JP2012214141A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルコードとゴムとからなるゴム−コード複合体が、補強材として用いられているタイヤである。ポリエステルコードが、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤処理されてなる。ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなる。
【選択図】図1
Description
前記ポリエステルコードが、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤処理されてなり、かつ、
前記ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなることを特徴とするものである。
図1に、本発明のタイヤの一例を示す幅方向断面図を示す。図示するタイヤは、ビードコア1が埋設された左右一対のビード部11および一対のサイドウォール部12と、両サイドウォール部12に連なるトレッド部13とを有し、左右一対のビードコア1間にまたがってトロイド状に延在して、これら各部を補強する1枚のカーカスプライ2を備えている。また、カーカスプライ2のクラウン部のタイヤ径方向外側には、タイヤ周方向に対し傾斜して配列された補強コードのゴム引き層よりなる2層のベルト3a,3bと、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列された有機繊維コードのゴム引き層よりなるベルト補強層4,5と、が配置されている。また、ビード部11におけるカーカスプライ2の外側には、インサート6が配置されている。
本発明において用いるポリエステルフィラメントは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなるものである。
<実施例1>
固有粘度1.03の高カルボキシ基末端を有するポリエチレンテレフタレートチップを用い、溶融紡糸法により高速紡糸、多段延伸を行って、表面にエポキシ処理を施すことにより、下記のようなポリエステル繊維を準備した。なお、エポキシ処理に用いた油剤は、繊維100質量部に対して0.2質量部付着しており、エポキシ化合物成分であるポリグリセロールポリグリシジルエーテルの繊維表面付着量は0.12質量%であった。
ポリエステルチップ、ポリエステル繊維を、100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
粉砕機を用いて粉末状にしたポリエステルサンプル40.00gおよびベンジルアルコール100mlをフラスコに加え、窒素気流下で215±1℃の条件下、4分間にてポリエステルサンプルをベンジルアルコールに溶解させた。溶解後、室温までサンプル溶液を冷却させた後、フェノールレッドのベンジルアルコール0.1質量%溶液を適量添加し、N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液によって、速やかに滴定し、変色が起こるまでの滴下量をAmlとした。ブランクとして、100mlのベンジルアルコールにフェノールレッドのベンジルアルコール0.1質量%溶液を同量添加し、N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液によって、速やかに滴定し、変色が起こるまでの滴下量をBmlとした。それらの値から、下記式によって、ポリエステルサンプル中の末端COOH基含有量を計算した。
末端COOH基含有量(eq/100g)=(A−B)×103×N×106/40
なお、ここで使用したベンジルアルコールは、試薬特級グレードのものを蒸留し、遮光瓶内で保管したものである。N規定の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液としては、定法により事前に濃度既知の硫酸溶液によって滴定し、規定度Nを正確に求めたものを使用した。
ポリエステルを加水分解して酸成分、グリコール成分にした後、ガスクロマトグラフィーにてメチルエステル成分を定量し、この値から算出した。
各元素の含有量は、蛍光X線装置((株)リガク製,3270E型)を用いて測定し、定量分析を行った。この蛍光X線分析の際には、圧縮プレス機にて、ポリエステル繊維樹脂ポリマーサンプルを2分間260℃にて加熱しながら、7MPaの加圧条件下で平坦面を有する試験成形体を作製し、測定を実施した。
ポリエステル組成物・繊維のX線回折については、X線回折装置((株)リガク製,RINT−TTR3,Cu−Kα線,管電圧50kV,電流300mA,平行ビーム法)を用いて行った。長周期間隔はX線小角散乱測定装置を用いて、従来公知の方法、すなわち、波長1.54ÅのCu−Kα線を線源とし、繊維軸に直角に照射して得られる子午線干渉の回折線より、ブラッグの式を用いて算出した。結晶サイズはX線広角回折から赤道線走査の(010)(100)強度分布曲線の半価幅より、シエラーの式を用いて求めた。
JIS K0070−3.1項 中和滴定法に準じて、繊維表面のカルボキシ基量(酸価)を求めた。すなわち、繊維試料約5gにジエチルエーテル/エタノール=1/1溶液50mlを加え、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴添加し、室温で15分間超音波振とうした。この溶液に、0.1ml水酸化カリウムエタノール溶液(ファクター値f=1.030)で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点として指示薬滴下量を測定し、以下の式から酸価を算出した。
酸価A(eq/ton)=(B×1.030×100)/S
(ここで、Bは0.1ml水酸化カリウムエタノール溶液滴定量(ml)、Sは試料量(g)を表す)
引張荷重測定器((株)島津製作所製オートグラフ)を用いて、JIS L−1013に従って測定した。
JIS−L1013に従い、20℃、65%RHの温湿度管理された部屋で、24時間放置後、無荷重状態で、乾燥機内で180℃×30分間熱処理し、熱処理前後の試長差より算出した。
加温処理後のポリエステル繊維について、JIS K−7236に従ってエポキシ指数(EI:繊維1kgあたりのエポキシ当量数)を測定した。
低カルボキシ基末端を有する汎用のタイヤコード用のポリエチレンテレフタレートチップを用い、繊維表面に対するエポキシ処理を行わず、物性値を揃えるために延伸条件を微調整した以外は実施例1と同様のポリエステル繊維を準備した。
