JP2012203123A - 近赤外線遮蔽フィルタ及び画像表示装置 - Google Patents

近赤外線遮蔽フィルタ及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】近赤外線を遮蔽しつつ、可視光線の長波長端(780nm)近傍領域の透過率が高い近赤外線遮蔽フィルタ及び当該近赤外線遮蔽フィルタを備える画像表示装置を提供すること。
【解決手段】観察者側から、近赤外線を反射する近赤外線反射層及び近赤外線を吸収する近赤外線吸収層をこの順序で有し、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とが重複しないことを特徴とする、近赤外線遮蔽フィルタ。上記近赤外線遮蔽フィルタが、前記近赤外線反射層が前記近赤外線吸収層よりも観察者側に位置するように、表示面に配置されていることを特徴とする、画像表示装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイの前面等に配置して、近赤外線を遮蔽するフィルタ及び当該フィルタを用いた画像表示装置に関する。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(EMI)が増え、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイ(画像表示装置)でも電磁波が発生する。特に、PDPは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると画像光(可視光線)以外に不要な近赤外線が大量に発生する。
このPDPから放出される近赤外線は、リモートコントローラが使用する赤外線と干渉し、リモートコントローラの誤作動を引き起こすという問題がある。
近赤外線を遮蔽するためにPDPの前面(画面側)に、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物等の近赤外線吸収(Near InfraRed Absorbing)色素(以下、「NIRA色素」という。)を含む近赤外線吸収層を有する光学フィルタ等が用いられている(例えば、特許文献1)。
しかし、単一のNIRA色素では吸収可能な近赤外線の波長領域が限られている。
そのため、複数のNIRA色素を組み合わせて用いたり、近赤外線の吸収率の低い波長領域の吸収率を高めるためにNIRA色素の含有量を多くする等の方法が採られていた。
しかし、複数のNIRA色素を組み合わせる方法では、安定性の高いNIRA色素のみを組み合わせて近赤外線の波長領域全体をカバーすることは難しい。
一般的に、NIRA色素のなかでもジイモニウム系化合物は、近赤外線の長波長領域(およそ900〜1100nm)に対する吸収率が高いが、ジイモニウム系化合物は化学的安定性が不十分であり、光学フィルタや近赤外線フィルタに用いられる粘着剤層に混合することが難しく、取扱いが不便であったりジイモニウム系化合物を分散させた樹脂層が別個に必要となり、製造工程や製造コストが増える等の問題があった。
NIRA色素の含有量を多くする方法では、近赤外線領域の吸収率を高くしようとすると、近赤外線領域に近い可視光線の領域の長波長端(780nm)近傍も吸収してしまい、可視光線の透過率が低下したり、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性が低下するという問題があった。
特に、近年はPDP等の画像表示装置の低消費電力化の要求が強い。
可視光線の透過率が下がると、それを補うために表示装置自体の輝度を高める必要があり、消費電力が増してしまうという問題がある。
一方、特許文献2では、コレステリック液晶高分子固化層を用いて右円偏光、左円偏光いずれか一方の円偏光成分を反射させて、観察者側に放出される近赤外線を遮蔽する光学フィルムフィルタが提案されている。
しかし、このようなコレステリック液晶高分子固化層の反射できる近赤外線の波長領域はNIRA色素を用いた場合よりも狭い。
そのため、コレステリック液晶高分子固化層を用いる場合は、所望の近赤外線領域において近赤外線の遮蔽性を得るためには、複数種のNIRA色素を併用する場合よりも多くの種類の互いに反射波長域の異なるコレステリック液晶高分子固化層を用いる必要があり、近赤外線遮蔽フィルタの薄型化や低コスト化が難しいという問題があった。更には、かかるコレステリック液晶高分子固化層は左右何れかの円偏光成分のみを選択的に反射する特性のため、近赤外線の反射率(遮蔽率)は最大でも50%以下であった。
特開2010−26074号公報 特開2000−28827号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、リモートコントローラ等の誤作動の原因となる近赤外線を遮蔽しつつ、可視光線の長波長端(780nm)近傍領域(近赤外線領域に近い可視光線)の透過率が高い近赤外線遮蔽フィルタ及び当該近赤外線遮蔽フィルタを備える画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、NIRA色素を含有する近赤外線吸収層と、コレステリック液晶固化層等の近赤外線を選択的に反射する近赤外線反射層を併用し、遮蔽しようとする近赤外線の波長領域の一部を当該近赤外線吸収層によって遮蔽し、当該波長領域のその他の領域を近赤外線反射層によって遮蔽することより、近赤外線を遮蔽しつつ、可視光線の長波長端近傍領域の透過率が高い近赤外線遮蔽フィルタが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタは、観察者側から、近赤外線を反射する近赤外線反射層及び近赤外線を吸収する近赤外線吸収層をこの順序で有し、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とが重複しないことを特徴とする。
近赤外線吸収層と近赤外線反射層を併用し、近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とを重複しないように分けることで、遮蔽対象の近赤外線の領域全てを近赤外線吸収層のみで遮蔽しなくともよいため、近赤外線吸収層のみを用いる場合よりも近赤外線吸収層に含まれるNIRA色素の量を少なくすることができる。そのため、近赤外線領域に近い可視光線の長波長端(約780nm)近傍の透過率が低下せず、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良好となる。
そして、近赤外線吸収層が吸収する波長領域が近赤外線反射層よりも広いため、近赤外線反射層のみを用いる場合よりも層構成が簡略化され、近赤外線遮蔽フィルタの薄型化や低コスト化が可能となる。
また、近赤外線反射層を近赤外線吸収層よりも観察者側に配置することにより、近赤外線反射層で反射した近赤外線がPDP側へ戻るときに再び近赤外線吸収層を通過(2回目の通過)し、その後、PDP側で反射された近赤外線が再び観察者側に向かうときに再び近赤外線吸収層を通過(3回目の通過)するので、効果的に近赤外線を遮蔽することができる。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの好適な一の実施態様では、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長を850〜950nmとし、前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を1000〜1100nmとする。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの好適な他の実施態様では、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長を1000〜1100nmとし、前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を850〜950nmとする。
