JP2012196857A - 流延膜の形成方法及び装置、並びに溶液製膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流延膜形成工程126では、ドープ24をエンドレスバンドへ流下させるドープ流下工程131と、ドープ24から流延膜61を形成する流延工程132と、流延膜61の加熱により膜表面を平滑化する膜加熱工程133と、膜表面にスキン層を形成するスキン層形成工程134と、流延膜61の乾燥を進める膜乾燥工程135と、自立して搬送可能な状態となるまで流延膜を冷却する膜冷却工程136と、エンドレスバンドから流延膜61を剥離する剥離工程137と、剥離工程137を経たエンドレスバンドを加熱する支持体加熱工程138とを順次繰り返し行われる。
【選択図】図8
Description
図1に示すように、溶液製膜設備10は、流延ユニット12と、乾燥ユニット13と、巻取ユニット14とを有する。
流延ユニット12は、フィルム21の原料となるポリマー(原料ポリマーと称する)22とポリマー22の溶剤23とを含むドープ24から湿潤フィルム25をつくる。流延ユニット12の詳細は後述する。
乾燥ユニット13は、湿潤フィルム25から溶剤23を蒸発させて、湿潤フィルム25からフィルム21を得るものであり、流延ユニット12から巻取ユニット14に向かって順次配される、クリップテンタ35と、スリッタ36と、乾燥室37と、冷却室38とを備える。流延ユニット12とクリップテンタ35との間の渡り部40では、複数のローラ41を用いて、流延ユニット12から送り出された帯状の湿潤フィルム25をクリップテンタ35へ搬送する。
巻取ユニット14は、巻き芯51と、巻き芯駆動部(図示しない)と、プレスローラ52とを有する巻取室54を備える。制御部(図示しない)により、巻き芯駆動部は、所定の速度で巻き芯51を回転する。この結果、フィルム21は、所定の巻き取り張力で巻き芯51に巻き取られ、フィルムロール55となる。プレスローラ52は、巻き芯51または巻き芯51に巻き取られたフィルムロール55に向けて、巻き芯51へ巻き取られるフィルム21を押しつける。これにより、フィルム21の間にエアーの混入を防ぎながら、フィルム21を巻きつけることができる。
図2に示すように、ドープ24から湿潤フィルム25をつくる流延ユニット12は、流延ケーシング75を備える。流延ケーシング75内には、ドープ24を流出する流延ダイ60と、流出したドープ24を支持しドープ24からなる流延膜61を形成する移動支持体であるエンドレスバンド62と、流延膜61の表面61aにスキン層を形成するスキン層形成装置63と、流延膜61から溶剤23(図1参照)を蒸発させる膜乾燥装置64と、エンドレスバンド62から流延膜61を剥離する剥離ローラ65と、エンドレスバンド62を所定方向へ循環して移動させるバンド移動機構66と、第1〜4シール部材71〜74とが設けられる。
バンド移動機構66は、エンドレスバンド62を支持しながら、所定の方向へ案内するためのものであり、各ローラ66a〜66cと、ローラ66cを駆動するモータ66mとを備える。
第1〜第4シール部材71〜74は、エンドレスバンド62の移動路66rに設けられる。第1シール部材71は、エンドレスバンド62の移動路66rを介してローラ66xと対向するように配される。第2シール部材72は、エンドレスバンド62の移動路66rを介してローラ66yと対向するように配される。第3〜4シール部材73〜74は、エンドレスバンド62の移動路66rを介してローラ66cと対向するように、エンドレスバンド62の移動方向(以下、X方向と称する)上流側から下流側に向かって順次配される。
流延室75aには流延ダイ60が設けられる。流延ダイ60は、エンドレスバンド62の移動路66rを介してローラ66aと対向するように配される。流延ダイ60とローラ66aとの間には到達部が形成される。流延ダイ60は、先端にドープ24を流出するスリット出口を有する。流延ダイ60は、スリット出口がエンドレスバンド62のうちローラ66aによって支持された部分に近接するように配される。流延ダイ60から流出したドープ24は、バンド表面62a上にて流れ延ばされる結果、帯状の流延膜61となる。
