JP2012184359A - アイオノマー樹脂の発泡体からなる衝撃吸収用部材 - Google Patents

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宏和 田中
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博雅 丸林
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民生 川住
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Abstract

【課題】従来のポリウレタンフォームおよびポリオレフィンフォームの欠点が解消された、リサイクル性および各種基材に対する接着性に優れ、かつ反発弾性の低い発泡体からなる衝撃吸収用部材を提供する。
【解決手段】少なくともアイオノマー樹脂から形成された発泡体からなる衝撃吸収用部材であり、前記アイオノマー樹脂が、(A)炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有し、且つ官能基(a)を有するオレフィン重合体100質量部と、(B)金属成分を含む官能基(b)を2つ以上有する金属塩(ただし、炭酸塩を除く)0.01〜100質量部とから形成されたアイオノマー樹脂(X1)である、衝撃吸収用部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、アイオノマー樹脂の発泡体からなる衝撃吸収用部材に関する。
従来、衝撃吸収性能を必要とする用途には、ポリウレタンからなる低反発性発泡体(ポリウレタンフォーム)や応力吸収性熱可塑性樹脂からなるシート(例:軟質塩化ビニル樹脂、アルファゲル)が用いられてきた。しかしながら、ポリウレタンフォームは、再度溶融させることが困難であるためリサイクル性に欠けており、また、素材自体の吸湿性から適用範囲が限られる場合がある。
ポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる発泡体(ポリオレフィンフォーム)は、上記の欠点を解消する材料である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来のポリオレフィンフォームは、各種基材(例:アルミニウムシート)に対する接着性が低く、これらの物性が要求される場合にはさらなる処理が必要であるなど、満足のいくものではなかった。
また、特定のアイオノマー樹脂の発泡体が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、反発弾性の低い部材としての用途については、更なる検討の余地がある。
特開2002−317548号公報 国際公開第2010/024286号パンフレット
本発明の課題は、従来のポリウレタンフォームおよびポリオレフィンフォームの欠点が解消された、リサイクル性および各種基材に対する接着性に優れ、かつ反発弾性の低い発泡体からなる衝撃吸収用部材を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記構成を有する発泡体からなる衝撃吸収用部材が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明およびその好適態様は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1]少なくともアイオノマー樹脂から形成された発泡体からなる衝撃吸収用部材であり、前記アイオノマー樹脂が、(A)炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有し、且つ官能基(a)を有するオレフィン重合体100質量部と、(B)金属成分を含む官能基(b)を2つ以上有する金属塩(ただし、炭酸塩を除く)0.01〜100質量部とから形成されたアイオノマー樹脂(X1)である、衝撃吸収用部材。
[2]前記官能基(a)が、酸化合物に由来する構成単位および酸無水物に由来する構成単位から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の衝撃吸収用部材。
[3]前記官能基(b)が、有機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基および無機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]または[2]に記載の衝撃吸収用部材。
[4]前記オレフィン重合体(A)が、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有するオレフィン重合体(A−1)のグラフト変性体である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
[5]前記オレフィン重合体(A−1)が、プロピレンに由来する構成単位の含有量が51モル%以上であるプロピレン重合体である、前記[4]に記載の衝撃吸収用部材。
[6]前記オレフィン重合体(A−1)が、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量が51モル%以上である4−メチルペンテン−1重合体である、前記[4]に記載の衝撃吸収用部材。
[7]前記オレフィン重合体(A−1)が、ブテン−1に由来する構成単位の含有量が51モル%以上であるブテン−1重合体である、前記[4]に記載の衝撃吸収用部材。
[8]前記オレフィン重合体(A)において、前記官能基(a)が、前記オレフィン重合体(A−1)100質量部に対して、0.01〜50質量部の量で導入されてなる、前記[4]〜[7]のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
[9]前記発泡体が、前記アイオノマー樹脂(X1)と、前記オレフィン重合体(A)とは異なるオレフィン重合体(C)とから形成された樹脂組成物(X2)の発泡体である、前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
[10]前記アイオノマー樹脂(X1)と前記オレフィン重合体(C)との質量比率が、(X1):(C)=1:99〜99:1である、前記[9]に記載の衝撃吸収用部材。
[11]前記オレフィン重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有するオレフィン重合体である、前記[9]または[10]に記載の衝撃吸収用部材。
[12]前記発泡体が、下記要件(1)〜(4)を満たす、前記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材:(1)ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される密度が、0.0090〜0.20g/cm3であること。(2)ASTM D2856のC法に準拠して測定される独立気泡率が、0%以上60%未満であること。(3)セルの平均直径が10μm以上1000μm以下であること。(4)セルとセルとの間の壁面を貫通する孔の平均直径が、前記セルの平均直径の0.1〜90%であること。
本発明によれば、従来のポリウレタンフォームおよびポリオレフィンフォームの欠点が解消された、リサイクル性および各種基材に対する接着性に優れ、かつ反発弾性の低い発泡体からなる衝撃吸収用部材を提供することができる。
以下、本発明の衝撃吸収用部材について好適態様も含めて詳細に説明する。
本発明の衝撃吸収用部材は、少なくとも後述するアイオノマー樹脂(X1)から形成された発泡体からなる。ここで前記発泡体は、アイオノマー樹脂(X1)と後述するオレフィン重合体(C)とを含有するアイオノマー樹脂組成物(X2)から形成された発泡体であることが好ましい。
〔発泡体〕
本発明で用いられる発泡体は、少なくともアイオノマー樹脂(X1)から形成される。ここで前記発泡体は、アイオノマー樹脂(X1)と後述するオレフィン重合体(C)とを含有するアイオノマー樹脂組成物(X2)から形成された発泡体であることが好ましい。
〈アイオノマー樹脂(X1)〉
アイオノマー樹脂(X1)は、それぞれ後述する官能基含有オレフィン重合体(A)と金属塩(B)とから形成された樹脂である。アイオノマー樹脂(X1)の諸物性(例:MFRの低下、伸張粘度の上昇、歪み硬化性の発現)から、官能基含有オレフィン重合体(A)の少なくとも一部は金属塩(B)を介して架橋構造を形成していると推測される(なお、詳細については国際公開第2010/024286号パンフレット参照)。
《官能基含有オレフィン重合体(A)》
官能基含有オレフィン重合体(A)は、炭素数2〜20、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10のα−オレフィンに由来する構成単位を有し、且つ官能基(a)を有する重合体である。官能基含有オレフィン重合体(A)は、例えば、後述するオレフィン重合体(A−1)のグラフト変性体である。
官能基含有オレフィン重合体(A)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、特に制限は無く、目的とする用途および要求特性によって、例えば1000〜1000000程度の範囲で適宜設計できる。例えば、流動性を高めるためには低分子量域が好ましく、機械強度を高めるためには高分子量域が好ましい。
本発明において、「オレフィン重合体」をオレフィンの単独重合体および共重合体を総称する意味で用い、「重合」を単独重合および共重合を総称する意味で用いる。
(オレフィン重合体(A−1))