本発明に係る画像表示装置は、上記近赤外線遮蔽フィルタが、前記近赤外線反射層が前記近赤外線吸収層よりも観察者側に位置するように、ディスプレイパネルの表示面に配置されていることを特徴とする。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタは、可視光線の長波長端(780nm)の近傍領域(近赤外線領域に近い可視光線)の透過率が高く、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良好であり、層構成が簡略化され、薄型化や低コスト化が可能である。
本発明に係る画像表示装置は、上記近赤外線遮蔽フィルタを備えるため、可視光線の長波長端(780nm)の近傍領域(近赤外線領域に近い可視光線)の透過率が高く、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良好である。
図1は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の一例を模式的に示した断面図である。 図2は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタによる近赤外線遮蔽の原理を示した概念図である。 図3は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図4は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図5は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図6は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図7は、本発明に係る画像表示装置の構成の一例を模式的に示した断面図である。 図8は、実施例の近赤外線反射層の反射スペクトル及び透過スペクトルである。 図9は、実施例の近赤外線吸収層の透過スペクトルである。
本発明において、「電磁波」とは広義の電磁波のうちで、特に、kHz帯域からGHz帯域のもの、中でも特に、VCCI規格による規制周波数の30MHz〜1GHz前後の周波数帯域のものを呼称するものとし、可視光線、近赤外線、紫外線等の周波数帯域のものは、各々、「可視光線」、「近赤外線」、「紫外線」等と呼称する。
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの、および薄いものの両方の意味を含めて、「フィルム」と定義する。
以下、まず本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタについて説明し、次いで画像表示装置について説明する。
(近赤外線遮蔽フィルタ)
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタは、観察者側から、近赤外線を反射する近赤外線反射層及び近赤外線を吸収する近赤外線吸収層をこの順序で有し、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とが重複しないことを特徴とする。
ここで、ある波長域の中心波長とは、所定の波長帯域幅の中央値となる波長を意味する。
近赤外線吸収層と近赤外線反射層を併用し、近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とを分け、そして、該反射波長域と該吸収波長域との両方により遮蔽対象となる近赤外線波長全体を覆い、必要に応じて該反射波長域と該吸収波長域の一部を重複させることで、遮蔽対象の近赤外線の領域全てを近赤外線吸収層のみで遮蔽しなくともよいため、近赤外線吸収層のみを用いる場合よりも近赤外線吸収層に含まれるNIRA色素の量を少なくすることができる。そのため、近赤外線領域に近い可視光線の領域の透過率が低下せず、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良好となる。
ここで、近赤外線反射層の反射波長域とは、座標軸の横軸に波長をとり、縦軸に反射率をとって、反射率を波長の函数としてグラフ化したときに、反射率が立ち上がる波長(図8でいえば914nm)から反射率が立ち下がる波長(図8でいえば1114nm)までの間の波長域をいう。
通常は、近赤外線反射層の反射率の立上がり及び立下がりの点は急峻で明確なため、個々のケースにおける反射波長域の具体的な範囲は、この定義に従って容易に特定できるが、立上がり及び立下がりの点を正確に読み取ることが困難な場合には、近赤外線の反射率が最大反射率(原理的に最大50%となる)の90%以上となる波長領域(90%値幅)を近赤外線反射層の反射波長域として特定しても良い。
また、近赤外線吸収層の吸収波長域とは、座標軸の横軸に波長をとり、縦軸に反射率をとって、吸収率を波長の函数としてグラフ化したときに、吸収率が立ち上がる波長から吸収率が立ち下がる波長までの間の波長域をいう。
なお、近赤外線吸収層の立上がり及び立下がりの点は正確に読み取ることが困難な場合がある。かかる場合には、吸収率の波長依存性(函数)のグラフにおいて、最大吸収率の90%以上となる波長領域(90%値幅)を近赤外線吸収層の吸収波長域として特定しても良く、さらに正確を期したい場合には、最大吸収率の50%以上となる波長領域(半値幅)を吸収波長域として特定しても良い。
そして、近赤外線吸収層が吸収する波長領域が近赤外線反射層よりも広いため、近赤外線反射層のみを用いる場合よりも層構成が簡略化され、近赤外線遮蔽フィルタの薄型化や低コスト化が可能となる。
本発明において、近赤外線遮蔽フィルタの可視光線や近赤外線の透過率とは、当該近赤外線遮蔽フィルタに入射する前の強度Iinと出射後の強度Ioutとを可視光線の波長領域や近赤外線の波長領域において測定し、その測定値から算出される強度の比(Iout/Iin)×100であり、算出された強度比を同波長における透過率という。可視光線の強度は、ダブルビーム分光光度計(例えば、(株)日立製作所製の200−10型)を用いて測定することができる。また、近赤外線の強度は、近赤外分光放射計((株)日立製作所製の商品名U−3410)を用いて測定した値をいう。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの好適な一の実施態様では、前記近赤外線反射層の反射波長域を800〜1000nmとし、その中心波長(中心反射波長)を850〜950nmとし、前記近赤外線吸収層の吸収波長域を950〜1150nmとし、その中心波長(中心吸収波長)を1000〜1100nmとすることができる。
また、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの好適な他の実施態様では、前記近赤外線反射層の反射波長域を950〜1150nmとし、その中心波長(中心反射波長)を1000〜1100nmとし、前記近赤外線吸収層の吸収波長域を800〜1000nmとし、その中心波長(中心吸収波長)を850〜950nmとすることができる。
