JP2012207758A - ベルト式変速機付き電動パワーユニット - Google Patents

ベルト式変速機付き電動パワーユニット Download PDF

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Abstract

【課題】ベルト式無段変速機とモータとを一体的に構成した電動パワーユニットの小型化を図る。
【解決手段】モータ60とベルト式変速機50を一体化して電動パワーユニット10を構成する。パワーユニット10はモータ(60)および従動側プーリ80に掛け渡されて、その長さ方向に極性を交互にして配置される複数の永久磁石68を内蔵した無端Vベルト51を備える。モータ60は互いに対向してVベルト51のV字角度と同一の開き角度αを有したベルト摺動面58を形成するステータ保持プレート56と、ステータ保持プレート56との間隔を可変に配置される可動部材57と、ステータ保持プレート56の、ベルト摺動面58の背面側に設けられたステータ61とを含んでいる。ステータ61は、モータ60に掛け渡されるVベルト51の曲率半径の内側方向から外側方向に向けて拡がる扇形の断面形状を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ベルト式変速機付き電動パワーユニットに関し、特に、ベルト変速機と一体化されるモータのアウタロータが大径化したり、モータコイルが軸方向へ張り出して大容量となったりすることを避けて小型化を図るのに好適なベルト式変速機付き電動パワーユニットに関する。
モータと変速機とを備えたパワーユニットを電動車両等に採用することが知られている。しかし、従来のパワーユニットは、モータと変速機とがそれぞれ別体で構成されるのが一般的であり、モータおよび変速機がそれぞれ相当の大きさと重量とを有していることから、これらを一体化することが試みられている。例えば、特許文献1では、ベルト式無段変速機の駆動プーリにアウタロータタイプのモータ構造を適用した電動パワーユニットが提案されている。より詳細には、ベルト式無段変速機における駆動プーリの軸受外周にステータを設けるとともに、該ステータ側に張り出させた駆動プーリの固定側部分の端縁部にステータと対向させてアウタロータを設けてモータを構成している。
特許第2991802号公報
特許文献1に記載されている従来の電動パワーユニットで、より一層の高出力化をしようとすると、駆動プーリと一体に形成されるアウタロータを大径化したり、モータコイル(ステータ)を軸方向に張り出したりすることになる。
本発明は、ベルト式変速機の駆動プーリと一体化されるアウタロータを大径化したり、モータコイルが軸方向へ張り出したりすることを避けて小型化を図るのに好適なベルト式変速機付き電動パワーユニットを提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明は、モータとベルト式変速機を一体化した電動パワーユニットにおいて、モータ(60)および従動側プーリ(80)と、前記モータ(60)および前記従動側プーリ(80)に掛け渡されて、その長さ方向に極性を交互にして配置される複数の永久磁石(68)を内蔵した無端Vベルト(51)とを備え、前記モータ(60)が、互いに対向して前記Vベルト(51)のV字角度と同一の開き角度(α)を有したベルト摺動面(58)を形成するステータ保持部材(56)、および該ステータ保持部材(56)に対向配置され、該ステータ保持部材(56)との間隔を可変に構成した可動部材(57)と、前記ステータ保持部材(56)の、前記ベルト摺動面(58)の背面側に設けられたステータ(61)とを含んでいる点に第1の特徴がある。
また、本発明は、前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記Vベルト(51)と該Vベルト(51)が掛け渡される前記ベルト摺動面(58)との接触角の範囲に設けられている点に第2の特徴がある。
また、本発明は、前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記ベルト摺動面(58)に掛け渡される前記Vベルト(51)の曲率半径の内側方向から外側方向に向けて拡がる扇形の断面形状を有している点に第3の特徴がある。
また、本発明は、前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記Vベルト(51)の、前記ベルト摺動面(58)との接触角中央部(M0)では略長方形に形成され、該接触角中央部(M0)から該接触角端部に離れる方向に傾斜した矩形状に形成されている点に第4の特徴がある。
