図1は、一実施の形態に係る色管理システム10の機能構成を示すブロック図である。
色管理システム10は、入力機器20と出力機器30間に介挿されて入力機器20から入力される画像データの色変換処理を行う色変換部16、色変換部16が画像データの色変換に際して参照する参照テーブル(色変換プロファイル)を記憶する色変換プロファイル記憶部15、色変換プロファイル記憶部15に記憶する色変換プロファイルを生成する色変換プロファイル生成部11を具備して構成される。
この色管理システム10は、出力機器30である、例えば、CMYK各色のトナーを用いて電子写真方式でカラー画像を形成して用紙上に転写・定着させる画像形成装置(カラー複写機)に内蔵することにより実現される。
入力機器20としては、例えば、PC(パーソナル・コンピュータ)等で実現される情報処理端末(クライアント)や、あるいは出力機器30とは異なる色再現域を有する画像形成装置(カラー複写機)等を想定している。
入力機器20を上記クライアントとした場合は、該クライアントにおいてディスプレイ上で色を確認しながら作成されたRGB色空間上の画像データが、また、入力機器20を他の画像形成装置とした場合は、該画像形成装置からCMYK色空間上の画像データが、それぞれ、色域変換対象として色変換部16に入力される。
この色管理システム10において、色変換プロファイル生成部11は、入力機器20から入力される画像データの色値(例えば、R,G,B)を、該入力機器20、及び、複数の色(この例では、CMYK色)要素に基づいて複数色を再現する出力機器30に依存しないデバイス非依存色空間(例えば、L*a*b空間)上の色値に変換する第一色変換条件生成部12、第一色変換条件生成部12で変換された入力画像データの色値を、同じ色空間(L*a*b空間)上の、出力機器30における出力色域の色値に変換する色域変換条件生成部13、色域変換条件生成部13による色域変換後のL*a*b空間上の色値を出力機器30が再現可能な例えば、CMYK色空間上の色値に変換する第二色変換条件生成部14を備えている。
色変換プロファイルの生成処理に際し、色変換プロファイル生成部11は、例えば、ネットワークを介して、入力機器20の上記デバイス非依存色空間における再現色域(入力色域)外郭を算出するために必要な情報を含む入力機器特性データと、出力機器30の上記デバイス非依存色空間における再現色域(出力色域)外郭を算出するために必要な情報を含む出力機器特性データを取得する。
色変換プロファイル生成部11において、色域変換条件生成部13は、入力機器特性データに基づいて入力機器20の入力色域外郭を算出するとともに、出力機器特性データに基づいて出力機器30の出力色域外郭を算出する色域外郭算出部131、上記入力色域内の全画素の色値を上記出力色域の色値に変換(マッピング)する色域マッピング部135を具備している。
また、色変換プロファイル生成部11において、第二色変換条件生成部14は、例えば、出力機器30において予め設定されている(あるいは、メモリ等に記憶されている)色材総量制限値から墨量を算出する墨量算出部141、色域変換条件生成部13において色域マッピング部132により出力機器30の出力色域にマッピングされた色値を墨量算出部141により算出された墨量を反映させて出力機器30のCMYK色空間の値に変換する色変換部142を具備して構成される。
なお、「黒」という用語は色材の黒100パーセントの色という意味もあるが、本実施形態では、これとは異なり、後述する“出力機器30の色域断面”において、“色域断面における出力機器30で再現可能な最低明度となる色”という意味合いで用いられるものである。
図2は、色管理システム10(図1参照)における出力機器30の色材総量制限値をキーとする色域変換処理イメージを示す概念図である。
図2において、同図(a)は、色変換プロファイル生成部11が色域変換処理に際して算出するL*a*b*空間における入力機器20の色再現域外郭(入力色域)と出力機器30の色再現域外郭(出力色域)それぞれの色再現域断面(L*C*面による断面)を示している。
図2(a)に示すように、入力機器20の色空間で再現可能な入力色域A1の色を出力機器30の色空間で再現可能な出力色域A2の色に変換する色域変換処理に際しては、出力機器30の色再現域断面のCusp(頂点)から黒に向かう側の画素領域については、色再現域外郭の形状が、例えば、同図(b)に示すA21,A22,A23,A24の如く、出力機器30における色材総量制限値〔同図(c)参照〕に応じて変動する性質がある。
そこで、一実施の形態では、上記変動をもたらす色材総量制限値に対する1または複数の閾値〔図2(d)のth1,th2,…参照〕を設定しておき、色域変換処理に際して例えば出力機器30で利用者により設定される(あるいは、メモリに記憶されている)色材総量制限値を上記閾値と比較することにより該色材総量制限値の大きさ(レベル)を把握し、該色材総量制限値の大きさに応じて、当該領域における色変換方法〔図2(e)参照:この例では、色差式を変更する〕を当該領域以外の領域の色変換方法に対して変更する機能を付加している。
図1に示す機能構成において、総量制限値算出適用部132は、入力色域の色を出力色域の色に変換する際、出力色域の特定領域(色再現域断面の頂点の明度より低明度側の領域)の色に対応する入力色域の色に適用する色変換方法を、色材総量制限値に応じて、上記特定領域外の領域に適用する第1の色変換方法とは異なる第2の色変換方法に変更することを決定する(第2の色変換方法を選択する)。
これにより、色域マッピング部135は、入力色域内の各色を、第1の色変換方法を用いて出力色域の色に色変換処理する過程において、変換対象領域が色再現域断面の頂点の明度より低明度側の領域となった際には、総量制限値算出適用部132により選択されている第2の色変換方法に変更して色変換処理を行う。
