JP2012207314A - 産業資材ネット用ポリエステル繊維および産業資材ネット - Google Patents

産業資材ネット用ポリエステル繊維および産業資材ネット Download PDF

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Abstract

【課題】産業資材ネット製品として十分に高い強力を発現し得るポリエステル繊維およびそれを用いて構成される産業資材ネットを提供することを課題とする。
【解決手段】結節強度が3.3〜4.2cN/dtexであり、繊維長さ10000mあたりの単糸切れ頻度が2.0以下であることを特徴とする産業資材ネット用ポリエステル繊維であり、かかるポリエステル繊維は、150℃における乾熱収縮率が3〜13%、熱収縮応力が0.2〜0.5cN/dtexであることが好ましく、また、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、糸IVが0.85〜0.94であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は産業資材ネット用途に好適なポリエステル繊維および産業資材ネットに関する。詳しくは高いネット強力を得るためのポリエステル繊維および産業資材ネットに関するものである。
産業資材ネットには、建築現場を覆うように設置され人体落下時の衝撃を吸収する安全ネット、工具等の飛散を防止する養生ネット、法面保護や地盤強化のため土中に埋設されるジオネット、河川岸や海岸に設置される護岸ネット、さらには農業用の防雪ネット、遮光ネット、漁網に代表される各種水産ネットやスポーツ・レジャー用の防球ネット等々、その使用目的・使用形態に応じて多種多様なネットが存在する。これら産業資材ネットに共通して求められる特性の1つとして機械的特性に優れること、すなわち容易に切断しない高い強力を有すことが挙げられる。また近年では製品のコストダウン要求が強く、ネット製品を構成する繊維材の使用量をいかに減らすかが重要な課題になってきている。
この通りネットとして高い強力を維持しつつ、該ネットを構成する繊維材の使用量を減らすには、繊維1本あたりの強力、つまり繊維強度を高めることが最も単純かつ有効な手段と考えられ、これまでに数多くの提案がなされている。例えば特許文献1では、強度8.5cN/dtex以上のポリエステル繊維に関する技術が記載されており、確かに該繊維から構成されるネットでは高強力化を達成している。しかしながら繊維強度を大幅にアップした割にはネットとしての強力向上効果が小さく、むしろ繊維の高強度化に伴う単糸切れ等の品位悪化がネット製品の生産効率を低下させ、逆にコストアップしてしまう等の問題を抱えるものであった。
特許文献2では、繊維材としてアラミド繊維の使用が提案されている。該繊維の引張強度は20cN/dtexを超えており、確かに該繊維を使用することで強力に優れた土木資材用ネットが得られている。しかしながら耐摩耗性やエネルギー吸収性などに劣ることからこれらの特性が要求されない特定用途への適用にとどまるものであった。また、アラミド繊維自体のコストが高く、いくら繊維の使用量を低減できたとしてもポリエステル繊維からなるネット製品のコストパフォーマンスには遠く及ばないものであった。
特許文献3は、繊維強度を上げるのではなくネットとしての強力利用率を高めるという観点からなされたポリエステル繊維の製造方法に関する発明であり、各工程における延伸負荷率、弛緩率、熱セット温度等を特定の範囲に規定している。該発明は繊維強度ではなく強力利用率に着目した点で興味深いが、実際のネット強力向上効果は必ずしも十分ではなく、さらなる改善が求められるものであった。
また特許文献4には樹脂コーティングされたエアバッグ織物用途に限定したポリエステル繊維に関する発明が記載されている。しかしながら、同文献記載の方法によるポリエステル繊維をネット類に転用しようとしても糸切れ、単糸切れ(毛羽)が発生しやすくネット類への適用は事実上困難なものであった。
特開2006−207054号公報 特開2004−150003号公報 特開2010−59581号公報 特開平03−167046号公報
本発明は上記従来技術では解決できなかった課題に対し鋭意検討した結果、達成されたものである。すなわち本発明は、ネット製品として十分に高い強力を発現し得るポリエステル繊維およびそれを用いて構成される産業資材ネットを提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、結節強度が3.3〜4.2cN/dtexであり、繊維長さ10000mあたりの単糸切れ頻度が2.0以下であることを特徴とする産業資材ネット用ポリエステル繊維およびそれを用いて構成される産業資材ネットである。
さらに、本発明のポリエステル繊維においては、次の(a)、(b)のいずれか1つまたはその組み合わせを満たすことが好ましい態様であり、これら要件を満足することでさらに優れた効果が期待できる。
(a)150℃における乾熱収縮率が3〜13%、熱収縮応力が0.2〜0.5cN/dtexであること。
