JP2012187304A - 織成タイルカーペット - Google Patents

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Abstract

【課題】反り変形と寸法変化が少ないだけでなく、耐摩耗性や弾性回復率が良好な織成タイルカーペットを提供すること。
【解決手段】織成タイルカーペット1の経糸1aと緯糸1bに、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維などの疎水性繊維を使用すると共に、経糸1a及び緯糸1bの少なくとも一方を、疎水性繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、反り変形と寸法変化を抑制しつつ耐摩耗性と弾性回復率を改善した織成タイルカーペットに関する。
従来から、タイルカーペットとして、合成樹脂製の織布又は不織布等を基布とし、この基布にパイルをタフトしたタフテッドタイルカーペットが広く使用されている。このタフテッドタイルカーペットの製造は、基布にパイルをタフトした後、その裏面側で必要に応じてラテックスなどでパイルの目止め処理をした後、合成樹脂組成物のバッキング層を形成し、最後に所望の大きさに裁断する。タフテッドタイルカーペットはパイルがあるので一般に分厚く重量があり、比較的高コストである。
一方、近年では軽量薄型で低コストのタイルカーペットが好まれる傾向があり、このようなニーズに適合した織成タイルカーペットが提案されている。この織成タイルカーペットは、経糸と緯糸で、平織、綾織り又は朱子織り等の表面織物を構成したもので、パイルがないためバックステッチも不要で軽量薄型化が容易であり、施工性と運搬性に優れている。また、パイルがないので表面が平滑で衛生的であり、さらに、経糸と緯糸の糸自体の色彩変化に加えて、織組織の変化によって、種々の柄模様を表現することができるという意匠的効果もある。このため、織成タイルカーペットは、特に病院やホテルの新しい床材として注目されている。病院やホテルの床材には、キャスターを有する台車、カート、車椅子などの移動容易性も要求されるが、織成タイルカーペットは前述のように平滑性があるためこのような要求も満足する。
織成タイルカーペットは、タフテッドタイルカーペットと違って基布が存在しないので、切断端縁の糸のほつれ防止のために、糸同士を融着したり(特許文献1参照)、裏面にSBR、EVA、NBRなどの合成樹脂ラテックス(エマルジョン)をスプレー法、ディッピング法、ロールコート法などで塗布したりしている(特許文献2参照)。
特開2005−152159号公報 特開特開2005−60888号公報(特許第4042909号公報)
従来の織成タイルカーペットの構成糸には、一般的にポリエステル繊維が使用され、比較的安価なものではポリプロピレン繊維も使用されている。ポリエステルやポリプロピレンは低含水率の疎水性樹脂であるから、カーペットの糸同士の固着のために合成樹脂エマルジョンを塗布したり、カーペットのクリーニング時に水洗いをしたり、室内湿度が増減したりしても、基本的にカーペットの寸法変化が起きない。
一方、熱と水の影響によるタイルカーペットの幅と長さの寸法変化率及び反りについては、JIS L 4406で、寸法変化率:0.1%以下、反り:1.5mm以下とそれぞれ規定されている。タイルカーペットの寸法変化率や反りがJIS基準から大きく外れると、タイルカーペット相互間で隆起や隙間が発生したり、タイルカーペットの角部の反り上がりに足が引っ掛かったり、ドアの出入口付近でドアの下端がカーペットを擦ったりすることがある。
ところで、ポリエステルやポリプロピレンはナイロンに比べると耐摩耗性や弾性回復率がよくない。タフテッドカーペットではクッション性のあるパイル糸の先端に摩擦や荷重が作用するのに対し、織成カーペットはその表面に経糸や緯糸が水平方向に並んで組織している関係で、摩擦や荷重が糸の側面に直接的に作用する。このため、織成タイルカーペットは、共通の繊維を使用しても、タフテッドタイルカーペットと比較すると、耐摩耗性や弾性回復率の点でより厳しい条件となる。