ところで、色域変換処理における色再現域の変動〔図2(b)参照〕は、上述した色材総量制限値の制限による以外にも、例えば、出力機器30での墨量の使用量が大きく制限された時、色材の特性やその他出力機器30の特性の変化に起因して色再現域が狭くなってしまう場合等にも生じ得るものであり、その場合に暗い領域の色が再現されず、明度逆転や彩度逆転が発生する可能性もある。
そこで、別の実施の形態では、図1の機能構成中、例えば、色域変換条件生成部131に、出力色域断面の頂点から黒に向かう色域外郭面の明度が一様減少しているか否かを判定し、一様減少していないと判定された場合、出力色域断面の彩度側の頂点の明度と、該頂点から黒に向かう色域外郭面の明度の差分値を取得し、該差分値に応じて、出力色域の頂点に対する低明度領域に適用する第2の色変換方法を変更(選択)する明度差算出適用部13を設けている。
これにより、本実施の形態において、色域マッピング部135は、入力色域内の各色を、第1の色変換方法を用いて出力色域の色に色変換処理する過程で、変換対象領域が色再現域断面の頂点の明度より低明度側の領域となった際には、頂点の明度と該頂点から黒に向かう色域外郭面の明度の差分値に応じて明度差算出適用部13により選択されている第2の色変換方法に変更して色変換処理を行う。
以下、各実施の形態に係る色変換方法変更制御に基づく色域変換処理機能について実施例を挙げて詳しく説明していく。
実施例1に係る色管理システム10では、出力機器30の色再現域断面において、該色再現域断面の頂点より低明度側の領域に適用する色域変換に際しては、出力機器30の色材総量制限値をキーにして色域変換方法を変更する機能(図2参照)を有する。
すなわち、本実施例において、色域変換条件生成部13は、色域外郭算出部131、色域マッピング部135に加えて、色域マッピング部135が出力機器30の色材総量制限値に応じて変更するマッピング方法を選択する総量制限値算出適用部132を具備して構成される。
図3は本実施例に係る色管理システムの色変換条件生成処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施例において、色変換プロファイル生成部11は、入力機器特性データと出力機器特性データを取り込んだうえで、入力機器特性データに基づいて入力機器20が再現可能な色再現域外郭(入力色域)を算出する(ステップS101)とともに、出力機器特性データに基づいて出力機器30が再現可能な色再現域外郭(出力色域)を算出する(ステップS102)。
次に、色域変換対象の画像データである入力色域内の全ての画素中から処理順番(例えば、画素カウンタによりカウントする)に対応する画素を1画素ずつ取り出し(ステップS103)、当該各画素を出力色域内の値に変換する色域変換処理(ステップS104〜S109)を実行する。
この色域変換(マッピング)処理においては、取り出した画素(色値データ)が特定領域の色か否かをチェックし(ステップS104)、該画素が特定領域の色でない場合(ステップS104でNO)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力色域範囲内にマッピングする(ステップS106)。
なお、ステップS104における、色域変換対象の入力画素が特定領域か否かの判定処理を実現するためには、例えば、入力画素(色値データ)の明度が所定の明度よりも下か否かをチェックする方法があり、具体的には、当該入力画素の明度が出力機器30の色再現域断面の頂点の明度よりも下か否かをチェックする方法等が考えられる。
この特定領域か否かの判断処理は、後述する他の実施例(図7のS204、図12のS304、図13のS406、図14のS506等)においても同様である。
上記ステップS106で用いられる第1のマッピング方法は、特定領域外の全ての画素に対しても適用される。
これにより、ステップS107で全ての画素データのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS107でNO)、上記特定領域外の領域(例えば、色域断面の頂点の明度よりも上の画素領域)の全ての画素に対する第1のマッピング方法によるマッピングが続行される。
この間、ステップS103で取り出した画素が特定領域であると判定された場合(ステップS104でNO)、色域変換条件生成部13(総量制限値算出適用部132)は、出力機器30の色材の総量制限値を算出、若しくは取得し、該色材総量制限値を予め設定されている閾値のうちの最大の閾値と比較する(ステップS105)。
ここで、色材の総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定された場合(ステップS105でYES)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力色域内にマッピングする処理を続行する(ステップS106)。
これに対して、色材の総量制限値が閾値(最大値)以下であると判定された場合(ステップS105でNO)、総量制限値算出適用部132は、この時の色材総量制限値のレベル(他の閾値と色材総量制限値との比較結果から把握可能)に応じて、それまで(色材総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定されている間)使用していた第1のマッピング方法から第2のマッピング方法に変更し(ステップS108)、色域マッピング部135は、当該第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS109)。