また、本発明は、前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記複数の永久磁石(68)の配置間隔と同一間隔で前記Vベルト(51)の最小巻き掛け径位置に配置される複数の第1ステータコアの列(63L)と、前記複数の永久磁石(68)の配置間隔と同一間隔で前記Vベルト(51)の最大巻き掛け径位置に配置される第2ステータコアの列(63H)とからなる点に第5の特徴がある。
さらに、本発明は、前記モータ(60)が、前記ベルト摺動面(58)に巻き掛けされる前記Vベルト(51)の最大巻き掛け径および最小巻き掛け径の両方において前記Vベルト(51)内の永久磁石(68)の位置を検出する磁極センサ(66)を備えるとともに、前記磁極センサ(66)が、前記Vベルト(51)の、前記ベルト摺動面(58)との接触角から外れた領域で、前記ステータ保持部材(56)の延長部であるセンサ保持ステー(65)に取り付け固定されている点に第6の特徴がある。
第1の特徴を有する本発明によれば、ベルト式変速機のベルトにモータのロータを構成する永久磁石を内蔵させたので、ベルト摺動面の背面のスペースをモータのステータを配置する領域として広く使ってモータの高出力化に有利な構造を提供することができる。
第2の特徴を有する本発明によれば、ステータの磁界がベルトに内蔵された磁石に作用してベルトに駆動力を付与する部分である接触角をカバーする領域にのみモータのステータを形成するので、モータのサイズを必要最小限に抑えることができる。
第3の特徴を有する本発明によれば、変速比が変わってベルトの巻き掛け径が変化しても、モータの効率低下を極力抑えることができる。
第4の特徴を有する本発明によれば、ベルトの巻き掛け径が変化したときにも、ベルトの磁石位置に対向した部位にモータステータを位置させることができ、かつベルトの接触角中央部におけるステータの形状を基準として左右に放射状に傾斜させてステータを形成することで、ベルト巻き掛け径が変化した場合にベルト内の磁石に対向するステータの形状をできるだけ複雑にすることなくステータを形成することができる。
第5の特徴を有する本発明によれば、ベルトに設けられる磁石の位置が最大と最小の巻き掛け径位置でステータと一致させやすいので、少なくとも2つの変速位置でのモータの特性を安定的に確保することができる。
第6の特徴を有する本発明によれば、ベルトの巻き掛け径が変化した場合のベルトの位置変化が最も小さい部位に磁極センサを設けることができるので、磁極センサ自体を小型化することができるか、ベルトの最大・最小位置のそれぞれに設けるセンサを一体化することができる。
本発明の一実施形態に係る電動パワーユニットを有する電動車両の左側面図である。 本発明の一実施形態に係る電動パワーユニットの全体形状を示す電動車両の要部左側面図である。 電動パワーユニットの断面図である。 図3のA−A矢視図である。 第2実施形態に係る電動パワーユニットのステータ形状を示す模式図である。 第3実施形態に係る電動パワーユニットのステータ形状を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るベルト式変速機付き電動パワーユニットを有する電動車両の左側面図である。電動車両1は低床フロアを有するスクータ型の自動二輪車である。電動車両1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21に先端が接合されて後端が下方に延びている前フレーム部分22と、前フレーム部分22から車体幅方向左右にそれぞれ分岐して車体後方寄りに延びている一対のメインフレーム部分23と、左右のメインフレーム部分23から車体上後方に延びている左右1対のリヤフレーム部分24とからなる。
ヘッドパイプ21には、前輪WFを支持するフロントフォーク3が操舵自在に支持される。フロントフォーク3から上部に延長されてヘッドパイプ21で支持されるステアリング軸4の上部には、ステアリングハンドル5が連結される。ヘッドパイプ21の前部にはパイプからなるブラケット6が結合され、このブラケット6の前端部には、ヘッドライト7が取り付けられ、ヘッドライト7の上方にはブラケット6で支持されるフロントキャリア8が設けられる。
車体フレーム2の、メインフレーム部分23とリヤフレーム部分24との中間領域に車体後方に向けて延在するブラケット25が接合されており、このブラケット25には、車体幅方向に延在している枢軸9が設けられ、この枢軸9によって、電動パワーユニット(以下、単に「パワーユニット」と呼ぶ)10を含むスイングアーム11が上下揺動自在に支持される。パワーユニット10には、車両駆動源としてのモータ、ベルト式無段変速機、および減速機(図2〜4等に関して後述する)が設けられる。パワーユニット10の出力は後輪車軸12に伝達され、後輪車軸12に支持された後輪WRを駆動する。パワーユニット10を含むスイングアーム11とリヤフレーム部分24とは、リヤサスペンション13によって連結される。