(b)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、糸IVが0.830〜0.940であること。
本発明のポリエステル繊維は、多種多様な産業資材ネットに適用可能であり、該繊維を使用することでネット製品の強力アップを図ることができるものである。もしくはネット製品の強力を維持したまま繊維の使用量が低減でき製品のコストダウンを達成できるものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、産業資材ネット用途として優れた機械特性を発現することが要求される。かかる特性を満足するために使用するポリマは特に限定されるものではないが、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートがより好適である。また、該特性を阻害しない範囲において、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの酸成分、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール成分を含むものであっても良い。また、難燃性を付与する目的でフェニルホスホン酸ジメチルやフェニルホスホン酸ジフェニルなどのホスホネート類、(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸メチル、(2−カルボキシルエチル)フェニルホスフィン酸などのホスフィネート類、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,3−ジカルボキシプロピル)ジメチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド類を共重合するものであっても良い。
また、耐候性、耐熱性を向上させる目的でベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、抗酸化剤、ラジカル補足剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、クレーなどの無機物などを含有していても何ら差し支えない。さらに、本発明のポリエステル繊維は原料ポリマ中に着色剤を含有していても良く、後に続く染色工程を省略できることから製造コスト面では有利となる。着色剤としては、特に限定されるものではなく、カーボンブラック、酸化鉄などの無機系着色剤、シアニン系、アントラキノン系、アゾ系、ペリノン系などの有機着色剤を適宜選択すればよい。
産業資材ネット用途として優れた機械特性を得るうえで使用するポリマの重合度は高い方が良く、ポリエチレンテレフタレートの場合、25℃、8wt/vol%オルソクロロフェノール溶液の相対粘度ηrを、オストワルド粘度計を用いて測定した固有粘度は0.8〜1.2が好ましく、より好ましくは1.0〜1.2である。
本発明における重要な要件は、JIS L−1013(1999)の方法に準じて測定した繊維の結節強度が3.3〜4.2cN/dtexを満たすことであり、より好ましい範囲は3.5〜4.2cN/dtexである。これまでネット製品の強力を高めるには特許文献1や特許文献2のように繊維の直線強力を高めることに注力されてきたが、筆者らがネット構造体の破断現象を詳細に観察・解析した結果、ネットのどの部分で初期衝撃を受けた場合でもネットの結節部分、無結節タイプのネットでは繊維同士が交差接触した部分が損傷・破断することがわかり、つまり繊維の直線強力をいくら上げてもネット強力の向上効果は極めて小さく、繊維の結節強力を高めることこそが、ネット強力アップにダイレクトに繋がり得ることを見出したのである。繊維の結節強力が3.3cN/dtex未満であると本発明の目指す十分に高いネット強力は得られない。なお、これまで繊維の結節強度についてはあまり着目されてこなかったが、産業資材用途に使用される一般的なポリエステル繊維の結節強度は3.0cN/dtex程度と推測される。繊維の結節強度は高ければ高いほど好適であるが、良好な品位を保持しつつ、具体的には繊維長さあたりの単糸切れ頻度を抑制しつつ高い結節強度を得るには4.2cN/dtex程度が上限である。
繊維の結節強度を高めるための要件については、おおよそ以下の通りと考えている。
結節部において糸条は屈曲状態にあり屈曲部の外側では引っ張り応力、内側では圧縮応力がはたらく。通常の熱可塑性ポリマからなる繊維材は引っ張りには強い耐性を示すが、圧縮には弱く構造破壊しやすい特性を有すことが知られており、繊維の結節強度を向上させるには圧縮に対する耐性をいかに高めるかが重要なポイントとなる。
そしてポリエステル繊維やポリアミド繊維の場合、繊維内部のソフトセグメント部、すなわち非晶部分で外部からの圧縮応力を吸収し得ることから、あらかじめ非晶部分の分子鎖を均一に揃えつつ、かつ比較的突っ張った状態に保持にすることが有効と考えられる。このような構造とすることで繊維構造を破壊することなく、外部からの圧縮応力を最大かつ効率的に吸収・緩和できつまりは繊維の結節強度アップが期待できる。
