JP2012210887A - 鉄道車両の段差部台枠構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】低床ライトレール車両において、前頭衝突時の衝撃荷重等の長手方向荷重から床面における段差部を保護する段差部台枠構造を提供する。
【解決手段】低床部Plfに対して、所定の高さだけ高い高床部Phfが隣接する段差部Psを有する車両Vに用いられる段差部台枠構造SSは、低床部を支える低床構造部Slfと、高床部を支える高床構造部Shfと、低床構造部と高床構造部とを連結する中ハリ構造部Smとを備え、低床構造部Slfの段差部Ps寄り端部には、低床構造部の厚さと概ね同じ寸法の閉断面或いは溝形断面を有する横ハリBtlが設けられ、高床構造部Shfの段差部Ps寄り端部には、高床構造部の厚さと概ね同じ寸法の閉断面を有する横ハリBthが左右の側ハリBsh、Bsh間の全幅に渡って設けられ、中ハリ構造部Smは、2つの横ハリBtl、Btlとをつなぐ立面に沿うウェブWとその上下フランジFが中ハリの位置に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両の段差部、さらに詳述すれば低床車や部分低床車において、床面高さが途中で切り替わる段差部に用いられる台枠構造に関する。
近年、人に優しい、地球に優しいという乗り物が都市交通の中で求められている。この要求に対して、ライトレール車両(Light Rail Vehicle:LRV)が利用されている。ライトレール車両とは、街中では路面電車として、郊外では一般の鉄道並みのスピードで走行し短時間で近郊都市間あるいは、ベッドタウンと都心とを結ぶ鉄道で、従来の路面電車とは異なる。
また、停留場のプラットホームから段差なしに乗降できるなどの、乗客の便宜を図るために、床面高さが概ね300mm〜400mm程度の低床ライトレール車両(Low Floor Light Rail Vehicle:LFLRV)が開発されている(例えば特許文献1)。低床ライトレール車両としては、床面上に突出した車輪部分のタイヤハウス以外の床全面が低床であるいわゆる100%低床ライトレール車両や、駆動台車部分のみ高床として床全体の約70%が低床であるいわゆる70%低床ライトレール車両などが世界的には普及している。
図4に、いわゆる70%低床ライトレール車両の一例(非特許文献1)を模式的に示す。同図において、低床ライトレール車両Vc1のドアDより左側は従来の高床部Phfであり、ドアDより右側が低床部Plfである。高床部Phfは、低床部Plfに対して所定の高さHsだけ高くなっている。70%低床車両では、全床面積の約70%がレール面上の床面高さが350mm程度の低床部Plfに配置され、出入り台は低床部Plfに設置される。高床部Phfと低床部Plfとの境界には段差部Psがあるが、床面の約70%を占める低床部Plfでは段差がないためプラットホーム越しの乗降に便利なだけでなくどの入り口からでも客室内への車椅子やベビーカーなどの出入りが容易なレイアウトを実現している(図5)。
そして、高床部Phfの下部には、従来の鉄道車両で用いられている駆動台車(車輪、動力装置)が配置されている(図6(a))。これにより、低床構造に対応した、従来構造とは異なる駆動台車やそれにまつわる機構を新たに開発することなく、開発費を抑えると共に性能・安全性・メンテナンス性を確保している。さらに、車両がその前頭部で他の車両などと衝突する衝突時に先頭部にかかる衝撃力は、車両の連結器Cあるいは中ハリや側ハリを大きな長手軸力として車両の後部に向かって伝達する。図4に示すように、低床ライトレール車両Vc1には、クラッシュゾーンZcと非クラッシュゾーンZncとが設けられている場合がある。クラッシュゾーンZcは、車両がその前頭部で他の車両などと衝突する衝突時に意図的に崩壊させる領域である。クラッシュゾーンZcには、衝撃エネルギ吸収構造が組み込まれ、そこでの塑性ひずみエネルギにより衝撃エネルギを吸収することによって、後部客室(非クラッシュゾーンZnc)の衝撃を緩衝する。
