<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図5を用いて説明する。なお、本実施形態では、未定着トナー像を記録材に定着させる定着装置について説明するが、本発明は、定着済み画像又は半定着画像を担持した記録材を加熱加圧して画像の表面性状を調整する加熱処理装置としても実施できる。
[画像形成装置]
まず、本実施形態の画像形成装置について、図1を用いて説明する。画像形成装置100は、中間転写ベルト6に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Y、C、M、Kを配置したタンデム型フルカラーレーザプリンタである。
画像形成部Y、C、M、Kは、図の下から上に順にトナー像を中間転写ベルト6へ転写するように配置され、それぞれ電子写真プロセスを用いてトナー像が形成される感光ドラム1を備えている。それぞれの感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1の回転方向に沿って帯電装置2、現像装置3、一次転写ローラ9、及びクリーニング装置4が配置されている。露光装置5は、画像形成部Y、C、M、Kの感光ドラム1に対して、レーザー走査露光光学系を用いて共通に露光を行うように配置されている。
画像形成部Y、C、M、Kにおいて、露光装置5により、画像データに基づいた走査露光が、帯電装置2によって一様に帯電された感光ドラム1上になされて、感光ドラム1表面に走査露光画像に対応する静電像が形成される。
現像装置3は、感光ドラム1の表面に形成された静電像を、トナー像として現像する。画像形成部Yの現像装置3にはイエロートナー、画像形成部Cの現像装置3にはシアントナー、画像形成部Mの現像装置3にはマゼンタトナー、画像形成部Kの現像装置3にはブラックトナーがそれぞれ充填されている。このため、画像形成部Yの感光ドラム1にはイエロートナー像、画像形成部Cの感光ドラム1にはシアントナー像が、画像形成部Mの感光ドラム1にはマゼンタトナー像が、画像形成部Kの感光ドラム1にはブラックトナー像がそれぞれ形成される。
画像形成部Y、C、M、Kのそれぞれの感光ドラム1に現像された上記各色の単色トナー像は、感光ドラム1の回転と同期して等速で回転する中間転写ベルト6へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されるように一次転写される。これにより、中間転写ベルト6上に、未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
本実施形態では、エンドレスの中間転写ベルト6を用いており、中間転写ベルト6は、駆動ローラ7、二次転写対向ローラ14、テンションローラ8に懸回して張架され、駆動ローラ7によって回転駆動される。
画像形成部Y、C、M、Kのそれぞれの一次転写ローラ9は、感光ドラム1に向かって中間転写ベルト6を付勢して、感光ドラム1と中間転写ベルト6との間にトナー像の一次転写部を形成する。
不図示のバイアス電源が、一次転写ローラ9に対してトナー像と逆極性の一次転写バイアスを印加する。これにより、画像形成部Y、C、M、Kの感光ドラム1から中間転写ベルト6に対して、各色のトナー画像が一次転写される。
画像形成部Y、C、M、Kにおいて感光ドラム1から中間転写ベルト6へトナー像を一次転写した後に、感光ドラム1上に残った転写残トナーは、クリーニング装置4によって除去される。
このような工程を中間転写ベルト6の回転に同調して、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像形成部Y、C、M、Kで行うことにより、中間転写ベルト6上に各色のトナー像が順次重ねて一次転写される。なお、単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色の画像形成部(例えばブラックの画像形成部K)についてのみ行われる。
一方、記録材カセット10にセットされた記録材Sは、給送ローラ11によって一枚分離給送されて、搬送路10aを通って、レジストローラ12に先端を当接した状態で停止する。記録材Sは、中央基準にて搬送される。レジストローラ12は、所定の制御タイミングで起動して、中間転写ベルト6と二次転写ローラ13とのニップ部である二次転写部へ記録材Sを送り込む。
二次転写ローラ13は、接地電位に接続された二次転写対向ローラ14に内側から支持された中間転写ベルト6に当接して記録材Sに対するトナー像の二次転写部を形成する。中間転写ベルト6上に一次転写して重ね合わせたトナー像は、不図示のバイアス電源がトナーと逆極性のバイアスを二次転写ローラ13に印加することにより、記録材S上に一括二次転写される。二次転写部を通過した中間転写ベルト6上に残った二次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置15によって除去される。
トナー像を二次転写された記録材Sは、中間転写ベルト6から曲率分離され、搬送路10bを通って像加熱装置である定着装置Fに導入される。定着装置Fは、トナー像が二次転写された記録材を加熱・加圧しつつ挟持搬送する過程で、トナー像を融解、押潰して記録材上にフルカラー画像を定着させる。
定着装置Fから送り出された記録材Sは、搬送路10cを通って、フルカラープリント、もしくはモノカラープリントとして、排紙トレイ16に排紙される。
[定着装置]
本実施形態の定着装置Fについて、図2及び図3を用いて説明する。定着装置Fは、加熱回転体である定着ローラ17と、加圧回転体である加圧ローラ21と、温度切替補助手段である補助ローラ29と、接離手段であるカム機構40と、制御手段である制御装置20と、を有する。