さらに繊維の延伸・弛緩工程を適切に制御することで、このような繊維構造が発現でき、すなわちは弛緩率を比較的低く設定すること、さらには熱処理温度を比較的高く設定することが有効である。
本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維の直線強度は、好ましくは4〜7cN/dtex、より好ましくは5〜7cN/dtexである。前述の通り本発明はネット強力を高めるべく繊維の結節強度アップを狙ったものであるが、直線強度が低くなりすぎては、いくら結節強度を上げてもネット製品としての強力アップには繋がらない可能性がある。また本発明のポリエステル繊維の伸度は15〜30%、より好ましくは20〜30%である。かかる範囲とすることでネット製品のエネルギー吸収性能の向上が期待できる。またポリエチレンテレフタレートの場合、25℃、8wt/vol%オルソクロロフェノール溶液の相対粘度ηrを、オストワルド粘度計を用いて測定した本発明ポリエステル繊維の糸IVは0.80〜1.00であることが好ましく、かかる範囲とすることで産業資材ネットに好適な強度・伸度が得られやすくなる。
ポリエステル繊維の繊度は特に限定されるものではないが、1000〜2000dtex程度とするのが、ネットの編網性と生産コストの両側面から好ましい。一般に単糸繊度は大きいほど耐摩耗性に優位と考えられるが、大き過ぎると所望の結節強度が発現しにくくなったり、また製糸自体の難度が増すことからせいぜい25dtex程度までとするのが好ましく、6〜18dtexがより好ましい。
本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維の150℃乾熱における収縮率は3〜13%が好ましく、より好ましくは6〜10%である。また150℃乾熱下における収縮応力は0.2〜0.5cN/dtexが好ましく、より好ましくは0.3〜0.4cN/dtexである。高温時の収縮率および収縮応力は、繊維内部の非晶部構造を表す指標の1つとも考えられ、かかる範囲とすることで圧縮応力を最大限に吸収でき、繊維の結節強度アップ、さらにはネット製品の強力アップを達成しやすくなる点で好ましい。また繊維の熱収縮特性は、上記の圧縮に対する耐性にのみ基因するのではなく、ネット編網時の工程通過性、ネット製品の寸法安定性などにも影響するが、いずれの観点からもかかる範囲が好ましい範囲である。
本発明のポリエステル繊維の糸−糸間の動摩擦係数は、比較的大きくすることが好適であり、具体的には0.15〜0.30であることが好ましい。動摩擦係数をかかる範囲とすることで、ネット上の結節部、無結節ネットの場合は繊維同士が交差接触する部分において、圧縮応力が1箇所に集中するのを防ぎ、適度に分散させることでネット全体としての強力アップに寄与することができる。なお、動摩擦係数が0.30を超えると編網の際にガイドやオサ等との擦れにより毛羽や断糸を誘発しやすくなる傾向にある。
本願発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維の単糸切れ頻度は、繊維長さ10000mあたりに換算して2.0以下である。かかる範囲のポリエステル繊維であれば、続くネット製造工程においてガイド等との擦れ、引っ掛かりを招くことなく、しいては優れた強伸度を有す産業資材用ネット製品が得られるようになる。繊維長さ10000mあたりの単糸切れ頻度が2.0を超えると、ネット製造工程における収率が悪化するばかりか、得られたネット製品の強力が低下するなど重大な欠陥に繋がってしまうことになる。
引き続き本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維の製造方法について説明する。一例としてポリエチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸・延伸・弛緩熱処理法を示すが、本発明で規定する特性が得られる限り何らこれに限定されるものではない。
固有粘度が1.2のポリエチレンテレフタレートを溶融濾過したのち口金細孔から紡出する。紡出糸条はポリマの融点以上、例えば270〜350℃に加熱せしめた雰囲気を通過したのち80℃以下の冷却風にて冷却固化される。かかる温度履歴を経ることで産業資材ネット用に好適な結節強度、直線強度等の機械特性を有す繊維を品位良く製造することができる。冷却後の糸条は油剤を付与され、所定の回転速度で回転する引取ローラに捲回して引き取られる。引き続き、順次高速回転するローラに捲回することで延伸を行う。より高い結節強度、直線強度を得るには2〜3段に分けて、トータル3.5〜6.0倍、好ましくは3.5〜5.0倍の倍率になるように延伸すればよい。各ローラの表面温度は得られる繊維の品位品質に影響を与えるものであり、適当な温度に設定する必要がある。例えば、引取ローラ、第1延伸供給ローラは60〜100℃、第1延伸ローラは100〜130℃とするのが好ましい。