JP2012206604A - 電動パワーユニット - Google Patents

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純孝 小川
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Abstract

【課題】簡単な構成によって幅広い回転域でモータ特性を補うことを可能とする電動パワーユニットを提供する。
【解決手段】モータMにより後輪WRを駆動する電動二輪車1の電動パワーユニットPにおいて、モータMの一方向の回転のみを伝達する第1のワンウェイクラッチ42aおよびモータMの他方向の回転を伝達する第2のワンウェイクラッチ43aと、第1のワンウェイクラッチ42aに接続されると共に第1の減速比を構成する第1のギヤ列Hと、第2のワンウェイクラッチ43aに接続されると共に第1のギヤ列Hに対して後輪WRの回転方向が同方向となるようにアイドルギヤ45が付加されて第2の減速比を構成する第2のギヤ列Lとを具備することで、モータMの正逆回転方向の切り替えに伴う変速動作を可能とする。第1および第2のワンウェイクラッチ42a,43aをモータ出力軸41上に隣接配置する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動パワーユニットに係り、特に、モータの回転速度を所定の減速比で減速して駆動輪に伝達する電動パワーユニットに関する。
従来から、車載バッテリから供給される電力でモータを駆動し、このモータの回転駆動力を駆動輪に伝達して走行する電動車両が知られている。
特許文献1には、車体に揺動可能に取り付けられたユニットスイング式の電動パワーユニットを備えるスクータ型の電動二輪車において、電動モータから駆動輪に至る駆動力伝達経路上に、モータの回転速度が所定値を超えると駆動力を伝達する遠心クラッチを設けた構成が開示されている。
この電動パワーユニットによれば、モータの回転数がある程度上昇してから駆動輪の負荷がかかることとなり、発進時の駆動トルクを補うことが可能となるので、低回転域での良好なトルク特性よりも高回転域での低フリクション性に優れたモータを使用することが可能となる。
特開2010−247811号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、遠心クラッチで補うことができる駆動トルクの範囲は発進時付近の狭い範囲のみであり、低回転から高回転領域に至るまでの全域でモータ特性を補うことはできなかった。また、遠心クラッチを備える分だけ部品点数が増加し、かつ電動パワーユニットが軸方向に大型化してしまうという課題もあった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、簡単な構成によって幅広い回転域でモータ特性を補うことを可能とする電動パワーユニットを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、モータ(M)により駆動輪(WR)を駆動する電動車両(1)の電動パワーユニット(P)において、前記モータ(M)の一方向の回転のみを伝達する第1のワンウェイクラッチ(42a,152)および前記モータ(M)の他方向の回転を伝達する第2のワンウェイクラッチ(43a,155)と、前記第1のワンウェイクラッチ(42a,152)に接続されると共に、第1の減速比を構成する第1のギヤ列(H,H3)と、前記第2のワンウェイクラッチ(43a,155)に接続されると共に、前記第1のギヤ列(H,H3)に対し前記駆動輪(WR)の回転方向が同方向となるようにアイドルギヤ(45)が付加されて第2の減速比を構成する第2のギヤ列(L,L3)とを具備する点に第1の特徴がある。
また、前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)は、前記モータ(M)の出力軸(41)上に隣接して設けられており、前記第1のギヤ列(H)および第2のギヤ列(L)は、前記モータ(M)が取り付けられる伝動ケース(60)に減速機ケース(72a)が取り付けられて設けられた収容空間(72)に収納される点に第2の特徴がある。
また、前記第1のワンウェイクラッチ(152)および第2のワンウェイクラッチ(155)は、前記モータ(M)を挟んで該モータ(M)の出力軸(150)の両端に設けられる点に第3の特徴がある。
また、前記第1のギヤ列(H)および第2のギヤ列(L)は、前記モータ(M)の出力軸(41)と前記駆動輪(WR)の車軸(46)との間に設けられたギヤ列で構成されており、前記アイドルギヤ(45)は、車体側面視で、前記モータ(M)の出力軸(41)と前記車軸(46)との間かつ車体下方の位置に配設される点に第4の特徴がある。
また、前記第2の減速比は、前記第1の減速比より大きい値とされる点に第5の特徴がある。
また、前記モータ(M)の回転方向を制御する制御装置(70)を備え、前記制御装置(70)は、車速およびスロットル開度に基づいて負荷の大きさを規定するデータテーブルを用いて低負荷領域または高負荷領域であることを判別する判別手段(70a)を備えると共に、前記低負荷領域においては、前記第2のワンウェイクラッチ(43a)の接続方向に前記モータ(M)を駆動し、前記高負荷領域においては、前記第1のワンウェイクラッチ(42a)の接続方向に前記モータ(M)を駆動させる点に第6の特徴がある。
また、前記データテーブルにおいて、前記モータ(M)の回転方向を切り替える境界として正転用と逆転用の2つのライン(A,B)を設定し、前記2つのライン(A,B)の間では、前記モータ(M)の正転および逆転の両方の状態を存在させ、前記モータ(M)の回転方向の切り替えタイミングにヒステリシスを持たせる点に第7の特徴がある。