オレフィン重合体(A−1)は、炭素数2〜20、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10のα−オレフィンに由来する構成単位を有する重合体である。オレフィン重合体(A−1)は、前記α−オレフィンから選ばれる少なくとも1種を重合することによって得ることができる。オレフィン重合体(A−1)の原料として、前記α−オレフィンとともに他の化合物を用いてもよい。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルペンテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プロピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1が挙げられる。
オレフィン重合体(A−1)は、α−オレフィンに由来する構成単位を、通常50モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上有する。α−オレフィンに由来する構成単位の含有量は100モル%であってもよい。オレフィン重合体(A−1)は、耐熱性、機械的強度、耐湿性、耐薬品性などの観点から、結晶性ポリオレフィンであることが好ましい。
α−オレフィンの好ましい使用形態は、プロピレン単独、ブテン−1単独、4−メチルペンテン−1単独、プロピレンを主要成分とする混合α−オレフィン、ブテン−1を主要成分とする混合α−オレフィン、4−メチルペンテン−1を主要成分とする混合α−オレフィンである。本発明において、「主要成分」とは、全α−オレフィンに占める当該成分の濃度が30モル%以上、好ましくは51モル%以上であることを意味する。
α−オレフィンとともに使用することのできる他の化合物としては、例えば、鎖状ポリエン化合物および環状ポリエン化合物などのポリエン化合物;環状モノエン化合物;が挙げられる。ポリエン化合物は、共役または非共役のオレフィン性二重結合を2個以上有する。
鎖状ポリエン化合物としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、2,4,6−オクタトリエン、1,3,7−オクタトリエン、1,5,9−デカトリエンが挙げられる。
環状ポリエン化合物としては、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、5−エチル−1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、ジシクロペンタジエン、ジシクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、メチルヒドロインデン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエンが挙げられる。
環状モノエン化合物としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロテトラデセン、シクロオクタデセン、シクロエイコセンなどのモノシクロアルケン;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−イソブチル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、2−ボルネンなどのビシクロアルケン;2,3,3a,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのトリシクロアルケン;1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン;
2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−プロピル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ステアリル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−3−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−クロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ブロモ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンおよび2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどのテトラシクロアルケン;
ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14]ヘプタデセン−4、ペンタシクロ[8,8,12.9,14.7,111.18,0,03.8,012.17]ヘンエイコセン−5、オクタシクロ[8,8,12.9,14.7,111.18,113.16,0,03.8,012.17]ドコセン−5などのポリシクロアルケン;
が挙げられる。
オレフィン重合体(A−1)としては、耐熱性および機械的強度などの観点から、プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体などのプロピレン重合体、ブテン−1単独重合体およびブテン−1共重合体などのブテン−1重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体および4−メチルペンテン−1共重合体などの4−メチルペンテン−1重合体が好ましい。
プロピレン重合体
プロピレン単独重合体としては、アイソタクティック、アタクティックおよびシンジオタクティックなどのいずれのプロピレン単独重合体も使用することができる。
プロピレン共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体およびブロック共重合体などのいずれのプロピレン共重合体も使用することができる。
プロピレン共重合体は、プロピレンに由来する構成単位を通常51モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上有し、プロピレン以外のα−オレフィンおよび/または他の化合物に由来する構成単位を残部量有する共重合体である。プロピレンを含むα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が100モル%であることも好ましい態様の1つである。
プロピレン重合体としては、工業的にポリオレフィンを製造する方法で得られるプロピレン重合体、あるいは市場で広く入手できるプロピレン重合体も使用することができる。
プロピレン重合体の示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点は、発泡体の剛性という観点から、好ましくは100〜180℃、より好ましくは110〜170℃である。
プロピレン重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの測定条件で、好ましくは0.1〜500g/10分、より好ましくは0.2〜300g/10分、さらに好ましくは0.3〜100g/10分である。MFRが前記上限値以下であれば、得られる重合体は溶融粘度が充分高く成形性に優れ、MFRが前記下限値以上であれば、得られる重合体は充分な機械強度を有する。
プロピレン重合体の分子量としては極限粘度を目安とすることができ、135℃のテトラリン溶液で測定される極限粘度(以下「〔η〕」ともいう。)は、通常0.1〜10dl/gである。
プロピレン重合体の製造において用いられる触媒としては、例えば、三塩化チタン触媒、助触媒成分(アルキルアルミニウムなど)と触媒成分(マグネシウム化合物に三塩化チタンや四塩化チタンなどのチタン化合物を担持させて得られる触媒成分など)とを含む触媒が挙げられる。さらに、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドとアルミノキサンまたはホウ素化合物との組み合わせで代表されるようなシクロペンタジエニル化合物を配位子とする周期表第3族、第4族の金属錯体とアルミノキサン化合物とよりなる触媒、あるいはシクロペンタジエニル化合物を配位子とする周期表第3族、第4族の金属カチオン錯体を触媒として用いる均一系の触媒も挙げられる。
重合方法としては、溶媒重合法、実質的に溶媒の存在しない塊状重合法、気相重合法などの従来公知の方法が挙げられる、重合条件としては、通常、反応温度は常温〜200℃であり、圧力は常圧〜50kgf/cm2である。
ブテン−1重合体
ブテン−1単独重合体としては、アイソタクティックおよびアタクティックなどのいずれのブテン−1単独重合体も使用することができる。
ブテン−1共重合体としては、ブテン−1とブテン−1以外のα−オレフィンとのランダム共重合体およびブロック共重合体などのいずれのブテン−1共重合体も使用することができる。
ブテン−1共重合体は、ブテン−1に由来する構成単位を通常51モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上有し、ブテン−1以外のα−オレフィンおよび/または他の化合物に由来する構成単位を残部量有する共重合体である。ブテン−1を含むα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が100モル%であることも好ましい態様の1つである。
ブテン−1以外のα−オレフィンとしては、上記α−オレフィンの中でも、エチレン、プロピレン、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、オクタデセン−1が好ましい。
ブテン−1重合体の示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点は、発泡体の剛性という観点から、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜140℃である。
