JP2012188549A - 膜形成用組成物および該組成物を用いた薄膜トランジスタ - Google Patents
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8). 有機化合物(a)が、(α)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する化合物と、(β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする、1)〜7)のいずれか一項に記載の膜形成用組成物
9). 化合物(α)が、Si−CH=CH2基を有する化合物である8)または9)に記載の膜形成用組成物。
で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物である、9)〜10)のいずれか一項に記載の膜形成用組成物。
カチオン重合させる場合の重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。特に好ましい活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウムまたはヨードニウム塩並びにII族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。
下記化合物(α)と(β)、さらに必要に応じて(γ)のヒドロシリル化反応生成物:
(α)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物。
(β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物。
(γ)、光重合性官能基と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とを有する化合物
以下、ポリオルガノシロキサン系化合物の好ましい態様につき、説明する。
化合物(α)は、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する化合物であれば限定されるものではない。
化合物(β)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
上記した各種化合物(β)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
化合物(γ)は、1分子中に光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
含有量が少ないと、硬化が不十分となり、含有量が多すぎると膜形成用組成物の安定性が悪化する。
これら化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)を用いて、ヒドロシリル化反応によりポリオルガノシロキサン系化合物を合成する際の触媒には、膜形成液に添加するヒドロシリル化触媒と同様のものが使用できる。
本発明の光硬化性組成物に使用できるポリオルガノシロキサン系化合物としては、上述したとおり、化合物(α)、化合物(β)、および化合物(γ)の反応をヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物が挙げられる。
ヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
本発明のカチオン重合性化合物としてのオルガノポリシロキサン系化合物の上記製造方法では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
本発明の膜形成用組成物は、基材の状態に合わせ適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整を行っても良い。
露光量が多いと急硬化のために変色することがある。
本発明の膜形成用組成物には、必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。
本発明の膜形成用組成物には、有機化合物(b)を光エネルギーで硬化させる場合には、光の感度向上のおよびg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)と言われるような高波長の光に感度を持たせるために、適宜、増感剤を添加する事ができる。添加する化合物には、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げることができる。
本発明の膜形成用組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
本発明の有機化合物(a)を光又は熱により硬化させ、特に膜が透明性を要求される用途で使用する場合は、光又は熱による硬化後の色相を改善するために、膜形成用組成物にリン化合物を添加するのが好ましい。リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
本発明の膜形成用組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/及び提案されている充填材等を挙げることができる。
本発明の膜形成用組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
本発明の膜形成用組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の膜形成用組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の膜形成用組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明で得られる硬化性組成物を絶縁膜として得られる薄膜トランジスタとは、電界効果トランジスタ(FET)を示し、ソース、ドレイン、ゲート電極から形成されている3端子型、およびバックゲートを含む4端子型のトランジスタのことであり、ゲート電極に電圧印加することで発生するチャネルの電界によりソース/ドレイン間の電流を制御する薄膜型のトランジスタを示す。
本発明の膜形成用組成物を用いる絶縁膜はCVD、スパッタなどに比べ製造工程が簡便であり、コストの面で有利な塗布法で形成することができる。具体的にはスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティング、スピンキャスティング、フローコーティング、スクリーン印刷、インクジェットまたはドロップキャスティングなどの方法で成膜することができる。また成膜する基材の状態に合わせ適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整を行っても良い。
実施例1〜4、比較例1のように調整した膜形成用組成物を有機半導体膜上に塗布した際の構造変化を、UVスペクトルによって評価した。
UVスペクトルは紫外可視分光光度計(日本分光社製 JASCO JSV 560)により、空気中での250〜800nmの光線透過率を測定した。
ガラス基板にアルミ(Al)を用いて厚さ500Åのゲート電極を形成し、その上にポリイミド樹脂をスピンコートにより塗布し、厚さ1μmのゲート絶縁膜を形成した。さらに蒸着により500Åの厚さにペンタセンの有機半導体膜を形成させ、その上にチャネル長さ100μm、チャネル幅5mmのマスクを用いて蒸着によって厚さ300Åのソース/ ドレインAu電極を形成した。
本発明の膜形成用組成物を用いて上記のように作成した薄膜トランジスタについて、半導体パラメーターアナライザー(Agilent4156)を用い電流伝達特性を評価した。ソース/ドレイン間に−40Vの電圧を印加した状態で、ゲート電極に20〜−40Vで印加した際のソース/ドレイン間電流量(Id)をプロットし伝達特性とした。得られた電流伝達特性の曲線からトランジスタ特性を下記の方法によって算出した結果を表1に示す。
電流伝達特性の曲線においてソース/ドレイン間に流れる電流Id、ゲート印加電圧Vgとした際の(Id)1/2 とVg 間の曲線より線形領域の延長線とVg 軸との交点より算出した。
オン時の電流Ionは、電流伝達特性の曲線において飽和領域での最大電流値とし、オフ時の電流Ioffは、オフ状態の最小電流から求めた。ON/OFF電流比Ion/Ioffは、オン状態の最大電流値とオフ状態の最小電流値との比から算出した。
500mL四つ口フラスコにトルエン80g、1,4−ジオキサン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン50gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。モノアリルイソシアヌレート14.1g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0163gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から1時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,4−ジオキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B1」を得た。
500mL四つ口フラスコにトルエン80g、1,4−ジオキサン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン50gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。モノアリルイソシアヌレート14.1g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0163gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から1時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,4−ジオキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B2」を得た。
500mL四つ口フラスコにトルエン80g、1,4−ジオキサン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン50gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。モノアリルイソシアヌレート20.1g、ジアリルイソシアヌレート12.4g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0163gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から1時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,4−ジオキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B3」を得た。
500mL四つ口フラスコにトルエン80g、1,4−ジオキサン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン50gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート3.8g、ジアリルイソシアヌレート5.0g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0163gの混合液を30分かけて滴下した。
滴下終了から1時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B4」を得た。
有機化合物(b)としての「反応物1」5g、炭酸プロピレン10g、BBI−103(ミドリ化学製、カチオン重合開始剤)0.02g、9,10−ジプロポキシアントラセン0.01gを用いて膜形成組成物を調整した。
有機溶剤(a)と、有機化合物(b)を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に膜形成用組成物を調整した。
なお、PGMEAはプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートの、DMSOはジメチルスルホキシドのそれぞれの略である。
Claims (12)
- 有機化合物(a)がエポキシ系化合物、アクリル系化合物、フェノール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、イミド系化合物、シアネート系化合物、ポリオルガノシロキサン系化合物のいずれか1つである請求項1に記載の膜形成用組成物。
- 有機溶剤(b)が、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の膜形成用組成物。
- 有機化合物(a)が、硬化性を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜形成用組成物。
- 有機化合物(a)が、光硬化性を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜形成用組成物。
- 有機化合物(a)が、カチオン重合、ヒドロシリル化反応のうち少なくとも1種の反応により硬化する化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜形成用組成物。
- 有機化合物(a)が、(α)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する化合物と、(β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の膜形成用組成物
- 化合物(α)が、Si−CH=CH2基を有する化合物である請求項8または9に記載の膜形成用組成物。
- 有機化合物(a)が、(α)、(β)と、(γ)1分子中に光重合成官能基と、SiH基との反応性を有する炭素―炭素二重結合を有する化合物のヒドロシリル化反応物を含有する請求項9〜10のいずれか一項に記載の膜形成用組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の膜形成用組成物によって得られる薄膜トランジスタ。
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