本発明は、反り変形と寸法変化が少ないだけでなく、耐摩耗性や弾性回復率も良好な織成タイルカーペットを提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明の織成タイルカーペットは、以下の通りである。
1.経糸と緯糸に、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維などの疎水性繊維を使用すると共に、前記経糸及び緯糸の少なくとも一方を、前記疎水性繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成した織成タイルカーペット。
2.前記経糸と緯糸で、平織り、斜紋織り、朱子織りの三原組織又はこの三原組織から派生したアムンゼン織り等の織物のいずれかにした前記1の織成タイルカーペット。
3.前記経糸と緯糸の少なくとも一方を、ポリエステル繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成すると共に、前記ポリエステル繊維とナイロン繊維の比率を、ナイロン繊維の重量を1としたときにポリエステル繊維の重量を0.5〜3.0にした前記1又は2の織成タイルカーペット。
4.前記疎水性繊維とナイロン繊維の各々のフィラメント糸若しくはスパン糸を集結して、単糸又は2本から4本のいずれかの合撚糸にした、前記1から3のいずれか1の織成タイルカーペット。
5.前記疎水性繊維とナイロン繊維のフィラメント糸を、インターミングル糸、コーミングル糸又はヘザー糸のいずれかにした混繊糸、前記1から4のいずれか1の織成タイルカーペット。
ポリエステルやポリプロピレンは、含水率が低い疎水性繊維であるから、織成タイルカーペットに合成樹脂ラテックスを塗布しても、その寸法変化は僅かである。因みに、ポリエステルの含水率は0.4%、ポリプロピレンは同0.0%であるが、ナイロンの水分率は4.5%である(いずれも数値%はJIS_L_1030−2:2006による)。このため、経糸又は緯糸をナイロン100%にすると、ラテックス塗布時やクリーニング時等において、経糸又は緯糸が吸水することによって、織成タイルカーペットが経糸又は緯糸方向に大きく延びる。この伸長量がわずかであれば、寸法安定性のためにカーペット裏面側に配置された補強用ガラス織布やタイルカーペットの自重で反り変形が抑制されるが、ナイロンの吸水伸長量はかなり大きく、JIS基準をオーバーしやすい。このため、タイルカーペットの自重による反り変形の抑制効果が及ばず、タイルカーペットが上凸状(ドーム状)に大きく反ってしまうことがある。
そこで本発明は、経糸及び緯糸の少なくとも一方を、ポリエステルやポリプロピレンなどの疎水性繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成した。このように、ナイロン繊維と、ポリエステルやポリプロピレンなどの疎水性繊維とを合撚糸又は混繊糸とすることにより、ナイロン繊維の吸水伸長を疎水性繊維で拘束ないし抑制することができ、織成タイルカーペットの反り変形や寸法変化を拘束ないし抑制することができる。疎水性繊維による前記拘束抑制作用は、織成タイルカーペットをヒートセットすることにより、疎水性繊維が熱収縮によりナイロン繊維に食い込むため、より強固なものになる。また、ポリエステルやポリプロピレンなどの疎水性繊維の弱点であった耐摩耗性と弾性回復率を、ナイロン繊維を合撚又は混繊することによって大幅に補強することができる。
「疎水性繊維」としては、一般に疎水性繊維として知られている合成繊維を好ましく用いることができる。本発明に用いられる疎水性繊維を例示すれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、及びこれらのポリエステルにイソフタル酸、スルホイソフタル酸成分、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールのような第3グリコール成分を共重合した共重合ポリエステルからなるポリエステル系繊維が挙げられる。