延伸後には弛緩熱処理を施すが、先にも述べた通り本発明の高い結節強度を有す繊維を得るためには弛緩率を比較的低く、具体的には0.5〜5%程度に設定するのが好ましく、より好ましくは1〜3%である。なお、上記範囲内であっても高めの延伸倍率を設定する場合に高めの弛緩率を設定すると単糸切れ頻度が高くなる傾向があるので、本発明で規定する範囲の特性が得られる程度に弛緩率を低めたり、熱処理温度を高めに設定するなど適宜条件選択を行う。かつ熱処理温度は、比較的高い温度に設定することが好ましく、本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維の場合、熱処理ローラの表面温度を190〜240℃とするのが有効である。これら条件の弛緩熱処理を施すことで、繊維内部の非晶部分が均一かつ適度に突っ張った構造となり、その結果これまでにないレベルの圧縮耐性を有す繊維が得られやすくなる。巻き取る直前においては、高圧空気を走行糸条に噴射して交絡処理を施すことが好ましい。交絡はできるだけ多くかつ均一にすることが好ましく、交絡数(CF値)としては5〜20あれば十分である。かかる範囲の交絡を付与することで巻き取りチーズからの糸条解舒性、および糸条のガイド通過性が良好になり製網工程におけるトラブルを回避することできる。かくして本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維が得られる。
本願発明のポリエステル繊維は、例えば本目網、蛙又網などの結節網、ラッセル網などの無結節網、綟子網などあらゆる形態のネットに適用可能であるが、無結節網、なかでもラッセル網に用いることで優れたネット強力の向上効果が期待できる。
また編網後の熱セット工程に制約はないが、ネットの寸法安定性を確保するうえで乾熱150〜200℃程度で1〜3分の処理を施すことが好ましい。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。なお、各種物性値は次の方法により測定、算出した。
[ポリマの固有粘度および糸IV]:
試料8.0gにオルソクロロフェノール100mlを加えて、160℃・10分間加熱溶解した後冷却し、25℃で溶液の相対粘度ηrをオストワルド粘度計を用いて測定し、次の近似式に従い算出した。
固有粘度=0.0242ηr+0.2634
[繊度]:
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
[直線強度・伸度]:
試料を気温20℃、湿度65%の温調室において。オリエンテック(株)社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100でJIS L−1013(1999)8.5.1標準試験時に示される定速伸長条件で測定した。このときの掴み間隔は250mm、引張速度は300mm/min、試験回数は10回であった。なお、破断伸度は荷重−伸長曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
[結節強度]:
JIS L−1013(1999)8.6.1標準時試験に準じ、試料のつかみ間中央に結節部をつくり、上記直線強度・伸度測定と同様の条件で測定した。
[乾熱収縮率]:
JIS L−1013(1999)8.18.2乾熱収縮率a)かせ収縮率(A法)に従って、試料採取時の所定荷重5mN/tex×表示テックス数、かせ長測定時の所定荷重200mN/tex×表示テックス数とし、処理温度150℃として測定した。
[150℃乾熱収縮応力]:
試料を東洋ボールドウィン社製SS−207D−UE歪み測定機に取り付け、東洋ボールドウィン社製TKC−IIIS加熱炉を用い昇温速度を5℃/minで昇温しながら150℃における収縮応力を読みとった。このときの試料長は25cm、初荷重として0.045cN/dtexの荷重をかけ、各試料について2回の測定を行い平均値を求めた。
[糸−糸動摩擦係数]:
英光産業株式会社製走行糸摩擦係数測定機を使用し、走糸速度30m/minで直径35mmのプーリーに通し、摩擦角度180°、プーリー入力側張力T1を0.3cN/dtexに設定し、プーリー出側張力T2を30sec間測定し、次式に従い算出した。
糸−糸摩擦係数=0.4697×log(T2/T1)
[交絡数(CF値)]:
1mの試長の試料に100gの荷重をかけ、6gのフックを下降速度1〜2cm/secで下降させ、次式により算出した。
CF値=100(cm)/下降距離(cm)
[ネット強力]:
JIS A−8960(2004)7.2網糸の引張強さ試験に従って、掴み間隔25cm、引張速度20cm/minとしてオリエンテック(株)社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い測定した。試験回数は10回であった。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
[単糸切れ頻度]:
