JP2012207934A - ドップラーライダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファイバ増幅器を備えたドップラーライダ装置では、光ファイバ増幅器の内部での偏波変動の影響を最小化するため、偏波制御をおこなっていた。
【解決手段】レーザ光を発振する基準光源1からのレーザ光を光分波回路2で送信信号光と局部発振光に分波し、光分波回路2で分波した送信信号光を偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器4で増幅して大気中に発射する。大気中での散乱光を受信光として受光し、この受信光と光分波回路2で分波された局部発振光とを光受信回路7で合波し、受信光の局部発振光からの変動成分を電気信号として取り出すことにより、偏波制御を必要としないドップラーライダ装置を得る。
【選択図】図1

Description

この発明は、レーザ光で大気中の風を観測するドップラーライダ装置に関し、特にドップラーライダ装置の送信光出力の安定化に関するものである。
ドップラーライダ装置(光波レーダ装置とも言う)は、パルス変調されたレーザ光を大気中に発射して、大気中の散乱物質(エアロゾル)により散乱された散乱光を受光し、そのドップラーシフト成分を検出することにより、遠隔にある大気の風速および風向きを計測するものである。
図3は非特許文献1に記載された従来のドップラーライダ装置の構成を示し、基準光源1からのレーザ光は光分波回路2で送信信号光と局部発振光に分波され、光分波回路2からの送信信号光は増幅回路3および光ファイバ増幅器40で増幅されて、光サーキュレータ5を介してテレスコープ6から大気中に発射される。
大気中のエアロゾルにより散乱された散乱光はテレスコープ6で受光され、光サーキュレータ5を介して光受信回路7に入力される。この光受信回路7は受信光と局部発振光とをミキシングしてビート信号に変換し、このビート信号を高速フーリェ変換して周波数解析を行なってドップラーシフト成分を検出して遠隔の大気中の風速を求める。
この図3に示すドップラーライダ装置では、光ファイバ増幅器40は偏波保持型ではないため、光ファイバの内部で増幅された送信信号光は特定の偏光特性を持たない。したがって、自身の内部での偏波変動の影響を最小化するため、偏波制御をおこなっている。
即ち、光ファイバ増幅器40で増幅された送信信号光から分岐回路8で本来の送信信号光と異なる偏光成分の光を分岐し、光−電気信号変換回路9で電気信号に変換する。この電気信号の大きさにより偏光成分の信号の大きさを知ることで、分岐回路8を通過する送信信号光の偏波が基準光源1で発振された送信信号光からどれだけ回転して(ずれて)いるかを知ることができる。そしてこの電気信号を制御誤差量として、誤差を小さくするような制御信号を偏波制御回路10で生成し、この制御信号を偏波回転回路11に与えることで分岐回路8を通過する送信光の偏波を制御するようにしている。
光ファイバ増幅器40に偏波保持型を用いる理由の1つとして、パルス変調されたレーザ光が持つ特性として、非特許文献1にも記載されているように誘導Brillouin散乱が問題としてあり、この特性を低減する偏波保持型光ファイバ増幅器がこれまで存在しなかったことにもよる。
また、特許文献1に記載されたドップラーライダ装置(光波レーダ装置)は、送信信号光と受信光の光路を切替える送受信光路切替部が、送信信号光を透過させ透過させた方向から戻ってくる受信光を別の方向に反射する偏光分離素子と、この偏光分離素子を透過した送信信号光と戻ってくる受信光が通る45°ファラデーローテータを含み、送信信号光と受信光と局部発振光が通る全ての光伝送路を偏波保持型の光ファイバで構成し、送信信号光を大気中に発射し、大気中の散乱光を受信光として受光する光ファイバコリメータ光学系の光軸を中心として光ファイバコリメータ光学系への光ファイバ接合インターフェイス部を回転可能にする機構としたもので、大気の偏光解消と非解消成分を独立に測定可能している。
第25回レーザセンシングシンポジウム(2007年9月14日 レーザレーダ研究会)予稿集 P.28-31 C−4「中距離版・全光ファイバ型風計測ドップラーライダの開発」
特開2008−309562号公報
図3の高ピークパワー光ファイバ増幅器40を備えたドップラーライダ装置では、光ファイバ内の不規則な偏波の変動に対して、制御誤差信号も不規則となるため、ファイバ自身の偏波の変動による回転と、制御による回転を繰り返し、分岐回路8を通過する送信信号光の量は常に変動しながら所望の出力を維持している。分岐回路8を通過する送信信号光の量の変動により、大気中で散乱されて受信光として戻ってくる光の量も変動することになり、全体的に受信光が小さくなる遠方の風の観測の安定に影響が出るという改善すべき課題があった。
