JP2012206993A - ポリアミン化合物、該ポリアミン化合物の製造方法およびエポキシ硬化剤 - Google Patents

ポリアミン化合物、該ポリアミン化合物の製造方法およびエポキシ硬化剤 Download PDF

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Abstract

【課題】エポキシ硬化剤として有用なポリアミン化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるポリアミン化合物、その製造方法およびエポキシ硬化剤。
Figure 2012206993

一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリアミン化合物、該ポリアミン化合物の製造方法およびエポキシ硬化剤に関する。
エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と硬化剤との反応によって生成する熱硬化性樹脂であり、その優れた特性と多様性から、土木建築用接着剤、半導体用封止剤、プリント回路基板や高圧電力用モールド機器用等の絶縁材、缶用や自動車用等の塗料など、様々な分野で利用されている。
エポキシ樹脂に用いられる硬化剤は、用途に応じて多種多様であるが、重付加型の硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等のポリアミン化合物が代表的である(非特許文献1参照)。
特に脂肪族ポリアミンは、硬化性が高く常温硬化型の硬化剤として用いられる。その硬化物は機械物性に優れ、接着性や耐薬品性にも優れる。このような脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどが挙げられる。
一方、新規な化合物による新たなエポキシ硬化剤の開発が望まれている。
エポキシ樹脂技術協会編,総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I,エポキシ樹脂技術協会,123〜146頁(2003年)
本発明は、新規なポリアミン化合物、該ポリアミン化合物の製造方法、および土木建築用接着剤、半導体用封止剤、プリント回路基板や高圧電力用モールド機器用等の絶縁材、缶用や自動車用等の塗料などに有用な優れた硬化性能を有するエポキシ硬化剤を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、下記手段で、上記課題を達成した。
(1)下記一般式(1)で表されるポリアミン化合物。
Figure 2012206993
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
(2)下記一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤。
Figure 2012206993
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
(3)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンをアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルと反応させて下記一般式(2)で表される化合物を得る工程および該一般式(2)で表される化合物を還元する工程からなる下記一般式(1)で表されるポリアミン化合物の製造方法。
Figure 2012206993
一般式(1)、(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
本発明により、新規なポリアミン化合物、該ポリアミン化合物の製造方法、および土木建築用接着剤、半導体用封止剤、プリント回路基板や高圧電力用モールド機器用等の絶縁材、缶用や自動車用等の塗料などに有用な優れた硬化性能を有するエポキシ硬化剤を提供することができる。
実施例1で合成されたポリアミン化合物1のH−NMRスペクトルのチャート図である。 実施例1で合成されたポリアミン化合物1の13C−NMRスペクトルのチャート図である。 実施例1で合成されたポリアミン化合物1の赤外吸収スペクトルのチャート図である。
本発明者らは、新規なポリアミン化合物を見出し、しかも該ポリアミン化合物が、エポキシ樹脂の硬化剤として優れた効果を示すことを見出した。
(新規なポリアミン化合物)
本発明の一般式(1)で表される化合物を説明する。
Figure 2012206993
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。ここで、Rは水素原子が好ましい。
(ポリアミン化合物の製造方法)
本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物の製造方法を説明する。
本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物の製造方法は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンをアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルと反応させて下記一般式(2)で表される化合物を得る工程(第一工程)および該一般式(2)で表される化合物を還元する工程(第二工程)からなる。
Figure 2012206993
一般式(1)、(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
第一工程では、塩基の存在下にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの水酸基をアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルに対してマイケル付加反応させて中間体の一般式(2)で表される化合物を得る。マイケル付加反応は、均一系反応または二層系反応で行うことができるが、副生成物の抑制の観点から均一系反応が好ましい。
均一系反応では、アクリロニトリルを大過剰に用いて無溶媒で反応を行う方法、または溶媒を用いて反応を行う方法のいずれでも良いが、反応温度を制御するために溶媒を用いた方法が好ましい。
好ましい溶媒としては、トルエンなどの芳香族系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒が挙げられる。これらのなかでも、原料であるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの溶解性および反応後の溶媒溜去の観点から、ニトリル系溶媒またはエーテル系溶媒がより好ましく、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランが更に好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