70%低床車両では、段差部Psは駆動台車よりも車両の中央寄りに位置するので、先頭部台枠に設けられた枕ハリBp(台車の中央にある最も強固な台枠の横方向のハリ)は、伝達してきた長手荷重を受け止める。そして、中ハリを伝達してきた大きな長手荷重は、枕ハリBpの剛性により、側ハリや上部構体へも流れて、段差部Psにおける台枠中ハリの段差部の高さ偏心に起因する大きな曲げモーメントの発生を防止する。結果、段差部Psの変形を抑え、段差部Psの近傍の乗客の安全が図られる。
低床ライトレール車両に対する、より容易な乗降、バリアフリー化、70%を超える低床部という要求を満たすべく、従来の駆動台車(通常台車)の代わりに、車軸のない独立車輪台車やフローティング車体などを採用して、低床部が70%を超える低床ライトレール車両が開発されている。
図7に、70%を超える低床ライトレール車両の一例を示す。同例において、低床ライトレール車両Vc2の先頭の運転席部Rdが高床部Phfであり、運転席部Rdより右側が低床部Plfである。なお、高床部Phfの下部には、駆動台車は配置されておらず、常用連結器が配置されている。そして、低床部Plfの低床ライトレール車両Vc2の後方側には独立車輪台車が配置されている。独立車輪台車は、車軸を有せず、駆動車輪がそれぞれ独立して車両の側部に配置されているので、低床部Plfの床面の内、車輪の床上への突出をカバーするタイヤハウス部分以外を従来の低床ライトレール車両Vc1に比べてより低く、且つ低床部Plfを70%を超える範囲にすることを可能としている。
特開2003−267212号公報
「鉄道ファン」、株式会社交友社、平成11年1月1日、Vol. 39、p. 80-85
しかしながら、通常台車を用いない、客室100%低床ライトレール車両Vc2では、段差部Psは70%低床ライトレール車両Vc1と比べて、段差部Psが台車位置(枕ハリ)より、車端寄りに位置する。そのために、前頭衝突時に中ハリを伝わってきた長手荷重は、枕ハリの剛性により側ハリや側構体に分散されるより先に、段差部の中ハリに流れるため、高さ偏心に起因する大きな曲げモーメントを生じ、段差部Ps(段差台枠)の変形を招いてしまう。
より詳述すれば、100%低床ライトレール車両では、側出入口部床面(低床部Plf)の高さは低いホームと同一高さでありながら、運転台部分は常用連結器を設ける都合により高床(高床部Phf)にならざるを得ない。そのような台枠高さの段差部分(段差部Ps)を有する台枠構体の設計時に、乗客荷重などの鉛直荷重(重力)は段差方向(鉛直方向)と平行な荷重であるので台枠構体に段差部が存在しても鉛直荷重が段差部分に直接的にモーメント荷重を誘発しないため通常大した問題とはならない。しかし、長手荷重(連結器圧縮荷重、端バリ圧縮荷重、前頭衝撃荷重などのいわゆる車端荷重)は、段差方向と直角方向の荷重であるので、台枠段差部があると台枠高さの偏心に起因する偏心モーメントを台枠構体に誘発し、この曲げモーメント値は段差量や長手荷重値によっては大きな値になるので、この偏心モーメントに抗する台枠構体を設計することが構造設計上の課題となる。
構造部材の寸法制約、とくに高さ方向寸法の制約が緩い場合には、大きな偏心モーメントに対しても十分抗することのできる、背丈の大きな台枠構体を設計することは比較的容易であるが、部材の高さ寸法の制約が厳しい低床ライトレール車両においては偏心モーメントに十分抗することのできる台枠構体を設計することは容易ではない。本考案はそのような寸法制約が厳しい場合に有効な解決手段を提供するものである。
本発明は、上記の問題に鑑み、低床ライトレール車両において、衝突時等の大きな長手荷重から段差部を保護する段差部台枠構造を提供することを目的とする。