また、非特許文献1にも記述のあるとおり、偏波制御をおこなっているため出力光であるP偏光パワーは安定して出力されているとあるが、出力を調整する時に偏波制御をおこなわない状態ではパワーが測定できないことや、非特許文献1のFig.4に示される観測距離とDetectabilityのグラフでDetectabilityがDetection Limit付近となる距離での偏波変動の観測距離への影響など改善すべき課題があった。
また、特許文献1のドップラーライダ装置は、自己の偏光変動を抑制して送信し、受信する光の偏光成分を検出することを目的としたもので、送受信光路切替部が偏光分離素子と45°ファラデーローテータで構成され、また送信信号光を大気中に発射し、大気中の散乱光を受信光として受光する光ファイバコリメータ光学系は、光軸を中心として光ファイバコリメータ光学系への光ファイバ接合インターフェイス部を回転可能にする機構を設けるなど、構成が複雑になっていた。また、光ファイバ増幅器の構成についても具体的な内容については全く記載されていない。
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、偏波制御を必要としない高ピークパワー光ファイバ増幅器を備えるドップラーライダ装置を提供することを目的とするものである。
この発明のドップラーライダ装置は、レーザ光を連続発振する基準光源、この基準光源からのレーザ光を送信信号光と局部発振光に分波する光分波回路、この光分波回路からの送信信号光を増幅する偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器、この光ファイバ増幅器で増幅された送信信号光を大気中に発射すると共に、大気中での散乱光を受信光として受光するテレスコープ、送信信号光と受信光との光路を切り替える光サーキュレータ、およびこの光サーキュレータからの受信光と光分波回路で分波された局部発振光とを合波し、受信光の局部発振光からの変動成分を電気信号として取り出す光受信回路を備えたものである。
この発明は、偏波制御および偏波制御回路を必要としないドップラーライダ装置が構成され、その送信光出力が安定し、観測距離が改善される。
この発明の実施の形態1のドップラーライダ装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態2のドップラーライダ装置の構成を示す図である。 従来のドップラーライダ装置の構成を示す図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1におけるドップラーライダ装置を図1により説明する。 ドップラーライダ装置の構成を示す図1において、基準光源1はドップラーライダ装置のレーザ光の送受信の原発振となる送信信号光を連続発振するものである。基準光源1から発振されたレーザ光は光分波回路2で分波され、一方は送信信号光として、他方は局部発振光となる。光分波回路2からの送信信号光は増幅回路3により増幅され、光ファイバ増幅器4に入力される。
光ファイバ増幅器4は、光ファイバ41とこの光ファイバ41の前段と後段に設けられた波長多重化回路42、43で構成され、波長多重化回路42、43は増幅回路3で増幅された送信信号光をさらに増幅するため、光ファイバ41に励起エネルギーを供給するためのものである。光ファイバ41と波長多重化回路42、43は全て偏波保持型のものが使用されており、したがって光ファイバ増幅器4は偏波保持特性を有し、内部で生成されるレーザ光は入力された送信信号光の偏光特性を常に維持する。こうして、光ファイバ増幅器4は光分波回路2からの送信信号光を所定の偏光特性を常に維持して増幅するようになっている。
光ファイバ増幅器4で増幅された送信信号光は、送信信号光と受信光との光路を切り替える光サーキュレータ5に入力される。サーキュレータ5は、光の経路の方向性を持つ回路であり、光ファイバ増幅器4から入力された送信信号光をテレスコープ6へ出力する。また、テレスコープ6から入力された受信光を光受信回路7へ出力する。
ここで、レーザ光の送信信号光は、テレスコープ6から大気中へ発射される。大気中へ発射されたレーザ光は大気中の散乱物質(エアロゾル)により散乱され、その散乱光の一部がテレスコープ6に受信光として戻る。テレスコープ6に戻った受信光は光サーキュレータ5を経由して光受信回路7に出力される。
光受信回路7は、テレスコープ6からの受信光と光分波回路2で分波された局部発振光とを混合(合波)し、受信光の局部発振光からの変動成分を電気の受信信号として取り出し、後段の処理へ出力する。ここで、変動成分とは、エアロゾルが風によって移動する速度に応じて、送信光に与える周波数変動であり、ドップラーライダ装置は、この変動成分を大気中の風の速度として、風の観測をおこなう。また、同時に送信光が送信されてから、エアロゾルにより散乱された受信光が戻ってくるまでの、レーザ光の往復時間を記録することにより、エアロゾルまでの距離が観測される。