図1は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の一例を模式的に示した断面図である。
図1の近赤外線遮蔽フィルタ1は、図面上方を観察者側として、観察者側から、近赤外線を反射する近赤外線反射層10及び近赤外線を吸収する近赤外線吸収層20をこの順序で有する。
なお、図1以下の図面では、説明の便宜上、図面上方を観察者側とし、縦横の寸法比及び各層間、各部材間の寸法比は適宜、実寸とは変えて誇張して図示してある。
図2は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタによる近赤外線遮蔽の原理を示した概念図である。
PDP30から放出された右円偏光50Rと左円偏光50Lとを当量含んでなる近赤外線41は、近赤外線吸収層20に一部が吸収される。近赤外線吸収層20で吸収されずに通過した近赤外線42のうち、左円偏光又は右円偏光の一方の円偏光(図2においては右円偏光50R)の近赤外線が近赤外線反射層10によって反射され、もう一方の右円偏光又は左円偏光(図2においては左円偏光50L)の近赤外線が近赤外線反射層10を通過して放出される。
そして、近赤外線反射層10によって反射された特定の円偏光(右円偏光50R)からなる近赤外線44は、近赤外線吸収層20で再度一部が吸収される。
近赤外線吸収層20を通過した近赤外線45は、PDP30の表面及び内部で乱反射し、偏光が解消され、再び左右両方の円偏光成分50R、50Lを当量含む無偏光となって、近赤外線遮蔽フィルタ1側に進む。そして、再度、近赤外線吸収層20で吸収され、さらに減衰する。
PDP30に戻ってきた近赤外線45がPDP30で乱反射した場合、その反射した近赤外線46の半分は円偏光の向きが左円偏光50Lとなる。したがって、その近赤外線46の半分は近赤外線反射層10を通過できるが、近赤外線46は近赤外線反射層10に再び到達する前にPDP30と近赤外線反射層10との間に配置された近赤外線吸収層20を通過することによって往復2回吸収され、さらに減衰するため、より効果的に近赤外線を遮蔽することができる。
なお、概念図である図2では、説明の便宜上、各部材間に空間があるように示したが、通常は、粘着層や透明基材等が存在する。ただし、本発明としては空間が存在しても良く、存在しなくても良い。また、以下、PDPから放出される近赤外線は円偏光を例に挙げて説明するが、近赤外線は楕円偏光であっても良い。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタ1は、理論的に当該近赤外線遮蔽フィルタ1を通過して観察者側に放出される近赤外線の量を、従来の近赤外線吸収層のみを有する近赤外線遮蔽フィルタにおける放出量のさらに半分まで低減することができる。
従来と同等の遮蔽性能を得ながら、近赤外線吸収層に含まれるNIRA色素の量を低減することができるため、近赤外線吸収層によって吸収されていた近赤外線領域に近い可視光線の長波長端近傍の透過率が高まる。したがって、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタ1を用いた画像表示装置では、従来の近赤外線吸収層のみを有する近赤外線遮蔽フィルタを用いた場合と同等の輝度を確保しながらも消費電力を低減することができ、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良い。
また、高価なNIRA色素の含有量を減らせるため、製造コストも低減することができる。
従来の近赤外線反射層のみを有する近赤外線遮蔽フィルタでは、理論的にPDPから放出される近赤外線の半分しか反射できず、その反射した近赤外線がさらにPDPで乱反射した近赤外線も回転方向が反転した円偏光成分の方は遮蔽することもできない。
したがって、従来の近赤外線反射層のみを有する近赤外線遮蔽フィルタでは、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタ1のように近赤外線を効果的に遮蔽することができない。
この他、図2において近赤外線反射層10と近赤外線吸収層20との位置関係が逆の場合には、PDP30から放出された近赤外線41のうち左右何れかの円偏光成分50R、50Lが近赤外線反射層10で反射されて、近赤外線反射層10とPDP30との間で繰返し反射される結果、一部の近赤外線は回転方向が反転した円偏光成分となって近赤外線反射層10を透過してしまう。例えば、図2では、PDP30から放出された近赤外線41のうち、右円偏光成分50Rが近赤外線反射層10で反射されて、近赤外線反射層10とPDP30との間で繰返し反射される結果、反射された右円偏光成分50Rの一部が左円偏光成分50Lとなって近赤外線反射層10を透過してしまう。
そして、観察者側に放出される近赤外線は、結局、近赤外線吸収層20によって一度しか吸収されないため、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタ1のように近赤外線を効果的に遮蔽することができない。
これに対し、本発明の近赤外線遮蔽フィルタは、近赤外線反射層を近赤外線吸収層よりも観察者側に配置することにより、近赤外線反射層で反射した近赤外線がPDP側へ戻るときに再び近赤外線吸収層を通過(2回目の通過)し、その後、PDP側で反射された近赤外線が再び観察者側に向かうときに再び近赤外線吸収層を通過(3回目の通過)するので、効果的に近赤外線を遮蔽することができる。
以上のように、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタ1は、PDP30から放出された近赤外線を効果的に遮蔽することができ、近赤外線領域に近い可視光線の透過率を高めることができる。
以下、本発明に係る近赤外線吸収フィルタの必須要素である近赤外線反射層と近赤外線吸収層について順に説明する。
(近赤外線反射層)
近赤外線反射層10は、可視光線を透過し、左右いずれかの円偏光成分を選択的に近赤外線を反射する層であれば特に制限はなく、従来公知の層を利用できる。例えば、近赤外線反射層には、コレステリック液晶固定層、多層干渉膜、ワイヤグリッド偏光分離膜等を用いることができる。以下、近赤外線反射層を構成し得る多層干渉膜、コレステリック液晶固定層及びワイヤグリッド偏光分離膜について説明する。
なお、「可視光線を透過し、近赤外線を反射する」とは、近赤外線反射層10の機能を相対的に表す意味であり、可視光線は全て透過し近赤外線は全て反射することを意味するものではない。
(コレステリック液晶固定層)
コレステリック液晶固定層の例としては、例えば、特許文献2や特開2002−357717号公報等に開示されるような物である。これは、コレステリック液晶層を架橋反応による硬化、冷却による固化等によって固定させた層から成る。
一般的なコレステリック液晶層は、当該液晶分子の分子軸の配向方向が、当該層の表裏面に平行な面内の特定方向を向き、かつ、当該層の厚み方向の一面側から他面側にわたって、当該液晶分子の配向方向が連続的に一方向に回転する結果、厚み方向の一面側から他面側にわたって、当該液晶分子軸がらせん階段の踏板のように配向したらせん構造(ヘリカル構造)を有する。
