JP2012185258A - 二成分現像剤の製造方法 - Google Patents

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大司 門目
Kazue Nakamura
和江 中村
Masahiro Matsuoka
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Abstract

【課題】乾式法を用いて二成分現像剤よりトナーを分離した回収キャリア表面へ樹脂コート層を被覆して樹脂コートキャリアを作製する二成分現像剤の製造方法を提供する。
【解決手段】二成分現像剤よりトナーを分離した回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させ、樹脂粒子が付着した回収キャリアを加熱、撹拌して樹脂粒子を固着させて樹脂コートキャリアを作製する二成分現像剤の製造方法で、回収キャリア表面への樹脂粒子付着は樹脂粒子の添加を少なくとも2回に分けて行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、乾式法により樹脂コートキャリアを作製する二成分現像剤の製造方法に関し、特に、現像剤よりトナーを分離させた回収キャリアに樹脂粒子を付着させて樹脂コートキャリアを作製する二成分現像剤の製造方法に関する。
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される現像剤には、トナーのみから構成される一成分現像剤と、キャリアと呼ばれる磁性粉体とトナーより構成される二成分現像剤がある。二成分現像剤による画像形成は、キャリアの存在により迅速なトナー帯電が行えることから、高速あるいはトナー消費量の多いプリント作成を行う上で有利な方式である。
二成分現像剤で使用されるキャリアは、前述した様にトナーを帯電するもので、トナー帯電に繰り返し使用されても長期にわたり安定した帯電付与性能を有することが求められる。キャリアは、芯材(コア)と呼ばれる磁性粒子より構成され、芯材をそのままキャリアに用いる形態の他、芯材表面を熱可塑性樹脂で被覆した構造の樹脂コートキャリアと呼ばれる形態がある。
樹脂コートキャリアは、芯材粒子表面が樹脂で被覆された構造を有することから良好な耐久性と安定した摩擦帯電性を有し、また、有機溶媒を使用せずに樹脂の被覆が行える乾式法と呼ばれる製造方法の技術も確立されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の製造方法は、回転羽根の回転による撹拌作用で芯材粒子表面へ樹脂粒子を均一かつ強固に固着させるもので、均一で十分な厚みの樹脂層が形成され、良好な耐久性と安定した摩擦帯電付与性能を付与する樹脂コートキャリアの提供を可能にしている。
ところで、二成分現像剤を長期間使用すると、キャリア表面が磨耗し、電気抵抗や帯電性が変化してトナー画像の画質に影響が現れてくるので、ある段階で新しい現像剤、すなわちキャリアに交換する対応がとられ、画質の劣化を防止している。近年では、交換用トナー容器内にキャリアを混合し、トナーとともに新しいキャリアを補給して画像の安定化を図る技術が普及している。そして、現像装置から使用済みキャリアを自動的に回収している。この様に、画像形成に使用できなくなったキャリアは廃トナーボックス内の転写残トナーと同様に回収される様になり、この様なキャリアを回収キャリアと呼んでいる。すなわち、電子写真方式の画像形成装置からは使用済みのキャリアが発生していたが、資源の有効利用や環境への配慮等の観点から、使用済みのキャリアを再生して再利用可能にする技術が検討される様になってきたのである。
キャリアの再生方法は、キャリア表面に付着していたものを除去した後、再度樹脂をコーティングする方法が主に採られている。たとえば、研磨剤や樹脂を溶解させる溶剤の使用あるいは加熱処理によりキャリア表面の付着物を除去した後、再度樹脂をコーティングしてキャリアを再生させる技術がある(たとえば、特許文献2参照)。また、低級アルコール等の親水性液体とトルエン等の樹脂溶解用液体の混合液体中にキャリアを浸漬させて被覆樹脂を除去し、得られたコア粒子を樹脂で被覆するキャリアの再生方法がある(たとえば、特許文献3参照)。
さらに、使用済みの樹脂コートキャリア表面に残存するコート樹脂層上に樹脂を追加被覆して樹脂コートキャリアを再生する技術もある(たとえば、特許文献4参照)。この方法では、二成分現像剤として使用していたときの累積撹拌時間をトナーカートリッジ等に記録しておき、記録した累積撹拌時間の値から樹脂磨耗量を算出し、磨耗分に相当する量の樹脂をキャリア表面へ塗布して再生するものである。これらの方法により、使用済みの樹脂コートキャリアを再生して再利用可能にする技術が検討されていた。
特許第2702195号公報 特開2002−229275号公報 特開2005−300676号公報 特開2011−7903号公報
しかしながら、上記特許文献2と3に開示された樹脂コートキャリアの再生方法は、樹脂コート層をいったん除去する工程が付加されており、除去した樹脂の再利用はできないものであった。また、特許文献4は、見込みで回収キャリア表面に樹脂を追加被覆するものであるため、キャリア粒子の樹脂コート層を適正範囲に制御することが困難なものであった。
この様な視点から、本発明者は、回収キャリアに残存する樹脂コート層を活かし、さらに再生後の樹脂コート層の厚さがキャリア粒子間でばらつかない様にする方法を確立させたいと考えていた。本発明は、二成分現像剤よりトナーを分離させた回収キャリア表面へ樹脂を被覆して樹脂コートキャリアを作製する際、乾式法により樹脂コート層の形成が可能な二成分現像剤の製造方法を提供することを目的とするものである。すなわち、回収キャリア表面の残存樹脂コート層へ樹脂を追加被覆して樹脂コートキャリアを作製し、当該樹脂コートキャリアによる良好なトナー帯電が行える二成分現像剤の製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、樹脂コートキャリアによる均一で良好な帯電付与により、たとえば、濃度ムラのないハーフトーン画像形成やトナー消費量の多い高濃度画像の忠実な再現が可能な二成分現像剤を提供することを目的とする。また、回収キャリア表面に樹脂を追加被覆した樹脂コートキャリアを現像装置内で繰り返し撹拌しても、被覆した樹脂が剥離することのない耐久性に優れた二成分現像剤を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、樹脂コート層の剥離工程を省き、かつ、有機溶剤を使用せずに樹脂コート層の形成が行える様にすることで、樹脂コートキャリアの製造工程や製造装置を簡素化することを目的とする。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、トナーと磁性芯材粒子表面を樹脂で被覆した樹脂コートキャリアを含有する二成分現像剤の製造方法であって、
前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
二成分現像剤よりトナーを分離させた回収キャリアと樹脂粒子を撹拌して、回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
樹脂粒子を付着させた回収キャリアに、加熱を行いながら機械的衝撃力を加えて回収キャリア表面に樹脂粒子を固着させる工程を経て作製されるものであり、
前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程は、前記樹脂粒子を少なくとも2回に分けて添加するものであることを特徴とする二成分現像剤の製造方法。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程を行う前に、回収キャリアのみを撹拌する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤の製造方法。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程では、