ブテン−1重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの測定条件で、好ましくは0.5〜200g/10分、より好ましくは5〜100g/10分である。MFRが前記上限値以下であれば、得られる重合体は溶融粘度が充分高く成形性に優れ、MFRが前記下限値以上であれば、得られる重合体は充分な機械強度を有する。
4−メチルペンテン−1重合体は、従来公知の方法で製造することができ、例えばチーグラー触媒の存在下にブテン−1と必要に応じて上記α−オレフィンとを重合することによって得ることができる。
4−メチルペンテン−1重合体
4−メチルペンテン−1単独重合体としては、アイソタクティック、アタクティックおよびシンジオタクティックなどのいずれのメチルペンテン単独重合体も使用することができる。
4−メチルペンテン−1共重合体としては、4−メチルペンテン−1と4−メチルペンテン−1以外のα−オレフィンとのランダム共重合体およびブロック共重合体などのいずれのメチルペンテン共重合体も使用することができる。
4−メチルペンテン−1共重合体は、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位を通常51モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上有し、4−メチルペンテン−1以外のα−オレフィンおよび/または他の化合物に由来する構成単位を残部量有する共重合体である。4−メチル−1−ペンテンを含むα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が100モル%であることも好ましい態様の1つである。
4−メチルペンテン−1以外のα−オレフィンとしては、上記α−オレフィンの中でも、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、オクタデセン−1が好ましく、4−メチルペンテン−1との共重合性が良く、良好な靭性を有する共重合体が得られることから、デセン−1、テトラデセン−1、オクタデセン−1が特に好ましい。
4−メチルペンテン−1重合体の示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点は、発泡体の剛性という観点から、好ましくは220〜240℃、より好ましくは225〜240℃である。
4−メチルペンテン−1重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重5.0kgの測定条件で、好ましくは0.5〜200g/10分、より好ましくは5〜100g/10分である。MFRが前記上限値以下であれば、得られる重合体は溶融粘度が充分高く成形性に優れ、MFRが前記下限値以上であれば、得られる重合体は充分な機械強度を有する。
4−メチルペンテン−1重合体は、従来公知の方法で製造することができ、例えば特開昭59−206418号公報に記載されているように、触媒の存在下に4−メチルペンテン−1と必要に応じて上記α−オレフィンとを重合することによって得ることができる。
(官能基(a))
オレフィン重合体(A)が有する官能基(a)としては、例えば、酸化合物に由来する構成単位(以下「酸基」ともいう。例:カルボン酸基、スルホン酸基)、酸化合物の誘導体に由来する構成単位(以下「酸誘導体基」ともいう。例:カルボン酸無水物基、スルホン酸無水物基などの酸無水物基)、ハロゲン基、水酸基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、ニトリル基、ニトロ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アゾ基、ジアゾ基が挙げられる。オレフィン重合体(A)は、2種以上の官能基(a)を有していてもよい。
本発明において、酸化合物に由来する構成単位とは、例えばマレイン酸であれば下記式(1)で表される基を指し、酸化合物の誘導体に由来する構成単位とは、例えば無水マレイン酸であれば下記式(2)で表される基を指す。
Figure 2012184359
これらの中でも、酸化合物に由来する構成単位および酸無水物に由来する構成単位が好ましく、カルボン酸化合物に由来する構成単位およびカルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、不飽和カルボン酸化合物に由来する構成単位および不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、マレイン酸、ナジック酸(登録商標)、これらの酸無水物に由来する構成単位が特に好ましい。また、スルホン酸化合物に由来する構成単位およびスルホン酸無水物に由来する構成単位も好ましい。
上記カルボン酸化合物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(登録商標)、ソルビン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。
上記カルボン酸化合物の誘導体としては、例えば、上記不飽和カルボン酸の酸無水物、イミド、アミド、エステルが挙げられる。前記誘導体として、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイミド、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレートが挙げられる。
オレフィン重合体(A)において官能基(a)は、例えば当該官能基(a)が酸化合物に由来する構成単位および/または酸化合物の誘導体に由来する構成単位である場合、当該オレフィン重合体(A−1)(すなわち当該オレフィン(A−1)由来の重合体鎖)100質量部に対して、通常0.01〜50質量部、好ましくは0.05〜40質量部、より好ましくは0.1〜30質量部の量で導入されてなる。
官能基(a)の含有量が前記下限値以上であれば、アイオノマー樹脂の歪み硬化性が良好となる傾向があり、官能基(a)の含有量を前記上限値以下であれば、例えばグラフト反応と共に、熱あるいはラジカル開始剤(以下「ラジカル発生剤」ともいう。)の作用により、オレフィン重合体の主鎖骨格の分解反応が比較的起こりにくく、オレフィン重合体(A)の分子量が極端に小さくなるなどすることが少なく、結果として機械的特性の低下や着色などが起こりにくい。
官能基(a)が酸化合物に由来する構成単位または酸化合物の誘導体に由来する構成単位ではない場合、官能基(a)はオレフィン重合体(A)100質量%のうち、通常0.1〜30質量%を占める。
官能基(a)をオレフィン重合体(A−1)に導入する方法としては、例えば、
(方法1)オレフィン重合体(A−1)をグラフト変性する方法;
(方法2)オレフィン重合体(A−1)中に鎖状ポリエン化合物あるいは環状ポリエン化合物に由来する構成単位が含まれる場合、前記ポリエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合を適切な処理剤と反応させる方法;
(方法3)前記方法1のグラフト変性を行った後に、得られたグラフト変性体を適切な処理剤とさらに反応させて、得られたグラフト変性体中の官能基を官能基(a)に変換する方法;
が挙げられる。
以下、オレフィン重合体(A−1)に、官能基(a)として酸化合物に由来する構成単位および/または酸化合物の誘導体に由来する構成単位を導入する場合を例にとって、各方法について詳説する。
(方法1)
方法1としては、例えば、オレフィン重合体(A−1)に酸化合物および/または酸化合物の誘導体(以下「グラフトモノマー」ともいう。)をグラフトする方法が挙げられ、従来公知の方法を制限無く用いることができる。例えば、オレフィン重合体(A−1)100質量部に対して、グラフトモノマーを通常0.01〜50質量部、好ましくは0.05〜40質量部、より好ましくは0.1〜30質量部用いてグラフト変性を行えばよい。
例えば、オレフィン重合体(A−1)としてプロピレン重合体を用いる場合、プロピレン重合体を溶融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる溶融変性法、プロピレン重合体を溶媒に溶解させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる溶液変性法が挙げられる。
グラフト反応は、オレフィン重合体(A−1)にグラフトモノマーを効率よくグラフトさせる観点から、ラジカル開始剤の存在下に行うことが好ましく、この場合、グラフト反応は通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は、オレフィン重合体(A−1)100質量部に対して、通常0.001〜2質量部である。
ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機パーオキサイドが好ましい。ラジカル開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(方法2)
方法2としては、例えば、特開2006−137873号公報に記載の方法が挙げられる。オレフィン重合体(A−1)に無水マレイン酸基を導入する場合、例えば、酸性条件下、オレフィン重合体(A−1)と無水マレイン酸とを反応させる。オレフィン重合体(A−1)にスルホン酸基を導入する場合、例えば、オレフィン重合体(A−1)と硫酸−無水酢酸、発煙硫酸などの反応剤を反応させる。
(方法3)
方法3としては、例えば、前記方法1のグラフト変性処理を行った後、得られたグラフト変性体とアミノスルホン酸とを反応させることにより、官能基をスルホン酸基に変換する方法が挙げられる。
