構成によれば、保持器の内周面に、軸体にガイドされるガイド部を形成することで、軸体の回転時において、球体を軸体周りの周方向で位置決めした上で、軸体の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、軸体を回転可能に支持できる。これにより、保持器は、ガイド面により軸体にガイドされ、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
この構成によれば、保持器のガイド面と、軸小径部及び軸中径部の少なくとも1つ以上とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、軸小径部及び軸中径部の少なくとも1つ以上の外周面とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、軸体の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
この構成によれば、保持器が軸体にガイドされる時、軸小径部及び軸中径部と、保持器のガイド部との接触面積を低減することができるため、接触による固体摩擦抵抗を低減することができる。よって、軸体に対する保持器の傾きを低減したまま、ガイド部におけるエネルギー損失を抑えられるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
この構成によれば、保持器の外周面に、外輪にガイドされるガイド部を形成することで、軸体の回転時において、球体を軸体周りの周方向で位置決めした上で、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、軸体を回転可能に支持できる。これにより、保持器は、ガイド面により外輪にガイドされ、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
この構成によれば、保持器のガイド面と、外輪小径部とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、外輪小径部とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
この構成によれば、保持器のガイド面と、外輪中径部とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、外輪中径部とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
この構成によれば、保持器が外輪中径部にガイドされる時、外輪中径部と、保持器のガイド部との接触面積を低減することができるため、接触による固体摩擦抵抗を低減することができる。よって、軸体に対する保持器の傾きを低減したまま、ガイド部におけるエネルギー損失を抑えられるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
この構成によれば、切削加工を行うことができ、かつ加工後のバリ除去を容易に行うことができる。これにより、加工時間の短縮や、形状精度の向上が可能となる。形状精度が向上すると、球体のピッチ間距離の変動や軸体に対する保持器の傾きを低減することができるため、軸受抵抗を低減し、てんぷの振り角が向上し、歩度変動が低減する。
この構成によれば、保持器の重量を軽量化することができる。保持器の重量が軽くなると、保持器による固体摩擦抵抗が低減するため、軸受抵抗を低減し、てんぷの振り角が向上し、歩度変動が低減する。
さらに、樹脂材料は金属材料と比較して硬度が小さいため、樹脂材料で形成された保持器が金属で形成された軸や外輪にガイドされる際に、保持器が軸や外輪を傷つけ難くなる。これにより、ガイドによる摩擦により軸や外輪が削られ難くなり、金属粉が発生し難くなる。金属粉が発生し難くなれば、金属粉による部品の損傷や、ボールの転動の阻害等の悪影響を低減することができ、部品耐久性の向上や、計時精度の向上をすることができる。
この構成によれば、上記本発明の時計用軸受ユニットを備えているので、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高いムーブメントを提供できる。
この構成によれば、上記本発明のムーブメントを備えているので、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高い時計を提供できる。
本発明に係るムーブメント及び時計によれば、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高いムーブメント及び時計を提供できる。
(機械式時計)
図1は機械式時計のムーブメント表側の平面図であり、図2は香箱からがんぎ車の部分を示す概略部分断面図であり、図3はがんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。なお、図1では一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している。
図1〜図3に示すように、機械式時計のムーブメント100は、ムーブメント100の基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。文字板104(図2参照)はムーブメント100に取り付けられる。一般に、地板102の両側のうち、文字板104が配される側をムーブメント100の裏側と称し、文字板104が配される側の反対側をムーブメント100の表側と称する。ムーブメント100の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント100の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。なお、ムーブメント100にケーシング(不図示)を設けることにより携帯用時計として構成される。
次に、本実施形態のてんぷの構造について説明する。
図3に示すように、てんぷ140は、てん真140a及びひげぜんまい140cを備えている。
続いて、軸受ユニットについて説明する。なお、以下の説明では、図3中の軸受ユニット105aの中心軸線である中心軸線Cに沿った方向(スラスト方向)を「軸方向」とし、中心軸線Cに直交する方向(ラジアル方向)を「径方向」とし、中心軸線C回りの方向を「周方向」とする。また、図3では軸受180aを軸体143の一端部(上端部)である中径軸部145(小径軸部147)側のみに描写したが、軸受180aは軸体143の両端部に設けてもよい。また、軸体143について、てんぷ受167及び地板102のある方を軸方向「外側」とし、てん輪171が備えられている方を軸方向「内側」とする。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201aに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9(a)は、軸受体181bと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線D−D’によって切断された断面図D−D’である。また、図10(a)は、図9の保持器201bにおける斜視図であり、同図(b)は、同上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線E−E’によって切断された断面図E−E’である。