塩基は、共役酸のpKaが13以上である強塩基を用いることができる。このような強塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、グアニジン、DBUなどの有機強塩基などが挙げられる。これらのなかでも、副生成物を抑制するという観点から、ナトリウムt−ブトキシドまたはカリウムt−ブトキシドなどの第3級アルコールの共役塩基であることが好ましい。塩基の添加量としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン1モルに対して、0.00001〜0.1モルの範囲が好ましく、0.0001〜0.01モルが更に好ましく、0.0005〜0.002モルが特に好ましい。
アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルの添加量は、無溶媒で反応を行う場合では、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン1モルに対して、3〜30モルの範囲が好ましく、4〜10モルが更に好ましく、5〜8モルが特に好ましい。溶媒を用いて反応を行う場合には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン1モルに対して、3〜10モルの範囲が好ましく、3.3〜7モルが更に好ましく、3.6〜6モルが特に好ましい。
反応温度は、反応時間の短縮と副反応の抑制の観点から、−20℃〜90℃の範囲が好ましく、0℃〜80℃が更に好ましく、20℃〜70℃が特に好ましい。
反応雰囲気は、大気でも不活性ガスでもよいが、大気中の二酸化炭素によって塩基が失活することを避けるために、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
反応終了後は、pKaが12以下の化合物を加えて反応を停止させることが好ましい。pKaが12以下の化合物であれば特に制限はないが、炭酸水素ナトリウムや、硫酸水素ナトリウムなどの無機化合物は後処理が簡便であるために好ましい。反応の停止は、30℃以下冷却した後に行うことが好ましく、20℃以下で行うことが更に好ましく、10℃以下で行うことが特に好ましい。
第二工程では、前記一般式(2)で表される中間体のニトリル基をアミノ基に還元する。この還元反応はどのような還元反応でも構わないが、本発明においては水素添加反応が好ましい。
水素添加反応は、公知の方法であれば特に制限はないが、例えば、不均一系接触水素化反応で行うことができる。
不均一系接触水素化反応で用いる触媒としては、ラネーニッケル、ラネーコバルトなどのラネー触媒や、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムなどの触媒金属を炭素等の担体に担持した担持触媒が挙げられる。なかでも、反応選択性の観点から、ラネー触媒が好ましい。
溶媒は、水およびアルコール系溶媒であることが好ましく、水とアルコールとの共溶媒であることが更に好ましく、水とメタノールとの共溶媒であることが特に好ましい。
反応溶液には、副反応を抑制するために、アンモニアを共存させることが好ましい。アンモニアの添加方法は、アンモニア水を溶媒として加える方法であっても、アンモニアガスを導入する方法であってもよい。アンモニアの添加量は、反応溶液に対して、1モル/kg以上であることが好ましく、3モル/kg以上が更に好ましく、5モル/kg以上が特に好ましい。
水素圧は、特に制限はなく、0.1〜10MPaで行うことができる。
反応温度は、反応時間の短縮と副生成物の抑制の観点から、0〜100℃の範囲が好ましく、10〜50℃が更に好ましく、20〜35℃が特に好ましい。
(エポキシ硬化剤)
本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物は、分子内にアミノ基、特に反応性の高い第一級のアミノ基(−NH)を4つ有する。しかも分子構造において立体的にこれらのアミノ基が特定の距離で分布するため、エポキシ硬化剤としての性能に優れる。
本発明の一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤は、エポキシ化合物と混合することで重付加型の反応によって硬化して、いわゆるエポキシ樹脂を生成する。この硬化に際して、本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物を単独で含有しても、本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物と少なくとも1種の公知の硬化剤または硬化促進剤を併用してもよく、本発明のエポキシ硬化剤中にこれらの公知の硬化剤または硬化促進剤を含有させてもよい。
併用してもよい公知の硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、特殊ポリアミンを用いることができる。脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどが挙げられる。脂環式ポリアミンとしては、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。特殊ポリアミンとしては、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン混合物、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,5,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、N−アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
併用してもよい公知の硬化促進剤としては、脂肪酸類、安息香酸類、アルコール類、フェノール類、メルカプト類等を用いることができ、具体的には、エポキシ樹脂技術協会編,総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I,エポキシ樹脂技術協会(2003年)の第3章2項の表5に記載の化合物が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤とこれらの公知の硬化剤や硬化促進剤を併用する場合、使用する目的や使用するエポキシ化合物によっても異なるが、公知の硬化剤や硬化促進剤は、本発明の一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤100質量に対し、50質量未満が好ましく、25質量未満がより好ましく、本発明一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤を単独で使用するのがさらに好ましい。
