JP2012200308A - 除染条件決定方法 - Google Patents

除染条件決定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012200308A
JP2012200308A JP2011065385A JP2011065385A JP2012200308A JP 2012200308 A JP2012200308 A JP 2012200308A JP 2011065385 A JP2011065385 A JP 2011065385A JP 2011065385 A JP2011065385 A JP 2011065385A JP 2012200308 A JP2012200308 A JP 2012200308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
decontamination
temperature
relative humidity
test
conditions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011065385A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5769462B2 (ja
Inventor
Yasushi Kawasaki
康司 川崎
Jun Masutome
純 益留
Chieko Mizuguchi
智映子 水口
Haruka Nimura
はるか 二村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Acous Corp
Original Assignee
Airex Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Airex Co Ltd filed Critical Airex Co Ltd
Priority to JP2011065385A priority Critical patent/JP5769462B2/ja
Publication of JP2012200308A publication Critical patent/JP2012200308A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5769462B2 publication Critical patent/JP5769462B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Abstract

【課題】過酸化水素ガスを採用して除染対象室の適正な除染条件を決定するに際し、膨大な時間と費用を要する除染テストの実施回数を軽減することを可能とし、複数の除染条件の中から効率的で高度な除染バリデーションを可能とする除染条件を決定することのできる除染条件決定方法を提供する。
【解決手段】温度パラメータの設定値をA(℃)、相対湿度パラメータの設定値をB(%)としたときに、温度湿度制御装置による制御が室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)、室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)の範囲で制御可能であれば、これらの組み合わせにおいて、絶対湿度の値が最も小さくなる室内温度と室内相対湿度との組み合わせとしてから温度湿度制御装置を停止して除染テストを開始する。
【選択図】図3

Description

本発明は、無菌室、クリーンルーム或いは病室などの室内に除染ガスを発生させて除染を行う際の適正な除染条件を決定する除染条件決定方法に関するものである。
医薬品或いは食品などを製造する製造現場、或いは、手術室などの医療現場においては、室内の無菌状態を維持することが重要である。特に医薬品製造の作業室である無菌室の除染においては、GMP(Good Manufacturing Practice)に即した高度な除染バリデーションを完了させる必要がある。
近年、無菌室などの作業室(以下、除染対象室という)の除染には、人体に有害なホルマリンガスに替えて過酸化水素ガスが採用されつつある。この過酸化水素ガスは、強力な滅菌効果を有し、安価で入手しやすく、且つ、最終的には酸素と水に分解する環境に優しい除染ガスとして有効である。
この過酸化水素ガスによる除染効果は、除染対象部位の表面に凝縮する過酸化水素水の凝縮膜によるものであることが下記特許文献1に記載されている。従って、除染対象室の除染効果の完璧を図るには、過酸化水素ガスの供給量を多くして発生する過酸化水素水の凝縮膜を厚く或いは高濃度にすればよい。