膜乾燥室75bには、流延膜61にスキン層形成風80を供給するスキン層形成装置63と、流延膜61から溶剤を蒸発させる膜乾燥装置64とがX方向上流側から下流側に向かって順次、移動路66rに沿って設けられる。
スキン層形成装置63は、膜乾燥室75bのX方向最上流側に配されることが好ましい。図3及び図4に示すように、膜表面61aに近接するように配されたスキン層形成装置63は、給気ダクト81とカバー82とプレ給気ノズル83と風調節器84とを有する。給気ダクト81とカバー82とは、X方向上流側から下流側に向けて順次設けられる。
図2に示すように、膜乾燥装置64は、X方向上流側から下流側に向かって順次設けられる前膜乾燥機88と、後膜乾燥機89とを備える。
前膜乾燥機88は、エンドレスバンド62の移動路66rのうちローラ66yからローラ66bへ向かう部分に沿って配される。前膜乾燥機88は、バンド表面62a側に配され前乾燥風90を送り出す表面側送風器91と、バンド裏面62b側に配され前乾燥風90を送り出す裏面側送風器92と、前乾燥風調節器(図示しない)とを有する。
表面側送風器91は、給気ダクト(図示しない)と排気ダクト(図示しない)とを備える。給気ダクトの給気口及び排気ダクトの排気口は、バンド表面62aと正対する。更に、給気ダクトの給気口及び排気ダクトの排気口は、流延膜61の一の端から他の端まで延設される。なお、給気ダクトの給気口と排気ダクトの排気口とは、X方向にて交互に並べられることが好ましい。
裏面側送風器92は、表面側送風器91と同様に、給気ダクト(図示しない)と排気ダクト(図示しない)とを備える。給気ダクトの給気口及び排気ダクトの排気口は、バンド裏面62bと正対する。更に、給気ダクトの給気口及び排気ダクトの排気口は、流延膜61の一の端から他の端まで延設される。給気ダクトの給気口と排気ダクトの排気口とがX方向にて交互に並べられることが好ましい。
図2に示すように、後膜乾燥機89は、エンドレスバンド62の移動路66rのうちローラ66bからローラ66cへ向かう部分に沿って配される。後膜乾燥機89は、バンド表面62a側に配され、後乾燥風94を送り出す平行送風器95と、バンド裏面62b側に配される裏面側送風器96と、後乾燥風調節器(図示しない)とを有する。平行送風器95は、X方向上流側から下流側に向かって順次設けられる、平行排気ダクト95aと平行給気ダクト95bとを有する。
剥離室75cには剥離ローラ65が設けられる。剥離ローラ65とローラ66cとの間には剥離部が形成される。剥離ローラ65はモータ99と接続する。また、剥離室75cには流延ケーシング75の出口75oが開口する。剥離ローラ65の周速度をローラ66cよりも大きくすることにより、エンドレスバンド62から流延膜61を剥ぎ取ることができる。エンドレスバンド62から剥ぎ取られた流延膜61は、湿潤フィルム25となって、出口75oから乾燥ユニット13(図1参照)へ送り出される。
支持体加熱室75dには、エンドレスバンド62に加熱風110を送り出す支持体加熱装置111が設けられる。支持体加熱装置111は、バンド表面62a側に配される表面側加熱器112と、バンド裏面62b側に配される裏面側加熱器113と、加熱風調節器114とを有する。なお、表面側加熱器112と裏面側加熱器113とのいずれか一方を省略しても良い。
図6及び図7に示すように、表面側加熱器112は、給気ダクト112aと、排気ダクト(図示しない)とを有する。給気ダクト112aの給気口112o及び排気ダクトの排気口は、バンド表面62aと正対する。給気口112o及び排気口は、それぞれ、エンドレスバンド62の一の端から他の端まで延設される。すなわち、Y方向において、給気口112o及び排気口の幅は、流延幅CWよりも広い。なお、給気口112oと排気口とはX方向にて交互に並べられることが好ましい。
裏面側加熱器113は、給気ダクト113aと、排気ダクト(図示しない)とを有する。給気ダクトの給気口113o及び排気ダクトの排気口113iは、バンド裏面62bと正対する。給気口113o及び排気口113iは、それぞれ、エンドレスバンド62の一の端から他の端まで延設される。すなわち、Y方向において、給気口113o及び排気口113iの幅は、流延幅CWよりも広い。なお、給気口113oと排気口113iとはX方向にて交互に並べられることが好ましい。
