以下、本発明の一実施形態を図1〜図51(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、トナーパターン検出器2245、温湿度センサ(図示省略)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えば、パソコン)及び公衆回線を介した情報機器(例えば、ファクシミリ装置)との双方向の通信を制御する。そして、通信制御装置2080は、受信した情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器などを有している(図2参照)。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置及び情報機器からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置及び情報機器からの画像情報を光走査装置2010に送る。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って中間転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。ところで、中間転写ベルト2040上で、トナー画像の移動する方向は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、中間転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
トナーパターン検出器2245は、中間転写ベルト2040の−X側に配置されている。このトナーパターン検出器2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図3〜図6に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの偏向器側走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つの像面側走査レンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200a、カップリングレンズ2201a、開口板2202a、シリンドリカルレンズ2204a、偏向器側走査レンズ2105a、2枚の折り返しミラー(2106a、2108a)、像面側走査レンズ2107aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200b、カップリングレンズ2201b、開口板2202b、シリンドリカルレンズ2204b、偏向器側走査レンズ2105b、2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)、像面側走査レンズ2107bは、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200c、カップリングレンズ2201c、開口板2202c、シリンドリカルレンズ2204c、偏向器側走査レンズ2105c、2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)、像面側走査レンズ2107cは、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200d、カップリングレンズ2201d、開口板2202d、シリンドリカルレンズ2204d、偏向器側走査レンズ2105d、2枚の折り返しミラー(2106d、2108d)、像面側走査レンズ2107dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
各光源は、走査制御装置によって点灯及び消灯される。
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光束を整形する。
各シリンドリカルレンズは、対応する開口板の開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
各偏向器側走査レンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、及び折り返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。
各感光体ドラム上の光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
次に、前記トナーパターン検出器2245について説明する。
このトナーパターン検出器2245は、一例として図7に示されるように、3つの反射型光学センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
そして、一例として図8に示されるように、中間転写ベルト2040における有効画像領域内で、反射型光学センサ2245aは−Y側の端部近傍に配置され、反射型光学センサ2245cは+Y側の端部近傍に配置されている。反射型光学センサ2245bは、主方向に関して、反射型光学センサ2245aと反射型光学センサ2245cの略中間位置に配置されている。
ここでは、主方向に関して、反射型光学センサ2245aの中心位置をY1、反射型光学センサ2245bの中心位置をY2、反射型光学センサ2245cの中心位置をY3とする。
3つの反射型光学センサ(2245a、2245b、2245c)は、いずれも同じ構成、同じ構造を有している。そこで、以下では、反射型光学センサ2245aを代表として、反射型光学センサの構成及び構造について説明する。