メインフレーム部分23には、停車中に車体を支持するサイドスタンド14およびメインスタンド15が設けられる。メインフレーム部分23に結合されたアンダーパイプ26には、複数のバッテリセルからなる高電圧(例えば72ボルト定格)のバッテリ16が搭載され、バッテリ16の上部はカバー17で覆われる。リヤフレーム部分24には、さらにリヤキャリヤ18やテールライト19が設けられる。
フロントフォーク3には、前輪WFの上方に位置するフロントフェンダ27が取り付けられ、リヤフレーム部分24には後輪WRの上方に位置するリヤフェンダ28が取り付けられる。左右一対のリヤフレーム部分24の間には荷室29が設けられ、荷室29の上には、荷室29の蓋を兼用する運転者シート30が設けられる。
ステアリングハンドル5の中央部は図示しないメータ装置等を有するハンドルカバー31で覆われる。また、ヘッドパイプ21の前方はフロントカウル32で覆われ、後方はレッグシールド33で覆われる。また、バッテリ16の下方にはアンダカバー34が設けられ、荷室29前部から車体側方後部に亘る部分を覆うリヤカウル35が設けられる。
図2はパワーユニットの全体形状を示す拡大図である。図2において、スイングアーム11が前記車体フレーム2に設けられる枢軸9によって上下方向揺動自在に支持される。スイングアーム11の後輪(駆動輪)WR寄りには、上下2箇所でボルト36等の締結手段によってパワーユニット10が連結される。パワーユニット10の後部には車幅方向に延びた後輪WRの車軸12(減速機の出力軸)が支持される。
パワーユニット10は、パワーユニットケーシング40と該パワーユニットケーシング40内に収容されるベルト式無段変速機50とモータ60とからなり、無段変速機50およびモータ60は、互いに、一方の一部機能が他方の一部機能を兼ねて一体的に構成される。すなわち、モータ60のロータに相当する機能は無段変速機50の無端Vベルト51に組み入れ、無段変速機50の駆動側プーリに相当する機能はモータ60のステータ61に持たせる。スイングアーム11内にはモータ60の制御部(PDU)70が収容される。無段変速機50とモータ60の具体的な構造は図3、図4等に関して後述する。
無段変速機50によって得られる変速比は、モータ60のステータ61が結合される前記ベルト51の巻き掛け部材(後述する)に対するベルト51の巻き掛け径と無段変速機50の従動側プーリ80でのベルト51の巻き掛け径との比によって決定される。図2において、符号HRはハイレシオ(高変速比)のときのベルト51の巻き掛け位置を示し、符号LRはローレシオ(低変速比)のときのベルト51の巻き掛け位置を示す。
パワーユニット10を詳細に説明する。図3はパワーユニット10の断面図であり、図4は図3のA−A矢視図である。図3および図4において、パワーユニットケーシング40は、スイングアーム11に連結されるケース本体52と、ケース本体52に電動車両1の車体左側から組み付けられるカバー53と、ケース本体52に電動車両1の車体右側から組み付けられる減速機ケース54とからなる。
モータ60は、ケース本体52とカバー53とによって両端を保持されたモータ軸55と、モータ軸55から車体前方FR方向に放射状に張り出したステータ保持プレート(ステータ保持部材)56と、ステータ保持プレート56に対向して配置され、モータ軸55に対して該モータ軸55の長さ方向に摺動自在に取り付けられた可動プレート57とを備える。
ステータ保持プレート56のベルト摺動面58の背面側には、ステータコア63およびステータコア63に巻かれたステータ巻線64によって構成されるステータ61が固定される。ステータ巻線64はU相、V相、W相の三相巻線64U、64V、64Wである。
図4に示すように、ステータコア63はモータ軸54から放射状に広がった部分円断面形状(扇形)を有し、モータ軸54の周囲に45度間隔で配置される。図4に示した例では5個つまり225度の範囲にステータコア63が配置されている。ステータコア63はステータ保持プレート56にボルトもしくは接着剤によって固定される。