ところが、除染対象室に過剰量の過酸化水素ガスを供給すると過度な凝縮が起こり、除染対象室の内部に設置されている各種製造設備や精密測定機器或いは除染対象室の壁面などが発生した高濃度の過酸化水素水の凝縮膜により腐食されるという不具合が生じる。従って、除染ガスとして過酸化水素ガスを使用する場合には、従来の除染ガスに比べ、ガス供給量と除染効果の関係を考慮した高度な除染条件設定が特に重要となる。
この除染条件は、除染対象室の温度、湿度、ガス供給量(総投入量・投入速度・投入時間)などの多くのパラメータ(以下、これらを除染パラメータという)を組み合わせて設定され、上述の不具合が無く、且つ、高度な除染バリデーションを得るためには、除染効果を適正に評価し、その結果に基づいて適正な除染条件を決定することが重要となる。
特公昭61−4543号公報
ところで、無菌室などの除染対象室は、通常使用される際には空調設備を稼働して室内の温度及び湿度が制御されている。一方、室内に過酸化水素ガスを供給して室内の除染を行う際には、この空調設備を停止してから除染が開始される。従って、除染を開始する際の初期条件として、除染開始時の室内の温度及び湿度が除染パラメータとして設定される。
ここで、除染対象室は、容積が大きく、室内形状も多様であることから、設置された空調設備の精度に限界があり、温度及び湿度の制御には一定の制御幅が生じる。従って、各除染パラメータを設定して1つの除染条件を構成した場合でも、実際の除染の際には、初期条件の温度及び湿度が一定の制御幅の中でその都度変動する。よって、高度な除染バリデーションを得るためには、初期条件の温度及び湿度が一定の制御幅の中で変動しても、当初予定していた十分な除染効果が発揮されなくてはならない。
従って、1つの除染条件を実際に評価するには、温度、湿度以外の除染パラメータを固定した状態で、空調設備の温度制御幅及び湿度制御幅にそれぞれ対応した温度と湿度との組み合わせからなる複数の除染テストを実施する。その結果、いずれの温度と湿度との組み合わせにおいても十分な除染効果が発揮されることが確認された除染条件のみが有効な除染条件であると判定される。
しかし、1回の除染テストを行うには、煩雑で長時間の作業が必要となる。また、1つの除染条件を評価するには、上述のように空調設備の制御幅に対応した複数回のテストを要し膨大な時間と費用が必要になる。このことが、これまで除染条件を評価する際の重大な問題となっていた。
更に、ある除染対象室にとって適正な除染条件を決定するには、まず、温度、湿度を含めた多くの除染パラメータを変化させ、それぞれを組み合わせた複数の除染条件を設定する。次に、個々の除染条件を評価して、要求される除染レベルを維持すると共に、過剰に過酸化水素ガスを供給することのない最も効率的な除染条件を決定する。
このように、ある除染対象室に適正な除染条件を決定するには、可能性のある複数の除染条件を設定し、且つ、個々の除染条件に対して、それぞれ温度及び湿度の制御幅に対応した更に複数回の除染テストを実施しなければならない。
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、過酸化水素ガスを採用して除染対象室の適正な除染条件を決定するに際し、膨大な時間と費用を要する除染テストの実施回数を軽減することを可能とし、複数の除染条件の中から効率的で高度な除染バリデーションを可能とする除染条件を決定することのできる除染条件決定方法を提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、空調設備の温度制御幅及び湿度制御幅にそれぞれ対応した実際の除染テストを繰り返し、鋭意研究の結果、除染開始時点の除染対象室内の絶対湿度と除染効果との間に相関関係を見出して本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係る除染条件決定方法は、請求項1の記載によれば、
温度湿度制御装置を備えた除染対象室に過酸化水素ガスを供給して当該除染対象室の内部を除染するために、温度パラメータ及び相対湿度パラメータを含む複数のパラメータの組み合わせからなる適正な除染条件を決定する除染条件決定方法であって、
上記除染条件を構成する上記複数のパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを変化させて複数の除染条件を設定する除染条件設定工程と、
上記複数の除染条件に対して、それぞれ、上記除染対象室の所定位置に除染効果を判定するためのバイオロジカルインジケータを設置して各除染テストを実施する除染テスト実施工程と、
上記除染テスト実施工程後に上記バイオロジカルインジケータの判定結果から得られる各除染テストで達成された菌数の対数減少の値から当該除染テストの除染効果が予め定められた基準に適合するか否かを判定する除染効果判定工程と、
上記除染効果判定工程の結果から、上記除染対象室に対して適正な除染条件を決定する除染条件決定工程とを有しており、
上記除染テスト実施工程において、