なお、前記特許文献1の[0015]段に、耐摩耗性と弾性回復率に優れたナイロン6やナイロン66の使用例が記載されているが、これはナイロン繊維を熱接着性芯鞘糸の芯糸(高融点樹脂)にした使用例である。このような芯鞘構造は芯糸(ナイロン)と鞘糸(低融点樹脂)が同心状になっているだけで絡み合いがなく、また鞘糸はヒートセットで溶融するため、ナイロン芯繊維の吸水伸長を低融点鞘繊維で拘束ないし抑制することは難しい。
使用する糸の具体的形態は、ポリエステル繊維としては、スパン糸とフィラメント糸の両方を使用可能である。ポリプロピレン繊維としては、フィラメント糸を使用可能である。ナイロン繊維としては、長繊維嵩高加工糸(BCFナイロン)を使用可能である。
織成タイルカーペットは、平織り、斜紋織り、朱子織りの三原組織又はこの三原組織から派生したアムンゼン織り等の織物のいずれかにすることができる。 前記「朱子織り」は、サテン織とも称され、平織、綾織と並ぶ三大織物組織の1つであって、5本以上の経糸と緯糸が単位となって完全組織を形成している。この朱子織りは、経糸と緯糸の交差点が非常に少なく、縦緯いずれか一方の糸が表面を長く覆う、糸の交差の少ない織物である。表面の糸が規則正しく並行に並んで浮いているため、感触が滑らかで光沢があり、ドレープ性に富んだ美しい生地である。その反面、耐摩擦性に乏しく、破れやすい性質があるが、本発明ではこの弱点をナイロンによって補強することで、織成タイルカーペットを実用可能なものにしている。
前記「アムンゼン織り」は、梨地織りの一種で別名砂梨地織りとも称され、表面に不規則な粒状組織が現れる織組織である。経糸と緯糸の浮き沈みが不規則に変化して、経糸と緯糸との交差点で形成される凹凸が不規則に表面に現れ、その凹凸の稜線は、方向が不規則且つ短く寸断されて、連続しない変化組織の布地が形成される。1リピートあたりの経糸・緯糸の本数の組み合わせと、ヘルド数とにより、織り組織の紋様の不規則性や複雑度が異なる。
織成タイルカーペットを前記朱子織りにした場合、糸の交差箇所が少ないためにタイル単体又はタイル相互間で柄模様のズレが目立たなくなる。また、織成タイルカーペットを前記アムンゼン織りにした場合、経糸と緯糸の浮き沈みが不規則なために同様に柄模様のズレが目立たなくなる。
ポリエステル繊維とナイロン繊維の比率は、ナイロン繊維の重量を1としたときに、ポリエステル繊維の重量が0.5未満であると、ポリエステル繊維の割合が低下することによってナイロン繊維の吸水伸長に対するポリエステル繊維の拘束・抑制作用が不十分になり、反り変形や寸法変化が認められるようになる。また、ナイロン繊維の重量を1としたときに、ポリエステル繊維の重量が3.0超であると、反り性能や寸法変化は良好でも、ナイロン繊維の割合が低下することによって耐摩耗性と弾性回復率が不十分になり、織成カーペットの寿命が短命になる。そこで、ポリエステル繊維とナイロン繊維の比率は、ナイロン繊維の重量を1としたときに、ポリエステル繊維の重量を0.5〜3.0にした。
本発明は、経糸及び緯糸の少なくとも一方を、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維などの疎水性繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成した織成タイルカーペットであるから、ナイロン繊維の吸水伸長を疎水性繊維で拘束ないし抑制し、織成タイルカーペットの反り変形と寸法変化を拘束ないし抑制することができると共に、ナイロン繊維によって耐摩耗性と弾性回復率を改善することができる。
本発明の織成タイルカーペットの一例を示す斜視図である。 本発明の織成タイルカーペットに適用する代表的な三原組織の組織図である。 本発明の織成タイルカーペットの表面織布層に使用する4つの試料(No.4〜7)と、比較例の織成タイルカーペットの表面織布層に使用する3つの試料(No.1〜3)の、各織組織の明細を示す図である。 No.1〜7の織布試料を使用したタイルカーペット(50cm角)の浸漬・乾燥試験による寸法変化率を示す図である。 図4の浸漬・乾燥試験における、各タイルカーペット(50cm角)の角部4点の反り量を示す図である。 No.1〜7の織布試料(100cm角)をヒートセット加工した時の寸法変化率を示す図である。 