ステータ保持プレート56と可動プレート57とによって構成されるベルト摺動面58と従動側プーリ80との間にはベルト51が掛け渡される。ベルト51は、等間隔で該ベルト51の長さ方向に配置される複数の永久磁石68を内蔵している。磁石68はブロック形状のものであってもよいし、粉砕したフェライト磁石等をゴムに混入したゴム磁石であってもよい。磁石68のN極およびS極はベルト51の長さ方向に交互に配置される。ベルト摺動面58に掛け渡されたベルト51は磁石68を内蔵していてステータ61と対向しているのでモータ60のロータとして機能する。
なお、磁石68はベルト51の幅方向のほぼ全体に亘って配置されていてもよいが、少なくともステータコア63と対向する側面側に偏倚させて図3に示す位置に配置してあればよい。また、ステータ保持プレート56および可動プレート57は回転体ではないので、円板である必要はなく、ベルト摺動面58に掛け渡されるベルト51の巻き掛け部分が確保されるサイズであればよい。
ステータ保持プレート56と可動プレート57とは、Vベルト51のV字角度と同じ開き角度αで対向しており、可動プレート57はモータ軸55に沿って長さ方向に摺動し、ステータ保持プレート56との間隔を変化させる。可動プレート57は、該可動プレート57のスリーブ59に結合されるアクチュエータ62により、前記制御部70からの変速指令に従って変位させられる。アクチュエータ62はソレノイドもしくはリニアソレノイドまたはステッピングモータ等によって構成できる。
ステータコア63はモータ軸55から放射状に広がるステータ保持プレート56におけるベルト51の最小巻き掛け径から同最大巻き掛け径に亘る変化範囲、つまり全変速域におけるベルト摺動面58に対するベルト51の接触角をカバーし、ハイレシオおよびローレシオのいずれの変速比にあってもベルト51の側面つまり磁石68に対向可能なサイズに設定される。
モータ軸55には、該モータ軸55を挟んでステータ保持プレート56と反対側に拡張されたセンサ保持ステー65が形成されている。センサ保持ステー65には、モータ60のロータとして機能するベルト51内の磁石68を検出するロータ位置センサ66が取り付けネジ67で取り付けられる。ロータ位置センサ66の取り付けは、ネジ67に限らず適宜の締結手段または接着剤によって行える。
ロータ位置センサ66は、例えばホール素子を含むICであり、ベルト51が摺動面58に最大巻き掛け径で巻き掛けられている時(ハイレシオ時)と、最小巻き掛け径で巻き掛けられている時(ローレシオ時)とにおけるベルト51の移動軌跡(それぞれ1点鎖線HR、LRで示す)の上に配置させる。つまり磁石68は2個1組でセンサセット69を構成し、このセンサセット69がモータ軸55を境に自動二輪車1の高さ方向2箇所に設けられる。
センサセット69はU、V、W各相のステータ巻線64U、64V、64Wに対応した組数つまり3組設けるのがよいが、U相およびV相のみに対応した位置を検出するために2組の位置センサ62を設け、W相の位置はU相およびV相の位置検出結果に基づいて推測する手法を用いてもよい。磁石68は等角度間隔で配置されるので、U相およびV相の間隔に基づいてU相およびV相に隣接するW相の位置は推測できる。
ケース本体52およびカバー53には、軸受72、73によって従動軸74が回転自在に支持される。従動軸74は減速機ケース54側に突出した延長部である減速機軸75を有し、減速機軸75の端部は減速機ケース54に設けられる軸受76によって回転自在に支持される。
従動軸74には、該従動軸74から放射状に広がる固定プーリ片77が形成される。また、従動軸74には、複数のボール87によって従動軸74に対する回転を規制されたスリーブ79が従動軸74の軸方向に沿って変位自在に係合しており、スリーブ79には該スリーブ79から放射状に広がる可動プーリ片78が設けられる。固定プーリ片77および可動プーリ片78によって従動側プーリ80が構成される。ベルト51は、固定プーリ片77および可動プーリ片78のV字形に広がった互いの対向面に掛け回される。
従動軸74の、軸受73寄りには座金81が設けられ、該座金81と可動プーリ片78の背面との間に両端部を当接させたコイルバネ82が設けられる。
モータ60側(駆動側)のベルト摺動面58および従動側プーリ80の間に掛け渡されるベルト51に等間隔で配置される複数の磁石68は、3相のステータ巻線64U、64V、64Wに順番に通電することによってステータコア63に生じる磁極と相互作用し、これにより、ステータコア63に対する磁石68の位置が変化する。つまりベルト51がモータ60のロータの機能を果たしてステータ63に対して駆動される。
ケース本体52および減速機ケース54には、パワーユニット10の出力軸12を回転自在に支持する軸受83、84がそれぞれ設けられる。減速機軸75には、入力ギヤ85が結合され、出力軸12には出力ギヤ86が結合される。減速機軸75、入力ギヤ85、出力軸12、出力ギヤ86、および減速機ケース54等によって減速機90を構成する。