温度パラメータの設定値をA(℃)、相対湿度パラメータの設定値をB(%)としたときに、上記温度湿度制御装置による制御が室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)で制御可能であり、且つ、室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)で制御可能であれば、
上記室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)と上記室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)との組み合わせにおいて、絶対湿度の値が最も小さくなる室内温度と室内相対湿度との組み合わせとしてから上記温度湿度制御装置を停止して除染テストを開始することを特徴とする。
上記構成によれば、除染条件決定方法は、除染条件設定工程と除染テスト実施工程と除染効果判定工程と除染条件決定工程とを有している。除染条件設定工程は、除染対象室を過酸化水素ガスで除染するために各種除染パラメータを組み合わせ、適切と考えられる複数の除染条件を設定する。これら設定された除染条件は、続く除染テスト実施工程で実施され、いずれの除染条件が除染対象室に適切であるかが比べられる。
ここで、これらの除染パラメータには、室内の温度と湿度、及び、過酸化水素ガスの供給速度と供給時間などがあり、これらを組み合わせることにより設定される。室内の温度と湿度は、除染テストの初期条件であり、供給速度と供給時間は、過酸化水素ガスの供給量に対応する。特に後者の過酸化水素ガスの供給速度と供給時間は、過酸化水素ガスを供給する室内除染装置によって制御される要素である。
除染テスト実施工程では、除染条件設定工程で設定された除染条件に従って、実際に除染対象室の除染を行う。除染テストは、求める除染レベルに合わせたバイオロジカルインジケータ(以下、BIという)による判定で行われる。
ここで、予め定められた基準とは、例えば、4〜6対数減少(ログ・リダクション)が発揮されるか否かをいう。例えば、6対数減少の除染レベルにおいては、使用する除染剤に最も耐性のある滅菌指標菌を106個有するBIを除染対象室の中の複数の箇所に設置して除染テストを行う。その後、このBIを回収、培養して、BIの滅菌指標菌が全到死した場合に6対数減少が達成されたと判定する。
除染効果判定工程では、除染テストで回収したBIを所定の方法で培養し滅菌の状態を判定する。このようにして求められた除染テストの除染効果は、続く除染条件決定工程に供せられ、除染対象室に適切な除染条件を決定するために活用される。
除染条件決定工程では、BIの培養結果から判定された滅菌の状態と、除染パラメータのうち、過酸化水素ガスの供給速度及び供給時間から算出される過酸化水素ガスの総供給量を考慮して、過酸化水素ガスの過剰な供給とならず、且つ、作業上も効率的で除染効果の確実な除染条件が決定される。
以上のようにして行う除染条件決定方法において、本発明の特徴とするところは、除染テスト実施工程にある。すなわち、除染条件の温度パラメータの設定値をA(℃)、相対湿度パラメータの設定値をB(%)としたときに、温度湿度制御装置の制御幅により、室内温度が〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)の範囲で変動し、且つ、室内相対湿度が〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)の範囲で変動する。
そこで、本発明においては、室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)と上記室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)との組み合わせにおいて、絶対湿度の値が最も小さくなる温度と相対湿度との組み合わせにおいてのみ除染テストを実施するようにする。
このことは、絶対湿度の値が最も小さい条件での除染テストが最も除染し辛い条件であることを理由とするものであり、絶対湿度がより大きい場合には、除染効果が大きくなることになる。従って、絶対湿度の値が最小の条件でのみ除染テストを実施することにより、最少の回数で正確な除染効果を達成することができる。
よって、請求項1に記載の発明においては、過酸化水素ガスを採用して除染対象室の適正な除染条件を決定するに際し、膨大な時間と費用を要する除染テストの実施回数を軽減することを可能とし、複数の除染条件の中から効率的で高度な除染バリデーションを可能とする除染条件を決定することのできる除染条件決定方法を提供することができる。
初期条件での室内の温度(℃)とD値(分)との関係を示す相関図である。 初期条件での室内の相対湿度(%)とD値(分)との関係を示す相関図である。 初期条件での室内の容積絶対湿度(g/m3)とD値(分)との関係を示す相関図である。
