JP2012183580A - 線材圧延の元材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる線材圧延の元材Wの製造方法は、鋳片Sを往復圧延することで形材Mへ成形するリバース圧延機5と、リバース圧延機5で成形された形材Mを線材圧延の元材Wに圧延する孔型を備えた圧延ロール8を複数備えた連続圧延機7と、を有する分塊圧延装置を用いて、線材圧延の元材Wを成形する際に、連続圧延機7の出側における線材圧延の元材Wの幅寸法が目標値となるように、鋳片Sの鋼種ごとに連続圧延機7の入側における形材Mの幅寸法を設定しておき、形材Mが設定された幅寸法となるように、鋳片Sをリバース圧延機5で圧延するものである。
【選択図】図8
Description
すなわち、孔型圧延する際には、リバース圧延機でまずブルーム鋳片の断面積を減少させて形材を成形する。そして、この形材を、さらに菱角孔型を備えた圧延ロールを複数備えた連続圧延機で圧延することで、断面積をさらに減少させた元材が成形される(分塊圧延工程)。このようにして、分塊圧延工程により断面積を大幅に減少させた元材が、線材圧延工程での孔型圧延に供され、棒鋼などの線材が成形されるのである。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、鋼種が変化した場合であっても、孔型圧延の元材として寸法精度に優れたものを供給することができ、生産性にも優れた線材圧延の元材の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の線材圧延の元材の製造方法は、鋳片を往復圧延することで形材へ成形するリバース圧延機と、当該リバース圧延機で成形された形材を線材圧延の元材に圧延する孔型を備えた圧延ロールを複数備えた連続圧延機と、を有する分塊圧延装置を用いて、線材圧延の元材を成形するものであって、前記連続圧延機の出側における線材圧延の元材の幅寸法が目標値となるように、ブルーム鋳片の鋼種ごとに連続圧延機の入側における形材の幅寸法を設定しておき、前記形材が設定された幅寸法となるように、前記ブルーム鋳片
をリバース圧延機で圧延することを特徴とするものである。
また、前記連続圧延機の出側に設置された計測手段により、連続圧延機の出側のおける線材圧延の元材の天地寸法を計測し、計測された天地寸法の実績値と目標値の差が無くなるように、前記連続圧延機の最終スタンドのロール隙間を調整するのが好ましい。
図1に示すように、本発明の製造方法は、大きく分けると、ブルーム鋳片S(鋳塊)をこのブルーム鋳片Sより断面積が小さな元材Wに圧延する分塊圧延工程1と、分塊圧延工程1で圧延された元材Wをさらに圧延して条鋼を得る線材圧延工程2とを有している。
分塊圧延工程1は、加熱炉3でブルーム鋳片S(鋳塊)を加熱する加熱工程と、加熱されたブルーム鋳片Sをリバース圧延機5で往復圧延して形材Mを成形するリバース圧延工程と、成形された形材Mを連続圧延機7で線材圧延工程2の元材Wに圧延する連続圧延工程とを備えている。
)を有するロール18を複数組備えた粗圧延機(図示せず)やその下流側に備えられた中間圧延機9及び仕上げ圧延機10を用いて、分塊圧延工程1で圧延された元材Wを線材や棒鋼などの条鋼に圧延するものである。
以降では、まず本発明の製造方法を構成する各工程を詳しく説明する。
まず、分塊圧延工程1の詳細について説明する。
分塊圧延工程1に備えられる加熱工程は、ブルーム鋳片Sを加熱炉3を用いて加熱する工程である。この加熱工程に用いられる加熱炉3は内部が空洞とされた筺状に形成されており、加熱炉3の内部は高温雰囲気に維持されている。本実施形態の加熱炉3は、この加熱炉3の内部にブルーム鋳片Sを送って加熱することにより、ブルーム鋳片Sを1000〜1200℃程度に加熱している。加熱炉3で加熱されたブルーム鋳片Sは図示しないデスケーラ(高圧洗浄水や高圧蒸気の作用により、ブルーム鋳片Sの表面からサブスケールを除去する装置)などに送られた後、リバース圧延機5に送られる。
圧延の元材Wの幅寸法が目標値となるように、鋼種ごとに連続圧延機7の入側における形材Mの幅寸法を設定しておき、この設定された幅寸法に形材Mがなるようにリバース圧延機5を行うことを特徴としている。
このようにすれば、ブルーム鋳片Sの材種(鋼種)が変化した場合には、連続圧延機7の入側における形材Mの幅寸法が材種に合わせた目標値に設定し直される(プリセットされる)ため、連続圧延で圧延のされ方が異なっても元材Wとしては寸法精度に優れたものを供給することができ、矯正などのために別工程を設ける必要もなくなる。