アミノスルホン酸としては、例えば、p−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸が挙げられる。アミノスルホン酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《金属塩(B)》
金属塩(B)は、金属成分を含む官能基(b)を2つ以上有する。ここで金属成分を含む官能基(b)は、官能基(a)と相互作用(例:反応)しうる官能基(例:反応性部位)である。すなわち金属塩(B)は、オレフィン重合体(A)の官能基(a)と相互作用しうる「金属成分を含む官能基(b)」を2つ以上有する。例えばコハク酸二ナトリウムであれば、1つの−COONa基が1つの官能基である。
ただし、金属塩(B)からは炭酸塩は除外される。本発明において金属塩(B)から炭酸塩が除外される理由は以下の考えに基づく。例えば炭酸カリウムを用いた場合、アイオノマー樹脂中にカリウム(K+:カチオン部)は残存するが、炭酸部分(CO3 2-:アニオン部)はCO2として揮発して残存しないと考えられる。これに対して、炭酸塩以外の無機酸の金属塩、例えばリン酸塩やホウ酸塩を用いた場合、アイオノマー樹脂中にリン酸部分やホウ酸部分(アニオン部)が残存するため、その結果、溶融張力等の向上という効果が発現すると考えられる。
可逆的または不可逆的のいかんによらず、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合などの分子間相互作用により、金属塩(B)を介してオレフィン重合体(A)同士が少なくとも一部で架橋構造を形成することにより、本発明の優れた物性(例:低い独立気泡率、低い反発弾性)が発現していると推測される。
金属塩(B)における金属成分(イオン)としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セシウム、ストロンチューム、ルビジウム、チタン、亜鉛、銅、鉄、錫、鉛などの周期表第1〜16族の金属が挙げられる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムが好ましく、オレフィン重合体(A)の分子鎖架橋を促進させる観点から、1価の金属成分(イオン)が好ましく、ナトリウム、カリウムがより好ましく、カリウムが特に好ましい。
金属塩(B)としては、有機酸あるいは無機酸の金属塩が好ましい。すなわち金属塩(B)が有する官能基(b)としては、有機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基および無機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
有機酸が有する酸官能基としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)が挙げられ、前記酸官能基を金属成分により中和してなる基としては、例えば、−COOM、−SO3M(式中、Mは金属成分を指す。)が挙げられる。
無機酸が有する酸官能基としては、リン酸(H3PO4)およびホウ酸(B(OH)3)が有する官能基(POOH、BOH)が挙げられ、前記酸官能基を金属成分により中和してなる基としては、例えば、リン酸塩およびホウ酸塩が有する基(POOM、BOM;式中、Mは金属成分を指す)が挙げられる。
有機酸金属塩としては、コハク酸塩、アジピン酸塩、ブタンテトラカルボン酸塩などの脂肪族多価カルボン酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、ヘミメリト酸塩、トリメリト酸塩、トリメシン酸塩、メロファン酸塩、プレーニト酸塩、ピロメリト酸塩、メリト酸塩などの芳香族多価カルボン酸塩、クエン酸塩などのヒドロキシ多価カルボン酸塩、イミノ二酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩などの窒素原子含有多価カルボン酸塩が挙げられ、コスト、入手容易性、作業性、製造時の成形安定性、得られるアイオノマー樹脂組成物の物性バランスの観点から、コハク酸塩、クエン酸塩、イミノ二酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩が好ましい。有機酸金属塩の具体例としては、例えばカリウム塩であれば、コハク酸二カリウム、クエン酸三カリウム、イミノ二酢酸二カリウム、ニトリロ三酢酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五カリウムが挙げられる。有機酸金属塩は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機酸金属塩としては、加熱などを行っても分解が起こりにくく、アイオノマー樹脂中に残留しやすいため、リン酸塩、ホウ酸塩が好ましい。無機酸金属塩の具体例としては、リン酸三カリウム、四ホウ酸カリウムが挙げられる。ただし上述のように、無機酸金属塩からは炭酸塩は除かれる。無機酸金属塩は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また酸官能基が1分子に3個以上ある場合、全ての酸官能基が金属成分により中和されていてもよく、1つ以上の酸官能基が金属成分で中和されていなくとも2つ以上の酸官能基が金属成分で中和されていればよい。好ましくは全ての酸官能基が金属成分で中和されてなる化合物である。
アイオノマー樹脂(X1)の形成において、金属塩(B)の使用割合は、オレフィン重合体(A)100質量部に対して、通常0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。使用割合が前記下限値を下回る場合、架橋密度が低く、歪み硬化性が不充分なアイオノマー樹脂が得られやすい。使用割合が前記上限値を上回る場合、得られるアイオノマー樹脂は、架橋密度が高くなりすぎて溶融流動性が著しく悪化し、成形加工性が悪化する上、金属塩のアイオノマー樹脂中への分散性が著しく悪化し、最終的に得られる発泡体の外観不良などの問題に繋がる。
《オレフィン重合体(C)》
本発明で用いられる発泡体は、アイオノマー樹脂(X1)と、官能基含有オレフィン重合体(A)とは異なるオレフィン重合体(C)とから形成されたアイオノマー樹脂組成物(X2)の発泡体でもよい。
オレフィン重合体(C)は、官能基含有オレフィン重合体(A)とは異なり、官能基(a)を有さないオレフィン重合体である。オレフィン重合体(C)としては、例えば、上述のオレフィン重合体(A−1)であって且つ官能基(a)を有さないものが好ましい。
オレフィン重合体(C)は、α−オレフィンに由来する構成単位を、通常50モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%有する。α−オレフィンに由来する構成単位の含有量は100モル%であってもよい。オレフィン重合体(C)は、耐熱性、機械的強度、耐湿性、耐薬品性などの観点から、結晶性ポリオレフィンであることが好ましい。
オレフィン重合体(C)の詳細はオレフィン重合体(A−1)と同じであり、好ましい範囲もオレフィン重合体(A−1)と同じである。特に耐熱性、機械的強度などの観点から、プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体などのプロピレン重合体、ブテン−1単独重合体およびブテン−1共重合体などのブテン−1重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体および4−メチルペンテン−1共重合体などの4−メチルペンテン−1重合体が好ましい。
アイオノマー樹脂(X1)とオレフィン重合体(C)との混合割合((X1):(C))は、質量比率で、通常1:99〜99:1、好ましくは5:95〜80:20、より好ましくは10:90〜50:50、さらに好ましくは10:90〜30:70である。
オレフィン重合体(C)の添加量は、混合後のアイオノマー樹脂組成物(X2)全体に対して、質量基準で、通常1〜99%、好ましくは20〜95%、より好ましくは50〜90%、さらに好ましくは70〜90%である。
オレフィン重合体(C)のサイズ排除クロマトグラフィにて測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、通常1000〜5000000、好ましくは10000〜3000000である。
《その他の成分》
アイオノマー樹脂(X1)またはアイオノマー樹脂組成物(X2)には、所望に応じて難燃剤、熱安定剤、酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤などの各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
〈アイオノマー樹脂(X1)およびアイオノマー樹脂組成物(X2)の製造方法〉
アイオノマー樹脂(X1)は、例えば、金属塩(B)の存在下に官能基含有オレフィン重合体(A)を溶融混練することによって得られる。「溶融混練」とは、せん断および加熱を同時に行う処理をいう。溶融混練は、例えば、熱可塑性樹脂を加工するために使用される一般的な溶融混練装置を用いて行うことができる。溶融混練装置は、バッチ式でも連続式でもよい。溶融混練装置の具体例としては、バンバリーミキサー、ニーダーなどのバッチ式溶融混練装置;同方向回転型連続式二軸押出機などの連続式溶融混練装置が挙げられる。
オレフィン重合体(C)の添加方法としては、例えば、(1)アイオノマー樹脂(X1)とオレフィン重合体(C)とを溶融混練する方法、(2)金属塩(B)の存在下に官能基含有オレフィン重合体(A)とオレフィン重合体(C)とを同時に溶融混練する方法(アイオノマー樹脂(X1)の形成と、アイオノマー樹脂(X1)およびオレフィン重合体(C)の溶融混練を同時に行う方法)が挙げられる。いずれの方法でも、アイオノマー樹脂(X1)とオレフィン重合体(C)とから形成されたアイオノマー樹脂組成物(X2)が得られる。