定着ローラ17は、内面側から加熱されて表面側が記録材に接するもので、装置の固定部分に回転可能に支持されている。また、定着ローラ17は、アルミニウムや鉄等の金属でできた芯金17aを基層とし、その表面にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性の弾性層17bを被覆している。更に、弾性層17bの表層には、耐熱性のフッ素チューブで構成される離型層17cが被覆されている。定着ローラ17は、不図示の駆動装置によって回転駆動されて回転速度を制御されている。
定着ローラ17内には、加熱源である定着ヒータ18を配置している。定着ヒータ18は、定着ローラ17の中心に配置したハロゲンヒータ等の熱発生素子であって、の芯金17aの内側面を赤外線加熱する。また、この定着ヒータ18は、後述するように定着ローラ17の表面温度を複数の第1設定温度に調整可能である。この温度調整は、温度検知手段である接触式のサーミスタ19の検知に基づいて行う。サーミスタ19は、定着ローラ17の表面(外周面)に接触して表面温度を検知する。なお、定着ローラ17の表面温度を検知する温度検知手段としては、例えば赤外線検知型の非接触サーミスタであっても良い。
加圧ローラ21は、装置の固定部分に回転自在に支持され、その回転軸が定着ローラ17の回転軸と平行となるように配置されている。また、固定部分に支持される回転軸の両端部は、不図示のバネ部材によって定着ローラ17の回転軸に向かって付勢されている。これにより、加圧ローラ21は、定着ローラ17に圧接して定着ニップ部Nを形成する。このような加圧ローラ21は、定着ローラ17と同様に、芯金21aの表層を弾性層21bにより被覆し、その外側を離型層21cにより被覆して形成される。
なお、加圧ローラ21は、芯金21aの内部に加熱源を有するものであっても、有さないものであっても良いが、本実施形態では、簡略化のため加熱源を有さないものを用いている。また、本実施形態では、加熱回転体としてローラタイプを使用しているが、加圧ローラ21に圧接して定着ニップを形成できるものであれば、ベルト式加熱回転体を採用してもよい。加圧回転体についても同様である。
このような定着ローラ17は、芯金17aや比較的厚い弾性層17bを有するために熱容量が大きく、また、弾性層17bの熱伝導性が低い。このため、定着ローラ表面温度を急速に上げるために定着ヒータ18の熱量を多くしても、定着ローラ表面温度を急速に上げることは難しい。一方で、定着ローラ表面温度を急速に下げるために定着ヒータ18の熱量を少なくしても、定着ローラ表面温度は急速に下げることは難しい。
このため、本実施形態においては、定着ローラ表面温度を急速に変化させたいときに、定着ローラ17に当接することで、定着ローラ表面温度を変化させる、温度切替補助手段である補助ローラ29を設けている。
補助ローラ29は、図3に示す接離手段であるカム機構40によって定着ローラ17に対して(加圧)当接および離間が可能となっている。このような補助ローラ29は、アルミニウムや鉄等の金属で形成された芯金29aを基層として、その表面にフッ素コートの離型層29cが被覆されている。また、補助ローラ29内には加熱源である補助ヒータ30を配置している。
補助ヒータ30は、補助ローラ29の中心に配置したハロゲンヒータ等の熱発生素子であって、補助ローラ29の芯金29aの内側面を赤外線加熱する。また、この補助ヒータ30は、後述するように補助ローラ29の表面温度を複数の第2設定温度に調整可能である。この温度調整は、温度検知手段である接触式のサーミスタ31の検知に基づいて行う。サーミスタ31は、補助ローラ29の表面(外周面)に接触して表面温度を検知する。なお、補助ローラ29の表面温度を検知する温度検知手段としては、例えば赤外線検知型の非接触サーミスタであっても良い。
カム機構40は、図3に示すように、揺動部材41と、付勢手段であるばね42と、カム43と、モータ44とを有する。揺動部材41は、基端部を装置の固定部分に回転自在に支持され、先端部に補助ローラ29を回転自在に支持する。ばね42は、揺動部材41と装置の固定部分との間に配置され、揺動部材41に支持された補助ローラ29が定着ローラ17に向かって移動する方向に付勢している。カム43、揺動部材41に接触するように配置され、モータ44により回転駆動される。そして、カム43が回転することにより揺動部材41が揺動して、補助ローラ29を定着ローラ17に接離させる。なお、接離手段としては、このようなカム機構以外の他の構造を採用しても良い。
制御装置20は、定着ローラ17の定着ヒータ18と補助ローラ29の補助ヒータ30とのそれぞれの設定温度の切り替え、及び、カム機構40のモータ44を制御する。即ち、制御装置20は、サーミスタ19の検知結果に基づいて定着ヒータ18の出力を制御して、サーミスタ19によって検知される定着ローラ17の表面温度を、或る一定の温度範囲(第1設定温度)に収めるようにしている。また、制御装置20は、サーミスタ31の検知結果に基づいて補助ヒータ30の出力を制御して、サーミスタ31によって検知される補助ローラ29の表面温度を、或る一定の温度範囲(第2設定温度)に収めるようにしている。更に、制御装置20は、モータ44の回転量や回転角度を制御して、補助ローラ29の定着ローラ17に対する当接又は離間を行うようにしている。なお、モータ44の回転量などは、エンコーダなどにより検知する。