ドープ24から湿潤フィルム25を得る流延膜形成工程126が、図2に示す流延ユニット12で行われる。流延膜形成工程126の詳細は後述する。
湿潤フィルム25から溶剤を蒸発させてフィルム21とする湿潤フィルム乾燥工程127は、図1に示す乾燥ユニット13で行われる。
図8に示すように、流延膜形成工程126では、ドープ流下工程131と、流延工程132と、膜加熱工程133と、スキン層形成工程134と、膜乾燥工程135と、膜冷却工程136と、剥離工程137と、支持体加熱工程138とが順次行われる。
流延室75aでは、流延ダイ60から流出したドープ24がバンド表面62a上に到達するドープ流下工程131(図8参照)と、ドープ24からなる流延膜61がバンド表面62a上に形成される流延工程132(図8参照)と、流延膜61を加熱する膜加熱工程133(図8参照)とが行われる。
流延ダイ60はバンド表面62aに向けてドープ24をスリット出口から連続的に流出する。スリット出口から流出したドープ24は、ローラ66aにより支持されたエンドレスバンド62の部分、すなわち、バンド表面62a上の到達位置DPに到達する。
エンドレスバンド62は移動状態であるため、到達位置DPに到達したドープ24は、バンド表面62a上にて移動方向へ流れ延ばされる。こうして、バンド表面62a上には、ドープ24からなり流延幅CW(図6参照)の流延膜61が帯状に形成される。
第2シール部材72及びローラ66yは、到達部からX方向下流側に向かって所定の距離だけ離れているため、到達部からX方向下流側に向かって所定長さの流延ゾーンCZ(流延部)が形成される。流延ゾーンCZでは、後述する支持体加熱工程138によって加熱されたエンドレスバンド62を膜加熱手段として用いて、流延膜61を加熱する膜加熱工程133が行われる。
膜乾燥室75bでは、流延膜61の膜表面61a側にスキン層61x(図11参照)が形成するまで、膜表面61aにスキン層形成風80をあてるスキン層形成工程134(図8参照)と、流延膜61から溶剤を蒸発させる膜乾燥工程135(図8参照)とが行われる。
図4に示すように、スキン層形成装置63は、給気ノズル83は吸気口83aからスキン層形成風80を送り出す。吸気口83aから送り出されたスキン層形成風80の方向(プレ給気ノズル83の延設方向)とX方向とがなす各の角度θ1は、30°以上60°以下であることが好ましく、45°であることがより好ましい。カバー68により、吸気口83aから送り出されたスキン層形成風80は、X方向上流側から下流側へ案内される。流延膜61に近接するカバー82により、流延膜61の膜表面61a近傍では、スキン層形成風80の渦状流れが生じやすくなる。渦状流れが生成した箇所では、スキン層形成風80の熱エネルギーが流延膜61に伝わりやすいため、スキン層形成風80の渦流流れにより、流延膜61の膜表面61aでは、溶剤の蒸発が促進される。
膜乾燥工程135では、前膜乾燥工程135aと後膜乾燥工程135bとが順次行われる(図8参照)。
図2に示すように、前膜乾燥機88は、流延膜61から溶剤を蒸発させる前膜乾燥工程135aを行う。表面側送風器91は、膜表面61aに前乾燥風90をあて、流延膜61から溶剤を蒸発させる。また、裏面側送風器92は、バンド裏面62bに前乾燥風90をあて、エンドレスバンド62を介して、流延膜61を加熱する。流延膜61の加熱により、流延膜61から溶剤を蒸発させる。
後膜乾燥機89は、流延膜61から溶剤を蒸発させる後膜乾燥工程135bを行う。平行送風器95は、流延膜61の膜表面61aに後乾燥風94をあて、流延膜61から溶剤を蒸発させる。また、裏面側送風器96は、バンド裏面62bに後乾燥風94をあて、エンドレスバンド62を介して、流延膜61を加熱する。流延膜61の加熱により、流延膜61から溶剤を蒸発させる。後膜乾燥工程135bは、流延膜61の溶剤の含有量が110質量%以上210質量%以下となるまで行われることが好ましい。
剥離室75cでは、エンドレスバンド62を冷却する膜冷却工程136(図8参照)と、エンドレスバンド62から流延膜61を剥離する剥離工程137(図8参照)とが行われる。