前記回収キャリアとともに磁性芯材粒子を併用して、撹拌を行い、樹脂粒子を付着させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分現像剤の製造方法。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『前記回収キャリアと前記磁性芯材粒子の混合比が9:1から5:5であることを特徴とする請求項3に記載の二成分現像剤の製造方法。』というものである。
なお、上記請求項1から4でいう「回収キャリア」とは、「トナーとキャリアより構成される二成分現像剤よりトナーを分離したもの」をいうものである。また、上記請求項1に記載の発明では、「回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程」で回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させたキャリア中間体を作製している。本発明では、この「回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程」を少なくとも2回行うものであり、1回あたりの樹脂粒子添加量を抑えることで回収キャリア表面へ樹脂粒子を確実に付着させている。
また、樹脂粒子同士の付着を防ぎ、残存樹脂コート層の厚さの異なる回収キャリアに対して樹脂粒子を精度よく付着させることを可能にしている。
また、上記請求項1に記載の発明では、上記「加熱を行いながら機械的衝撃力を加えて回収キャリア表面に樹脂粒子を固着させる工程」で上述のキャリア中間体表面に付着している樹脂粒子を固着させて樹脂コート層を作製している。ここで「固着」とは、「回収キャリア表面に付着し、ガラス転移温度前後に加熱された樹脂粒子を樹脂の連続層になるまで「混合撹拌」することにより行われる。
本発明によれば、有機溶剤を使用する必要もなく、回収キャリア表面へ均一な樹脂コート層を形成する樹脂コートキャリアの製造方法を確立することを可能にした。すなわち、二成分現像剤よりトナーを分離させた回収キャリアを樹脂粒子とともに撹拌すると、回収キャリアの残存コート層の厚さに応じて各キャリア粒子に加わる衝撃力の大きさに変化が生ずることを見出した。そして、残存樹脂コート層厚がうすい回収キャリア粒子には樹脂が多めに付着し、残存樹脂コート層が厚い回収キャリア粒子には少量の樹脂が付着することで、樹脂コート層の厚さが揃ったキャリアが得られる製法的条件を見出したのである。
その結果、上記方法で作製した樹脂コートキャリアは均一で、良好な帯電付与性能を発現し、後述する実施例に示す様に、濃度ムラのないハーフトーン画像形成やトナー消費量の多い高濃度画像の忠実な再現といった良好なトナー画像形成を可能にした。また、プリント作成を繰り返し行っても白地画像上へカブリが発生しないことから、安定した帯電付与性能に加えて撹拌による樹脂コートキャリアの破損が起きない優れた耐久性を有する二成分現像剤が得られた。
また、本発明によれば、回収キャリアより良好な帯電付与性能を有する樹脂コートキャリアを作製する様になり、資源の有効活用を可能にした。
回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させて樹脂コートキャリアを作製することが可能なキャリア製造装置の概略図である。
本発明は、二成分現像剤よりトナーを分離させた回収キャリア表面の残存樹脂コート層へ樹脂粒子を付着させ、残存樹脂コート層へ付着させた樹脂粒子を固着させることにより、樹脂コートキャリアを作製する乾式法の樹脂コートキャリアの製造方法に関する。
本発明者は、画像形成環境の異なる複数のプリンタより回収され残存樹脂コート層の厚さが異なる回収キャリアを用いても、樹脂粒子を2回以上に分けて添加して回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させると樹脂コート層の厚さを一定に揃えられることを見出した。
また、樹脂コート層を形成せずに遊離する樹脂粒子を抑制する観点から、混合開始時より2回目以降に樹脂粒子を添加した後は、回転翼の回転数を上げる等、混合条件をハードにすることが好ましいことも見出した。
この様に、樹脂粒子の添加を少なくとも2回に分けて行い、回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させることで、残存樹脂コート層の厚さが異なるものでも樹脂コート層を同じ厚さに揃えられる様になった理由は以下の様に考えられる。
すなわち、樹脂粒子を少なくとも2回に分けて添加して回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させることにより、1回あたりに添加される樹脂粒子量が少ないので回収キャリア表面へ樹脂粒子が確実に付着し易くなるためと考えられる。つまり、回収キャリアの樹脂コート層が所定厚さになる様に樹脂粒子を付着させる際、残存樹脂コート層の厚さに応じて樹脂層を精度よく被覆していく必要がある。1回の添加で樹脂粒子を付着させると、添加される樹脂粒子が多いために却って回収キャリアへの付着の機会が低減するものと考えられる。また、樹脂粒子同士が付着し易い状態であることも考えられ、樹脂粒子同士が付着したものを使用するのは、残存樹脂コート層の厚さに応じて樹脂層を追加形成するという精度の求められる操作には都合の悪いものであった。この様な観点から、本発明者は樹脂粒子を少なくとも2回に分けて添加し、回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させることを考えたのである。
また、本発明者は、乾式法では回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させる際、撹拌により衝撃を付与しているが、回収キャリアへ加わる衝撃は残存樹脂コート層の厚みに応じて変化し、衝撃の程度に応じて回収キャリアに付着する樹脂粒子量が変わるものと考えた。すなわち、残存樹脂コート層の厚さがうすいものほど、残存樹脂コート層で吸収される衝撃が少ないので、強い衝撃の下で樹脂粒子を付着することになり、回収キャリア表面には樹脂粒子が多く緻密に付着するものと考えた。一方、残存樹脂コート層が厚いものは、残存樹脂コート層で吸収される衝撃が大きくなるので、弱い衝撃の下で樹脂粒子を付着することになり、回収キャリア表面への樹脂粒子付着量は少量になるものと考えられた。
この様に、本発明では、回収キャリア表面への樹脂粒子付着を少なくとも2回に分けて行うことにより、残存樹脂コート層の厚さにばらつきがある回収キャリアに対して樹脂コート層が所定厚さに揃う様に樹脂粒子を供給している。また、乾式法で樹脂粒子を付着させる際、残存樹脂コート層の厚さに応じてキャリア表面へ加わる衝撃に差が生じ、うすいものは樹脂粒子が多く付着して厚いものは樹脂粒子が少なく付着するという推測の下、樹脂コート層の厚さを一定に揃えることを可能にした。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明でいう「回収キャリア」とは、「トナーとキャリアより構成される二成分現像剤よりトナーを分離したもの」をいうものである。
以下、本発明に係る樹脂コートキャリアの製造方法を具体的に説明する。本発明で作製されるキャリアは、芯材(コア)あるいは磁性芯材粒子と呼ばれる磁性粒子表面を熱可塑性樹脂で被覆した構造を有する樹脂コートキャリアと呼ばれるものである。そして、本発明は二成分現像剤よりトナーを除去して得られる回収キャリア表面を熱可塑性樹脂で被覆して樹脂コートキャリアを作製するものである。すなわち、回収キャリア表面の残存樹脂コート層表面に樹脂粒子を付着させ、付着させた樹脂粒子を固着、延展させるもので、回収キャリアの残存樹脂コート層表面へ樹脂コート層を追加して樹脂コートキャリアを作製するものである。