以下、本発明に係る除染条件決定方法を説明するに当り、まず、本発明者らが実施した除染テストとその除染効果の解析について説明する。この除染テストは、空調設備による温度及び相対湿度の制御幅への対処を検討したものであり、温度、相対湿度及び曝露時間以外の除染パラメータを固定して実施した。
〔試験方法〕
(1)除染環境
空調設備を備えた容積60m3の除染対象室に対して、本発明者らの発明に係る室内除染装置(特開2009−273645号)を使用して、過酸化水素ガスによる除染テストを実施した。
(2)初期条件の設定
実際の除染テストは、除染対象室の空調設備を稼働して室内の温度及び相対湿度が安定した状態で空調設備を停止してから開始する。この空調設備を停止した時の室内の温度及び相対湿度の実測値を初期条件とした。この初期条件として、室内の温度を24℃、26℃、28℃の3水準とし、これらの室内の温度に対して、それぞれ、相対湿度条件を変化させて初期条件を設定した。今回の除染テストにおいては、相対湿度を34%〜64%の範囲で変化させた8組の初期条件を設定した(表1参照)。
この8組の初期条件に対して、それぞれ、以下の(3)〜(8)の手順に従って除染テストを実施した。
(3)BIの設置
除染対象室の所定位置に除染テストに必要な枚数の6対数減少用BIをセットした。
(4)過酸化水素ガスの発生開始
室内の温度及び相対湿度の実測値が設定した初期条件に達したときに空調設備を停止し、過酸化水素ガスの発生を開始した。初期条件の温度及び相対湿度以外の除染パラメータのうち、過酸化水素ガスの供給量は、過酸化水素ガスの投入速度と投入時間で設定した。過酸化水素ガスの投入速度は、除染対象室に放出する過酸化水素ガスの単位時間当たりの発生量で設定し、具体的には上記過酸化水素ガス発生装置に滴下する35%過酸化水素水の滴下速度を1.5g/分として固定した。また、過酸化水素ガスの投入時間は、60分、120分、180分、240分、300分の5水準とした。
(5)BIの回収
過酸化水素ガスの発生を開始したときから、60分毎にBIを回収した。従って、BIに対する過酸化水素ガスの曝露時間は、上記投入時間に対応して、60分、120分、180分、240分、300分の各時間であった。
(6)BIの培養
回収した6対数減少用BIは、所定の方法で培養し滅菌の程度を判定した。
(7)室内のエアレーション
300分の投入時間を経過して全てのBIを回収した後、除染対象室の過酸化水素ガスを除去するために室内のエアレーションを360分行った。
(8)BIの判定を基にしてD値を算出
除染効果の評価には、D値(Decimal reduction value)を採用した。D値とは、一定の除染条件下で初期の菌数を1/10に減少(90%死滅)させるのに必要な時間(分)を意味する。D値の計算には、上記6対数減少用BIの培養結果を用いたLSKM(Limited Spearman−karber Method)による方法を採用した。
〔試験結果の解析〕
上述の試験方法で行った8回の除染テストについて、初期条件と培養結果から算出したD値を表1に示す。
表1に求めたD値を用いて、初期条件での室内の温度或いは室内の相対湿度とD値との関係を解析した。
(1)温度とD値との関係
表1から求められた初期条件での室内の温度(℃)とD値(分)との関係を図1に示す。図1において、各測定点は、相対湿度によって大きく2つのグループに分けることができる。すなわち、相対湿度40%のグループT1と相対湿度60%のグループT2に分けられる。ここで、グループT1において、温度の増加に伴ってD値が徐々に小さな値をとる傾向が認められる。一方、グループT2においては、特に明確な相関関係が認められない。このことから、相対湿度に制御幅が存在する除染対象室の除染においては、室内の温度とD値との相関関係を見出すことはできなかった。
(2)相対湿度とD値との関係
同じく、表1から求められた初期条件での室内の相対湿度(%)とD値(分)との関係を図2に示す。図2において、各測定点は、相対湿度によって大きく2つのグループに分けることができる。すなわち、相対湿度40%のグループH1と相対湿度60%のグループH2に分けられる。ここで、グループH1及びグループH2のいずれにおいても、相対湿度とD値との相関関係を見出すことはできなかった。
(3)絶対湿度とD値との関係
次に、初期条件での温度及び相対湿度から湿り空気線図を用いて絶対湿度を求めた。ここでは、絶対湿度として容積絶対湿度(g/m3)を使用した。表2に求められた容積絶対湿度(g/m3)とD値(分)とを示す。
表2から求められた初期条件での室内の絶対湿度(g/m3)とD値(分)との関係を図3に示す。図3において、絶対湿度の増加に伴ってD値が徐々に小さな値をとり、除染効果が向上していることが示されている。
以上のことから、空調設備の精度に限界があり、室内の温度及び相対湿度に一定の制御幅が存在する環境で、高度な除染バリデーションを完了させるためには、室内の絶対湿度に着目することが重要であることが分かる。
〔従来の除染条件決定方法〕