反射型光学センサ2245aは、一例として図9〜図12に示されるように、11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)を含む照明光学系、11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)を含む受光光学系、11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。
11個の発光部(E1〜E11)は、主方向に沿って等しい間隔Leで配置されている。各発光部には、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。ここでは、一例として、Le=0.4mmとしている。この場合は、主方向に関して、E1とE11との間の距離は4mm(Le×10)である。また、各発光部の主方向の大きさは約0.04mmである。さらに、各発光部から射出される光束の波長は850nmである。
11個の発光部(E1〜E11)は、プリンタ制御装置2090によって個別に点灯及び消灯される。なお、以下では、便宜上、点灯された発光部を「点灯発光部」と略述する。
11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)は、それぞれ11個の発光部(E1〜E11)に個別に対応している。
各照明用マイクロレンズは、対応する発光部から射出された光束を中間転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。各照明用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。また、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の発光面に直交する方向に平行である。
ここでは、説明をわかりやすくするため、各発光部から射出され対応する照明用マイクロレンズを通過した光束のみが、検出用光(S1〜S11)として中間転写ベルト2040を照明するものとする(図13参照)。そして、各検出用光によって中間転写ベルト2040の表面に形成される光スポット(以下では、便宜上「検出用光スポット」と略述する)の中心は、副方向に関して、対応する発光部と受光部の中間付近にある。
各検出用光スポットの大きさ(直径)は、一例として、0.4mmである。この値は、上記発光部の間隔Leと等しい。なお、従来の検出用光スポットの大きさ(直径)は、通常、2〜3mm程度であった。
また、ここでは、中間転写ベルト2040の表面は滑らかであり、中間転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射される。
11個の受光部(D1〜D11)は、それぞれ発光部(E1〜E11)に個別に対応している。
各受光部は、対応する発光部から射出され、中間転写ベルト2040の表面で正反射された光束の光路上に配置されている。そして、11個の受光部の間隔(配列ピッチ)は、11個の発光部の間隔Leと等しい。各受光部の主方向の大きさは約0.35mmである。また、各受光部における受光感度のピーク波長は850nm付近にある。
各受光部には、PD(フォトダイオード)を用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号をプリンタ制御装置2090に出力する。
11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、それぞれ11個の受光部(D1〜D11)に個別し、中間転写ベルト2040あるいはトナーパターンで反射された検出用光を集光する。この場合には、各受光部の受光量を増加させることが可能となる。すなわち、検出感度を向上させることができる。各受光用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。
各マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に関して正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向に関するパワーと副方向に関するパワーとが互いに異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
ここでは、一例として、各マイクロレンズは球面レンズである。そして、各照明用マイクロレンズでは、入射側の光学面は集光パワーを有し、射出側の光学面は集光パワーを有していない。また、各受光用マイクロレンズでは、射出側の光学面は集光パワーを有し、入射側の光学面は集光パワーを有していない。
具体的には、各照明用マイクロレンズでは、レンズ径は0.613mm、レンズの曲率半径は0.430mm、レンズ厚は0.129mmである。
各受光用マイクロレンズでは、レンズ径は0.750mm、レンズの曲率半径は0.380mm、レンズ厚は0.319mmである。
ここでは、各受光用マイクロレンズのレンズ径を各照明用マイクロレンズより大きくすることで、反射光をより多く受光できるようにした。また、各受光用マイクロレンズの曲率半径を各照明用マイクロレンズに比べて小さくすることで、レンズ内部における全反射が増えるため、正反射光の受光量が減らせることが可能であると考えた。また、各受光用マイクロレンズの曲率半径を小さくすることで、点灯させる発光部に対応する受光部に隣接する受光部の前面に配置した受光用マイクロレンズ通過後の光線を大きく屈折させることが可能となり、テストパターンからの拡散反射光が受光部に到達でき、拡散反射光の受光量も増加することが期待できる。