上述の如く、色材の総量制限値が閾値以下であると一旦判定された(ステップS105でNO)後は、ステップS107で全てのデータのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS107でNO)、ステップS103で取り出される上記特定領域内の色値データについて第2のマッピング方法によるマッピング処理が実行され(ステップS108、S109)。
そして、この間、全ての画素データのマッピングが終了したと判定される(ステップS107でYES)ことにより、上記一連のマッピング処理が終了する。
なお、ステップS108において、第1のマッピング方法を第2のマッピング方法に変更するには、色差式を変える方法や、色差式における該当色成分の重み係数を修正する方法等がある。
図4は、本実施例の色変換処理(図3参照)に係る色変換方法変更パターンを示す概念図(色再現域断面)であり、特に、パターン1,2,3として色差式をA,B,Cに変更する方法を例示している。
図4に示すように、本実施例では、入力色域外郭がA1であるとき、ステップS106における、出力色域断面の頂点の明度より高明度側の色値データのマッピング処理については、色材の総量制限値に拘らず、既知の方法(例えば、色差式A)でマッピングする。
また、上記頂点の明度より明度が低い色値データであっても、出力機器30の色材総量制限値が大きい場合〔例えば、図2(d)の最大閾値th1より大きい、“370”の場合〕には、ステップS106において、この色差式Aを用いて変換前と変換後の色差が最小となるようにマッピング処理を行なう。
なお、色差が最小となるマッピング処理については、以下に図5を参照して詳述する。
これに対して、出力機器30の色材総量制限値が“370”より少ない場合〔例えば、図2(d)の最大閾値th1より小さい、“350”の場合〕は、ステップS108において、総量制限値算出適用部132は、上記色差式Aから、例えば、色差式Bに修正したうえで、ステップS109において色域マッピング部135が該色差式Bを用いて色差が最小となるようにマッピング処理を行なう。
ここで、色差式Bは、色差式Aよりも彩度維持の色再現を可能にするものである。
また、出力機器30の色材総量制限値が“350”より更に少ない場合〔例えば、図2(d)の閾値th2より小さい、“300”の場合〕は、ステップS108において、上記色差式Aから、例えば、色差式Cに修正したうえで、ステップS109で該色差式Cを用いて色差が最小となるようにマッピング処理を行なう。
ここで、色差式Cは、色差式Bよりも彩度維持の色再現を可能にするものである。
このように、本実施例では、出力機器30の色材総量制限値(色材総量)に応じて、該色材総量が小さくなるほど彩度維持となるように、入力機器20の色再現域断面の頂点よりも低明度領域の色変換方法を変更制御する。
なお、図4においては、色材総量制限値(色材総量)が少なくなるほどに彩度維持となる特性を維持すべく色差式を変更(選択)する例を挙げているが、同一の色差式の該当色成分の重み係数を修正して彩度維持の度合いを変更する方法も考えられる。
一例として、色差式〔CIE1976〕を用いた場合の彩度維持制御について説明する。
本実施例では、上記ステップS106、S109等において色差最小となるマッピング点を探す時に、当該色差式を用いる。
色差式〔CIE1976〕においては、色差〔ΔE〕が、
ΔE={((L*out−L*in)×WL)^2+
((a*out−a*in)×Wa)^2+
((b*out−b*in)×Wb)^2}1/2 …… (1)
で与えられる。
ここで、WLは、L*成分の重み値(重み係数)を示し、Wa、Wbは、それぞれ、a*成分、b*成分の重み値を示している。
本実施例では、色材の総量制限値をキーとしたマッピング方法の変更制御において、WL*と色材総量の関係が例えば図5に示す特性となるように当該色差式の重み値を変更する。
つまり、本実施例では、図5に示すように、色材総量が減るほどWL*の重み値を小さくするように制御する。
WL*が小さくなるほど、彩度重視の色差式となり、結果的に彩度重視の圧縮が実現できる。
また、本実施例においては、色差式(図4のパターン1,2,3参照)を変更したり、色差式における重み値を変更する方法(図5参照)の他、マッピングアンカー(Mapping Anchor)のアンカーポイント(Anchor Point:AP:探索中心点)の変更により明度逆転や彩度逆転等に対処する方法が考えられる。
本実施例のマッピング処理に係るAPの選択例について図6を参照して説明する。
本実施例のマッピング処理に係るマッピングアンカーの明度と色材総量の関係(L*C*色空間の色域断面上における特性)を図6(a)に示している。
すなわち、本実施例では、図6(a)に示す特性図に従い、色材総量が小さくなりほどマッピングアンカーの明度が大きくなるように制御する。
図6(b)は色再現域断面(L*C*空間)上におけるマッピングアンカーの明度の遷移状態を示す図である。
図6(b)によれば、色再現域断面上、マッピングアンカーの明度が大きくなるほど(明度がAP1からAP2に遷移するほど)、彩度維持のマッピングとなることが分かる。
よって、本実施例において、色材総量が減るほどマッピングアンカーの明度が大きくなるようにする制御は、色材総量が減るほど彩度維持となるようなマッピングを可能にする。
なお、図3に示す一連の色変換処理においては、入力機器特性データに基づいて入力色域を算出し(ステップS101)、その後、該入力色域内の画素の色を出力色域の色に変換する例を挙げたが、本実施の形態においては、入力色域を算出する処理は必ずしも必要ではない。