ローラ温調器123により、ローラ66cの温度は、−10℃以上15℃以下の範囲内となる。なお、ローラ66cの温度は、−10℃以上10℃以下の範囲内であることが好ましい。膜乾燥工程135により高温状態となったエンドレスバンド62は、ローラ66cとの接触により冷却される。そして、冷却されたエンドレスバンド62を介して、流延膜61が冷却される。膜冷却工程136は、自立して搬送可能な状態となるまで行われる。
剥離室75cでは、剥離ローラ65を用いて、剥ぎ取り可能な状態となった流延膜61をエンドレスバンド62から剥ぎ取る剥離工程137(図8参照)が行われる。エンドレスバンド62のうちローラ66cによって支持された部分(剥離位置PP)では、剥ぎ取り可能な状態となった流延膜61がエンドレスバンド62から剥離される。エンドレスバンド62から剥離された流延膜61は、湿潤フィルム25として、出口75oから送り出される。配向角のばらつきを抑えるため、剥離工程137は、溶剤の含有量が200質量%以下の流延膜61に対して行うことが好ましい。生産効率の観点から、剥離工程137は、溶剤の含有量が100質量%以上の流延膜61に対して行うことが好ましい。
流延膜61が剥ぎ取られた後のエンドレスバンド62は、支持体加熱室75dを経て流延室75aへ戻る。膜冷却工程136により冷やされたエンドレスバンド62に対し、ドープ流下工程131と、流延工程132と、スキン層形成工程134とを連続して行うと、膜表面61aが平滑でない状態(図9参照)まま、乾燥が進んでしまう。この結果、流延膜27に厚みムラが生じてしまう。流延膜27に生じた厚みムラは、後の工程で取り除くことができないため、最終的には、フィルム21の厚みムラとなってしまう。
ローラ温調器121により、サポートローラ66eの温度が範囲T1となるように調節してもよい。これにより、サポートローラ66eが支持体加熱手段として機能する。
Re=|n1−n2|×d
n1は遅相軸の屈折率,n2は進相軸2の屈折率,dはフィルムの厚み(膜厚)を表す
Rth={(n1+n2)/2−n3}×d
n3は厚み方向の屈折率を表す。
上記実施形態では、ポリマーフィルムの原料となるポリマーは、特に限定されない。溶液製膜方法を行う場合には、ポリマーとして、例えば、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等がある。一方、溶融製膜方法を行う場合には、原料ポリマーとして、例えば、セルロースアシレート、ラクトン環含有重合体、環状ポリオレフィン、ポリカーボネイト等が挙げられる。中でも好ましいのがセルロースアシレート、環状ポリオレフィンであり、中でも好ましいのがアセテート基、プロピオネート基を含むセルロースアシレート、付加重合によって得られた環状ポリオレフィンであり、さらに好ましくは付加重合によって得られた環状ポリオレフィンである。
セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
ドープを調製するための溶剤23としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
式(1) 2.0<Z1<2.7
式(2) 2.7<Z2
式(3) 1.0<X1<2.7
式(4) 0≦Y1<1.5
式(5) 1.2<X2<3.0
式(6) 0≦Y2<1.5
アクリル樹脂には、メタクリル系樹脂も含まれ、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体がよく知られている。アクリル樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが、光弾性係数の小さいフィルムを得るために好ましい。
以下の方法により、実験1〜8を行った。各実験の詳細は、実験1について詳細に行い、実験2〜8について、実験1と同じ箇所の説明は省略し、異なる部分の説明をする。
ドープ24の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.86) 100 質量部
トリフェニルホスフェート(TPP) 10 質量部