図6の伸縮率を折線グラフ化した図である。 図6の寸法変化率を棒グラフ化した図である。 図4の浸漬・乾燥試験における、乾燥直後の各タイルカーペット(50cm角)の反りの状態を示す側面図である。 図4の試験におけるNo.1のタイルカーペットの温水浸漬湿潤後のドーム反り状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の織成タイルカーペット1の一例を示す斜視図であって、経糸1aと緯糸1bを各3本引き揃えて平織りにしたものを表面織物とし、その裏面側に、寸法安定性を付与するガラス織布を介して、バッキング層2を0.5〜10.0mm、中心ゾーンとして1.0〜3.0mmの厚さで形成してある。平織りは図2(A)の組織図に示すように、経糸1aと緯糸1bが1本毎に格子状に交絡した織組織である。
各経糸1aと緯糸1bの仕様は、図3のNo.4と6の緯糸の仕様と共通であって、ポリエステルフィラメント糸とBCFナイロン糸を合撚した合撚糸である。すなわち、3dtxのポリエステル糸を400本束ねた1330dtxのポリエステルフィラメント糸と、21dtxのナイロン66を66本束ねた1385dtxのナイロン66フィラメント糸とを合撚して合撚糸(双糸)にしたものである。
従って、この場合のナイロン繊維に対するポリエステル繊維の比率は、1:1となる(1330dtx/1385dtx=0.96≒1)。この比率は、2:1〜1:3の範囲で変更することができる。換言すると、ナイロン繊維の重量を1としたときに、ポリエステル繊維の重量を0.5〜3.0の範囲で変更することができる。例えば、前記1330dtxのポリエステルフィラメント糸2本に、ナイロンフィラメント糸1本を合撚した三子糸では、前記比率は1:2となる。同様に、前記1330dtxのポリエステルフィラメント糸3本に、ナイロンフィラメント糸1本を合撚した四子糸では、前記比率は1:3となる。
ポリエステル糸とナイロン糸の合撚糸にすることにより、糸の強度(引っ張り、耐摩耗性、弾力性)が向上し、また、糸に丸みが出来て感触性と歩行性が向上する。また、ナイロン糸は染色がしやすいので、織成タイルカーペットの色彩多様化に適している。なお、ポリエステル糸とナイロン糸は合撚する他、これらを前記比率(2:1〜1:3)の範囲内でインターミングル、コーミングル又はヘザーによって混繊してもよい。
本発明の織成タイルカーペットは、図1又は図2(A)のように平織りにする他、図2(B)のように綾織りにしたり、図2(C)のように朱子織りにしたり、或いはこれら三原組織から派生したアムンゼン織り等の他の織物にしたりすることができる。朱子織りやアムンゼン織りにすると、隣接する織成タイルカーペット1の相互間で柄模様のズレが発生しても、あまり目立たないという意匠的効果が得られる。
次に、本発明の織成タイルカーペットの寸法変化率と反りを確認するための試験について説明する。この試験は、図3に織組織の明細を示す7つの織布試料(原反)を使用して行った。No.1〜5は破れ朱子織り、No.6と7はアムンゼン織りである。本発明の織成タイルカーペットの表面織布層に使用するのがNo.3〜7の5つの織布であり、比較例の織成タイルカーペットの表面織布層に使用するのがNo.1と2の2つの織布である。各織成タイルカーペットは、表面織布層の裏側に、寸法安定性、クッション性、硬さおよび重さの保持等のためのバッキング層として、アクリル樹脂を図3右端に記載のように、最小乾燥目付重量205g/m2(No.4)、最大乾燥目付重量230g/m2(No.2)で形成している。
図4は、No.1〜7の織布試料を使用したタイルカーペット(50cm角)の湿潤時と乾燥時の各変形量を試験した結果を示す図である。すなわち、No.1〜7の各タイルカーペットを35℃の温水に2時間浸漬した後、60℃のオーブン内で24時間加熱乾燥させ、その後、標準状態(20℃、相対湿度65%)の環境下で24時間放置冷却する。温水浸漬後のタイルカーペットの経糸方向と緯糸方向の各寸法を測定し、この寸法から湿潤時の変形量と変形率を算出した。また、24時間放置冷却後のタイルカーペットの経糸方向と緯糸方向の各寸法を測定し、この寸法から乾燥後の変形量と変形率を算出した。なお、タイルカーペットに関するJIS L 4406では、温水浸漬条件として「20℃±2℃の温水に2時間浸漬」と規定されているが、この発明の試験ではより厳しい条件となる「35℃の温水に2時間浸漬」とした。