本発明の近赤外線反射層としてのコレステリック液晶固定層は、このようなヘリカル構造を維持した状態で固定されている。
このようなコレステリック液晶固定層は、当該層の一方の面から入射した円偏光のうち、液晶分子の長軸のらせんの回転方向と同じ方向の円偏光を選択的に反射し、当該らせんの回転方向と逆方向の円偏光を選択的に透過する。
円偏光の選択反射の反射率は、下記式1の波長λで最大値を示す。このλを選択反射波長ともいう。
λ=nave×p (式1)
上記式1において、pは、らせんピッチ(ヘリカルピッチともいう。)であり、naveは、らせん軸に直交する平面内の平均屈折率である。
また、上記式1を満たす場合に、円偏光の選択反射の生じる波長帯域幅Δλは、下記式2で示される。
Δλ=Δn×p (式2)
上記式2において、Δn=n−nであり、nは、液晶分子の長軸と平行方向の最大の屈折率、すなわち、らせん軸に直交する面内における最大の屈折率、nは、液晶分子の長軸と垂直方向の最小の屈折率、すなわち、らせん軸に平行な面内における最小の屈折率である。
なお、上記式(1)及び式(2)の波長は、コレステリック液晶固定層の反射スペクトルを分光光度計(大塚電子(株)製、瞬間マルチシステムMCPD2000)にて測定し、選択反射波長帯域幅は最大反射率の90%以上の反射率を有する波長域(波長範囲)とした。選択反射中心波長は選択反射波長帯域の中央の値である。
反射される光線の波長(選択反射波長)は、ヘリカル構造のヘリカルピッチによるブラッグ(Bragg)反射波長に対応し、反射光線の選択反射波長に対する波長帯域幅は、当該層の複屈折率に関係する。そのため、コレステリック液晶固定層は、一般に狭い波長域の波長帯域幅で近赤外線を反射及び透過する。また、選択反射波長を中心とした波長帯域幅の範囲外の光線は、反射されずに透過する。
したがって、コレステリック液晶固定層のみを用いて、PDPから放出される近赤外線を遮蔽しようとすると、異なる複数の選択反射波長に対応して、ヘリカルピッチの異なるコレステリック液晶固定層を複数層、重ねて使用しないと実用的でないことは、上述したとおりである。
これに対して本発明では、このコレステリック液晶固定層による近赤外線反射層と近赤外線吸収層の両方の層を所定の配置で用いることで、可視光線は透過しつつ、効果的に近赤外線を遮蔽することができる。
また、コレステリック液晶固定層の反射可能な波長帯域幅が狭い光学特性を利用して、近赤外線反射層の選択反射波長が可視光線の領域に及ばないように設定することにより可視光線の透過率が低下することや赤味の色の再現性が低下することを効果的に回避できる。
画像表示装置の前面(画面)に設置する近赤外線遮蔽フィルタの遮蔽波長域は、リモートコントローラの誤動作を効果的に抑制する観点から、PDPに代表される画像表示装置から輻射される近赤外線波長及びリモートコントローラの受光器の波長感度特性を考慮して、800〜1100nmの範囲とするのが好ましい。
但し、コレステリック液晶固定層の選択反射波長域の幅は、通常、100〜200nm程度である為、単一のコレステリック液晶固定層のみを以って800〜1100nmの全域をカバーできない。
そのため本発明においては、選択反射波長域が狭く反射率の立ち上がりの急峻なコレステリック液晶固定層を1層のみ、或いは反射波長域を互いに隣接させた最多でも2層のコレステリック液晶固定層と、吸收波長域が広く吸收率の立ち上りが緩慢な近赤外線吸收層を組合せて積層してなる。且つ近赤外線吸收層の吸收波長域を該近赤外線反射層の反射波長域と隣接させるか又は一部重複させ、且つ吸收波長域の中心波長と該反射波長域の中心波長と波長複し無いように選定することにより、800〜1100nmの全域をカバーする設計である。これにより、近赤外線領域に近い可視光線の透過率が高く、可視光線の780nm近傍の赤味の色の再現性も良好であり、近赤外線を効果的に遮蔽することができる。
また、選択反射波長における近赤外線の反射率は、大きい方が好ましい。単一のコレステリック液晶固定層では、右又は左円偏光の一方が反射し、他方が透過するという選択反射特性を利用するため、理論的には、入射する近赤外線が無偏光(右偏光成分と左偏光成分が等分に含まれる)の場合、最大反射率は50%であるが、40%以上であることが好ましい。
コレステリック液晶固定層を2層以上用いる場合、各層のコレステリック液晶固定層の選択反射する円偏光の回転方向は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
相補的に、反射する円偏光の向きが互いに逆向きのコレステリック液晶固定層を組み合わせたものであっても良い。例えば、第一のコレステリック液晶固定層で左円偏光を反射させ、第二のコレステリック液晶固定層で右円偏光を反射させることで、近赤外線反射層全体としては、右及び左の両方の円偏光を反射させることもできる。すなわち、全反射型の近赤外線選択反射層が得られる。
第一及び第二のコレステリック液晶固定層の選択反射する円偏光の回転方向が同じ場合は、当該第一及び第二のコレステリック液晶固定層の間に位相差層を介在させて、当該位相差層によって第一のコレステリック液晶固定層を通過した円偏光の回転方向を逆向きにして第二のコレステリック液晶層で反射させることもできる。
位相差層の位相差、平均リタデーションReは半波長の1/2λでも良いが、これにさらに1以上の整数を加えた値、つまり1.5λ、2.5λ、3.5λ、4.5λ等であることが、波長による反射率変化が少ないため好ましい。また、上記1.5λ等の好ましい値は±0.2程度ずれていても良い。すなわち、波長λと平均リタデーションReが下記式3を満たすことが好ましい。
Re={(2n+1)/2±0.2}×λ (式3)
かかる形態は、同一種類の(同一旋光方向の)コレステリック液晶固定層のみから構成でき、コレステリック液晶及びカイラル剤を複数選定する必要が無い点で好ましい。
また、2層以上のコレステリック液晶固定層を設ける場合、各層の選択反射波長域同士を重複無しで隣接するか或いは一部重複する状態で偏位させる(ずらす)ことによって、1層のコレステリック液晶固定層のみではカバー不能な広帯域に亙って近赤外線を反射することが出来る。
但し、本発明においては、近赤外線反射層がカバーし切れない波長域は近赤外線吸収層でカバーして、近赤外線反射層数の増加を抑えるという観点から、コレステリック液晶固定層を多層化する場合であっても最大2層までとすることが好ましい。
コレステリック液晶固定層に用いるコレステリック液晶材料としては、従来公知のものを適宜使用すれば良い。例えば、重合性モノマー化合物、重合性オリゴマー化合物等の重合性液晶化合物、液晶ポリマー等の液晶化合物を使用することができる。
重合性液晶化合物の重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基及びエポキシ基等が挙げられる。また、このような重合性官能基は、液晶分子の片末端のみにあっても良いし、両末端にあっても良い。
コレステリック液晶材料としては、単独でヘリカル構造を発現するものであっても良いし、ネマチック液晶相を発現する液晶化合物とヘリカル構造を誘起するカイラル剤とを併用したものであっても良い。
コレステリック液晶材料としては、入手のし易さ、コスト等の観点から、右らせん方向のコレステリック液晶相を発現するコレステリック液晶材料を用いるのが好ましい。
コレステリック液晶材料は、上述したものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(重合開始剤)
