JP2012197037A - 照射方向制御装置および照射方向制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車線形状にしたがって光の照射方向を変更する車線追従制御を実行する照射方向制御技術において、車線形状への光照射方向の追従性低下を抑制する。
【解決手段】照射方向制御装置において、照射方向制御部は、車線追従条件を満たしたときは車線形状に追従するよう光の照射方向を制御する車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき車線追従制御の実行を回避して、舵角追従するよう光の照射方向を制御する角追従制御を実行する。照射方向制御部は、車速が基準速度より小さく車線の曲率が基準曲率より小さいときは、目標照射方向への追従性を高める必要がないと判断し、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。車速が基準速度より大きいとき、または車線の曲率が基準曲率より大きいときは、目標照射方向への追従性を高めるべきと判断し、第1周期よりも短い第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。
【選択図】図5
【解決手段】照射方向制御装置において、照射方向制御部は、車線追従条件を満たしたときは車線形状に追従するよう光の照射方向を制御する車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき車線追従制御の実行を回避して、舵角追従するよう光の照射方向を制御する角追従制御を実行する。照射方向制御部は、車速が基準速度より小さく車線の曲率が基準曲率より小さいときは、目標照射方向への追従性を高める必要がないと判断し、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。車速が基準速度より大きいとき、または車線の曲率が基準曲率より大きいときは、目標照射方向への追従性を高めるべきと判断し、第1周期よりも短い第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、照射方向制御技術に関し、特に、取得した画像データを用いて検出された車線形状にしたがって光の照射方向を制御する照射方向制御技術に関する。
従来より、車両前方を撮像するカメラにより撮像された画像を用いて走行経路を認識し、走行経路に沿ってライトの照射方向を変更する車線追従制御が知られている(例えば、特許文献1参照)。このように車両前方の走行経路を認識することで、車両が舵角を変更する前に車両の走行経路にライトの照射方向を変更することが可能となる。
例えば路上駐車されている他の車両、道路の白線の劣化、または水たまりの存在などにより車線を認識しにくい道路を走行する場合がある。このような場合、車両前方を撮像した画像からは車線形状を適切に認識することが困難となる。したがって車線追従制御が適切に実行可能か否かを判定するための所定の条件を満たさない場合には、車線追従制御を回避する対応が考えられる。しかしながら、車両が速い速度で走行中に例えばカーブの直前でこの所定の条件が満たされたと判断され車線追従制御が開始されると、車線形状への光照射方向の追従が遅れる可能性がある。また、車両の走行速度が高速でなくても、曲率の大きいカーブの直前で車線追従制御が開始されると、そのときの光軸方向と目標照射方向との間に大きな差が生じ、やはり車線形状への光照射方向の追従が遅れる可能性がある。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車線形状にしたがって光の照射方向を変更する車線追従制御を実行する照射方向制御技術において、車線形状への光照射方向の追従性低下を抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の照射方向制御装置は、車両前方を撮像して生成された画像データを用いて検出された、走行中の車線の車線形状を取得する車線取得部と、所定の車線追従条件を満たしたとき、検出された車線形状にしたがって目標照射方向を決定し、アクチュエータの作動によって光の照射方向を変更可能な車両用前照灯にアクチュエータを作動させるための制御信号を供給することにより、車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づける車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、車線追従制御の実行を回避する照射方向制御部と、を備える。照射方向制御部は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が所定条件を満たす場合は、第1の周期よりも短い第2の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。
この態様によれば、車線形状への光照射方向の追従性を高めるべきときに、車線追従制御を実行するか実行回避するかの判定周期を短縮できる。このため、車線追従制御を速やかに開始することができ、車線形状への光照射方向の追従性を迅速に高めることができる。