低カルボキシ基末端を有する汎用のタイヤコード用のポリエチレンテレフタレートチップを用い、物性値を揃えるために延伸条件を微調整した以外は実施例1と同様のポリエステル繊維を準備した。
図2は、動的接着試験に用いたゴム試験片21を示す斜視図である。図示するように、コード層が互いに平行になるように、各実施例および比較例のタイヤ補強用ポリエステルコード22をゴムマトリックス中に埋設して、幅W:50mm、長さL:500mmおよび高さH:5.5mmにて、各ゴム試験片21を作製した。コードの打込み数は50本/50mmとし、コード間距離h1は2.5mm、コード中心から表面までの距離h2は1.5mmとした。図3に示すように、得られた各ゴム試験片21をプーリ23に掛け、コード軸方向に50kg/inchの荷重を掛け、100rpmにて30万回にわたって循環的に張力および圧縮力を負荷した。接着試験時の引張り速度は300mm/分とした。試験後、引張側コードの引き起こし接着力(N/本)を測定して、動的接着力とした。結果は、比較例1−1の距離を100として指数表示した。数値が大なるほど、動的接着性に優れ、良好である。
各供試タイヤに、JATMAの最大荷重条件の200%荷重を負荷して、ドラム上を走行させ、故障に至るまでの距離を、比較例1−1の距離を100として指数表示した。数値が大なるほど、結果が良好である。また、併せて、故障の際の破壊の形態を観察した。
実施例1と同様にして得られたポリエステルフィラメントを、下記表中に示す条件に従い撚り合わせてコードとした後、このコードに、実施例1で用いたのと同様の接着剤組成物を用いて接着剤処理を施した。得られたポリエステルコードをゴム被覆してゴム−コード複合体を得た。これを用いて打込み数50本/50mmのトリートを作製し、これをタイヤサイズ225/55R16のタイヤのカーカスプライに適用して、実施例2の供試タイヤを作製した。この供試タイヤは、左右一対のビードコア間にトロイド状に延在する1層のカーカスプライからなるカーカスを骨格とし、カーカスのタイヤ半径方向外側には、タイヤ周方向に対し±40°の角度で互いに交錯配置される2層のベルト(材質:スチール)を有していた。
ポリエステルフィラメントとして比較例1−1と同様のものを用いた以外は実施例2と同様にして、比較例2−1の供試タイヤを作製した。
ポリエステルフィラメントとして比較例1−2と同様のものを用いた以外は実施例2と同様にして、比較例2−2の供試タイヤを作製した。
各供試タイヤに、JATMAの最大荷重条件の200%荷重を負荷して、キャンバー角4°をつけた状態でドラム上を走行させ、故障に至るまでの距離を、比較例2−1の距離を100として指数表示した。数値が大なるほど、結果が良好である。また、併せて、故障の際の破壊の形態を観察した。
実施例1と同様にして得られたポリエステルフィラメントを、下記表中に示す条件に従い撚り合わせてコードとした後、このコードに、実施例1で用いたのと同様の接着剤組成物を用いて接着剤処理を施した。得られたポリエステルコードをゴム被覆してゴム−コード複合体を得た。これを用いて打込み数50本/50mmのトリートを作製し、これをタイヤサイズ245/45R19のタイヤのインサートに適用して、実施例3の供試タイヤを作製した。この供試タイヤは、左右一対のビードコア間にトロイド状に延在する2層のカーカスプライ(材質:PET)からなるカーカスを骨格とし、カーカスのタイヤ半径方向外側には、タイヤ周方向に対し±40°の角度で互いに交錯配置される2層のベルト(材質:スチール)を有していた。また、インサートは、ビード部におけるカーカスプライの外側に配置した。
ポリエステルフィラメントとして比較例1−1と同様のものを用いた以外は実施例3と同様にして、比較例3−1の供試タイヤを作製した。
ポリエステルフィラメントとして比較例1−2と同様のものを用いた以外は実施例3と同様にして、比較例3−2の供試タイヤを作製した。
各供試タイヤを、内圧400kPa、荷重5.0kNの高内圧高荷重条件にてドラム走行させて、ビード部故障が生ずるまでの走行距離により、耐久性を評価した。結果は、比較例3−1の距離を100として指数表示した。数値が大なるほど、結果が良好である。また、併せて、故障の際の破壊の形態を観察した。インサート材の接着力が低い場合、接着部の剥離が先行して発生することで、ドラム走行距離が低下してしまう。一方、インサート材の接着力が高い場合、破壊核がカーカスプライの折り返し部に変化して、ドラム走行距離が向上することになる。
2 カーカスプライ
3a,3b ベルト
4,5 ベルト補強層
6 インサート
11 ビード部
12 サイドウォール部
13 トレッド部
21 ゴム試験片
22 タイヤ補強用ポリエステルコード
23 プーリ
Claims (6)
- ポリエステルコードとゴムとからなるゴム−コード複合体が、補強材として用いられているタイヤであって、
前記ポリエステルコードが、ポリエステルフィラメントを撚り合わせた後に接着剤処理されてなり、かつ、
前記ポリエステルフィラメントが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、固有粘度が0.85以上のポリエステルからなる繊維であって、繊維中の末端カルボキシ基量が20当量/ton以上であり、X線小角回折による長周期が9〜12nmであり、繊維表面にエポキシ基を有する表面処理剤が付着してなるポリエステル繊維よりなることを特徴とするタイヤ。 - 前記ポリエステル繊維の繊維表面の末端カルボキシ基量が10当量/ton以下である請求項1記載のタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維横軸方向の結晶サイズが35〜80nm2である請求項1または2記載のタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維中の末端メチル基量が2当量/ton以下である請求項1〜3のうちいずれか一項記載のタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維中の酸化チタン含有量が0.05〜3.0質量%である請求項1〜4のうちいずれか一項記載のタイヤ。
- 前記ポリエステル繊維の繊維表面のエポキシ指数が1.0×10−3当量/kg以下である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のタイヤ。
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