マット剤(AEROSIL R972) 0.03質量部
の組成比からなる固形分を
ジクロロメタン 80 質量部
メタノール 13.5 質量部
n−ブタノール 6.5 質量部
からなる混合溶剤に適宜添加し、攪拌溶解してドープ24を調製した。
なお、ここで使用したセルローストリアセテート(TAC)は、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Ca含有率が58ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8質量%であり、その質量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。
膜冷却工程136の有無、膜加熱工程133の有無、支持体加熱工程138の有無、剥離位置PPにおけるバンド表面62aの温度TPP、剥離位置PPにおける流延膜における溶剤の含有量ZYPP、到達位置DPにおけるバンド表面62aの温度TDPc、TDPeを表1に示すものとしたこと以外は、実験1と同様にして、ドープ24からフィルム21をつくった。
実験1〜8の溶液製膜方法において、以下の観点で評価を行った。表1における評価結果の番号は、各評価項目に付した番号を表す。
剥離故障の有無について調べた。
○:剥離工程において、剥離故障が起こらなかった。
×:剥離工程において、剥離故障が起こった。
以下の手順で、フィルム21の厚みムラの有無を評価した。フィルム21について、厚みムラ測定を行った。この厚みムラ測定の手順は、次のとおりである。第1に、フィルム21から、略6cm四方のサンプルフィルムを切り出した。第2に、サンプルフィルムの屈折率差を厚み差に換算できる装置を用いてサンプルフィルムの屈折率差を測定した。この装置として、FX−03 FRINGEANALYZER(FUJINON(株)社製)を用いた。第3に、サンプルフィルムの全域にわたりこの屈折率差を測定し、この平均値を積層フィルムの厚みムラとした。このようにして得られた厚みムラについて、以下基準で評価した。なお、積層フィルムの厚みは、マイクロメータにより計測されたサンプルフィルムの6箇所の厚みの平均値である。
○:厚みムラがフィルムの厚みに対して1.5%未満であった。
△:厚みムラがフィルムの厚みに対して1.5%以上1.8%未満であった。
×:厚みムラがフィルムの厚みに対して1.8%以上であった。
得られた流延膜を目視観察して、発泡の有無を調べた。
◎:耳部における発泡を確認できなかった。
○:耳部において発泡が確認されたが、スリッタ36により切り落とされる部分に限られたため、製品用のフィルムとしては問題がなかった。
×:製品用のフィルムとなる部分にまで発泡が確認された。
12 流延ユニット
24 ドープ
25 湿潤フィルム
61 流延膜
62 エンドレスバンド
65 剥離ローラ
66a〜66z ローラ
111 支持体加熱装置
Claims (16)
- ポリマー及び溶剤を含むドープを移動支持体へ流下させるドープ流下工程と、
前記流下したドープからなり前記移動支持体の表面上に形成された流延膜から前記溶剤を蒸発させる膜乾燥工程と、
前記膜乾燥工程を経た流延膜を前記移動支持体から剥離する剥離工程とを行う流延膜の形成方法において、
前記膜乾燥工程後であって前記剥離工程前に行われ、自立して搬送可能な状態となるまで前記流延膜を冷却する膜冷却工程と、
前記剥離工程後であって次の膜乾燥工程前の前記移動支持体を加熱する支持体加熱工程と、
前記膜乾燥工程前に行われ、前記支持体加熱工程にて前記移動支持体に与えられた熱を用いて前記流延膜を加熱する膜加熱工程とを有することを特徴とする流延膜の形成方法。 - 前記支持体加熱工程では、前記ドープ流下工程前の前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項1記載の流延膜の形成方法。
- 前記支持体加熱工程は、前記ドープ流下工程後の前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項1または2記載の流延膜の形成方法。