これら2つの方法のうち、何れの方法を用いてもよい。アイオノマー樹脂の架橋密度を制御しやすいという観点からは、上述のように一旦アイオノマー樹脂(X1)のみを製造し、その後にアイオノマー樹脂(X1)とオレフィン重合体(C)とを溶融混練する方法が好ましい。製造コストの観点からは、金属塩(B)の存在下に官能基含有オレフィン重合体(A)とオレフィン重合体(C)とを同時に溶融混練する方法が好ましい。
溶融混練は、官能基含有オレフィン重合体(A)、金属塩(B)、必要に応じてオレフィン重合体(C)を含有する混合物に対して行うことが好ましく、具体的な方法としては、下記(I)および(II)の方法が挙げられる。
方法(I):官能基含有オレフィン重合体(A)、金属塩(B)および必要に応じてオレフィン重合体(C)を含有する混合物に対して、二軸押出機を用いて連続的に溶融混練する方法。
方法(II):官能基含有オレフィン重合体(A)、金属塩(B)および必要に応じてオレフィン重合体(C)を含有する混合物に対して、バッチ式ニーダーを用いて溶融混練する方法。
溶融混練の条件は、官能基含有オレフィン重合体(A)の融点またはガラス転移温度、金属塩(B)の種類、溶融混練装置の種類などによって異なるが、処理温度は通常80〜350℃、好ましくは100〜320℃であり、処理時間は通常30秒間〜30分間、好ましくは60秒間〜10分間である。
処理温度が低すぎると、官能基含有オレフィン重合体(A)と金属塩(B)とを充分に反応等させるのに必要な時間が長くなり、生産性の観点から問題となることがある。処理温度が高すぎると、官能基含有オレフィン重合体(A)と金属塩(B)とを均一に反応させることが困難となり、最終的に得られるアイオノマー樹脂(X1)中の架橋密度の粗密が著しくなり、特に機械的特性の低下に繋がることがある。
金属塩(B)は、例えば、水溶液のように液状の形態で、官能基含有オレフィン重合体(A)および必要に応じてオレフィン重合体(C)と混合することが好ましい。これは前記重合体(A)が、酸無水物がグラフトされたオレフィン重合体の場合に特に有利である。なぜなら、前記水溶液中に含まれる水が酸無水物を二塩基酸へと加水分解するために使用されるからである。
アイオノマー樹脂(X1)の平均分子量の指標である溶融流動性は以下のとおりである。即ち、オレフィン重合体(A−1)がプロピレン重合体の場合、230℃、2.16kg荷重下でのアイオノマー樹脂(X1)のMFR、オレフィン重合体(A−1)がブテン−1重合体の場合、190℃、2.16kg荷重下でのアイオノマー樹脂(X1)のMFR、オレフィン重合体(A−1)が4−メチルペンテン−1重合体の場合、260℃、5.0kg荷重下でのアイオノマー樹脂(X1)のMFRは、通常0.01〜500g/10分、好ましくは0.1〜200g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分である。
アイオノマー樹脂(X1)およびアイオノマー樹脂組成物(X2)は伸張粘度が改良されている。これらは、耐薬品性、耐熱性、機械的特性のバランス、成型加工性、寸法安定性、電気絶縁性、低誘電特性、軽量性などに優れているため、これらから得られる発泡体は各種用途に好ましく用いられる。
〔発泡体の製造〕
上記発泡体は、上述のアイオノマー樹脂(X1)またはアイオノマー樹脂組成物(X2)(以下、これらを「成形材料」ともいう。)を発泡することにより得ることができ、押出発泡が好ましい。上記発泡体の製造方法は、例えば、成形材料を押出機内で溶融混練する工程、および低圧領域に当該成形材料を押し出して発泡させる工程を有する。
本発明では、バッチ式発泡法および連続式発泡法を用いることができるが、特に連続式発泡法を用いることが、本発明の衝撃吸収用部材に好適な発泡体を得ることができるため好ましい。バッチ式発泡法および連続式発泡法については、例えば「自動車部材への応用を中心とした樹脂発泡成形技術と適用事例」(技術情報協会、2009年10月30日発行)に記載されている。
製造装置
製造装置としては、例えば、成形材料を溶融状態に加熱し、適度のせん断応力を付与しながら混練し、ダイから押出発泡することができる公知の押出発泡成形装置が挙げられる。前記製造装置を構成する押出機としては、単軸押出機または二軸押出機のいずれも使用することができる。このような押出発泡成形装置としては、例えば、特開2004−237729号に開示された、2台の押出機が接続されてなるタンデム型押出発泡成形装置が挙げられる。このような装置は連続式発泡に好適である。
押出機内での溶融温度は、通常100〜350℃、好ましくは120〜300℃である。発泡剤として超臨界状態の物理発泡剤を用いる場合、物理発泡剤の成形材料に対する溶解および拡散を大幅に高め、短時間で成形材料中に浸透させることを可能とするため、押出機内での溶融温度を物理発泡剤の臨界圧力以上および臨界温度以上に維持することが好ましい。
発泡剤として超臨界状態の物理発泡剤を用いる場合、押出機中で物理発泡剤を昇温および昇圧して超臨界状態とするか、あるいは押出機への供給以前に物理発泡剤を昇温および昇圧して超臨界状態とした後に押出機へ供給することが好ましい。
ダイ出口での樹脂温度(成形材料の温度)は、発泡成形性の観点から、通常50〜250℃、好ましくは60〜240℃である。成形材料を前記温度範囲に冷却し、この後の発泡に適した粘度に調整する。例えばアイオノマー樹脂(X1)におけるオレフィン重合体(A−1)がプロピレン重合体であり、かつ造核剤を使用する場合、貫通孔の平均直径を調整するという観点から、ダイ出口での樹脂温度は例えば130〜160℃が好ましい。
発泡体の形状は、衝撃吸収用部材の形状に応じて適宜設定され、例えば、板状、円柱状、矩形状、凸状、凹状等の公知の形状が挙げられる。発泡体の形状は、ダイに形成されたダイ出口の形状で決まる。
〈細条集束体〉
発泡体の製造方法としては、複数のダイ出口から押し出された発泡体を集束して一つの発泡体とする、いわゆる細条集束体とする方法を好ましく採用することができる。例えば、複数の押出用ダイが集まって構成されるダイ集合体から多数の細条を押出発泡させ、あるいは複数個の押出孔が形成された押出用ダイから多数の細条を押出発泡させ、前記細条を長手方向に相互に融着させて前記細条が多数集束してなる押出発泡体(細条集束体)を得る方法が挙げられる。前記細条には、複数の発泡セルがランダムに存在している。
細条集束体においては、押出発泡体の発泡倍率を高くすることができ、また、充分な厚みを有する押出発泡体を種々の形状で容易に成形することができる。細条集束体の製造方法の詳細は、例えば、特開昭53−1262号公報に記載されている。
細条の形状は、押出用ダイの形状や押出用ダイに形成された押出孔の形状に左右される。押出用ダイおよび押出孔の形状は、円形、菱形、スリット状等の任意の形状とすることができる。押出用ダイおよび押出孔の形状・サイズは全て同一形状・同一サイズとしてもよいし、一つの押出用ダイ中に多種類の形状・サイズの押出孔を形成するようにしてもよい。
押出発泡体は、細条が形成されていない部分(無細条部)を有してもよい。無細条部を形成するには、複数の押出孔が形成された押出用ダイについて、部分的に押出孔を形成しない部分を設けるようにすれば、当該部分からは細条が押し出されず、空隙からなる無細条部が好適に形成されることになる。
〈発泡手段〉
成形材料の発泡手段としては、例えば、成形時に溶融状態の成形材料に物理発泡剤(流体)を注入する物理発泡、成形材料に化学発泡剤を混合させる化学発泡が挙げられる。
物理発泡剤としては、不活性ガス、例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素ガスが挙げられ、特に超臨界状態の炭酸ガスや窒素ガスが好ましい。物理発泡剤は、発泡倍率の調整という観点の観点から、成形材料および物理発泡剤の合計100質量%に対して1〜20質量%注入することが好ましく、2〜15質量%注入することがより好ましい。例えばアイオノマー樹脂(X1)におけるオレフィン重合体(A−1)がプロピレン重合体であり、かつ造核剤を使用する場合、貫通孔の平均直径を調整するという観点から、物理発泡剤は、成形材料および物理発泡剤の合計100質量%に対して、例えば3.0〜10.0質量%注入することが好ましい。
物理発泡剤は、例えば、押出機中の溶融状態の成形材料に対して注入することができ、タンデム型押出発泡成形装置の場合は上流側の押出機中の溶融状態の成形材料に対して注入すればよい。
化学発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタテトラミン等の有機系化学発泡剤が挙げられる。これらの中でも、無機系化学発泡剤が好ましい。
無機系化学発泡剤の添加量は、成形材料100質量部に対して、通常0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部である。有機系化学発泡剤の添加量は、成形材料100質量部に対して、通常0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部である。
物理発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。化学発泡剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、物理発泡剤および化学発泡剤を併用してもよい。
〈添加剤〉
成形材料には、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの添加剤として一般的に使用される造核剤(例:ソルビトール系造核剤、カルボン酸エステル系造核剤、リン酸エステル系造核剤、β晶核剤)を、発泡性などの諸物性を損なわない範囲で少量添加してもよい。
