JP2012214928A - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サイド補強ゴム層を備えるランフラットタイヤである。カーカスプライが、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤組成物で接着剤処理されてなるポリエステルコードのゴム引き層からなる。ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上、X線小角回折による長周期が9〜12nm、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなる。接着剤組成物として、レゾルシンと、ホルムアルデヒドと、ゴムラテックスと、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物と、アンモニアと、を含み、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物の含有量が15〜45質量%であるものを用いた。
【選択図】図1
Description
少なくともタイヤ最大幅位置における、前記カーカスのタイヤ幅方向外側に、一枚以上の補強コード層が配設され、
前記補強コード層が、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤組成物で接着剤処理されてなるポリエステルコードのゴム引き層からなり、
前記ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなり、かつ、
前記接着剤組成物として、レゾルシンと、ホルムアルデヒドと、ゴムラテックスと、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物と、アンモニアと、を含み、該乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物の含有量が15〜45質量%であるものを用いたことを特徴とするものである。
Nt=tanθ=0.001×N×(0.125×D/ρ)1/2 ・・・ (1)
(式中、Nは撚り数(回/10cm)であり、ρはコードの比重(g/cm3)であり、Dはコードの総デシテックス数(dtex)である)で定義される撚り係数Ntが、0.20以上0.55以下であることが好ましく、前記ポリエステルコードの総繊度が2000dtex以上5100dtex以下であることが好ましく、前記カーカスプライが、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはセルロース系繊維からなるコードのゴム引き層からなることが好ましい。
図1に、本発明のランフラットタイヤの一例の幅方向片側断面図を示す。図示するように、本発明のランフラットタイヤは、左右一対のビード部1と、ビード部1から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部2と、一対のサイドウォール部2間に跨って延び接地部を形成するトレッド部3とを有する。また、本発明のランフラットタイヤは、一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカス4と、サイドウォール部2においてカーカス4の内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層5と、を備えている。
本発明において用いるポリエステルフィラメントは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなるものである。
本発明に用いる接着剤組成物は、レゾルシンと、ホルムアルデヒドと、ゴムラテックスとを含むRFL接着剤液に、さらに、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物と、アンモニアと、を含むものであって、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物の含有量が15〜45質量%であるものである。
1/2.3≦R/F≦1/1.1 (1)
1/10≦RF/L≦1/4 (2)
で表わされる関係を満足するRFL接着剤液を好適に用いることができる。
Nt=tanθ=0.001×N×(0.125×D/ρ)1/2 ・・・ (1)
(式中、Nは撚り数(回/10cm)であり、ρはコードの比重(g/cm3)であり、Dはコードの総デシテックス数(dtex)である)で定義される撚り係数Ntが、0.20以上0.55以下であることが好ましい。撚り係数Ntが0.20未満であると、コード収束性が低くなり、ランフラット耐久性能が悪化するおそれがあり、0.55を超えるとコード引張り剛性が低下して、やはりランフラット耐久性能が悪化するおそれがあるため、いずれにおいても好ましくない。
<実施例1>
(ポリエステル繊維の製造)
固有粘度1.03の高カルボキシ基末端を有するポリエチレンテレフタレートチップを用い、溶融紡糸法により高速紡糸、多段延伸を行って、表面にエポキシ処理を施すことにより、下記のようなポリエステル繊維を準備した。なお、エポキシ処理に用いた油剤は、繊維100質量部に対して0.2質量部付着しており、エポキシ化合物成分であるポリグリセロールポリグリシジルエーテルの繊維表面付着量は0.12質量%であった。
ポリエステルチップ、ポリエステル繊維を、100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
粉砕機を用いて粉末状にしたポリエステルサンプル40.00gおよびベンジルアルコール100mlをフラスコに加え、窒素気流下で215±1℃の条件下、4分間にてポリエステルサンプルをベンジルアルコールに溶解させた。溶解後、室温までサンプル溶液を冷却させた後、フェノールレッドのベンジルアルコール0.1質量%溶液を適量添加し、N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液によって、速やかに滴定し、変色が起こるまでの滴下量をAmlとした。ブランクとして、100mlのベンジルアルコールにフェノールレッドのベンジルアルコール0.1質量%溶液を同量添加し、N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液によって、速やかに滴定し、変色が起こるまでの滴下量をBmlとした。それらの値から、下記式によって、ポリエステルサンプル中の末端COOH基含有量を計算した。
