JP2012215548A - 時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 - Google Patents

時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計 Download PDF

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Abstract

【課題】軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減することで、球体のピッチ間距離を一定に保持し、また保持器の軸または外輪への衝突を低減し、軸受損失変動を低減することができる時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計を提供する。
【解決手段】保持器201aは、第3内周面204に第3ガイド面207aが形成され、第3ガイド面207aが小径軸部147の第2外周面208に当接することで、軸体143または外輪185にガイドされることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計に関するものである。
従来から、時計に用いられる歯車等の回転する機械部品は、その回転軸端を内包するように軸受が配され、回転軸が軸受にガイドされて回転し、トルクを伝達することにより、時刻を刻むように構成されている。
ここで、従来の時計用軸受の構成としては、図24に示すような構成が知られている。なお、図24は、てんぷの断面を示したものである。
図24に示すように、てんぷ520は、てんぷ受505及び地板504に中心軸線Cに沿って形成された時計用軸受510により両端の細い小径軸部521,522において中心軸線C回りで回転自在に支持されたてん真523と、てん輪本体をなす環状のリム部524、及びリム部524に両端でつながりリム部524の直径方向に延びたアーム部525を備え、アーム部525の中間部526において、てん真523の中央軸部527に固定されたひげ玉550と、振り石552を保持した振り座554と、を備えている。
時計用軸受510は、てんぷ受505の内周面によって保持される外側軸受枠512と、外側軸受枠512の内部に配設される内側軸受枠511と、内側軸受枠511の中径凹部に配設され、てん真523の上端の小径軸部522のジャーナル軸受として働く穴石514と、内側軸受枠511の大径凹部に配設され、てん真523の小径軸部522のスラスト軸受として働く受石515と、外側軸受枠512の溝に係止され受石515を内側軸受枠511の大径凹部に保持する押えバネ516と、を有している。
ところで、上述した従来の時計用軸受510は、軸の回転を許容するために、軸体(小径軸部522)と軸受(受石515、穴石514)との間にアガキおよびガタと呼ばれる隙間が必要である。アガキとは、スラスト方向(小径軸部522と受石515との間)に備えられた隙間であり、ガタとは、ラジアル方向(小径軸部522と穴石514との間)備えられた隙間である。このアガキおよびガタがあることにより、時計の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりすると、軸の位置が変動してしまう。すると、香箱からてんぷに伝達されるトルクが変動し、振り角及び歩度が変動してしまう。その結果、時計の計時精度が悪化するという問題がある。
そこで、時計用軸受として、玉軸受を採用する構成が検討されている。玉軸受は、球体の転動面を備える軸及び外輪と、軸と外輪の間に周方向に沿って配置された複数の球体と、を有している(例えば、非特許文献1参照)。前述の構成により、軸体が回転可能に支持される。
井戸守、羽地務、「ミニチュア玉軸受」、p7−13、(1961)、日刊工業新聞社
ところで、上述した玉軸受では、各球体間を一定のピッチ間距離(内外輪の周方向における球体間の距離)に保持する必要がある。各球体のピッチ間距離が異なると、軸体が軸受と回転接触する時に、ピッチずれによる軸受損失の変動が大きくなるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動が大きくなり、時計の計時精度が悪化してしまう。
そこで、一般的な玉軸受では、各球体を等間隔に配置した状態で保持するために、内外輪間に保持器を設ける構成が知られている。
一般的な玉軸受は、各球体と保持器との間に各球体を転動可能とするための隙間が設けられている。前述の隙間は、各球体の転動径に対して十分小さいため、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の傾きは小さく抑えられ、保持器の挙動は安定する。
しかしながら、比較的小型の時計においては、それに組み込まれる玉軸受も微小なものとなり、球体の転動径は小さくなる。また、内輪が無く、内輪の代わりに軸に球体の転動面が形成されている場合、さらに球体の転動面が小さくなることがある。つまり、各球体と保持器との間の隙間量が、加工精度上従来と同程度であるのに対して、各球体の転動径が非常に小さくなる。従って、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きは大きくなり、保持器の姿勢が変動し、回転時の挙動が不安定になってしまう。よって、各球体のピッチ間距離が変動したり、保持器が軸や外輪に強く衝突したりしてしまう。よって、玉軸受における抵抗が増加および変動し、回転軸に備えられるエネルギーや回転軸が伝達するトルクが変動してしまう。
前述の玉軸受を時計の軸受として用いた場合、動力、輪列及び脱進機におけるトルク変動や、調速機における回転周期の変動が大きくなる。従って、時計の計時精度が悪化するという問題がある。
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減することで、計時精度の向上を図ることができる時計用軸受ユニット、ムーブメント及び時計を提供するものである。
本発明は、上述した課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る時計用軸受ユニットは、軸中心に回転する軸体と、軸体を回転可能に支持する軸受とを備えた時計用軸受ユニットであって、軸受は、軸体の外周面に当接可能に軸体の周方向に沿って配された少なくとも3つ以上の球体と、軸体との間で球体を保持する外輪と、軸体と外輪との間に軸体の外周面に沿って配され、球体を互いに一定間隔に内包する保持器とを備え、保持器は、軸体と外輪との間にガイド部を備えることを特徴としている。
この構成によれば、時計用軸受ユニットにおいて、保持器の内周面及び外周面の少なくとも一方に、軸体または外輪にガイドされるガイド部を形成することで、軸体の回転時において、球体を軸体周りの周方向で位置決めした上で、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、軸体を回転可能に支持できる。これにより、保持器はガイド面により軸体または外輪にガイドされ、保持器のガイド面以外の箇所は軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
また、ガイド部は、保持器の内周面に形成され、軸体の外周面と1箇所以上で当接することを特徴としている。
この構成によれば、保持器の内周面に、軸体にガイドされるガイド部を形成することで、軸体の回転時において、球体を軸体周りの周方向で位置決めした上で、軸体の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、軸体を回転可能に支持できる。これにより、保持器は、ガイド面により軸体にガイドされ、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
また、軸体は、直線部分である先端部分と、直線部分の径よりも大きいものであって、直線部分につながる軸本体部分とを備え、ガイド部は、先端部分または軸本体部分の少なくともいずれかに対して略平行であることを特徴としている。
この構成によれば、保持器のガイド面と、軸小径部及び軸中径部の少なくとも1つ以上とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、軸小径部及び軸中径部の少なくとも1つ以上の外周面とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、軸体の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
また、ガイド部の軸体の外周面との当接面、あるいはガイド部に当接する軸体の外周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴としている。
この構成によれば、保持器が軸体にガイドされる時、軸小径部及び軸中径部と、保持器のガイド部との接触面積を低減することができるため、接触による固体摩擦抵抗を低減することができる。よって、軸体に対する保持器の傾きを低減したまま、ガイド部におけるエネルギー損失を抑えられるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
また、ガイド部は、保持器の外周面に形成され、外輪の内周面と1箇所以上で当接することを特徴としている。
この構成によれば、保持器の外周面に、外輪にガイドされるガイド部を形成することで、軸体の回転時において、球体を軸体周りの周方向で位置決めした上で、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、軸体を回転可能に支持できる。これにより、保持器は、ガイド面により外輪にガイドされ、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
また、外輪は、軸体の先端側における保持器のガイド部に当接する中央内周部分を備え、ガイド部は、中央内周部分に対して略平行であることを特徴としている。
この構成によれば、保持器のガイド面と、外輪小径部とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、外輪小径部とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
また、外輪は、軸体の軸本体側における保持器のガイド部に当接する外縁内周部分を備え、ガイド部は、外縁内周部分に対して略平行であることを特徴としている。
この構成によれば、保持器のガイド面と、外輪中径部とは、平行または最大で6度の角度となるため、ガイド時には保持器のガイド面と、外輪中径部とが、全面また全面に近い面積で当接する。そのため、保持器は、外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減し、保持器のガイド面以外の箇所では軸体または外輪への衝突を起こさなくなる。よって、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
また、ガイド部の外輪の内周面との当接面、あるいはガイド部に当接する外輪の内周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴としている。
この構成によれば、保持器が外輪中径部にガイドされる時、外輪中径部と、保持器のガイド部との接触面積を低減することができるため、接触による固体摩擦抵抗を低減することができる。よって、軸体に対する保持器の傾きを低減したまま、ガイド部におけるエネルギー損失を抑えられるため、てんぷは安定して高い振り角となり、歩度変動は低減する。
また、保持器の材料は、金属であることを特徴としている。金属は、軟鋼、黄銅、燐青銅、またはステンレス鋼のいずれかであることが好ましい。
この構成によれば、切削加工を行うことができ、かつ加工後のバリ除去を容易に行うことができる。これにより、加工時間の短縮や、形状精度の向上が可能となる。形状精度が向上すると、球体のピッチ間距離の変動や軸体に対する保持器の傾きを低減することができるため、軸受抵抗を低減し、てんぷの振り角が向上し、歩度変動が低減する。
また、保持器の材料は、樹脂であることを特徴としている。樹脂は、ポリアセタール、ポリアミド、フッ素樹脂またはポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック、あるいは、ガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料のいずれかであることが好ましい。
この構成によれば、保持器の重量を軽量化することができる。保持器の重量が軽くなると、保持器による固体摩擦抵抗が低減するため、軸受抵抗を低減し、てんぷの振り角が向上し、歩度変動が低減する。
さらに、樹脂材料は金属材料と比較して硬度が小さいため、樹脂材料で形成された保持器が金属で形成された軸や外輪にガイドされる際に、保持器が軸や外輪を傷つけ難くなる。これにより、ガイドによる摩擦により軸や外輪が削られ難くなり、金属粉が発生し難くなる。金属粉が発生し難くなれば、金属粉による部品の損傷や、ボールの転動の阻害等の悪影響を低減することができ、部品耐久性の向上や、計時精度の向上をすることができる。
また、本発明に係るムーブメントは、香箱、番車、がんぎ車、アンクル及びてんぷを備えた時計のムーブメントであって、少なくともてんぷの軸受に、上記本発明の時計用軸受ユニットが用いられていることを特徴としている。
この構成によれば、上記本発明の時計用軸受ユニットを備えているので、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高いムーブメントを提供できる。
また、本発明に係る時計は、上記本発明のムーブメントと、このムーブメントを内包するケーシングと、を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、上記本発明のムーブメントを備えているので、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高い時計を提供できる。
本発明に係る時計用軸受ユニットによれば、軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する保持器の中心軸の長手方向の傾きを低減することができ、軸体が軸受と回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。
本発明に係るムーブメント及び時計によれば、振り角及び歩度の変動を抑制して、計時精度の高いムーブメント及び時計を提供できる。
本発明の実施形態における機械式時計のムーブメント表側の平面図である。 本発明の実施形態における香箱からがんぎ車の部分を示す概略部分断面図である。 本発明の実施形態におけるがんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。 てんぷ及び軸受を示す斜視図である。 図5は図4の軸受を示す分解斜視図である。 (a)図3のA部における軸受体(第1実施形態)の上面図である。(b)(a)の上面図内切断線Q-Q’における断面図である。 (a)図6の軸受体に備えられた保持器(第1実施形態)の斜視図である。(b)(a)の上面透視図である。(c)(b)の上面透視図内切断線B−B’における断面図である。 本発明の第1実施形態における軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きを説明する図である。 (a)本発明の第2実施形態における軸受体の上面図である。(b)(a)の上面図内切断線D−D’における断面図(図6に相当)である。 (a)本発明の第2実施形態における保持器を示す斜視図である。(b)の上面透視図である。(c)(b)の上面透視図内切断線E−E’における断面図(図7に相当)である。 本発明の第2実施形態における軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きを説明する図である。 (a)本発明の第3実施形態における軸受体の上面図である。(b)(a)の上面図内切断線R-R’における断面図(図6に相当)である。 (a)本発明の第3実施形態における保持器を示す斜視図である。(b)(a)の上面透視図である。(c)(b)の上面透視図内切断線G−G’における断面図(図7に相当)である。 本発明の第3実施形態における軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きを説明する図である。 (a)本発明の第4実施形態における軸受体の上面図である。(b)(a)の上面図内切断線H−H’における断面図(図6に相当)である。 (a)本発明の第4実施形態における保持器を示す斜視図である。(b)(a)の上面透視図である。(c)(b)の上面透視図内切断線I−I’における断面図(図7に相当)である。 本発明の第4実施形態における軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きを説明する図である。 (a)本発明の第5実施形態における軸受体の上面図である。(b)(a)の上面図内切断線J−J’における断面図(図6に相当)である。 (a)本発明の第5実施形態における保持器を示す斜視図である。(b)(a)の上面透視図である。(c)(b)の上面透視図内切断線K−K’における断面図(図7に相当)である。 本発明の第5実施形態における軸体または外輪の中心軸の長手方向に対する、保持器の中心軸の長手方向の傾きを説明する図である。 (a)本発明の第6実施形態における時計用軸受ユニットの中心線C通過断面図である。(b)(a)図中拡大線Sにおける拡大図である。 (a)本発明の第7実施形態における時計用軸受ユニットの中心線C通過断面図である。(b)(a)図中拡大線Vにおける拡大図である。 (a)本発明の第8実施形態における時計用軸受ユニットの中心線C通過断面図である。(b)(a)図中拡大線Tにおける拡大図(b)である。 従来のてんぷの構成を示す概略部分断面図である。
次に、本発明に係る時計用軸受の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
(機械式時計)
図1は機械式時計のムーブメント表側の平面図であり、図2は香箱からがんぎ車の部分を示す概略部分断面図であり、図3はがんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。なお、図1では一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している。
図1〜図3に示すように、機械式時計のムーブメント100は、ムーブメント100の基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。文字板104(図2参照)はムーブメント100に取り付けられる。一般に、地板102の両側のうち、文字板104が配される側をムーブメント100の裏側と称し、文字板104が配される側の反対側をムーブメント100の表側と称する。ムーブメント100の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント100の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。なお、ムーブメント100にケーシング(不図示)を設けることにより携帯用時計として構成される。
おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194、裏押さえ196を含む切換装置により、巻真110の軸線方向の位置が決められている。きち車112は巻真110の案内軸部に回転可能に設けられている。巻真110が、回転軸線方向に沿ってムーブメント100の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真110を回転させると、つづみ車の回転を介してきち車112が回転する。丸穴車114は、きち車112の回転により回転する。また、角穴車116は、丸穴車114の回転により回転する。角穴車116が回転することにより、香箱車120に収容されたぜんまい122(図2参照)を巻き上げる。
二番車124は、香箱車120の回転により回転する。がんぎ車130は、四番車128、三番車126、二番車124の回転を介して回転する。香箱車120、二番車124、三番車126、四番車128は表輪列を構成する。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、てんぷ140と、がんぎ車130と、アンクル142と、を含む。二番車124の回転に基づいて、筒かな150(図2参照)が同時に回転する。筒かな150に取り付けられた分針152が「分」を表示する。筒かな150には、二番車124に対するスリップ機構が設けられている。筒かな150の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して、筒車154が回転する。筒車154に取り付けられた時針156が「時」を表示する。
香箱車120は、香箱歯車120dと、香箱真120fと、ぜんまい122と、を備えている。香箱真120fは、上軸部120aと、下軸部120bと、を含む。香箱真120fは、炭素鋼などの金属で形成されている。香箱歯車120dは黄銅などの金属で形成されている。
二番車124は、上軸部124aと、下軸部124bと、かな部124cと、歯車部124dと、そろばん玉部124hと、を含む。二番車124のかな部124cは香箱歯車120dと噛み合うように構成されている。上軸部124a、下軸部124b及びそろばん玉部124hは、炭素鋼などの金属で形成されている。歯車部124dはニッケルなどの金属で形成されている。
三番車126は、上軸部126aと、下軸部126bと、かな部126cと、歯車部126dと、を含む。三番車126のかな部126cは歯車部124dと噛み合うように構成されている。
四番車128は、上軸部128aと、下軸部128bと、かな部128cと、歯車部128dと、を含む。四番車128のかな部128cは歯車部126dと噛み合うように構成されている。上軸部128aと、下軸部128bは、炭素鋼などの金属で形成されている。歯車部128dはニッケルなどの金属で形成されている。
がんぎ車130は、上軸部130aと、下軸部130bと、かな部130cと、歯車部130dと、を含む。がんぎ車130のかな部130cは歯車部128dと噛み合うように構成されている。アンクル142は、アンクル体142dと、アンクル真142fと、を備えている。アンクル真142fは、上軸部142aと、下軸部142bとを含む。
香箱車120は、地板102及び香箱受160に対して回転可能に支持されている。すなわち、香箱真120fの上軸部120aは、香箱受160に対して回転可能に支持される。香箱真120fの下軸部120bは、地板102に対して、回転可能に支持される。二番車124、三番車126、四番車128、がんぎ車130は、地板102及び輪列受162に対して回転可能に支持されている。すなわち、二番車124の上軸部124a、三番車126の上軸部126a、四番車128の上軸部128a、がんぎ車130の上軸部130aは、輪列受162に対して回転可能に支持される。また、二番車124の下軸部124b、三番車126の下軸部126b、四番車128の下軸部128b、がんぎ車130の下軸部130bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
アンクル142は、地板102及びアンクル受164に対して回転可能に支持されている。すなわち、アンクル142の上軸部142aは、アンクル受164に対して回転可能に支持される。アンクル142の下軸部142bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
香箱真120fの上軸部120aを回転可能に支持する香箱受160の軸受部と、二番車124の上軸部124aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、三番車126の上軸部126aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、四番車128の上軸部128aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、がんぎ車130の上軸部130aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、アンクル142の上軸部142aを回転可能に支持するアンクル受164の軸受部には、潤滑油が注油される。また、香箱真120fの下軸部120bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、二番車124の下軸部124bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、三番車126の下軸部126bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、四番車128の下軸部128bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、がんぎ車130の下軸部130bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、アンクル142の下軸部142bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。
地板102のそれぞれの軸受部、香箱受160の軸受部、輪列受162のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、または円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。地板102、香箱受160、輪列受162、アンクル受164は、黄銅などの金属で形成してもよいし、ポリカーボネートなどの樹脂で形成してもよい。
(てんぷの構造)
次に、本実施形態のてんぷの構造について説明する。
図3に示すように、てんぷ140は、てん真140a及びひげぜんまい140cを備えている。
ひげぜんまい140cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい140cの内端部は、てん真(軸本体部)140aに固定されたひげ玉140dに固定され、ひげぜんまい140cの外端部は、てんぷ受167に回転可能に取り付けられたひげ持受170に取り付けたひげ持170aを介してねじ締めにより固定されている。軸受180を内包した枠体166は、その外周部がてんぷ受167に固定されている。また、緩急針168は、てんぷ受167に回転可能に取り付けられている。さらに、てんぷ140は、地板102及びてんぷ受167に対して回転可能に支持されている。
ここで、てんぷ140は、中心軸線Cを中心に回転可能に構成されており、軸体143(てん真140a)の両端には細い中径軸部144,145が形成されている。下側(裏側)の中径軸部144は地板102に対して回転可能に支持されており、上側(表側)の中径軸部145(小径軸部147)は、軸受180aに対して回転可能に支持されている。このてんぷ140と軸受180aとで軸受ユニット(時計用軸受ユニット)105aを構成している。
(第1実施形態)
続いて、軸受ユニットについて説明する。なお、以下の説明では、図3中の軸受ユニット105aの中心軸線である中心軸線Cに沿った方向(スラスト方向)を「軸方向」とし、中心軸線Cに直交する方向(ラジアル方向)を「径方向」とし、中心軸線C回りの方向を「周方向」とする。また、図3では軸受180aを軸体143の一端部(上端部)である中径軸部145(小径軸部147)側のみに描写したが、軸受180aは軸体143の両端部に設けてもよい。また、軸体143について、てんぷ受167及び地板102のある方を軸方向「外側」とし、てん輪171が備えられている方を軸方向「内側」とする。
図3に示すように、A部で示した軸受180aは、軸体143とともに軸受ユニット105aに備えられ、中心軸線Cを中心に回転する軸体143の一端部(上端部)である中径軸部145(小径軸部147)側に設けられ、軸体143の軸方向及び径方向の移動を規制する軸受体181aと、軸受体181aの軸方向の移動を規制する弾性体182と、軸受体181a及び弾性体182を内包する枠体166と、を備えている。
図4はてんぷ及び軸受を示す斜視図であり、図5は図4の軸受を示す分解斜視図である。また、図6(a)は、軸受体181aと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線Q-Q’によって切断された断面図Q-Q’である。
図3〜図5に示すように、弾性体182は、例えば金属で形成された板バネ部材で構成されている。弾性体182は、枠体166における軸受体181aの軸方向外側に支持固定されている。弾性体182は軸受体181aを軸体143方向(軸方向内側方向)に付勢する付勢力Fを有しており、軸受ユニット105aに衝撃が加わっていない状態において、この付勢力Fは、軸受体181aの球体183と中径軸部145(小径軸部147)に備えられた第2支持面206とを当接させ、かつ、軸体143が中心軸線Cを中心に回転できるような付勢力を有している。つまり、弾性体182は与圧機構として構成されている。
また、図3〜図6に示すように、軸受体181aは、軸体143の第2支持面206に当接可能に周方向に沿って配された複数(例えば、4個)の球体183と、球体183を転動自在に保持する外輪185と、軸体143の第2支持面206の周方向に沿って配され、複数の球体183を内包する保持器201aと、を有している。
また、図3〜図5に示すように、枠体166は、略円筒状に形成されており、軸受体181a及び弾性体182を内包可能な第3貫通孔188が形成されている。また、枠体166の内周面166aには、周方向に沿って弾性体182の周縁部が嵌合支持される溝部189が全周に亘って形成されている。さらに、枠体166の外周面166cが、てんぷ受167(図3参照)の内周面に圧入固定されるように構成されている。
ここで、弾性体182の構成及び枠体166に弾性体182を支持固定する構成について一例を用いて説明する。例えば、図4,図5に示すように、弾性体182は、軸受体181aの外側端面181lに略当接される内輪部182aと、内輪部182aから径方向外方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部182bと、を備えている。図4,図5では、バネ部182bが周方向に略等間隔に3箇所形成されている。また、枠体166の一方の面166eには、弾性体182のバネ部182bの先端を挿通可能な切欠部166fが、バネ部182bの形状に合わせて複数形成されている。そして、この切欠部166fと、枠体166の内周面166aに形成された溝部189と、は繋がっている。つまり、バネ部182bの先端を切欠部166fの位置に合わせて挿通させることにより、バネ部182bの先端を溝部189に配することができる。そして、この状態で弾性体182を枠体166に対して周方向に回転させてバネ部182bの先端を溝部189に支持固定することにより、弾性体182のバネ部182bを枠体166に支持固定することができるようになっている。
ここで、軸受ユニット105aに外部からの衝撃が加わった場合、枠体166に対して軸受体181aが軸方向に移動しようとする。なお、軸受体181aの径方向への移動は、第1ガイド面185b及び第2ガイド面166bが形成されているため規制されている。このとき、軸受体181aの軸方向外側に弾性体182が配されているため、軸受体181aの軸方向への移動量は規制される。また、軸受ユニット105aに対する衝撃が収まると、弾性体182の付勢力F(図3に図示)及び第1ガイド面185bが第2ガイド面166bにガイドされることにより、軸受体181aは元の位置に戻る。
また、図6に示すように、外輪185は、略円板形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第1貫通孔186が形成されている。この第1貫通孔186の第1内周面215(第2内周面216)には、径方向外側に向かって凹形状をなす第1支持面187が周方向に沿って形成されている。第1支持面187は、軸方向一端側(上端側)から他端側(下端側)に向けて広がる曲面形状に形成されている。また、外輪185の製作は、切削、鍛造や打ち抜き加工等の機械加工や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術等の1つであるフォトリソグラフィ技術等を利用して製造することが可能である。
中径軸部145は、軸体143の一端部に軸方向外側に向かって突出形成されており、中径軸部145の端部から径方向内側に向かって凹面で形成されている第2支持面206を介して軸径が小さくなる小径軸部147を備えている。
球体183は、外輪185の第1支持面187と、中径軸部145(軸体143)に備えられた第2支持面206にそれぞれ当接し、保持器201aに備えられた複数の第3貫通孔205に内包された状態で保持されている。すなわち、各球体183は、周方向に沿って等間隔に配置され、転動自在に保持されている。なお、図3〜図6では、球体183の数を4つとして図示しているが、これに限らず、球体183の数は3つ以上であれば何個でもよい。
図7(a)は図3〜図6の保持器201aにおける斜視図であり、同図(b)は、同上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線B−B’によって切断された断面図B−B’である。
図6および図7において、保持器201aは、第1外周面203が略斜面により構成された回転対称形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第2貫通孔202が形成されている。第2貫通孔202には、中径軸部145(小径軸部147)が挿入される。また、第1外周面203から第3内周面204にかけて貫通する複数の第3貫通孔205が周方向に沿って等間隔に形成されている。各第3貫通孔205は、球体183を内包する。また、第3貫通孔205と球体183の間には第2隙間210が設けられており、球体183の転動を許容する。また、第2貫通孔202を形成している第3内周面204には、第3ガイド面207aが備えられている。第3ガイド面207aと小径軸部147の第2外周面208は、平行に形成されている。また、第3ガイド面207aと第2外周面208との間には、保持器201aおよび中径軸部145(小径軸部147)それぞれの回転を許容するための第1隙間209が設けられている。第1隙間209は、0umよりも大きく、20um程度までが望ましい。
図3において、上述のように構成された軸受180aは、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181aには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
さらに、本実施形態では、保持器201aの第3内周面204に設けられた第3ガイド面207aと、中径軸部145(小径軸部147)の第2外周面208と、により保持器201aは中径軸部145(小径軸部147)にガイドされ、球体183は、保持器201aの第3貫通孔205に内包されて、中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に転動自在に保持される構成とした。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201aに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
図8は、図3中の中心線Cと、図7中の保持器201aの中心軸線Lとの傾きθ1の関係を示す図である。
上述のとおり、保持器201aは中径軸部145(小径軸部147)にガイドされるため、傾きθ1を低減することができる。また、詳細には傾きθ1を0°以上6°以下にすることができる。これにより、保持器201aは、第3ガイド面207a以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180aと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9(a)は、軸受体181bと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線D−D’によって切断された断面図D−D’である。また、図10(a)は、図9の保持器201bにおける斜視図であり、同図(b)は、同上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線E−E’によって切断された断面図E−E’である。軸受体181bの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
保持器201bは、第1外周面203が斜面により構成された回転対称形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第2貫通孔202が形成されている。第2貫通孔202には、中径軸部145(小径軸部147)が挿入される。また、第1外周面203から第3内周面204にかけて貫通する複数の第3貫通孔205が周方向に沿って等間隔に備えられている。各第3貫通孔205には、球体183が内包される。また、第3貫通孔205と球体183の間には第2隙間210が設けられており、第3貫通孔205内での球体183の転動を許容する。また、第2貫通孔202を形成している第3内周面204には、第3ガイド面207aおよび第4ガイド面207bが備えられている。第3ガイド面207aおよび第4ガイド面207bと、小径軸部147の第2外周面208および中径軸部145の第3外周面211は、それぞれ平行に形成されている。また、第3ガイド面207aおよび第4ガイド面207bと、小径軸部147の第2外周面208および中径軸部145の第3外周面211との間には、保持器201bおよび中径軸部145(小径軸部147)それぞれの回転を許容するための第1隙間209および第3隙間212が設けられている。第1隙間209および第3隙間212は、0umよりも大きく、20um程度までが望ましい。
図3および図9において、保持器201bを備えた軸受体181bを備えた軸受180b(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181bには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
また、本実施形態では、保持器201bの第3内周面204に設けられた第3ガイド面207aおよび第4ガイド面207bと、小径軸部147の第2外周面208および中径軸部145の第3外周面211と、により保持器201bは中径軸部145(小径軸部147)にガイドされ、球体183は、保持器201bの第3貫通孔205に内包されて、中径軸部145(小径軸部147)の外周面に沿って周方向に転動自在に保持される構成とした。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201bに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
図11は、図3中の中心線Cと、図10中の保持器201bの中心軸線Mとの傾きθ2の関係を示す図である。
上述のとおり、保持器201bは中径軸部145(小径軸部147)にガイドされるため、傾きθ2を低減することができる。また、詳細には傾きθ2を0°以上4°以下にすることができる。これにより、保持器207bの第3ガイド面207a、第4ガイド面207b以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180bと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態は、第1実施形態に比べ、保持器201bに形成されたガイド面の数が多いため、第1実施形態の傾きθ1よりも保持器201bの傾きθ2を低減することができる。そのため、保持器201bは、第1実施形態の保持器201aよりも安定して中径軸部145(小径軸部147)の外周面に沿って周方向に転動自在に回転することができる。よって、軸体143が軸受180bと回転接触する際の軸受損失をさらに抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動もさらに低減できる。よって、振り角及び歩度の変動をさらに抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12(a)は軸受体181cと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線R-R’によって切断された断面図R-R’である。また、図13(a)は、図12の保持器201cにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線G−G’によって切断された断面図G−G’である。軸受体181cの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
保持器201cは、第1外周面203が斜面により構成された回転対称形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第2貫通孔202が形成されている。第2貫通孔202には、中径軸部145(小径軸部147)が挿入される。また、第1外周面203から第3内周面204にかけて貫通する複数の第3貫通孔205が周方向に沿って等間隔に備えられている。各第3貫通孔205には、球体183が内包される。また、第3貫通孔205と球体183の間には第2隙間210が設けられており、第3貫通孔205内での球体183の転動を許容する。また、第2貫通孔202を形成している第3内周面204には、第5ガイド面207cが備えられている。第5ガイド面207cと、外輪185の第1内周面215は、それぞれ平行に形成されている。また、第5ガイド面207cと、外輪185の第1内周面215との間には、保持器201cおよび中径軸部145(小径軸部147)それぞれの回転を許容するための第4隙間213が設けられている。第4隙間213は、0umよりも大きく、20um程度までが望ましい。
図3および図12において、保持器201cを備えた軸受体181cを備えた軸受180c(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181cには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
また、本実施形態では、保持器201cの第1外周面203に設けられた第5ガイド面207cと、外輪185の第1内周面215と、により保持器201cは外輪185にガイドされ、球体183は、保持器201cの第3貫通孔205に内包されて、中径軸部145(小径軸部147)の外周面に沿って周方向に転動自在に保持される構成とした。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201cに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
図14は、図3中の中心線Cと、図13中の保持器201cの中心軸線Nとの傾きθ3の関係を示す図である。
上述のとおり、保持器201cは外輪185にガイドされるため、傾きθ3を低減することができる。また、詳細には傾きθ3を0°以上6°以下にすることができる。これにより、保持器201cの第5ガイド面207c以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180cと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態は、保持器201cの第1外周面203に設けられた第5ガイド面207cと、外輪185の第1内周面215と、により保持器201cは外輪185にガイドされる構成であるため、保持器201cの第2貫通孔202の径を大きくすることができる。よって、第2貫通孔202形成のための加工容易性を向上することができる。よって、加工工程が容易化し、加工コストを低減することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図15(a)は軸受体181dと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線H−H’によって切断された断面図H−H’である。また、図16(a)は図15の保持器201dにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線I−I’によって切断された断面図I−I’である。軸受体181dの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
保持器201dは、第1外周面203が斜面により構成された回転対称形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第2貫通孔202が形成されている。第2貫通孔202には、中径軸部145(小径軸部147)が挿入される。また、第1外周面203から第3内周面204にかけて貫通する複数の第3貫通孔205が周方向に沿って等間隔に備えられている。各第3貫通孔205には、球体183が内包される。また、第3貫通孔205と球体183の間には第2隙間210が設けられており、第3貫通孔205内での球体183の転動を許容する。また、第2貫通孔202を形成している第3内周面204には、また、第1外周面203の両端部には、第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207dが備えられている。第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207dと、外輪185に備えられた第1貫通孔186の第1内周面215および第2内周面216は、それぞれ平行に形成されている。また、第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207dと、第1内周面215および第2内周面216と、の間には、保持器201dおよび中径軸部145(小径軸部147)がそれぞれの回転を許容するための第4隙間213および第5隙間214が設けられている。第4隙間213および第5隙間214は、0umよりも大きく、20um程度までが望ましい。