また、前記モータ(M)の出力軸(41)の一端側に設けられる前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)に対して、前記モータ(M)を挟んだ他端側の位置に、前記モータ(M)が正逆いずれの方向に回転しても接続されるツーウェイ式の遠心クラッチ(80)が配置されており、前記出力軸(41)に、前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)と、前記遠心クラッチ(80)のクラッチアウタ(83)とが支持されており、前記出力軸(41)を回転自在に挿通する円筒状の外側出力軸(41a)に、前記遠心クラッチ(80)のクラッチインナ(83)が支持されている点に第8の特徴がある。
また、前記制御装置(70)が、前記モータ(M)の回転方向を切り替えるための減速駆動時に、前記モータ(M)の駆動力を漸次低減させる漸減制御手段(200)と、前記モータ(M)への通電量がゼロとなった後に前記モータ(M)の惰性回転に電磁ブレーキをかける電磁ブレーキ制御手段(201)とを具備する点に第9の特徴がある。
さらに、前記制御装置(70)が、前記モータ(M)の回転方向の切り替えるための加速駆動時に検出された車速と前記モータ(M)の回転数の差に応じて、前記モータ(M)への通電デューティを変化させて前記第1または第2のワンウェイクラッチ(42a,43a)の接続回転数近傍にて前記モータ(M)の駆動力を低減させるクラッチ接続制御手段(202)と、前記第1または第2のワンウェイクラッチ(42a,43a)が接続された後に前記モータ(M)の駆動力を徐々に増加させる漸増制御手段(203)とを具備する点に第10の特徴がある。
第1の特徴によれば、モータの一方向の回転のみを伝達する第1のワンウェイクラッチおよびモータの他方向の回転を伝達する第2のワンウェイクラッチと、第1のワンウェイクラッチに接続されると共に、第1の減速比を構成する第1のギヤ列と、第2のワンウェイクラッチに接続されると共に、第1のギヤ列に対し駆動輪の回転方向が同方向となるようにアイドルギヤが付加されて第2の減速比を構成する第2のギヤ列とを具備するので、モータの正逆両方向の回転を使って、第1と第2のギヤ列において、2つの変速比を備えることができ、車両の低速から高速までの幅広い運転範囲でモータの低速トルクと高回転化という相反する課題を解決することが可能となる。
第2の特徴によれば、第1のワンウェイクラッチおよび第2のワンウェイクラッチは、モータの出力軸上に隣接して設けられており、第1のギヤ列および第2のギヤ列は、モータが取り付けられる伝動ケースに減速機ケースが取り付けられて設けられた収容空間に収納されるので、第1のギヤ列および第2のギヤ列を専用の収容空間に収納できるため、ギヤの潤滑(グリス封入)などの措置をまとめて効率よく行うことが可能となる。
第3の特徴によれば、第1のワンウェイクラッチおよび第2のワンウェイクラッチは、モータを挟んで該モータの出力軸の両端に設けられるので、駆動輪の軸方向に対してモータを内側に追い込むことができ、これにより、駆動輪とモータとの距離を近づけて車両の運動性能を向上させることが可能となる。
第4の特徴によれば、第1のギヤ列および第2のギヤ列は、モータの出力軸と駆動輪の車軸との間に設けられたギヤ列で構成されており、アイドルギヤは、車体側面視で、モータの出力軸と車軸との間かつ車体下方の位置に配設されるので、電動パワーユニットの低重心化を図ることが可能となる。
第5の特徴によれば、第2の減速比は第1の減速比より大きい値とされるので、低速の時には、第2のギヤ列を用いることでアイドルギヤを介して減速比をかせいでトルクを増幅して駆動輪を駆動することができるうえ、中・高速時にはアイドルギヤを介さない第1のギヤ列を用いてフリクションを小さくすることができ、モータにかかる負荷が少なくてすみ高回転化が容易となる。
第6の特徴によれば、モータの回転方向を制御する制御装置を備え、制御装置は、車速およびスロットル開度に基づいて負荷の大きさを規定するデータテーブルを用いて低負荷領域または高負荷領域であることを判別する判別手段を備えると共に、低負荷領域においては、第2のワンウェイクラッチの接続方向にモータを駆動し、高負荷領域においては、第1のワンウェイクラッチの接続方向にモータを駆動させるので、予め実験等で定められたデータテーブルを用いて、モータの回転方向を容易に判定することが可能となる。これにより、低負荷領域では低速ギヤ列を用いて回転駆動力を伝達し、一方、高負荷領域では高速ギヤ列を用いて回転駆動力を伝達することで、幅広い回転域でモータ特性を補うことが可能となる。
第7の特徴によれば、データテーブルにおいて、モータの回転方向を切り替える境界として正転用と逆転用の2つのラインを設定し、2つのラインの間では、モータの正転および逆転の両方の状態を存在させ、モータの回転方向の切り替えタイミングにヒステリシスを持たせるので、モータの正転と逆転の間では、モータの回転が止まってから回転方向が切り換わるタイムラグが存在し、ハンチングが発生すると駆動力抜けが大きくなる可能性があるが、ヒステリシスを持たせることによってこれを防止することが可能となる。
第8の特徴によれば、モータの出力軸の一端側に設けられる第1のワンウェイクラッチおよび第2のワンウェイクラッチに対して、モータを挟んだ他端側の位置に、モータが正逆いずれの方向に回転しても接続されるツーウェイ式の遠心クラッチが配置されており、出力軸に、第1のワンウェイクラッチおよび第2のワンウェイクラッチと、遠心クラッチのクラッチアウタとが支持されており、出力軸を回転自在に挿通する円筒状の外側出力軸に、遠心クラッチのクラッチインナが支持されているので、低レシオと高レシオの2つの減速ギヤ列でモータの低速から高速までのトルクをカバーするだけでなく、モータの正逆両方向の回転で遠心クラッチが作用するため、スタート時のトルク不足を補うこともできる。また、ツーウェイ式の遠心クラッチと、第1および第2のギヤ列とがモータの左右に振り分けて配置されるので、電動パワーユニットとしてのモータ軸方向での重量バランスがよくなり、車両への取付自由度を高めることが可能となる。