要は、色域変換対象の入力画素値を出力色域へと変換できれば良く、図3のステップS103で使用する色変換対象の入力色値データを計算するのに入力色域外郭の計算をする必要はなく、また、L*a*b*色空間上の全格子点を図3のステップS103で使用する色値データとした場合も同様に不要である。
すなわち、本実施例は、出力機器30の色空間において再現可能であって、色材総量制限値に応じて変動する出力色域を算出する色域外郭算出部131と、色域変換対象である入力画素情報の色を色域外郭算出部131により算出された出力色域の色に変換する際に適用する色変換方法を色材総量制限値に応じて変更する色域マッピング部135を必須要件とするものである。
なお、本実施例と同様、他の実施例においても、色変換処理に際し、入力色域を算出することは一例(図7のS201、図11のS301、図12のS401、図14のS501等)であって、必ずしも必要でないことを付け加えておく。
実施例2に係る色管理システム10では、色材総量制限値、墨量制限値、色材の特性や出力機器30の特性等の色域変動要素に応じて変動する出力色域を算出し、入力色域の色を上記出力色域の色に変換する際、出力色域の特定領域の色に対応する入力色域の色に適用する色変換方法を上記色域変動要素の値に応じて別の色変換方法に変更する。
具体的には、出力機器30の色再現域(出力色域)断面において、該色再現域断面の頂点より低明度側の領域に適用する色域変換に際し、当該色再現域断面の頂点から黒(出力色域断面における出力機器で再現可能な最低明度となる色:以下、最低明度となる色)に向かう色域外郭の明度が一様減少となっているか否かを検証し、一様減少となっていない場合には出力色域外郭の頂点の明度と、該頂点から黒に向かう色域外郭の明度の差分値をキーにして色域変換方法を変更する機能を有する。
すなわち、本実施例において、色域変換条件生成部13は、色域外郭算出部131、色域マッピング部135に加えて、色域マッピング部135が上述した色材総量制限値を含む色域変動要素の値に応じて変更するマッピング方法を選択する明度差算出適用部133を具備して構成される。
図7は本実施例に係る色管理システムの色変換条件生成処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施例において、色変換プロファイル生成部11は、例えば、ネットワークを介して取り込んだ入力機器特性データ、出力機器の特性データのうち、入力機器特性データに基づいて入力機器20の色再現外郭(入力色域)を算出し(ステップS201)、出力機器特性データに基づいて出力機器30の色再現外郭(出力色域)を算出した(ステップS202)後、色域変換対象の入力画像データ(入力色域内の全ての画素)中から処理順番の画素を1画素ずつ取り出し(ステップS203)、色域変換処理(ステップS204〜S210)を実行する。
この色域変換(マッピング)処理においては、取り出した画素(色値データ)が特定領域か否かをチェックし(ステップS204)、該画素が特定領域でない場合(ステップS204でNO)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力色域範囲内にマッピングする(ステップS207)。
この第1のマッピング方法は、上記特定領域外の領域の全ての画素に対しても適用されるものである。
これにより、ステップS208で全ての画素データのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS208でNO)、色値が上記特定領域外の領域にある全ての画素に対する第1のマッピング方法によるマッピングが続行される。
この間、ステップS203で取り出した画素の色値について上記特定領域であると判定された場合(ステップS204でNO)、色域変換条件生成部13(明度差算出適用部133)は、出力色域外郭の頂点(色再現域断面)から上記最低明度となる色に向かう色域外郭面の明度が一様減少しているか否かをチェックし(ステップS205)、一様減少していると判定されれば(ステップS205でYES)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力色域内にマッピングする処理を続行する(ステップS207)。
これに対して、出力色域外郭の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少していないと判定された場合(ステップS205でNO)、出力色域外郭の頂点の明度と頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度の差分値(明度差)を算出し、該明度差を予め設定されている閾値と比較する(ステップS206)。
ここで、上記明度差が閾値以下であると判定された場合(ステップS206でNO)、色域マッピング部135は、当該色値データを第1のマッピング方法で出力外郭範囲内にマッピングする処理を続行する(ステップS207)。
これに対して、上記明度差が閾値より大きいと判定された場合(ステップS207でYES)、この時の明度差の値に応じて、それまで使用していた第1のマッピング方法から第2のマッピング方法に変更し(ステップS209)、色域マッピング部135は、当該第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS210)。
明度差が閾値より大きいと一旦判定された(ステップS206でYES)後は、ステップS208で全てのデータのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS208でNO)、ステップS203で取り出される出力再現域断面の頂点の明度よりも下の明度を有する色値データについて第2のマッピング方法によるマッピング処理が実行される(ステップS209、S210)。