図4に示すように、乾燥後寸法変化率では、No.2の織布試料の緯糸だけが前記JIS基準(0.1%以下)を超える0.32%の収縮であるが、その他はすべて前記JIS基準内に収まっている。No.3の織布試料の緯糸変化率(0.1%収縮)は前記JIS基準(0.1%以下)と一致する。このことから、ナイロン繊維に対するポリエステル繊維の比率は、2:1が下限であるといえる。図4には記載していないが、No.3の織成タイルカーペットの緯糸仕様を変更して、ナイロン繊維に対するポリエステル繊維の比率を2:1からさらに上げて2.5:1(ヨコ 66NY:PET=2.5:1)にして同様の試験を行ったところ、乾燥後の寸法変化率が緯糸0.15%となり、JIS基準(0.1%)を超えることが分かった。
図5は、図4の変形試験の湿潤時と乾燥後における、No.1〜7の各タイルカーペット(50cm角)の角部4点の反り量を示す図である。湿潤時に、No.1〜5のタイルカーペットは上凸状のドーム反りとなり(No.1〜5の原反伸縮方向は「伸び」)、角部4点がタイルカーペット載置面に当接し、タイルカーペット内側部分は載置面から少し浮いた状態になった。この状態では反り量を測定することができないので、タイルカーペットの上下を反転していわゆるパイルダウンの状態で反り量を測定した。このため、No.1〜5のタイルカーペットの反り量は、タイルカーペットの厚さを差し引いた数値である。また、湿潤時に、試験結果No.6と7のタイルカーペットは、下凸状の通常の反り変形であったので(No.6と7の原反伸縮方向は「縮み」)、タイルカーペットを反転することなく角部4点の反り量を測定した。
一方、乾燥後では、No.1のタイルカーペットのみ上凸状のドーム反り変形となり(原反伸縮方向:「伸び」)、その他のNo.2〜7のタイルカーペットは下凸状の通常の反り変形であった(原反伸縮方向:「縮み」)。従って、No.1のタイルカーペットのみ上下を反転していわゆるパイルダウンの状態で反り量を測定し、他のタイルカーペットは反転することなく角部4点の反り量を測定した。No.1のタイルカーペットの反り量は、タイルカーペットの厚さを差し引いた数値である。
図5から、NO.1のタイルカーペットは、反り量が極めて大きく、反り量のJIS基準(1.5mm)を満たさないことが分かる。また、NO.2のタイルカーペットは最大反り量が0.9mmであるから、JISの反り基準内ではあるが、図4に示すように緯糸の寸法変化率(−0.32%)がJIS基準(0.1%)から大きく外れている。従って、寸法変化率と反り量の両方でJIS基準を満足するのは、No.3〜7の織成タイルカーペットであることが分かる。
図4と図5には記載していないが、No.7の織成タイルカーペットの緯糸仕様を変更して、ナイロン繊維に対するポリエステル繊維の比率を1:2からさらに上げて1:3(ヨコ 66NY:PET=1:3)にして同様の試験を行ったところ、反り量と寸法変化率はJIS基準の範囲内であることが確認された。しかし、ポリエステル繊維の比率をさらに上げて前記比率を1:3超にすると、反り量と寸法変化率はJIS基準を満足するが、耐摩耗性と弾性回復率が低下し、比較的短期間で使用寿命が到来することが分かった。なお、以上の試験をポリエステル繊維に代えてポリプロピレン繊維で行っても、ほぼ同様の結果が得られた。
次に、図6は、アクリル樹脂バッキング層なしのNo.1〜7の織布試料(100cm角原反)をヒートセット加工した時の加工直後と加工5日後(エージング後)の各変形量を試験した結果を示す図である。すなわち、No.1〜7の織布試料にアクリルエマルジョン(固形分40%)をプレコートしたものを、ベルトコンベアに乗せて分速6mで移動させながら第1加熱炉でプレヒートセット加工した後、続いて第2加熱炉でヒートセット加工する。第1加熱炉の温度は、入口80℃、中間90℃、出口100℃である。第2加熱炉の温度は、入口、中間、出口とも170℃である。織布試料がヒートセット加工を終えて前記第2加熱炉から出て来た直後に、織布試料の経糸方向と緯糸方向の各寸法を測定し、この寸法から加工直後の変形量と変形率を算出した。また、前記ヒートセット加工後、エージングのため織布試料を標準状態(20℃、相対湿度65%)の環境下で5日間放置し、その後、織布試料の経糸方向と緯糸方向の各寸法を測定し、この寸法から加工5日後の変形量と変形率を算出した。