ここで、除染対象室の除染条件を決定するために従来行われていた除染条件決定方法の一例について説明する。例えば、除染パラメータとして、室内の温度、室内の相対湿度、過酸化水素ガスの投入速度、及び、過酸化水素ガスの投入時間をそれぞれ設定する。その他の条件は全て一定とする。
上記除染パラメータのうち、過酸化水素ガスの投入時間は、他の除染パラメータが同じ場合には、同一環境での曝露時間を変化させることで対応可能である。従って、室内の温度、室内の相対湿度、過酸化水素ガスの投入速度が固定されている場合は、1回の除染テストを行えばよいと考えられる。
しかし、実際には上述のように、空調設備の制御幅に対応して温度及び相対湿度を組み合わせた複数回のテストを行わねばならない。更に、高度な除染バリデーションを完了させるためには、同一条件での除染テストを少なくとも3回実施することが求められる。
仮に、室内の温度を21℃として制御幅が±2℃であり、一方、室内の相対湿度を45%として制御幅が±5%であるとする。この場合、従来の除染条件決定方法においては、少なくとも、(19℃・40%)、(19℃・50%)、(23℃・40%)、(23℃・50%)という4条件での除染テストの実施が必要であった。更に各条件に対して、それぞれ3回繰り返して実施すると、合計12回の除染テストが行われていた。
これに対して、本発明者らの上記知見によると、温度制御幅及び相対湿度制御幅の各組み合わせの中で絶対湿度の値が最も小さくなる温度と相対湿度の組み合わせのみで除染テストを行うことにより、複数の除染テストを行うことなく当該除染条件の評価が可能となる。上記の例においては、1つの条件で3回実施すればよく、従来12回を要していた除染テストの回数が3回となる。
以下、本発明に係る除染条件決定方法を実施形態に基づいて説明する。
〔本発明に係る実施形態〕
本実施形態においては、空調設備を備えた容積60m3の除染対象室に対して、本発明者らの発明に係る上記室内除染装置(特開2009−273645号)を設置し、過酸化水素ガスを用いて、当該除染対象室に適正な除染条件を決定した。
(1)除染条件設定工程
除染パラメータは、初期条件としての室内の温度及び室内の相対湿度、並びに、過酸化水素ガス供給量としての投入速度及び投入時間を設定し、これらによる除染条件を表3に示す。
本実施形態においては、表3に示すように、室内の温度及び室内の相対湿度という除染パラメータをそれぞれ1水準設定し、また、過酸化水素ガスの投入速度という除染パラメータを3水準設定した。更に、過酸化水素ガスの投入時間という除染パラメータを300分として1水準設定した。
従って、本実施形態においては、上記従来の除染条件決定方法に従えば、(3設定条件×4温湿度条件)×3回=36回という膨大な回数の除染テストを要することとなり、従来では現実に実施することが不可能であった。
(2)除染テスト実施工程
表3に示すように温度には、21℃±2℃という制御幅があり、また、相対湿度には、45%±5%という制御幅が存在する。そこで、本実施形態においては、まず、温度19℃〜23℃及び相対湿度40%〜50%の各組み合わせに対して、湿り空気線図を用いて容積絶対湿度を求めた。その結果、温度19℃、相対湿度40%が最も絶対湿度の値が小さく、6.5g/m3であった。この結果、本実施形態においては、温度19℃、相対湿度40%という初期条件の下で、過酸化水素ガスの投入速度を変化させた3条件の除染テストを行うこととした。
そこで、表3のNo.1の条件での除染テストを実施した。まず、除染効果の確認を行うために、除染対象室の40箇所に6対数減少用BIをセットした。
この状態で、除染対象室の空調設備を稼働して室内の温度と相対湿度を調節した。そして、実測値で温度19℃、相対湿度40%となり安定した状態で空調設備を停止して除染テストを開始した。過酸化水素ガス発生装置に滴下する35%過酸化水素水の滴下速度は、表3に示すように1.0g/分であった。
過酸化水素ガスの発生を開始してから300分の投入時間が経過した後、過酸化水素ガスの供給を停止し、除染対象室の過酸化水素ガスを除去するために室内のエアレーションを360分行った。その後、全てのBIを回収して除染テストを終了した。
ここで、高度な除染バリデーションを完了させるためには、同一条件での除染テストを3回実施することが求められる。従って、上述と同様の除染テストを更に2回行った。
次に、同様にして、No.2の条件での除染テストを実施した。この除染テストにおいては、除染対象室内の温度と相対湿度を実測値で温度19℃、相対湿度40%とし、過酸化水素ガス発生装置に滴下する35%過酸化水素水の滴下速度は、表3に示すように1.5g/分であった。その他の条件は、No.1の除染テストと同様であった。また、高度な除染バリデーションを完了させるために同様の除染テストを更に2回行った。