そして、この間、全てのデータのマッピングが終了したと判定される(ステップS208でYES)ことにより、上記一連のマッピング処理が終了する。
なお、ステップS209において、第1のマッピング方法を第2のマッピング方法に変更するには、色差式を変える方法や、色差式における該当色成分の重み係数を修正する方法等がある。
図8は、本実施例の色変換処理(図7参照)に係る色変換方法変更パターンを示す概念図(色再現域断面)であり、特に、パターン1,2,3として色差式をA,B,Cに変更する方法を例示している。
図8に示すように、本実施例においては、入力色域外郭がAであるとき、ステップS209における、上記頂点の明度より高明度側の色値データのマッピング処理については、総量制限値等に拘らず、既知の方法(例えば、色差式A)でマッピングする。
また、上記頂点の明度より高明度側の色値データであっても出力色域外郭の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少している(明度逆転がない)場合には、既知の方法(例えば、色差式A)でマッピングする。
これに対して、上記頂点の明度より明度が低い色値データに対して、上述した一様現象とはなっておらず上述した明度差が取得された場合、該明度差が小さい場合(明度逆転が小さい)場合は、ステップS209で、明度差算出適用部133は、例えば、上記色差式Aを色差式Bに変更し、同ステップS210において、色域マッピング部135は該色差式Bを用いて変換前と変換後の色差が最小となるようにマッピング処理を行なう。
ここで、色差式Bは、色差式Aよりも彩度維持の色再現を可能にするものである。
なお、色差が最小となるマッピング処理については、以下に図9を参照して詳述する。
また、上述した明度差が取得され、該明度差が大きい場合(明度逆転が大きい)場合は、ステップS209で、例えば、上記色差式Aを色差式Cに変更し、同ステップS211では該色差式Cを用いて変換前と変換後の色差が最小となるようにマッピング処理を行なう。
ここで、色差式Cは、色差式Bよりも彩度維持の色再現を可能にするものである。
このように、本実施例では、出力機器30の色再現域断面の頂点C2から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少となっていない(明度逆転が生じる)場合、出力色再現域の頂点C2の明度と、該頂点C2から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度の差分値(明度差)を取得し、該明度差が閾値よりも大きくなった場合であって、上記頂点C2の明度の方が暗い色であった場合、上記明度差が大きくなるほど彩度維持となるように、入力機器20の色再現域断面の頂点よりも低明度領域の色変換方法を変更制御する。
なお、図8においては、明度差が大きくなるほどに彩度維持となる特性を維持すべく色差式を変更(選択)する例を挙げているが、同一の色差式を重み係数を修正して彩度維持の度合いを変更する方法も考えられる。
簡単のため、ここでも色差式CIE1976を用いた場合の彩度維持制御について説明する。
この色差式は上記(1)式で与えられ、本実施例では、上記明度差が閾値を超えた場合に、色差最小となるマッピング点を探すために彩度維持方向に補正される。
本実施例では、明度差をキーとしたマッピング方法の変更制御において、WL*と明度差(L*1−L*2)の関係が例えば図9に示す特性となるように当該色差式の重み値を変更する。
すなわち、本実施例では、明度差が小さくなるほどWL*の重み値を小さくするように制御する。
この制御によれば、WL*が小さくなるほど、彩度重視の色差式となり、結果的に彩度重視の圧縮が実現できる。
また、本実施例においても、色差式(図8のパターン1,2,3参照)を変更したり、色差式における重み値を変更する方法(図9参照)の他、アンカーポイントの変更により明度逆転や彩度逆転等に対処することができる。
図10は、本実施例のマッピング処理に係るマッピングアンカーの明度と明度差(L*1−L*2)の関係(L*C*色空間の色域断面上における特性)を示している。
すなわち、本実施例では、図10に示す特性図に従い、上記明度差(L*1−L*2)が大きくなる(明るくなる)ほどマッピングアンカーの明度が大きくなるように制御する。
色再現域断面上、マッピングアンカーの明度が大きくなるほど(AP1からAP2に遷移するほど)、彩度維持のマッピングとなることは図6(b)からも明らかである。
よって、本実施例において、明度差が大きくなるほどマッピングアンカーの明度が大きくなるようにする制御は、明度差が大きくなるほど彩度維持となるようなマッピングを可能にする。
なお、ここまでの説明では、明度差が大きくなるほど彩度維持となるようなマッピング制御の例を挙げているが、本実施例は上記明度差が大きくなるほど明度維持となるようなマッピング制御を行なう構成としても良い。
実施例3に係る色管理システム10では、出力機器30の色再現域断面の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭の明度が一様減少となっているか否かを検証し、一様減少となっていない場合には出力色域外郭の頂点の明度と、該頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭の明度の差分値をキーに色域変換方法を変更する一方で(実施例2参照)、一様減少となっている場合には出力機器30の色材総量の値をキーに色域変換方法の変更機能(実施例1参照)を有する。