図3および図15において、保持器201dを備えた軸受体181dを備えた軸受180d(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181dには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
また、本実施形態では、保持器201dの第1外周面203に設けられた第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207dと、外輪185に備えられた第1内周面215および第2内周面216と、により、保持器201dは外輪185にガイドされ、球体183は、保持器201dの第3貫通孔205に内包されて、中径軸部145(小径軸部147)の外周に沿って周方向に転動自在に保持される構成とした。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201dに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
図17は、図3中の中心線Cと、図16中の保持器201dの中心軸線Oとの傾きθ4の関係を示す図である。
上述のとおり、保持器201dは外輪185にガイドされるため、傾きθ4を傾きθ3よりも低減することができる。また、詳細には傾きθ4を0°以上4°以下にすることができる。これにより、保持器201dの第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207d以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180dと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、第3実施形態に比べ、保持器201dのガイド面の数が多いため、第3実施形態の傾きθ3よりも保持器201dの傾きθ4を低減することができる。そのため、保持器201dは、第3実施形態の保持器201cよりも安定して中径軸部145(小径軸部147)の外周面に沿って周方向に転動自在に回転することができる。よって、軸体143が軸受180dと回転接触する際の軸受損失をさらに抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動もさらに低減できる。よって、振り角及び歩度の変動をさらに抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
さらに、本実施形態は、保持器201dの第1外周面203に設けられた第5ガイド面207cおよび第6ガイド面207dと、外輪185に備えられた第1内周面215および第2内周面216と、により、保持器201dは外輪185にガイドされる構成であるため、保持器201dの第2貫通孔202の径を大きくすることができる。よって、第2貫通孔202の形成のための加工容易性を向上することができる。よって、加工工程を容易化し、加工コストを低減することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図18(a)は、軸受体181eと、軸体143と、の上面図であり、同図(b)は、同図(a)中の切断線J−J’によって切断された断面図J−J’である。また、図19(a)は、図18の保持器201eにおける斜視図であり、同図(b)は、上面透視図であり、同図(c)は、同図(b)中の切断線K−K’によって切断された断面図K−K’である。軸受体181eの構造は、基本的には本発明の第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
保持器201eは、第1外周面203が斜面により構成された回転対称形状の部材であり、その径方向中央部には軸方向に沿って貫通する第2貫通孔202が形成されている。第2貫通孔202には、中径軸部145(小径軸部147)が挿入される。また、第1外周面203から第3内周面204にかけて貫通する複数の第3貫通孔205が周方向に沿って等間隔に備えられている。各第3貫通孔205には、球体183が内包される。また、第3貫通孔205と球体183の間には第2隙間210が設けられており、第3貫通孔205内での球体183の回転を許容する。また、第3内周面204および第1外周面203には、第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207cが備えられている。第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207cと、中径軸部145の第3外周面211および外輪185に備えられた第1貫通孔186の第1内周面215は、それぞれ平行に形成されている。また、第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207cと、第3外周面211および第1内周面215と、の間には、保持器201eおよび中径軸部145(小径軸部147)がそれぞれの回転を許容するための第3隙間212および第4隙間213が設けられている。第3隙間212および第4隙間213は、0umよりも大きく、20um程度までが望ましい。
図3および図18において、保持器201eを備えた軸受体181eを備えた軸受180e(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181eには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
さらに、本実施形態では、保持器201eの第3内周面204および第1外周面203に備えられた第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207cと、中径軸部145の第3外周面211および外輪185に備えられた第1貫通孔186の第1内周面215と、により、保持器201eは中径軸部145および外輪185にガイドされ、球体183は、保持器201eの第3貫通孔205に内包されて、中径軸部145(小径軸部147)の外周に沿って周方向に転動自在に保持される構成とした。
この構成によれば、軸体143の回転時において、球体183は保持器201eに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
図20は、図3中の中心線Cと、図19中の保持器201eの中心軸線Pとの傾きθ5の関係を示す図である。
上述のとおり、保持器201eは中径軸部145および外輪185にガイドされるため、傾きθ5を低減することができる。また、詳細には傾きθ5を0°以上4°程度以下にすることができる。これにより、保持器201eの第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207c以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180eと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態は、第1または第3実施形態に比べ、保持器201eのガイド面の数が多いため、第1または第3実施形態の傾きθ1、θ3よりも保持器201eの傾きθ5を低減することができる。そのため、保持器201eは、第1または第3実施形態の保持器201a、201cよりも安定して中径軸部145(小径軸部147)の外周面に沿って周方向に転動自在に回転することができる。よって、軸体143が軸受180eと回転接触する際の軸受損失をさらに抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動もさらに低減できる。よって、振り角及び歩度の変動をさらに抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
さらに、本実施形態は、保持器201eの第3内周面204および第1外周面203に備えられた第4ガイド面207bおよび第5ガイド面207cと、中径軸部145の第3外周面211および外輪185に備えられた第1貫通孔186の第1内周面215と、により、保持器201eは中径軸部145および外輪185にガイドされる構成であるため、保持器201eの第2貫通孔202の中心軸線Pにおける第5ガイド面207c側の径を大きくすることができる。よって、第2貫通孔202形成のための加工容易性を向上することができる。よって、加工工程を容易化し、加工コストを低減することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図21は、本発明の第6実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Sにおける拡大図(b)である。軸受体181fの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