まず、本発明者らは、炭素量が0.01%、0.45%、0.90%の3鋼種の形材M(220mm角)を、3基の圧延スタンド4からなる連続圧延機7で圧延する場合に、後述する充填率と最終の製品寸法とがどのように変化するかを、有限要素法(FEM)を用いてシミュレーション解析により求めた。なお、圧延は220mm角の形材Mを207mm±0.5mm角の寸法にする場合のものであり、連続圧延機7の圧延スタンド4は上流側から菱−菱−角の孔型を備えた圧延ロール8をそれぞれ備えている。
図2に示すように、炭素量が互いに異なる形材Mを圧延すると、炭素量が0.45%及び炭素量が0.90%の形材Mでは、207mm±0.5mmの目標寸法に圧延されるが、炭素量が0.01%の形材Mでは幅広がりが大きくなり、最終の製品寸法は目標のものにならない。
例えば、連続圧延機7の2番目の圧延スタンド4でも、図4に示すように圧延ロール8のロール隙Δを18mmから20mmに変更すれば、孔型に対する材料の充填率が100%未満になり、オーバーフィルを回避できる。ただ、このように圧延ロール8間のロール隙Δを大きくすると、ロール隙Δを大きくした分だけ図5に示すように最終の製品寸法が目標より大きくなり、製品として規格外の寸法となってしまう。
製造方法、すなわち、連続圧延機7の入側における形材Mの幅寸法、すなわちリバース圧延機5の出側における形材Mの幅寸法が目標の値となるように、鋼種に応じてリバース圧延のパススケジュールをプリセットする方法に想到するに至ったのである。
図8に示すように、本発明の製造方法では、まず連続圧延機の入側における形材の幅寸法が鋼種に応じ設定された値となるように、リバース圧延機のパススケジュールを変更する。なお、本実施形態の場合、プリセットされるパススケジュールとは、リバース圧延の各圧延パスで設定されるロール隙の値であり、図9(a)に示す表(図8のフローチャートにおける表1)から決定される。
その後、S82で、選択されたロール隙Δでリバース圧延が行われる。このようにしてリバース圧延された形材の幅寸法は連続圧延機7においてオーバーフィルを起こさないようなものとなる。つまり、表1に予め定められた形材Mの幅寸法は、連続圧延の際に孔型に対する充填率が必ず100%未満となるように予め定められているので、オーバーフィルを起こすことはなく折れ込み疵を生じさせることもない。
なお、上述のように鋼種ごとにリバース圧延機5のロール隙Δを予めプリセットしたとしても、例えば圧延を長時間連続して行った場合には、最終製品の幅寸法が許容範囲から外れてしまうことがある。このような場合は、リバース圧延機5のロール隙Δをリアルタイムで補正して、最終製品の幅寸法を許容範囲から外さないようにする必要がある。
次に、本発明の製造方法では、S83において計測手段11で線材圧延の元材Wの幅寸法を実測し、実測された実測値が予め定められた幅寸法の目標値の範囲に入っているかどうかを判断する。この判断は、実測値が目標値(目標値の許容範囲)との差を計算し、計算された差が予め定められた数値を超えた場合に最終製品の幅寸法が許容範囲から外れていると判断し(S83における「NO」と判断し)、超えない場合には最終製品の幅寸法が許容範囲に収まっていると判断する(S83における「YES」と判断する)。
そこで、図8のS85に示すように、本発明の製造方法では、まず上述した計測手段11により連続圧延機7の出側のおける線材圧延の元材Wの天地寸法も計測するようにしている。そして、計測された天地寸法の実績値を目標値と比較して、その偏差が予め定められた数値を超えた場合に最終製品の天地寸法が許容範囲から外れていると判断し(S85における「NO」と判断し)、超えない場合には最終製品の天地寸法が許容範囲に収まっていると判断する(S85における「YES」と判断する)。
なお、図8のフローチャートにおける表3は、連続圧延機7の最終スタンドのロール隙Δを変更した際に、最終製品の天地寸法がどのように変化するかを予め実機を用いて評価したものである。この表3は、例えば図11(b)に示すような方法により作成することができる。
上述のようにリバース圧延機5のロール隙Δをプリセットしておけば連続圧延機7の入側での形材Mの幅寸法を所定の値に変更することが可能となる。この形材Mの幅寸法は、材種に応じて連続圧延機7での充填率が100%未満となるような値に予め設定されているため、最終製品に折れ込み疵が発生することもない。