コレステリック液晶材料として重合性液晶化合物を用いる場合、重合反応を開始ないし促進するために重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、特開2010−197847号公報記載のベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の重合開始剤を用いることができる。
なかでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、少量でも重合反応を開始ないし促進するので、本発明において好ましく用いられる。
重合開始剤を用いる場合、その含有量は、重合性液晶化合物の質量に対して0.1〜5質量%で用いることが好ましい。
重合開始剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
重合開始剤は市販品を用いても良く、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュアー 184(IRGACURE 184)の商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手できる。
コレステリック液晶材料の粘度や塗工性に応じて、溶剤を用いても良い。このような溶剤としては、従来公知のコレステリック液晶固定層に用いられているものを用いることができる。例えば、トルエン等の芳香族系、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、塩化メチレン、トリクロロエチレン等の塩素系及びテトラヒドロフラン等の溶剤を挙げることができる。
コレステリック液晶固定層の厚みは、液晶材料の種類やそれによって形成されるヘリカルピッチ、必要な反射特性等に応じて適宜設定すれば良く特に限定されない。コレステリック液晶固定層の厚みは、例えば、0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
近赤外線反射層としてのコレステリック液晶固定層は、近赤外線反射層が近赤外線吸収層よりも観察者側に位置するように配置するのであれば、コレステリック液晶固定層単独で近赤外線反射層としても良いし、透明基材にコレステリック液晶固定層を積層したものであっても良い。
この他、後述する電磁波遮蔽層、反射防止層、コントラスト向上層等の各種機能層や、当該機能層の透明基材にコレステリック液晶固定層を積層しても良い。
コレステリック液晶固定層の形成は、公知の形成方法、例えば、上述したコレステリック液晶材料を加熱溶融したものや溶剤と混合し溶液としたものをロールコート、グラビアロールコート、バーコート等の公知の塗工法等によって塗布し、冷却等により固化又は紫外線照射等により硬化させ、コレステリック液晶相を固定することによって形成することができる。
(多層干渉膜)
多層干渉膜の例としては、例えば、特開2004−46216号公報に開示されるような物である。これは、所定の波長領域の光における屈折率が表裏面と平行な面内で異方性を有し、ある方向で最大屈折率を有し、これと直交する方向で最小屈折率を有する樹脂Aと、所定の波長領域の光における屈折率が表裏面内の方向いかんによらず等方的な樹脂層Bとを交互に、A/B/A/B/A/B/A/Bのように100〜500層程度で多層積層したものである。
ここで、樹脂Aとしては、例えば、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。
樹脂Bとしては、例えば、エチレングリコール−ナフタレンジカルボン酸−テレフタル酸共重合体等が挙げられる。
そして、A層の最小屈折率値をB層の屈折率値と合致させた場合、当該多層干渉膜に入射する光のうち、A層の最小屈折率を示す面内方向(進相軸方向)に振動する(電場を持つ)偏光成分は界面での屈折率が最小となるため、反射による損失は最小となって当該多層干渉膜を透過する。一方、A層の最大屈折率を示す面内方向(遅相軸方向)に振動する(電場を持つ)偏光成分は界面での屈折率が最大となるため、反射率は最大となって当該多層干渉膜で反射される。
(ワイヤグリッド偏光分離膜)
ワイヤグリッド偏光分離膜の例としては、例えば、特開昭58−42003号公報、特開昭63−168626号公報、特開2006―330616号公報及び米国特許第7158302号公報等に開示されるような物である。これは、所定の波長領域の光の波長よりも長さが長く、かつ、所定の波長領域の光の波長よりも幅が狭い金属線条を、多数、間に空隙を介して、平行に配列した構造からなる。通常、硝子板、樹脂シート等の透明基材上に当該金属線条群の配列が積層されてなる。
そして、ワイヤグリッド偏光分離膜に入射する光のうち、金属線条の長手方向に振動する(電場を持つ)偏光成分は金属中の自由電子が光の電場に応答するため、ワイヤグリッド偏光分離膜で反射する。一方、金属線条の幅方向に振動する(電場を持つ)偏光成分は金属中の自由電子が光の電場に応答不能なため、ワイヤグリッド偏光分離膜を透過する。
なお、上記文献自体は、可視光線領域中において所定の波長帯域幅内での偏光分離層を開示する。一方、本発明の近赤外線反射層に、これらの技術を適用する際には、これら文献開示の各形態の偏光分離層において、偏光分離の生じる波長を決定する諸元(パラメータ等)を調整して、特定の偏光の選択反射が生じる波長帯域を所望の近赤外線帯域に設定することによって、赤外線選択反射層として機能する。
上記赤外線反射層のうち何を用いるかは要求物性やコスト等を含めて総合的に選択すれば良いが、なかでも、コレステリック液晶固定層は多層干渉膜やワイヤグリッド偏光膜に比べて製造も容易であり、コスト的に有利である。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層20は、可視光線を透過し、近赤外線を吸収する層であれば特に制限はなく、従来公知の層を利用することができる。近赤外線吸収層20は、例えば、NIRA色素をバインダー樹脂中に分散させた層やスパッタによる多層スパッタ膜等であっても良い。これらの中でも、バインダー樹脂中に近赤外線吸収色素を分散させた層が代表的である。
なお、「可視光線を透過し、近赤外線を吸収する」とは、近赤外線吸収層20の機能を相対的に表す意味であり、可視光線は全て透過し近赤外線は全て吸収することを意味するものではない。
NIRA色素は、遮蔽する近赤外線の波長領域や近赤外線領域に近い可視光線の透過率、可視光線の赤味の色の再現性、近赤外線の遮蔽性能等に応じて、有機化合物系及び無機化合物系のNIRA色素から適宜選択して用いれば良い。
有機化合物系のNIRA色素としては、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオニール錯体等が挙げられる。
近赤外線吸収層中のNIRA色素の量は、近赤外線吸収層を一般的な厚さ1〜30μmとしたときに、近赤外線を充分に吸収できる量とする。