本実施形態では、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)と11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、一体化され、マイクロレンズアレイとなっている。これにより、各マイクロレンズを所定位置に組み付ける際の作業性を向上させることができる。また、複数のマイクロレンズにおけるレンズ面間の位置精度を高めることができる。各レンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成することができる。
なお、以下では、発光部を特定する必要がない場合には、発光部Eiと表記する。そして、発光部Eiに対応する照明用マイクロレンズを照明用マイクロレンズLEiと表記する。また、発光部Eiから射出され照明用マイクロレンズLEiを通過した光束を、検出用光Siと表記する。また、発光部Eiに対応する受光部を受光部Diと表記する。さらに、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを受光用マイクロレンズLDiと表記する。また、検出用光Siによる検出用光スポットを検出用光スポットSiと表記する。
また、一例として図14に示されるように、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な軸に対して受光系側にΔd(ここでは、0.035mm)ずれている。また、各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な軸に対して照射系側にΔd’(ここでは、0.020mm)ずれている。これにより、より多くの反射光を対応する受光部に導くことができる。
そして、副方向に関して、照明用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiのレンズ間距離は0.445mm、発光部Eiと受光部Diの間隔は、0.500mmである。さらに、副方向に関して、発光部Eiから照明用マイクロレンズLEiまでの距離は、0.800mmであり、各マイクロレンズの−Z側の面から中間転写ベルト2040表面までの距離は、5mmである。
次に、画像形成プロセス制御で用いられるテストパターンとしてのトナーパターンについて説明する。
ここでは、一例として図15に示されるように、Y1位置にパターンPPとパターンQPが形成され、Y2位置にパターンPPとパターンQPとパターンDP1〜DP4が形成され、Y3位置にパターンPPとパターンQPが形成される。
パターンDP1〜DP4は、いずれも濃度検出用パターンであり、パターンPPは位置ずれ検出用パターンであり、パターンQPはスポット列傾き検出用パターンである。
濃度検出用パターンDP1はブラックトナーで形成され、濃度検出用パターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、濃度検出用パターンDP3はシアントナーで形成され、濃度検出用パターンDP4はイエロートナーで形成される。
なお、以下では、濃度検出用パターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「濃度検出用パターンDP」ともいう。
濃度検出用パターンDPは、一例として図16に示されるように、5個の四角形状のパターン(p1〜p5、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。各矩形パターンは、副方向に沿って並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー濃度の階調が異なっている。ここでは、トナー濃度の低い矩形パターンから、p1、p2、p3、p4、p5とする。
また、一例として、各矩形パターンの主方向の長さw1を1mm、副方向の長さw2を2mmとしている。そこで、各矩形パターンの主方向の長さw1は、発光部の間隔Le(0.4mm)と検出用光スポットの大きさ(0.4mm)の和よりも大きい。また、副方向に関して、隣接する2つの矩形パターンの中心間隔は3mmである。
この場合は、トナーパターンを作成するのに必要なトナー量を従来の1/100程度とすることができる。すなわち、不寄与トナーの量を大幅に減少させることができる。その結果、トナーカートリッジの交換時期を延長させることができる。
ところで、トナー濃度の階調は、光源から射出される光束のパワーの調整、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティの調整、帯電バイアス及び現像バイアスの調整によって変えることができる。また、網点の面積率を変えることによっても、トナー濃度の階調を変化させることができる。
位置ずれ検出用パターンPPは、一例として図17に示されるように、主方向(Y軸方向)に平行な4本のライン状パターン(LPY1、LPM1、LPC1、LPK1)からなる第1のパターン群と、主方向に対して傾斜した4本のライン状パターン(LPY2、LPM2、LPC2、LPK2)からなる第2のパターン群とにより構成されている。
ライン状パターンLPY1とLPY2はペアをなし、イエロートナーで形成され、ライン状パターンLPM1とLPM2はペアをなし、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1とLPC2はペアをなし、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPK1とLPK2はペアをなし、ブラックトナーで形成される。