第9の特徴によれば、制御装置が、モータの回転方向を切り替えるための減速駆動時に、モータの駆動力を漸次低減させる漸減制御手段と、モータへの通電量がゼロとなった後にモータの惰性回転に電磁ブレーキをかける電磁ブレーキ制御手段とを具備するので、モータの回転方向を一方側から他方側に切り替える際に、一方側における減速をスムーズに実行して乗員に駆動力抜けが生じている感覚を与えないようにすると共に、さらに電磁ブレーキにより素早く減速することで、回転方向の切り替え制御にかかる時間を短縮することが可能となる。
第10の特徴によれば、制御装置が、モータの回転方向の切り替えるための加速駆動時に検出された車速とモータの回転数の差に応じて、モータへの通電デューティを変化させて第1または第2のワンウェイクラッチの接続回転数近傍にてモータの駆動力を低減させるクラッチ接続制御手段と、第1または第2のワンウェイクラッチが接続された後にモータの駆動力を徐々に増加させる漸増制御手段とを具備するので、モータの回転方向を一方側から他方側に切り替える際に、他方側の回転駆動を実現するワンウェイクラッチ接続時のショックを低減させると共に、ワンウェイクラッチ接続後の加速をスムーズに実行することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電動パワーユニットを備えた電動二輪車の側面図である。 電動パワーユニットの側面図である。 電動パワーユニットの平面視断面図である。 電動パワーユニットの回転駆動力の伝達経路を示す模式図である。 2ウェイ遠心クラッチの構造説明図である。 本実施形態の変形例に係る電動パワーユニットの側面図である。 本実施形態の変形例に係る電動パワーユニットの平面視断面図である。 本実施形態の第2変形例に係る電動パワーユニットの回転駆動力の伝達経路を示す模式図である。 モータの制御装置の構成を示すブロック図である。 モータの回転方向の切り替えタイミングを規定するマップである。 本実施形態の変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 制御装置によるモータ駆動制御の手順を示すフローチャートである。 シフトアップ制御の手順を示すサブフローである。 モータを正転から逆転に転じる際の駆動力漸減を生じさせるためのモータ駆動デューティの変化を示すグラフである。 モータを正転から逆転に転じる際の駆動力漸減の変化を示すグラフである。 モータを正転から逆転に転じる際に第1のワンウェイクラッチが接続されるまでのモータ駆動デューティの変化を示すグラフである。 モータを正転から逆転に転じる際に第1のワンウェイクラッチが接続された後のモータ駆動デューティの変化を示すグラフである。 モータが正転から逆転に転じた後の駆動力変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーユニットPを備えた電動二輪車1の側面図である。電動二輪車1は、低床フロア28を有するスクータ型の鞍乗型電動車両であり、ユニットスイング式の電動パワーユニットPに内蔵された電動モータMが発揮する回転駆動力によって、車軸46で軸支された後輪WRを回転駆動するように構成されている。
車体フレーム2のメインフレーム15の前端部には、ステアリングステム4を回転自在に軸支するヘッドパイプ3が固定されている。ステアリングステム4の上部には操向ハンドル8が連結されており、一方の下部には、アンダブラケット19を介して左右一対のフロントフォーク6が連結されている。
前輪WFは、フロントフォーク6の下端部に回転自在に軸支されており、フロントフォーク6の上部にはフロントフェンダ24が取り付けられている。ヘッドパイプ3から後下がりに延びるメインフレーム15の下部には、湾曲部5を介して後方に延びる左右一対のアンダフレーム9が連結されている。アンダフレーム9の後端には、後上がりに延びる左右一対のリヤフレーム14が連結されている。
アンダフレーム9からリヤフレーム14が立ち上がる部分には、ピボット軸12を支持する左右一対のピボットプレート13が固定されている。ピボット軸12には、電動パワーユニットPの前端部が揺動可能に支承されている。電動パワーユニットPの後部は、リヤショックユニット71によって車体左側のリヤフレーム14に吊り下げられている。
電動パワーユニットPは、車幅方向左側のアーム部のみで後輪WRを軸支する片持ち式のスイングアームとして機能する。モータMの出力を制御するPDU(パワー・ドライブ・ユニット)37は、アーム部の前方かつピボット軸12の直後の位置に配設されている。
ヘッドパイプ3の車体前方側には外装部品としてのフロントカバー17が配設されている。フロントカバー17の車体後方側には、シート34に座った乗員の脚部を前方から覆うレッグシールド18が配設されており、レッグシールド18の下部には、乗員の足を載せる低床フロア28が連結されている。操向ハンドル8の車幅方向中央はメータ装置(不図示)を支持するハンドルカバー16で覆われている。
フロントカバー17の車体前方には、ヘッドパイプ3に固定されたフロントステー7によってヘッドライト22が支持されており、ヘッドライト22の後方にはホーン23が配設されている。フロントステー7には、荷物カゴ21等を取り付け可能なフロントキャリア20が固定されている。一方、シート34の後方には、リヤフレーム14に着脱可能なリヤキャリア39が配設されている。リヤフレーム14の後端部には、尾灯装置40が取り付けられている。