上記のような目的を達成するために、本発明に係る段差部台枠構造は、第1の床面に対して、所定の高さだけ高い第2の床面が隣接する段差部を有する車両に用いられる段差部台枠構造であって、
第1の所定厚さを有する、前記第1の床面を支える第1の床面台枠と、
第2の所定厚さを有する、前記第2の床面を支える第2の床面台枠と、
前記第1の床面台枠と前記第2の床面台枠とを連結する中ハリ構造部とを備え、
前記第1の床面台枠の前記段差部寄り端部には、前記第1の厚さと概ね同じ寸法の閉断面或いは溝形断面を有する第1の横ハリが設けられ、
前記第2の床面台枠の前記段差部寄り端部には、前記第2の所定厚と概ね同じ寸法の閉断面を有する第2の横ハリが左右の側ハリ間の全幅に渡って設けられ、
前記中ハリ構造部は、前記第1の横ハリと前記第2の横ハリとをつなぐ立面に沿うウェブ板とその上下フランジが中ハリの位置に設けられていることを特徴とする。
本発明の鉄道車両の段差部台枠構造によると、低床ライトレール車両において、衝突時の衝撃荷重等の長手荷重から段差部中ハリを保護できる。
本発明の実施の形態に係る段差部台枠構造を示す斜視図である。 図1に示した段差部台枠構造の変形例を示す側面図である。 図1に示した段差部台枠構造の更なる変形例を示す側面図である。 従来の70%低床ライトレール車両の一例を示す模式図である。 図4に示した70%低床ライトレール車両のドア部分の低床部の説明図である。 図4に示した70%低床ライトレール車両の高床部及び低床部を示す断面図である。 客室100%低床ライトレール車両の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態に係る段差部台枠構造の1つの具体例について図1、図2、および図3を参照して説明する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
図1に本発明の実施の形態に係る段差部台枠構造の斜視図を示す。なお、本実施の形態に係る段差部台枠構造SSが用いられる低床ライトレール車両V(不図示)は、図7に示した客室100%低床ライトレール車両Vc2であるので、客室100%低床ライトレール車両Vに関して図7を流用する。
段差部台枠構造SSは、高床部Phf(図7)を支える高床構造部Shfと、低床部Plf(図7)を支える低床構造部Slfとが、中ハリ構造部Smによって連結されている。中ハリ構造部Smは高床構造部Shfおよび低床構造部Slfに対して、それぞれ所定の角度θ1およびθ2をなしている。なお、θ1およびθ2は、90°<θ1>=θ2<=90°の関係を満たす。
高床構造部Shfは、中ハリ構造部Smに対して角度θ1をなして、直接接続される横ハリBthと、横ハリBthに対して垂直に接続される2本の側ハリBsh及び所定数(n)の中ハリBmhとで構成されている。横ハリBthは、矩形管状に形成されており、低床ライトレール車両Vの横幅長さに対応する所定の長さLwhだけ延在している。中ハリBmhは、段差部Ps(図7)から客室100%低床ライトレール車両Vの先頭部に対応する所定の長さLhだけ延在している。
低床構造部Slfは、中ハリ構造部Smに対して角度θ2をなして、直接接続される横ハリBtlと、横ハリBtlに対して垂直に接続される2本の側ハリBsl及び所定数(m)の中ハリBmlとで構成されている。横ハリBtlは、横ハリBthと同様に、矩形管状に形成されており、客室100%低床ライトレール車両Vの横幅長さに対応する所定の長さLwlだけ延在している。中ハリBmlは、段差部Psから客室100%低床ライトレール車両Vの後端部に向けて所定の長さLlだけ延在している。