軸受体181bの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201bに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12(a)は軸受体181cと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線R-R’によって切断された断面図R-R’である。また、図13(a)は、図12の保持器201cにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線G−G’によって切断された断面図G−G’である。軸受体181cの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201cに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図15(a)は軸受体181dと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線H−H’によって切断された断面図H−H’である。また、図16(a)は図15の保持器201dにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線I−I’によって切断された断面図I−I’である。軸受体181dの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201dに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図18(a)は、軸受体181eと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線J−J’によって切断された断面図J−J’である。また、図19(a)は、図18の保持器201eにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線K−K’によって切断された断面図K−K’である。軸受体181eの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201eに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図21は、本発明の第6実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Sにおける拡大図(b)である。軸受体181fの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
ここで、凹部221の軸方向の長さAAは、凹部221を形成する前の第3ガイド面207aの軸方向の長さABよりも小さい。
また、凹部221の径方向の深さACは、凹部221が第1外周面203及び第3貫通孔205に貫通しない深さである。
また、凹部221の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凹部221が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凹部221が周方向に複数あるときは、隣り合う凹部221のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凹部221によって第3ガイド面207aが複数に分割される場合、凹部221は複数の第3ガイド面207aのそれぞれが小径軸部147の第2外周面208に当接する位置にあるのが望ましい。
また、保持器201fは小径軸部147にガイドされるため、保持器201fの小径軸部14に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201fは保持器201fの第3ガイド面207a以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180fと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
第3ガイド面207aの第2外周面208への接触において、凹部221の形成されていない第3ガイド面207aに比べて、凹部221の形成されている第3ガイド面207aの方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210fが起因となる軸受180fでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギー低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180fでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201fの小径軸部147に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
また、本実施例中の説明では、保持器201f側に凹部221を設け、小径軸部147側を単純な一面としての第2外周面208としたが、逆に小径軸部147側に凹部221を設けて、保持器201f側を単純な一面としての内周面としてもよい。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図22は、本発明の第7実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Vにおける拡大図(b)である。軸受体181gの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
ここで、凸部222の軸方向の長さBAは、凸部222を形成する前の第5ガイド面207cの軸方向の長さBBよりも小さい。
また、凸部222の径方向の高さBCは、保持器201gを軸受体181gへ組み込んだ時に、第1内周面215との間に隙間BDが生じる高さである。
また、凸部222の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凸部222が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凸部222が周方向に複数あるときは、隣り合う凸部222のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凸部222が軸方向に複数ある場合、軸方向に複数ある全ての凸部222が外輪185の第1内周面215に当接する位置にあるのが望ましい。
また、保持器201gは外輪185にガイドされるため、保持器201gの外輪185に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201gは保持器201gの凸部222以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180gと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
凸部222の第1内周面215への接触において、凸部222の形成されていない第5ガイド面207cに比べて、凸部222の形成されている第5ガイド面207cの方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210gが起因となる軸受180gでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギーが低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180gでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201gの外輪185に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