第1のパターン群では、各ライン状パターンの主方向の長さw3を1.0mm、副方向の長さを0.5mmとし、それらの副方向の間隔を1mmとしている。
また、第2のパターン群では、各ライン状パターンの傾斜角を45°、主方向に関する長さを1.0mm(=w3)、線幅を0.5mmとしている。
スポット列傾き検出用パターンQPは、一例として図18に示されるように、主方向に関して、すべての検出用光スポットで照明される長さ(例えば、5.5mm)を有するライン状パターンであり、ブラックトナーで形成される。
次に、画像プロセス制御のために、トナーパターン検出器2245を用いて行われる画像形成プロセス制御処理について図19を用いて説明する。図19のフローチャートは、画像形成プロセス制御処理の際に、プリンタ制御装置2090によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
最初のステップS301では、画像形成プロセス制御の要求があるか否かを判断する。ここでは、画像形成プロセス制御フラグがセットされていれば、ここでの判断は肯定され、画像形成プロセス制御フラグがセットされていなければ、ここでの判断は否定される。
画像形成プロセス制御フラグは、電源投入直後では、(1)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(2)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(3)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、印刷時では、(4)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(5)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(6)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどにセットされる。
ステップS301での判断が否定されると、各検出処理はいずれも行われない。一方、ステップS301での判断が肯定されると、画像形成プロセス制御フラグをリセットし、ステップS303に移行する。
このステップS303では、走査制御装置に対してトナーパターンの作成を指示する。
これにより、走査制御装置は、各感光体ドラムにおける所定位置に、トナーパターンが形成されるように各ステーションを制御する。
なお、各パターンを形成するために必要なパターンの形成位置情報、濃度情報、濃度検出用パターンの各諧調に対応したバイアス条件、トナー濃度を推定するための反射型光学センサの出力の濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)は、走査制御装置のメモリに予め格納されている。また、各位置ずれ検出用パターン及び各スポット列傾き検出用パターンQPは、同一の作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアスなど)で形成される。
そして、各濃度検出用パターン、各位置ずれ検出用パターン、及び各スポット列傾き検出用パターンQPは、それぞれ所定のタイミングで中間転写ベルト2040に転写される。
次のステップS305では、トナー濃度の検出処理を行う。ここでは、反射型光学センサ2245bのみが使用される。
ところで、検出用光が、中間転写ベルトのみを照明したときの反射光は、ほとんどが中間転写ベルト表面で正反射された反射光(正反射光)である(図20(A)参照)。一方、検出用光が、矩形パターンを照明したときは、該検出用光は、トナーだけでなく下地の中間転写ベルト表面にも到達する(図20(B)参照)。そこで、矩形パターンを照明したときの反射光は、中間転写ベルト表面で正反射された光と、少なくとも1回はトナーで反射・屈折されることにより散乱された光とに大別される。なお、後者の散乱光には、中間転写ベルト表面から正反射される方向と同一方向に散乱されるものも含まれるが、その光量は少ないものとし、また、中間転写ベルト表面から正反射される光と区別できないため、無視して考える。すなわち、前者の中間転写ベルトに起因する光を正反射寄与分、後者のトナーに起因する光を拡散反射寄与分とする。このように、矩形パターンを照明した検出用光は、正反射されるとともに拡散反射される。
発光部E6のみを点灯させ、検出用光S6が中間転写ベルト2040を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量が図21に示されている。なお、ここでの受光部D6の受光量を「1」とする。また、D_ALLは、5個の受光部D4〜D8の受光量の和である。
発光部E6のみを点灯させ、検出用光S6が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp1〜p5を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量が図22〜図26に示されている。
なお、以下では、照明対象物が中間転写ベルト2040のときの各受光部の受光量をそれぞれ「基準受光量」ともいい、照明対象物が矩形パターンのときの各受光部の受光量をそれぞれ「検出受光量」ともいう。
次に、矩形パターン毎に、各受光部の検出受光量を拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する。以下では、照明対象物が矩形パターンp1のときを例として説明する。