これによって、ダイ出口から押し出された溶融状態の成形材料は、冷却過程においてセル壁の結晶固化が促進されながら、同時に発泡に伴う伸張変形も付与されることになる。その結果、ポリプロピレンを延伸加工して微多孔質シートを製造するときと同様に、セル壁面での貫通孔の平均直径が小さくなり、かつその数密度も多くなり、したがって反発弾性がさらに低くなると期待される。これは、発泡体外部から衝撃が加わったときに、塑性変形することができるセル壁の総面積(比表面積)が増え、より効率的に衝撃を吸収することが可能になるためである。また、造核剤を添加することで、セル壁の球晶サイズが小さくなり、衝撃印加時の塑性変形がより円滑に起こりやすくなることも、反発弾性がさらに低くなると考えられる理由のひとつである。
成形材料100質量%中の造核剤の添加量は、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%である。造核剤の添加量が前記範囲にあると、本発明の目的に適合する小さい貫通孔が得られる。本発明では、通常のポリオレフィンに比べて造核剤の添加量を減じることができる。これはアイオノマー樹脂が分岐ポリマーあるいは星形ポリマー様の分子構造をもつとも考えられ、それ自身が造核剤として作用しうるからであると推定される。
〈発泡体の好ましい要件〉
上記発泡体は、下記要件(1)〜(4)を満たすことが好ましい。
(1)ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される密度が、
0.0090〜0.20g/cm3であること。
(2)ASTM D2856のC法に準拠して測定される独立気泡率が、
0%以上60%未満であること。
(3)セルの平均直径が10μm以上1000μm以下であること。
(4)セルとセルとの間の壁面を貫通する孔の平均直径が、前記セルの平均直径の0.1〜90%であること(本明細書では、前記孔を「貫通孔」ともいう。)。
以下、発泡体の好ましい各要件について説明する。
要件(1):密度
上記発泡体のASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される密度は、好ましくは0.0090〜0.20g/cm3であり、より好ましくは0.010〜0.20g/cm3であり、更に好ましくは0.020〜0.20g/cm3である。密度が前記下限値以上であると、セル壁が薄すぎず、したがって挫屈しにくく、前記上限値以下であると、セル壁が厚すぎず、したがって衝撃吸収性が良好である。
要件(2):独立気泡率
上記発泡体のASTM D2856のC法に準拠して測定される独立気泡率は、好ましくは0%以上60%未満であり、より好ましくは0〜55%であり、更に好ましくは0〜50%である。独立気泡率が前記範囲にあると、外部からの変形を充分に吸収し、なおかつ高い反発弾性を発現させないという、適度な低反発特性が生じる点で優れる。
要件(3):セルの平均直径
上記発泡体のセルの平均直径(平均セル径)は、好ましくは10μm以上1000μm以下であり、好ましくは20〜800μmであり、更に好ましくは30〜600μmである。平均セル径が前記範囲にあると、衝撃吸収性に優れる。平均セル径が前記下限値以上であると、発泡体の柔軟性が十分であり、発泡体を折り曲げたときに破折が生じにくい。平均セル径が前記上限値以下であると、剛性などの機械強度の低下が少なく、発泡体単身を直立させたときに自立させやすいため、鋼板などの高剛性板との積層化が必ずしも必要でなくなり、工程費・材料費が抑えられる傾向にあり、吸湿による物性低下が少ない。
要件(4):貫通孔の平均直径
上記発泡体の貫通孔の平均直径は、セルの平均直径よりも小さく、セルの平均直径の通常0.1〜99%、好ましくは1.0〜75%である。貫通孔の平均直径は、例えば0.5μm以上であり、好ましくは0.5μm以上50μm以下である。貫通孔の平均直径が前記範囲にあると、衝撃吸収性に優れる。貫通孔の平均直径が前記下限値以上であると、低反発性に優れる。貫通孔の平均直径が前記上限値以下であると、剛性などの機械強度の低下が少なく、吸湿による物性低下が少ない。
本発明において、例えば後述するオレフィン重合体(A)1分子あたりの官能基(a)含有量や、金属塩(B)1分子あたりの金属原子数を増やすことで、独立気泡率を低くし、平均セル径を小さくし、貫通孔の平均直径を小さくすることができる。
また、発泡成形時のダイス部分での樹脂圧力の損失(ΔP)を小さくすれば平均セル径を大きくすることができる。具体的には、円形ダイスの場合、ダイス直径を大きくとり、ランド長を短くすることでΔPを小さくすることができる。また、ダイスから出た発泡樹脂の冷却速度を遅くすることでも、平均セル径を大きくすることができる。具体的には、ダイス出口部に温度調節が可能な槽などを設置し、ダイスから出た発泡樹脂をその中を通すことで平均セル径の制御が可能となる。
〔衝撃吸収用部材の用途〕
本発明の衝撃吸収用部材は、衝撃吸収性能(例:低反発性、柔軟性)に優れるとともに、アイオノマー樹脂から形成されていることからリサイクル性および各種基材(例:ポリエチレンテレフタレートからなる基材、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなる基材等の樹脂製基材、アルミニウムシート等の金属製基材)に対する接着性にも優れる。また、耐熱性、耐薬品性、軽量性、機械的特性のバランスに優れる。また、本発明の衝撃吸収用部材は、発泡成形において有利となる、一軸伸張変形を与えたときに歪みと共に粘度が増大する「歪み硬化性」を従来技術に比べてより効率的にかつ顕著に発現させることが可能なアイオノマー樹脂を原材料として用いて得られるため、成形加工性の観点から有利である。
本発明の衝撃吸収用部材は、反発弾性率には特に制限はないが、JIS−K6301に準拠して測定される反発弾性率が、15%以下であることが好ましい。
本発明の衝撃吸収用部材は、衝撃吸収性能が必要とされる用途に好適に用いられ、例えば、自動車部材、クッション、電気製品内蔵用衝撃保護装置、低反発材料、飛散防止用シート、光学材料、防護壁、精密機器用緩衝材、玩具、防護服、建築資材、安全用具、スポーツ用品、家具、土木工事用資材、箱、日用雑貨、電池部材に好適に用いられる。
本発明を、実施例を用いてより具体的に説明する。
本発明において、各物性は以下の方法で測定した。
メルトフローレート(MFR)
各種樹脂のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して、プロピレン重合体を使用した場合は温度230℃、荷重2.16kgの条件下で、ブテン−1重合体を使用した場合は温度190℃、荷重2.16kgの条件下で、4−メチルペンテン−1重合体を使用した場合は温度260℃、荷重5.0kgの条件下で、測定した。
平均分子量(Mw、Mn)
各種重合体の平均分子量(Mw、Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、以下に示す条件で行った。東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積および分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。それらを場合によってはポリプロピレンに換算してMwおよびMnとした。
・SEC:Waters社製 Alliance GPC2000型
・カラム:東ソー(株)製 TSK gel GMH6-HT 2本
・サンプル量:500μl(ポリマー濃度0.15質量%)
・流量:1ml/分
・温度:140℃
・溶媒:o−ジクロルベンゼン
発泡体の密度
密度は、ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定した。
発泡体の独立気泡率
独立気泡率は、ASTM D2856のC法に準拠して測定した。
発泡体のセルの平均直径(平均セル径)
実施例、比較例および参考例で得られた発泡体を任意の断面で切断し、その断面から略7mm×7mm×1mmの切片をひとつ切り出した。この切片の表面に白金を蒸着したのち、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM−651OLV)でその表面構造を観察した。30〜500倍から選ばれる任意の拡大倍率で撮影された、相異なりかつ互いの視野が重ならない3箇所の表面写真(3枚)を用意した。各写真から任意のセルをそれぞれ10個ずつ選び出し、そのセルの最長軸および最短軸を測定し、その平均値をそのセルの直径とした。この作業を前記で選び出された合計30個のセルに対して行い、その平均値を発泡体の「平均セル径」とした。
発泡体のセル壁面の貫通孔の平均直径(平均径)
上記で用意した3枚の写真のそれぞれから任意にセルを3個ずつ選び出し、各セル壁面に存在する全ての貫通孔の直径を測定した。各貫通孔の直径は、上記と同様に、最長軸および最短軸の平均値とした。この作業を全ての貫通孔に対して行い、それらの平均値を、注目しているセルにおける貫通孔の平均直径とした。貫通孔の平均直径の評価作業を選び出された合計9個のセルに対して行い、それらの平均値を発泡体の「貫通孔の平均径」とした。
発泡体の曲げ弾性率
長さ略4.0cm、断面が略1.0cm×0.3cmの直方体サンプル片を用いて、アントンパール社製MCR301により、昇温速度4℃/分、振動数10ヘルツ、歪み0.1にて−50℃から300℃の範囲で動的粘弾性測定を行った。得られたデータより23℃における貯蔵弾性率(G')の値を求め、それを曲げ弾性率とした。
発泡体の10%圧縮強さ
JIS−K7220に準拠して、略5.0cm×5.0cm×2.0cmの直方体サンプル片を用いて、23℃で5mm/分の速度で圧縮試験を行い、10%圧縮時の圧縮強さを測定した。
発泡体の反発弾性率
JIS−K6301に準拠して、略5.0cm×5.0cm×2.0cmの直方体サンプル片を用いて、23℃における反発弾性率を測定した。
発泡体の表面硬度(ショアC)
JIS−K6301に準拠して、略5.0cm×5.0cm×2.0cmの直方体サンプル片を用いて、23℃における表面硬度をショアC硬度計を用いて測定した。