図7は図6の伸縮率を折線グラフ化したものであり、図8は図6の寸法変化率を棒グラフ化したものである。図7と8から分かるように、7つの織布試料のうち、No.1が経糸緯糸とも伸び率が高い。No.2は緯糸の伸び率は高いが経糸は0.5%と低い。No.6と7は経糸緯糸とも縮み率が比較的大きい。No.3〜5は、経糸が僅かに縮み、緯糸は僅かに伸びている。図7と8から、バッキング層なしの織成タイルカーペットの場合、No.1と2のように、経糸又は緯糸をナイロン100%にすると、寸法変化率のJIS基準(0.1%)を満足しないことが分かる。
図9は、図4の変形試験の乾燥直後におけるNo.1〜7の各タイルカーペット(50cm角)を、収納トレイに上から順番にすべてパイルアップ状態で並べた側面図である。この図から分かるように、No.1と2の織成タイルカーペットは反り量が極めて大きい。No.1の織成タイルカーペットは、湿潤時に図10のように表面側が吸水伸長して凸状に大きく変形し(図5の「A.湿潤時 反り(mm)4点」参照))、その後の加熱乾燥(60℃で24時間)で図9のように表面側が収縮して反り方向が反転して表面側凹状に変形し、この乾燥直後の状態から標準状態(20℃、相対湿度65%)で24時間経過する間に、ナイロン繊維(ナイロン6)の吸水伸長により再び反り方向が反転して湿潤時のように表面側凸状のドーム反りとなる(図5の「B.乾燥後 反り(mm)4点」参照)。
No.2の織成タイルカーペットは、湿潤時にNo.1の織成カーペットと同様に表面側が凸状に変形するが、その後の加熱乾燥(60℃で24時間)で図9のように表面側が収縮して反り方向が反転して表面側が凹状に変形し、この乾燥直後の状態から前記標準状態で24時間経過する間に、ナイロン繊維(ナイロン66)の吸水伸長により表面側凹状のまま反り量が減少する(図5の「B.乾燥後 反り(mm)4点」参照)。
一方、No.3〜7の織成タイルカーペットは、緯糸のナイロン繊維(ナイロン66)にポリエステル繊維を合撚しているため元々反り量が小さい。この僅かな反りは、前記標準状態の環境下で24時間経過する間に、ナイロン繊維の吸水伸長により落ち着いて殆どゼロになる(図5の「B.乾燥後 反り(mm)4点」参照)。
1 織成タイルカーペット
1a 経糸
1b 緯糸
2 バッキング層

Claims (5)

  1. 経糸と緯糸に、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維などの疎水性繊維を使用すると共に、前記経糸及び緯糸の少なくとも一方を、前記疎水性繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成した織成タイルカーペット。
  2. 前記経糸と緯糸で、平織り、斜紋織り、朱子織りの三原組織又はこの三原組織から派生したアムンゼン織り等の織物のいずれかにした請求項1の織成タイルカーペット。
  3. 前記経糸と緯糸の少なくとも一方を、ポリエステル繊維とナイロン繊維の合撚糸又は混繊糸で構成すると共に、前記ポリエステル繊維とナイロン繊維の比率を、ナイロン繊維の重量を1としたときにポリエステル繊維の重量を0.5〜3.0にした請求項1又は2の織成タイルカーペット。
  4. 前記疎水性繊維とナイロン繊維の各々のフィラメント糸若しくはスパン糸を集結して、単糸又は2本から4本のいずれかの合撚糸にした、請求項1から3のいずれか1の織成タイルカーペット。
  5. 前記疎水性繊維とナイロン繊維のフィラメント糸を、インターミングル糸、コーミングル糸又はヘザー糸のいずれかにした混繊糸、請求項1から4のいずれか1の織成タイルカーペット。
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