(1)受光部D6の受光量について
受光部D6は点灯発光部E6に対応する受光部であるため、この受光部D6の検出受光量は全て正反射光による受光量であると仮定する。一般的に、トナーパターンの反射率は、中間転写ベルト2040の反射率よりも低いため、受光部D6の検出受光量は1(基準受光量)よりも小さくなっている。
(2)受光部D4及び受光部D8の受光量について
受光部D4及び受光部D8では、基準受光量はいずれも0であった。そこで、受光部D4及び受光部D8の検出受光量は、いずれも、その全てが拡散反射光による受光量である。
(3)受光部D5の受光量について
受光部D5では、基準受光量は0ではなかった。そこで、受光部D5の検出受光量は、正反射光と拡散反射光とが混在した光による受光量である。
正反射光について考えてみると、受光部D5の検出受光量と受光部D6の検出受光量の比率は、受光部D5の基準受光量と受光部D6の基準受光量の比率と一致するはずである。
そこで、受光部D5の基準受光量を受光部D6の基準受光量で除した値(比率Aとする)を求める。
そして、受光部D6の検出受光量に比率Aを乗じる。ここで得られた値が、受光部D5の検出受光量に含まれる正反射光による受光量(受光量aとする)である。
次に、受光部D5の検出受光量から上記受光量aを差し引く。ここで得られた値が、受光部D5の検出受光量に含まれる拡散反射光による受光量である。
(4)受光部D7の受光量について
この受光部では、基準受光量は0ではなかった。そこで、受光部D7の検出受光量は、正反射光と拡散反射光とが混在した光による受光量である。
正反射光について考えてみると、受光部D7の検出受光量と受光部D6の検出受光量の比率は、受光部D7の基準受光量と受光部D6の基準受光量の比率と一致するはずである。
そこで、受光部D7の基準受光量を受光部D6の基準受光量で除した値(比率Bとする)を求める。
そして、受光部D6の検出受光量に比率Bを乗じる。ここで得られた値が、受光部D7の検出受光量に含まれる正反射光による受光量(受光量bとする)である。
次に、受光部D7の検出受光量から上記受光量bを差し引く。ここで得られた値が、受光部D7の検出受光量に含まれる拡散反射光による受光量である。
このようにして、各受光部の検出受光量を、正反射光による受光量と拡散反射光による受光量とに分離することができる。
点灯発光部がE6で照明対象物が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp1のときの、正反射光による受光量が図27に示され、拡散反射光による受光量が図28に示されている。
点灯発光部がE6で照明対象物が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp2のときの、正反射光による受光量が図29に示され、拡散反射光による受光量が図30に示されている。
点灯発光部がE6で照明対象物が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp3のときの、正反射光による受光量が図31に示され、拡散反射光による受光量が図32に示されている。
点灯発光部がE6で照明対象物が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp4のときの、正反射光による受光量が図33に示され、拡散反射光による受光量が図34に示されている。
点灯発光部がE6で照明対象物が濃度検出用パターンDP2の矩形パターンp5のときの、正反射光による受光量が図35に示され、拡散反射光による受光量が図36に示されている。
次に、矩形パターン毎に、正反射光による受光量の合計値(M1とする)、及び拡散反射光による受光量の合計値(M2とする)を求める。
点灯発光部がE6のときの各照明対象物の正反射光による受光量の合計値M1が図37に示されている。また、照明対象物が中間転写ベルト2040のときの合計値M1を1としたときの、各矩形パターンの正反射光による受光量の合計値M1が図38に示されている。これらによると、合計値M1はトナー濃度が高くなるにつれて単調に減少している。これは、トナー濃度が高いほど多くのトナーが付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度と合計値M1は1対1で対応している。そこで、合計値M1の計測値から、その照明対象物のトナー濃度を知ることができる。
点灯発光部がE6のときの各照明対象物の拡散反射光による受光量の合計値M2が図39に示されている。これによると、合計値M2は、トナー濃度に対して単調な関数になっていない。なお、直感的には、トナー濃度が高いほど多くのトナーが付着しているため、拡散反射する光が増加し、合計値M2はトナー濃度が高くなるにつれて単調に増加すると思われがちであるが、拡散反射光による受光量は、検出受光量から正反射光による受光量を減算して求めているため、単調に増加していないものと考えられる。そこで、合計値M2の計測値から、その照明対象物のトナー濃度を知ることは、不可能ではないが必ずしも容易ではない。
点灯発光部がE6のときの各照明対象物の合計値M2/合計値M1が図40に示されている。また、合計値M2/合計値M1の最大値を1としたときの、各照明対象物の合計値M2/合計値M1が図41に示されている。これによると、合計値M2/合計値M1はトナー濃度が高くなるにつれて単調に増加している。そこで、合計値M2/合計値M1からでも、その照明対象物のトナー濃度を知ることができる。