〔合成例1〕シンジオタクティックポリプロピレン(s−PP)の合成
充分に窒素置換した内容量3.0m3の反応槽にn−ヘプタン1000Lを装入し、常温にてメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/L)を610ml(0.93mol)滴下した。
一方、充分に窒素置換した内容量5Lの枝付きフラスコにマグネチックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/L)を610ml(0.93mol)、次いでジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド1.30g(1.86mmol)のトルエン溶液を加え、20分間攪拌した。
この溶液を反応槽に加え、その後水素3200NLを19Nm3/hで10分間かけて供給した。その後プロピレンを65kg/hの量で供給しながら重合を開始した。水素の反応槽内の気相濃度53mol%を保ちながら、プロピレンを65kg/hの量で連続的に供給し、25℃で4時間重合を行った後、少量のジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを添加し重合を停止した。得られたポリマーをヘプタン1.8m3で洗浄し、80℃で15時間減圧乾燥を行った結果、ポリマー100kgが得られた。
重合活性は14kg−PP/mmol−Zr・Hrであり、得られたポリマーの〔η〕は1.96dl/g、DSCで測定される融点はTm1=152.8℃、Tm2=159.3℃であり、MFR=6.0g/10分であり、rrrr=0.95であり、n−デカン可溶部量は測定下限(0.5質量%)以下であった。このようにして得たシンジオタクティックポリプロピレンを以下ではs−PPと略記する。
官能基含有オレフィン重合体(A)
〔調製例1〕
オレフィン重合体(A−1)としてホモポリプロピレン(プライムポリマー製、商品名:J105G)100質量部と、グラフトモノマーとして無水マレイン酸0.7質量部、およびラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルZ)0.2質量部をアセトン10質量部に溶解させて得られる溶液とをドライブレンドした。
その後、二軸混練機((株)テクノベル製、商品名:KZW15)を用いて、樹脂温度180℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量25g/分の条件で溶融変性を行った。押出しの際、ラジカル開始剤、溶剤および未反応の無水マレイン酸は真空脱気した。
押出された溶融状態のストランドを冷却後にペレット化して、グラフト量(無水マレイン酸に由来する基の含有量)が0.5質量%であるマレイン酸変性プロピレン重合体を得た。
〔調製例2〜10〕
調製例1において、オレフィン重合体(A−1)およびグラフトモノマーの種類および配合量、開始剤の配合量、ならびに溶融変性条件を表1に記載のとおりに変更したこと以外は調製例1と同様にして、官能基含有オレフィン重合体を得た。
Figure 2012184359
アイオノマー樹脂(X1)
〔製造例1〕
15mmφ二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、ダイス温度230℃、スクリュー回転数200rpmの条件で、官能基含有オレフィン重合体(A)として調製例1で調製したマレイン酸変性プロピレン重合体100質量部と金属塩(B)としてエチレンジアミン四酢酸四カリウム0.5質量部とを溶融混合し、ペレタイザーにてペレット化を行い、アイオノマー樹脂のペレットを得た。(B)成分は、任意の濃度の水溶液とした後、(A)成分とは独立の高圧注入ゾーンからシリンダーに供給した。
[製造例2〜10、比較製造例1〜8]
製造例1において、官能基含有オレフィン重合体(A)および金属塩(B)の種類および配合量を表2に記載のとおりに変更したこと以外は製造例1と同様にして、アイオノマー樹脂のペレットを得た。
なお、上記製造例および比較製造例において、溶融混合は、官能基含有オレフィン重合体(A)を構成するオレフィン重合体(A−1)の種類に応じて、以下の条件に従って行った。
(1)h−PP :シリンダー温度230℃、ダイス温度230℃、スクリュー回転数200rpm
(2)r−PP :シリンダー温度180℃、ダイス温度180℃、スクリュー回転数200rpm
(3)s−PP :シリンダー温度200℃、ダイス温度200℃、スクリュー回転数200rpm
(4)P4MP1:シリンダー温度260℃、ダイス温度260℃、スクリュー回転数200rpm
(5)i−PB :シリンダー温度160℃、ダイス温度160℃、スクリュー回転数200rpm
(6)i−PBR:シリンダー温度140℃、ダイス温度140℃、スクリュー回転数200rpm
Figure 2012184359
オレフィン重合体(C)
実施例で用いたオレフィン重合体(C)を表3に示す。
Figure 2012184359
[実施例1]:連続発泡
15mmφ二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、ダイス温度230℃、スクリュー回転数200rpmの条件で、オレフィン重合体(C)としてホモポリプロピレン(プライムポリマー製、商品名:F113G)とアイオノマー樹脂(X1)として製造例1で製造したアイオノマー樹脂のペレットとを質量比が(C)/(X1)=90/10の割合で溶融混合し、ペレタイザーにてペレット化を行い、成形材料を得た。
得られた成形材料を用いて、タンデム型押出発泡成形装置(フロンティア社製、前記装置は、スクリュー径がφ50mmの単軸押出機およびスクリュー径がφ65mmの単軸押出機の2台の単軸押出機を備える。)を用いて、またダイとして多数の円形押出孔(円管ダイ。断面積は全て略同一である。)が集合したものを用いて、下記方法(製造条件1)により、押出発泡された円柱状細条が多数集束されてなる板状押出発泡体(細条集束体)である発泡体を製造した。
具体的には、φ50mm単軸押出機により成形材料を溶融させながら、CO2超臨界流体を注入して、当該流体を溶融状態の成形材料中に均一になるように充分溶解させた後、φ50mm単軸押出機に連結されたφ65mm単軸押出機から、φ65mm単軸押出機におけるダイ出口の樹脂温度が155℃となるようにして成形材料を押し出し、多数の細条を集束することによって板状押出発泡体(細条集束体)を製造した。
[実施例2〜15、比較例1〜8]:連続発泡
実施例1において、アイオノマー樹脂(X1)のペレットおよびオレフィン重合体(C)の種類および配合量、ならびに製造条件を表4および表5に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、発泡体を製造した。ただし、実施例5および15では、アイオノマー樹脂(X1)をそのまま成形材料とした。
Figure 2012184359
Figure 2012184359
CO2超臨界流体の質量基準は、樹脂成分とCO2との合計質量である。
φ65mm単軸押出機のダイ出口における樹脂温度は、例えば、熱電対温度計により測定した値を採用すればよく、この樹脂温度が、発泡しながら押し出された溶融樹脂の温度と考えることができる。
[参考例1]
ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、グレードF113G、MFR=3.0g/10分)を真空プレス成形機(関西ロール(株)製)にて、真空下230℃、圧力10MPaで5分間加圧した。その後、常圧下20℃、圧力10MPaで5分間加圧することで、厚さ20mm、長さ50mm、幅50mmのプレスシートを製造し、これを圧縮強さ、反発弾性率、表面硬度の評価に使用した。また、曲げ弾性率の評価には、厚さ3mm、長さ80mm、幅80mmのプレスシートを同様の方法で製造したのち、このプレスシートから厚さ3mm、長さ40mm、幅10mmの直方体状サンプルを3本切り出して、曲げ試験に使用した。
[参考例2〜5]
参考例1において、ポリプロピレン樹脂にかえて、s−PP(参考例2)、P4MP1(参考例3)、i−PB(参考例4)、i−PBR(参考例5)(表3の略号を使用)を用い、かつ加圧条件を「真空下230℃、圧力10MPaで5分間加圧した後、常圧下20℃、圧力10MPaで5分間加圧」(参考例2)、「真空下280℃、圧力10MPaで5分間加圧した後、常圧下20℃、圧力10MPaで5分間加圧」(参考例3)、「真空下180℃、圧力10MPaで5分間加圧した後、常圧下20℃、圧力10MPaで5分間加圧」(参考例4)、「真空下150℃、圧力10MPaで5分間加圧した後、常圧下20℃、圧力10MPaで5分間加圧」(参考例5)に変更したこと以外は参考例1と同様に行い、プレスシートおよびサンプルを得た。
[参考例6,7]
(1)軟質ポリウレタンフォームの製造
・ポリオールA:グリセリンにプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドを付加重合して得た、ヒドロキシル基価54kgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・TEDA:トリエチレンジアミン。
・DMEA:N,N−ジメチルエタノールアミン。
・L−5740s:日本ユニカー社製シリコーン発泡剤。
・BLDMC:ベンジル,ラウリル,ジメチルアンモニウムクロリド。
・TDI−80:2,4−トリレンジイソシアナート80質量%と
2,6−トリレンジイソシアナート20質量%との混合物。
280質量部のポリオールA、14.0質量部の水、0.233質量部のTEDA、0.336質量部のDMEA、3.92質量部のL−5740S、0.112質量部のBLDMCを予め混合し、これに0.28質量部のスタナスオクトエートを加え、高速混合後直ちに1.00質量部のTDI−80を加え、さらに高速混合し、予め40℃に調整した内寸400×400×70mmの金型へ注入し、ふたをして発泡させた。160℃のオーブンで12分間加熱硬化させた後、フォームを金型から取り出し、試料とした。