すなわち、本実施例において、色域変換条件生成部13は、色域外郭算出部131、色域マッピング部135に加えて、実施例1に係る色材総量算出適用部132、実施例2に係る明度差算出適用部133を具備して構成される。
図11は本実施例に係る色管理システムの色変換条件生成処理を示すフローチャートである。
図11において、ステップS301〜S306までの各処理は図7におけるステップS201〜S206までの各処理とそれぞれ同じであり、ここでの詳しい説明は割愛する。
図11において、ステップS301からS305を経てS306に移行し、出力色域外郭の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少していると判定された場合(ステップS305でYES)、色域変換条件生成部13(総量制限値算出適用部132)は、出力機器30の総量制限値を予め設定されている閾値(最大値)と比較する(ステップS307)。
ここで総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定された場合(ステップS307でYES)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力外郭範囲内にマッピングする処理を続行する(ステップS308)。
これに対して、総量制限値が閾値(最大値)以下であると判定された場合(ステップS307でNO)、この時の総量制限値のレベル(他の閾値との比較結果により検出できる)に応じて、それまで〔総量制限値が閾値(最大値)より大きいとされている間〕第1のマッピング方法で使用していた例えば色差式Aを第2のマッピング方法を実現する値(例えば、彩度が維持できる値)に変更し(ステップS310)、色域マッピング部135は、当該色差式Aを用いて第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS311)。
その後、ステップS309で全てのデータのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS309でNO)、ステップS304で取り出される出力色域外郭の頂点の明度よりも下の明度を有し、該頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少しているそれぞれの色値データについて第2のマッピング方法によるマッピング処理が実行される(ステップS305、S307、S310、S311)。
この間、全てのデータのマッピングが終了したと判定される(ステップS309でYES)ことにより、上記一連のマッピング処理が終了する。
これに対して、ステップS305において出力色域外郭の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少していないと判定された場合(ステップS305でNO)、明度差算出適用部133は、出力色域外郭の頂点の明度と頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度の差分値(明度差)を算出し、該明度差を予め設定されている閾値と比較する(ステップS306)。
ここで、上記明度差が閾値以下であると判定された場合(ステップS306でNO)、出力機器30の色材の総量制限値を閾値(最大値)と比較し(ステップS307)する。
そして、色材の総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定された場合(ステップS307でYES)、ステップS308に移行して第1のマッピング方法でマッピングを行い、色材の総量制限値が閾値(最大値)以下であると判定された場合(ステップS307でNO)、この時の色材総量制限値(他の閾値と比べた結果から認識できる)に応じて、それまで使用していた第1のマッピング方法から第2のマッピング方法に変更し(ステップS310)、当該第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS311)。
一方、上記明度差が閾値より大きいと判定された場合(ステップS306でYES)、この時の明度差の値に応じて、それまで使用していた第1のマッピング方法から第2のマッピング方法に変更し(ステップS310)、当該第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS311)。
その後、ステップS309で全ての画素データのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS309でNO)、ステップS304で取り出される上記頂点の明度よりも下の明度を有し、かつ、明度差が閾値よりも大きい色値データについて第2のマッピング方法によるマッピング処理が実行される(ステップS305、S306、S310、S311)。
そして、この間、全てのデータのマッピングが終了したと判定される(ステップS309でYES)ことにより、上記一連のマッピング処理が終了する。
なお、ステップS310においては、上記明度差の値(あるいは、色材総量制限値)に応じて色差式における重み係数を修正する構成としても良い。
また、本実施例の変形例として、出力色域外郭の頂点から上記最低明度の色に向かう色域外郭面の明度が一様減少していない場合に色材総量制限値に応じてマッピング方法を変更し、上記明度が一様減少している場合、明度差に応じてマッピング方法を変更制御するようにしても良い。
実施例4に係る色管理システム10では、入力色域、出力色域に加えて仮想の出力色域を算出し、入力色域内の画素を仮想出力色域に変換し、更に仮想出力色域から実際の出力色域に変換する際、出力色域(色再現域断面)の頂点より低明度側の領域に適用する色域変換については出力機器30の色材総量制限値をキーに色域変換方法を変更する機能を有する。