本発明に係る樹脂コートキャリアの製造方法は、たとえば、以下に説明する図1に示すキャリア製造装置を用いることにより実現が可能である。図1に示すキャリア製造装置1は、混合槽である容器本体10を有し、容器本体10の周面には、ほぼ3/4の高さまで加熱手段である調温用ジャケット17が配置されている。容器本体10の底部(容器底部ともいう)10aには、撹拌手段である回転羽根18、作製した樹脂コートキャリアを取り出す製品取出口20を有し、製品取出口20には排出弁21が配置されている。また、容器本体10の上面には本体上蓋11が設けられ、本体上蓋11には投入弁13が設置された原料投入口12、フィルタ14、点検口15が設けられ、フィルタ14と容器上蓋11の間には排出弁24が配置され、フィルタ14の先に容器内排出口が設けられている。
本発明で樹脂コートキャリアを作製する際の原料となる回収キャリアと樹脂粒子は、上記原料投入口12より容器本体10内部に供給される。なお、樹脂コートキャリア作製を実際に行う容器本体10内部をチャンバーといい、チャンバーの温度を測定する温度計16が容器本体10の周面に配置されている。
前述の回転羽根18は、駆動手段であるモータ22により回転し、回収キャリアと樹脂粒子を撹拌するもので、回転羽根18の中心部18dには互いに120°の角度間隔で撹拌羽根18a、18b及び18cが結合している。これら撹拌羽根は、底部10aの面に対して傾斜させて取り付けられており、撹拌羽根18a、18b及び18cを高速回転させると原料である回収キャリアと樹脂粒子は上方へ掻き上げられ、本体容器10の上部内壁に衝突して落下する。
撹拌手段である回転羽根18を回転させるモータ22は、コンピュータに代表される制御手段40に接続し、制御手段40は記憶されているプログラムによりモータ22の作動を制御する。
図1のキャリア製造装置1は、前述した回転羽根18等の作動を制御することで、たとえば、回収キャリア表面へ樹脂粒子を静電付着させる操作と、静電付着した樹脂粒子を回収キャリア表面に強く固着させる操作を段階的に行うことができる。すなわち、図1のキャリア製造装置は、少なくとも、下記工程を経て樹脂コートキャリアを作製することができる。
(1)回収キャリアと樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気等の作用で回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させてキャリア中間体を形成する工程
(2)樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、回収キャリア表面に静電付着させた樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程
(3)チャンバーを室温まで冷却する工程
上記(1)〜(3)の工程を少なくとも経ることにより、回収キャリア表面を樹脂でコートした構造の樹脂コートキャリアを作製することができる。また、上記(1)〜(3)の工程は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。
ここで、上記(1)の工程を詳細に説明する。上記(1)の回収キャリア表面に樹脂粒子を静電的に付着させてキャリア中間体を形成する工程は、粉体技術分野で一般に「オーダードミクスチャー(Ordered Mixture;OM)」と呼ばれる方法である。この工程では、回収キャリア表面に樹脂粒子を静電引力等の作用により付着させることにより、回収キャリア表面に樹脂粒子が付着したキャリア中間体が形成される。
回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程では、供給された樹脂粒子同士が撹拌により擦れ合い、この擦れ合いにより樹脂粒子は摩擦帯電し、摩擦帯電した樹脂粒子は静電引力の作用で回収キャリア表面へ付着し易くなるものと考えられる。したがって、摩擦帯電した樹脂粒子近くに回収キャリアが存在すれば、樹脂粒子は回収キャリア表面に付着することになる。この様な仕組みでキャリア中間体が形成される。
また、この工程では、回転羽根18の回転により撹拌を行うが、撹拌により樹脂粒子や回収キャリアが衝突して発生する摩擦熱の作用で容器本体10内部の温度が上昇しない程度に撹拌を行うことが好ましい。また、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17に冷水を通過させた状態で撹拌を行うこともチャンバーの温度を室温に維持する上で好ましい。
本発明は、キャリア中間体を形成するにあたり、回収キャリアと樹脂粒子を室温下で撹拌して回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させてキャリア中間体を形成するが、この工程は樹脂粒子を少なくとも2回に分けて添加して付着を行うものである。この様に、回収キャリア表面への樹脂粒子の付着を少なくとも2回に分けて行うことで、1回あたりの樹脂粒子添加量を低減させて樹脂粒子が回収キャリア表面へ精度よく付着する様にし、所定厚さの樹脂コート層形成が行える様にしている。
前述した様に、本発明は回収キャリア表面に所定厚さの樹脂コート層を形成するものであるが、回収キャリアの残存樹脂コート層の厚さにばらつきがあり、残存樹脂コート層の厚さに応じて樹脂層を精度よく形成する必要がある。もしも樹脂粒子の付着を1回で行うと、添加される樹脂粒子が多いために却って回収キャリアへの付着の機会が低減し、残存樹脂コート層の厚さに応じて樹脂粒子を付着させることが困難になると考えられた。また、樹脂粒子同士が付着したものが発生することも考えられ、この様な樹脂では残存樹脂コート層の厚さに応じて樹脂層を形成するという精度が求められる樹脂粒子の付着を阻害するものと考えられた。これらの観点から、本発明では回収キャリア表面への樹脂粒子付着を少なくとも2回に分けて行うことで、残存樹脂コート層の厚さに応じた量の樹脂粒子の付着を行える様にしたのである。
また、本発明では撹拌による衝撃の作用で回収キャリア表面への樹脂粒子の付着を行っているが、回収キャリアへ加わる衝撃は残存樹脂コート層の厚みに応じて変化し、衝撃の程度に応じて回収キャリアに付着する樹脂粒子量が変わるものと考えられた。すなわち、残存樹脂コート層の厚さがうすいものほど、残存樹脂コート層で吸収される衝撃が少ないので、強い衝撃の下で樹脂粒子を付着することになり、回収キャリア表面には樹脂粒子が多く緻密に付着するものと考えられた。一方、残存樹脂コート層が厚いものは、残存樹脂コート層で吸収される衝撃が大きくなるので、弱い衝撃の下で樹脂粒子を付着することになり、回収キャリア表面への樹脂粒子付着量は少量になるものと考えられた。
この様に、各回収キャリアへ作用する衝撃は残存樹脂コート層の厚さに応じて異なるので、残存樹脂コート層のうすい回収キャリアには強い衝撃力により多くの樹脂粒子が付着し、残存樹脂コート層の厚い回収キャリアには弱い衝撃力により少量の樹脂粒子が付着するものと考えられる。
本発明では、上述の様に回収キャリアと樹脂粒子を混合、撹拌して、回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させるものであるが、回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる上記工程を行う前に、回収キャリアのみを撹拌する工程を設けておくことが好ましい。この様に、予め回収キャリアのみを撹拌しておくことにより、遊離外添剤等の付着物や残トナー等の汚染物が除去されるので、回収キャリア表面への樹脂粒子の付着がスムーズに行える。また、撹拌により付着物や汚染物が除去されるだけでなく、回収キャリア表面も平滑になるので、樹脂粒子が付着し易くなるとともに、残存樹脂コート層の厚さに応じた量の樹脂粒子の付着が行い易くなる。
また、本発明の好ましい形態として、回収キャリアと樹脂粒子を混合、撹拌する際、回収キャリアとともに樹脂コートキャリアの原料である磁性芯材粒子を併用し、これらを混合、撹拌して樹脂粒子を付着させるものが挙げられる。この様に、磁性芯材粒子を存在させ、撹拌により回収キャリアが磁性芯材粒子と接触することにより、回収キャリア表面がリフレッシュされるので、高品質の樹脂コートキャリアを作製する上で効果的である。
磁性芯材粒子を併用する場合、回収キャリアを有効利用させる観点から、回収キャリアと磁性芯材粒子の混合比は9:1から5:5にすることが好ましい。この様に、回収キャリアの比率を多めにすることで、新しい磁性芯材粒子の添加による回収キャリアのリフレッシュが効率よく行え、資源を有効に活用することができる。