フタロシアニン系化合物は、熱安定性が高いという特性を重視する場合に好適に用いられる。一般的な厚さ1〜30μmの近赤外線吸収層中に通常0.001〜10質量%程度含有させることによって、800〜1000nmの波長領域において近赤外線を50%以上吸収する(透過率50%以下とする)ことができる。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタにおいて、NIRA色素としてフタロシアニン系化合物を用いる場合は、近赤外線吸収層の吸収波長域を波長800〜1000nm(短波長側)に有し、当該近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を可視光線の最大波長780nmから少し長波長側に離した波長850〜950nmとし、併用する近赤外線反射層の反射波長域を950〜1150nm(長波長側)に有し、その中心波長を1000〜1100nmとすることにより、用いるNIRA色素の量を低減でき、近赤外線領域に近い可視光線の領域の透過率の低下を抑えながら近赤外線を効果的に遮蔽できる。
NIRA色素としてフタロシアニン系化合物を用いた近赤外線吸収層と、波長950〜1150nmに反射波長域を有する近赤外線反射層とを併用することにより、吸収波長域の中心波長を850〜950nmに有するフタロシアニン系化合物の含有量を、該近赤外線反射層と併用しない場合と比べて20〜60質量%程度少なくすることができる。これにより、フタロシアニン系化合物のみを含む近赤外線吸収層のみを用いる場合よりも、近赤外線領域に近い可視光線の透過率低下を抑えながら近赤外線を効果的に遮蔽できる。
また、ジイモニウム系化合物は熱安定性の点でフタロシアニン系化合物に劣るが、吸収波長領域が950〜1150nmであって可視光線の波長領域から離れており、可視光線の透過率を高くしながら近赤外線を吸収することができるため好適に用いられる。
ジイモニウム系化合物を用いる場合、一般的な厚さ1〜30μmの近赤外線吸収層中に通常0.001〜10質量%程度含有させることによって、950〜1150nmの波長領域において近赤外線を40%以上吸収することができる。
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタにおいて、NIRA色素としてジイモニウム系化合物を用いる場合には、近赤外線吸収層の吸収波長域を波長950〜1150nm(長波長側)に有し、当該近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を1000〜1100nmとし、併用する近赤外線反射層の反射波長域を800〜1000nm(短波長側)に有し、その中心波長を可視光線の最大波長780nmから少し長波長側に離した波長850〜950nmとすることにより、近赤外線領域に近い可視光線の領域の透過率が高く、可視光線の780nm近傍における赤味の色の再現性も良好であり、近赤外線を効果的に遮蔽できる。
また、NIRA色素であるフタロシアニン系化合物を用いないで済むか又は用いたとしても従来の近赤外線吸収層のみの場合よりもフタロシアニン系化合物の含有量を、該近赤外線反射層と併用しない場合と比べて20〜60質量%程度少なくすることができる。
無機化合物系のNIRA色素としては、インジウム錫酸化物、チタン酸化物、特開2006−154516号公報等に記載のセシウム含有タングステン酸化物等が挙げられる。
NIRA色素は、有機化合物系及び無機化合物系から1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。例えば、フタロシアニン系化合物を2種以上併用しても良いし、フタロシアニン系化合物とジイモニウム系化合物を併用しても良い。
バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、粘着剤層のバインダー樹脂とすることも可能である。また、これらのバインダー樹脂は、電磁波遮蔽層等の金属を含む層と接着する場合は、金属の錆防止の観点からカルボキシル基を持たないものであることが好ましい。
但し、粘着剤のバインダー樹脂にカルボキシル基を含有しないものを用いると、金属との接着性が低下する。かかる接着力の低下を補うために、粘着剤中にシランカップリング剤を0.1〜5%程度添加することが好ましい。
上記バインダー樹脂は1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
近赤外線吸収層には、NIRA色素に加えて、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光反応防止剤等のその他の成分が含まれていても良い。
近赤外線吸収層の形成は、従来公知の方法で形成すれば良く、上述した材料を含む近赤外線吸収層形成用の組成物をロールコート、グラビアロールコート、バーコート等によって塗布し、必要に応じて、乾燥、加熱、紫外線照射等を行い、形成することができる。
図3は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。図3の近赤外線遮蔽フィルタ1では、近赤外線吸収層20と近赤外線反射層10の間に支持体としての透明基材60が設けられている。
図4は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。図4の近赤外線遮蔽フィルタ1では、近赤外線吸収層21が粘着剤層を兼ねている。
図5は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。図5の近赤外線遮蔽フィルタ1では、透明基材60の一面側に設けられた粘着剤層を兼ねる近赤外線吸収層21と、別の透明基材60の一面側に設けられた近赤外線反射層10とが、接するように配置されている。
図6は、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。図6の近赤外線遮蔽フィルタ1では、観察者側から、近赤外線反射層10、近赤外線吸収層20及び電磁波遮蔽層70がこの順序で積層されている。
図3〜6に示したように、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタは、近赤外線反射層10及び近赤外線吸収層20の他に、必要に応じて、透明基材60、電磁波遮蔽層70に代表される機能層、粘着剤層等を設けても良い。
以下、これらのその他の部材、機能層について説明する。
(透明基材)
透明基材60は、図3〜5に示したように、近赤外線反射層10や近赤外線吸収層20の支持体となる部材である。
透明基材60としては、光学フィルタや近赤外線フィルタに用いられている従来公知の透明基材を適宜用いることができる。例えば、樹脂フィルム、ガラス、石英、透明セラミックス等を挙げることができる。また、色素を含有する着色されたものであっても良い。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体等のポリオレフィン系樹脂並びにトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂等が挙げられる。なかでも、2軸延伸PETフィルムはコスト、透明性、機械的強度等の観点から好適に用いられる。
可視光域380〜780nmにおける透明基材の平均光透過率は50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、特に好ましくは85%以上である。光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
透明基材の厚みは、近赤外線遮蔽フィルタの用途、質量等に応じて適宜調節すれば良く、通常12〜5000μm程度である。
(機能層)