検出された車速を取得する車速取得部をさらに備えてもよい。照射方向制御部は、取得された車速が所定速度より小さいときに、所定条件を満たさないとして第1の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、取得された車速が所定速度を超えたときに、所定条件を満たしたとして第2の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定してもよい。この態様によれば、車両が走行速度が高いことによる車線形状への光照射方向の追従性低下を抑制することができる。
照射方向制御部は、取得された車線形状が所定の車線形状基準を満たさない場合に、所定条件を満たさないとして第1の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、特定された車線形状が車線形状基準を満たす場合に、所定条件を満たしたとして第2の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定してもよい。この態様によれば、車線の曲率が大木など車線形状に起因する、車線形状への光照射方向の追従性低下を抑制することができる。
検出された車両の舵角を取得する舵角取得部をさらに備えてもよい。照射方向制御部は、所定の車線追従条件を満たさないときは、取得された舵角にしたがって目標照射方向を決定して車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づけるようアクチュエータの作動を制御する舵角追従制御を実行してもよい。
このような舵角追従制御では、一般的に運転者によるステアリングホイールの回転角度にしたがって光の照射方向が変更される。このためカーブに入ってステアリングホイールを回転し始めたときは車線形状への光の照射方向の追従が遅れる可能性がある。この態様によれば、例えば舵角追従制御の実行中に車線追従条件を満たしたか否かを迅速に判定できる。このため、車線追従条件を満たしたときに舵角追従制御から車線追従制御に迅速に切り替えることができ、車線形状への光照射方向の追従性を迅速に高めることができる。
本発明の別の態様は、照射方向制御システムである。この照射方向制御システムは、灯具と、灯具の姿勢を変化させるアクチュエータと、を有する車両用前照灯と、車両前方を撮像して画像データを生成する撮像装置と、アクチュエータに制御信号を供給することにより車両用前照灯による光の照射位置を制御する照射方向制御装置と、を備える。照射方向制御装置は、撮像装置により生成された画像データを用いて、走行中の車線の車線形状を検出する車線検出部と、所定の車線追従条件を満たしたとき、検出された車線形状にしたがって目標照射方向を決定し、車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づけるようアクチュエータに制御信号を供給する車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、車線追従制御の実行を回避する照射方向制御部と、を有する。照射方向制御部は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が所定条件を満たす場合は、第1の周期よりも短い第2の周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。
このような照射方向制御システムによっても、車線形状への光照射方向の追従性を高めるべきときに、車線追従制御を実行するか実行回避するかの判定周期を短縮できる。このため、車線追従制御を速やかに開始することができ、車線形状への光照射方向の追従性を迅速に高めることができる。
本発明によれば、車線形状にしたがって光の照射方向を変更する車線追従制御を実行する照射方向制御技術において、車線形状への光照射方向の追従性低下を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用前照灯10の鉛直断面図である。車両には、左前部および右全部の各々に、左右対称の車両用前照灯10が設けられている。車両用前照灯10は、ロービーム用光源として機能する。なお、車両用前照灯10がロービーム用光源およびハイビーム用光源のいずれにも機能するよう設けられていてもよい。
車両用前照灯10は、ランプボディ12、透光カバー14、着脱カバー16、灯具20を有する。ランプボディ12は、車両前方側および後方側の各々に開口部を有する。透光カバー14は、ランプボディ12の車両前方側の開口部を覆う。着脱カバー16は、ランプボディ12の後方の開口部を覆う。着脱カバー16は、その車両後方側にバルブ34の交換時等に取り外すことができるよう着脱可能に設けられている。ランプボディ12と透光カバー14とによって覆われる領域に灯室が形成される。灯具20は、透光カバー14を介して光を車両前方に照射できるようこの灯室内に配置される。
灯具20は、バルブ34、灯具ハウジング37、シェード機構38、および投影レンズ40を有する。光源であるバルブ34にはハロゲンランプが採用されている。ただし、例えば、他の白熱灯、放電灯、LED(Light Emitting Diode)など他の光源がバルブ34に採用されてもよい。