次に、上記(2)の樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、回収キャリア表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程について説明する。この工程は、回収キャリア表面に付着させた樹脂粒子に機械的衝撃力を付与して回収キャリア表面の残存樹脂コート層上にさらに樹脂を層状に被覆させるもので、メカノフュージョンと呼ばれる方法の1つである。図1のキャリア製造装置1は、回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる(1)の工程を経た後、樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱し、同時に回転羽根18を作動させて樹脂粒子を付着させた回収キャリアを撹拌して機械的衝撃力を付与する。
すなわち、回転羽根18の作動による撹拌で樹脂粒子を付着させた回収キャリア同士が衝突し、衝突により発生する摩擦熱の作用で容器本体10内部の温度を上昇させることができる。これに加えて、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17により加熱の調整が可能で、これらの作用で容器本体内部(チャンバー)は樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度環境になり、回収キャリア表面の樹脂粒子は衝撃を受けて変形、延展し易い状態におかれている。なお、調温用ジャケット17は、熱水を通過させることにより容器本体10内部の加熱促進が可能で、また、撹拌が強くなり発生する摩擦熱が大きくなる場合には冷水を通過させて容器本体10内部の温度上昇を抑制することも可能である。
回転羽根18がモータ22の駆動力により回転すると、容器底部10a付近の樹脂粒子を付着した回収キャリアは容器本体10上方に掻き上げられ、掻き上げられた回収キャリアは本体容器10の上部内壁に衝突する。回収キャリア表面に付着している樹脂粒子は、衝突による衝撃で変形して回収キャリア表面に沿って延展していく。また、容器本体10上方に掻き上げられた回収キャリアは上部内壁に衝突後、重力の作用で落下して容器底部10aに衝突する。そして、容器底部10aに衝突したときにも樹脂粒子が延展し回収キャリア表面への被覆が進行する。
この様に、容器本体10内部(チャンバー)では、掻き上げによる上部内壁への衝突と落下による容器底部10aへの衝突が繰り返され、回収キャリア表面に付着した樹脂粒子の延展が継続され、回収キャリア表面への樹脂の被覆が行われる。
この工程では、容器本体内部の温度環境を樹脂粒子のガラス転移温度以上にしているが、具体的には、樹脂のガラス転移温度に対して5℃から20℃高い温度範囲とすることが好ましい。なお、容器本体10内部の温度は前述の温度計16により測定が可能である。
また、回転羽根18による機械的衝撃力の大きさは、回収キャリア表面と新たに形成される樹脂コート層との間に良好な密着性を得る観点から、撹拌羽根18a、18b及び18cの周速が3m/秒から20m/秒となる強度が好ましく、6m/秒から10m/秒となる強度がより好ましい。すなわち、上記範囲の周速による撹拌で樹脂粒子を付着させた芯材粒子同士が衝突して適度な摩擦熱が得られる様になり、樹脂粒子の軟化と延展を促進させて回収キャリアと新たに形成される樹脂コート層との間に良好な密着性を確保し易くなる。良好な密着性が確保されることにより、形成されたキャリアは、画像形成時に衝撃を受けても芯材粒子が破壊せず、芯材粒子の破壊に起因する芯材粒子破片の樹脂コート層表面への付着によるキャリアの帯電付与性能低下を起こすおそれがない。また、上記範囲の周速で撹拌することにより、ブロッキングの発生や形成した樹脂コート層を破壊するおそれがない。また、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度環境下で回転羽根18による機械的衝撃力を付与する時間は、特に限定されるものではないが、5分から40分が好ましい。
以上の様に、混合槽である容器本体10内部の温度環境及び撹拌手段である回転羽根18の作動条件を制御して、樹脂粒子を付着させた回収キャリアを撹拌して機械的衝撃力を付与することにより、回収キャリア表面に樹脂を新たに延展、被覆させることができる。すなわち、上記工程では、少なくとも混合槽の内部を樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱するとともに撹拌手段を作動させ、回収キャリア表面の残存樹脂コート層上に樹脂粒子を延展、被覆させて新しい樹脂コート層を形成している。
次に、上記(3)の容器本体内部(チャンバー)を冷却する工程について説明する。樹脂粒子を付着させた回収キャリアは、前述した様に、樹脂粒子のガラス転移温度以上にした温度環境下で機械的衝撃力を受けることにより、樹脂が延展して新たな樹脂コート層が形成される。回収キャリア表面に新しい樹脂コート層が追加、形成された後、容器本体10内部(チャンバー)は室温まで冷却される。容器本体10内部の冷却は、たとえば、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17に冷却水の通過により実現することが可能である。また、調温用ジャケット17への冷水通過による冷却を行っているときに、撹拌羽根18を摩擦熱が発生しない程度にゆっくり回転させると冷却効果をより向上させることが可能である。
以上の手順により、回収キャリアの残存樹脂コート上に新しい樹脂コート層が形成された樹脂コートキャリアは室温まで冷却され、冷却された樹脂コートキャリアは排出弁21を開放して製品取出口20より取り出される。
以上の様に、図1に示すキャリア製造装置1により、また、前述した手順により、回収キャリア表面に樹脂を新たに追加被覆した構造の樹脂コートキャリアを作製することが可能である。そして、上記手順により芯材粒子表面には、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.5μm以上3.5μm以下の樹脂コート層を形成することが可能である。
なお、樹脂コート層の厚さは、たとえば、以下の方法により求めることが可能である。
(1)集束イオンビーム試料作製装置「SMI2050」(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)を用いてキャリア粒子の中心を通る面でキャリア粒子を切断して測定試料を作製する。
(2)作製した測定試料を透過型電子顕微鏡「JEM−2010F」(日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を「樹脂コート層の厚さ」とする。
(3)なお、測定数は50個とし、写真1視野で足りない場合には、測定数50になるまで視野数を増加させるものとする。
本発明では、混合槽内部で回収キャリアと樹脂粒子を室温環境下で撹拌を行い、回収キャリア表面(回収キャリアの残存樹脂コート層表面)に樹脂粒子を付着させる。次に、回収キャリアの残存樹脂コート層表面に付着させた樹脂粒子を加熱環境下で固着、延展させることにより所定厚さを有する樹脂コート層を形成している。この様に、回収キャリア表面を被覆する樹脂は、100nmから1000nm程度の粒子の形態で供給されるものである。
本発明で使用される樹脂粒子の作製方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、重合性単量体を水系媒体中で分散させて油滴状態にし、油滴状態に分散させた重合性単量体を重合反応することにより粒子形状の樹脂を作製する方法等がある。
具体的には、界面活性剤を臨界ミセル濃度以下に溶解させた水系媒体中に重合性単量体を添加し、機械的エネルギーを利用して重合性単量体を油滴分散させた分散液を調製する。そして、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して油滴内でラジカル重合による重合反応を行うことで樹脂粒子を作製することが可能である。なお、この重合反応の場合、重合性単量体の溶液中に油溶性のラジカル重合開始剤を添加してもよい。