低床フロア28の下方には、モータMに電力を供給する高電圧のバッテリ31が配設されている。バッテリ31は、左右のアンダフレーム9に挟まれるように支持された略直方体のバッテリケース30に収納されている。左右のアンダフレーム9間には、バッテリケース30の略中央部を跨ぐクロス部材29が設けられており、低床フロア28は該クロス部材29によって支持されている。
アンダフレーム9の前部でメインフレーム15の下端には、バッテリケース30の前側下部を保護する前側保護部材8が連結されている。また、両アンダフレーム9の後部には、バッテリケース30の後部下部を保護する後側保護部材11が設けられている。アンダフレーム9の車幅方向両側には、低床フロア28の下部に連結された左右一対のアンダカバー10が配設されている。
バッテリケース30の前部には、左右一対の冷却空気導入ダクト26が連結管27を介して接続されている。冷却空気導入ダクト26は、レッグシールド18の内側で、メインフレーム15を車幅方向両側から挟むように延設されている。一方、バッテリケース30の後部上方には、冷却空気導入ダクト26からの外気の導入を促進する冷却ファン32が取り付けられており、導入された外気によりバッテリ31が冷却される。
左右のリヤフレーム14の間には、シート34の下方に配置される合成樹脂製の収納ボックス33が、両リヤフレーム14で挟まれるようにして配置されている。収納ボックス33は、開閉可能なシート34によって上方から蓋がされる構成とされ、収納ボックス33の後側下部には、灯火器等に電力を供給する低電圧のバッテリ36を収納する収納凹部35が下方に突出して一体に形成されている。
電動パワーユニットPは、車体後方寄りに配設されたモータMの回転駆動力を、歯車減速機を介して後輪WRの車軸46に伝達する構成を有する。そして、本実施形態では、モータMの正逆回転方向を切り替えることで、モータMの回転速度を車軸46に伝達する際の変速比を、2種の固定値間で任意に切り替え可能に構成されている。
具体的には、2つのワンウェイクラッチを用いることにより、モータMの逆転時(本実施形態では図示時計回り)には、減速比の小さい高速ギヤ列を介して車軸46に回転駆動力を伝達し、一方、モータMの正転時には、減速比の大きい低速ギヤ列を介して車軸46に回転駆動力を伝達することができる。
第1のギヤ列としての高速ギヤ列は、モータ出力軸41と同軸の高速側駆動ギヤ42と、高速側駆動ギヤ42に噛合して車軸46に固定される高速側従動ギヤ47とによって構成されている。
一方、第2のギヤ列としての低速ギヤ列は、モータ出力軸41と同軸の低速側駆動ギヤ43、該低速側駆動ギヤ43に噛合すると共にアイドルギヤ軸44に支持されるアイドルギヤ45、該アイドルギヤ45に噛合して車軸46に固定される低速側従動ギヤ79によって構成されている。
図2は、電動パワーユニットPの側面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。この図では、モータM等の主要部品を支持する伝動ケース60から、その車幅方向左側に取り付けられている伝動ケースカバー78(図3参照)を取り外した状態を示している。
アイドルギヤ45が固定されるアイドルギヤ軸44の軸心44cは、車体側面視で、モータ出力軸41の軸心41cおよび車軸46の軸心46cより車体下方側に配設されている。これにより、伝動パワーユニットPの低重心化を図ることができる。
伝動ケース60の外周部で伝動ケースカバー78との接触面には、複数のボルト締結孔59が形成されている。伝動ケース60の車体前端部には、ピボット軸12を通す貫通孔12aが形成されている。モータドライバ37は、電動パワーユニットPの上面側に開口部を有する収納スペースに収納されている。モータドライバ37は、この収納スペースに収められて、ピボット軸12寄りの車体前方側の位置に配設されている。
モータドライバ37とモータMとの間には、電源供給ラインとしての、U相配線55、V相配線56、W相配線57が配索されている。3本の配線は、端子51,52,53によってモータドライバ37に接続されている。また、3本の配線は、伝動ケース60に取り付けられた案内板58によって伝動ケース60の内壁側に寄せられている。
モータMは、ステータケース62に対して締結部材62aによって固定されたステータ63と、モータ出力軸41と同軸配置されたロータ64とからなるインナーロータ式とされる。モータ出力軸41の外周部には、モータMの回転速度センサ61が配設されている。前記した案内板58には、回転速度センサ61のコネクタ54が支持されている。また、モータMの車体後方側には、車軸46に固定された高速側従動ギヤ47および低速側従動ギヤ79(図3参照)の回転速度を検知する車速センサ66が配設されている。車速センサ66の配線65も案内板58の車幅方向右側を通るように構成されている。
伝動ケース60の下部には、車体を直立状態で保持するスタンド装置の取付部50が設けられている。また、伝動ケース60の後端部には、リヤショックユニット71(図1参照)の下端部を軸支する下側支持部71aが設けられている。
図3は、電動パワーユニットPの平面視断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。電動パワーユニットPは、左右一対のピボットプレート13に対して、ピボット軸12を介して揺動自在に軸支されている。ピボット軸12は、ネジ頭75を有する長尺のボルトであり、ブッシュ74を介して電動パワーユニットP側のボス73に支持される円筒カラー76に挿嵌され、車幅方向右側のナット77で固定されている。
ブッシュ74は、円筒カラー76に熱固着されており、ブッシュ74の外周側には、厚みの小さいカラー部材が熱固着されている。そして、該カラー部材およびブッシュ74がボス73の貫通孔に圧入されることで、電動パワーユニットPの車幅方向の位置が規定されることとなる。