(2)硬質ポリウレタンフォームの製造
高圧発泡機(CANNON HC−40)を用いて、芳香族アミン系ポリエーテルポリオールおよびフタル酸系ポリエステルポリオールの混合ポリオールに、整泡剤、3級アミン触媒、水およびシクロペンタンを配合してなるプレミックスと、タケネート4040MC(ポリメリックMDIと変性TDIとの混合物)とを混合し、得られた混合物を、45℃に加熱された厚さ45mm、50cm角のアルミ製モールドに注入し、全体密度43kg/m3の硬質ポリウレタンフォームのパネルを得た。発泡成形後、室温で24時間放置した後、パネルから厚み25mm、20cm角のコアフォームサンプルを切り出し、試料とした。
以上の実施例、比較例および参考例の評価結果を表6に示す。
Figure 2012184359
※参考例における「バルク」は、プレスシートを意味する。
※比較例および参考例における「−」は、参考例1〜5では発泡体ではないのでセル径等が測定できないことを表し、比較例1〜8および参考例7では独立気泡率の高い発泡体のため、貫通孔が観察されなかったことを表す。
アイオノマー樹脂組成物の接着強度試験
以下に、本発明の衝撃吸収用部材の成形材料であるアイオノマー樹脂組成物と各種基材(例:ポリエチレンテレフタレート、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アルミニウムシート)との積層体の製造方法および接着性評価結果を示す。
[試験例1]
基材層の一つとして、実施例2で得られた成形材料(アイオノマー樹脂組成物)を真空プレス成形機(関西ロール(株)製)にて、真空下230℃、圧力10MPaで5分間加圧した。その後、常圧下20℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ100μm、長さ80mm、幅15mmのプレスシート(Q−1)を得た。
他の基材層として、ポリエチレンテレフタレート(三井化学(株)製 グレードJ135T、以下「PET」という。)を温度80℃で8時間乾燥した後、上記真空プレス成形機にて、真空下280℃、圧力10MPaで5分間加圧した。その後、常圧下20℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ100μm、長さ80mm、幅15mmのプレスシート(Q−2)を得た。
得られた2種のプレスシートをシート(Q−1)およびシート(Q−2)の順に重ね、240℃に設定されたヒートシール試験機(テスター産業(株)製、ヒートシールテスターTP−701−B)にて20秒間ヒートシールを行い、層(Q−1)と層(Q−2)とからなる積層構造体(T−1−1)を製造した。
得られた積層構造体(T−1−1)について、層(Q−1)と層(Q−2)との界面接着強度を、引張試験機(インストロンジャパン社製、INSTRON1123)を用いて、剥離雰囲気温度23℃、剥離速度500mm/分、ピール幅15mmの条件でT型剥離して求めたところ、接着強度は27N/15mmであり、剥離形態は凝集破壊であった。
[試験例2]
他の基材層として、エチレン・ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、商品名:エバール、グレードL101A、以下「EVOH」という。)を温度80℃で8時間乾燥した後、上記真空プレス成形機にて、真空下220℃、圧力10MPaで5分間加圧した。その後、常圧下20℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ100μm、長さ80mm、幅15mmのプレスシート(Q−3)を得た。
試験例1において、シート(Q−2)の代わりにシート(Q−3)を用いたこと以外は試験例1と同様にして積層構造体(T−1−2)を製造して、その接着強度を測定した。その結果、接着強度は8.8N/15mmであり、剥離形態は凝集破壊であった。
[試験例3]
試験例1において、シート(Q−2)の代わりに厚さ100μm、長さ80mm、幅15mmのアルミニウムシート(Q−4)を用いたこと以外は試験例1と同様にして積層構造体(T−1−3)を製造して、接着強度を測定したところ、接着強度は48N/15mmであり、剥離形態は凝集破壊であった。
[試験例4]
基材層の一つとして、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、ホモポリプロピレン、グレードF113G、MFR=3.0g/10分)を真空プレス成形機(関西ロール(株)製)にて、真空下230℃、圧力10MPaで5分間加圧した。その後、常圧下20℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ100μm、長さ80mm、幅15mmのプレスシート(Q−5)を得た。
試験例1〜3において、シート(Q−1)の代わりにシート(Q−5)を用いたこと以外は試験例1〜3と同様にして積層構造体を製造して、各種基材との接着強度試験を行った。その結果、PETとの接着強度は0.0N/15mm、EVOHとの接着強度は0.0N/15mm、Alとの接着強度は0.0N/15mmであり、なおかついずれも剥離形態は界面剥離であり、接着性を示さなかった。
以上の試験例1〜4の結果から明らかなように、本発明の衝撃吸収用部材の成形材料であるアイオノマー樹脂組成物は、各種基材(例:ポリエチレンテレフタレート、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アルミニウムシート)との接着性に優れている。したがって、本発明の衝撃吸収用部材は、各種基材との接着性に優れていることがわかる。

Claims (12)

  1. 少なくともアイオノマー樹脂から形成された発泡体からなる衝撃吸収用部材であり、
    前記アイオノマー樹脂が、(A)炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有し、且つ官能基(a)を有するオレフィン重合体100質量部と、(B)金属成分を含む官能基(b)を2つ以上有する金属塩(ただし、炭酸塩を除く)0.01〜100質量部とから形成されたアイオノマー樹脂(X1)である、衝撃吸収用部材。
  2. 前記官能基(a)が、酸化合物に由来する構成単位および酸無水物に由来する構成単位から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の衝撃吸収用部材。
  3. 前記官能基(b)が、有機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基および無機酸が有する酸官能基を金属成分により中和してなる基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の衝撃吸収用部材。
  4. 前記オレフィン重合体(A)が、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有するオレフィン重合体(A−1)のグラフト変性体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
  5. 前記オレフィン重合体(A−1)が、プロピレンに由来する構成単位の含有量が51モル%以上であるプロピレン重合体である、請求項4に記載の衝撃吸収用部材。
  6. 前記オレフィン重合体(A−1)が、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量が51モル%以上である4−メチルペンテン−1重合体である、請求項4に記載の衝撃吸収用部材。
  7. 前記オレフィン重合体(A−1)が、ブテン−1に由来する構成単位の含有量が51モル%以上であるブテン−1重合体である、請求項4に記載の衝撃吸収用部材。
  8. 前記オレフィン重合体(A)において、前記官能基(a)が、前記オレフィン重合体(A−1)100質量部に対して、0.01〜50質量部の量で導入されてなる、請求項4〜7のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
  9. 前記発泡体が、前記アイオノマー樹脂(X1)と、前記オレフィン重合体(A)とは異なるオレフィン重合体(C)とから形成された樹脂組成物(X2)の発泡体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材。
  10. 前記アイオノマー樹脂(X1)と前記オレフィン重合体(C)との質量比率が、(X1):(C)=1:99〜99:1である、請求項9に記載の衝撃吸収用部材。
  11. 前記オレフィン重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を有するオレフィン重合体である、請求項9または10に記載の衝撃吸収用部材。
  12. 前記発泡体が、下記要件(1)〜(4)を満たす、請求項1〜11のいずれか一項に記載の衝撃吸収用部材:
    (1)ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される密度が、
    0.0090〜0.20g/cm3であること。
    (2)ASTM D2856のC法に準拠して測定される独立気泡率が、
    0%以上60%未満であること。
    (3)セルの平均直径が10μm以上1000μm以下であること。
    (4)セルとセルとの間の壁面を貫通する孔の平均直径が、
    前記セルの平均直径の0.1〜90%であること。
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