JP2012214915A - 難燃性部材および難燃性部材の製造方法 - Google Patents

難燃性部材および難燃性部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性、耐久性に優れた難燃性を有する難燃性部材を提供する。
【解決手段】繊維構造体からなる基材と、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含み、前記基材に固定される難燃性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性難燃剤が前記ラジカル重合性樹脂に化学結合している難燃性樹脂組成物と、を備えることを特徴とする
【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤からなる難燃性樹脂組成物により表面が被覆された繊維構造体から形成される、耐候性、耐久性に優れた難燃性を有する難燃性部材に関する。
従来、繊維または織布に難燃加工を施すのに、難燃加工剤としてビニルフォスフォネートオリゴマーを熱硬化性樹脂と混合させ樹脂被覆層を形成させる方法が実施されている。この場合、熱硬化性樹脂の初期重合物としてN−メチロールアクリルアミドを併用し、加硫酸カリウムを触媒として水溶液状態とした加工液を基材に含浸させ、これを乾燥させた後、熱処理することによって難燃加工剤を固着させて難燃化する。
この加工方法によれば、繊維または織布に難燃性を付与することができるが、併用する熱硬化性樹脂によって加工後の織布から遊離ホルムアルデヒドが検出され、また難燃性に対する耐久力が低下する欠点がある。
これらの問題を解決するために、繊維類に架橋助剤を添加した難燃加工剤の溶液を含浸させてから、乾燥させたあと不活性雰囲気化で電子線を照射させグラフト重合させる方法や(特許文献1)、放射線を照射した後、ラジカル重合性リン含有化合物を付与させてなるポリエステル−綿混紡素材の難燃加工方法(特許文献2)などの工夫がされている。
特開平5−163673号公報 特開2006−183166号公報
しかしながら、いずれの難燃加工方法を採用しても、耐候性や耐久性が必要とされる用途においては十分な難燃性を付与することはできなかった。
そこで本発明は、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃材からなる難燃性樹脂組成物により基材の少なくとも表面を被覆することにより、耐候性、耐久性に優れた難燃性を付与した難燃性部材を提供するものである。
すなわち第1の発明は、繊維構造体からなる基材と、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含み、前記基材の少なくとも一部が被覆される難燃性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性難燃剤が前記ラジカル重合性樹脂に化学結合している難燃性樹脂組成物と、を備えることを特徴とする難燃性部材である。
また第2の発明は、上記第1の発明において、前記ラジカル重合性樹脂がフッ素系樹脂であることを特徴とする難燃性部材である。
さらに第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記ラジカル重合性難燃剤がビニルフォスフェート系の化合物であることを特徴とする難燃性部材である。
さらに第4の発明は、繊維構造体からなる基材の少なくとも表面に、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含む難燃性樹脂組成物を付着させ、前記難燃性樹脂組成物が付着した前記基材に電子線を照射することを特徴とする難燃性部材の製造方法である。
本発明によれば、屋外使用時の耐候性、耐久性や、耐洗濯性に優れた難燃性部材を提供することができる。
本発明の実施形態は、繊維構造体である基材と、その基材の少なくとも表面に、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含む難燃性樹脂組成物が、三次元構造をとる形で架橋して固定された難燃性部材である。
本実施形態の難燃性部材の基材の形態としては、繊維状や、布状(織物)や、編み物等、が用いられ、使用目的に合った種々の開口形状、例えばメッシュ状や、ハニカム状など、及び種々のサイズのものが適用できる。特に制限されるものではないが、たとえば、カーテンやロール網戸やロールスクリーンタイプの外付けブラインドに本実施形態の難燃性部材を適用する場合は、通気性や光の透過性を考慮すると、メッシュ状の開口形状を持つものが好適に用いられる。
本実施形態の難燃性部材の基材を構成する繊維の材質については当業者が適宜設定できるが、例えば、ポリエステル繊維や、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリカーボネート繊維、フッソ繊維、ポリ尿素繊維、エラストマー繊維、ベックリー((株)クラレ 登録商標)などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良いが、これらの中では各種部材に必要な柔軟性の観点からポリエステル樹脂が望ましい。さらに繊維の構成としてはモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいが、風合いなどを考慮するとマルチフィラメントが好適である。