電動パワーユニットPの車体前方側には、モータドライバ37を収納する幅広ケース部38aが形成されている。幅広ケース部38aの車体上部には、モータドライバ37を冷却するための複数の放熱フィン(不図示)を形成することができる。モータドライバ37は、電動二輪車1の前後輪を通る車体中心線Cを車幅方向に跨ぐようにして電動パワーユニットPの前方寄りに配設される。
本実施形態に係る電動パワーユニットPは、左側のアーム部のみで後輪WRを軸支する片持ち式スイングアームを兼ねており、このアーム部の車体後方側の位置に、モータM、回転駆動力の断接機構としての遠心クラッチ80、減速機構Tが集中配置されている。モータMは、伝動ケース60の内壁に固定されるステータ63と、外側モータ出力軸41aに固定されたロータ64とからなるインナーロータ式とされる。
遠心クラッチ80は、摩擦材82を有するクラッチシュー81が設けられる円盤状のクラッチインナ86と、クラッチシュー81によって生じる摩擦抵抗力により被動回転される有底円筒状のクラッチアウタ83とから構成されている。クラッチインナ86は、円筒状の外側モータ出力軸41aの図示左側端部に固定されており、一方、クラッチアウタ83は、外側モータ出力軸41aの内側に回転自在に挿通されるモータ出力軸41に固定されている。外側モータ出力軸41aとモータ出力軸41とは、軸受85,87によって相互回転可能に構成されている。
遠心クラッチ80は、外側モータ出力軸41aが所定回転以上になる、すなわち、クラッチインナ86が所定回転以上になると、クラッチシュー81が径方向外側に移動して摩擦抵抗力を発生し、クラッチアウタ83を被動回転させるように構成されている。
図5を併せて参照して、本実施形態に係る遠心クラッチ80は、モータMの回転方向が正逆どちらであっても回転駆動力の伝達が可能な2(ツー)ウェイ式とされている。遠心クラッチ80には、正転用の一対のクラッチシュー81と、逆転用の一対のクラッチシュー81aとを備えている。
これにより、外側モータ出力軸41aが逆回転(図示時計回り)する際には、クラッチシュー81がリターンスプリング98の付勢力に抗して揺動軸97を中心に揺動し、摩擦材82がリーディング方向でクラッチアウタ83に接触する。一方、外側モータ出力軸41aが正回転する際には、クラッチシュー81aがリターンスプリング98の付勢力に抗して揺動軸97aを中心に揺動し、摩擦材82aがリーディング方向でクラッチアウタ83に接触する。
図4は、電動パワーユニットPの回転駆動力の伝達経路を示す模式図である。図3を併せて参照して、モータ出力軸41に伝達された回転駆動力は、減速機構Tを介して車軸46に伝達される。減速機構Tは、高速側駆動ギヤ42および高速側従動ギヤ47からなる高速ギヤ列Hと、低速側駆動ギヤ43、アイドルギヤ45および低速側従動ギヤ79からなる低速ギヤ列Lとからなる。減速機構Tは、減速機ケース72aによって形成される収容空間72に収納されている。
そして、高速側駆動ギヤ42とモータ出力軸41との間には、モータMの正転時にのみ高速側駆動ギヤ42に回転駆動力を伝達する第1のワンウェイクラッチ42aが設けられており、一方、低速側駆動ギヤ43とモータ出力軸41との間には、モータMの逆転時にのみ低速側駆動ギヤ43に回転駆動力を伝達する第2のワンウェイクラッチ43aが設けられている。換言すれば、第1のワンウェイクラッチ42aは、モータMの逆転時に空転し、また、第2のワンウェイクラッチ42aは、モータMの正転時に空転することとなる。これにより、電動パワーユニットPは、モータMを逆転させることで、高速ギヤ列Hを介して車軸46に回転駆動力を伝達する一方、モータMを正転させることで、低速ギヤ列Lを介して車軸46に回転駆動力を伝達することを可能とする。
上記した構成により、電動パワーユニットPは、モータMの回転方向を切り替えることにより2つの変速ギヤ列を相互に切り替えて変速動作を行うことが可能となる。すなわち、発進時等にはモータMを正転させて低速トルクを補うと共に、車速等の所定条件が満たされるとモータMを逆転に切り替えて、高速走行に適した減速比で走行することができる。高速ギヤ列Hは、ギヤの数が1枚少ないぶん低速ギヤ列Lより回転時のフリクションが小さくなるため、負荷が大きくなる高速走行により一層適している。
また、モータMの軸方向の両側に遠心クラッチ80と減速機構Tとを分散配置することにより、電動パワーユニットPの車幅方向の重量バランスに偏りがなくなり、車体側への取付自由度を高めることが可能となる。
さらに、減速機構Tが、減速機ケース72aによって形成される収容空間72に収納されているため、2つのワンウェイクラッチへのグリスの封入や高速ギヤ列および低速ギヤ列の潤滑をまとめて効率よく行うことができる。
モータ出力軸41は、図示左端部で伝動ケースカバー78の軸受84に軸支されると共に、図示右方側で伝動ケース60の軸受88および減速機カバー72aの軸受89に軸支されている。また、車軸46は、伝動ケース60の軸受91および減速機カバー72aの軸受92に軸支されている。車軸46の図示右端部には、後輪WRのホイール93が、カラー94を介して固定されている。ホイール93の内径側には、ライナー96を有するブレーキドラムが形成されており、その内側には、上下一対のブレーキシュー95が収納されている。
図6は、本実施形態の変形例に係る電動パワーユニットP2の側面図である。また、図7は、本実施形態の変形例に係る電動パワーユニットP2の平面視断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本変形例に係る電動パワーユニットP2は、前記した電動パワーユニットPに対して、遠心クラッチを有してない点と、伝動ケースが前後分割可能に構成されている点のみが相違する。以下では、前記した電動パワーユニットPとの相違点のみを説明する。