次に、同様にして、No.3の条件での除染テストを実施した。この除染テストにおいては、除染対象室内の温度と相対湿度を実測値で温度19℃、相対湿度40%とし、過酸化水素ガス発生装置に滴下する35%過酸化水素水の滴下速度は、表3に示すように2.0g/分であった。その他の条件は、No.1の除染テストと同様であった。また、高度な除染バリデーションを完了させるために同様の除染テストを更に2回行った。
(3)除染効果判定工程
各回の除染テストで回収したBIは、所定の方法で培養し滅菌の程度を判定した。本実施形態においては、使用したBIが6対数減少用のものであり、回収した全てのBIの滅菌指標菌が全到死した条件を6対数減少が達成されたものとして判定した。
(4)除染条件決定工程
以上の結果から、No.1〜No.3の除染条件の中で本実施形態の除染対象室に対して、6対数減少の除染を保証する適切な除染条件を決定した。すなわち、6対数減少の除染効果を発揮する除染条件において、過酸化水素ガスの総投入量が最も少ない条件を選択した。この除染条件においては、仮に室内の温度が19℃〜23℃の範囲内で変動し、また、相対湿度が40%〜50%の範囲内で変動しても、必ず6対数減少の除染を保証することができる。
このように、従来では上述のように、少なくとも(3設定条件×4温湿度条件)×3回=36回の実施を必要とした除染テストの回数を3条件×3回=9回の実施で行うことができ、現実的なものとなった。このことにより、各除染条件に対して、6対数減少を保証できる過酸化水素ガスの供給量を考慮して、除染対象室の内部に設置されている各種製造設備や精密測定機器或いは除染対象室の壁面などが発生した高濃度の過酸化水素水の凝縮膜により腐食されるという不具合が生じる危険性の最も少ない除染条件を決定することができた。
よって、本実施形態においては、過酸化水素ガスを採用して除染対象室の適正な除染条件を決定するに際し、膨大な時間と費用を要する除染テストの実施回数を軽減することを可能とし、複数の除染条件の中から効率的で高度な除染バリデーションを可能とする除染条件を決定することのできる除染条件決定方法を提供することができる。

Claims (1)

  1. 温度湿度制御装置を備えた除染対象室に過酸化水素ガスを供給して当該除染対象室の内部を除染するために、温度パラメータ及び相対湿度パラメータを含む複数のパラメータの組み合わせからなる適正な除染条件を決定する除染条件決定方法であって、
    前記除染条件を構成する前記複数のパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを変化させて複数の除染条件を設定する除染条件設定工程と、
    前記複数の除染条件に対して、それぞれ、前記除染対象室の所定位置に除染効果を判定するためのバイオロジカルインジケータを設置して各除染テストを実施する除染テスト実施工程と、
    前記除染テスト実施工程後に前記バイオロジカルインジケータの判定結果から得られる各除染テストで達成された菌数の対数減少の値から当該除染テストの除染効果が予め定められた基準に適合するか否かを判定する除染効果判定工程と、
    前記除染効果判定工程の結果から、前記除染対象室に対して適正な除染条件を決定する除染条件決定工程とを有しており、
    前記除染テスト実施工程において、
    温度パラメータの設定値をA(℃)、相対湿度パラメータの設定値をB(%)としたときに、前記温度湿度制御装置による制御が室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)で制御可能であり、且つ、室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)で制御可能であれば、
    前記室内温度範囲〔A−a1〕(℃)乃至〔A+a2〕(℃)と前記室内相対湿度範囲〔B−b1〕(%)乃至〔B+b2〕(%)との組み合わせにおいて、絶対湿度の値が最も小さくなる室内温度と室内相対湿度との組み合わせとしてから前記温度湿度制御装置を停止して除染テストを開始することを特徴とする除染条件決定方法。
JP2011065385A 2011-03-24 2011-03-24 除染条件決定方法 Active JP5769462B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011065385A JP5769462B2 (ja) 2011-03-24 2011-03-24 除染条件決定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011065385A JP5769462B2 (ja) 2011-03-24 2011-03-24 除染条件決定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012200308A true JP2012200308A (ja) 2012-10-22
JP5769462B2 JP5769462B2 (ja) 2015-08-26