中ハリ構造部Smは、I状断面もしくは、横ハリBthあるいはBtlを介して接続する中ハリと同じ向きの溝形断面を有して、段差部Ps(図7)の高さHs(図7)に対応する所定の長さLmだけ延在する、所定数(o)の中ハリBmにより構成されている。なお、図1においては、中ハリBmh、およびBml、および中ハリBm、に関しては、それぞれn=m=o=2の場合が例示されているが、それらに限定されるものではなく、必要とされる強度に応じて適宜決定されることは言うまでもない。
70%以上の低床ライトレール車両の一例として、100%低床車両に用いられる台枠構体の必要条件について述べる。バリアフリー対応ライトレール車両などの客室100%低床車両の床面高さは通常、レール上面から300数十mm(例として360mm前後)であることが多い。この場合の台枠は、台枠厚みを考えると、走行時車体の物理的移動や揺れ運動による台枠下面の下方偏倚を最小限見込んだぎりぎりの高さに設定されることが多く、レール上面から台枠下面までを余裕の少ない高さに設定されるので、曲げモーメントの大きな部位のみに補強部材や補剛部材を台枠下面側に設けることはほとんど絶望的である。かといって台枠上面に補強部材や補剛部材を設けることは当該部の床面高さを損ねて100%低床にならなくなるため、これも実際には困難である。
一方100%低床車両といえども複数車両を連結運転するためには連結器を装備する要求がある。連結器自体の高さ寸法はその機械連結器部分と電気連結器部分を含めると背丈が500mm以上の高さを必要とする場合が多い。100%低床車両の客室部分の台枠下面高さは通常数十mm〜100数十mmであることが多く、到底500mm以上の高さを有する連結器を収納できる高さ的余裕はない。そのため必然的に連結器装備部分の床面高さはたとえば700mm〜1000mmといった高床にせざるを得ない。この結果、客室床面高さ300数十mmと連結器装備部分床面高さ700〜1000mmの段差量が300〜600mm程度生じる。
端バリ圧縮荷重、連結器圧縮荷重、前頭衝撃荷重などの長手荷重が前頭部に作用した際に、連結器後部に存在する段差台枠部の長手縦通部材を大きな軸力が伝達する。このときに高さ偏心量に起因する曲げモーメントが段差部分に発生し、それに耐えられるだけの長手部材、具体的には中ハリ、側ハリなどの断面形状や周りの構造との接合方法を背丈が低い断面のままで設計することが解決のカギとなる。
上述の観点より、本発明に係る段差部台枠構造SSを70%以上の低床ライトレール車両に適用した場合の効果について述べる。台枠は乗客等の床面荷重(鉛直方向荷重)を直接支持し、その床面荷重は台枠の横ハリBth、Btl等の横ハリを経由して台枠左右の側ハリBsh、Bslに伝わり、側ハリBsh、Bslは同一面内にある側構体で支持される。側構体は鉛直面内剛性が大きいので台枠側ハリBsh、Bslの台枠面外方向(天地方向)の変形を抑えることができる。車端部に作用する端バリ圧縮荷重や連結器圧縮荷重のような長手荷重は、台枠長手部材である中ハリBmh、Bm、Bmlや側ハリBsh、Bslを伝達して支持されるが、この内、側ハリBsh、Bslは側構体と同一面内に存在するので、側ハリに段差部分が存在してそこに大きな曲げモーメントが発生しても、側構体の面内剛性で側ハリの変形を拘束支持するように設計できる。
一方の中ハリBmh、Bm、Bmlは側構体とは離れた位置にあり、台枠の面外方向には他の構造体により支持されていないため変位しやすく、中ハリ途中に段差部分が存在すると大きな曲げモーメントにより台枠面外方向(天地方向)へ動きやすいため中ハリ段差部に大きな応力を生じ塑性変形しやすい。