また、本実施例中の説明では、保持器201g側に凸部222を設け、外輪185側を単純な一面としての第1内周面215としたが、逆に外輪185側に凸部を設けて、保持器201g側を単純な一面としての外周面としてもよい。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。図23は、本発明の第8実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Tにおける拡大図(b)である。軸受体181hの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
ここで、凸部223の第2内周面216に対して面方向の長さCAは、凸部223を形成する前の第2内周面216の軸方向の長さCBよりも小さい。
また、凸部223の第2内周面216に対して面と垂直方向の高さCCは、保持器201hを軸受体181hへ組み込んだ時に、第6ガイド面207dとの間に隙間CDが生じる高さである。
また、凸部223の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凸部223が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凸部223が周方向に複数あるときは、隣り合う凸部223のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凸部223が軸方向に複数ある場合、軸方向に複数ある全ての凸部223が保持器201hの第6ガイド面207dに当接する位置にあるのが望ましい。
また、保持器201hは外輪185にガイドされるため、保持器201hの外輪185に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201hは凸部223以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180hと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
凸部223の第6ガイド面207dへの接触において、凸部223の形成されていない第2内周面216に比べて、凸部223の形成されている第2内周面216の方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210hが起因となる軸受180hでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギーが低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180hでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201hの外輪185に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる
また、本実施例中の説明では、外輪185側に凸部223を設け、保持器201h側を単純な一面としての第6ガイド面207dとしたが、逆に保持器201h側に凸部を設けて、外輪185側を単純な一面としての内周面としてもよい。
例えば、保持器の材料には、金属や樹脂を使用することが可能である。
Claims (14)
- 軸中心に回転する軸体と、
前記軸体を回転可能に支持する軸受と、を備えた時計用軸受ユニットであって、
前記軸受は、
前記軸体の外周面に当接可能に前記軸体の周方向に沿って配された少なくとも3つ以上の球体と、
前記軸体との間で前記球体を保持する外輪と、
前記軸体と前記外輪との間に前記軸体の外周面に沿って配され、前記球体を互いに一定間隔に内包する保持器と、を備え、
前記保持器は、前記軸体と前記外輪との間にガイド部を備えることを特徴とする時計用軸受ユニット。 - 前記ガイド部は、前記軸体の外周面と1箇所以上で当接することを特徴とする請求項1記載の時計用軸受ユニット。
- 前記軸体は、直線部分である前記軸体の先端部分と、前記直線部分の径よりも大きいものであって、前記直線部分につながる軸本体部分とを備え、
前記ガイド部は、前記先端部分または前記軸本体部分の少なくともいずれかに対して略平行であることを特徴とする請求項2に記載の時計用軸受ユニット。 - 前記ガイド部の前記軸体の外周面との当接面、あるいは前記ガイド部に当接する前記軸体の外周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴とする請求項2または請求項3の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記ガイド部は、前記外輪の内周面と1箇所以上で当接することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記外輪は、前記軸体の先端側における前記保持器のガイド部に当接する中央内周部分を備え、
前記ガイド部は、前記中央内周部分に対して略平行であることを特徴とする請求項5に記載の時計用軸受ユニット。 - 前記外輪は、前記軸体の軸本体側における前記保持器のガイド部に当接する外縁内周部分を備え、
前記ガイド部は、前記外縁内周部分に対して略平行であることを特徴とする請求項5または請求項6の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。 - 前記ガイド部の前記外輪の内周面との当接面、あるいは前記ガイド部に当接する前記外輪の内周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記保持器の材料は、金属であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記金属は、軟鋼、黄銅、燐青銅、またはステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記保持器の材料は、樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
- 前記樹脂は、ポリアセタール、ポリアミド、フッ素樹脂またはポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック、あるいは、ガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の時計用軸受ユニット。
- 香箱、番車、がんぎ車、アンクル及びてんぷを備えた時計のムーブメントであって、
少なくとも前記てんぷの軸受に、請求項1から12の何れか1項に記載の時計用軸受ユニットが用いられていることを特徴とするムーブメント。 - 請求項13に記載のムーブメントと、
前記ムーブメントを内包するケーシングと、を備えていることを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011262084A JP5891019B2 (ja) | 2011-03-31 | 2011-11-30 | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011079139 | 2011-03-31 | ||
JP2011079139 | 2011-03-31 | ||