末端COOH基含有量(eq/100g)=(A−B)×103×N×106/40
なお、ここで使用したベンジルアルコールは、試薬特級グレードのものを蒸留し、遮光瓶内で保管したものである。N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液としては、定法により事前に濃度既知の硫酸溶液によって滴定し、規定度Nを正確に求めたものを使用した。
ポリエステルを加水分解して酸成分、グリコール成分にした後、ガスクロマトグラフィーにてメチルエステル成分を定量し、この値から算出した。
各元素の含有量は、蛍光X線装置((株)リガク製,3270E型)を用いて測定し、定量分析を行った。この蛍光X線分析の際には、圧縮プレス機にて、ポリエステル繊維樹脂ポリマーサンプルを2分間260℃にて加熱しながら、7MPaの加圧条件下で平坦面を有する試験成形体を作製し、測定を実施した。
ポリエステル組成物・繊維のX線回折については、X線回折装置((株)リガク製,RINT−TTR3,Cu−Kα線,管電圧50kV,電流300mA,平行ビーム法)を用いて行った。長周期間隔はX線小角散乱測定装置を用いて、従来公知の方法、すなわち、波長1.54ÅのCu−Kα線を線源とし、繊維軸に直角に照射して得られる子午線干渉の回折線より、ブラッグの式を用いて算出した。結晶サイズはX線広角回折から赤道線走査の(010)(100)強度分布曲線の半価幅より、シエラーの式を用いて求めた。
JIS K0070−3.1項 中和滴定法に準じて、繊維表面のカルボキシ基量(酸価)を求めた。すなわち、繊維試料約5gにジエチルエーテル/エタノール=1/1溶液50mlを加え、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴添加し、室温で15分間超音波振とうした。この溶液に、0.1ml水酸化カリウムエタノール溶液(ファクター値f=1.030)で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点として指示薬滴下量を測定し、以下の式から酸価を算出した。
酸価A(eq/ton)=(B×1.030×100)/S
(ここで、Bは0.1ml水酸化カリウムエタノール溶液滴定量(ml)、Sは試料量(g)を表す)
引張荷重測定器((株)島津製作所製オートグラフ)を用いて、JIS L−1013に従って測定した。
JIS−L1013に従い、20℃、65%RHの温湿度管理された部屋で、24時間放置後、無荷重状態で、乾燥機内で180℃×30分間熱処理し、熱処理前後の試長差より算出した。
加温処理後のポリエステル繊維について、JIS K−7236に従ってエポキシ指数(EI:繊維1kgあたりのエポキシ当量数)を測定した。
下記表中に示す配合で接着剤液(1)を調製し、この接着剤液を希釈して、上記比率で20質量%の接着剤水溶液となるように調整した。なお、ブロックドイソシアネート化合物は、RFL接着剤液を配合し、20℃で24時間熟成させた後、使用直前に添加した。使用したブロックドイソシアネート化合物は、第一工業製薬(株)製:エラストロンBN69(ブロック剤乖離温度120℃)およびBN27(ブロック剤乖離温度180℃)である。ラテックスは乳化重合により試作した。
接着剤組成物として、上記接着剤液(1)と同様にして調製された接着剤液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の供試タイヤを作製した。
接着剤組成物として、上記接着剤液(1)と同様にして調製された接着剤液(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の供試タイヤを作製した。
低カルボキシ基末端を有する汎用のタイヤコード用のポリエチレンテレフタレートチップを用い、繊維表面に対するエポキシ処理を行わず、物性値を揃えるために延伸条件を微調整した以外は実施例1と同様のポリエステル繊維を準備した。
実施例1で用いたのと同様のポリエステルフィラメントを撚り合わせてコードとした後、このコードに、比較例1で用いたのと同様の接着剤組成物を用いて接着剤処理を施した以外は実施例1と同様にして、比較例2の供試タイヤを作製した。
比較例1で用いたのと同様のポリエステルフィラメントを撚り合わせてコードとした後、このコードに、実施例1で用いたのと同様の接着剤組成物を用いて接着剤処理を施した以外は比較例1と同様にして、比較例3の供試タイヤを作製した。
低カルボキシ基末端を有する汎用のタイヤコード用のポリエチレンテレフタレートチップを用い、物性値を揃えるために延伸条件を微調整した以外は実施例1と同様のポリエステル繊維を準備した。
ポリエステルコードの条件を下記表中に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、実施例4〜10の供試タイヤを作製した。
補強コード層のコード角度をタイヤ半径方向に対し30°とした以外は実施例1と同様にして、実施例11の供試タイヤを作製した。
各供試タイヤにつき、内圧230kPaを充填して、荷重−撓み曲線を測定し、得られた荷重−撓み曲線上のある荷重における接線の傾きを、この荷重に対する縦バネ定数として算出した。結果は、比較例4のタイヤの縦バネ定数の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、縦バネ定数が大きく、乗り心地性が悪いことを示す。
各供試タイヤに内圧を充填することなく、荷重4.17kN、速度89km/h、温度38℃の環境下でドラム試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走行距離を測定して、比較例4のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きいほど、故障に至るまでの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。また、併せて、故障の際の破壊の形態を観察した。