以上のことから台枠高さの段差部分において生じる大きなモーメント荷重に対しては、側ハリBsh、Bslは側構体の面内剛性により支持させられるので、側構体の支持剛性を十分確保して、局部的な側外板の座屈変形や側構体骨部材の局部高応力が発生しないように工夫すればよい。中ハリBmh、Bm、Bmlは、それだけで段差部分の大きな曲げモーメントに耐えるためには、段差部分の前後を背丈の大きな中ハリで強固にすることが必要となるが、現実には高さ寸法の制約があるので背の高い中ハリにはできない。そのため中ハリに作用する大きな曲げモーメントを中ハリだけで支持するのではなく、横ハリBth、Btlを経由して側ハリBsh、Bslに伝えて逃がし、中ハリ段差部の曲げモーメントのかなりのパーセンテージを側構体で支持することが効果的である。中ハリのモーメント荷重は中ハリBmh、Bm、Bmlと側ハリBsh、Bslをつなぐ横ハリBth、Btlにおいてはねじり荷重となるので、横ハリBth、Btlはねじり剛性が高い設計とすることが効果的である。
一般に70%低床ライトレール車両であっても客室100%低床ライトレール車両であっても、前頭衝突時の衝撃力から客室を保護する方策としては2通りの考え方がある。ひとつは前頭部を強固で高剛性な構造にし、衝撃力が作用しても容易に崩壊しない構造とするやり方である。この場合は、生存空間は保護されて押し潰されにくくなるが、客室の加減速度が大きくなる。もうひとつは前頭部の車端台枠に衝撃エネルギ吸収要素を組み込んで、そこをクラッシャブルゾーンとして意図的に崩壊させることにより、後部客室の加減速度を低減し、同時に客室空間を保護するやり方である。いずれの場合においても、長手方向軸力が段差部Psを伝わる際に高さ偏心に起因して大きな曲げモーメントを生じるので、それに抗することのできる段差部台枠構造SSを考案し提供するものである。
衝突エネルギ吸収構造について具体的に述べる。最近の鉄道車両では前面衝突事故対策としての衝突安全性の観点から、前頭部衝撃エネルギ吸収構造が要求されることが増えてきている。とりわけ路面電車やライトレール車両のような市内交通車両では専用軌道上だけでなく道路での運行もするために、自動車との衝突や続行運転に起因する列車同士の追突に対する衝突安全性の観点から、前頭部衝撃エネルギ吸収構造を装備することが非常に大きな効果を有する。衝撃エネルギ吸収構造を組み込んで、限定された範囲の台枠構体を意図的に崩壊させて、そこでの塑性ひずみエネルギにより衝撃エネルギを吸収し、後部客室の衝撃を緩衝するための領域をクラッシュゾーンと呼ぶ。
車体の衝撃吸収構造自体は、適切な荷重一ストローク特性を持つ衝撃エネルギ吸収要素を前頭部台枠構体クラッシュゾーンに組み込むことにより達成できる。しかし、衝撃エネルギ吸収要素が変形開始する際には、長手ピーク荷重すなわち大きな反力が後部の乗客領域(非破壊領域:低床部Plf(図7))に作用するので、このときの大きなピーク荷重に対して後部の乗客領域(非破壊領域:低床部Plf(図7))の台枠構体が塑性変形せずに耐える必要がある。
一方、鉄道車両の前頭構造には、クラッシュゾーンを変形させるほどのエネルギ吸収が不要な軽微な長手衝撃や、車両同士の連結時などの常用的な衝撃荷重に対しては、クラッシュゾーン自身が全く塑性変形してはならないという必要条件もある。つまり、衝撃エネルギ吸収構造を組み込んだクラッシュゾーンは、それらの軽微な衝撃荷重に対しては全く塑性変形を起こしてはならず、かつそれを超えた過大な荷重に対してはできるかぎり低い荷重で吸収要素が塑性変形してエネルギ吸収しなければならない。この相反する荷重条件を両立させることが鉄道車両前頭構体の衝撃吸収構造設計の主要課題である。
発明者は、従来の前頭部衝撃エネルギ吸収構造の研究の結果、衝撃エネルギ吸収要素が塑性変形してはならない軽微な長手荷重値(仕様値)に関して、同じ衝撃エネルギ吸収要素が塑性変形を開始する際の長手ピーク荷重の最小値は、塑性変形してはいけない軽微な荷重値の約2.2〜2.4倍になるとの知見を得た(鹿島純、外3名、「1010 衝撃吸収型鉄道車両構体の非破壊領域に作用する長手荷重の予測」、関西支部第79期定時講演会講演論文集、社団法人日本機械学会、2004年3月17日、No.044−1、p.10−23〜10−24)。例えば、軽微な衝撃に対してクラッシュゾーンが塑性変形してはならない最大荷重値を50トンとすれば、そのクラッシュゾーンが塑性変形を開始する最小荷重値は約110〜120トンになる。50トン負荷時にすべての部材が耐力以下であるように設計された構造物が大きな塑性変形を開始する荷重値は、概ね110〜120トン以上になることが経験上判っている。