灯具ハウジング37は、リフレクタ36を内壁に有する。リフレクタ36は、バルブ34から発せられる光を投影レンズ40に向けて反射する。したがってリフレクタ36は、バルブ34からの光を集光する光学部材として機能する。具体的には、リフレクタ36は、その少なくとも一部が楕円球面状であり、この楕円球面は、灯具20の光軸Axを含む断面形状が楕円形状の少なくとも一部となるように設定されている。リフレクタ36の楕円球面状部分は、バルブ34の略中央に第1焦点を有し、投影レンズ40の後方焦点面上に第2焦点を有する。
シェード機構38は、回転シェード42および回転軸44を有する。回転軸44は、回転シェード42の回転中心と同軸となるよう回転シェード42に取り付けられている。回転軸44は、灯具20の光軸Axから離間した位置で光軸Axと垂直かつ水平に延在し、且つ回転可能に灯具ハウジング37に支持されている。
回転シェード42は円筒形状の部材であり、軸方向に一部が切り欠かれた切欠部と、複数のシェードプレート(図示せず)とを有する。回転シェード42が回転軸44を中心に回転し、切欠部またはシェードプレートのいずれかが光軸Axと回転軸44との間に位置することで、複数種類の配光パターンのいずれかが形成される。この複数種類の配光パターンには、ロービーム用配光パターンも含まれる。
回転軸44は、減速機構(図示せず)を介して可変シェードモータ(図示せず)に接続されている。したがってこの可変シェードモータが作動することにより、回転シェード42が回転して、灯具20の後方焦点面に形成される光源像を切り替える。これにより、車両用前照灯10によって車両前方に形成される配光パターンが切り替えられる。
車両用前照灯10は、スイブル機構22およびレベリング機構24をさらに有する。スイブル機構22は、スイブルアクチュエータ50を有する。スイブルアクチュエータ50はステッピングモータを含む。スイブルアクチュエータ50は、回転軸50aが鉛直方向に向くよう灯具20の下方に配置される。回転軸50aは灯具20に固定されており、スイブルアクチュエータ50が作動することにより回転軸50aを中心に灯具20が回動、すなわちスイブルする。これにより、車両用前照灯10によって形成される配光パターンが水平方向に移動する。
レベリング機構24は、レベリングアクチュエータ60、ユニットブラケット62、ランプブラケット64、およびピボット機構68を有する。ランプブラケット64は、灯具20の上方に配置されるよう、エイミング調整ネジ66を介してランプボディ12に固定されている。ピボット機構68は、ランプブラケット64の先端付近に設けられ、光軸Axと垂直且つ水平な軸を中心に回動可能に設けられている。灯具20の上方はピボット機構68に固定されている。このため灯具20は、ピボット機構68の軸を中心に回動可能に設けられている。
灯具20の下方は、ユニットブラケット62によって支持されている。レベリングアクチュエータ60はランプボディ12に固定されている。レベリングアクチュエータ60は、ステッピングモータと、そのステッピングモータが作動することにより伸縮可能なロッド61を有する。このロッド61は光軸Axと平行に延在し、先端にレベリングアクチュエータ60の後端が固定されている。レベリングアクチュエータ60が作動することで、ロッド61が伸縮して灯具20全体がピボット機構68の軸を中心に回動し、光軸Axのピッチ角度、すなわち、光軸Axの上下方向の角度を上方または下方に向けるレベリング調整が実行される。
投影レンズ40は、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置される。バルブ34は、投影レンズ40の後方焦点を含む焦点面である後方焦点面よりも後方側に配置される。投影レンズ40は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として車両用前照灯10前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。したがって投影レンズ40もまた、バルブ34からの光を集光する光学部材として機能する。なお、灯具20の構成は特にこれに限定されず、投影レンズ40を持たない反射型の灯具ユニットなどであってもよい。
図2は、照射方向制御システム100の構成を模式的に示す機能ブロック図である。図2はCPU、ROM、RAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。照射方向制御システム100は、車両電子制御ユニット(以下、「車両ECU(Electronic Control Unit)」という)120、ライトスイッチ122、カメラ126、画像処理部130、車速センサ132、舵角センサ134、ナビゲーション装置136、前照灯電子制御ユニット(以下、「前照灯ECU」という)150、左側の車両用前照灯10L、および右側の車両用前照灯10Rを含む。
ライトスイッチ122は、車両運転席付近に設けられる。運転者は、ライトスイッチ122を操作することにより、ロービーム用配光パターンの形成やハイビーム用配光パターンの形成を指示することができる。