図21より、保持器201fは、小径軸部147の第2外周面208に対して、保持器201fの第3ガイド面207aでガイドされる構造である。第3ガイド面207aには、凹部221が周方向に形成されている。
ここで、凹部221の軸方向の長さAAは、凹部221を形成する前の第3ガイド面207aの軸方向の長さABよりも小さい。
また、凹部221の径方向の深さACは、凹部221が第1外周面203及び第3貫通孔205に貫通しない深さである。
また、凹部221の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凹部221が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凹部221が周方向に複数あるときは、隣り合う凹部221のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凹部221によって第3ガイド面207aが複数に分割される場合、凹部221は複数の第3ガイド面207aのそれぞれが小径軸部147の第2外周面208に当接する位置にあるのが望ましい。
保持器201fを備えた軸受体181fを備えた軸受180f(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181fには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
軸体143の回転時において、球体183は保持器201fに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
また、保持器201fは小径軸部147にガイドされるため、保持器201fの小径軸部14に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201fは保持器201fの第3ガイド面207a以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180fと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態では、保持器201fは、小径軸部147の第2外周面208に対して、保持器210fの第3ガイド面207aでガイドされ、第3ガイド面207aには、凹部221が周方向に形成される構成とした。
本実施形態の構成によれば、保持器210fが小径軸部147にガイドされる際、保持器210fの凹部221を除いた第3ガイド面207aが、小径軸部147の第2外周面208に接触する。
第3ガイド面207aの第2外周面208への接触において、凹部221の形成されていない第3ガイド面207aに比べて、凹部221の形成されている第3ガイド面207aの方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210fが起因となる軸受180fでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギー低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180fでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201fの小径軸部147に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
なお、本実施例では、凹部221が1つの場合について説明したが、複数の凹部221を形成する場合は、複数の凹部221の軸方向の長さはそれぞれ異なってもよい。同様に、複数の凹部221を形成する場合は、複数の凹部221の径方向の深さはそれぞれ異なってもよい。しかし、保持器201fの小径軸部147に対する傾きを低減するためには、複数の凹部221の径方向の深さは等しい方が望ましい。
また、本実施例中の説明では、保持器201f側に凹部221を設け、小径軸部147側を単純な一面としての第2外周面208としたが、逆に小径軸部147側に凹部221を設けて、保持器201f側を単純な一面としての内周面としてもよい。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図22は、本発明の第7実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Vにおける拡大図(b)である。軸受体181gの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
図22より、保持器201gは、外輪185の第1内周面215に対して、保持器201gの第5ガイド面207cでガイドされる構造である。また、第5ガイド面207cには、凸部222が周方向に形成されている。
ここで、凸部222の軸方向の長さBAは、凸部222を形成する前の第5ガイド面207cの軸方向の長さBBよりも小さい。
また、凸部222の径方向の高さBCは、保持器201gを軸受体181gへ組み込んだ時に、第1内周面215との間に隙間BDが生じる高さである。
また、凸部222の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凸部222が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凸部222が周方向に複数あるときは、隣り合う凸部222のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凸部222が軸方向に複数ある場合、軸方向に複数ある全ての凸部222が外輪185の第1内周面215に当接する位置にあるのが望ましい。
保持器201gを備えた軸受体181gを備えた軸受180g(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181gには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
軸体143の回転時において、球体183は保持器201gに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
また、保持器201gは外輪185にガイドされるため、保持器201gの外輪185に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201gは保持器201gの凸部222以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180gと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態では、保持器201gは、外輪185の第1内周面215に対して、保持器210gの凸部222でガイドされる構造である。また、第5ガイド面207cには、凸部222が周方向に形成される構成とした。
本実施形態の構成によれば、保持器201gが外輪185にガイドされる際、保持器201gの第5ガイド面207cに形成された凸部222が、外輪185の第1内周面215に接触する。
凸部222の第1内周面215への接触において、凸部222の形成されていない第5ガイド面207cに比べて、凸部222の形成されている第5ガイド面207cの方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210gが起因となる軸受180gでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギーが低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180gでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201gの外輪185に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる。
なお、本実施例中の説明では、複数の凸部222の軸方向の長さを共通の長さBAとしたが、複数の凸部222の軸方向の長さはそれぞれ異なってもよい。また、複数の凸部222の径方向の高さを共通の高さBCとしたが、複数の凸部222の径方向の高さはそれぞれ異なってもよい。しかし、保持器201gの外輪185に対する傾きを低減するためには、複数の凸部222の径方向の高さは等しい方が望ましい。
また、本実施例中の説明では、保持器201g側に凸部222を設け、外輪185側を単純な一面としての第1内周面215としたが、逆に外輪185側に凸部を設けて、保持器201g側を単純な一面としての外周面としてもよい。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。図23は、本発明の第8実施形態における軸受体の中心線C通過断面図(a)及び(a)図中拡大線Tにおける拡大図(b)である。軸受体181hの基本的な構造は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では第1実施形態と異なる箇所のみ記載する。