前述の機械的エネルギーを付与して油滴分散を行う分散装置には、特に限定されるものではないが、たとえば、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)の様な高速回転用のロータを有する撹拌装置がある。その他に、超音波分散機、機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザ等がある。この様な分散処理により体積基準のメディアン径が50nmから1000nm程度の油滴が形成される。なお、油滴の粒径は、前述の50nmから1000nmが好ましく、60nmから300nmがより好ましく、70nmから150nmがさらに好ましい。
上記の油滴分散処理を経て樹脂粒子を作製する方法は、たとえば、以下の工程を含むものである。すなわち、
(1)界面活性剤を含有する水系媒体中に重合性単量体を添加し、当該重合性単量体を機械的に分散させて重合性単量体の油滴分散液を調製する工程
(2)油滴状態に分散させた重合性単量体を重合して樹脂粒子を作製する工程
(3)樹脂粒子の分散液を冷却する工程
(4)冷却した樹脂粒子の分散液より樹脂粒子を固液分離するとともに洗浄処理を行い、樹脂粒子より界面活性剤等を除去する工程
(5)洗浄処理した樹脂粒子を乾燥する工程。
また、上記の油滴分散処理を経て作製される樹脂粒子のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、良好な製膜性を有し緻密な樹脂コート層を形成する観点から、たとえば、60℃から150℃の範囲が好ましい。さらに、樹脂粒子の重量平均分子量は、たとえば、50,000から3,000,000が好ましく、700,000から1,500,000がより好ましい。
樹脂粒子の形成に使用可能な重合性単量体は、特に限定されるものではなく、たとえば、ビニル系樹脂を形成するビニル系モノマーがその代表的なもので、他にポリエステル樹脂の形成が可能な多価カルボン酸化合物と多価アルコール化合物等がある。ビニル系モノマーには、たとえば、以下に示すスチレン系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸系単量体等がある。
以下、上記ビニル系モノマーの具体例を示すが、樹脂コート層を形成する樹脂の作製が可能なビニル系モノマーは以下のものに限定されるものではない。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸系単量体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシル等
(3)アクリル酸系単量体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)その他ビニル系モノマー
(a)オレフィン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(b)ビニルエステル系単量体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(c)ビニルエーテル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(d)ビニルケトン系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(e)N−ビニル化合物系単量体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(f)その他ビニル化合物系単量体;ビニルナフタレン、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等
これらビニル系モノマーは単独あるいは組み合わせて使用することが可能である。
上記ビニル系単量体を用いて形成される樹脂の中でも、メタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成した共重合体樹脂が好ましく、共重合体を構成するメタクリル酸シクロヘキシルのモノマー比率が40%以上のものが好ましい。また、トナーへの電荷付与性能の観点から、前述のメタクリル酸シクロヘキシルとともにメタクリル酸メチルを用いた共重合体樹脂がより好ましい。
次に、本発明で使用される回収キャリアに含有される磁性芯材粒子について説明する。回収キャリアに含有される磁性芯材粒子は、磁場の存在によりその方向に強く磁化する物質(磁性体)で、たとえば、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、マグネタイトやフェライト、これらを含む合金や化合物、これらを樹脂中に分散させたもの等がある。
フェライトは、式:MO・Feで示されるもので、また、マグネタイトは、式:MFeで示されるものである。式中のMは、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、リチウム(Li)等の2価あるいは1価の金属原子で、これらを単独または複数種類組み合わせて使用可能である。
これら磁性体の中でも、比重が鉄やニッケル等の金属より小さいマグネタイトやフェライトが好ましい。そして、フェライトの中でもMが銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトや、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のいずれかを含有する軽金属フェライトがより好ましい。さらには、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のいずれかを含有する軽金属フェライトが特に好ましい。軽金属フェライトは、廃棄物や環境に与える負荷が他のものに比べて少ないことに加えて、キャリア自体をより軽量化することが可能で画像形成時にトナーに与えるストレスを軽減させるメリットを有している。
また、強磁性金属を含有しないものの適度な熱処理により強磁性を示すマンガン−銅−アルミニウムやマンガン−銅−スズ等のホイスラー合金と呼ばれる合金、二酸化クロム等も芯材粒子として使用することが可能である。
さらに、バインダ樹脂中に磁性粉を分散させた樹脂分散型コアを使用することも可能であり、磁性粉としては、たとえば、粒径が0.1〜3.0μm程度の鉄、フェライト、マグネタイト等が用いられる。また、バインダ樹脂としては、たとえば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂等が用いられる。
芯材粒子の径は、体積平均粒径で10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。また、芯材粒子自体が有する磁化特性は、飽和磁化で2.5×10−5〜10.0×10−5Wb・m/kgが好ましい。なお、芯材粒子の体積平均粒径は、湿式分散器を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により体積基準の平均粒径として測定が可能である。また、飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257−35」(横河電機株式会社製)により測定が可能である。
二成分現像剤の作製に使用可能なトナーは、特に限定されるものではなく、従来公知のトナーを使用することが可能である。すなわち、少なくとも樹脂と着色剤を含有し、公知の電子写真方式の画像形成に使用可能なものであり、公知のトナー製造方法を適用することにより作製が可能なものである。具体的には、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法により作製されるトナーが挙げられる。