前記エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、酸化型などの公知のエポキシ化合物を用いることができる。
グリシジルエーテル型としては、Bis−A型エポキシ化合物、Bis−F型エポキシ化合物、High−Br型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、アルコール型エポキシ化合物が挙げられる。グリシジルエステル型としては、ヒドロフタル酸型エポキシ化合物、ダイマー酸型エポキシ化合物が挙げられる。グリシジルアミン型としては、芳香族アミン型エポキシ化合物、アミノフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。酸化型としては、脂環型エポキシ化合物が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるポリアミン化合物とエポキシ化合物との配合量比は、A=(ポリアミン配合量/活性水素当量)/(エポキシ配合量/エポキシ当量)とすると、0.1<A<10の範囲が好ましく、0.5<A<2が更に好ましく、0.8<A<1.2が特に好ましい。
ここで、活性水素当量とは、ポリアミン化合物の分子量をアミノ基の水素原子数で除した値である。また、エポキシ当量とは、エポキシ化合物の分子量をエポキシ基の数で除した値である。
本発明のエポキシ硬化剤は、土木建築用接着剤、半導体用封止剤、プリント回路基板や高圧電力用モールド機器用等の絶縁材、缶用や自動車用等の塗料などに好ましく使用できる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
−本発明のポリアミン化合物の合成−
下記スキームにしたがって、本発明の下記ポリアミン化合物1(Rが水素原子)を合成した。
Figure 2012206993
3L容の三口フラスコにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン145.3g(1.2モル)、ナトリウムt−ブトキシド115mg(1.2ミリモル)、アセトニトリル1.2Lを加えて攪拌、窒素をフローしながら55℃に加熱した。次に、アクリロニトリル286.7g(5.4モル)を30分かけて滴下した後、反応溶液が均一になるまで55℃で1時間攪拌をした。その後、20℃に冷却して1時間攪拌、さらに0℃で4時間攪拌した。0℃で攪拌しながら、炭酸水素ナトリウム6.0gを添加して反応を停止させた後、濾過して無機塩を除いた。濾液を減圧濃縮することで中間体343.3gを得た。
1L容のオートクレーブに、先に得た中間体24.0g、Ni触媒48.0g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、メタノール300ml、および25%アンモニア水300mlを入れて密閉した。オートクレーブ内を窒素で2回置換した後、10Mpaの水素を導入して、25℃で16時間反応させた。反応終了後、オートクレーブ内を窒素で置換した後、反応液を取り出した。反応液中のNi触媒をセライト濾過で濾別した後、濾液を減圧濃縮することで本発明のポリアミン化合物23.8gを得た。
得られたポリアミン化合物1は、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、赤外吸収スペクトルにより同定した。同定データのチャートを図1〜3に示す。
ここで、H−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルはともに、内部標準がTMSで測定溶媒が重クロロホルムである。
実施例2
−エポキシ硬化性の評価−
本発明のポリアミン化合物1を0.37gおよび2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(東京化成)1.70gとを攪拌して十分に混合し、サンプル液Aを調製した。サンプル液Aを25℃で3日間静置した後、サンプル液Aが硬化していることを、目視および触感によって確認した。
実施例3
−エポキシ硬化性の評価−
本発明のポリアミン化合物1を0.37g、1,4−ブタンジグリシジルエーテル(和光純薬)1.01gとを攪拌して十分に混合し、サンプル液Bを調製した。サンプル液Bを25℃で3日間静置した後、サンプル液Bが硬化していることを、目視および触感によって確認した。
実施例4
−エポキシ硬化性の評価−
本発明のポリアミン化合物1を0.37g、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(東京化成)1.42gとを攪拌して十分に混合し、サンプル液Cを調製した。サンプル液Cを25℃で3日間静置した後、サンプル液Cが硬化していることを、目視および触感によって確認した。
実施例5
本発明のポリアミン化合物2(Rがメチル基)を0.426gおよび2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(東京化成)1.70gとを攪拌して十分に混合し、サンプル液Dを調製した。サンプル液Dを25℃で3日間静置した後、サンプル液Dが硬化していることを、目視および触感によって確認した。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるポリアミン化合物。
    Figure 2012206993
    一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
  2. 下記一般式(1)で表されるエポキシ硬化剤。
    Figure 2012206993
    一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
  3. トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンをアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルと反応させて下記一般式(2)で表される化合物を得る工程および該一般式(2)で表される化合物を還元する工程からなる下記一般式(1)で表されるポリアミン化合物の製造方法。
    Figure 2012206993
    一般式(1)、(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
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