撮像装置であるカメラ126は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含み、撮像して得られた画像を画像データとして出力する。
カメラ126は、車両前方を撮像できるよう、例えばフロントガラスの内側など車両室内に設置されている。カメラ126には、ステレオカメラが採用されている。なお、カメラ126に他のカメラが採用されてもよい。カメラ126は、車両前方を撮像し、静止画または動画の画像データを生成して画像処理部130に出力する。
画像処理部130は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。画像処理部130は、カメラ126によって撮像された画像データを取得し、画像処理を施す。カメラ126により生成された画像データを取得する画像データ取得部として機能する。
画像処理部130は、車両前方を撮像したカメラ126からの画像データに画像処理を施すことにより、自車両が走行中の車線の車線形状を検出する。画像処理部130は、取得した画像データを用いて、走行中の車線の車線形状を検出する車線検出部としても機能する。本実施形態では、画像処理部130は、車線形状として車両前方における車線の曲率を算出する。このため、車線の曲率は車線延在方向ということができるため、画像処理部130は、カメラ126からの画像データを用いて走行中の車線延在方向を検出する車線検出部ということもできる。なお、車線形状が車線の曲率とは違う態様で算出されてもよい。車線形状を検出する技術は公知であるため説明を省略する。検出された車線形状は、車両ECU120に送信される。
なお、カメラ126が車両ECU120に接続されていてもよい。車両ECU120は、カメラ126からの画像データを用いて車線形状を検出してもよい。また、カメラ126が前照灯ECU150に接続されていてもよい。前照灯ECU150は、カメラ126からの画像データを用いて車線形状を検出してもよい。
舵角センサ134は、ステアリングセンサとも呼ばれ、運転者によって操作されたステアリングホイールの回転角度を検出する。ナビゲーション装置136は、GPS(Global Positioning System)により自車両の位置を検出する。ナビゲーション装置136はハードディスクなどの記憶装置(図示せず)を有し、記憶装置に地図情報を記憶している。ナビゲーション装置136は、さらに車両室内に設けられたディスプレイを有する。ナビゲーション装置136は、検出された自車両の位置を、周辺の地図とともにディスプレイに表示する。
車両ECU120もまた、CPU、ROM、RAMを有する。車両ECU120は、ライトスイッチ122の操作に応じて、車両用前照灯10によって形成可能な複数の配光パターンのいずれかの形成要求を取得する。車両ECU120は、走行中の車線の車線形状を画像処理部130から取得する。また、車両ECU120は、舵角センサ134の検出結果を取得する。さらに車両ECU120はナビゲーション装置136にも接続されており、ナビゲーション装置136から現在走行中の道路やその周辺の道路などを含む地図情報、および設定した予定ルート情報を取得する。
前照灯ECU150は、灯室の外部に配置され、左側の車両用前照灯10L、右側の車両用前照灯10Rの各々の可変シェードモータ、スイブルアクチュエータ50、レベリングアクチュエータ60の作動、およびバルブ34の点灯を制御する。前照灯ECU150は、スイブル制御部152を有する。なお、車両ECU120は、回転シェード42を回転させる可動シェードモータ(図示せず)の作動を制御する可変シェード制御部、レベリングアクチュエータ60の作動を制御するレベリング制御部、およびバルブ34の点灯を制御する点灯制御部を有するが、ここでの説明は省略する。
スイブル制御部152は、車線取得部154、舵角取得部156、車速取得部158、および照射方向制御部160を有する。車両ECU120は、画像処理部130から受信した走行中の車線の車線形状を前照灯ECU150に送信する。車線取得部154は、車両ECU120から受信した車線形状を取得する。車両ECU120は、舵角センサ134の検出結果を用いて舵角を算出し、算出結果のデータを前照灯ECU150に送信する。舵角取得部156は、車両ECU120から受信した舵角を取得する。車両ECU120は、車速センサ132の検出結果を用いて車速を算出し、算出結果のデータを前照灯ECU150に送信する。車速取得部158は、検出された車速を取得する。なお、車速センサ132または舵角センサ134が前照灯ECU150に接続されていてもよく、前照灯ECU150は、車速センサ132または舵角センサ134から検出結果を直接受け取ってもよい。
車両ECU120は、ナビゲーション装置136から受信したナビゲーション情報を前照灯ECU150に送信する。ナビゲーション情報には、車両の現在位置の周辺の地図情報や、目的地を入力することにより設定された予定ルートを示す情報が含まれている。なお、ナビゲーション情報に、ナビゲーション装置136が送信可能な他の情報が含まれていてもよい。