この様なトナーの中でも、微細なドット画像の忠実な再現が求められるデジタル画像形成に使用される体積基準メディアン径(D50径)が3μmから9μmの小径トナーを作製する場合は、その製造工程で粒径や形状の制御操作が行える重合法が好ましい。その中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂微粒子を形成しておき、この樹脂微粒子を凝集させる工程を経てトナー母体粒子を形成するいわゆる「乳化会合法」で作製することが好ましい。
また、二成分現像剤を構成するキャリアとトナーの混合比率は、特に限定されるものではなく、たとえば、従来の二成分現像剤の様にトナー濃度を1質量%から10質量%となる範囲にするものとすることができる。また、従来の二成分現像剤の他にも、たとえば、画像形成に消費された分のトナーといっしょに新しいキャリアも画像形成装置に補給して画像形成に使用する現像剤の品質を維持する「オートリファイニング現像方式」用補充現像剤を作製することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.「回収キャリア1、2」と「フレッシュキャリア」の準備、樹脂量の測定
市販のデジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」で、50万枚連続モードでプリント作成を実施した後、現像装置及び廃トナーボックスより現像剤を回収した。回収した現像剤に公知の気流分級処理を施し、トナーとキャリアを分離することにより「回収キャリア1」とした。
また、前記デジタルカラー複合機で、50万枚間欠モードでプリント作成を実施した後、現像装置及び廃トナーボックスより現像剤を回収し、上記と同じ方法でトナーとキャリアを分離することにより「回収キャリア2」とした。さらに、前記デジタルカラー複合機用の未使用現像剤を、上記と同じ方法でトナーとキャリアを分離して「フレッシュキャリア」とした。
上記手順で用意した「回収キャリア1、2」の残存樹脂量と「フレッシュキャリア」の樹脂量を公知の方法で測定したところ、「回収キャリア1」が1.5質量部、「回収キャリア2」が2.5質量部、「フレッシュキャリア」が3.5質量部であった。
2.「樹脂粒子」の作製
前記回収キャリア表面へ付着、固着させる樹脂粒子を下記手順で作製した。すなわち、撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.4質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を用意した。次に、
スチレン 19質量部
メチルメタクリレート 80質量部
よりなる重合性単量体混合液を前記界面活性剤溶液中に添加して、「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて15000rpmで撹拌処理を行い、体積平均粒径200nmの単量体粒子(油滴)を分散させた乳化液を調整した。なお、上記重合性単量体溶液はスチレンとメチルメタクリレートの共重合比(モル分率)を2/8にしたものであり、前記単量体粒子の体積平均粒径は動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したものである。
次に、この乳化液に重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.4質量部をイオン交換水40質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で3時間加熱、撹拌して重合反応を行い、重合反応後室温まで冷却した。この様にして、共重合比が2/8のメタクリル酸メチル/メタクリル酸シクロヘキシル共重合体樹脂からなる「樹脂粒子」の分散液を作製した。作製した「樹脂粒子」の体積平均粒径を前述の動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したところ200nmであった。
作製した「樹脂粒子」分散液を前述の手順で固液分離、水洗処理した後、スプレードライヤで乾燥処理して、体積平均粒径200nmの「樹脂粒子」を得た。なお、作製した「樹脂粒子」の重量平均分子量Mwは520,000、ガラス転移温度Tgは110℃であった。
3.「樹脂コートキャリア1〜12」の作製
図1に示す混合装置を用い、以下の手順を採ることにより「樹脂コートキャリア1〜12」を作製した。
(1)「樹脂コートキャリア1」の作製
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 50質量部
「回収キャリア2」 50質量部
「樹脂粒子」 0.75質量部
を投入し、温度25℃の下で撹拌翼の周速を4m/秒にして撹拌処理を10分間行って回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後、「樹脂粒子」を0.75質量部追加投入し、25℃の下で撹拌翼の周速を8m/秒にして撹拌処理を10分間行い、引き続き回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させた。
前記撹拌処理実施後、温度を120℃に昇温し、120℃に到達後20分間撹拌して、回収キャリア表面に付着させた樹脂粒子を延展、固着させた。この様にして、「樹脂コートキャリア1」を作製した。
(2)「樹脂コートキャリア2」の作製
前記「樹脂コートキャリア1」の作製で、最初に「回収キャリア1、2」とともに投入する「樹脂粒子」の添加量を0.3質量部に変更し、25℃、周速4m/秒での撹拌処理時間を5分に変更して回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後、「樹脂粒子」を0.3質量部投入し、25℃、周速8m/秒の撹拌処理を5分間行った。この「樹脂粒子」を0.3質量部投入して25℃の下で5分間の撹拌処理を行う操作を3回繰り返し行い、回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させた。なお、3回目からの撹拌処理は、2回目の撹拌処理と同様、25℃の下で撹拌翼の周速を8m/秒にして行った。その他は同じ手順をとることにより「樹脂コートキャリア2」を作製した。
(3)「樹脂コートキャリア3」の作製
前記「樹脂コートキャリア1」の作製で、最初に「回収キャリア1、2」とともに投入する「樹脂粒子」の添加量を0.15質量部に変更し、25℃、周速4m/秒での撹拌処理時間を3分に変更して回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後、「樹脂粒子」を0.15質量部投入し、25℃、周速8m/秒の撹拌処理を3分間行った。この「樹脂粒子」を0.15質量部投入して25℃の下で3分間の撹拌処理を行う操作を8回繰り返し行い、回収キャリア表面へ樹脂粒子を付着させた。なお、3回目からの撹拌処理は、2回目の撹拌処理と同様、25℃の下で撹拌翼の周速を8m/秒にして行った。その他は同じ手順をとることにより「樹脂コートキャリア3」を作製した。
(4)「樹脂コートキャリア4」の作製
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 40質量部
「回収キャリア2」 40質量部
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 20質量部
「樹脂粒子」 0.15質量部
を投入し、温度25℃、周速4m/秒での撹拌処理を3分間行って回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後、前記「樹脂コートキャリア3」の作製と同様、「樹脂粒子」を0.15質量部投入して25℃の下で撹拌翼の周速を8m/秒にしての3分間の撹拌処理を9回繰り返し行い、樹脂粒子を付着させた。その他は前記「樹脂コートキャリア1」の作製と同じ手順をとることにより「樹脂コートキャリア4」を作製した。
(5)「樹脂コートキャリア5、6」の作製
前記「樹脂コートキャリア1」と「樹脂コートキャリア2」の作製で、最初に回収キャリアのみを混合装置内に投入し、25℃で周速4m/秒の撹拌処理を15分間行った後、樹脂粒子を添加した他は同じ手順をとり、「樹脂コートキャリア5、6」を作製した。