本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記電磁波遮蔽層及び粘着剤層の他、紫外線吸収層、PDPのネオン光を吸収するネオン光吸収層、表示画像の色調を補正する色補正層、防眩層、反射防止層、明所コンストラストを向上させる特開2007−272161号公報等に記載の微小ルーバ構造のコントラスト向上層、防汚層、帯電防止層、ハードコート層、耐衝撃層等の各種機能層が1種又は2種以上設けられていても良い。また、上記各層は、例えば、防汚層であれば近赤外線遮蔽フィルタの最表面に配置する等、その機能に応じて適切な位置に設ければ良い。
これら機能層は、従来公知の物を適宜選択すればよいが、代表的な機能層である電磁波遮蔽層及び粘着剤、について、以下において、更に詳述する。
(電磁波遮蔽層)
電磁波遮蔽層70としては、従来公知のものを適宜用いることができる。例えば、銅箔をエッチング加工によりメッシュ状とした金属メッシュ(銅エッチングメッシュ)、銀粒子を含む導電ペーストの印刷により形成されたメッシュ(印刷メッシュ)又は全面形成した金属及び金属酸化物の多層スパッタ膜等を電磁波遮蔽層70として用いることができる。
銅エッチングメッシュは、例えば、特開2010−250047号公報に記載の銅箔をケミカルエッチングでメッシュ状にしたものを用いることができる。銅以外にもアルミニウム等の金属も使用可能である。
印刷メッシュとしては、例えば、国際公開第08−149969号パンフレットに記載の銀等の導電性粒子を樹脂バインダ中に分散させた導電性組成物をパターン状に印刷したメッシュを用いることができる。
多層スパッタ膜には、例えばITO(酸化インジウム錫酸化物)、銀等を用いることができる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、近赤外線遮蔽フィルタを例えば、PDP等の近赤外線を発する対象物品に貼り付けるために必要に応じて用いる層である。
粘着剤層は、透明性と、近赤外線遮蔽フィルタの層や部材及び対象物品に対する粘着性を有すれば良く、従来公知の近赤外線遮蔽フィルタに用いられている粘着剤層とすることができる。
例えば、特開2010−250047号公報に記載の天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができる。アクリル系の粘着剤が、耐熱性等の耐久性や透明性に優れ、低コストであるため好適に用いられる。
上述したNIRA色素のフタロシアニン系化合物は、ジイモニウム系化合物に比べて熱安定性が高く、粘着剤層中に当該フタロシアニン系化合物を含有させ、図4に示したように粘着剤層を兼ねた近赤外線吸収層21とすることも可能である。これにより、層構成が簡略化されるという利点がある。
粘着剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
粘着剤層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、上記粘着剤やNIRA色素のフタロシアニン系化合物を含む組成物をロールコート、リバースコート、スプレーコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート等により塗布し、形成すれば良い。
粘着剤層の厚さは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、5〜500μm程度であり、十分な粘着力を確保し、かつ、近赤外線遮蔽フィルタを薄型化する観点から、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは15〜30μmである。
(用途)
本発明による赤外線遮蔽フィルタは、近赤外線を遮蔽する各種用途に使用可能である。特に、PDP、LCD(液晶ディスプレイ)等の各種ディスプレイパネル、なかでも特に赤外線放射が顕著なPDP用として好適である。これらディスプレイは映像信号処理回路、電源、筐体等を付加して画像表示装置を構成する。かかる画像表示装置は、テレビジョン受像機のほか、測定機器、計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いることができる。
(画像表示装置)
本発明に係る画像表示装置は、上記近赤外線遮蔽フィルタが、前記近赤外線反射層が前記近赤外線吸収層よりも観察者側に位置するように、ディスプレイパネルの表示面に配置されていることを特徴とする。
図7は、本発明に係る画像表示装置の構成の一例を模式的に示した断面図である。本発明に係る画像表示装置は、PDP30の表示面に、近赤外線反射層10が前記近赤外線吸収層21よりも観察者側に位置するように、配置されている。
近赤外線を放出する代表的な表示装置としてPDPを例示しているが、本発明に係る近赤外線遮蔽フィルタを適用する表示装置はPDP以外のものであっても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
第一の透明基材60として、厚さ188μmの二軸延伸PETフィルム(東レ(株)製のルミラー(登録商標)U35)を用いた。この透明基材60の位相差は、平均リタデーションReが4083nmであり、近赤外線の波長1200nmに対して、4083/1200=3.4となり、上記式3のRe={(2n+1)/2±0.2}×λ、を満足するものであった。
第二の透明基材60として、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製の商品名A4300)を用いた。
コレステリック液晶材料として、ネマチック液晶相を示す重合性液晶性モノマー分子(Paliocolor(登録商標)LC1057(BASF社製))とカイラル剤(Paliocolor(登録商標)LC756(BASF社製))を用いた。
重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア(登録商標)184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を用いた。
離型フィルムとして、離型処理済みPETフィルム(東洋紡績(株)製の商品名E7002)を用いた。
NIRA色素として、以下の3種類のフタロシアニン系化合物を用いた。
・フタロシアニン系化合物(日本触媒(株)製のイーエクスカラー(登録商標)IR−14、最大吸収波長830nm)
・フタロシアニン系化合物(日本触媒(株)製のイーエクスカラー(登録商標)IR−12、最大吸収波長890nm)
・フタロシアニン系化合物(日本触媒(株)製のイーエクスカラー(登録商標)IR−910、最大吸収波長980nm)
粘着剤として、ヒドロキシルキ基を有しカルボキシル基を実質的に含まないアクリル系共重合体である綜研化学(株)製の商品名SK−1811Lを用いた。
紫外線吸収剤として、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(CYTEC INDUSTRIES製のサイアソーブ(登録商標)UV24)を用いた。
光安定剤として、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・ジャパン(株)製のTINUVIN(登録商標)144)を用いた。
(実施例1)
(近赤外線反射層の形成)
以下の工程により、第一の透明基材60の一面側に近赤外線反射層10としてのコレステリック液晶固定層を積層した積層体を作製した。
LC1057(96.95質量部)、LC756(3.05質量部)及びイルガキュア184(2.42質量部)を含み固形分40質量%に調製したシクロヘキサノン溶液を準備した。