このようにクラッシュゾーンを設けた場合の後部客室領域(非破壊領域:低床部Plf(図7))は、前頭部が被る軽微な長手荷重値(衝撃吸収要素が塑性変形してはならない荷重値)ではなく、クラッシュゾーンが塑性変形を開始する最小荷重値以上の大きな長手荷重に対して塑性変形しないような構造に構成される必要がある。
上述の考察に基づき、本発明の本実施の形態に係る段差部台枠構造SSは以下のごとく要約される。床面高さが異なる段差部Psを有する鉄道車両に用いられる段差部台枠は、高床部Phfの後端に概ね高床部台枠厚み程度(高床部台枠厚みの約0.8〜1.5倍)の寸法を持つ閉断面の横ハリBthが左右側ハリBsh、Bsh間の全幅にわたって設けられている。低床部Plfの前端には概ね低床部台枠厚み程度(低床部台枠厚みの約0.8〜1.5倍)の閉断面を持つ横ハリBtlもしくは溝形断面を持つ横ハリBtlが設けられている。高床部Phfの後端の閉断面横ハリBthと低床前端の横ハリBtlとをつなぐ立面内ウェブWとその上下フランジFが中ハリBmh、Bmlの位置に合わせて設けられて構成されている。
上述の如く構成された段差部台枠構造SSは以下に述べる特徴を有する。つまり、鉄道車両の鋼製台枠厚みは概ね150mm前後である場合が多い。この台枠厚み以下の小さな段差部であれば、長手部材の軸力により高さ偏心量に起因して生じる段差部の曲げモーメントは大きくならないので、段差部台枠構造SSでなくとも断面形状に段差を設ける等の手段により比較的容易に構成できる。
しかし台枠厚みを大きく超えるような段差部を持つ台枠において、とくに周りに支持部材を持たない中ハリBmh、Bm、Bmlの段差部においては、中ハリBmh、Bm、Bmlを伝達する長手軸力により、段差部に大きな曲げモーメントを生じるので、大きな曲げモーメントに耐えられる段差部台枠構造が必要となる。また高床部台枠、低床部台枠とも部材背丈の制約が厳しく、各々の台枠厚み以上の背丈の補強は設けられない場合の解決手段を段差部台枠構造SSは提供している。
なお、中ハリBmh、Bm、Bmlに沿う段差部曲げモーメントは、枕木方向の軸回りの回転である。この回転モーメントを抑制するために、高床後端の横ハリBthを閉断面とすることでねじり剛性を大きくして中ハリBmh、Bm、Bmlを流れようとする回転モーメントをできる限り側ハリBsh、Bslに流れやすくしている。このことにより高床部中ハリBmhから低床部中ハリBmlに流れる曲げモーメントを低減して、荷重を側構体に流している。
また、高床後端の横ハリBthを閉断面にしてねじり剛性を向上しているとはいえ、背丈の小さい閉断面部材ではねじり剛性に限界があるので、それだけで当該部の強度と剛性を確保するには不十分である。そこで高床後端の横ハリBthからフランジ付きのウェブWの腕を斜め下方に付き出して、その先端に低床前端の横ハリBtlをつなぐことにより、高床後端の横ハリBthがモーメントにより回転変位しようとするのをウェブWの腕の先端で押さえ込むことができる。ウェブWの腕の先は低床前端横ハリBtlにつながっているため、その位置での並進変位は容易に拘束される。
反対に、低床前端の横ハリBtlが曲げモーメントにより回転変位しようとしたときには、同じウェブWの腕が高床後端で拘束されるので、腕は回転がし難い。よって、低床前端の横ハリBtlが回転変位を困難にする。
また、ウェブWにフランジFを設けることにより、横ハリBth、Btlを中心として回転しようとするウェブW先端に拘束力が作用したときに、ウェブWに曲げモーメントが発生するので、その曲げモーメントでウェブW外端に生じる曲げ応力を低減することができ、同時に腕の曲げ剛性を向上させることができる。