なお、合計値M1とトナー濃度との関係、あるいは(合計値M2/合計値M1)とトナー濃度との関係があらかじめ求められ、濃度テーブルとしてプリンタ制御装置2090のROMに格納されている。
そこで、プリンタ制御装置2090は、上記濃度テーブルを参照し、矩形パターン毎に、合計値M1、あるいは(合計値M2/合計値M1)に基づいてトナー濃度を求める。これによって、濃度検出処理を終了し、ステップS307に移行する。
このステップS307では、3つの反射型光学センサについて、光スポット列の傾き検出処理を行う。各反射型光学センサにおける光スポット列の傾き検出処理は、同様にして行われるので、以下では、1つの反射型光学センサにおける光スポット列の傾き検出処理を図42のフローチャートを用いて説明する。
最初のステップS501では、反射型光学センサにおける発光部E1とE11を点灯させる。
次のステップS503では、タイマt1、タイマt11、フラグf1、フラグf11を設定し、それぞれを初期化(0リセット)する。なお、タイマt1及びタイマt11の値は、所定の時間毎に起動されるタイマ割り込み処理内でカウントアップされる。
次のステップS505では、フラグf1の値が1であるか否かを判断する。ここでは、フラグf1の値は0であるので、ここでの判断は否定され、ステップS507に移行する。
このステップS507では、受光部D1の出力信号を参照し、検出用光スポットS1がスポット列傾き検出用パターンQPを照明したか否かを判断する。検出用光スポットS1がスポット列傾き検出用パターンQPを照明していなければ、ここでの判断は否定され、ステップS511に移行する。
このステップS511では、フラグf11の値が1であるか否かを判断する。ここでは、フラグf11の値は0であるので、ここでの判断は否定され、ステップS513に移行する。
このステップS513では、受光部D11の出力信号を参照し、検出用光スポットS11がスポット列傾き検出用パターンQPを照明したか否かを判断する。検出用光スポットS11がスポット列傾き検出用パターンQPを照明していなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップS505に戻る。
一方、上記ステップS507において、検出用光スポットS1がスポット列傾き検出用パターンQPを照明していれば、ステップS507での判断は肯定され、ステップS509に移行する。
このステップS509では、タイマt1の値を保存するとともに、フラグf1の値を1にする。そして、上記ステップS511に移行する。
また、上記ステップS513において、検出用光スポットS11がスポット列傾き検出用パターンQPを照明していれば、ステップS513での判断は肯定され、ステップS515に移行する。
このステップS515では、タイマt11の値を保存するとともに、フラグf11の値を1にする。そして、ステップS517に移行する。
このステップS517では、フラグf1の値及びフラグf11の値がいずれも1であるか否かを判断する。フラグf1の値及びフラグf11の値の少なくとも一方が0であれば、ここでの判断は否定され、上記ステップS505に戻る。一方、フラグf1の値及びフラグf11の値がいずれも1であれば、ここでの判断は肯定され、ステップS519に移行する。
このステップS519では、反射型光学センサにおける発光部E1とE11を消灯させる。そして、光スポット列の傾き検出処理を終了し、ステップS309に移行する。
このステップ309では、位置ずれ検出用パターンPPの検出処理を行う。ここでは、図43に示されるように、主方向に関して、位置ずれ検出用パターンPPの中心位置が検出用光スポットS5と検出用光スポットS6の中間位置と略一致しているものとする。この場合は、一例として図44に示されるように、各反射型光学センサにおける発光部E5と発光部E6を時分割で点灯/消灯させる。発光部E5からの検出用光S5及び発光部E6からの検出用光S6は、中間転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、ライン状パターンLPK1〜LPY2を順次照明する。
そして、各反射型光学センサにおける受光部D5及びD6の出力信号を時間的に追跡する(図45参照)。
次のステップS311では、光スポット列の傾き検出処理の結果に基づいて、受光部D5及びD6の一方の出力信号を補正する。なお、ここでは、一例として図46及び図47に示されるように、t1<t11とする。
まず、次の(1)式を用いて、隣接する2つの検出用光スポットの照明時間差tを算出する。nは発光部の数であり、ここでは11である。
t=(t11―t1)/(n−1) ……(1)
そして、検出用光スポットS5と検出用光スポットS6は互いに隣接し、t1<t11であることから、受光部D6の出力信号を、時間tだけ早める(図48参照)。
次のステップS313では、位置ずれの検出処理を行う。ここでは、先ず、受光部D5の出力信号と、補正後の受光部D6の出力信号とを加算し、パターン検出信号とする(図49参照)。
そして、上記パターン検出信号に基づいて、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPM1を検出するまでの時間Tkm1、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPC1を検出するまでの時間Tkc1、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPY1を検出するまでの時間Tky1を求める(図50参照)。