第一の透明基材60の一面側に、配向膜を介さずに上記シクロヘキサノン溶液をバーコーターを用いて塗布した。次いで、120℃で2分間加熱し、溶液中のシクロヘキサノンを蒸発させて、液晶性モノマー分子を配向させコレステリック液晶相を示す塗膜を得た。次いで、当該塗膜に紫外線を照射して、当該液晶分子とカイラル剤を架橋し、コレステリック液晶相を固定することにより膜厚5μmのコレステリック液晶固定層を形成し、第一の透明基材60の一面側に近赤外線反射層10としてのコレステリック液晶固定層を積層した積層体を得た。
この近赤外線反射層10の反射スペクトル(分光光度計で正反射角5°で計測)及び透過スペクトルを図8に示す。最大反射率は45%、反射波長域は950〜1070nm、反射波長域の中心波長は1010nmであった。また、選択反射波長領域以外の反射率は14%であった。
なお本実施例において、反射波長域の帯域幅は最大反射率の90%値幅(最大反射波長の90%以上の反射率を有する波長範囲)と定義し、最大反射率は上記したとおり45%であるから、当該反射波長域内における反射率は近赤外線反射層への入射光の40%以上であった。
(近赤外線吸収層の形成)
以下の組成を有する粘着剤組成物を調製した。
アクリル系粘着剤(SK−1811L):100質量部
フタロシアニン系化合物(IR−14):0.064質量部
フタロシアニン系化合物(IR−12):0.090質量部
フタロシアニン系化合物(IR−910):0.082質量部
紫外線吸収剤(サイアソーブUV24):3.34質量部
光安定剤(TINUVIN144):1.66質量部
芳香族系イソシアネート(キシレンジイソアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体)(武田薬品工業(株)製の商品名D−110):固形分換算2質量部
希釈剤:30質量部
以下の工程により、粘着剤層を兼ねた近赤外線吸収層21の両面に離型フィルムを有する粘着フィルムを得た。
厚さ100μmの離型フィルムの離型面に、上記粘着剤組成物を乾燥時の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、70℃で3分乾燥させた。
次いで、その塗膜上に、厚さ75μmの離型フィルムをラミネートして、粘着剤層を兼ねた近赤外線吸収層21の両面に離型フィルムを有する粘着フィルムを得た。
この粘着フィルムの近赤外線吸収層21の可視光線帯域での平均透過率は56%であり、近赤外線帯域における最大吸収率は83%、吸収波長域は800nm〜1000nm、吸収波長域の中心波長は900nmであった。(図9参照)
なお本実施例において、吸収波長域の帯域幅は最大吸収率の90%値幅と定義し、最大吸収率は上記したとおり83%であるから、当該吸収波長域内における吸収率は近赤外線吸収層への入射光の75%以上であった。
(近赤外線遮蔽フィルタの作製)
上記粘着フィルムの両面の離型フィルムを剥がし、上記積層体の近赤外線反射層10に近赤外線吸収層21を貼り合わせ、当該近赤外線吸収層21に第二の透明基材60をラミネートし、図5に示すような層構成を有する近赤外線遮蔽フィルタ1を作製した。
(近赤外線の遮蔽性能の評価)
PDP30に映像として白画面を表示させた状態で、上記近赤外線遮蔽フィルタ1を近赤外線反射層10が近赤外線吸収層21よりも観察者側に位置するように、配置した。
そして、PDP30に近赤外線遮蔽フィルタ1を設置する前後で可視光線の波長領域(380〜780nm)と近赤外線の波長領域(800〜1100nm)における強度を測定し、その設置前後の強度変化から透過率を算出した。
可視光線の強度は、ダブルビーム分光光度計((株)日立製作所製の商品名200−10)を用いて測定した。また、近赤外線の強度は、近赤外分光放射計((株)日立製作所製の商品名U−3410)を用いて測定した。
その結果、可視光線の領域の平均透過率は56%、波長800〜1100nmの近赤外線の平均透過率は15%であった。
なお、当該近赤外線遮蔽フィルタ1の設置の有無による画面の色相の差は、目視では判別不能であり、赤み減少(青み増加)は観察されなかった。
(比較例1:近赤外線反射層なし近赤外線吸収層のみ)
実施例1において、近赤外線反射層10を設けず、近赤外線吸収層21のみを有する近赤外線遮蔽フィルタ1を作製した。
比較例1の近赤外線遮蔽フィルタ1の可視光線領域の平均透過率は56%、波長800〜1100nmの近赤外線の平均透過率は43%であった。
なお、当該近赤外線遮蔽フィルタ1の設置の有無による画面の色相の差は、近赤外線遮蔽フィルタ1未設置の場合と比べて、青みが増して感じられた。
(比較例2:近赤外線反射層なし近赤外線吸収層のみでNIRA色素増量)
実施例1において、近赤外線反射層10を設けず、各NIRA色素(型番;IR−14、IR−12、及びIR−910)の量を10倍に増やした近赤外線吸収層21のみを有する近赤外線遮蔽フィルタ1を作製した。
比較例2の近赤外線遮蔽フィルタ1の可視光線領域の平均透過率は52%、波長800〜1100nmの近赤外線の平均透過率は36%であった。
(比較例3:近赤外線反射層なし近赤外線吸収層のみでNIRA色素減量)
実施例1において、近赤外線反射層10を設けず、各NIRA色素((型番);IR−14、IR−12、及びIR−910)の量を1/10に減らした近赤外線吸収層21のみを有する近赤外線遮蔽フィルタ1を作製した。
比較例3の近赤外線遮蔽フィルタ1の可視光線領域の平均透過率は59%、波長800〜1100nmの近赤外線の平均透過率は50%であった。
なお、当該近赤外線遮蔽フィルタ1の設置の有無による画面の色相の差は、目視では判別不能であり、赤み減少(青み増加)は観察されなかった。
1 近赤外線遮蔽フィルタ
10 近赤外線反射層
20 近赤外線吸収層
30 PDP
41、42、43、45、46 近赤外線
50R、50L 右円偏光、左円偏光
60 透明基材
70 電磁波遮蔽層

Claims (4)

  1. 観察者側から、近赤外線を反射する近赤外線反射層及び近赤外線を吸収する近赤外線吸収層をこの順序で有し、前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長と前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長とが重複しないことを特徴とする、近赤外線遮蔽フィルタ。
  2. 前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長を850〜950nmに有し、前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を1000〜1100nmに有することを特徴とする、請求項1に記載の近赤外線遮蔽フィルタ。
  3. 前記近赤外線反射層の反射波長域の中心波長を1000〜1100nmに有し、前記近赤外線吸収層の吸収波長域の中心波長を850〜950nmに有することを特徴とする、請求項1に記載の近赤外線遮蔽フィルタ。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の近赤外線遮蔽フィルタが、前記近赤外線反射層が前記近赤外線吸収層よりも観察者側に位置するように、ディスプレイパネルの表示面に配置されていることを特徴とする、画像表示装置。
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