各供試タイヤについて、内圧180kPa時に、レーザーでタイヤサイド部の凹凸を測定して、ピーク値を数値化することにより、凹みを評価した。結果は、比較例4を100として指数表示した。数値が大きいほど、凹みが大きく悪い結果といえる。
各供試タイヤを規定リムにリム組みし、規定内圧を充填して、そのサイド部に、先端の曲率半径R=10である凸状突起を押し当て、サイド部がカットするまでに必要な仕事量を測定した。結果は、比較例4のタイヤのサイドカットに至るまでに必要な仕事量を100とする指数にて示した。数値が大きいほど、サイドカット性能が良好である。
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 サイド補強ゴム層
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層
10,20,30,40,50,60 補強コード層
101 巻き出し装置
102 コード
103 接着剤液
104 乾燥ゾーン
105 ヒートセットゾーン
106 ノルマライジングソーン
107 巻き取り装置
Claims (15)
- 左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に跨って延び接地部を形成するトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部タイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1層のベルトと、前記サイドウォール部において該カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えるランフラットタイヤにおいて、
少なくともタイヤ最大幅位置における、前記カーカスのタイヤ幅方向外側に、一枚以上の補強コード層が配設され、
前記補強コード層が、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤組成物で接着剤処理されてなるポリエステルコードのゴム引き層からなり、
前記ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなり、かつ、
前記接着剤組成物として、レゾルシンと、ホルムアルデヒドと、ゴムラテックスと、乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物と、アンモニアと、を含み、該乳化重合されたブロックドイソシアネート化合物の含有量が15〜45質量%であるものを用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。 - 前記アンモニアが、前記接着剤組成物中に、前記レゾルシン1.0molに対し0.5〜5.0molの割合で含まれている請求項1記載のランフラットタイヤ。
- 前記ゴムラテックスが、ビニルピリジン、スチレンおよびブタジエンの共重合ゴムラテックスである請求項1または2記載のランフラットタイヤ。
- 前記ゴムラテックスが、ビニルピリジン、スチレンおよびブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスである請求項3記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維表面の末端カルボキシ基量が10当量/ton以下である請求項1〜4のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維横軸方向の結晶サイズが35〜80nm2である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維中の末端メチル基量が2当量/ton以下である請求項1〜6のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維中の酸化チタン含有量が0.05〜3.0質量%である請求項1〜7のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維表面のエポキシ指数が1.0×10−3当量/kg以下である請求項1〜8のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記補強コード層のコード角度が、タイヤ半径方向に対し10°未満である請求項1〜9のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記補強コード層が、少なくとも前記ベルトの端部から、前記カーカスに沿って前記ビードコアのタイヤ半径方向外側端まで延在する請求項1〜10のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記補強コード層が、少なくとも前記ベルトの端部から、前記カーカスに沿って前記ビードコアのタイヤ幅方向外側まで延在する請求項1〜10のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記ポリエステルコードの下記式、
Nt=tanθ=0.001×N×(0.125×D/ρ)1/2 ・・・ (1)
(式中、Nは撚り数(回/10cm)であり、ρはコードの比重(g/cm3)であり、Dはコードの総デシテックス数(dtex)である)で定義される撚り係数Ntが、0.20以上0.55以下である請求項1〜12のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。 - 前記ポリエステルコードの総繊度が2000dtex以上5100dtex以下である請求項1〜13のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
- 前記カーカスプライが、ポリエチレンテレフタレートまたはセルロース系繊維からなるコードのゴム引き層からなる請求項1〜14のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
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