Family

ID=47181910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011065385A Active JP5769462B2 (ja) 2011-03-24 2011-03-24 除染条件決定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5769462B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014155593A (ja) * 2013-02-15 2014-08-28 Earekkusu:Kk 除染システム
JP2017012400A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 株式会社大林組 除染方法及び除染システム
JP2017086401A (ja) * 2015-11-09 2017-05-25 清水建設株式会社 薬剤効果予測方法及び薬剤効果予測システム

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0926172A (ja) * 1995-07-10 1997-01-28 Sekisui Chem Co Ltd 換気装置
JPH09132944A (ja) * 1995-09-08 1997-05-20 Emoto Kogyo Kk 防湿機能を備えた建築物および当該建築物の防湿方法
JP2002286677A (ja) * 2000-10-20 2002-10-03 Fisher & Paykel Healthcare Ltd 湿度検知装置及び気体の絶対湿度を検知する方法
JP2002333184A (ja) * 2001-05-14 2002-11-22 Rinnai Corp 浴室用空調機
JP2005505349A (ja) * 2001-10-05 2005-02-24 ペプシコ,インコーポレイテッド 高速低温滅菌並びに衛生化装置および方法
JP2007240118A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Hitachi Plant Technologies Ltd 多層階建屋の附室の結露防止システム
JP2010115451A (ja) * 2008-11-15 2010-05-27 Earekkusu:Kk 除染装置、該除染装置における除染条件の決定方法、及び該除染装置における除染条件の管理方法。
JP2011010892A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Shimizu Corp 室内除染システム

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0926172A (ja) * 1995-07-10 1997-01-28 Sekisui Chem Co Ltd 換気装置
JPH09132944A (ja) * 1995-09-08 1997-05-20 Emoto Kogyo Kk 防湿機能を備えた建築物および当該建築物の防湿方法
JP2002286677A (ja) * 2000-10-20 2002-10-03 Fisher & Paykel Healthcare Ltd 湿度検知装置及び気体の絶対湿度を検知する方法
JP2002333184A (ja) * 2001-05-14 2002-11-22 Rinnai Corp 浴室用空調機
JP2005505349A (ja) * 2001-10-05 2005-02-24 ペプシコ,インコーポレイテッド 高速低温滅菌並びに衛生化装置および方法
JP2007240118A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Hitachi Plant Technologies Ltd 多層階建屋の附室の結露防止システム
JP2010115451A (ja) * 2008-11-15 2010-05-27 Earekkusu:Kk 除染装置、該除染装置における除染条件の決定方法、及び該除染装置における除染条件の管理方法。
JP2011010892A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Shimizu Corp 室内除染システム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014155593A (ja) * 2013-02-15 2014-08-28 Earekkusu:Kk 除染システム
JP2017012400A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 株式会社大林組 除染方法及び除染システム