さらに、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPM2を検出するまでの時間Tkm2、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPC2を検出するまでの時間Tkc2、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPY2を検出するまでの時間Tky2を求める(図50参照)。
そして、時間Tkm1、時間Tkc1、及び時間Tky1をそれぞれ予め得られている基準時間と比較し、その時間差ΔT1から、次の(2)式を用いて、ブラックのトナー画像に対する、副方向に関するマゼンタ、シアン、及びイエローの各トナー画像の位置ずれ量ΔS1を求める(図51(A)参照)。ここで、Vは中間転写ベルト2040の副方向への移動速度である。
ΔS1=V・ΔT1 ……(2)
また、時間Tkm2、時間Tkc2、及び時間Tky2をそれぞれ予め得られている基準時間と比較し、その時間差ΔT2から、次の(3)式を用いて、ブラックのトナー画像に対する、主方向に関するマゼンタ、シアン、及びイエローの各トナー画像の位置ずれ量ΔS2を求める(図51(B)参照)。ここで、Vは中間転写ベルト2040の副方向への移動速度、θはライン状パターンの主方向に対する傾斜角(ここでは、45°)である。
ΔS2=V・ΔT2・cotθ ……(3)
次のステップS315では、画像形成プロセス条件を調整する。
先ず、上記濃度検出処理で得られたトナー濃度から、トナーの色毎に、トナー濃度のずれ量を求める。そして、トナー濃度のずれ量が許容限を超えている場合には、トナー濃度が狙いのトナー濃度となるように、或いは、トナー濃度のずれ量が許容限内となるように制御する。
例えば、トナー濃度のずれ量に応じて、対応する画像形成ステーションにおいて、光源から射出される光束のパワー、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ、帯電バイアス、現像バイアス(例えば、特開2009−216930号公報参照)の少なくともいずれかを調整する。
ところで、画像濃度を維持するための画像濃度制御には、現像ポテンシャル制御、及び階調制御がある。
現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を確保するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。すなわち、濃度検出用パターンから得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より、現像γ(現像ポテンシャルを横軸、トナー濃度を縦軸としたときの傾き)と現像開始電圧Vk(現像ポテンシャルを横軸(x軸)、トナー濃度を縦軸(y軸)としたときのx切片)を求める。そして、次の(4)式を用いて、所望の画像濃度を確保するために必要な現像ポテンシャルを決定し、これに基づいて、作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定している。
必要な現像ポテンシャル[−kV]=所望の画像濃度(トナー濃度)[mg/cm2]/現像γ[(mg/cm2)/(−kV)]+現像開始電圧Vk[−kV] ……(4)
トナーの帯電量と現像ポテンシャルとが一定であれば、現像γはほぼ維持されるが、温度や湿度の変化がある環境ではトナーの帯電量の変化が避けられず、中間調領域の階調性が変化してしまう。それを補正するために階調制御が行われる。階調制御も現像ポテンシャル制御と同等の濃度検出用パターンを用いることができる。
階調制御では、得られた階調性と目標とする階調性との偏差がなくなるように階調補正用LUT(ルック・アップ・テーブル)が適宜変更される。具体的には、その都度、新しい階調補正用LUTに書き換える方法や、予め用意した複数の階調補正用LUTから最適なものを選択する方法などがある。
次に、上記位置ずれ量に基づいて、ブラックのトナー画像に対する副方向のずれ量が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける画像の書き出しタイミングの変更を走査制御装置に指示する。
また、上記補正された位置ずれ量に基づいて、ブラックのトナー画像に対する主方向のずれ量が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける画素クロックの位相調整を走査制御装置に指示する。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)と、各感光体ドラムに対して画像情報に応じて変調された光束を主走査方向に走査し、潜像を形成する光走査装置2010と、潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)と、各感光体ドラムからトナー画像が転写される中間転写ベルト2040と、中間転写ベルト2040に転写されたトナーパターンを検出するためのトナーパターン検出器2245と、全体を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
トナーパターン検出器2245は、3つの反射型光学センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
各反射型光学センサは、主方向に沿って等間隔Leで配置された11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)を含む照明光学系、11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)を含む受光光学系、及び11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。