また本実施形態の難燃性部材の基材には、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とからなる難燃性樹脂組成物が固定されている。この難燃性樹脂組成物を用いることで、加工時の電子線(放射線)照射処理によって、ラジカル重合性難燃剤がラジカル重合性基を介してラジカル重合性樹脂と化学的に強固に結合するようになり、同時にラジカル重合性樹脂が架橋して三次元網目構造を形成する。電子線照射は加速電圧の調整により透過深度が制御でき、難燃性樹脂組成物は表面から内部まで均一な架橋を形成することにより、三次元網目構造を形成することができる。この三次元網目構造の形成により、膜の架橋密度が上がるため、耐水性の向上や、溶剤による浸透劣化などといった、外部からのダメージを受けにくくなり、ラジカル重合性難燃剤とラジカル重合性樹脂との結合も強固に維持され、その結果、耐久性のある難燃性や、耐候性、耐洗濯性が付与されるものと考えられる。ラジカル重合性を有しない難燃剤を用いたり、電子線架橋できない分散樹脂を用いたりすると、十分な耐久性を持った難燃性や耐候性が得られない。なお、難燃性樹脂組成物は、基材の表面のみを被覆していてもよいし、基材の繊維構造体の繊維を被覆していてもよく、難燃性部材の用途に応じて、基材の難燃性が要求される部分に固定されていればよい。
ラジカル重合性難燃剤は、難燃性を示す有機化合物のうち、分子内にラジカル重合性基を有するものである。ラジカル重合性基は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有する官能基であり、例えば、ビニル基、メタクリロキシ基、メタアクリロイル基、アリル基等が挙げられる。難燃性の付与により繊維が燃えにくくなり、あるいは繊維が着火しても炎が広がらないように作用することができる。難燃剤は繊維表面に存在することにより、そのような難燃性を繊維に付与する化学薬剤である。
そのようなラジカル重合性難燃剤として、例えば、ラジカル重合性リン化合物、ラジカル重合性臭素化合物等が挙げられ、特にラジカル重合性樹脂との反応性の点からラジカル重合性リン化合物であるビニルフォスフェート化合物が好ましく使用される。難燃性樹脂組成物中へのラジカル重合性難燃剤の添加量は5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下の範囲で適宜選択され用いられる。5質量%以上であれば難燃性を十分に付与できる。また、40質量%以下であれば難燃性樹脂組成物としての被膜強度を十分に保つことができる。
ラジカル重合性リン含有化合物はリン原子を含有し、かつラジカル重合性基を含有する構造を有するものであれば良く、不飽和有機リン酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
また、ラジカル重合性臭素含有化合物は、臭素原子およびラジカル重合性基を含有するものであればよく、例えば、トリブロモスチレン、ペンタブロモベンジルアクリレート等が挙げられる。
ビニルフォスフェート化合物の好ましい具体例として、例えば、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ジエチル−(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ジエチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ジフェニル−(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ジフェニル−(2−メタクリロイオキシエチル)フォスフェート、ポリアルキレングリコール(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ポリアルキレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートなどが挙げられる。
ビニルフォスフェート化合物としては、例えば、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(シグマアルドリッチジャパン(株)製)などが挙げられる。また、例えば、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートとの混合物としては、「ALBRITECTTM6835」(ローディア日華(株)製)や、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートとしては、「ホスマーM」(ユニケミカル(株)製)や、ポリアルキレングリコール(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェートはとしては「SIPOMER PAM−100」(ローディア日華(株)製)や、ポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートとしては「ホスマーPE」(ユニケミカル(株)社製)などが挙げられる。
本発明の難燃性部材において難燃性を示すとは、45°ミクロバーナー法試験を行っても、素材の炭化が起こるだけで、燃焼は起こらないことを意味する。45°ミクロバーナー法試験とは、JIS L 1091:1999 A−1法(2001年版)に基づく試験であって、概略的には、水平面に対して45°傾斜させて設置された素材に、垂直方向に吹き出したガスバーナー由来の火炎を当てて、素材の難燃性の有無を知見するための一般的な試験方法である。
本発明の難燃性部材に用いるラジカル重合性樹脂成分は、ラジカル重合性難燃剤の反応性基と化学的に結合しうる反応サイトとして、ビニル基や、エポキシ基や、スチリル基や、メタクリロ基や、アクリロキシ基や、イソシアネート基等の不飽和基や、アルコキシ基を、分子の構成要素として保有することが望ましい。
ラジカル重合性樹脂成分としては、不飽和結合を有する単官能、2官能、多官能のビニル系モノマー、例えば、アクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、イタコン酸、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが用いられる。また、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオライド(VDF)が共重合されたフッ素樹脂もラジカル重合性樹脂として用いることができる。