- 前記支持体加熱工程では、前記移動支持体の表面に設定され前記流下したドープから流延膜を形成するための流延エリアが前記移動支持体の表面のうち前記流延エリアを除く非流延エリアよりも高温となるように、前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の流延膜の形成方法。
- 前記剥離工程における前記移動支持体の温度が5℃以上15℃以下であり、
前記移動支持体の温度が8℃以上前記溶剤の沸点以下となるまで前記膜加熱工程を行うことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の流延膜の形成方法。 - 前記膜加熱工程と前記膜乾燥工程との間で行われ、前記流延膜の表面にスキン層形成風をあてて、前記流延膜の表面側にスキン層を形成するスキン層形成工程を有することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の流延膜の形成方法。
- 請求項1ないし6のうちいずれか1項の流延膜の形成方法を行った後、
前記移動支持体から剥離された前記流延膜から前記溶剤を蒸発させて、フィルムを得るフィルム乾燥工程を有することを特徴とする溶液製膜方法。 - ポリマー及び溶剤を含み流下するドープが到達する到達部、前記流下したドープから流延膜を形成する流延部、前記流下したドープからなる流延膜にて前記溶剤を蒸発させる膜乾燥部、及び前記流延膜が剥離される剥離部を順次循環して通過する移動支持体と、
前記到達部に位置する前記移動支持体を支持する到達部支持手段と、
前記剥離部に位置する前記移動支持体を支持する剥離部支持手段と、
前記移動支持体が前記膜乾燥部を離れ前記剥離部に到達するまでの間、自立して搬送可能な状態となるまで前記流延膜を冷却する膜冷却手段と、
前記剥離部を離れ前記膜乾燥部に到達するまでの間の前記移動支持体を加熱する支持体加熱手段と、
前記支持体加熱手段により与えられた熱を用いて前記膜乾燥部に到達する前の前記流延膜を加熱する膜加熱手段とを有することを特徴とする流延膜の形成装置。 - 前記支持体加熱手段は、前記剥離部を離れ前記到達部に到達する前までの間の前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項8記載の流延膜の形成装置。
- 前記支持体加熱手段は、前記到達部から前記膜乾燥部に到達するまでの間の前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項8または9記載の流延膜の形成装置。
- 前記支持体加熱手段は、前記移動支持体の表面に設定された前記流延膜を形成するための流延エリアが前記移動支持体の表面のうち前記流延エリアを除く非流延エリアよりも高温となるように、前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項8ないし10のうちいずれか1項記載の流延膜の形成装置。
- 前記支持体加熱手段と前記膜乾燥部との間に設けられ、
前記流延膜の表面にスキン層形成風をあて、前記流延膜の表面側にスキン層を形成するスキン層形成手段を備えることを特徴とする請求項8ないし11のうちいずれか1項記載の流延膜の形成装置。 - 前記流延部支持手段は流延部支持ローラを備え、
前記剥離部支持手段は剥離部支持ローラを備え、
前記移動支持体は前記流延部支持ローラ及び前記剥離部支持ローラに掛け渡されたエンドレスバンドであることを特徴とする請求項8ないし12のうちいずれか1項記載の流延膜の形成装置。 - 前記支持体加熱手段は、前記移動支持体へ加熱風をあてる加熱風ダクトを備えることを特徴とする請求項8ないし13のうちいずれか1項記載の流延膜の形成装置。
- 前記膜冷却手段は、前記剥離部支持手段を冷却することを特徴とする請求項8ないし14のうちいずれか1項記載の流延膜の形成装置。
- 前記膜冷却手段は前記剥離部における前記移動支持体の温度を5℃以上15℃以下に調節し、
前記支持体加熱手段は、前記流延部における前記移動支持体の温度が8℃以上前記溶剤の沸点以下となるように前記移動支持体を加熱することを特徴とする請求項15記載の流延膜の形成装置。
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