本変形例では、電動パワーユニットP2が、PDU37が配設される前側伝動ケース101と、モータMおよび減速機構Tが配設される後側伝動ケース102とからなり、両者が締結部材103によって固定されている点に特徴がある。この構成によれば、同一の後側伝動ケース102を、前側伝動ケースの構造が異なる他の機種に適用することが可能となり、ユニット単位での部品の共通化を図って生産効率を高めることができる。また、遠心クラッチを有していないため、モータ出力軸103の構造が簡略化できると共に、モータMの車幅方向左側にはモータ出力軸103の軸受104を有するモータカバー105を設けるのみでよくなり、後側伝動ケース102の車幅方向の寸法を大幅に低減できる。
図8は、本実施形態の第2変形例に係る電動パワーユニットP3の回転駆動力の伝達経路を示す模式図である。減速機構を構成する高速ギヤ列H3および低速ギヤ列L3は、モータMの軸方向両側に分散配置することもできる。
高速ギヤ列H3は、モータ出力軸150と同軸の高速側駆動ギヤ151と、高速側駆動ギヤ151に噛合して車軸160に固定される高速側従動ギヤ153とによって構成されている。また、低速ギヤ列L3は、モータ出力軸150と同軸の低速側駆動ギヤ154、低速側駆動ギヤ154に噛合するアイドルギヤ156、アイドルギヤ軸157に軸支されてアイドルギヤ156に噛合して車軸160に固定される低速側従動ギヤ158によって構成されている。
高速側駆動ギヤ151は、モータMの正転時にのみ回転駆動力を伝達する第1のワンウェイクラッチ152を介してモータ出力軸150に取り付けられ、低速側駆動ギヤ154は、モータMの逆転時にのみ回転駆動力を伝達する第2のワンウェイクラッチ155を介してモータ出力軸150に取り付けられる。
上記した配置によれば、駆動輪とモータMとの軸方向の距離を低減できるので、軸方向の重量を車体中心側に寄せて電動二輪車1の運動性能を高めることができる。
図9は、モータの制御装置70およびその周辺機器の構成を示すブロック図である。また、図10は、モータMの回転方向の切り替えタイミングを規定するデータテーブルである。制御装置70は、スロットル開度センサ99、車速センサ66およびモータ回転数センサ61のセンサ情報に基づいて、モータMの回転速度および回転方向を決定し、モータMを駆動制御する。制御装置70には、モータ回転方向判別手段70aが含まれる。モータ回転方向判別手段70aは、車速センサ66で検知された車速およびスロットル開度センサ99で検知されたスロットル開度に応じて、負荷の大小を判別してモータMの回転方向を導出する。すなわち、制御装置70は、高負荷領域では高速ギヤ列Hを用いる逆転駆動とし、低負荷領域では低速ギヤ列Lを用いる正転駆動を行うようにモータMを制御する。
図10に示すデータテーブルでは、モータMを正転から逆転に切り替える際に適用される、すなわち正転用の境界(ライン)Aと、モータMを逆転から正転に切り替える際に適用される、すなわち逆転用の境界(ライン)Bとが離間して設定されている。これにより、正転から逆転への切り替え動作と逆転から正転への切り替え動作との間にヒステリシスが設けられる。
具体的には、スロットル開度が開度θ1のとき、正転から逆転への切り替えは車速V2で実行され、一方、逆転から正転への切り替えは車速V2より低い車速V1で実行されることとなる。これは、ヒステリシスを設けない場合に境界近傍でハンチングが生じて、モータ回転速度が上がらずに駆動力抜けが生じることを防ぐための設定である。
図11は、本実施形態の変形例に係る制御装置70およびその周辺機器の構成を示すブロック図である。前記と同一符号は同一または同等部分を示す。本変形例では、制御装置70に、モータ回転方向判別手段70aに加えて、漸減制御手段200、電磁ブレーキ制御手段201、クラッチ接続制御手段202および漸増制御手段203が設けられている点に特徴がある。
漸減制御手段200および電磁ブレーキ制御手段201は、モータMの回転方向を一方側から他方側に切り替える際に、一方側における減速駆動をスムーズに行うと共に切り替え制御の所用時間を短縮するために機能する。一方、クラッチ接続制御手段202および漸増制御手段203は、モータMの回転方向を一方側から他方側に切り替える際に、他方側における加速駆動をスムーズに行うと共に回転方向切り替え制御の所用時間を短縮するために機能するものである。
図12は、制御装置70によるモータ駆動制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、低速ギヤ列Lで加速中に高速ギヤ列に切り替えるシフトアップ時の制御を示す。ステップS1では、車速センサ66によって車速Vが検出され、ステップS2では、スロットル開度センサ99によってスロットル開度θが検知される。
ステップS3では、モータMが正転駆動中であるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS4に進み、図10に示したデータテーブルに検知された車速Vおよびスロットル開度θを適用して、モータ回転領域の検索処理が実行される。続くステップS5では、このデータテーブル上でモータMが正転領域にあるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS6に進んで、そのままモータ正転駆動を継続する。一方、ステップS5で否定判定されると、ステップS7に進んで、モータMを正転駆動から逆転駆動に切り換えるシフトアップ制御が実行される。
また、ステップS3で否定判定される、すなわち逆転駆動中であると判定されると、ステップS8に進んで、図10に示したデータテーブルの検索が実行される。続くステップS9では、モータMが逆転領域にあるか否かが判定され、肯定判定されるとステップS10に進んで、そのままモータ逆転駆動を継続する。一方、ステップS9で否定判定されると、ステップS11に進んで、モータMを逆転駆動から正転駆動に切り換えるシフトダウン制御が実行される。