JP2017086401A (ja) * 2015-11-09 2017-05-25 清水建設株式会社 薬剤効果予測方法及び薬剤効果予測システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5769462B2 (ja) 2015-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5769462B2 (ja) 除染条件決定方法
EP1793869B1 (en) Detection of sterilisation vapour condensation point
EP2429944A4 (en) SYSTEM FOR PRODUCING HIGH-CONCENTRATED NO2 AND METHOD FOR GENERATING HIGH-CONCENTRATED NO2 USING THE GENERATION SYSTEM
RU2635526C2 (ru) Система газовой стерилизации/дезинфекции и способ для трубопроводов текучей среды
JP6336112B2 (ja) 低濃度で気化された過酸化水素による、大幅に強化された除染方法
JP6285060B1 (ja) 除染装置及び当該除染装置を使用した除染方法
KR20020033825A (ko) 포름알데이드 가스 살균 장치
TW201210641A (en) Method for controlling decontamination and apparatus for controlling decontamination used for the method
JP2012211825A (ja) 絶対湿度による温湿度調整コントロールシステム及び、該コントロールシステムを使用した試験装置
JP2011010892A (ja) 室内除染システム
US11712491B2 (en) Apparatus and method for detecting improper positioning of removable component of sterilizing system
WO2016086299A1 (en) Method for establishing resistance characteristics of a biological indicator
US20180200554A1 (en) Ct value controller and anticancer agent degradation apparatus
Kreft et al. PCR is changing clinical diagnostics
JP2005231977A (ja) オゾンくん蒸システムにおけるオゾン発生器の制御方法及びその制御方法を用いたオゾン発生器
JP4742058B2 (ja) 除染方法
JP6610937B2 (ja) 薬剤効果予測方法
WO2016174143A1 (de) Verfahren und vorrichtung zur beurteilung der wirksamkeit einer aufbereitung von medizinischen, insbesondere dentalen, hohlkörperinstrumenten
JP7383864B1 (ja) 空間除染方法及び空間除染装置
JP5953044B2 (ja) 殺菌装置及び殺菌方法
Drosnock The Latest Developments in AAMI's Sterilization Standards
Chewins Standard test method for automated airborne disinfection systems
WO2023119757A1 (ja) 除染強度センサ、除染システム、除染強度の検出方法、除染強度の検出プログラム
Nielsen Antibiotic lethality is impacted by nutrient availabilities: New insights from machine learning
JP2011015618A (ja) ウイルス不活化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140916

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150501

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150623

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5769462

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250