また、制御装置20は、定着ローラ17の表面温度を変更する必要があるか、即ち、加熱条件を変更するかどうかを判断する。このような判断は、例えば、異なる種類の記録材を使い分けながら一連の画像形成ジョブを実行する場合や、パーソナルコンピュータ等のクライアント装置から供給される複数の画像データ毎に記録材の種類を変えてプリントする場合に行う。
特に本実施形態では、制御装置20は次のような制御を行う。即ち、定着ヒータ18の第1設定温度の切り替えが必要な記録材が定着ニップ部Nを通過する前に、補助ローラ29を定着ローラ17から離間させた状態で、補助ヒータ30の第2設定温度を切り替えておく。第1設定温度を切り替えは、例えば、記録材の厚さ、記録材の大きさ、記録材の表面のコートの有無の少なくとも何れかに応じて行う。
また、第1設定温度を高温から低温に切り替える場合には、第2設定温度を低温の第1設定温度よりも低い温度に設定する。一方、第1設定温度を低温から高温に切り替える場合には、第2設定温度を高温の第1設定温度よりも高い温度に設定する。そして、定着ローラ17の表面温度を第1設定温度に切り替える際に、表面温度を切り替え後の第2設定温度に調整された補助ローラ29を、定着ローラ17に当接させる。
[温度制御]
上述のような制御について、図4及び図5を参照しつつより具体的に説明する。図4及び図5は、本実施形態における温度制御をそれぞれ示すフローチャートである。本実施形態においては、厚紙(厚い記録材)での定着不良や、薄紙(薄い記録材)でのホットオフセットや紙シワを防止するために、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙と薄紙の場合で変えている。具体的には厚紙にトナー像の定着を行う時(厚紙時)は200±3℃に、薄紙にトナー像の定着を行う時(薄紙時)には180±3℃に、定着ローラ17の表面温度を調整する。
ここで、厚紙とは、例えば、冊子の表紙などに使用される普通紙などよりも厚手の紙で、薄紙とは普通紙などの紙を言う。但し、この厚紙と薄紙との関係は、普通紙程度の厚さの紙を厚紙とし、これよりも薄い紙を薄紙としても良い。この場合の温度設定は設計的に定める。要は、本実施形態では、種類が異なる記録材にトナー像を定着させる場合に、定着ローラ17の表面温度を、その記録材に応じた温度に調整する(切り替える)。
また、補助ローラ29の表面温度は、状況に応じて3つの第2設定温度を有する。即ち、スタンバイ用の温度として190℃、薄紙から厚紙への切替用の温度として220℃、厚紙から薄紙への切替用の温度として150℃に、補助ローラ29の表面温度が調整される。
[薄紙から厚紙に切り替え]
本実施形態における温度制御について、プリントジョブの最初が薄紙から始まる場合について、図4を用いて説明する。まず、薄紙を通紙するため、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を薄紙用の180℃に調整する(S101)。また、補助ローラ29の表面温度(第2設定温度)は記録材種が変更されることが分かるまでは、スタンバイ温度である190℃に調整する(S102)。なお、この時点で補助ローラ29は、定着ローラ17から離間している。そして、定着ローラ17の表面温度が180℃に調整されたらプリントを開始する(S103)。
プリントが開始されると、制御装置20が記録材の変更(即ち、定着ローラ17の第1設定温度の変更)があるかを判断する(S104)。例えば、まずは一連の画像形成ジョブ中に異なる記録材を使う設定があるかを確認する。そのなかで、薄紙から厚紙への変更の有無を確認することで、定着ローラ17の温度変更が必要かを判断する。またパーソナルコンピュータ等のクライアント装置から供給される複数の画像データに関しても、それらを画像データに設定されている、記録材の設定を確認することで、定着ローラ17の温度変更が必要かを判断する。
制御装置20が温度変更の必要がないと判断した場合(即ち、そのジョブで記録材の変更がない場合)は、定着ローラ17及び補助ローラ29の表面温度は現状のまま維持され、プリントを継続する(S105)。そして、ジョブが終了すれば(S106)、プリントを終了する。
一方、S104で、記録材の変更があると判断すると、補助ローラ29の第2設定温度を切り替える(S107)。今回は薄紙から厚紙への変更があると判断しているため、第2設定温度を、高温の第1設定温度(200℃)よりも高い、薄紙から厚紙への切替用の温度である220℃に切り替える。即ち、補助ヒータ30による加熱量を多くして補助ローラ29の表面温度を220℃に調整する。この温度の切り替えは、薄紙への画像形成中に行い、薄紙から厚紙に切り替わる前に、補助ローラ29の表面温度が薄紙から厚紙への切替用の温度に調整されていることが好ましい。
次に、薄紙でのプリントが終了した時点(S108)で、プリントは一旦中断する(S109)。そして、上述のように表面温度が220℃に調整された補助ローラ29を、定着ローラ17に当接させる(S110)。即ち、モータ44を駆動してカム43を回転させることにより、揺動部材41をばね42による付勢方向に揺動可能とする。すると、ばね42の付勢力により揺動部材41が揺動し、揺動部材41の先端に支持された補助ローラ29がばね42の付勢力により定着ローラ17に圧接される。
これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を厚紙時の温度である200℃に調整を開始する(S111)。即ち、定着ヒータ18による加熱量を多くして定着ローラ17の表面温度を上昇させる。定着ローラ17の表面温度は薄紙のプリントが終了した時点では180℃であり、定着ヒータ18から熱を供給しても、すぐには定着ローラ17の表面温度は上昇しない。しかし、本実施形態では、表面の温度が220℃である補助ローラ29を定着ローラ17に当接させているため、補助ローラ29から定着ローラ17の表面に熱の移動が行われる。
このように本実施形態では、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙用に切り替える際に、定着ヒータ18及び補助ローラ29から定着ローラ17の表面に熱供給が行われる。このため、定着ヒータ18の熱供給のみによる場合よりも短時間で、定着ローラ17の表面温度は上昇する。
定着ローラ17の表面温度が200℃に達した時点で、補助ローラ29を定着ローラ17の表面から離間させる(S112)。即ち、モータ44を駆動してカム43を回転させることにより、ばね42の付勢力に抗して揺動部材41を揺動させ、揺動部材41の先端に支持された補助ローラ29を定着ローラ17の表面から離間させる。この時、定着ヒータ18により定着ローラ17の表面温度が200℃に維持されるように温度調整する。
そして、プリントを再開し(S113)、厚紙を通紙する。補助ローラ29は次の変更に備えてスタンバイ温調である190℃に調整する(S114)。プリントを継続し(S105)、ジョブが終了次第(S106)、プリントを終了する。
[厚紙から薄紙に切り替え]
次に、プリントジョブの最初が厚紙から始まる場合について、図5を用いて説明する。まず、厚紙を通紙するため、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙用の200℃に調整する(S201)。また、補助ローラ29の表面温度(第2設定温度)は記録材種が変更されることが分かるまでは、スタンバイ温度である190℃に調整する(S202)。なお、この時点で補助ローラ29は、定着ローラ17から離間している。そして、定着ローラ17の表面温度が200℃に調整されたらプリントを開始する(S203)。
プリントが開始されると、制御装置20が、上述した場合と同様に、記録材の変更(即ち、定着ローラ17の第1設定温度の変更)があるかを判断する(S204)。制御装置20が温度変更の必要がないと判断した場合(即ち、そのジョブで記録材の変更がない場合)は、定着ローラ17及び補助ローラ29の表面温度は現状のまま維持され、プリントを継続する(S205)。そして、ジョブが終了すれば(S206)、プリントを終了する。
一方、S204で、記録材の変更があると判断すると、補助ローラ29の第2設定温度を切り替える(S207)。今回は厚紙から薄紙への変更があると判断しているため、第2設定温度を、低温の第1設定温度(180℃)よりも低い、厚紙から薄紙への切替用の温度である150℃に切り替える。即ち、補助ヒータ30からの加熱量を少なくして補助ローラ29の表面温度を150℃に調整する。この温度の切り替えは、厚紙への画像形成中に行い、厚紙から薄紙に切り替わる前に、補助ローラ29の表面温度が厚紙から薄紙への切替用の温度に調整されていることが好ましい。
次に、厚紙でのプリントが終了した時点(S208)で、プリントは一旦中断する(S209)。そして、上述のように表面温度が150℃に調整された補助ローラ29を、定着ローラ17に当接させる(S210)。これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を薄紙時の温度である180℃に調整を開始する(S211)。即ち、定着ヒータ18による加熱量を少なくして定着ローラ17の表面温度を下降させる。定着ローラ17の表面温度は厚紙のプリントが終了した時点では200℃であり、定着ヒータ18から熱の供給を少なくしても(例えば熱供給をやめても)、すぐには定着ローラ17の表面温度は下降しない。しかし、本実施形態では、表面の温度が150℃である補助ローラ29を定着ローラ17に当接させているため、補助ローラ29により定着ローラ17の表面の熱が奪われる。
このように本実施形態では、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を薄紙用に切り替える際に、定着ヒータ18からの熱供給を少なくする(例えば切る)と共に、補助ローラ29により定着ローラ17の表面から熱を奪っている。このため、定着ヒータ18の熱供給を少なくするのみによる場合よりも短時間で、定着ローラ17の表面温度は下降する。
定着ローラ17の表面温度が180℃に達した時点で、補助ローラ29を定着ローラ17の表面から離間させる(S212)。この時、定着ヒータ18により定着ローラ17の表面温度が180℃に維持されるように温度調整する。そして、プリントを再開し(S213)、薄紙を通紙する。補助ローラ29は次の変更に備えてスタンバイ温調である190℃に調整する(S214)。プリントを継続し(S205)、ジョブが終了次第(S206)、プリントを終了する。
上述の説明では、薄紙から厚紙、厚紙から薄紙にそれぞれ記録材を変更する場合について説明した。本実施形態では、更に、薄紙から厚紙に変更した後に薄紙に変更、厚紙から薄紙に変更した後に厚紙に変更するようにもできる。具体的には、図4のS114の後に、図5のS204以降を実行すれば、薄紙から厚紙に変更した後に薄紙への変更を行える。同様に、図5のS214の後に、図4のS104以降を実行すれば、厚紙から薄紙に変更した後に厚紙への変更を行える。
本実施形態によれば、定着ローラ17の第1設定温度を切り替える際に、第2設定温度を切り替えた補助ローラ29を定着ローラ17に当接させるため、第1設定温度の切り替えを素早く行える。即ち、厚紙から薄紙、薄紙から厚紙に記録材を変更しても、定着ローラ17の表面温度を素早く対応させることができる。この結果、記録材に応じて加熱条件を変えても、生産性の低下を低減できる。したがって、異なる種類の記録材を使い分けながら一連の画像形成ジョブを実行する場合において、高い生産性を維持できる像加熱装置を提供することができる。
即ち、補助ローラ29が無い場合には、記録材の変更が有るプリントジョブは、定着ローラ17の表面温度を変更するために、長い中断時間が発生する。このため、生産性が低下する。特に頻繁に記録材の変更が行われるプリントジョブでは生産性の低下は著しい。しかし、本実施形態では、記録材の種類に応じて定着ローラ17の表面温度を変更することで、厚紙での定着不良や、薄紙でのホットオフセットや紙シワを防止することができる。また、ジョブ中に、定着ローラ17の温度変更のために、補助ローラ29を備えさせておくことで、短時間で定着ローラ17の表面温度を変えることが可能となり、中断する時間を短縮できる。この結果、記録材の変更が有るプリントジョブでの生産性を向上させることができる。
更に、本実施形態の場合、定着ローラ17による加熱条件を変えるために、前述の特許文献2に記載されているように、定着ローラ17と加圧ローラ21とのニップ幅を変化させなくても良い。このため、定着ローラ17若しくは加圧ローラ21の構成は限定されず、例えば、本実施形態のような厚い弾性層17b、21bを有しない構造とすることもできる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図1及び図2を参照しつつ、図6を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、厚紙と薄紙のジョブに関して説明したが、大きさが異なる記録材を使い分けながら一連の画像形成ジョブを実行する場合にも、本発明を適用し得る。例えば、記録材搬送方向に直角な方向(幅方向)の長さが小さいサイズを定着装置Fに連続通紙すると、非通紙部昇温が発生する。この場合、記録材の通紙を中央基準で行えば、即ち、記録材の幅方向中央と定着ローラ17の幅方向中央とを略一致させるように通紙すれば、定着ローラ17の両端部の温度が高くなる。
定着ローラ17の弾性層17bは温度が高くなると膨張が大きくなるため、上述の非通紙部昇温が発生すると、定着ローラ17の端部の膨張が、定着ローラ17の中央に比べて大きくなる。この状態で幅方向の長さが上述の小さいサイズよりも長いサイズの記録材を通紙すると、この大きいサイズの記録材の両端部が小さいサイズの記録材における非通紙部を通過することになる。この結果、大きいサイズの記録材の搬送速度が中央に対して端部が速くなることで、後端が跳ね上がり、ニップ突入前の未定着画像を乱す、後端ハネが発生することが有る。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、補助ローラ29の加熱源を発熱分布の異なる複数の補助ヒータ30a、30bで構成し、幅方向の温度分布を変えられるようにしている。図示の例では、補助ヒータ30aは、幅方向中央部側が幅方向両端部側よりも発熱量が大きくなるように構成し、補助ヒータ30bは、幅方向両端部側が幅方向中央部側よりも発熱量が大きくなるように構成している。
このように構成される本実施形態の場合、幅方向のサイズが小さい記録材から大きいサイズの記録材に切り替えるジョブにおいては、小さいサイズの記録材を通紙中に、補助ローラ29の温度分布を中央が高く設定しておく。例えば、補助ヒータ30aに通電し、補助ヒータ30bを非通電とする。そして、小さいサイズから大きいサイズの記録材に切り替えるときに、補助ローラ29を当接させることで、非常に短時間で定着ローラの温度差をなすことができる。これにより端部ハネの発生を防止すると共に、記録材の切り替え時間を短縮することで、生産性を向上させることができる。
なお、大きいサイズの記録材を連続して通紙する場合で、厚紙と薄紙との切り替えを行う際には、補助ローラ29の補助ヒータ30a、30bの両方に通電するようにして、上述の第1の実施形態のような制御を行う。一方、小さいサイズの記録材を連続して通紙する場合で、厚紙と薄紙との切り替えを行う際には、補助ローラ29の補助ヒータ30aのみに通電するようにして、上述の第1の実施形態のような制御を行う。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図7ないし図9を用いて説明する。なお、本実施形態の場合、定着ローラ17の外周に、複数の外部加熱部材である2本の外部加熱ローラ22、25が配設されている。定着ローラ17の表面の弾性層17bは、比較的に厚くて熱伝導性が低いため、トナー像の定着時に記録材に奪われる熱量を、定着ローラ17の定着ヒータ18から補わせる際の障害となる。定着装置Fの高速化を実現するためには、定着ローラ17の定着ヒータ18だけに頼っていては、熱応答が間に合わなくなって定着ローラ17の表面温度を一定に保つことが困難である。
このため、トナー像の定着時に記録材に接触して温度低下した定着ローラ17の表面を直接加熱するように、第1、第2外部加熱ローラ22、25を定着ローラ17に接離可能に設けている。また、第1、第2外部加熱ローラ22、25の内部には、それぞれ第1、第2外部加熱ヒータ23、26を設けている。そして、第1、第2外部加熱ローラ22、25からも熱を付与することにより、定着ローラ17の表面に与える熱量を増やして定着装置Fの高速化を実現している。
第1外部加熱ローラ22は、定着ローラ17と加圧ローラ21との定着ニップ部Nから見て、定着ローラ17の回転方向の上流側に配設されている。そして、例えば前述の図3に示したようなカム機構のような接離機構(図示省略)により付勢されて定着ローラ17に圧接する。また、第1外部加熱ローラ22は、アルミニウムや鉄等の金属でできた芯金22aを基層として、その表面にフッ素コートの離型層22cを被覆してある。
第1外部加熱ヒータ23は、第1外部加熱ローラ22に内包されたハロゲンヒータ等の熱発生素子であって、第1外部加熱ローラ22の芯金22aの内側面を赤外線加熱する。接触式のサーミスタ24は、第1外部加熱ローラ22の表面に接触して表面温度を検知する。
制御装置20は、サーミスタ24の検知結果に基づいて第1外部加熱ヒータ23の出力を制御して、サーミスタ24によって検知される第1外部加熱ローラ22の表面温度を、或る一定の温度範囲に収める。
第2外部加熱ローラ25は、定着ローラ17と加圧ローラ21との定着ニップ部Nから見て、第1外部加熱ローラ22よりも下流側に配設されている。言い換えれば、定着ローラ17の回転方向に関し、定着ニップ部Nに側に配置されている。そして、例えば前述の図3に示したようなカム機構のような接離機構(図示省略)により付勢されて定着ローラ17に圧接する。第2外部加熱ローラ25と第1外部加熱ローラ22とは独立に加圧及び離間ができるように構成されている。また、第2外部加熱ローラ25は、アルミニウムや鉄等の金属でできた芯金25aを基層として、その表面にフッ素コートの離型層25cを被覆してある。
第2外部加熱ヒータ26は、第2外部加熱ローラ25に内包されたハロゲンヒータ等の熱発生素子であって、第2外部加熱ローラ25の芯金25aの内側面を赤外線加熱する。接触式のサーミスタ27は、第2外部加熱ローラ25の表面に接触して表面温度を検知する。
制御装置20は、サーミスタ27の検知結果に基づいて第2外部加熱ヒータ26の出力を制御して、サーミスタ27によって検知される第2外部加熱ローラ25の表面温度を、或る一定の温度範囲に収める。
本実施形態では、第2外部加熱ローラ25が温度切替補助手段、即ち、補助ローラを兼ねている。第1、第2外部加熱ローラ22、25は、定着ローラ17の表面との温度差が大きいほど、定着ローラ17に多くの熱を与えることができる。定着ローラ17はニップ部で記録材に熱を奪われ表面温度が下がるため、定着ローラ17の回転方向上流側の第1外部加熱ローラ22との接触部では定着ローラ17の表面との温度差が大きくなる。これに対し第2外部加熱ローラ25と定着ローラ17との接触部では、第1外部加熱ローラ22との接触部を通過しているため、定着ローラ17の表面と第2外部加熱ローラ25の表面との温度差が小さくなる。したがって、外部加熱ローラが複数有る場合、定着ローラ17の回転方向下流側より上流側の方が定着ローラへ与えられる熱量は大きい。このため、多くの熱量が必要な場合は、複数の外部加熱は効果が大きいが、ある程度以下の熱量で良いときは与えられる熱量の大きい上流だけで充分になる。
スタンバイから通紙を開始した直後や、定着ローラの設定温度を上げようとする場合、定着ローラ17の定着ヒータ18からの加熱が間に合わず、複数の外部加熱ローラからの熱の供給が必要である。しかし、通紙している間に定着ローラ17の定着ヒータ18から充分熱を供給されるようになると、与えられる熱量の大きい、上流側の第1外部加熱ローラ22からの熱供給だけで、定着ローラ17の温度維持が可能となる。
本実施形態では、第1外部加熱ローラ22からの熱供給だけで、定着ローラ17の温度維持が可能な状態のときは、第2外部加熱ローラ25を離間させ、温度切替補助手段として機能させる。
[温度制御]
図6は、本実施形態における温度制御を示すフローチャートである。本実施形態においては、厚紙での定着不良や、薄紙でのホットオフセットや紙シワを防止するために、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙と薄紙の場合で変えている。具体的には厚紙時は200±3℃に、薄紙時には180±3℃に温度調整される。
第1外部加熱ローラ22の表面温度は210℃に温度調整される。第2外部加熱ローラ25の表面温度(第2設定温度)は状況に応じて3つの温度を持つ。即ち、通常の温度として210℃、薄紙から厚紙への変更用の温度として230℃、厚紙から薄紙への変更用の温度として150℃に、第2外部加熱ローラ25の表面温度が調整される。
[薄紙から厚紙に切り替え]
本実施形態における温度制御について、プリントジョブの最初が薄紙から始まる場合について、図8を用いて説明する。まず、薄紙を通紙するため、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を薄紙用の180℃に調整する(S301)。また、第1、第2外部加熱ローラ22、25の表面温度は記録材種が変更されることが分かるまでは、通常温度である210℃に調整する(S302)。なお、この時点で第1、第2外部加熱ローラ22、25は、定着ローラ17に当接している。そして、定着ローラ17の表面温度が180℃に調整されたらプリントを開始する(S303)。
プリントが開始されると、制御装置20が記録材の変更(即ち、定着ローラ17の第1設定温度の変更)があるかを判断する(S304)。制御装置20が温度変更の必要がないと判断した場合(即ち、そのジョブで記録材の変更がない場合)は、定着ローラ17及び第1、第2外部加熱ローラ22、25の表面温度は現状のまま維持され、プリントを継続する(S305)。なお、この際、第1、第2外部加熱ローラ22、25は、定着ローラ17の表面温度の制御に応じて、それぞれ接離させる場合もある。そして、ジョブが終了すれば(S306)、プリントを終了する。
一方、S304で、記録材の変更があると判断すると、まずは、第1外部加熱ローラ22のみで定着ローラ17の表面温度が維持可能か判断する(S307)。これは、第1外部加熱ローラ22及び第2外部加熱ローラ25に供給されている電力から判断しても良く、実際に第2外部加熱ローラ25を離間させて、定着ローラ17の温度が低下するかを確認しても良い。第1外部加熱ローラ22だけで定着ローラ17の温度が維持できると判断されたら、即座に第2外部加熱ローラ25を離間させる(S308)。
また、これと共に、今回は薄紙から厚紙への変更があると判断しているため、第2設定温度を、高温の第1設定温度(200℃)よりも高い、薄紙から厚紙への切替用の温度である230℃に切り替える(S309)。即ち、第2外部加熱ヒータ26による加熱量を多くして外部加熱ローラ25の表面温度を230℃に調整する。この温度の切り替えは、薄紙への画像形成中に行い、薄紙から厚紙に切り替わる前に、第2外部加熱ローラ25の表面温度が薄紙から厚紙への切替用の温度に調整されていることが好ましい。
次に、薄紙でのプリントが終了した時点(S310)で、プリントは一旦中断する(S311)。そして、上述のように表面温度が230℃に調整された第2外部加熱ローラ25を、定着ローラ17に当接させる(S312)。これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を厚紙時の温度である200℃に調整を開始する(S313)。即ち、定着ヒータ18による加熱量を多くして定着ローラ17の表面温度を上昇させる。定着ローラ17の表面温度は薄紙のプリントが終了した時点では180℃であり、定着ヒータ18から熱を供給しても、すぐには定着ローラ17の表面温度は上昇しない。しかし、本実施形態では、表面の温度が230℃である第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17に当接させているため、第2外部加熱ローラ25から定着ローラ17の表面に熱の移動が行われる。
一方、S307で、第1外部加熱ローラ22だけで定着ローラ17の温度が維持できないと判断された場合、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17に当接させたままとする(S314)。なお、このようなケースとしては、例えば、装置が設置されている環境の温度が低く、電源投入から時間が経っておらず、装置内の温度も低い場合などが考えられる。そして、このままプリントを継続し、薄紙でのプリントが終了した時点(S315)で、プリントは一旦中断する(S316)。そして、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17に当接させたまま、第2設定温度を230℃に切り替える(S317)。これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を厚紙時の温度である200℃に調整を開始する(S313)。
このように本実施形態では、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙用に切り替える際に、定着ヒータ18及び第1外部加熱ローラ22に加えて、第2外部加熱ローラ25から定着ローラ17の表面に熱供給が行われる。このため、定着ヒータ18及び第1外部加熱ローラ22の熱供給のみによる場合よりも短時間で、定着ローラ17の表面温度は上昇する。
定着ローラ17の表面温度が200℃に達した時点で、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17の表面から離間させる(S318)。この時、定着ヒータ18及び第1外部加熱ローラ22により定着ローラ17の表面温度が200℃に維持されるように温度調整する。
そして、プリントを再開し(S319)、厚紙を通紙する。第2外部加熱ローラ25は次の変更に備えて通常温度である210℃に調整する(S320)。プリントを継続し(S305)、ジョブが終了次第(S306)、プリントを終了する。
[厚紙から薄紙に切り替え]
次に、プリントジョブの最初が厚紙から始まる場合について、図9を用いて説明する。まず、厚紙を通紙するため、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を厚紙用の200℃に調整する(S401)。また、第1、第2外部加熱ローラ22、25の表面温度は記録材種が変更されることが分かるまでは、通常温度である210℃に調整する(S402)。なお、この時点で第1、第2外部加熱ローラ22、25は、定着ローラ17に当接している。そして、定着ローラ17の表面温度が200℃に調整されたらプリントを開始する(S403)。
プリントが開始されると、制御装置20が記録材の変更(即ち、定着ローラ17の第1設定温度の変更)があるかを判断する(S404)。制御装置20が温度変更の必要がないと判断した場合(即ち、そのジョブで記録材の変更がない場合)は、定着ローラ17及び第1、第2外部加熱ローラ22、25の表面温度は現状のまま維持され、プリントを継続する(S405)。なお、この際、第1、第2外部加熱ローラ22、25は、定着ローラ17の表面温度の制御に応じて、それぞれ接離させる場合もある。そして、ジョブが終了すれば(S406)、プリントを終了する。
一方、S404で、記録材の変更があると判断すると、まずは、第1外部加熱ローラ22のみで定着ローラ17の表面温度が維持可能か判断する(S407)。第1外部加熱ローラ22だけで定着ローラ17の温度が維持できると判断されたら、即座に第2外部加熱ローラ25を離間させる(S408)。