すなわち、本実施例において、色域変換条件生成部13は、仮想の出力色域を算出する機能を更に有する色域外郭算出部131と、実施例1に係る総量制限値算出適用部132を具備して構成される。
図12は本実施例に係る色管理システムの色変換条件生成処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、本実施例において、色変換プロファイル生成部11は、入力機器特性データに基づいて入力機器20の色再現外郭(入力色域)を算出し(ステップS401)、出力機器特性データに基づいて出力機器30の色再現外郭(出力色域)を算出する(ステップS402)とともに、入力色域と出力色域の間の色域である仮想の出力色域を算出(ステップS403)した後、色域変換対象の入力多値画像データ(入力色域内の全ての画素)の色域変換処理(ステップS404〜S411)を実行する。
この色変換処理に移行すると、まず、色域変換対象の入力画像データ(入力色域内の全ての画素)中から処理順番の画素を1画素ずつ取り出し(ステップS404)、該取り出した画素を第1のマッピング方法により仮想色域にマッピングしたうえで(ステップS405)、該仮想出力色域上の画素を更に出力色域にマッピングする処理に移行する。
出力色域へのマッピング処理に移行すると、総量制限値算出適用部132は、取り出した画素(色値データ)が特定領域か否かをチェックし(ステップS406)、該画素が特定領域でない場合(ステップS406でNO)、当該色値データを第1のマッピング方法で出力色域範囲内にマッピングする(ステップS408)。
この第1のマッピング方法は、仮想出力色域から出力色域へのマッピングにおいて、上記特定領域外の領域の全ての画素に対しても適用される。
これにより、ステップS409で全ての画素データのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS409でNO)、上記特定領域外の領域の全ての画素(但し、仮想出力色域にマッピングされた画素)に対する第1のマッピング方法によるマッピングが続行される。
この間、ステップS404で取り出されてステップS405にて仮想出力色域にマッピングされた画素について特定領域であると判定された場合(ステップS406でNO)、色域変換条件生成部13(総量制限値算出適用部132)は、出力機器30の色材の総量制限値を予め設定されている閾値(最大値)と比較する(ステップS407)。
ここで、色材の総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定された場合(ステップS407でYES)、当該色値データ(仮想出力色域上にある)を第1のマッピング方法で出力色域内にマッピングする処理を続行する(ステップS408)。
これに対して、色材の総量制限値が閾値(最大値)以下であると判定された場合(ステップS407でNO)、この時の色材総量制限値(他の閾値との比較結果から認識できる)に応じて、それまで使用していた第1のマッピング方法から第2のマッピング方法に変更し(ステップS410)、当該第2のマッピング方法によりマッピング処理を実施する(ステップS411)。
色材の総量制限値が閾値以下であると一旦判定された(ステップS407でNO)後は、ステップS409で全てのデータのマッピングが終了していないと判定される間(ステップS409でNO)、ステップS404で取り出されてステップS405で仮想出力色域にマッピングされている上記特定領域内色値データについて当該仮想出力色域から第2のマッピング方法による出力色域範囲内へのマッピング処理が実行される(ステップS406、S407、S410、S411)。
そして、この間、全ての画素データのマッピングが終了したと判定される(ステップS409でYES)ことにより、上記一連のマッピング処理が終了する。
なお、ステップS410において、第1のマッピング方法を第2のマッピング方法に変更するには、色差式を変える方法や、色差式における該当色成分の重み係数を修正する方法等がある。
図13は、本実施例の色変換処理(図12参照)に係る色変換方法変更パターンを示す概念図(色再現域断面)であり、特に、パターン1,2,3として色差式をA,B,Cに変更する方法を例示している。
図13に示すように、本実施例では、入力色域外郭をA1とするとき、当該入力色域の色値をまず仮想出力色域A3に第1のマッピング方法によりマッピング処理する。
仮想出力色域A3は、例えば、基準値となる色材総量制限値を用いて作成する。
例えば、想定される仮想出力色域の頂点と黒の明度を結んだ直線で構成した色域とすることができる。
あるいはまた、頂点と出力機器で出力可能な最低明度を結んだ直線で構成される色域を用いても良い。
次に、仮想出力色域A3にマッピングされた色値データを更に出力色域A2(A21,A22,A23)にマッピングする。
図13においては、仮想出力色域A3から出力色域A2へのマッピング処理方法として、色材総量制限値に応じて、パターン1、パターン2、及びパターン3が用意されている。
パターン1においては、仮想の色再現域に第1のマッピング方法でマッピングしてから、仮想の色再現域への色域圧縮と同様の方法(第1のマッピング方法)で実色域(A21)へ式差最小となるようにマッピングを実施する。
パターン2、3においては、仮想の色再現域に第1のマッピング方法でマッピングしてから、仮想の色再現域への色域圧縮と異なる(第2のマッピング方法)で実色域(A22,A23)へ式差最小となるようにマッピングを実施する。