さらに、ラジカル重合性樹脂成分としては、不飽和結合を有するシランモノマーとして、例えば、ビニルトリメトキシシランや、ビニルトリエトキシシランや、ビニルトリアセトキシシランや、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが用いられる。
次に、本実施形態の難燃性部材に用いられる難燃性樹脂組成物の製造方法を説明する。まず、難燃性樹脂組成物であるラジカル重合性難燃剤とラジカル重合性樹脂成分とをMEKなどの分散媒に混合し分散させる。分散処理は、ホモミキサーやマグネットスターラーなどを用いた撹拌分散、ボールミルやサンドミル、高速回転ミル、ジェットミルなどを用いた粉砕・分散、超音波を用いた分散などにより行われる。
次に、基材の少なくとも表面に難燃性樹脂組成物を固定する。具体的には上述の方法で生成した難燃性組成物が分散した懸濁液を基材の表面に塗布することにより、難燃性組成物を基材に付着させ、固定する。具体的な難燃性樹脂組成物の塗布方法としては、一般に行われているディップコート法や、スプレーコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法などの様々な方法が用いられ、目的に合った塗布ができれば特に限定されない。また、難燃性樹脂組成物を基材に固定する方法としては、塗布方法に限られず、難燃性樹脂組成物が分散した懸濁液に基材を浸漬させて乾燥させる方法でもよい。浸漬させて難燃性樹脂組成物を固定する方法の場合には、基材の表面だけでなく、基材の内部(すなわち、基材の繊維全体)にも難燃性樹脂組成物を固定することができる。
次に、加熱乾燥などで分散媒を除去した後、放射線を照射させてラジカル重合性組成物を架橋させる。
放射線としては、例えば、電子線、ベータ線、アルファ線などのような粒子線、紫外線、エックス線、ガンマ線などのような電離放射線等が使用できる。中でも、取り扱いやすさ、安全性やラジカルを有効に発生させる観点から、電子線を採用することが好ましい。
放射線の照射条件は、ラジカル重合性樹脂組成物の架橋が達成されればよく、例えば、強条件で短時間の照射が行われても、または弱条件で長時間の照射が行われても良い。具体的には、放射線の照射処理として電子線を照射する場合、通常は1〜200kGy、好ましくは5〜100kGy、より好ましくは10〜50kGyの照射量が達成されればよい。
特に、電子線を照射する場合は、窒素雰囲気下で照射を行うことが好ましく、また透過力があるため、素材の片面に照射するだけでよい。電子線照射装置としては市販のものが使用可能であり、例えば、エリアビーム型電子線照射装置としてEC250/15/180L(岩崎電気(株)社製)、EC300/165/800(岩崎電気(株)社製)、EPS300((株)NHVコーポレーション製)などが使用される。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明方法による下記実施例1〜6、並びに、比較例1〜4の難燃性部材の製造にあたっては、岩崎電気株式会社製、エレクトロカーテン型電子線照射装置、CB250/15/180Lを用いた。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする繊度75デニールのマルチフィラメント、及び50デニールのマルチフィラメントを用い、28メッシュとなるようにラッセル編みを行い編物基布(難燃性部材の基材)を作成した。
難燃性樹脂組成物のラジカル重合性樹脂成分として、ダイニオンTHV熱可塑性フッ素樹脂(住友スリーエム(株)製、THV220A)を用い、溶媒として酢酸エチルに樹脂固形分25質量%になるように溶解させた。さらに、ラジカル重合性難燃剤として、ポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(ユニケミカル(株)製、ホスマーPE)を樹脂固形分に対して15質量%となるように加えて混合溶液を作成した。
上記混合液を固形分が5.0質量%になるように調整しホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合した後、編物基布を浸漬させ、余剰分の樹脂溶液を除去した後、110℃で1分間乾燥させた。その後、200kVの加速電圧で電子線を50kGy照射させ、難燃性部材を得た。
(実施例2)
実施例1の混合溶液についてポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(ユニケミカル(株)製、ホスマーPE)の添加量を樹脂固形分に対して30質量%した以外は、実施例1と同様とした。
(実施例3)
実施例2の混合溶液において、ラジカル重合性難燃剤として、ポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートの代わりに、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(共栄社化学(株)製、ライトエステルP−1M)を用い、樹脂固形分に対して30質量%とした以外は、実施例2と同様とした。
(実施例4)
実施例2の基材を、PVC被覆ポリエステル編物(クラレ(株)製、クラフテル−F)とした以外は、実施例2と同様とした。
(実施例5)
実施例4のPVC被覆ポリエステル織物をポリエステル製メッシュ((株)NBCメッシュテック製、T−NO100T)とした以外は、実施例2と同様とした。
(実施例6)