照射方向制御部160は、スイブルアクチュエータ50を作動させるためのパルス信号をスイブルアクチュエータ50に供給することによりスイブル角を制御する。本実施形態では、スイブル角とは、車両前方を向く光軸Axの初期方向に対する、スイブルアクチュエータ50作動後の光軸Axの水平方向の角度をいう。
照射方向制御部160は、舵角追従制御と車線追従制御とを択一的に実行可能に設けられている。舵角追従制御を実行するとき、照射方向制御部160は、取得した舵角を用いて、目標水平照射方向として目標スイブル角を決定する。具体的には、照射方向制御部160は、舵角が大きいほど目標スイブル角も大きくなるよう舵角と目標スイブル角とが対応付けられたマップを保持しており、このマップを参照して舵角に対応する目標スイブル角を決定する。照射方向制御部160は、決定した目標スイブル角だけ灯具20を回転させるために必要なステップ数の信号をスイブルアクチュエータ50に与える。こうして照射方向制御部160は、車両用前照灯10による光の照射方向を自車両の旋回方向に適切に近づける。
車線追従制御を実行するとき、照射方向制御部160は、取得した車線形状を用いて目標スイブル角を決定する。具体的には、照射方向制御部160は、車線形状である車両前方の車線の曲率が大きいほど目標スイブル角も大きくなるよう車線の曲率と目標スイブル角とが対応付けられたマップを保持しており、このマップを参照して車線の曲率に対応する目標スイブル角を決定する。照射方向制御部160は、決定した目標スイブル角だけ灯具20を回転させるために必要なステップ数の信号をスイブルアクチュエータ50に与える。こうして照射方向制御部160は、車両用前照灯10による光の照射方向を車線延在方向に適切に近づける。
画像処理部130は、カメラ126からの画像データを用いて車線形状を検出するときに、検出された車線形状の信頼度である車線信頼度を算出する。この車線信頼度は、例えば路上駐車されている他の車両、道路の白線の劣化、または水たまりの存在などにより車線を認識しにくい状態では低い値となる。車線信頼度の算出方法は公知であるため説明を省略する。画像処理部130によって算出された車線信頼度は、車両ECU120を介して前照灯ECU150に送信される。
本実施形態では、照射方向制御部160は、所定の車線追従条件を満たしたとき、検出された車線形状にしたがって目標照射方向を決定し、アクチュエータの作動によって光の照射方向を変更可能な車両用前照灯10にアクチュエータを作動させるための制御信号を供給することにより、車両用前照灯10による光の照射方向を目標照射方向に近づける車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、車線追従制御の実行を回避する。照射方向制御部160は、所定の車線追従条件を満たさないときは、舵角追従制御を実行する。
具体的には、車線信頼度が所定値より高い場合は、照射方向制御部160は、車線信頼度が正確に認識されているため車線追従条件を満たしたと判定し、車線追従制御を実行する。一方、車線信頼度が所定値以下の場合は、照射方向制御部160は、車線が正確に認識されていない可能性が高いため車線追従条件を満たさないと判定し、車線追従制御の実行を回避して舵角追従制御を実行する。
図3(a)は、車両200が高速でカーブに突入するときの照射方向制御の一例を示す図である。図3(a)では、カーブ手前までは車線信頼度が基準値より低いため舵角追従制御が実行され、カーブ突入直後に車線信頼度が基準値よりも高くなり車線追従制御が実行開始された例を示している。
カーブの直前では、運転者はまだステアリングホイールを操舵していない一方、カメラ126では車両前方にカーブが撮像されるため、舵角追従制御による目標スイブル角と車線追従制御による目標スイブル角との間で差が生じる。一方、車両200が高速で走行中に車線信頼度が基準値よりも低い状態から高い状態になる場合、車線信頼度の判定周期の間に車両200が長い距離走行するため、舵角追従制御から車線追従制御への切り替えに時間を要する可能性がある。このため車両200がカーブに突入したときに高速であったため舵角追従制御から車線追従制御への切り替えに時間がかかった場合、図3(a)に示すように、舵角追従制御による実線で示すロービーム用配光パターンPLの目標スイブル角と、車線追従制御により破線で示すロービーム用配光パターンPLの目標スイブル角との差が大きくなったときに舵角追従制御から車線追従制御へ切り替えられ、目標スイブル角への光軸Axの追従に遅れが生じ得る。
図3(b)は、車両200が曲率の高いカーブに突入するときの照射方向制御の一例を示す図である。図3(b)においても、カーブ手前までは車線信頼度が基準値より低いため舵角追従制御が実行され、カーブ突入直後に車線信頼度が基準値よりも高くなり車線追従制御が実行開始された例を示している。
車両前方のカーブの曲率が大きい場合、例えばそのカーブの手前において、舵角追従制御による目標スイブル角と車線追従制御による目標スイブル角との間で大きな差が生じる。このため車両200が高速でカーブに突入したときに舵角追従制御から車線追従制御への切り替えに時間がかかった場合、図3(b)に示すように、舵角追従制御による実線で示すロービーム用配光パターンPLの目標スイブル角と、車線追従制御により破線で示すロービーム用配光パターンPLの目標スイブル角との差が非常に大きくなったときに舵角追従制御から車線追従制御へ切り替えられ、目標スイブル角への光軸Axの追従に遅れが生じ得る。