ここで、第2のマッピング方法としては、例えば、パターン2の如く、色差式B(色差式Aよりも彩度維持の働く)で色差最小となるようにマッピングする方法と、パターン3の如く、色差式C(色差式Bよりも彩度維持の働く)で色差最小となるようにマッピングする方法が挙げられる。
上述したパターン1,2,3(色差式A,B,C)のいずれを用いるかは、図12のステップS407で出力機器30の色材総量制限値の値(レベル)を1または複数の閾値を用いて検証し、同ステップS410においては、当該色材総量制限値が少ない(減少する)ほど明度維持とし得るように該当色差式を変更する。
なお、本実施例において、色差式(パターン4、2、3)を変更するのに限らず、色差式の各色成分の重み係数を修正する方法を適用しても良い。
実施例5に係る色管理システム10では、入力色域内の画素を仮想出力色域に変換し、更に仮想出力色域から実際の出力色域に変換する際、出力色域の頂点より低明度側の領域に適用する色域変換については出力機器30の色材総量制限値をキーに色域変換方法を変更する機能を有する点については実施例4のものと同様であるが、色材総量制限値が多い場合に、頂点より高明度側の領域に適用する色域変換方法とは異なる色変換方法を適用する。
図14は本実施例に係る色管理システムの色変換条件生成処理を示すフローチャートである。
図14において、ステップS508以外の各処理は図12における該当各処理ステップと同様であり、その詳しい説明については割愛する。
図14における本実施例特有の処理として、ステップS504で取り出されてステップS505にて仮想出力色域にマッピングされた画素の色値について頂点の明度よりも下であると判定された場合(ステップS506でYES)、色域変換条件生成部13(総量制限値算出適用部132)は、出力機器30の色材の総量制限値を算出(あるいは取得)して予め設定されている閾値(最大値)と比較し(ステップS507)、ここで色材の総量制限値が閾値(最大値)より大きいと判定された場合(ステップS507でYES)、当該色値データ(仮想出力色域上にある)のマッピング方法を第1のマッピング方法から第3のマッピング方法に変更し、色域マッピング部135は、該第3のマッピング方法で出力色域範囲内にマッピングする処理を行なう(ステップS508)。
同様に、ステップS504で取り出されてステップS505にて仮想出力色域にマッピングされた画素が特定領域でないと判定された場合(ステップS506でNO)も、当該色値データ(仮想出力色域上にある)を、第1のマッピング方法から変更された第3のマッピング方法により出力色域範囲内にマッピングする(ステップS508)。
図15は、本実施例の色変換処理(図14参照)に係る色変換方法変更パターンを示す概念図(色再現域断面)であり、特に、パターン1,2,3,4として色差式をA,B,C,Dに変更する方法を例示している。
これらの色差式は、色差式D、B、Cの順に彩度維持の処理に寄与するパターンである。
図14に示すように、本実施例では、入力色域外郭をA1とするとき、当該入力色域A1の色値をまず仮想出力色域A3にマッピング処理し、該仮想出力色域A3にマッピングされた色値データを更に出力色域A2(A21,A22,A23)にマッピングする。
ここで、仮想出力色域A3から出力色域A2(A21,A22,A23)へのマッピング処理方法として、色材総量制限値に応じて、パターン4(色差式D)、パターン2(色差式B)、及びパターン3(色差式C)が用意されている。
パターン4は、仮想の色再現域に第1のマッピング方法でマッピングしてから、仮想の色再現域への色域圧縮と異なる第3のマッピング方法で実色域へのマッピングを実施するパターン(色差式D)に相当する。
パターン2、3は実施例4と同様のもの(色差式B、色差式C)である。
なお、本実施例においても、色差式(パターン4、2、3)を変更するのに限らず、色差式の各色成分の重み係数を修正する方法を適用しても良い。
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
例えば、上記実施の形態においては、CMYK各色のトナーを用いてカラー画像を形成する画像形成装置へ適用する色域変換処理機能について例示しているが、これに限られるものではなく、CMYK各色のインクをノズルから記録液滴として吐出させて用紙上にカラー画像を形成させるインクジェット方式等の他の方式で用紙上に画像を形成させる構成、さらには、CMYKの4色に限らず多色印刷であっても本構成を採用可能である。
なお、図1では色管理システムの機能ブロック図を示しているが、色管理システム10は、図示しないコンピュータのCPU、または該コンピュータと通信回線を介して接続されたプリンタに内蔵されたCPUが所定の処理プログラムを実行することで実現される。
本実施形態では、色域変換対象の画素情報の色を、複数の色要素に基づいて複数色を再現する出力機器の色空間における再現可能な出力色域の色に変換する色変換処理をコンピュータで実行する画像処理装置に実装され、コンピュータを、出力機器の色空間において再現可能であって、色材総量制限値に応じて変動する出力色域を算出する色域算出手段(色域外郭算出部131)、色域変換対象の画素情報の色を色域算出手段により算出された出力色域の色に変換する際に適用する色変換方法を色材総量制限値に応じて変更する変更手段(総量制限値算出適用部132、明度差算出適用部133等)として機能させるようにしているが、該プログラムを光ディスク(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク,メモリ(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等の記憶媒体に格納して提供するようにしても良い。