(6)「樹脂コートキャリア7、8」の作製
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 45質量部
「回収キャリア2」 45質量部
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 10質量部
「樹脂粒子」 0.75質量部
を投入し、温度25℃の下で周速4m/秒の撹拌処理を10分間行って回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後は、前記「樹脂コートキャリア1」の作製と同じ手順で「樹脂コートキャリア7」を作製した。
また、
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 25質量部
「回収キャリア2」 25質量部
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 50質量部
「樹脂粒子」 0.75質量部
を投入し、温度25℃の下で周速4m/秒の撹拌処理を10分間行って回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理後は、前記「樹脂コートキャリア1」の作製と同じ手順で「樹脂コートキャリア8」を作製した。
(7)「樹脂コートキャリア9」の作製
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 40質量部
「回収キャリア2」 40質量部
を投入し、25℃の下で周速4m/秒の撹拌処理を15分間行った後、
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 20質量部
「樹脂粒子」 0.3質量部
を投入した。上記手順を変更した他は、前記「樹脂コートキャリア2」の作製と同じ手順で「樹脂コートキャリア9」を作製した。
(8)「樹脂コートキャリア10」の作製
図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 50質量部
「回収キャリア2」 50質量部
「樹脂粒子」 1.5質量部
を投入し、温度25℃の下で周速4m/秒の撹拌処理を20分間行って回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させた。前記撹拌処理実施後、温度を120℃に昇温し、120℃に到達後20分間撹拌して、回収キャリア表面に付着させた樹脂粒子を延展、被覆して固着を行った。この様にして、「樹脂コートキャリア10」を作製した。
(9)「樹脂コートキャリア11」の作製
前記「樹脂コートキャリア10」の作製で、最初に回収キャリアのみを混合装置内に投入し、25℃の下で周速4m/秒の撹拌処理を15分間行った後に樹脂粒子を添加した。樹脂粒子を添加した後は同じ手順をとることにより「樹脂コートキャリア11」を作製した。
(10)「樹脂コートキャリア12」の作製
前記「樹脂コートキャリア10」の作製で、図1に示す混合装置へ
「回収キャリア1」 40質量部
「回収キャリア2」 40質量部
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 20質量部
「樹脂粒子」 1.5質量部
投入した他は同じ手順をとることにより「樹脂コートキャリア12」を作製した。
以上の手順により作製した「樹脂コートキャリア1〜12」の作製条件を下記表1に示す。
Figure 2012185258
4.トナーの作製
下記の手順でコアシェル構造のトナーを作製した。
4−1.コア用樹脂粒子の作製
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、下記化合物を投入、混合して混合液を作製した。
スチレン 111質量部
n−ブチルアクリレート 53質量部
メタクリル酸 12質量部
上記混合液に、
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 94質量部
を添加した後、80℃に加温して溶解させ、重合性単量体溶液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1340質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製した。この界面活性剤溶液を80℃に加熱後、上記重合性単量体溶液を投入し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミクス(エム・テクニック社製)」により上記重合性単量体溶液を2時間混合分散させ、平均粒径245nmの乳化粒子(油滴)分散液を調製した。
次いで、上記分散液にイオン交換水1460質量部を添加した後、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた開始剤溶液とn−オクチルメルカプタン1.8質量部を添加し、温度を80℃にした。この系を80℃にて3時間にわたり加熱撹拌して重合反応(第1段重合)を行い、「樹脂粒子C」を作製した。
(2)第2段重合(外層の形成)
前記「樹脂粒子C」の分散液中に、過硫酸カリウム5.1質量部をイオン交換水197質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物を混合した単量体混合液を1時間かけて滴下した。単量体混合液は、
スチレン 282質量部
n−ブチルアクリレート 134質量部
メタクリル酸 31質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
を含有するもので、前記単量体混合液の滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌して重合反応(第2段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、「コア用樹脂粒子」を作製した。「コア用樹脂粒子」の重量平均分子量は21,300、質量平均粒径180nm、ガラス転移温度(Tg)39℃であった。
4−2.シェル用樹脂粒子の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、下記化合物を混合した重合性単量体混合液を3時間かけて滴下した。なお、重合性単量体混合液は、
スチレン 528質量部
n−ブチルアクリレート 176質量部
メタクリル酸 120質量部
n−オクチルメルカプタン 22質量部
を含有するもので、前記重合性単量体混合液を滴下後、この系を80℃にして1時間にわたり加熱撹拌して重合反応を行い、「シェル用樹脂粒子」を作製した。「シェル用樹脂粒子」の重量平均分子量は12,000、質量平均粒径120nm、ガラス転移温度(Tg)53℃であった。
4−3.着色剤分散液の作製
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%水溶液900質量部を撹拌しながら、市販の着色剤(カーボンブラック;「リーガル330R(キャボット社製)」)100質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理することにより着色剤分散液を調製した。前記着色剤分散液中の着色剤粒子の平均分散径を市販の動的光散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックUPA150(マイクロトラック社製)」で測定したところ150μmであった。
4−4.トナー粒子の作製
(1)凝集、融着工程
温度センサ、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器内に、
コア用樹脂粒子 421質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
着色剤分散液 200質量部(固形分換算)