維持したものを供給することが可能となり、最終製品の寸法形状が大きく変わることもない。
ところで、上述した製造方法は、条鋼材が最終製品状態で寸法上の許容範囲に収まるように、連続圧延機7の入側における形材Mの幅寸法や天地寸法、言い換えれば断面方向に沿った寸法を制御するものであった。しかし、最終製品でさらに良好な寸法精度を得るためには、形材Mの寸法を断面方向だけでなく長手方向で同じとなるように制御するのがより好ましい。
そこで、形材Mの幅寸法及び/または天地寸法が計測されたら、計測された計測値の差(形材Mに関し、2番目の圧延スタンド通過前の計測値と圧延スタンド通過後の計測値との偏差)が約ゼロとなるように、1番目乃至は2番目の圧延スタンド4の圧延ロール8の回転速度を調整する。
このようにして圧延ロール8の回転速度を調整すれば、形材Mに作用する張力が圧延開始から圧延終了まで約ゼロになって、形材Mの寸法を長手方向にも良好な寸法精度で制御することが可能となる。
すなわち、1番目の圧延スタンド4で圧延された形材Mが2番目の圧延スタンド4を通過する前と後とで、ドップラ速度計などを用いて形材Mの搬送速度を計測し、計測された通過前後での搬送速度の偏差を基に、1番目乃至は2番目の圧延スタンド4のロール回転速度を調整する。このことは、形材Mのトップ線速とミドル線速を計測し、両速度の偏差を基に1番目乃至は2番目の圧延スタンド4のロール回転速度を調整することでもある。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、圧延の運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱
するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 線材圧延工程
3 加熱炉
4 圧延スタンド
5 リバース圧延機
7 連続圧延機
8 圧延ロール
9 粗圧延機
10 仕上圧延機
11 計測手段
Δ ロール隙
M 形材
S ブルーム鋳片
W 元材
Claims (5)
- 鋳片を往復圧延することで形材へ成形するリバース圧延機と、当該リバース圧延機で成形された形材を線材圧延の元材に圧延する孔型を備えた圧延ロールを複数備えた連続圧延機と、を有する分塊圧延装置を用いて、線材圧延の元材を成形する線材圧延の元材の製造方法において、
前記連続圧延機の出側における線材圧延の元材の幅寸法が目標値となるように、鋳片の鋼種ごとに連続圧延機の入側における形材の幅寸法を設定しておき、
前記形材が設定された幅寸法となるように、前記鋳片をリバース圧延機で圧延することを特徴とする線材圧延の元材の製造方法。 - 前記連続圧延機の出側に設置された計測手段により、連続圧延機の出側における線材圧延の元材の幅寸法を計測し、
前記計測手段で計測された元材の幅寸法の実測値と目標値の差が無くなるように、前記リバース圧延機でのパススケジュールを調整することを特徴とする請求項1に記載の線材圧延の元材の製造方法。 - 前記連続圧延機の出側に設置された計測手段により、連続圧延機の出側のおける線材圧延の元材の天地寸法を計測し、
計測された天地寸法の実績値と目標値の差が無くなるように、前記連続圧延機の最終スタンドのロール隙間を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の線材圧延の元材の製造方法。 - 前記連続圧延機が圧延方向に並んだ複数の圧延スタンドを有しているに際しては、
前記圧延スタンドで圧延された形材が、この圧延スタンドの下流側に隣接する圧延スタンドを通過する前後で、形材の幅寸法及び/または天地寸法を計測し、
計測された通過前後での計測値の偏差を基に、圧延スタンドのロール回転速度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の線材圧延の元材の製造方法。 - 前記連続圧延機が圧延方向に並んだ複数の圧延スタンドを有しているに際しては、
前記圧延スタンドで圧延された形材が、この圧延スタンドの下流側に隣接する圧延スタンドを通過する前後で、形材の搬送速度を計測し、
計測された通過前後での搬送速度の偏差を基に、圧延スタンドのロール回転速度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の線材圧延の元材の製造方法。
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