段差部台枠構造SSはさらに、高床構造部Shfにエネルギ吸収要素が設けられて構成されていてもよい。一般に、車端台枠に設けられた衝撃(エネルギ)吸収要素が作動する際、すなわち大きく塑性変形し始める際の反力値は結構大きく、その衝撃吸収要素が大きく変形しないで耐力以下に収まる限界長手荷重の2.2〜2.4倍以上の長手力となる。段差部台枠構造SSにおいては、衝突時の大きな反力を生じる衝撃吸収要素のすぐ後方に段差部を設けることにより、背丈の低いままの台枠寸法で大きな長手力を段差部を経由して後部台枠に伝達できる。
図2に、上述の段差部台枠構造SSの変形例である段差部台枠構造SS‘を示す。段差部台枠構造SS‘においては、段差部台枠構造SSとは異なり、低床床面と高床床面との中間高さ位置に、低床部Plf(図7)と高床部Phf(図7)の段差部Ps(図7)に設ける室内階段の支持骨組を兼ねる横ハリBt‘が設けられている。このように構成すると、台枠に段差部を設けることにより客室にも生じる段差部を乗客や乗務員が歩行する際に歩行可能な階段を実現できる。床面の段差量が階段1段以下の小さな段差量であれば、中段を設けることなく床面段差部に1段だけの階段を設けることができる。段差量が大きくて2段以上の階段にする必要がある場合、中段を支持する骨組(床根太)を用いる。
図3に、上述の段差部台枠構造SSの他の変形例である段差部台枠構造SS“を示す。段差部台枠構造SS“においては、段差部台枠構造SSとは異なり、中段を支持する骨組(床根太)を段差台枠の高床後端横ハリBthから伸びた腕Bm“、すなわち中ハリ位置のウェブWのフランジを大きく展開したもので兼ねるようにすることにより、中段の支持構造にすることができる。このように構成すると、段差部の中ハリ回転モーメントをより多く側構体に流すことが可能となり、腕の剛性を向上させることができるので、より段差部の応力と変位を抑制することが可能となる。
本発明は、段差部を有する低床ライトレール車両の台枠に利用できる。
V、Vc1、Vc2 低床ライトレール車両
Phf 高床部
Plf 低床部
Ps 段差部
SS、SS‘、SS“ 段差部台枠構造
Shf 高床構造部
Slf 低床構造部
Sm 中ハリ構造部
Bth、Btl、Bt‘、Bt“ 横ハリ
Bsh、Bsl 側ハリ
Bmh、Bm、Bml、Bm‘、Bm“ 中ハリ
W ウェブ
F フランジ

Claims (3)

  1. 第1の床面に対して、所定の高さだけ高い第2の床面が隣接する段差部を有する車両に用いられる段差部台枠構造であって、
    第1の所定厚さを有する、前記第1の床面を支える第1の床面台枠と、
    第2の所定厚さを有する、前記第2の床面を支える第2の床面台枠と、
    前記第1の床面台枠と前記第2の床面台枠とを連結する中ハリ構造部とを備え、
    前記第1の床面台枠の前記段差部寄り端部には、前記第1の所定厚さと概ね同じ寸法の閉断面或いは溝形断面を有する第1の横ハリが設けられ、
    前記第2の床面台枠の前記段差部寄り端部には、前記第2の所定厚さと概ね同じ寸法の閉断面を有する第2の横ハリが左右の側ハリ間の全幅に渡って設けられ、
    前記中ハリ構造部は、前記第1の横ハリと前記第2の横ハリとをつなぐ立面に沿うウェブ板とその上下フランジが中ハリの位置に設けられていることを特徴とする段差部台枠構造。
  2. 前記第2の床面台枠の前記段差部に隣接する位置に、衝撃エネルギ吸収要素が設けられている、請求項1に記載の段差部台枠構造。
  3. 前記中ハリ構造部は、前記第1の床面と前記第2の床面との中間高さ位置に、前記段差部に設ける室内階段の支持骨組を兼ねる横ハリが設けられている、請求項1に記載の段差部台枠構造。
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