また、これと共に、今回は厚紙から薄紙への変更があると判断しているため、第2設定温度を、低温の第1設定温度(180℃)よりも低い、厚紙から薄紙への切替用の温度である150℃に切り替える(S409)。即ち、第2外部加熱ヒータ26からの加熱量を少なくして外部加熱ローラ25の表面温度を150℃に調整する。この温度の切り替えは、厚紙への画像形成中に行い、厚紙から薄紙に切り替わる前に、第2外部加熱ローラ25の表面温度が厚紙から薄紙への切替用の温度に調整されていることが好ましい。
次に、厚紙でのプリントが終了した時点(S410)で、プリントは一旦中断する(S411)。そして、上述のように表面温度が150℃に調整された第2外部加熱ローラ25を、定着ローラ17に当接させる(S412)。これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を薄紙時の温度である180℃に調整を開始する(S413)。即ち、定着ヒータ18による加熱量を少なくして定着ローラ17の表面温度を下降させる。定着ローラ17の表面温度は厚紙のプリントが終了した時点では200℃であり、定着ヒータ18から熱の供給を少なくしても(例えば熱供給をやめても)、すぐには定着ローラ17の表面温度は下降しない。しかし、本実施形態では、表面の温度が150℃である補助ローラ29を定着ローラ17に当接させているため、補助ローラ29により定着ローラ17の表面の熱が奪われる。なお、この際に、第1外部加熱ローラ22を定着ローラ17から離間させるか、第1外部加熱ヒータ23を切るようにしても良い。
一方、S407で、第1外部加熱ローラ22だけで定着ローラ17の温度が維持できないと判断された場合、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17に当接させたままとする(S414)。そして、このままプリントを継続し、厚紙でのプリントが終了した時点(S415)で、プリントは一旦中断する(S416)。そして、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17に当接させたまま、第2設定温度を150℃に切り替える(S417)。これに引き続き、定着ローラ17の表面温度を厚紙時の温度である180℃に調整を開始する(S413)。なお、この際に、第1、第2外部加熱ローラ22、25を定着ローラ17から離間させるか、第1、第2外部加熱ヒータ23、26を切るようにしても良い。
このように本実施形態では、定着ローラ17の表面温度(第1設定温度)を薄紙用に切り替える際に、定着ヒータ18からの熱供給を少なくする(例えば切る)と共に、第2外部加熱ローラ25により定着ローラ17の表面から熱を奪っている。このため、定着ヒータ18の熱供給を少なくするのみによる場合よりも短時間で、定着ローラ17の表面温度は下降する。
定着ローラ17の表面温度が180℃に達した時点で、第2外部加熱ローラ25を定着ローラ17の表面から離間させる(S418)。この時、定着ヒータ18により定着ローラ17の表面温度が180℃に維持されるように温度調整する。そして、プリントを再開し(S419)、薄紙を通紙する。第2外部加熱ローラ25は次の変更に備えて通常温度である210℃に調整する(S420)。プリントを継続し(S405)、ジョブが終了次第(S606)、プリントを終了する。
上述の説明では、薄紙から厚紙、厚紙から薄紙にそれぞれ記録材を変更する場合について説明した。本実施形態では、更に、薄紙から厚紙に変更した後に薄紙に変更、厚紙から薄紙に変更した後に厚紙に変更するようにもできる。具体的には、図8のS320の後に、図9のS404以降を実行すれば、薄紙から厚紙に変更した後に薄紙への変更を行える。同様に、図9のS420の後に、図8のS304以降を実行すれば、厚紙から薄紙に変更した後に厚紙への変更を行える。
本実施形態の場合、上述のように、同一の記録材のプリントに関して生産性が高い複数の外部加熱ローラを有する定着装置において、定着ローラ17の回転方向下流側の外部加熱ローラを温度切替補助手段と兼ねている。このため、記録材の変更の有るプリントにおいても、厚紙での定着不良や、薄紙でのホットオフセットや紙シワを防止すると共に、高い生産性を得ることができる。
なお、本実施形態では、第2外部加熱ローラ25のみが温度切替補助手段を兼ねているが、第1外部加熱ローラ22も温度切替補助手段を兼ねるようにしても良い。要は、複数の外部加熱ローラのうちの少なくとも1つが、温度切替補助手段を兼ねていれば良い。
また、本発明は、温度切り替え時に加熱回転体に当接することで、温度切り替えを補助する温度変更補助手段を有し、温度切り替えを判断した場合は、温調切り替えに先だって、温度変更補助手段の温度を切り替えることを特徴とする。したがって、この限りにおいて、上述の各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。更に、上述の各実施形態の構成を適宜組み合わせて実施することもできる。
更に、上述の各実施形態では、記録材の厚さ(厚紙と薄紙と)で、或いは、記録材の大きさで、第1設定温度(定着ローラ17の表面温度)を切り替えるようにしているが、記録材の表面のコートの有無でも切り替えるようにしても良い。即ち、コート紙から非コート紙、非コート紙からコート紙に切り替える際に、温度切替補助手段を適切な温度に調整してから、定着ローラ17に当接させるようにする。また、これら3つの条件を適宜組み合わせることもできる。要は、記録材の厚さ、記録材の大きさ、記録材の表面のコートの有無の少なくとも何れかに応じて、第1設定温度を切り替える。