得られた繊維パッケージを500m/分の速度で巻き返し、巻き返し中の糸条から2mm離れた箇所にヘバーライン社製レーザー式毛羽検知機“フライテックV”を設置し、検知された単糸切れ数を10000mあたりの個数に換算して表示した。
[実施例1]
固有粘度が1.2のポリエチレンテレフタレートのペレット(A)を、144個の吐出孔を有する紡糸口金に配し295℃の温度で溶融紡糸した。紡出された糸条を温度320℃、長さ400mmの加熱筒を通過させた後、冷却風を吹き付け冷却固化させ、油剤を付与した後引き取った。引き続き一旦巻き取ることなく、表面温度が98℃の第1延伸ローラとの間で延伸倍率3.6倍、次に表面温度が110℃の第2延伸ローラとの間で延伸倍率1.3倍とし、トータルの延伸倍率が4.7倍となるように延伸し、引き続き表1に記す弛緩率、温度条件で弛緩熱処理を施した後、3000m/minの速度で巻き取ることにより1670dtex−144fのポリエチレンテレフタレート繊維を製造した。得られたポリエステル繊維の糸IV、直線強度・伸度、結節強度、150℃乾熱収縮率・熱収縮応力、糸−糸間の動摩擦係数の測定結果を表2に示す。
引き続き得られたポリエステル繊維を3本引き揃えてフロント糸とし、2本引き揃えてバック糸としてラッセル編機にて編み目15mmとなるように編網した後、150℃・3分間の熱セットを施し、産業資材用ネットを作製した。得られたネットの強力測定結果を表2に併せて示す。
[実施例2〜6、比較例1〜6]
トータルの延伸倍率、および延伸後の弛緩熱処理条件を表1の通りとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート繊維、および産業資材用ネットを製造した。各種特性の測定結果を表2に示す。
[実施例7]
ポリエチレンテレフタレートのペレット(A)、固有粘度が0.7でカーボンブラックを20重量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレット(B)をA:B=98:2の割合で混合したブレンドペレットを使用した以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート繊維、および産業資材用ネットを製造した。各種特性の測定結果を表2に示す。
[比較例7]
ポリエチレンテレフタレートのペレット(A)、固有粘度が0.7でカーボンブラックを20重量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレット(B)をA:B=50:50の割合で混合したブレンドペレットを使用し、延伸後の弛緩熱処理条件を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート繊維、および産業資材用ネットを製造した。各種特性の測定結果を表2に示す。
Figure 2012207314
Figure 2012207314
表1、表2から明らかなように実施例1〜7に示した本発明のポリエステル繊維を使用した産業資材用ネットでは高い強力を有す結果が得られた。一方、比較的高い直線強度と適度な伸度を有しているにも拘わらず、結節強度が本願発明の範囲外である比較例1〜3では、高い強力を有すネットが得られなかった。また延伸後の弛緩率を0.0%に設定した比較例4では、最終延伸ローラと弛緩ローラ間での走糸張力が高く該ローラ上での糸揺れ誘発した結果、糸切れが頻発しポリエステル繊維を得ることができなかった。製糸工程における延伸倍率が高く、繊維長さあたりの単糸切れ頻度が本願発明の範囲外にある比較例5では、ネット製造工程での引っ掛かり等が散発し、得られたネット製品の強力も低いものとなった。また比較例6では、ネット製造工程における停台が頻発し、ネット製品を得るに至らなかった。
本発明の産業資材ネット用ポリエステル繊維は、優れた結節強度を有しており、安全ネットや護岸ネットなどあらゆる産業資材ネットに適用した際に高い強力を発現することができる。またネット製品強力を維持したまま繊維の使用量を減らすことが可能となり、近年要求される製品コストダウンにも寄与できるものである。

Claims (4)

  1. 結節強度が3.3〜4.2cN/dtexであり、繊維長さ10000mあたりの単糸切れ頻度が2.0以下であることを特徴とする産業資材ネット用ポリエステル繊維。
  2. 150℃における乾熱収縮率が3〜13%、熱収縮応力が0.2〜0.5cN/dtexであることを特徴とする請求項1に記載の産業資材ネット用ポリエステル繊維。
  3. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、糸IVが0.85〜0.94であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の産業資材ネット用ポリエステル繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の産業資材ネット用ポリエステル繊維を用いて構成される産業資材ネット。
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