JP2011262084A JP5891019B2 (ja) | 2011-03-31 | 2011-11-30 | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012215548A true JP2012215548A (ja) | 2012-11-08 |
JP5891019B2 JP5891019B2 (ja) | 2016-03-22 |
Family
ID=47268417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011262084A Expired - Fee Related JP5891019B2 (ja) | 2011-03-31 | 2011-11-30 | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5891019B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017522572A (ja) * | 2014-08-01 | 2017-08-10 | カルティエ・インターナショナル・アクチエンゲゼルシャフト | シルクフィブロインを備えた表面を有する時計構成要素 |
JP2021043196A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス | 計時器用ムーブメントにおける、特に衝撃吸収性である、回転車のロッドのためのベアリング |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS64716U (ja) * | 1987-06-19 | 1989-01-05 | ||
JPH0386211U (ja) * | 1989-12-21 | 1991-08-30 | ||
JP2006342865A (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-21 | Seiko Instruments Inc | ボールベアリング装置、並びにこれを備えた自動巻用回転錘構造体及び自動巻時計 |
-
2011
- 2011-11-30 JP JP2011262084A patent/JP5891019B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS64716U (ja) * | 1987-06-19 | 1989-01-05 | ||
JPH0386211U (ja) * | 1989-12-21 | 1991-08-30 | ||
JP2006342865A (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-21 | Seiko Instruments Inc | ボールベアリング装置、並びにこれを備えた自動巻用回転錘構造体及び自動巻時計 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017522572A (ja) * | 2014-08-01 | 2017-08-10 | カルティエ・インターナショナル・アクチエンゲゼルシャフト | シルクフィブロインを備えた表面を有する時計構成要素 |
JP2021043196A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス | 計時器用ムーブメントにおける、特に衝撃吸収性である、回転車のロッドのためのベアリング |
JP7254053B2 (ja) | 2019-09-13 | 2023-04-07 | ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス | 計時器用ムーブメントにおける、特に衝撃吸収性である、回転車のロッドのためのベアリング |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5891019B2 (ja) | 2016-03-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5455115B2 (ja) | 時計用軸受、ムーブメントおよび携帯用時計 | |
KR102480836B1 (ko) | 뚜르비옹 및 뚜르비옹을 구비한 시계 | |
JP5891019B2 (ja) | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 | |
JP2015072254A (ja) | 定力装置、ムーブメントおよび機械式時計 | |
JP2012117842A (ja) | 時計用軸受構造、ムーブメント、および時計 | |
JP6618306B2 (ja) | アンクル、調速脱進機、トゥールビヨン、ムーブメント及び時計 | |
JP5580484B2 (ja) | 周縁ガイドを有する時計のホイールセット | |
US9684283B2 (en) | Pivot for timepiece mechanism | |
JP5435635B2 (ja) | 時計用軸受ユニット、ムーブメントおよび携帯用時計 | |
JP6432338B2 (ja) | 波動減速機用の玉軸受 | |
JP2013088179A (ja) | てんぷの耐振軸受機構、これを備えたてんぷ及びこれを備えた時計 | |
JP5975618B2 (ja) | てんぷの耐振軸受機構、これを備えたてんぷ及びこれを備えた時計 | |
JP6604411B2 (ja) | 波動減速機用の玉軸受 | |
JP2013170821A (ja) | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 | |
JP5688762B2 (ja) | 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び携帯用時計 | |
JP5925249B2 (ja) | 時計の構造的構成部品の保護 | |
JP2011180006A (ja) | 時計用軸受ユニット、ムーブメントおよび携帯用時計 | |
JP2015127563A (ja) | 円筒ころ軸受 | |
CN109557799B (zh) | 钟表轴承 | |
JP2023508127A (ja) | 時計器の表示機構 | |
JP2019144226A (ja) | クロックカレンダーモバイル | |
JP6591883B2 (ja) | 定力ばね調整機構、定力装置、および機械式時計 | |
CN105822750B (zh) | 偏心摆动型齿轮装置 | |
JP7407626B2 (ja) | 時計用歯車、ムーブメント及び時計 | |
JP6444059B2 (ja) | てんぷ、調速機、ムーブメントおよび時計 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141007 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150708 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150728 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160216 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160222 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5891019 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |