JP2012188691A - Ti合金配線膜および電極、並びにTi合金スパッタリングターゲット - Google Patents

Ti合金配線膜および電極、並びにTi合金スパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】ウエットエッチング性に優れた特性を有する新規な金属配線膜を提供すること。
【解決手段】表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用Ti合金膜に用いられる配線膜であって、合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%を含み、残部Tiおよび不可避不純物からなることに要旨を有する表示装置の配線用Ti合金膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウエットエッチング性に優れた表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる配線用Ti合金膜に関するものである。詳細には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置やタッチパネルセンサーに使用される各種配線や電極の形成に有用なTi合金膜、該Ti合金膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置やタッチパネルセンサー、並びに該Ti合金膜の形成に有用なスパッタリングターゲットに関する。以下、液晶表示装置を代表的に取り上げて説明するが、これに限定する趣旨ではない。
携帯電話、電子書籍端末、タブレット型情報端末などには、比較的小型の液晶表示装置が用いられているが、近年、こうした小型ディスプレイの高精細化に伴って、配線構造の微細化が求められている。こうした要求に応じるための手段の一つとして配線にも様々な改善が施されており、表示装置の配線(例えばゲート配線、ソース配線、ドレイン配線など)の配線幅を細線化することが必要となっている。
配線や電極を含む回路パターンはドライエッチングやウエットエッチングの手法を用いて形成されている。ドライエッチングでの配線加工はプロセスコストがかかったり、歩留まりの向上が難しいことから、より安価なコストで配線加工を行えるウェットエッチングプロセスで加工することが多くなっている。
Ti膜はエッチングレートが比較的遅いためにエッチングプロセスに時間を要する。そしてエッチング処理に時間を要すると、生産性の低下を招くだけでなく、エッチング液周りや配線の表面にエッチングむら、すなわち、基板面内にて配線の出来上がり寸法がばらつくことがある。これはエッチング液の回り方や膜厚が均一でないため基板面内でジャストエッチング時間にばらつきが生じ、それによって基板面内でのオーバーエッチング時間に大きな差が生じて発生するためである。その結果、基板面内の一部で細線(配線)が消失したり、配線幅が面内でばらつくなどの問題が発生し、歩留まりの低下を招くことがある。
配線用純Ti膜のエッチング性を向上させる技術として、例えばウエットエッチング液を改善することが提案されている(特許文献1)。純Ti膜のエッチングに適したエッチング液として、フッ化物含有エッチング液が提案されているが、より高精度で加工できる配線用膜が求められている。
特開昭59−124726号公報
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、その目的は、ウエットエッチングによる微細加工性に優れた配線膜用のTi合金膜を提供することである。具体的には従来の純Ti膜よりもエッチングレートが速いTi合金膜、及びTi合金膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置・タッチパネルセンサー、並びにTi合金膜の成膜に好適なスパッタリングターゲットを提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明は、合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%を含み、残部Tiおよび不可避不純物からなることに要旨を有する表示装置用またはタッチパネルセンサー用の配線に用いられるTi合金膜である。
また本発明においては、Ti合金膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置やタッチパネルセンサーも含まれる。
更に本発明においては、前記Ti合金膜の形成に用いるスパッタリングターゲットであって、前記X群元素を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含み、残部Ti及び不可避不純物からなることに要旨を有するTi合金スパッタリングターゲットも含まれる。
本発明のTi合金膜を用いれば、フッ化物を含むエッチング液(エッチャント)に対するエッチングレートを向上できる。このため、基板面内のオーバーエッチング時間のバラつきを小さく抑えることができ、ウエットエッチング時に問題となっていた配線用膜のエッチングむらの発生等が抑制され、面内均一性に優れた良好なウエットエッチング性を有する配線膜用のTi合金膜を提供できる。したがって、本発明のTi合金膜を用いれば、表示装置やタッチパネルセンサーなどの品質向上や生産コストの大幅な低減化を図ることができる。また本発明によれば上記Ti合金膜の成膜に好適なスパッタリングターゲットを提供することができる。
図1は、希フッ酸(0.5%HF)に配線用膜を浸漬した場合の浸漬時間と膜減り量(Ti膜の減少量)のグラフである。 図2は、Ti合金膜に含まれる酸素量(固溶量)とエッチングレートの関係を示すグラフである。
本明細書において、「エッチングレートが速い(若しくはエッチングレートが向上する)」とは、後記する実施例に記載のエッチングレート評価方法に基づき、エッチングレートを測定したとき、純Ti膜のエッチングレートよりも1.10倍以上のエッチングレートを有することを意味する。
以下、本発明に至った経緯を説明する。基板上に配線用膜を成膜し、所望の回路パターンをレジストでパターニングし、回路配線(電極含む)を形成する際に、配線形成部分以外に配線用膜を残存させないために、エッチング時に歩留まりを考慮しながらオーバーエッチング時間の設定を行っている。エッチングに長時間を要する条件下ではオーバーエッチングの設定時間も長時間化する。一方、基板面内では膜厚分布や薬液回りにばらつきが生じるために、基板面内で全ての配線が同時にエッチングを完了するわけではない。このため、基板面内でオーバーエッチング時間に分布(ジャストエッチング時間とエッチング終了時間との差)が発生し、配線の出来上がり幅のむらとなり、特に微細配線では配線が消失するなどして歩留まりが低下することがわかった。
そこで、本発明者らはエッチングレートを速めることによりオーバーエッチング時間を短縮できる配線膜用Ti合金の組成について検討を重ねた。その結果、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素(以下、XもしくはX群元素ということがある)を所定量含むTi−X合金、更に所定量の酸素を含むTi−X−O合金、あるいは所定量の酸素を含むTi−O合金 (以下、特に言及しない限り、これらをまとめて「Ti系合金」ということがある。)を配線用膜として用いれば、エッチングレートを速くできるため、エッチング時間およびオーバーエッチング時間を短縮でき、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
まず、本発明のTi−X合金膜を構成するX群元素について説明する。
本発明に用いられるX群元素は、[希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNi]である。これらの元素は、単独で添加しても良いし、2種以上を併用しても良い。
「希土類元素」とは、ランタノイド元素(周期表において、原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの合計15元素)に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素群を意味する。希土類元素は1種または2種以上を用いることができる。
好ましいX群元素は、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種、より好ましくはSn、Hf、Zr、及びAlよりなる群から選択される少なくとも一種、更に好ましくはAlおよび/またはZrである。
後記する実施例に示すように、これらの元素は、フッ化物含有エッチング液を用いたときのウエットエッチングレートを速める効果があることが本発明者らの実験結果によって明らかになった。所定量のX群元素を含むTi合金膜は、純Ti膜やX群元素以外の元素を含むTi合金膜に見られるような緻密なTi酸化膜(不動態膜)の形成を抑制することができる。しかもX群元素(及びその酸化物)は、フッ化物含有エッチング液中のフッ化物に起因して溶出しやすいため、Ti−X合金膜のエッチングレートが大幅に上昇する。
したがって、X群元素を含むTi系合金膜を用いれば、エッチングプロセスに要する時間を短縮でき、またこのようなX群元素を含むTi系合金膜から微細加工した配線膜および/または電極を形成することができる。
本発明では、上記X群元素の含有量(単独で含むときは単独の量であり、二種以上を含むときは合計量である)を3原子%以上50原子%以下とする。X群元素の添加による良好なウエットエッチング性を有効に発揮させるためには、X群元素の含有量を3原子%以上とする必要がある。一方、X群元素の含有量が多くなるにつれてエッチングレートは上昇するが、過剰に添加すると高価な希土類元素などの使用によるコスト上昇を招くことがあるため、X群元素の含有量の上限を50原子%とする。X群元素の好ましい含有量は4原子%以上40原子%以下であり、より好ましくは5原子%以上30原子%以下である。
本発明のTi−X合金膜は上記X群元素を含み、残部Ti及び不可避不純物である。不可避不純物としては、例えばFe、N、C、H、Siが挙げられるが、これら不可避的に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量混入は許容することができる。なお、本発明でX群元素として規定しているFeなどが不可避不純物として混入することもあるが、その場合であっても単独でおおむね、1.0質量%以下の場合は、不可避不純物とみなす趣旨であって、上記X群元素として算入しない(以下、同じ)。
また本発明では上記以外の作用を有効に発揮させる目的で、後記する酸素(固溶酸素)を0.2〜3.0質量%含有させたTi−X−O合金膜としても良い。
以上、本発明のTi−X合金膜について説明した。続いて本発明のTi−O合金膜について説明する。
ウエットエッチングレートに優れる本発明の他の構成であるTi−O合金膜は、合金成分として酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Ti及び不可避不純物である。
配線膜中に所定量の固溶酸素を存在させると、エッチングレートを向上させる効果がある。すなわち、所定量の固溶酸素を存在させたTi−O合金膜をフッ化物含有エッチング液でウエットエッチングすると、エッチング液浸漬後、Ti−O合金膜が溶解し始めてエッチングを開始するまでの時間が早くなるため、全体として短時間でエッチングを行うことができる。このような効果を発揮するには、配線用膜における酸素含有量(固溶量)を0.2質量%以上とすることが望ましく、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.35質量%以上である。一方、酸素含有量が多くなりすぎると、急激にエッチングレートが低下して、エッチング時間短縮効果が得られなくなるため、酸素含有量は3.0質量%以下とすることが望ましく、好ましくは1.7質量%以下である。Ti系合金膜中の固溶酸素量はSIMS(二次イオン質量分析法:Secondary Ion Mass Spectrometry)によって測定することができる。
Ti系合金膜に酸素を含有させた場合、酸素は固溶状態で存在していることが必要である。酸素がチタン酸化物として存在していると、チタン酸化物は不動態であり、エッチングレートを低下する要因となるからである。なお、酸化チタンの有無は各種分析装置による他、膜該当部分の透明度などを目視で確認することもできる。
本発明に係るTi−O合金膜は、合金成分として酸素(固溶状態)を0.2〜3.0質量%含有し、残部Ti及び不可避不純物である。不可避不純物としては、例えばFe、Si、N、C、Hなどが挙げられるが、これら不可避的に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の特性が阻害されない限り、それら不可避的不純物が上記の如く微量混入することは許容することができる。
例えばFeやSiなどが不可避的不純物として含まれる場合、これらの含有量は少ないほど望ましく、例えばFe、Siについてはそれぞれの濃度が1.0質量%以下とするのがよい。
以上本発明のTi系配線膜としてはTi−X合金膜、Ti−O合金膜のいずれも望ましい実施態様であるが、より一層効果を高めるために上記所定量の酸素(固溶状態)をTi−X合金膜に含有させて、Ti−X−O合金膜としてもよい。
Ti−X−O合金膜は、上記Ti−X合金膜の効果と上記Ti−O合金膜の効果を発現できる。すなわち不動態形成抑制効果と、Ti合金溶出効果を発現するため、エッチングレートが一層向上すると考えられる。
Ti系合金膜の膜厚は特に限定されず、要求される配線特性に応じて適宜決定すればよいが、Ti系合金膜を厚くし過ぎるとエッチングに時間がかかったり、上層に積層する膜のカバレッジが悪くなったりすることがあり、膜厚が薄すぎると、面内の膜厚分布やプロセスなどの影響で基板面内でTi合金膜が消失(例えば他の層をエッチングする際にTiが削れて消失)する部分が発生することが考えられるため、おおむね、10nm以上であることが好ましい。一方、膜厚を厚くし過ぎると、スパッタ時間が長くなるため工程が長時間化するなどの問題があるため、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは600nm以下とすることが望ましい。
上記Ti系合金膜を用いれば、膜厚むらやエッチング時の液回りのむらが発生してもオーバーエッチング処理に要する時間を短縮できるため、出来上がり配線幅にむらが生じるのを抑制できる。
以上、Ti系合金膜について説明した。続いてTi系合金膜の形成方法について説明する。
Ti系合金膜は、蒸着法、スプレー法、ALD法などを用いて形成することもできるが、スパッタリング法によって形成することが好ましい。スパッタリング法を用いれば、スパッタリングターゲットとほぼ同じ組成の配線用膜を成膜することができ、しかも膜厚や成分の面内均一性に優れた薄膜を容易に形成できる。
本発明の上記Ti−X合金膜の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、X群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%含み、残部Ti及び不可避不純物からなるTi−X合金スパッタリングターゲットを用いればよい。
また更に上記所定量(0.2〜3.0質量%)の酸素をターゲットに含有させたTi−X−O合金ターゲットを用いれば、上記Ti−X−O合金膜を成膜することができる。
本発明のTi−O合金膜の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、上記所定量(0.2〜3.0質量%)の酸素を含み、残部Ti及び不可避不純物からなるTi−O合金スパッタリングターゲットを用いればよい。
なお、Ti系合金膜中に酸素を固溶状態で含有させる場合、上記したようにターゲットに予め所定量の酸素を含有させておく以外にも、成膜時の雰囲気中に酸素を導入してもよい。例えば酸素(O2)ガスや酸素原子を含むO3などの酸化ガスを用いることができる。酸素の供給方法としては、スパッタリング法に通常用いられるプロセスガス(たとえばArなど)に酸素を添加した混合ガスを用いればよい。Ti系合金膜中の固溶酸素量は、プロセスガス中に占める酸素ガスの混合比率によって制御できるため、導入したい酸素量に応じて、上記の混合比率を適宜調整すればよい。
Ti系合金膜中には1.0質量%以下のFeやSiなどの不可避不純物を含んでいてもよい。
スパッタリングターゲットの形状は、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状(角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状、円筒状など)に加工したものが含まれる。
上記Ti系合金膜用のスパッタリングターゲットの製造方法としては、溶解鋳造法や粉末焼結法などで、所望の成分組成を有するTi合金からなるインゴットを製造して得る方法などが挙げられる。
Ti系合金膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置としては、LTPSを用いたディスプレイなどが例示される。これらの系では製造プロセス中に600度程度の熱処理が加わるためにTi合金のような耐熱性を有する薄膜が用いられる。
また本発明のTi系合金膜で形成された配線および/または電極を備えたタッチパネルセンサーとしては、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、光センサ式など各種方式のタッチパネルセンサーが例示される。
本発明のTi系合金膜は、液晶ディスプレイやタッチパネルセンサーに組み込まれているULSI、ASIC、ダイオード、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ基板などの電子装置の各種配線や電極に用いることができる。具体的には、走査線、ソース線、ドレイン線などの各種配線、ゲート電極、ソース−ドレイン電極などの各種電極の形成に用いることができる。
例えば表示装置の配線構造にTi系合金配線膜を用いる場合、次の様な構成とすることができる。基板の上に、絶縁膜と;薄膜トランジスタの半導体層と;配線・電極と;透明導電膜と;基板、絶縁膜、薄膜トランジスタの半導体層、および透明導電膜よりなる群から選択される少なくとも一種と直接接続する配線膜とを有する配線構造が例示される。Ti系合金膜は上記配線、電極に用いることができる。Ti系合金膜は、表示装置の配線(および/または電極)の一部または全部に採用することもでき、複数の配線・電極に適用する場合は、同一または異なる成分組成とすることができる。
上記Ti系合金膜から形成された配線および/または電極を有する配線構造を製造するにあたっては、表示装置の一般的な工程を採用することができる。またTi系合金配線膜以外の他の部分は特に限定されず、表示装置の分野で通常用いられるものを採用することができる。
例えば表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる基板として、通常用いられるものであれば特に限定されない。代表的には、ガラス基板(無アルカリガラス、高歪点ガラス、ソーダライムガラスなど)などに代表される透明基板やPETフィルムや金属箔などのフレキシブル基板などが挙げられる。
表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる画素電極を構成する透明導電膜としては、代表的には、アモルファスITOやITO、IZO、ZnOなどが例示される。
表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる薄膜トランジスタの半導体層も特に限定されず、水素化アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、酸化物半導体(例えばInGaZnO、ZnO、ZnSnO、AlZnO、GaZnO、InZnSnO、ITO)などが挙げられる。
また、ゲート絶縁膜などの絶縁膜や半導体の上に形成される保護膜は特に限定されず、通常用いられるもの、例えば、SiO、SiON、SiNなどが挙げられる。
本発明のTi系合金膜は、フッ化物含有エッチング液を用いてエッチングすることが望ましい。フッ化物含有ウエットエッチング液についても特に限定されないが、本発明のTi系合金膜をエッチングするためのウエットエッチング液として、フッ酸(HF)やフッ化アンモニウム(NHF)などを含むフッ化物含有エッチング液を用いた場合にエッチングレートの大幅な向上が認められるからである。
フッ化物含有エッチング液とは、フッ酸(HF)やフッ化アンモニウム(NHF)などのフッ化物を含有するものであればよいが、具体的にはフッ化物と酸化剤(あるいは更に酸)を含むエッチング液(例えば特開2008−53374号公報、特開2007−67367号公報、特開2010−199121号公報);フッ化物とヨウ素酸、硫酸を含むエッチング液(例えば特開2000−133635号公報);ペルオキソニ硫酸、水素カリウム、フッ酸を含むエッチング液(例えば特開2001−59191号公報);過酸化水素とフッ化物、硫酸(または硝酸またはリン酸)を含むエッチング液(例えば特開2004−43850号公報);硝酸とフッ化水素酸、酢酸イオン供給源を含むエッチング液(例えば特開2004−71920号公報);フッ素イオン供給源と過酸化水素、硫酸塩、リン酸塩、アゾール系化合物を含むエッチング液(例えば特開2008−288575号公報);フッ素化合物と鉄イオン、更に硝酸または塩酸または過塩素酸またはメタンスルホン酸、及び亜リン酸またはリン酸を含むエッチング液(例えば特開2010−199121号公報);フッ酸とフッ化アンモニウム、グリセリンを含むエッチング液(例えば特開平11−87325号公報);フッ化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(例えば特開2008−81832号公報);珪フッ化水素酸と水、珪フッ化水素酸塩を含むエッチング液(例えば特開2009−182218号公報)などが例示される。
またエッチング液には、通常添加される補助酸化剤などの添加剤が含まれていてもよく、フッ素化合物含有エッチング液は市販品を用いることができる。
以上、本発明のTi合金膜は、エッチングレートが速くなっているため、基板面内のオーバーエッチング時間のバラつきを小さく抑えることができると共に、エッチングむらの発生等が抑制され、面内均一性に優れた良好な配線形状が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されず、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。本実施例では、以下の方法によって作製した試料を用い、Ti系合金膜のエッチングレートを測定した。実施例において種々の合金組成のTi−X合金膜の形成には、純Tiターゲットに種々の組成のX合金をチップオンしてX群元素の添加されたターゲットをスパッタリングターゲットとして用いた。
実施例1
(試料の作製)
ガラス基板(Corning社製Eagle XG、φ4inch、厚さ=0.7mm)上に表1に示す成分組成のTi−X合金膜(膜厚300nm)を成膜した試料を得た。
スパッタリングには、島津製作所製の「HSM−552」を使用し、DCマグネトロンスパッタリング法[背圧:0.27×10−3Pa以下、雰囲気ガス:Ar、Arガス圧:2mTorr、Arガス流量:30sccm、スパッタパワー:DC260W、極間距離:50.4mm、基板温度:25℃(室温)]によって、表1に示す組成のTi−X合金膜を作製した。
上記Ti−X合金膜の組成は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製のICP発光分光分析装置「ICP−8000型」)を用い、定量分析して確認した。また膜厚は触針型段差計KLA-TENCOR社製α-stepによって測定した。比較のため、上記試料と同様にして純Tiターゲットを用いて純Ti膜を成膜した試料(No.1)を作製した。
(エッチングレートの測定)
得られた各試料のエッチングレートを測定して評価した。具体的には、エッチング液(フッ酸:0.5vol%、室温)に、各試料を浸漬した後、触針型段差計(KLA-TENCOR社製α-step)によって試料の膜減少量を測定した。エッチングレート(単位時間あたりのエッチング量)は、膜減少量とエッチング時間の傾きから算出した。純Ti膜(試料No.1)に対し、1.10倍以上のエッチングレートが得られたものを○(ウエットエッチング性に優れる)と判定し、1.10倍未満のものを×と判定した。
結果を表1に示す。
表1より、以下のように考察することができる。
まず、No.1、4−1以外はいずれも、本発明の要件を満足するTi−X合金膜を用いた例であり、純Ti膜よりもエッチングレートに優れていた。
参考のため、図1に、実験に用いた純Ti膜(No.1)と本発明の要件を満足するTi-X合金膜(No.2−3、3−3、4−4)について、エッチング液への浸漬時間(秒)と膜減り量(nm)の関係のグラフを示す。
図1より、本発明の要件を満足するTi−X合金膜は、いずれも純Ti合金膜よりも浸漬時間−膜減り量の傾斜が大きくなっており、純Ti膜よりもエッチングレートに優れていることが分かる。
実施例2
表2に示す酸素を含有し、残部Ti及び不可避不純物からなるターゲットを用いた以外は、実施例1と同様にして試料(Ti−O合金膜)を作製し、各試料のエッチングレートを実施例1と同様にして評価した。比較のために純Ti膜(No.1)を同様にして作製した。
なお、膜中の固溶酸素量についてはSIMS(ATOMIKA社製4500二次イオン質量分析装置)を用いて測定した。
表2に、酸素量を変化させたときの結果を示す。
表2から分かるように、本発明で規定する所定量の固溶酸素を含むTi−O合金膜は純Ti膜よりもエッチングレートが速くなることがわかる。
参考のため、図2に、Ti−O合金膜に含まれる固溶酸素量とエッチングレートの関係のグラフを示す。酸素量の増加に伴ってエッチングレートが増大するが、酸素量が増えすぎるとエッチングレートが低下することが分かる。

Claims (4)

  1. 表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用Ti合金膜であって、
    合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%を含み、残部Tiおよび不可避不純物からなることを特徴とするTi合金膜。
  2. 請求項1に記載のTi合金膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置。
  3. 請求項1に記載のTi合金膜で形成された配線および/または電極を備えたタッチパネルセンサー。
  4. 前記Ti合金膜の形成に用いるスパッタリングターゲットであって、前記X群元素を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含み、残部Ti及び不可避不純物からなることを特徴とするTi合金スパッタリングターゲット。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015183243A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 Jx日鉱日石金属株式会社 スパッタリングターゲット
JP2015183244A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 Jx日鉱日石金属株式会社 スパッタリングターゲット及びその製造方法
CN105349830A (zh) * 2015-08-18 2016-02-24 孙春红 一种制备医用义齿的材料
WO2022202740A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 国立研究開発法人物質・材料研究機構 超臨界水利用装置用チタン合金

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