上記構成のパワーユニット10の動作は次のとおりである。ロータ位置センサ66によって検出された磁石68の位置に従って、制御部70からステータ巻線64U、64V、64Wに通電されると、ステータコア63に磁極が発生して磁石68の磁界に作用し、ベルト51はステータ61に対して駆動される。ベルト51の駆動方向はステータ巻線64U、64V、64Wの通電順序によって決定される。すなわち、ベルト51がモータ60のロータとして機能して駆動され、ベルト51が掛け回されている従動側プーリ80が回転する。従動側プーリ80が回転すると、その回転は従動軸74、減速機軸75、入力ギヤ85、および出力ギヤ86を介して出力軸(つまり後輪車軸)12に伝達され、後輪WRが回転する。
アクチュエータ62を駆動させると、可動プレート57はモータ軸55の軸方向に沿って変位し、ステータ保持プレート56と可動プレート57の間隔が変化する。つまり、この間隔が小さくなると、ベルト摺動面58に対するベルト51の巻き掛け径が大きくなる一方、従動側プーリ80に対するベルト51の巻き掛け径は小さくなってハイレシオ側の変速比が得られる。また、ステータ保持プレート56と可動プレート57の間隔が大きくなると、摺動面58に対するベルト51の巻き掛け径が小さくなる一方、従動側プーリ80に対するベルト51の巻き掛け径は大きくなってローレシオ側の変速比が得られる。
この実施形態によれば、図4に示すように、ステータコア63の形状が半径方向外側で大きい扇形であるので、ハイレシオおよびローレシオのいずれの場合であっても、磁石68はステータコア63に対向している。なお、ローレシオ時は磁石68の各磁極と各ステータコア63が1対1で対応しているが、ハイレシオ時は磁石68の各磁極が各ステータコア63とは1対1では対応しない。すなわち、ローレシオ時は、ステータコア63が5個の磁石と対応するが、ハイレシオ時は、ステータコア63と対応する磁石は3〜4個となるので、ハイレシオ側ではローレシオ側よりも特性が安定しない。しかし、モータ60はハイレシオ側よりもローレシオ側で大きいトルクが要求されるので、実用上の不都合はない。
ローレシオからハイレシオに亘る全領域でモータから効率よく出力を得るために、磁石68と対向するステータコア63の形状を以下に示すように変形させることができる。
図5は、第2実施形態に係るステータコア63を電動車両1の左側から見た模式図であり、符号FRは車両前方向を示す。すでに述べたとおり、磁石68はベルト51の長さ方向で等間隔で配置してあるので、ベルト摺動面58に最大巻き掛け径で巻き回されているベルト51の軌跡HR(ハイレシオ時の軌跡)、および最小巻き掛け径で巻回されているベルト51の軌跡HL(ローレシオ時に軌跡)のいずれの軌跡上においても磁石68の配置間隔は同一である。したがって、ハイレシオ時およびローレシオ時における同一磁石68の角度位置に着目すると、それぞれの角度位置の差はベルト51の移動とともに変化する。
すなわち、図5に示すように、電動車両1の最も前方向寄りの位置M0(ベルトの接触角中央部)にある磁石68を基準にすると、磁石68が位置M0から時計方向または反時計方向に離れていくに従って、ハイレシオ時とローレシオ時とで同一磁石68を結ぶ線MLは傾いていく。位置M0とモータ軸55とを結ぶ線を基準線CLとすると、同一磁石68を結ぶ線MLの延長線は、基準線CLと平行な状態から、該基準線CLに交差する状態に変化する。
図5を参照すれば、磁石68がモータ軸55に対して回転した場合、基準線CLの左側では磁石68が反時計方向に回転するにつれて線MLは基準線CLに対して左傾斜(反時計方向傾斜)し、基準線CLの右側では磁石68がモータ軸55に対して時計方向に回転する場合、磁石68が時計方向に回転するにつれて線MLは基準線CLに対して右傾斜(時計方向傾斜)するのが理解される。
したがって、この線MLの傾きに対応して、ステータコア63の断面形状を、巻き掛け部の外周側より内周側の方で寸法が短くなるような4角形とすることにより、ハイレシオおよびローレシオのいずれの場合であっても、各磁石68と各ステータコア63とを1対1で対応させることができる。これにより、ハイレシオおよびローレシオのいずれの変速位置においても対応するステータコア63の形状を複雑にすることなくモータ60の特性を安定にすることができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図6は第3実施形態に係るステータコア63の形状を示す図である。なお、図6では、繁雑を避けるため、基準線CLを境にした半分のみを示す。この第3実施形態では、ステータコア63をハイレシオ列63Hとローレシオ列63Lとに分離して設けた。つまり、モータ軸55を中心とした遠距離の列63Hと近距離の列63Lにそれぞれにステータコア63を配列した。各列におけるステータコア63の配置間隔はいずれもベルト51内での磁石68の配置と対応させる。したがって、第3実施形態では、ハイレシオ列63Hおよびローレシオ列63Lにおける同一磁石68に対応するステータコア63を結ぶ線MLは、第2実施形態と同様、基準線CLから左側では左傾斜し、基準線CLから右側では右傾斜するようにステータコア63が配置される。