図13は、図12のステップS7に示したシフトアップ制御の手順を示すサブフローである。本実施形態では、低速ギヤ列で加速中に高速ギヤ列に切り替える、すなわち、正転駆動で加速中に逆転駆動に切り替える際に、モータ駆動力が急に抜けて減速するような感覚を乗員に与えないように、回転方向の切り替え制御の開始時に、モータMの駆動力を徐々に弱めるように設定されている。
まず、ステップS20では、図14に示すテーブルCの検索が実行される。テーブルCは、回転方向切り替え制御の開始時、すなわち、図10に示すデータテーブルで正転領域から逆転領域に移行してからの時間経過に伴って、モータMのデューティCを100%から時刻t1におけるゼロまで漸減させるように設定されている。続くステップS21では、モータ駆動力×デューティCによりモータ駆動力が決定される。この駆動力の漸減制御は、漸減制御手段200(図11参照)によって実行される。これにより、モータMは、図15のグラフの傾斜部cに示すように、漸減制御が開始される時刻t2における回転速度V1から所定の減速度で減速される。
図13のステップS22では、一定時間が経過したか否かが判定され、肯定判定されるとステップS23に進み、否定判定されるとステップS20に戻る。ステップS23では、モータMを停止させるために電磁ブレーキ出力制御が実行される。これは、駆動力抜け感を与えないために漸減制御を実行するのは一定時間の間とし、その後は、逆に電磁ブレーキ制御によって積極的にモータMの正転駆動にブレーキをかけて、駆動力抜けの時間を可能な限り短縮するためである。
モータMは、HI側およびLO側からなるFETの組を2組有するH型ブリッジによって駆動されている。そして、正転駆動時は、一方側のHI側およびLO側のFETを共にオンとすると共に他方側の1組を共にオフとし、また、逆転駆動時は、このオンオフ関係を逆にすることで正逆方向の切り替えを可能としている。上記した電磁ブレーキは、2つのLO側のFETをオンにすることで、モータMとアースとによって閉回路を構成し、逆向きに生じる起電力によってモータMにブレーキをかけるものである。
ステップS24では、モータMが停止したか否かが判定され、肯定判定されるとステップS25に進み、否定判定されるとステップS23に戻って電磁ブレーキ制御を継続する。次に、ステップS25では、クラッチ回転速度差ΔNeが算出される。
前記したように、クラッチ接続制御手段202および漸増制御手段203は、モータMの回転方向を一方側から他方側に切り替える際に、他方側に切り替わった後の加速をスムーズに実行すると共に切り替え制御の所用時間を短縮するために機能するものである。すなわち、ここでは、モータMが逆転に転じた後の加速時が制御対象となる。
ステップS25におけるクラッチ回転速度差ΔNeは、モータMのモータ駆動軸41の回転速度と、高速ギヤ列Hの減速比を考慮した車軸46の回転速度との差によって求められる。すなわち、クラッチ回転速度差ΔNeは、第1ワンウェイクラッチ42aを接続するために埋める必要のある回転速度に相当する。
ステップS26では、図16に示すテーブルDの検索が実行される。テーブルDは、クラッチ回転速度差ΔNeが所定値を下回る場合には、ΔNeの減少に伴ってモータMのデューティDを所定の下限値までの間で徐々に減少させるように設定されている。続くステップS27では、このテーブルDで導出されたデューティDによってモータMを駆動することで、ΔNeが小さい場合は第1のワンウェイクラッチ42a(図3参照)が接続される際のショックを低減し、かつ、ΔNeが大きい場合は素早く加速してモータMの正転から逆転への切り替えが素早く実行されるように構成されている。
次に、ステップS28では、回転数差がゼロ以下になったか否かが判定され、肯定判定されるとステップS29に進み、否定判定されるとステップS25に戻る。ステップS29では、図17に示すテーブルEの検索が実行される。テーブルEは、第1のワンウェイクラッチ42aが接続されてからの時間経過に伴って、モータMのデューティEを100%まで漸増させるように設定されている。ステップS30では、モータ駆動力×EによってモータMを駆動することで、第1のワンウェイクラッチ42aが接続されてからの駆動力を徐々に増大させる。この駆動力の漸減制御は、漸増制御手段203(図11参照)によって実行され、これにより、モータMが逆転方向に加速する際の駆動力変動を低減することが可能となる。上記したような駆動力制御により、図18に示すグラフの時刻t1〜t2の斜線dおよび時刻t2〜t3の斜線eのように、逆転に切り替わった後の加速が2段階で実行されることとなり、スムーズかつ迅速な切り替え制御を可能としている。
そして、ステップS31では、一定時間が経過したか否かが判定され、否定判定されるとステップS29に戻り、一方、肯定判定されると、そのまま一連の制御を終了する。なお、図11〜18を用いて説明した、モータ回転方向の切り替え制御は、モータMを逆転から正転に切り替える際にも同様に実行することができる。これにより、高速ギヤ列Hで走行中に素早く加速するために低速ギヤ列Lに切り替える、いわゆる、キックダウン変速が実行される際の変速ショックを低減することが可能となる。
なお、電動パワーユニットを構成する伝動ケースの形状、減速ギヤを収納する減速機ケースの形状、ワンウェイクラッチの構造や形状、ワンウェイクラッチの配設位置、ツーウェイ遠心クラッチの構造、高速ギヤ列および低速ギヤ列の変速比の比率や軸配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、伝動ケースは、遠心クラッチを有した状態で前後分割式に構成してもよい。本発明に係る電動パワーユニットは、電動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