実施例1の混合溶液においてラジカル重合性樹脂成分としてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)製 ライトエステル3EG)を用い、さらに、ラジカル重合性難燃剤として、ペンタブロモベンジルアクリレート(ICL-IP JAPAN(株)製 FR-1025M)を樹脂固形分に対して5質量%とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする繊度150デニールのマルチフィラメント、及び75デニールのマルチフィラメントを用い、ラッセル網を行い18メッシュのロール網戸用ネット(基材)を作成した。その後、液流染色法によりロール網戸用ネットを黒色に染色した後、難燃性を付与するために、難燃剤をスプレー法により噴霧した。難燃剤は、アクリル系樹脂中間層形成用組成物とイソシアネート系架橋剤とを含むエマルジョンに、臭素含有有機化合物を加えたものである。アクリル系樹脂中間層形成用組成物は、アクリル酸メチルエステルとアクリル酸エチルエステルとの共重合アクリル樹脂(共重合モル比6:4)の水性エマルジョン(固形分濃度:40%)である。イソシアネート系架橋剤は、トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)イソシアヌレートの1個のイソシアネート基末端に、ポリエチレングリコールが付加されている部分変成三量化イソシアヌレートである。臭素含有有機化合物は、デカブロモジフェニルエーテルである。そして、アクリル系樹脂中間層形成用組成物である水性エマルジョン100重量部に対して、上記イソシアネート系架橋剤を4重量部加えてエマルジョンを生成し、さらにデカブロモジフェニルエーテルを10重両部加えたものを5質量%に調整して難燃剤を生成した。
(比較例2)
比較例2は、ラジカル重合性樹脂成分を含まない例である。ラジカル重合性樹脂成分の代わりに、ラジカル重合性ではない樹脂組成物として、塗料用フッ素樹脂(セントラル硝子株式会社製、セフラルコートCC−04)を用い、溶媒としてMEKに樹脂固形分25質量%になるように溶解させた。さらに、実施例2で用いたラジカル重合性難燃剤であるポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(ユニケミカル株式会社製、ホスマーPE)を樹脂固形分に対して30質量%となるように混合溶液を作成した。混合溶液を固形分3.0質量%に調整したスラリーに、実施例1と同様の編物基材を浸漬させ余剰分の樹脂溶液を除去した後、110℃で1分間乾燥させた。その後、200kVの加速電圧で電子線を50kGy照射させ、難燃性部材を得た。
(比較例3)
実施例1において、ラジカル重合性難燃剤に代えて、ラジカル重合性を有しないトリフェニルホスフェート(昭和化学株式会社製)を用い、電子線を照射しない以外は実施例1と同様とし、難燃性部材を得た。
(比較例4)
実施例1においてラジカル重合性難燃剤としてポリエチレングリコール(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート(ユニケミカル(株)製、ホスマーPE)の添加量を樹脂固形分に対して30質量%添加し、上記混合液を固形分が5.0質量%になるように調整した後、実施例1で用いた編物基布を浸漬させ、余剰分の樹脂溶液を除去した後、110℃で1分間乾燥させた。その後、紫外線照射装置UVC253(ウシオ電機(株)製)にて1J/cm2の紫外光を照射し硬化させ、比較例4とした。
(難燃性部材の評価)
実施例、および比較例における難燃性の評価はJIS L 1091に準拠し、ミクロバーナー法により加熱時間1分後の炭化面積で評価を行った。炭化面積が30cm以下であれば、難燃性が高いことを意味する。その結果を表1に示した。
(耐溶剤性の評価)
難燃性組成物の耐溶剤性を評価するために実施例および比較例のサンプルをメタノール中に室温で24時間浸漬し、浸漬後の実施例、及び比較例の各サンプルの難燃性を求めた。難燃性の評価は、上述の評価方法と同じである。その結果を表1に示した。
(耐候性の評価)
サンシャインウェザーメーターを用いて、1500時間処理後の実施例、および比較例の各サンプルの難燃性を求めた。難燃性の評価は、上述の評価方法と同じである。その結果を表1に示した。
Figure 2012214915
上記の結果より、実施例1〜6では、メタノール浸漬後も紫外線照射(サンシャインウェザーメータによる処理)後も初期と同等の炭化面積の値を保っており、難燃効果が持続していることが確認された。よって、本発明で得られた難燃性部材は長期使用時の耐久性、屋外使用時の耐候性にも優れた難燃性部材であることが確認された。
比較例4では、耐候性試験後における炭化面積が大きく、耐候性が低下した。このことから、電子線の照射によって持続性のより高い難燃性を有する難燃性部材が得られることがわかる。

Claims (4)

  1. 繊維構造体からなる基材と、
    ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含み、前記基材の少なくとも一部が被覆される難燃性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性難燃剤が前記ラジカル重合性樹脂に化学結合している難燃性樹脂組成物と、
    を備えることを特徴とする難燃性部材。
  2. 前記ラジカル重合性樹脂がフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃性部材。
  3. 前記ラジカル重合性難燃剤がビニルフォスフェート系の化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性部材。
  4. 繊維構造体からなる基材の少なくとも表面に、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性難燃剤とを含む難燃性樹脂組成物を付着させ、
    前記難燃性樹脂組成物が付着した前記基材に電子線を照射することを特徴とする難燃性部材の製造方法。

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