図23より、保持器201hは、外輪185の第2内周面216に対して、保持器201hの第6ガイド面207dでガイドされる構造である。また、第2内周面216には、凸部223が周方向に形成されている。
ここで、凸部223の第2内周面216に対して面方向の長さCAは、凸部223を形成する前の第2内周面216の軸方向の長さCBよりも小さい。
また、凸部223の第2内周面216に対して面と垂直方向の高さCCは、保持器201hを軸受体181hへ組み込んだ時に、第6ガイド面207dとの間に隙間CDが生じる高さである。
また、凸部223の数は、軸方向及び周方向にそれぞれ1つ以上あればよい。ただし、凸部223が周方向に1つのときは、全周に亘って繋がっているのが望ましい。また、凸部223が周方向に複数あるときは、隣り合う凸部223のピッチ間距離を等しくするのが望ましい。
また、凸部223が軸方向に複数ある場合、軸方向に複数ある全ての凸部223が保持器201hの第6ガイド面207dに当接する位置にあるのが望ましい。
保持器201hを備えた軸受体181hを備えた軸受180h(図示しない)は、通常は軸体143(中径軸部145)が中心軸線Cを中心に回転している。このとき、軸受体181hには球体183が配されているため、中径軸部145はスムーズに軸中心に回転することができる。
軸体143の回転時において、球体183は保持器201hに等間隔に備えられた第3貫通孔205に内包された状態で転動するので、球体183は一定のピッチ間距離に保持されながら中径軸部145(小径軸部147)の第2支持面206に沿って周方向に安定して転動することができる。
また、保持器201hは外輪185にガイドされるため、保持器201hの外輪185に対する傾きを低減することができる。これにより、保持器201hは凸部223以外の箇所では軸体143または外輪185への衝突を起こさなくなる。よって、軸体143が軸受180hと回転接触する際の軸受損失を抑制できるとともに、軸体143のトルク変動や回転周期の変動も低減できる。よって、振り角及び歩度の変動を抑制して、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度を安定させることができる。
さらに、本実施形態では、保持器201hは、外輪185の第2内周面216に対して、保持器201hの凸部223でガイドされる構造である。また、第2内周面216には、凸部223が周方向に形成される構成とした。
本実施形態の構成によれば、保持器201hが外輪185にガイドされる際、保持器201hの第6ガイド面207dが、外輪185の第2内周面216に形成された凸部223に接触する。
凸部223の第6ガイド面207dへの接触において、凸部223の形成されていない第2内周面216に比べて、凸部223の形成されている第2内周面216の方が、接触面積が小さくなるため、固体摩擦抵抗が小さくなる。
ガイド時の接触による固体摩擦抵抗が小さくなると、保持器210hが起因となる軸受180hでのエネルギー損失が小さくなり、てんぷ140の回転エネルギーが低減を抑制する。
てんぷ140の回転エネルギーが増大すると、振り角が増大するため、脱進機誤差の影響が小さくなるため、歩度変動が低減する。
よって、軸受180hでの損失エネルギーを抑えつつ、保持器201hの外輪185に対する傾きを低減することができるため、さらに歩度変動を低減することができ、ムーブメント100(携帯用時計)の計時精度をさらに安定させることができる
なお、本実施例中の説明では、複数の凸部223の第2内周面216に対する面方向の長さを共通の長さCAとしたが、複数の凸部223の第2内周面216に対する面方向の長さはそれぞれ異なってもよい。また、複数の凸部223の第2内周面216に対する面と垂直方向の高さを共通の高さCCとしたが、複数の凸部223の第2内周面216に対して面と垂直方向の高さはそれぞれ異なってもよい。しかし、保持器201hの外輪185に対する傾きを低減するためには、複数の凸部223の径方向の高さは等しい方が望ましい。
また、本実施例中の説明では、外輪185側に凸部223を設け、保持器201h側を単純な一面としての第6ガイド面207dとしたが、逆に保持器201h側に凸部を設けて、外輪185側を単純な一面としての内周面としてもよい。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせても構わない。
例えば、保持器の材料には、金属や樹脂を使用することが可能である。
105a,105b,105c,105d,105e…軸受ユニット 143…軸体 144,145…中径軸部147…小径軸部 180a,180b,180c,180d,180e…軸受 181a,181b,181c,181d,181e…軸受体 183…球体 185…外輪 187…第1支持面 201a,201b,201c,201d,201e…保持器 206…第2支持面 207a,207b,207c,207d…第3ガイド面,第4ガイド面,第5ガイド面,第6ガイド面 203,208,211…第1外周面,第2外周面,第3外周面 204,215,216…第3内周面,第1内周面,第2内周面

Claims (14)

  1. 軸中心に回転する軸体と、
    前記軸体を回転可能に支持する軸受と、を備えた時計用軸受ユニットであって、
    前記軸受は、
    前記軸体の外周面に当接可能に前記軸体の周方向に沿って配された少なくとも3つ以上の球体と、
    前記軸体との間で前記球体を保持する外輪と、
    前記軸体と前記外輪との間に前記軸体の外周面に沿って配され、前記球体を互いに一定間隔に内包する保持器と、を備え、
    前記保持器は、前記軸体と前記外輪との間にガイド部を備えることを特徴とする時計用軸受ユニット。
  2. 前記ガイド部は、前記軸体の外周面と1箇所以上で当接することを特徴とする請求項1記載の時計用軸受ユニット。
  3. 前記軸体は、直線部分である前記軸体の先端部分と、前記直線部分の径よりも大きいものであって、前記直線部分につながる軸本体部分とを備え、
    前記ガイド部は、前記先端部分または前記軸本体部分の少なくともいずれかに対して略平行であることを特徴とする請求項2に記載の時計用軸受ユニット。
  4. 前記ガイド部の前記軸体の外周面との当接面、あるいは前記ガイド部に当接する前記軸体の外周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴とする請求項2または請求項3の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  5. 前記ガイド部は、前記外輪の内周面と1箇所以上で当接することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  6. 前記外輪は、前記軸体の先端側における前記保持器のガイド部に当接する中央内周部分を備え、
    前記ガイド部は、前記中央内周部分に対して略平行であることを特徴とする請求項5に記載の時計用軸受ユニット。
  7. 前記外輪は、前記軸体の軸本体側における前記保持器のガイド部に当接する外縁内周部分を備え、
    前記ガイド部は、前記外縁内周部分に対して略平行であることを特徴とする請求項5または請求項6の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  8. 前記ガイド部の前記外輪の内周面との当接面、あるいは前記ガイド部に当接する前記外輪の内周面の何れか一方は、凹部または凸部を備えることを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  9. 前記保持器の材料は、金属であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  10. 前記金属は、軟鋼、黄銅、燐青銅、またはステンレス鋼のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の時計用軸受ユニット。
  11. 前記保持器の材料は、樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の時計用軸受ユニット。
  12. 前記樹脂は、ポリアセタール、ポリアミド、フッ素樹脂またはポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック、あるいは、ガラス繊維強化プラスチックまたは炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の時計用軸受ユニット。
  13. 香箱、番車、がんぎ車、アンクル及びてんぷを備えた時計のムーブメントであって、
    少なくとも前記てんぷの軸受に、請求項1から12の何れか1項に記載の時計用軸受ユニットが用いられていることを特徴とするムーブメント。
  14. 請求項13に記載のムーブメントと、
    前記ムーブメントを内包するケーシングと、を備えていることを特徴とする時計。
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