1…電動二輪車(電動車両)、2…車体フレーム、41…モータ出力軸、41a…外側モータ出力軸、42…高速側駆動ギヤ、43…低速側駆動ギヤ、45…アイドルギヤ、46…車軸、47…高速側従動ギヤ、79…低速側従動ギヤ、42a…第1のワンウェイクラッチ、43a…第2のワンウェイクラッチ、60…伝動ケース、72…収納空間、72a…減速機ケース、80…遠心クラッチ、H…高速ギヤ列(第1のギヤ列)、L…低速ギヤ列(第2のギヤ列)、M…モータ、P…電動パワーユニット、WR…後輪

Claims (10)

  1. モータ(M)により駆動輪(WR)を駆動する電動車両(1)の電動パワーユニット(P)において、
    前記モータ(M)の一方向の回転のみを伝達する第1のワンウェイクラッチ(42a,152)および前記モータ(M)の他方向の回転を伝達する第2のワンウェイクラッチ(43a,155)と、
    前記第1のワンウェイクラッチ(42a,152)に接続されると共に、第1の減速比を構成する第1のギヤ列(H,H3)と、
    前記第2のワンウェイクラッチ(43a,155)に接続されると共に、前記第1のギヤ列(H,H3)に対し前記駆動輪(WR)の回転方向が同方向となるようにアイドルギヤ(45)が付加されて第2の減速比を構成する第2のギヤ列(L,L3)とを具備することを特徴とする電動パワーユニット。
  2. 前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)は、前記モータ(M)の出力軸(41)上に隣接して設けられており、
    前記第1のギヤ列(H)および第2のギヤ列(L)は、前記モータ(M)が取り付けられる伝動ケース(60)に減速機ケース(72a)が取り付けられて設けられた収容空間(72)に収納されることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーユニット。
  3. 前記第1のワンウェイクラッチ(152)および第2のワンウェイクラッチ(155)は、前記モータ(M)を挟んで該モータ(M)の出力軸(150)の両端に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーユニット。
  4. 前記第1のギヤ列(H)および第2のギヤ列(L)は、前記モータ(M)の出力軸(41)と前記駆動輪(WR)の車軸(46)との間に設けられたギヤ列で構成されており、
    前記アイドルギヤ(45)は、車体側面視で、前記モータ(M)の出力軸(41)と前記車軸(46)との間かつ車体下方の位置に配設されることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーユニット。
  5. 前記第2の減速比は、前記第1の減速比より大きい値とされることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーユニット。
  6. 前記モータ(M)の回転方向を制御する制御装置(70)を備え、
    前記制御装置(70)は、車速およびスロットル開度に基づいて負荷の大きさを規定するデータテーブルを用いて低負荷領域または高負荷領域であることを判別する判別手段(70a)を備えると共に、前記低負荷領域においては、前記第2のワンウェイクラッチ(43a)の接続方向に前記モータ(M)を駆動し、前記高負荷領域においては、前記第1のワンウェイクラッチ(42a)の接続方向に前記モータ(M)を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーユニット。
  7. 前記データテーブルにおいて、前記モータ(M)の回転方向を切り替える境界として正転用と逆転用の2つのライン(A,B)を設定し、
    前記2つのライン(A,B)の間では、前記モータ(M)の正転および逆転の両方の状態を存在させ、前記モータ(M)の回転方向の切り替えタイミングにヒステリシスを持たせることを特徴とする請求項6に記載の電動パワーユニット。
  8. 前記モータ(M)の出力軸(41)の一端側に設けられる前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)に対して、前記モータ(M)を挟んだ他端側の位置に、前記モータ(M)が正逆いずれの方向に回転しても接続されるツーウェイ式の遠心クラッチ(80)が配置されており、
    前記出力軸(41)に、前記第1のワンウェイクラッチ(42a)および第2のワンウェイクラッチ(43a)と、前記遠心クラッチ(80)のクラッチアウタ(83)とが支持されており、
    前記出力軸(41)を回転自在に挿通する円筒状の外側出力軸(41a)に、前記遠心クラッチ(80)のクラッチインナ(83)が支持されていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーユニット。
  9. 前記制御装置(70)が、前記モータ(M)の回転方向を切り替えるための減速駆動時に、前記モータ(M)の駆動力を漸次低減させる漸減制御手段(200)と、前記モータ(M)への通電量がゼロとなった後に前記モータ(M)の惰性回転に電磁ブレーキをかける電磁ブレーキ制御手段(201)とを具備することを特徴とする請求項6に記載の電動パワーユニット。
  10. 前記制御装置(70)が、前記モータ(M)の回転方向の切り替えるための加速駆動時に検出された車速と前記モータ(M)の回転数の差に応じて、前記モータ(M)への通電デューティを変化させて前記第1または第2のワンウェイクラッチ(42a,43a)の接続回転数近傍にて前記モータ(M)の駆動力を低減させるクラッチ接続制御手段(202)と、前記第1または第2のワンウェイクラッチ(42a,43a)が接続された後に前記モータ(M)の駆動力を徐々に増加させる漸増制御手段(203)とを具備することを特徴とする請求項9に記載の電動パワーユニット。
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