を投入して撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。この状態で「コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア部」を形成した。「コア部」の平均円形度を「FPIA2100(シスメックス社製)」で測定したところ0.930であった。
(2)シェルの形成
次いで、65℃において「シェル用樹脂粒子」50質量部(固形分換算)を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した。添加後、70℃(シェル化温度)まで昇温させ、撹拌を1時間継続して「コア部」表面に「シェル用樹脂粒子」を融着させた後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェルの形成を停止させた。さらに、75℃で20分間熟成処理を行った後、8℃/分の速度で30℃まで冷却して、トナー粒子の分散液を作製した。
4−5.洗浄、乾燥工程
上記工程を経て作製したトナー粒子の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、着色粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまでイオン交換水で洗浄した後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行って「着色粒子」を作製した。上記手順で作製したトナー粒子は、コアシェル構造を有するもので、体積基準メディアン径は6.0μm、ガラス転移温度が39.5℃であった。
4−6.トナーの外添剤処理
作製した「トナー粒子」100質量部に対し、数平均一次粒径が80nmの疎水性シリカ微粒子を3.5質量%、数平均一次粒径が10nmの疎水性チタニア微粒子を0.6質量%になる様に添加した。そして、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用いて周速35m/sで25秒間混合処理することによりトナーを作製した。なお、作製したトナーのガラス転移温度は外添剤処理前のトナー粒子と同じ39.5℃であった。
5.「現像剤1〜12」の作製
前述した「樹脂コートキャリア1〜12」と上記「トナー」を下記の様に配合して二成分の「現像剤1〜12」を作製した。現像剤の作製は、配合比をキャリア100質量部に対してトナー8質量部とし、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)環境下で、Vブレンダを用いてトナーとキャリアを混合することにより行った。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分にして処理を行い、さらに、混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて作製した。
6.評価実験
6−1.評価条件
市販のデジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に、露光用光源に波長780nm、ドット径600dpiの半導体レーザを搭載した機器を用いて下記評価を行った。評価は、温度30℃、相対湿度80%RHの環境下で、前記「現像剤1〜12」1種類につき1万枚の連続プリントを行って、感光体上における放電生成物と水結合物の形成に伴う表面電位変動と画質変化について行った。プリント画像は、相対反射濃度0.4のハーフトーン画像、6ドット格子画像、白地画像、相対反射濃度1.3のベタ画像を、A4サイズの中性紙上に4等分に出力したものである。
ここで、本発明で規定する構成を有する作製方法で作製した樹脂コートキャリアを含有する「現像剤1〜9」の評価を「実施例1〜9」とし、本発明で規定する構成を有さない方法で作製した樹脂コートキャリアを含有する「現像剤10〜12」の評価を「比較例1〜3」とした。
6−2.評価項目
1万枚の連続プリント終了時にそれぞれ作成した上記A4サイズのプリント上に形成されたベタ画像、ハーフトーン画像、白地画像を用いて以下の評価を行った。
〈ベタ画像濃度評価〉
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用い、プリント作成に使用したA4サイズ中性紙白地部分の反射濃度を「0」として、連続プリント終了時に形成されたベタ画像の相対反射濃度を測定した。測定は作成試料上より任意の12点を測定し、その平均値で評価した。連続プリント終了後もベタ画像濃度が1.0以上のものを合格とし、その中でも1.2以上が維持されたものを特に優れているものと評価した。
〈ハーフトーン画像濃度評価〉
連続プリント終了時に形成されたハーフトーン画像を目視観察し、濃度ムラ発生の有無を評価する尺度として、帯状の低濃度領域の発生の有無を評価した。帯状の低濃度領域の発生の有無は、マクベス社製反射濃度計「RD−918」で濃度測定を行い、低濃度領域と周辺領域の濃度差が0.10未満のものを合格とし、その中でも0.03未満のものは特に優れているものと評価した。
〈カブリ濃度評価〉
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用いて、プリント作成に使用したA4サイズ中性紙上の任意20個所における反射濃度を測定しその平均値を白紙濃度とした。次に、連続プリント終了時に形成された白地画像上の任意10個所における反射濃度を測定し、その平均濃度より前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.010未満となるものを合格とした。
以上の結果を下記表2に示す。
Figure 2012185258
表2に示す様に、本発明で規定する構成を有する作製方法で作製した樹脂コートキャリアを含有する現像剤を用いた「実施例1〜9」では、所定濃度のベタ画像と濃度ムラのないハーフトーン画像が得られ、白地画像上へのカブリ発生も見られないものであった。一方、「比較例1〜6」では、形成されたベタ画像は所定濃度が得られず、ハーフトーン画像上に濃度ムラが発生し、白地画像上へのカブリ発生が見られ、上記「実施例1〜9」とは異なる結果になった。
1 キャリア製造装置
10 容器本体(混合槽)(チャンバー)
10a 容器底部
11 容器上蓋
12 原料投入口
13 投入弁
14 フィルタ
17 調温用ジャケット(加熱手段)
18 回転羽根(撹拌手段)
21 排出弁
22 モータ(駆動手段)

Claims (4)

  1. 少なくとも、トナーと磁性芯材粒子表面を樹脂で被覆した樹脂コートキャリアを含有する二成分現像剤の製造方法であって、
    前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
    二成分現像剤よりトナーを分離させた回収キャリアと樹脂粒子を撹拌して、回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
    樹脂粒子を付着させた回収キャリアに、加熱を行いながら機械的衝撃力を加えて回収キャリア表面に樹脂粒子を固着させる工程を経て作製されるものであり、
    前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程は、前記樹脂粒子を少なくとも2回に分けて添加するものであることを特徴とする二成分現像剤の製造方法。
  2. 前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程を行う前に、回収キャリアのみを撹拌する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤の製造方法。
  3. 前記回収キャリア表面に樹脂粒子を付着させる工程では、
    前記回収キャリアとともに磁性芯材粒子を併用して、撹拌を行い、樹脂粒子を付着させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分現像剤の製造方法。
  4. 前記回収キャリアと前記磁性芯材粒子の混合比が9:1から5:5であることを特徴とする請求項3に記載の二成分現像剤の製造方法。
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