このため、本実施形態では、照射方向制御部160は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が所定条件を満たす場合は、第1周期よりも短い第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。以下、フローチャートに関連してその制御について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る照射方向制御システム100による照射方向制御の実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおける処理は、自車両のイグニッションスイッチがオンにされている間において、ライトスイッチ122の操作よってロービーム用配光パターンの形成要求が取得され、且つ車速が所定速度以上のときに開始し、車速が所定速度未満となるまで所定時間毎に繰り返し実行される。
照射方向制御部160は、車線信頼度は基準値より高いか否かを判定する(S10)。車線信頼度は基準値以下の場合(S10のN)、車線が適切に認識できない可能性があるため、照射方向制御部160は、舵角を用いて目標スイブル角を決定する舵角追従制御を実行する(S20)。
車線信頼度は基準値より高い場合(S10のY)、車線が適切に認識できていると考えられる。この場合、照射方向制御部160は、取得した車速が第1基準速度以上か否かを判定する(S12)。車速が第1基準速度以上の場合(S12のY)、照射方向制御部160は、取得した車線形状を用いて目標スイブル角を決定する車線追従制御を実行する(S14)。
車速が第1基準速度未満の場合(S12のN)、照射方向制御部160は、車線形状として取得した車線の曲率は第1基準曲率以上か否かを判定する(S16)。車線の曲率が第1基準曲率以上の場合(S16のY)、照射方向制御部160は、舵角入力時間、すなわち運転者がステアリングホイールを回転させたままの状態の時間は第1基準時間以上か否かを判定する(S18)。
運転者がステアリングホイールを操作しはじめたところではなく、ステアリングホイールを操作開始してからある程度時間が経過していると、舵角と車線延在方向とが概ね一致していると考えることができる。このため車線の曲率が第1基準曲率以上且つ舵角入力時間が第1基準時間以上の場合(S18のY)、照射方向制御部160は、舵角を用いて目標スイブル角を決定する舵角追従制御を実行する(S20)。
車線の曲率が第1基準曲率未満の場合(S16のN)、照射方向制御部160は、車線形状を用いて目標スイブル角を決定する車線追従制御を実行する(S14)。また、舵角入力時間が第1基準時間未満の場合においても(S18のN)、照射方向制御部160は、車線形状を用いて目標スイブル角を決定する車線追従制御を実行する(S14)。
目標スイブル角が設定されると、照射方向制御部160は、決定された目標スイブル角に光軸Axを近づけるようスイブルアクチュエータ50にパルス信号を供給し、光軸Axのスイブルを実行する(S22)。スイブルが実行されると、照射方向制御部160は、判定周期決定処理を実行する(S24)。
図5は、図4におけるS24の判定周期決定処理の実行手順を示すフローチャートである。照射方向制御部160は、取得された車速は第2基準速度未満か否かを判定する(S50)。車速が第2基準速度未満の場合(S50のY)、照射方向制御部160は、車線形状として取得した車線の曲率は第2基準曲率未満か否かを判定する(S52)。第2基準速度は、第1基準速度と同じでもよく、異なっていてもよい。車線の曲率が第2基準曲率未満の場合(S52のY)、照射方向制御部160は、次回判定までの時間を第1周期に設定する(S54)。車速は第2基準速度以上の場合(S50のN)、照射方向制御部160は、次回判定までの時間を、第1周期よりも短い第2周期に設定する(S56)。
このように照射方向制御部160は、取得された車速が第2基準速度より小さいときに、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、取得された車速が第2基準速度を超えたときに、第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。これにより、車線の追従性を高めるべき高速走行時に、より短い周期で車線追従条件を満たすか否かを判定することができ、車線への光の照射方向の追従性を高めることができる。
また、車線の曲率が第2基準曲率以上の場合(S52のN)、照射方向制御部160は、次回判定までの時間を第2周期に設定する(S56)。照射方向制御部160は、取得された車線形状が所定の車線形状基準を満たさない場合に、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、特定された車線形状が車線形状基準を満たす場合に、第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。これにより、車線の追従性を高めるべき曲率が大きいカーブの走行時に、より短い周期で車線追従条件を満たすか否かを判定することができ、車線への光の照射方向の追従性を高めることができる。