テストパターンとしてのトナーパターンは、各反射型光学センサに対応して形成され、位置ずれ検出用パターンPP及びスポット列傾き検出用パターンQPを含んでいる。
プリンタ制御装置2090は、スポット列傾き検出用パターンQPを検出し、主方向に対する光スポット列の傾き情報を取得する。そして、プリンタ制御装置2090は、位置ずれ検出用パターンPPの検出結果を、主方向に対する光スポット列の傾き情報に基づいて補正する。
これにより、位置ずれの検出精度を向上させることができる。その結果、カラープリンタ2000は、高品質の画像を安定して形成することができる。
また、スポット列傾き検出用パターンQPがブラックトナーで形成されているため、反射率の低下量が大きくなり、正反射光の光量変化に基づいて、光スポット列の主方向に対する傾きを精度良く検出することができる。
また、スポット列傾き検出用パターンQPが、主方向に平行なライン状のパターンであるため、スポット列傾き検出用パターンQPを各光スポットで検出したタイミングの差をそのまま補正値として用いることが可能であり、補正を簡単に精度良く行うことができる。
また、濃度検出用パターン及び位置ずれ検出用パターンの主方向の寸法を小さくすることができるため、「不寄与トナー」の量を低減させることができる。
なお、受光部の検出受光量を拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する方法については、上記実施形態での方法に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、光スポット列の傾き検出処理において、発光部E1と発光部E11のみを点灯させる場合について説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、全ての発光部を点灯させても良い。この場合には、各発光部は、時分割で順次点灯/消灯される。
このとき、一例として図52に示されるように、最小自乗法を用いて、検出時間と主方向の位置との関係を示す直線を求めても良い。
また、上記実施形態では、光スポット列の傾き検出処理において、スポット列傾き検出用パターンQPを形成する場合について説明したが、これに限らず、スポット列傾き検出用パターンQPと同様なマークが中間転写ベルト2040に予め形成されていても良い。この場合は、光走査装置における光学系のスキューやボウなどによる影響を除外することができる。
また、上記実施形態では、位置ずれ検出用パターン及び矩形パターンの主方向に関する長さが1mmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、濃度検出用パターンの前方に位置認識用パターンを形成しても良い。
また、上記実施形態では、各濃度検出用パターンDPが5個の矩形パターンを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)と11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)が一体化されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、1つの反射型光学センサが11個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、全ての反射型光学センサが同一個数の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、中間転写ベルトの表面が滑らかな場合について説明したが、これに限らず、中間転写ベルトの表面が滑らかでなくても良い。この場合であっても、上記実施形態と同様にして位置ずれを検出することができる。また、中間転写ベルトの表面の一部が滑らかであっても良い。
また、上記実施形態において、反射型光学センサに処理装置を設け、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、該処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出用パターンが位置Y2に形成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、濃度検出用パターンが位置Y1あるいは位置Y3に形成されても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出用パターンが位置Y2のみに形成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、濃度検出用パターンが、さらに位置Y1あるいは位置Y3にも形成されても良い。
また、上記実施形態では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5色あるいは6色のトナーが用いられる場合であっても良い。
また、上記実施形態では、トナーパターン検出器2245が、中間転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。なお、感光体ドラムの表面は、中間転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、トナーパターン検出器2245で検出しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。