この第3実施形態によるステータコア63は、少なくとも2つの変速位置では、磁石68とステータコア63とが1体1で対応するので、これらの変速位置ではモータの特性を安定的に確保することができる。
1…電動自動二輪車、 2…メインフレーム、 10…パワーユニット、 11…スイングアーム、 12…後輪軸(パワーユニットの出力軸)、 16…バッテリ、 50…無段変速機、 51…Vベルト、 56…ステータ保持プレート、 57…可動プレート、 58…ベルト摺動面、 60…モータ、 61…ステータ、 63…ステータコア、 68…永久磁石、 66…角度位置センサ(磁極センサ)、 80…従動側プーリ

Claims (6)

  1. モータとベルト式変速機を一体化した電動パワーユニットにおいて、
    モータ(60)および従動側プーリ(80)と、前記モータ(60)および前記従動側プーリ(80)に掛け渡されて、その長さ方向に極性を交互にして配置される複数の永久磁石(68)を内蔵した無端Vベルト(51)とを備え、
    前記モータ(60)が、
    互いに対向して前記Vベルト(51)のV字角度と同一の開き角度(α)を有したベルト摺動面(58)を形成するステータ保持部材(56)、および該ステータ保持部材(56)に対向配置され、該ステータ保持部材(56)との間隔を可変に構成した可動部材(57)と、
    前記ステータ保持部材(56)の、前記ベルト摺動面(58)の背面側に設けられたステータ(61)とを含んでいることを特徴とするベルト式変速機付き電動パワーユニット。
  2. 前記ステータ(61)が、前記Vベルト(51)と該Vベルト(51)が掛け渡される前記ベルト摺動面(58)との接触角の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1記載のベルト式変速機付き電動パワーユニット。
  3. 前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記ベルト摺動面(58)に掛け渡される前記Vベルト(51)の曲率半径の内側方向から外側方向に向けて拡がる扇形の断面形状を有していることを特徴とする請求項1または2記載のベルト式変速機付き電動パワーユニット。
  4. 前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記Vベルト(51)の、前記ベルト摺動面(58)との接触角中央部(M0)では略長方形に形成され、該接触角中央部(M0)から該接触角端部に離れる方向に傾斜した矩形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のベルト式変速機付き電動パワーユニット。
  5. 前記ステータ(61)のステータコア(63)が、前記複数の永久磁石(68)の配置間隔と同一間隔で前記Vベルト(51)の最小巻き掛け径位置に配置される複数の第1ステータコアの列(63L)と、前記複数の永久磁石(68)の配置間隔と同一間隔で前記Vベルト(51)の最大巻き掛け径位置に配置される第2ステータコアの列(63H)とからなることを特徴とする請求項2記載のベルト式変速機付き電動パワーユニット。
  6. 前記モータ(60)が、前記ベルト摺動面(58)に巻き掛けされる前記Vベルト(51)の最大巻き掛け径および最小巻き掛け径の両方において前記Vベルト(51)内の永久磁石(68)の位置を検出する磁極センサ(66)を備えるとともに、
    前記磁極センサ(66)が、前記Vベルト(51)の、前記ベルト摺動面(58)との接触角から外れた領域で、前記ステータ保持部材(56)の延長部であるセンサ保持ステー(65)に取り付け固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のベルト式変速機付き電動パワーユニット。
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