なお、基準光源1から増幅回路3までの各部品は特定の偏光特性を保持する偏波保持型回路(部品)が使われ、それらを光ファイバ増幅器4まで接続する光伝送路の光ファイバも偏波保持型のものが使われている。また、サーキュレータ5、テレスコープ6および光受信回路7は特定の偏光特性を保持する偏波保持型回路(部品)が使われ、それらを光ファイバ増幅器4まで接続する光伝送路の光ファイバも偏波保持型のものが使われている。
したがってドップラーライダ装置を構成する、基準光源1から光受信回路7までの光伝送路は全て偏波保持型部品で構成されているから、偏波変動の影響が最小化され偏波制御を行なう必要がない。
以上のようにこの発明のドップラーライダ装置は、光ファイバ増幅器4が偏波保持特性を持つため、従来のような偏波制御が必要なくなり、偏波制御による送信信号光の量の変動はない。このことにより、光ファイバ41が従来と同じ送信信号光の増幅能力を持つ光ファイバであったとしても、この発明の方が従来に比べて風の観測は安定することになる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2におけるドップラーライダ装置を図2により説明する。
ドップラーライダ装置の構成を示す図2において、偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器4の出力端側(光ファイバ増幅器4と光サーキュレータ5との間)に、もう1つの光ファイバ増幅器4aを追加して設けたもので、その他の構成は実施の形態1の図1と同じにつき、同じ符号を付してその説明を省略する。
光の出力を増幅する光ファイバ増幅器4aは、光ファイバ41aとこの光ファイバ41aの前段と後段に設けられた波長多重化回路42a、43aで構成され、波長多重化回路42a、43aは光ファイバ増幅器4で増幅された送信信号光をさらに増幅するため、光ファイバ41aに励起エネルギーを供給するためのものである。
この時、光ファイバ41aは、偏波保持型であってもなくても良い。従来の高ピークパワー光ファイバ増幅器40では、上記の説明のように、偏波制御をおこなっていても、常に偏波変動することになり、光ファイバに入力されるレーザ光が変動することで、入力条件が変動することになり、増幅(出力)特性の調整が複雑になる。
一方、実施の形態2では、前段の光ファイバ増幅器4の光ファイバ41が偏光保持型であるため、入力条件が安定しているため、その増幅特性の調整においては、光ファイバ41a自身が持つ特性にのみ注目すれば良いことになる。
このことから、実施の形態2は、多段化された光ファイバ増幅器への入力レーザ光を生成するためのレーザ光生成回路として使用することができる。
なお、実施の形態2は1個の光ファイバ増幅器4aを追加したが、光ファイバ増幅器4aを2個以上の多段にして追加してもよい。
1:基準光源、 2:光分岐回路、
3:増幅回路、 4:光ファイバ増幅器、
5:サーキュレータ、 6:テレスコープ、
7:光受信回路、
41:光ファイバ、 42:波長多重化回路、
43:波長多重化回路 4a:光ファイバ増幅器。

Claims (4)

  1. レーザ光を連続発振する基準光源、この基準光源からのレーザ光を送信信号光と局部発振光に分波する光分波回路、この光分波回路からの送信信号光を増幅する偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器、この光ファイバ増幅器で増幅された送信信号光を大気中に発射すると共に、上記大気中での散乱光を受信光として受光するテレスコープ、上記送信信号光と受信光との光路を切り替える光サーキュレータ、およびこの光サーキュレータからの受信光と上記光分波回路で分波された局部発振光とを合波し、上記受信光の上記局部発振光からの変動成分を電気信号として取り出す光受信回路を備えたドップラーライダ装置。
  2. 上記基準光源から上記光受信回路までの部品および光伝送路を全て偏波保持型部品で構成した請求項1に記載のドップラーライダ装置。
  3. 上記偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器と上記光サーキュレータとの間に、光ファイバ増幅器を設けた請求項1または請求項2に記載のドップラーライダ装置。
  4. 上記偏波保持特性を有した光ファイバ増幅器と上記光サーキュレータとの間に設けられた光ファイバ増幅器は偏波保持特性を有してなる請求項3に記載のドップラーライダ装置。
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