なお、上記の照射方向制御では、車線追従制御を実行中においても、目標照射方向への追従性を高めるべき高速走行時または曲率が大きいカーブの走行時は、車線追従制御の実行周期が第2周期に設定される。このため、照射方向制御部160は、目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を車両の走行状態が満たさない場合は第1周期で車線追従制御を実行し、当該所定条件を車両の走行状態が満たす場合は第1周期よりも短い第2周期で車線追従制御を実行することになる。このため、車線追従制御の実行中においても、照射方向制御部160は、目標照射方向への追従性を高めるべきときに車線追従制御の実行周期を短くすることができ、車線への光軸Axの追従性を高めることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を本実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、照射方向制御部160は、車線追従条件を満たしたとき、車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、車線追従制御の実行を回避する。照射方向制御部160は、所定の車線追従条件を満たさないときは、舵角追従制御も実行せず、光軸Axは、車両前方に固定したままとする。
このときも照射方向制御部160は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が所定条件を満たす場合は、第1周期よりも短い第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。このときの車線追従条件は上述の実施形態と同様である。また所定条件は、上述の実施形態と同様に、車速が基準速度より大きいことであってもよく、また、車線の曲率が基準曲率より大きいことであってもよい。このように舵角追従制御に切り替えない場合においても、車線の追従性を高めるべきときに車線追従制御を迅速に実行開始することができる。
ある別の変形例では、スイブル制御部152は、車両の進行方向を予測する進行方向予測部を有する。進行方向予測部は、舵角や車線延在方向以外の他の所定の入力データを用いて車両進行方向を予測する。照射方向制御部160は、検出された車線延在方向と異なる方向に車両が進行すると予測された場合、車線追従制御の実行を中止し、車両進行方向と予測した方向へ光を照射するよう目標スイブル角を決定する予測進行方向追従制御を実行可能に設けられている。照射方向制御部160は、車線追従条件を満たしたとき車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、車線追従制御の実行を回避して予測進行方向追従制御を実行する。
このときも照射方向制御部160は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1周期で車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が所定条件を満たす場合は、第1周期よりも短い第2周期で車線追従条件を満たすか否かを判定する。このときの車線追従条件および所定条件は、上述の変形例と同様である。このように舵角追従制御に代えて予測進行方向追従制御が実行可能に設けられている場合においても、車線の追従性を高めるべきときに、車線追従制御または予測進行方向追従制御を迅速に実行開始することができる。
なお、「検出された車線延在方向と異なる方向に車両が進行すると予測された場合」とは、走行中の車線から分岐する別の道路へ車両が進行することが予測された場合であってもよい。照射方向制御部160は、ナビゲーション装置136からのナビゲーション情報に含まれる予定ルートを用いて、走行中の車線から分岐する別の道路へ車両が進行するかを予測してもよく、方向指示器の操作方向を用いて予測してもよい。また、「検出された車線延在方向と異なる方向に車両が進行すると予測された場合」とは、走行中の車線から隣接車線に車両が車線変更することが予測された場合であってもよい。照射方向制御部160は、方向指示器の操作方向を用いて、走行中の車線から隣接車線に車両が車線変更するかを予測してもよい。
10 車両用前照灯、 20 灯具、 22 スイブル機構、 50 スイブルアクチュエータ、 100 照射方向制御システム、 120 車両ECU、 122 ライトスイッチ、 126 カメラ、 130 画像処理部、 132 車速センサ、 134 舵角センサ、 150 前照灯ECU、 152 スイブル制御部、 154 車線取得部、 156 舵角取得部、 158 車速取得部、 160 照射方向制御部、 200 車両。
Claims (5)
- 車両前方を撮像して生成された画像データを用いて検出された、走行中の車線の車線形状を取得する車線取得部と、
所定の車線追従条件を満たしたとき、検出された車線形状にしたがって目標照射方向を決定し、アクチュエータの作動によって光の照射方向を変更可能な車両用前照灯に前記アクチュエータを作動させるための制御信号を供給することにより、前記車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づける車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、前記車線追従制御の実行を回避する照射方向制御部と、
を備え、
前記照射方向制御部は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が前記所定条件を満たす場合は、第1の周期よりも短い第2の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定することを特徴とする照射方向制御装置。 - 検出された車速を取得する車速取得部をさらに備え、
前記照射方向制御部は、取得された車速が所定速度より小さいときに、前記所定条件を満たさないとして前記第1の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定し、取得された車速が所定速度を超えたときに、前記所定条件を満たしたとして前記第2の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の照射方向制御装置。 - 前記照射方向制御部は、取得された車線形状が所定の車線形状基準を満たさない場合に、前記所定条件を満たさないとして前記第1の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定し、特定された車線形状が前記車線形状基準を満たす場合に、前記所定条件を満たしたとして前記第2の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の照射方向制御装置。
- 検出された車両の舵角を取得する舵角取得部をさらに備え、
前記照射方向制御部は、所定の車線追従条件を満たさないときは、取得された舵角にしたがって目標照射方向を決定して前記車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づけるよう前記アクチュエータの作動を制御する舵角追従制御を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照射方向制御装置。 - 灯具と、前記灯具の姿勢を変化させるアクチュエータと、を有する車両用前照灯と、
車両前方を撮像して画像データを生成する撮像装置と、
前記アクチュエータに制御信号を供給することにより前記車両用前照灯による光の照射位置を制御する照射方向制御装置と、
を備え、
前記照射方向制御装置は、
前記撮像装置により生成された画像データを用いて、走行中の車線の車線形状を検出する車線検出部と、
所定の車線追従条件を満たしたとき、検出された車線形状にしたがって目標照射方向を決定し、前記車両用前照灯による光の照射方向を目標照射方向に近づけるよう前記アクチュエータに前記制御信号を供給する車線追従制御を実行し、車線追従条件を満たさないとき、前記車線追従制御の実行を回避する照射方向制御部と、
を有し、
前記照射方向制御部は、車両の走行状態が目標照射方向への追従性を高めるべき所定条件を満たさない場合は、第1の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定し、車両の走行状態が前記所定条件を満たす場合は、第1の周期よりも短い第2の周期で前記車線追従条件を満たすか否かを判定することを特徴とする照射方向制御システム。
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JP2011062811A JP2012197037A (ja) | 2011-03-22 | 2011-03-22 | 照射方向制御装置および照射方向制御システム |
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JP2014237346A (ja) * | 2013-06-06 | 2014-12-18 | 富士重工業株式会社 | 前照灯制御装置 |
JP2016068794A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 富士重工業株式会社 | 車両用前照灯装置 |
WO2019039266A1 (ja) * | 2017-08-21 | 2019-02-28 | 市光工業株式会社 | 車両用灯具 |
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2011
- 2011-03-22 JP JP2011062811A patent/JP2012197037A/ja not_active Withdrawn
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